JP4072582B2 - コーティング剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コーティング剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光触媒としての酸化チタンを含有するコーティング剤としては、従来より様々なものが提供されており、その形態としては、中性でかつ無機のバインダーを混合していない低濃度の酸化チタンゾルタイプのものが主流となりつつある。それは、酸化チタンゾルタイプのコーティング剤は、基材を選ばず、塗布性や仕上がり時の質感に優れているからである。
【0003】
しかし、これら従来のコーティング剤では、実際に屋外に施工した場合に、コーティング剤の定着性や塗膜の耐候性や硬度などの点で問題があり、十分な施工品質を確保するのが困難であった。
【0004】
有機物の基材にコーティングする場合には、通常、酸化チタンが活性時に基材の有機物を侵して、基材から剥離してしまうため、基材と酸化チタンとの間にスペーサーとしての無機層を形成する必要がある。また、非鉄金属の基材にコーティングする場合にも、基材から溶出する金属イオンと酸化チタンとが反応してしまうため、その反応を阻止するスペーサーを基材と酸化チタンとの間に形成する必要がある。
【0005】
そのため、実際に施工する場合には、無機のスペーサー用アンダーコート層と酸化チタン層とで二層コートにすることが必要となってくる。
【0006】
かかるスペーサー用アンダーコート剤としては、無機質でかつ酸化チタンとの相性がよく、しかも、常温下では光触媒活性を起こさない過酸化チタン液(アモルファス型酸化チタン液)が一般的に使用されている。
【0007】
しかし、過酸化チタンや酸化チタン自体の結合力では、基材への定着が遅く、また、基材への密着度も弱いため、実際の施工においては、施工効率が悪く、また、屋外環境下では耐候性や膜硬度の点で塗膜の耐久性も低かった。特に、低温化ではさらに定着が遅くなるために、現実的には施工が困難であった。
【0008】
そのため、従来のコーティング剤では、有機定着剤を若干量配合して、酸化チタンと基材との定着性や密着性を高め、常温下で施工することができるようしたものがある。
【0009】
また、スペーサー用アンダーコート剤にも有機定着剤を配合して、基材との定着性や密着度を向上させたものがある。
【0010】
また、酸化チタンを用いたコーティング剤を改良したものとして、珪酸リチウムを混合したコーティング剤が特開平10−237354号公報に開示されている。かかるコーティング剤は、酸化チタンと珪酸リチウムとのモル比(SiO2/Li2O)が3.5となる珪酸リチウムをバインダーとして使用し、それに酸化チタンの粉体と水とを直接混合してスラリー化させたものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、過酸化チタンを用いたスペーサー用アンダーコート層と酸化チタン層との二層コートを行った場合には、屋外環境下では耐候性が低く、密着度の低下や塗膜の劣化が経時的に進行してしまい、表面を指で触れた程度でも酸化チタンが基材から剥離してしまうため、施工品質を長期間にわたって維持することができなかった。
【0012】
また、コーティング剤に有機定着剤を配合した場合には、紫外線や酸性雨の影響で有機分が劣化し、また、光触媒活性時に酸化チタンが有機分を分解し、これにより、酸化チタンの密着度が経時的に低下して塗膜が劣化してしまい、はやり施工品質を長期間にわたって維持することができなかった。
【0013】
また、スペーサー用アンダーコート剤に有機定着剤を配合した場合にも、紫外線や酸性雨の影響で有機分が劣化して、酸化チタンの接着が不安定となっていた。
【0014】
さらに、低温化では、コーティング剤に有機定着剤を配合した場合やスペーサー用アンダーコート剤に有機定着剤を配合した場合でも、定着性が大幅に低下してしまい、施工が困難であった。
【0015】
また、特開平10−237354号公報に開示されたコーティング剤は、酸化チタンと珪酸リチウムとのモル比(SiO2/Li2O)が3.5となる珪酸リチウムをバインダーとして使用し、それに酸化チタンの粉体と水とを直接混合してスラリー化させているため、酸化チタンが分散した状態で安定することがなく、酸化チタンが沈殿してしまう傾向があり、均一な塗膜を形成することが困難であって、使い勝手が悪いものであった。
【0016】
しかも、上記コーティング剤は、酸化チタンの含有量が20重量%以上にもなることから、塗膜の透明性に欠けており、コーティング面が白濁してしまい、外観を損なうものであった。
【0017】
さらに、上記コーティング剤は、基材の内部にまで浸透させないとコーティング面がざらつき、また、定着性も低いため、基材としてはコーティング材が内部にまで浸透するものでなければならず、汎用性が低いものであった。
【0018】
また、上記コーティング剤は、定着に常温下で12時間以上も要しており、施工性が悪いものであった。
【0019】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、アナターゼ型酸化チタン分散液と過酸化チタン液との混合液を主成分としてなるコーティング剤を提供するものである。
【0020】
また、前記コーティング剤に、結合硬化剤として珪酸化合物を添加したもの、又は、分散媒としてアルコールを添加したものを提供するものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明に係るコーティング剤は、アナターゼ型酸化チタン分散液と過酸化チタン液との混合液を主成分としたものである。
【0022】
具体的には、四塩化チタンにアンモニア水を滴下して水酸化チタンを沈殿させた後、過酸化水素水を添加することによって得られる過酸化チタンのペルオキソチタン酸水溶液(PTA水溶液)と、同ペルオキソチタン酸水溶液を加熱することによって得られるアナターゼ型酸化チタン分散液(PAゾル)とを混合させたものである。尚、アナターゼ型酸化チタン分散液や過酸化チタン液の製造方法は、上記方法に限定されるものではない。
【0023】
かかるアナターゼ型酸化チタン分散液と過酸化チタン液との混合液を主成分としたコーティング剤は、基材に塗布したときに光触媒を良好に活性化させることができ、しかも、仕上り感の良好なコーティング剤とすることができるものである。
【0024】
また、上記コーティング剤は、チタン含有量が0.85〜1.70重量%のペルオキソチタン酸水溶液とアナターゼ型酸化チタン分散液とを混合して、全体でのチタン含有量が1.70重量%以下の低濃度になるようにしている。
【0025】
これは、コーティング剤のチタン含有量が1.70重量%以上になると、コーティング剤の粘度が経時的に高くなるため、基材への塗布がし難く、基材に塗布した場合の仕上り感が低減するおそれがあるからであり、コーティング剤のチタン含有量を1.70重量%以下にすることによって、分散媒による分散も良好に行われ、基材への塗布が容易なものとなり、しかも、基材に塗布した場合の仕上り感を良好なものとすることができる。
【0026】
上記コーティング剤は、結合硬化剤として珪酸化合物を添加してもよく、その場合には、基材への定着性や密着度や膜硬度を向上させることができる。
【0027】
珪酸化合物としては、無機の珪酸ソーダ、珪酸カリ、珪酸リチウムが有効であり、特に、珪酸リチウムが好ましい。
【0028】
また、上記コーティング剤は、分散媒としてアルコールを添加してもよく、その場合には、基材に塗布したときの仕上り感を向上させることができる。
【0029】
アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール、メタノールが有効であり、特に、エタノール、イソプロパノールが好ましい。
【0030】
そして、上記コーティング剤は、基材に塗布することによって、耐候性に優れた高活性、高硬度、高品位の無機塗膜を形成することができ、屋外で使用される種々の建材や既存の建造物に光触媒機能を付加することができる汎用性を有しており、一般の塗料と同等の速乾性を有することから、気象条件によらずに年間を通じていつでも施工を容易に行うことができ、しかも、厳しい屋外環境下でも長期間にわたって光触媒活性を維持することができるので、光触媒の施工の高品質化及び高効率化や環境浄化を図ることができる。
【0031】
特に、コーティング剤としては、アナターゼ型酸化チタン分散液と過酸化チタン液との混合液を主成分とし、結合硬化剤としてモル比7.5の珪酸リチウムを3%添加し、分散媒としてコーティング剤の全容量中のアルコール濃度が25vol%になるようにエタノールを混合したものが最も優れた性能を発揮する。
【0032】
【実施例】
以下に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0033】
(実施例1)
四塩化チタンにアンモニア水を滴下して水酸化チタンを沈殿させた後、過酸化水素水を添加することによって得られる過酸化チタンのペルオキソチタン酸水溶液(PTA水溶液)と、同ペルオキソチタン酸水溶液を加熱することによって得られるアナターゼ型酸化チタン分散液(PAゾル)とを混合させることによって、アナターゼ型酸化チタン分散液と過酸化チタン液との混合液を主成分としたコーティング剤を製造した。尚、ペルオキソチタン酸水溶液やアナターゼ型酸化チタン分散液の製造方法は、上記方法に限定されるものではない。
【0034】
かかるアナターゼ型酸化チタン分散液と過酸化チタン液との混合液を主成分としたコーティング剤を基材に塗布したところ、基材の表面で光触媒を良好に活性化させることができ、しかも、仕上り感が良好であることが確認された。
【0035】
特に、チタン含有量が0.85〜1.70重量%のPTA水溶液とPAゾルとを混合して、全体でのチタン含有量が1.70重量%以下の低濃度になるようにした場合には、分散媒による分散が良好に行われ、基材への塗布が容易になり、しかも、基材に塗布した場合の仕上り感が良好になることが確認された。
【0036】
(実施例2)
前記実施例1のコーティング剤に結合硬化剤として珪酸化合物を添加した。珪酸化合物としては、無機の珪酸ソーダ、珪酸カリ、珪酸リチウムを用いた。
【0037】
そして、珪酸ソーダは、無水珪酸(SiO2)の含有量が24%で、無水珪酸と酸化ナトリウム(N a2O)とのモル比(SiO2/Na2O)を3.8としたものを使用した。
【0038】
また、珪酸カリは、無水珪酸(SiO2)の含有量が20%で、無水珪酸と酸化カリ(K20)とのモル比(SiO2/K20)を3.5としたものを使用した。
【0039】
また、珪酸リチウムは、無水珪酸(SiO2)の含有量が20%で、無水珪酸と酸化リチウム(Li20)とのモル比(SiO2/Li20)を3.5及び7.5としたものを使用した。
【0040】
そして、コーティング剤の酸化チタン含有量と同量の珪酸化合物をコーティング剤に混入したものを製造し、それぞれを基材に塗布して、それぞれの定着性、密着性、膜硬度、活性度、仕上り感を比較した。尚、基材として10cm角のタイルを用い、塗布方法として二層コート方式を採用し、スペーサー用アンダーコート剤としてペルオキソチタン酸水溶液を塗布したものに、50〜100g/m2の塗布量で基材の表面に塗布し、常温で乾燥させて基材の表面に塗膜を形成した。
【0041】
すなわち、以下の5種類について比較した。
(対象例1)
チタン含有量が0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液とチタン含有量が0.85重量%のアナターゼ型酸化チタン分散液とを3:7の割合で混合した。
(比較例1)
対象例1にチタン含有量0.85重量%と同量の珪酸ソーダを添加した。
(比較例2)
対象例1にチタン含有量0.85重量%と同量の珪酸カリを添加した。
(比較例3)
対象例1にチタン含有量0.85重量%と同量のモル比3.5の珪酸リチウムを添加した。
(比較例4)
対象例1にチタン含有量0.85重量%と同量のモル比7.5の珪酸リチウムを添加した。
【0042】
上記5種類のコーティング剤について比較した結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
ここで、定着性は、20℃の屋内で塗膜を指触しても基材の表面から酸化チタンが取れなくなるまでに要する時間で評価しており、速乾性を有するものを〇、24時間以内に酸化チタンが取れなくなったものを△、酸化チタンが取れなくなるまでに24時間以上要したものを×で表している。
【0045】
また、密着度は、塗布後24時間経過した後に、粘着テープによる引き剥がし試験(JISXカットテープ法)で評価しており、ルーペによる目視で塗膜を観察し、塗膜に変化が見られないものを〇、少しでも膜破断が生じているものを×で表している。
【0046】
また、膜硬度は、塗布後24時間経過した後に、鉛筆引っかき試験(JIS手かき法)で評価しており、鉛筆硬度で5H以上のものを〇、2〜4Hのものを△、2H以下のものを×で表している。
【0047】
また、活性度は、紫外線照射装置を用いて予めコーティング面に紫外線を照射(1mW/cm2)しておき、その上に蒸留水で10mg/リットル(無水重量基準)に希釈した試験液メチレンブルーを塗布し、乾燥後に紫外線を再び照射(1mW/cm2)し、その際の退色反応で評価しており、光触媒協議会の基準に従い、1時間後に目視でメチレンブルーの着色が認められないものを〇、1時間以上経過してもメチレンブルーの着色が認められるものを×で表している。
【0048】
また、仕上り感は、対象例1を基準として、目視と指触とにより評価しており、対象例1と同等のものを〇、対象例1よりも劣るが仕上り上問題とはならないものを△、対象例1よりも劣り仕上り上問題となるものを×で表した。
【0049】
上記5種類のコーティング剤について比較したところ、定着性については、対象例1では24時間経過しても指触程度で表面に傷が付くことが認められたが、比較例1〜比較例4では一般の速乾性塗料と同等の速乾性を有していることが認められた。
【0050】
また、密着度については、対象例1では塗膜が剥離することが認められ、比較例3では一部の塗膜が剥離することが認められたが、比較例1、2、4では全く塗膜が剥離しないことが認められた。これは、比較例3では結合硬化剤によって塗膜自体が硬くなるにつれて膜が脆くなるためと考えられる。
【0051】
また、膜硬度については、対象例1では鉛筆硬度が1H以下であることが認められたが、比較例1〜比較例4では鉛筆硬度が5H以上の硬い塗膜が形成されていることが認められた。
【0052】
また、活性度については、対象例1では1時間以内でメチレンブルーの着色が見られず、光触媒の活性化が良好に行われていることが認められ、また、比較例4でも1時間以内でメチレンブルーの着色が見られず、光触媒の活性化が良好に行われていることが認められたが、比較例1〜比較例3では1時間経過した後でもメチレンブルーの着色が見られ、光触媒の活性化が低下していることが認められた。
【0053】
また、仕上り感については、比較例1〜比較例3では塗膜に斑が生じてざらつくことが認められ、比較例4では対象例1の仕上り感よりは劣るものの実用上は問題がないものであると認められた。
【0054】
以上のことから、上記5種類のコーティング剤を比較すると、比較例4が速乾性を有し、活性度に優れ、高密着度で高硬度の塗膜を形成することができるものであると認められた。
【0055】
すなわち、コーティング剤の結合硬化剤としては、モル比7.5の珪酸リチウムが適していることがわかった。
【0056】
(実施例3)
次に、コーティング剤に添加するモル比7.5の珪酸リチウムの添加量を変えたものを製造し、それぞれを基材に塗布して、それぞれの定着性、密着性、膜硬度、活性度、仕上り感を比較した。尚、前記実施例2と同様に、基材として10cm角のタイルを用い、塗布方法として二層コート方式を採用し、スペーサー用アンダーコート剤としてペルオキソチタン酸水溶液を塗布したものに、50〜100g/m2の塗布量で基材の表面に塗布し、常温で乾燥させて基材の表面に塗膜を形成した。また、珪酸リチウムは、無水珪酸(SiO2)の含有量が20%で、無水珪酸と酸化リチウム(Li20)とのモル比(SiO2/Li20)を7.5としたものを使用した。
【0057】
すなわち、以下の5種類について比較した。
(対象例1)
チタン含有量が0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液とチタン含有量が0.85重量%のアナターゼ型酸化チタン分散液とを3:7の割合で混合した。
(比較例5)
対象例1にモル比7.5の珪酸リチウムを2%(0.45重量%)添加した。
(比較例6)
対象例1にモル比7.5の珪酸リチウムを3%(0.68重量%)添加した。
(比較例7)
対象例1にモル比7.5の珪酸リチウムを4%(0.91重量%)添加した。
(比較例8)
対象例1にモル比7.5の珪酸リチウムを5%(1.10重量%)添加した。
【0058】
上記5種類のコーティング剤について比較した結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
上記5種類のコーティング剤について比較したところ、定着性については、対象例1では24時間経過しても指触程度で表面に傷が付くことが認められ、比較例5では指触で傷が付かなくなるまでに約2時間要することが認められたが、比較例6〜比較例8では一般の速乾性塗料と同等の速乾性を有していることが認められた。
【0061】
また、密着度については、対象例1では塗膜が剥離することが認められたが、比較例5〜比較例8では全く塗膜が剥離しないことが認められた。
【0062】
また、膜硬度については、対象例1では鉛筆硬度が1H以下であることが認められ、比較例5では鉛筆硬度が4H程度であることが認められたが、比較例6〜比較例8では鉛筆硬度が5H以上の硬い塗膜が形成されていることが認められた。
【0063】
また、活性度については、対象例1では1時間以内でメチレンブルーの着色が見られず、光触媒の活性化が良好に行われていることが認められ、また、比較例5〜比較例8でも1時間以内でメチレンブルーの着色が見られず、光触媒の活性化が良好に行われていることが認められた。但し、珪酸リチウムの添加量に比例して活性度が低下することが認められた。
【0064】
また、仕上り感については、比較例5〜比較例8では対象例1の仕上り感よりは劣るものの実用上は問題がないものであると認められた。但し、珪酸リチウムの添加量に比例して塗膜に斑が生じることが認められた。
【0065】
以上のことから、上記5種類のコーティング剤を比較すると、比較例5でもコーティング剤としての機能は十分に発揮できるが、比較例6、7が定着性や活性度や仕上り感が良好であることが認められた。
【0066】
すなわち、コーティング剤の結合硬化剤として添加するモル比7.5の珪酸リチウムの添加量は、3%(0.68重量%)〜4%(0.91重量%)の範囲が好ましいことがわかる。尚、これをコーティング剤のチタン含有量に対する珪酸リチウムの含有比率で表すと、0.8〜1.1の範囲となる。
【0067】
(実施例4)
次に、コーティング剤に各種のアルコールを添加したものを製造し、それぞれを基材に塗布して、それぞれの活性度、仕上り感を比較した。尚、基材として10cm角のタイルを用い、塗布方法として一層コート方式を採用し、50〜100g/m2の塗布量で基材の表面に塗布し、常温で乾燥させて基材の表面に塗膜を形成した。また、アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール、メタノールを用いた。
【0068】
すなわち、以下の4種類について比較した。
(対象例1)
チタン含有量が0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液とチタン含有量が0.85重量%のアナターゼ型酸化チタン分散液とを3:7の割合で混合した。
(比較例9)
イオン交換樹脂精製水で希釈したエタノール分50vol%水溶液を、それぞれ混合したチタン含有量が0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液とチタン含有量が0.85重量%のアナターゼ型酸化チタン分散液とを3:7の割合で混合した。尚、この場合のコーティング剤全容量中のアルコール濃度は25vol%となる。
(比較例10)
イオン交換樹脂精製水で希釈したイソプロパノール分50vol%水溶液を、それぞれ混合したチタン含有量が0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液とチタン含有量が0.85重量%のアナターゼ型酸化チタン分散液とを3:7の割合で混合した。尚、この場合のコーティング剤全容量中のアルコール濃度は25vol%となる。
(比較例11)
イオン交換樹脂精製水で希釈したメタノール分50vol%水溶液を、それぞれ混合したチタン含有量が0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液とチタン含有量が0.85重量%のアナターゼ型酸化チタン分散液とを3:7の割合で混合した。尚、この場合のコーティング剤全容量中のアルコール濃度は2 5vol%となる。
【0069】
上記4種類のコーティング剤について比較した結果を表3に示す。
【0070】
【表3】
【0071】
上記4種類のコーティング剤について比較したところ、活性度については、対象例1では1時間以内でメチレンブルーの着色が見られず、光触媒の活性化が良好に行われていることが認められ、また、比較例9〜比較例11でも1時間以内でメチレンブルーの着色が見られず、光触媒の活性化が良好に行われていることが認められた。
【0072】
また、仕上り感については、比較例9、10では対象例1よりも滑らかになることが認められたが、比較例11では塗膜が若干白濁することが認められた。
【0073】
以上のことから、上記4種類のコーティング剤を比較すると、比較例9、10が活性度や仕上り感が良好であることが認められた。
【0074】
すなわち、コーティング剤の分散媒としては、エタノールやイソプロパノールが好ましいことがわかる。尚、アルコールの臭気を考慮すると、エタノールの方がより好ましい。
【0075】
(実施例5)
次に、コーティング剤に混合するためのアルコールの濃度を変えたアルコール水溶液を製造し、それぞれの状態を観察した。尚、アルコールとしては、エタノール、イソプロパノールを用いた。
【0076】
すなわち、以下の2種類について種々の濃度で状態を観察した。
(比較例12)
イオン交換樹脂精製水で種々の濃度に希釈したエタノール水溶液にモル比7.5の珪酸リチウムを5%添加した。尚、この場合のアルコール水溶液の全容量中のアルコール濃度は20vol%〜80vol%となるようにした。
(比較例13)
イオン交換樹脂精製水で種々の濃度に希釈したイソプロパノール水溶液にモル比7.5の珪酸リチウムを5%添加した。尚、この場合のアルコール水溶液の全容量中のアルコール濃度は20vol%〜80vol%となるようにした。
【0077】
上記のアルコール水溶液について観察した結果を表4に示す。
【0078】
【表4】
【0079】
上記のアルコール水溶液について観察したところ、比較例12、比較例13ともにアルコール水溶液濃度を30vol%以下にすると、珪酸リチウムが凝縮せずに分散して安定した状態を保持し、これにより、珪酸リチウムの結合硬化剤としての機能が損なわれないことが認められた。
【0080】
すなわち、コーティング剤の分散媒として混合するエタノールやイソプロパノールは、珪酸リチウムを凝縮させないためには、コーティング剤全容量に対してアルコール濃度が30vol%以下となるように混合することが好ましいことがわかる。
【0081】
(実施例6)
次に、コーティング剤全容量に対してアルコール濃度が30vol%以下になるものを製造し、それぞれを基材に塗布して、それぞれの分散性を比較した。尚、基材として10cm角のタイルを用い、塗布方法として二層コート方式を採用し、スペーサー用アンダーコート剤としてペルオキソチタン酸水溶液を塗布したものに、50〜100g/m2の塗布量で基材の表面に塗布し、常温で乾燥させて基材の表面に塗膜を形成した。また、アルコールとしては、エタノールを用いた。
【0082】
すなわち、以下の5種類についてそれぞれの状態を観察した。
(比較例14)
イオン交換樹脂精製水で希釈したエタノール分60vol%水溶液を、それぞれ混合したチタン含有量が0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液とチタン含有量が0.85重量%のアナターゼ型酸化チタン分散液とを3:7の割合で混合し、さらにモル比7.5の珪酸リチウムを3%添加した。尚、この場合のコーティング剤の全容量中のアルコール濃度は30vol%となる。
(比較例15)
イオン交換樹脂精製水で希釈したエタノール分50vol%水溶液を、それぞれ混合したチタン含有量が0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液とチタン含有量が0.85重量%のアナターゼ型酸化チタン分散液とを3:7の割合で混合し、さらにモル比7.5の珪酸リチウムを3%添加した。尚、この場合のコーティング剤の全容量中のアルコール濃度は25vol%となる。
(比較例16)
イオン交換樹脂精製水で希釈したエタノール分40vol%水溶液を、それぞれ混合したチタン含有量が0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液とチタン含有量が0.85重量%のアナターゼ型酸化チタン分散液とを3:7の割合で混合し、さらにモル比7.5の珪酸リチウムを3%添加した。尚、この場合のコーティング剤の全容量中のアルコール濃度は20vol%となる。
(比較例17)
イオン交換樹脂精製水で希釈したエタノール分30vol%水溶液を、それぞれ混合したチタン含有量が0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液とチタン含有量が0.85重量%のアナターゼ型酸化チタン分散液とを3:7の割合で混合し、さらにモル比7.5の珪酸リチウムを3%添加した。尚、この場合のコーティング剤の全容量中のアルコール濃度は15vol%となる。
(比較例18)
イオン交換樹脂精製水で希釈したエタノール分20vol%水溶液を、それぞれ混合したチタン含有量が0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液とチタン含有量が0.85重量%のアナターゼ型酸化チタン分散液とを3:7の割合で混合し、さらにモル比7.5の珪酸リチウムを3%添加した。尚、この場合のコーティング剤の全容量中のアルコール濃度は10vol%となる。
【0083】
上記の5種類のコーティング剤について比較した結果を表5に示す。
【0084】
【表5】
【0085】
ここで、分散性は、塗膜をルーペによる目視で観察することによって評価しており、斑が見られないものを〇、若干斑が見られるものを△、斑が見られるものを×で表している。
【0086】
上記5種類のコーティング剤について比較したところ、比較例14〜比較例17では全く斑が見られないことが認められたが、比較例18では僅かに斑が見られることが認められた。
【0087】
すなわち、コーティング剤の分散媒として混合するアルコールは、コーティング剤全容量に対してアルコール濃度が15vol%〜30vol%となるように混合することが好ましいことがわかる。尚、結合硬化剤としての珪酸リチウムの分散安定性を考慮すると、コーティング剤の分散媒として混合するアルコールは、コーティング剤全容量に対してアルコール濃度が15vol%〜25vol%となるように混合することが好ましい。
【0088】
(実施例7)
次に、コーティング剤に結合硬化剤としてモル比7.5の珪酸リチウムを3%(0.68重量%)又は4%(0.91重量%)添加し、さらに、分散媒としてアルコール濃度が25vol%になるようにエタノールを混合したものを製造し、それぞれを基材に塗布して、それぞれの定着性、密着度、膜硬度、活性度、仕上り感、及び耐久性を確認した。尚、基材として10cm角のタイルを用い、塗布方法として二層コート方式を採用し、スペーサー用アンダーコート剤としてペルオキソチタン酸水溶液を塗布したものに、50〜100g/m2の塗布量で基材の表面に塗布し、常温で乾燥させて基材の表面に塗膜を形成した。
【0089】
すなわち、以下の3種類について確認した。
(対象例1)
チタン含有量が0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液とチタン含有量が0.85重量%のアナターゼ型酸化チタン分散液とを3:7の割合で混合した。
(比較例19)
イオン交換樹脂精製水で希釈したエタノール分50vol%水溶液を、それぞれ混合したチタン含有量が0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液とチタン含有量が0.85重量%のアナターゼ型酸化チタン分散液とを3:7の割合で混合し、さらにモル比7.5の珪酸リチウムを3%添加した。尚、この場合のコーティング剤の全容量中のアルコール濃度は25vol%となる。
(比較例20)
イオン交換樹脂精製水で希釈したエタノール分50vol%水溶液を、それぞれ混合したチタン含有量が0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液とチタン含有量が0.85重量%のアナターゼ型酸化チタン分散液とを3:7の割合で混合し、さらにモル比7.5の珪酸リチウムを4%添加した。尚、この場合のコーティング剤の全容量中のアルコール濃度は25vol%となる。
【0090】
上記3種類のコーティング剤について確認した結果を表6及び表7に示す。
【0091】
【表6】
【0092】
【表7】
【0093】
ここで、耐久性は、サンシャインウェザーメーターによる促進耐候性試験を延べ1000時間行うことで評価しており、1000時間経過前においては、ルーペによる目視と指触とで塗膜の表面に変化が見られないものを〇、塗膜が剥離したりチョーキング現象が見られるものを×で表し、また、1000時間経過後においては、ルーペによる目視と指触とによるばかりでなく、粘着テープを用いた引き剥がし試験も実施して、塗膜に変化が見られないものを〇、塗膜が剥離したりチョーキング現象が見られるものを×で表している。
【0094】
上記3種類のコーティング剤について比較したところ、定着性については、対象例1では24時間経過しても指触程度で表面に傷が付くことが認められたが、比較例19、20では一般の速乾性塗料と同等の速乾性を有していることが認められた。
【0095】
また、密着度については、対象例1では塗膜が剥離することが認められたが、比較例19、20では全く塗膜が剥離しないことが認められた。
【0096】
また、膜硬度については、対象例1では鉛筆硬度が1H以下であることが認められたが、比較例19、20では鉛筆硬度が5H以上の硬い塗膜が形成されていることが認められた。
【0097】
また、活性度については、対象例1では1時間以内でメチレンブルーの着色が見られず、光触媒の活性化が良好に行われていることが認められ、また、比較例19、20でも1時間以内でメチレンブルーの着色が見られず、光触媒の活性化が良好に行われていることが認められた。但し、比較例20よりも比較例19の方が活性度が高いことが認められた。
【0098】
また、仕上り感については、比較例19、20では対象例1と同等の仕上り感となることが認められた。
【0099】
また、耐久性については、比較例19、20では塗膜の表面に何の変化も生じないことが認められた。
【0100】
以上のことから、比較例19、20はともに優れた性能を発揮することが確認された。
【0101】
すなわち、コーティング剤としては、結合硬化剤としてモル比7.5の珪酸リチウムを3%〜4%添加し、分散媒としてコーティング剤の全容量中のアルコール濃度が25vol%になるようにエタノールを混合したものが優れた性能を発揮することがわかった。尚、これをコーティング剤のチタン含有量に対する珪酸リチウムの含有比率で表すと、0.8〜1.1の範囲となる。
【0102】
(実施例8)
次に、コーティング剤に結合硬化剤としてモル比7.5の珪酸リチウムを3%(0.68重量%)添加し、さらに、分散媒としてコーティング剤の全容量中のアルコール濃度が25vol%になるようにエタノールを混合したものを製造し、それを種々の基材に塗布して、それぞれについて暴露試験による塗膜の耐久性(密着性維持、膜硬度維持、活性維持、仕上り面維持)について確認した。尚、基材としては、屋外用建材であるタイル、ガラス、アクリル板、水性塗料(アクリル樹脂)塗装鋼板、ラッカー塗装鋼板、ポリウレタン塗装耐火外壁材、ALCコンクリート塗装板、外壁サイディングを用い、必要に応じてプライマー処理し、スペーサー用アンダーコート剤としてペルオキソチタン酸水溶液を塗布したものに、50〜100g/m2の塗布量で基材の表面に塗布し、常温で乾燥させて基材の表面に塗膜を形成した。
【0103】
上記コーティング剤について確認した結果を表8に示す。
【0104】
【表8】
【0105】
暴露試験による塗膜の耐久性として、基材への密着性維持、膜硬度維持、活性維持、仕上り面維持の各項目について確認を行った。
【0106】
ここで、密着性維持は、屋外で放置した試料を1年間で3ヶ月ごとに、その密着性を評価しており、変化が見られないものを〇、変化が見られるものを×で表している。
【0107】
また、膜硬度維持は、屋外で放置した試料を1年間で3ヶ月ごとに、その膜硬度性を評価しており、変化が見られないものを〇、変化が見られるものを×で表している。
【0108】
また、活性維持は、屋外で放置した試料を1年間で3ヶ月ごとに、その活性を評価しており、変化が見られないものを〇、変化が見られるものを×で表している。
【0109】
また、仕上り面維持は、屋外で放置した試料を1年間で3ヶ月ごとに、その仕上り感を評価しており、変化が見られないものを〇、変化が見られるものを×で表している。
【0110】
上記のコーティング剤について確認したところ、暴露試験による塗膜の耐久性(密着性維持、膜硬度維持、活性維持、仕上り面維持)について全ての基材において良好な結果が得られることが確認された。また、セルフクリーニング機能による防汚効果も認められた。
【0111】
【発明の効果】
本発明は、以上に説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0112】
すなわち、本発明では、アナターゼ型酸化チタン分散液と過酸化チタン液との混合液を主成分としたコーティング剤であるため、基材に塗布したとき光触媒を良好に活性化させることができ、しかも、仕上り感の良好なコーティング剤とすることができる。
【0113】
また、本発明では、結合硬化剤としてモル比( Si0 2 / Li 2 O ) 7.5 の珪酸リチウムを 0.68 重量%〜 0.91 重量%添加しているために、定着性や活性度や仕上り感が良好である。
【0114】
さらに、本発明では、分散媒としてエタノールをコーティング剤全容量に対してアルコール濃度が 15vol %〜 30vol %となるように添加しているために、珪酸リチウムが凝縮せずに分散して安定した状態を保持し、珪酸リチウムの結合硬化剤としての機能が損なわれず、また、全く斑が見られない。
Claims (1)
- アナターゼ型酸化チタン分散液と過酸化チタン液との混合液を主成分とし、結合硬化剤としてモル比( Si0 2 / Li 2 O ) 7.5 の珪酸リチウムを 0.68 重量%〜 0.91 重量%添加し、分散媒としてエタノールをコーティング剤全容量に対してアルコール濃度が 15vol %〜 30vol %となるように添加したことを特徴とするコーティング剤。
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