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JP4074772B2 - 樹脂用撥水剤を含む樹脂組成物 - Google Patents
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JP4074772B2 - 樹脂用撥水剤を含む樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリシランで構成された樹脂用撥水剤を含む樹脂組成物、並びにその樹脂組成物で形成された成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂の撥水撥油性、離型性、剥離性、汚れ防止性、潤滑性を向上させるために、表面自由エネルギーが小さいシリコーン系化合物やフッ素系化合物などの添加剤を樹脂中に配合することが知られている。しかし、これらの添加剤は、樹脂との相溶性や分散性が充分でないため、添加剤が滲出して樹脂組成物の表層に偏在し易い。そして、添加剤が表層に偏在した樹脂組成物は、摩擦や摺動を受けて表層部が僅かでも摩耗すると、潤滑性などの特性が著しく損なわれる。また、添加剤が表面に経時的にブリードアウトし、長期間に亘り高い潤滑性又は摺動性を確保できない。
【0003】
さらに、前記添加剤を、ポリカーボネート樹脂などの透明性樹脂に配合すると、樹脂との親和性が小さいため、樹脂が着色したり、不透明となる場合がある。さらに、樹脂中で屈折率に分布が生じる場合がある。そのため樹脂組成物の用途が限定されてしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、樹脂成分中での分散性及び樹脂成分との相溶性に優れ、樹脂に対して高い潤滑性を付与できる撥水剤を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、樹脂の透明性を損なうことなく、長期間に亘り高い潤滑性又は摺動性を持続できる樹脂組成物及び成形体を提供することにある。
【0006】
本発明のさらに他の目的は、撥水撥油性、離型性、剥離性、汚れ防止性及び潤滑性を長期間に亘り維持できる樹脂組成物及び成形体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の環状ポリシランで構成された撥水剤が、樹脂成分中での分散性及び樹脂成分との相溶性に優れることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネート系樹脂と、下記式(4)
【0009】
【化2】
Figure 0004074772
【0010】
(式中、R1 及び2はアリール基を示し、mが4〜12の数である)
で表される環状ポリシランで構成された樹脂用撥水剤とで構成されている。
【0011】
発明には、この樹脂組成物で形成された成形体も含まれる。
【0012】
本明細書においては、ポリシラン及びオリゴシランを「ポリシラン」と総称する。
【0013】
【発明の実施の形態】
[ポリシラン]
本発明の樹脂用撥水剤は、ポリシランで構成されている。ポリシランとしては、Si−Si結合を有する直鎖状、環状、分岐鎖状又は網目状の化合物であれば特に限定されないが、通常、下記式(1)〜(3)で表された構造単位のうち少なくとも1つの構造単位を有している。
【0014】
【化3】
Figure 0004074772
【0015】
(式中、R1〜R3は、同一又は相異なって、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニル基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基又はシリル基を示し、x、y及びzはそれぞれ0以上の数を示し、x、y及びzの合計は2以上の数である)。
【0016】
このようなポリシランとしては、例えば、式(1)で表される構造単位で構成された直鎖状又は環状ポリシラン、前記式(2)又は(3)で表される構造単位で構成された分岐鎖状又は網目状ポリシラン、前記式(1)〜(3)で表される構造単位の組み合わせ(例えば、式(1)と式(2)、式(1)と式(3)、式(1)〜(3))で構成されたポリシランなどが挙げられる。
【0017】
前記式(1)及び(2)において、R1〜R3で表される置換基としては、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニル基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、シリル基等が例示できる。これらのうち、R1〜R3は、通常、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等の炭化水素基である場合が多い。また、水素原子やヒドロキシル基、アルコキシ基、シリル基は、末端基に置換している場合が多い。
【0018】
アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチルなどのC1-14アルキル基(好ましくはC1-10アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基)が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシなどのC1-14アルコキシ基(好ましくはC1-10アルコキシ基、さらに好ましくはC1-6アルコキシ基)が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル等のC2-14アルケニル基(好ましくはC2-10アルケニル基、さらに好ましくはC2-6アルケニル基)が挙げられる。
【0019】
シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシルなどのC5-14シクロアルキル基(好ましくはC5-10シクロアルキル基、さらに好ましくはC5-8シクロアルキル基)が挙げられる。シクロアルキルオキシ基としては、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどのC5-14シクロアルキルオキシ基(好ましくはC5-10シクロアルキルオキシ基、さらに好ましくはC5-8シクロアルキルオキシ基)が挙げられる。シクロアルケニル基としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどのC5-14シクロアルケニル基(好ましくはC5-10シクロアルケニル基、さらに好ましくはC5-8シクロアルケニル基)が挙げられる。
【0020】
アリール基としては、フェニル、メチルフェニル(トリル)、ジメチルフェニル(キシリル)、ナフチルなどのC6-20アリール基(好ましくはC6-15アリール基、さらに好ましくはC6-12アリール基)が挙げられる。アリールオキシ基としては、フェノキシ、ナフチルオキシなどのC6-20アリールオキシ基(好ましくはC6-15アリールオキシ基、さらに好ましくはC6-12アリールオキシ基)が挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピルなどのC6-20アリール−C1-4アルキル基(好ましくはC6-10アリール−C1-2アルキル基)が挙げられる。アラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ、フェニルプロピルオキシなどのC6-20アリール−C1-4アルキルオキシ基(好ましくはC6-10アリール−C1-2アルキルオキシ基)が挙げられる。
【0021】
シリル基としては、シリル基、ジシラニル基、トリシラニル基などのSi1-10シリル基(好ましくはSi1-6シリル基)が挙げられる。
【0022】
また、R1〜R3が、前記有機置換基又はシリル基である場合には、その水素原子の少なくとも1つが、アルキル基、アリール基、アルコキシ基などの官能基により置換されていてもよい。このような官能基としては、前記と同様の基が挙げられる。
【0023】
これらの置換基のうち、アリール基(例えば、フェニル基などのC6-20アリール基)、アルキル基(例えば、メチル基などのC1-4アルキル基)などが汎用される。
【0024】
ポリシランが非環状構造(直鎖状、分岐鎖状、網目状)の場合、末端置換基は、通常、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、シリル基である。
【0025】
ポリシランの重合度、すなわち構造単位(1)〜(3)におけるx、yおよびzの合計は、2以上であるが、通常、2〜400、好ましくは5〜350、さらに好ましくは10〜300程度である。
【0026】
ポリシランの分子量は、数平均分子量で300〜100000、好ましくは400〜50000、さらに好ましくは500〜20000程度である。この分子量の範囲においてポリシランは樹脂に対する分散性が高くなる傾向がある。数平均分子量が大きすぎると、樹脂に対する分散性や樹脂との相溶性が低下する虞がある。
【0027】
前記ポリシランのうち、直鎖状ポリシランや環状ポリシラン、特に前記式(4)で表される環状ポリシランや下記式(5)で表される直鎖状ポリシランが好ましい。これらのポリシランは、樹脂に対する分散性が特に優れ、樹脂成分と混合してもポリシランが樹脂成分中で偏在することなく、均一に分散される。
【0028】
【化4】
Figure 0004074772
【0029】
(式中、R 1 がアリール基、R 2 及びR 4 〜R 6 がアリール基又はアルキル基を示し、nが1〜100の数である)
【0030】
前記式(4)において、R1及びR2の少なくとも一方がアリール基[特にC6-20アリール基(例えば、フェニル基)]であるのが好ましい。このようなポリシランとしては、例えば、R1がアリール基、R2がアルキル基である環状ポリシラン(特に、環状ポリフェニルメチルシランなどの環状ポリC6-20アリールC1-4アルキルシラン)や、R1及びR2がアリール基である環状ポリシラン(特に、環状ポリジフェニルシランなどの環状ポリジC6-20アリールシラン)などが挙げられる。
【0031】
前記環状ポリシランの環の員数mは4以上であるが、通常、4〜12程度であり、好ましくは4〜10、さらに好ましくは5〜10(特に5〜8)程度である。通常、m=5程度であってもよい。
【0032】
前記式(5)において、R1がアリール基(フェニル基などのC6-20アリール基)、R2及びR4〜R6がアリール基(フェニル基などのC6-20アリール基)又はアルキル基(メチル基などのC1-4アルキル基)であるのが好ましい。特に、R1がフェニル基などのC6-20アリール基、R2及びR4〜R6がメチル基などのC1-4アルキル基であるのが好ましい。このようなポリシランには、R4〜R6がメチル基であるトリメチルシリル基で封止されたメチルフェニルポリシランが含まれる。
【0033】
前記直鎖状ポリシランの重合度nは1以上、通常、1〜100、好ましくは1〜50、さらに好ましくは1〜20(特に5〜20)程度である。
【0034】
[ポリシランの製造方法]
前記ポリシランは、種々の公知な方法を用いて調製できる。これらのポリシランを製造するには、例えば、特定の構造単位を有するケイ素含有モノマーを原料として、マグネシウムを還元剤としてハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(「マグネシウム還元法」、WO98/29476号公報など)、アルカリ金属の存在下でハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(「キッピング法」、J.Am.Chem.Soc.,110,124(1988)、Macromolecules,23,3423(1990)など)、電極還元によりハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1161(1990)、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.897(1992)など)、金属触媒の存在下にヒドラジン類を脱水素縮重合させる方法(特開平4−334551号公報など)、ビフェニルなどで架橋されたジシレンのアニオン重合による方法(Macromolecules,23,4494(1990)など)、環状シラン類の開環重合による方法などの方法が挙げられる。
【0035】
これらの製造方法のうち、得られるポリシランの純度や分子量分布、樹脂との相溶性が優れる点、ナトリウムや塩素含有量が少ない点や、製造コストや安全性などの工業性の点から、マグネシウム還元法が最も好ましい。なお、得られたポリシランに水を添加してシラノール基を生成させてもよい。
【0036】
このようなポリシランは、樹脂との親和性、相溶性が高く、樹脂に対して高い潤滑性(滑性)、撥水性などを付与できる。例えば、一般に潤滑剤との均一な混合・分散が困難な芳香族樹脂(ポリカーボネート系樹脂など)や非極性樹脂(ポリオレフィン系樹脂など)などであっても、均一に混合・分散できる。しかも、樹脂成形体の表面に偏析することなく、全体に亘り均一に分散できる。特に、塗膜などにおいても厚み方向(深さ方向)に均一に分散でき、長期間に亘り、高い潤滑性を持続できる。また、成形体の表面が摩擦や摺動を受けて摩耗した場合でも、潤滑性が急激に消失することがない。
【0037】
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、樹脂成分と、前記撥水剤とで構成されている。樹脂成分には、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などが含まれる。
【0038】
熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリα−C2-10オレフィンなど)、非晶質ポリオレフィン系樹脂(低密度ポリエチレンなどの非晶質ポリオレフィンや、環状ポリオレフィンなど)、ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル系樹脂など)、芳香族ビニル系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル樹脂、ABS樹脂など)、アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体など)、ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリC2-10アルキレンアリレート又はコポリエステルや、ポリアリレート、液晶ポリエステルなど)、ポリアセタール(ポリオキシメチレンなど)、ポリアミド系樹脂(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン6T、ナイロンMXDなど)、スルホン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フェニレンエーテル系樹脂(ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテルなど)、熱可塑性エラストマー(スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマーなど)、フッ化樹脂(ポリテトラフルオロエチレンなど)などが例示できる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0039】
熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂(レゾール型、ノボラック型フェノール樹脂等)、アミノ系樹脂(尿素樹脂、メラミン樹脂など)、フラン樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂など)、不飽和ポリエステル系樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、熱硬化性アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂(ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミノビスマレイミド、ビスマレイミドトリアジン樹脂など)などが例示できる。これらの熱硬化性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。熱硬化性樹脂には、慣用の硬化剤を使用してもよい。樹脂成分は、光硬化性樹脂であってもよい。
【0040】
本発明の撥水剤は、透明性が高く、着色することもない。そのため、本発明の撥水剤は、透明性樹脂と組み合わせるのが好ましい。これらの樹脂成分のうち、透明性樹脂としては、熱可塑性樹脂が汎用され、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートなどのポリC2-4アルキレンアリレート系樹脂又はコポリエステルなど)、スチレン系樹脂(ポリスチレン系樹脂など)、アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなど)、非晶質オレフィン系樹脂(シクロペンタジエン系樹脂やノルボルネン系樹脂などの環状ポリオレフィンなど)などが好ましく、ポリカーボネート系樹脂が特に好ましい。
【0041】
ポリカーボネート系樹脂としては、例えば、ビスフェノール類とホスゲンとを反応させるホスゲン法、ビスフェノール類と炭酸ジエステルとを反応させるエステル交換法などにより得られるポリカーボネートが使用できる。
【0042】
ビスフェノール類としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールAD)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)などのビス(ヒドロキシアリール)C1-6アルカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)C4-10シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのビス(ヒドロキシアリール)スルホン、フルオレン骨格を有するビスフェノール類などが例示できる。
【0043】
これらのビスフェノール類のうち、通常、ビスフェノールAなどのビス(ヒドロキシアリール)C1-6アルカンが使用されるが、低環境ホルモン活性などの安全性の点からは、フルオレン骨格を有するビスフェノール類が好ましい。
【0044】
フルオレン骨格を有するビスフェノール類としては、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンや、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(アルキルヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(アリールヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシポリアルコキシ)フェニル)フルオレンなどが挙げられる。
【0045】
本発明の撥水剤は、少量の添加で高い潤滑性、撥水性などを発現できる。しかも、多量に添加しても樹脂組成物から偏析したり、ブリードアウトすることがなく、均一に分散できる。そのため、撥水剤の割合は、樹脂やポリシランの種類によって広い範囲から選択でき、例えば、樹脂成分100重量部に対して、0.05〜30重量部、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.2〜15重量部程度である。
【0046】
前記樹脂組成物は、慣用の添加剤、例えば、溶剤、充填剤、強化剤、可塑剤、硬化剤、重合開始剤、触媒、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、離型剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、加硫剤、消泡剤、レベリング剤、分散剤、流動調整剤などを含んでいてもよい。
【0047】
前記樹脂組成物は、樹脂成分と撥水剤とを配合することによって調製でき、通常、樹脂ペレットと安定剤などとを予備混合したのち、撥水剤を、必要に応じて他の添加剤とともに混練装置で溶融混合することにより調製することができる。混練装置はバッチ式でも連続式でもよい。バッチ式混練装置としては、例えば、ミキシングロール、ニーダー、インテンシブミキサーなどが挙げられる。連続式混練装置としては、例えば、単軸スクリュー押出機、噛合型2軸スクリュー押出機、非噛合型2軸押出機などが挙げられる。溶融混合された樹脂組成物は、通常、ペレット化される。
【0048】
また、樹脂組成物を塗膜として形成する場合には、樹脂成分と撥水剤とを溶媒に溶解させ、被塗布物上に塗膜として形成した後、乾燥して得ることもできる。溶媒としては、樹脂やポリシランの種類によって適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のC1-6アルコール、シクロヘキサノールなど)、エーテル類(1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン等の環状又は鎖状C4-6エーテル)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等のC3-6ジアルキルケトン、シクロヘキサノンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のカルボン酸C1-4アルキルエステル等)、炭化水素類[脂肪族炭化水素類(ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレンなど)など]、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなど)、カルビトール類(カルビトール、ジエチレングリコールメチルエーテルなど)等を挙げることができる。これらの溶剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0049】
塗膜の厚みは、0.1〜150μm、好ましくは0.5〜80μm、さらに好ましくは3〜40μm程度である。
【0050】
樹脂成分が熱硬化性樹脂の場合は、一般的に、硬化剤や他の添加剤とともに、撥水剤を樹脂の初期縮合物と混合し、液状組成物を調製したのち、乾燥・硬化させる。
【0051】
[成形体]
得られた樹脂組成物の成形方法としては、樹脂の種類、用途によって異なるが、熱可塑性樹脂の場合は、押出成形、射出成形、ブロー成形、延伸フィルム成形、圧縮成形、カレンダー成形、RIM成形などの方法が例示できる。熱硬化性樹脂の場合は、圧縮成形、トランスファー成形、積層成形、注型成形、RIM成形などの方法が例示できる。
【0052】
本発明の樹脂組成物は、撥水撥油性、離型性、剥離性、汚れ防止性、潤滑性などの性能が要求される様々な用途に使用できる。前記樹脂組成物で形成された成形体の形状は、特に限定されないが、例えば、線状、二次元状(フィルム、シート、板状など)、三次元的構造(円筒状、ケーシング、ハウジング、各種部品など)などであってもよい。前記樹脂組成物は、例えば、前記性能が要求される各種部材(機材、機器、部品、建材、内装材、塗料、看板など)又は前記性能が要求される面に貼着されるフィルム、摩擦や摺動部材(歯車や軸受けなど)又は摩擦や摺動部分に形成されるフィルムや塗膜などとして使用することができる。また、前記樹脂組成物は、樹脂成分の透明性や屈折率の均一性を保持できるため、レンズや光学薄膜などの各種光学用途、電子写真感光体の表面層(例えば、電荷輸送層、保護層など)などのOA機器用途、OHPシートなどの記録材料などとして好適である。
【0053】
【発明の効果】
本発明の樹脂用撥水剤は、樹脂成分中での分散性及び樹脂成分との相溶性に優れ、樹脂に対して高い潤滑性を付与できる。また、本発明によれば、樹脂の透明性を損なうことなく、長期間に亘り高い潤滑性又は摺動性を持続できる樹脂組成物及び成形体が得られる。さらに、この樹脂組成物及び成形体は、撥水撥油性、離型性、剥離性、汚れ防止性及び潤滑性を長期間に亘り維持することができる。
【0054】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた樹脂成分及びポリシランを以下に示す。また、実施例及び比較例で評価した項目の測定方法を以下に示す。
【0055】
[樹脂成分]
ポリカーボネート(PC−1):日本ジーイープラスチックス(株)製、レキサン
ポリカーボネート(PC−2):三菱ガス化学(株)製、ユーピロンZ300
[ポリシラン]
環状ジフェニルポリシラン(PDPS):デカフェニルシクロシラン(5員環)
直鎖状ポリメチルフェニルシラン(PMPS−R):末端トリメチルシリル基、数平均分子量2700。
【0056】
[透明性]
得られた試験片又は塗膜について、透明性を目視で観察し、以下の基準で評価した。
【0057】
○:透明
△:くもりが認められる
×:白濁する。
【0058】
[撥水性]
得られた試験片又は塗膜について、水接触角を測定した。
【0059】
[分散性]
実施例の樹脂又は塗膜におけるポリシランの分散性について、ポリカーボネート樹脂中の深さ方向のケイ素分布をスパッタしながらXPS法(X線光電子分光法)により分析して、下記式で表されるばらつきrを求め、以下の基準に従って評価した。
【0060】
r=|(x0−x500)/x0
(式中、x0は、最表面のケイ素成分の重量百分率を表し、x500は、500nm深さのケイ素成分の重量百分率を表す)
(評価基準)
○:r≦0.25
△:0.25<r≦0.5
×:r>0.5。
【0061】
実施例1
表1に示す樹脂成分100重量部とポリシラン2重量部又は5重量部の2水準を、2軸押出機((株)プラスチック光学研究所製、BT.30.L、L/D=42)を用いて溶融混練し、ストランド状に押出し、チップを得た。得られたチップを射出成形機(日本製鋼所(株)製、N100BII、L/D=22)にて試験片を作成した。得られた試験片の透明性、撥水性及び分散性について評価した。
【0062】
参考例1
トルエン400重量部に、表1に示すポリカーボネート100重量部とポリシラン2重量部、5重量部、又は10重量部の3水準とを加えて、攪拌溶解した。得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法で塗布し、空気中110℃、1時間で乾燥させ、膜厚15μmの塗膜を得た。得られた塗膜の透明性、撥水性及び分散性について評価した。
【0063】
実施例
トルエン400重量部に、表1に示すポリカーボネート100重量部とポリシラン2重量部又は5重量部の2水準とを加えて、攪拌溶解した。得られた溶液をガラス基板上にスピンコート法で塗布し、空気中110℃、1時間で乾燥させ、膜厚15μmの塗膜を得た。得られた塗膜の透明性、撥水性及び分散性について評価した。
【0064】
比較例1〜2
実施例1及び参考例1において、ポリシランを添加することなく作製した試験片を用いて、実施例と同様の試験を行った。得られた試験片の透明性及び撥水性について評価した。
【0065】
実施例1〜2、参考例1及び比較例1〜2の評価結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
Figure 0004074772
【0067】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜2及び参考例1の樹脂組成物は、高い透明性、撥水性及び分散性を示している。これに対して、比較例1〜2は、撥水性が充分でない。

Claims (3)

  1. ポリカーボネート系樹脂と、下記式(4)
    Figure 0004074772
    (式中、R1 及び2はアリール基を示し、mが4〜12の数である)
    で表される環状ポリシランで構成され樹脂用撥水剤とで構成されている樹脂組成物
  2. 撥水剤の割合が、樹脂成分100重量部に対して0.05〜30重量部である請求項記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2記載の樹脂組成物で形成された成形体。
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