JP4075412B2 - パティキュレート燃焼触媒及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の排気ガスに含まれるパティキュレートの燃焼触媒に関し、より詳しくは、希薄燃焼内燃機関の排気ガス中に含まれるパティキュレートを燃焼浄化するのに適するパティキュレート燃焼触媒及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジン等の希薄燃焼内燃機関から排出される排気ガスには、一般に、粒子状物質のパティキュレートが含まれ、このパティキュレートは、環境保護の面から、早期に排出量を低減することが要請されている。
このため、種々のパティキュレート低減の仕方が検討されており、その1つとして、セルを交互に栓詰したハニカム基材等の濾過材に、γ-アルミナ等の触媒担体と白金等の触媒成分を担持したパティキュレートフィルタの開発が進められている。
【0003】
こうしたパティキュレートフィルタは、排気ガス中のパティキュレートを濾過して捕獲し、触媒の作用により燃焼温度を低下させて、捕獲したパティキュレートを燃焼浄化する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、パティキュレートには、可燃性成分として、炭素質粒子と可溶有機成分(SOF)が含まれるが、とりわけ炭素質粒子は、燃焼を開始する温度が高いため、排気ガスを濾過しながらパティキュレートを燃焼浄化するといったパティキュレートの連続燃焼が困難であるという問題がある。
【0005】
ところで、本出願人は、特開平11−347424号公報、特開平11−156193号公報等において、窒素酸化物と炭化水素の浄化に高い性能を有する合金触媒が担持された排気ガス浄化用触媒を提案している。しかし、これらの公報には、パティキュレートの燃焼に関する特段の効果は記載されていない。
【0006】
また、特開2001−98925号公報において、Ce、Fe等の酸化物を担持したパティキュレート浄化用の排気ガス浄化装置が提案されている。
本発明は、かかる従来技術とは異なる効果を発現させることにより及び/又は異なる構成により、パティキュレートの燃焼、とりわけ炭素質粒子の燃焼を格段に容易にするパティキュレート燃焼触媒を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、酸化物担体に担持された貴金属の上に、少なくとも1種の遷移金属が直接に担持されており、貴金属が、白金、パラジウム、ロジウム、金、およびルテニウムからなる群より選択され、かつ遷移金属が、鉄、ニッケル、コバルト、およびマンガンからなる群より選択されることを特徴とするパティキュレート燃焼触媒によって達成される。
【0008】
かかる触媒は、後述の実施例に示すように、炭素質粒子の燃焼開始温度を顕著に低下させることが見出されている。この理由は以下のように推察される。
白金等の貴金属は、酸素分子O2を活性酸素原子O*に解離させる作用を奏し、この酸素原子O*は、極めて高い酸化作用を奏する。したがって、白金等の貴金属は、パティキュレートの燃焼触媒として機能することができる。その一方で、酸素原子O*は貴金属との親和性が高く、貴金属の表面上を漂い、その表面から容易に脱離しないという性質を有する。
【0009】
ここで、貴金属の表面上に、局所的に遷移金属が存在すると、遷移金属は酸素原子O*との親和性が比較的低いため、遷移金属が存在する箇所で酸素原子O*が脱離しやすくなる。
したがって、貴金属とその上に担持された遷移金属は、双方の金属の組み合わせにおいて、酸素分子O2を酸素原子O*に解離して放出するといった、効率的な酸素供与体として機能することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のパティキュレート燃焼触媒は、酸化物担体に担持された貴金属の上に、少なくとも1種の遷移金属が直接に担持されており、貴金属が、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、金(Au)、およびルテニウム(Ru)からなる群より選択され、かつ遷移金属が、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、およびマンガン(Mn)からなる群より選択されることを特徴とする。
酸化物担体としては、アルミナ、シリカ、ジルコニアのような酸化物のほか、シリカ−アルミナ、ジルコニア-セリア、アルミナ−セリア−ジルコニア、セリア−ジルコニア−イットリア、ジルコニア-カルシアのような複合酸化物からなり、平均粒子径が1μm以下の微粒子からなるものが好適に使用可能である。
【0011】
酸化物担体に担持させる貴金属は、好ましくはPt、Pd、Rhの少なくとも1種である。酸化物担体への、貴金属の担持は、担体上に金属を担持させることができる任意の方法によって達成される。これは例えば、蒸発乾固法、含浸法、吸着法、イオン交換法、還元析出法等によって行うことができる。
【0012】
好ましくは、ジニトロジアンミン白金錯体Pt(NH3)2(NO2)2、塩化白金酸H2PtCl6・6H2O、白金アセチルアセトナート(acac)2、硝酸パラジウムPd(NO3)2、塩化パラジウムPdCl2、硝酸ロジウムRh(NO3)3、塩化ロジウムRhCl3・4H2Oのような溶解性化合物を用い、上記の酸化物担体を溶媒に分散させたスラリーに、これらの化合物を溶解させ、次いで溶媒を蒸発等によって除去した後、焼成する方法により担持する。
このような方法により、極めて微細な粒子又は極めて薄い膜状で、貴金属を酸化物担体に担持することが可能である。
【0013】
遷移金属は、こうした酸化物担体に担持された貴金属の上に担持される。好ましくは、遷移金属の担持は、水溶液中で遷移金属のイオンを生成する化合物の水溶液に還元剤を添加し、遷移金属のイオンを還元することによって不溶性にして、遷移金属の粒子を析出させる還元析出法により行う。
【0014】
具体的には、遷移金属の硝酸塩、硫酸塩、塩化物、酢酸塩、炭酸塩等の化合物を、上記の貴金属を担持した酸化物担体の水系スラリーに溶解させ、このスラリーに、クエン酸三ナトリウム二水和物C6H5Na3O7・2H2O、ヒドラジンN2H4、チオ硫酸ナトリウムNa2S2O3、チオ硫酸カリウムK2S2O3、チオ硫酸アンモニウム(NH4)2S2O3、亜硫酸ナトリウムNa2SO3、水素化ホウ素ナトリウムNaBH4等のホウ水素化物、次亜リン酸塩、クエン酸塩、ギ酸CH2O2、シュウ酸CH2O4等の還元剤と、L-アスコルビン酸ナトリウムC6H7O6Na、エチレンジアミン四酢酸塩等の緩衝剤を添加して遷移金属のイオンを還元し、遷移金属の微粒子を析出させる。
こうした還元析出によれば、直径約1nm(ナノメートル)のレベルの遷移金属の微粒子を、実質的に全て貴金属の粒子又は薄膜の上に析出させることが比較的容易である。
【0016】
このような方法において、本発明のパティキュレート燃焼触媒は、好ましくは、遷移金属/貴金属の質量比が0.005〜0.3、より好ましくは、0.01〜0.1となるように、原料比を調節して調製される。また、遷移金属の粒子径が0.5〜10nm、より好ましくは、0.5〜5nmとなるように、還元析出における還元剤の種類や濃度等を調節して調製される。
【0017】
遷移金属/貴金属の質量比、及び遷移金属の粒子径がこれらの範囲にあることで、より効果的なパティキュレート燃焼触媒が提供されるためである。
なお、酸化物担体上に貴金属と遷移金属以外の金属成分が、貴金属と遷移金属の合計質量を基準に数質量%以下の量で含まれていても、本発明の目的と効果において許容されることができる。
【0018】
本発明のパティキュレート燃焼触媒は、例えば、セルを交互に栓詰したハニカム基材にコートすることで、パティキュレートフィルタを形成することができ、あるいは、高いパティキュレート燃焼作用を奏することから、栓詰のないハニカム基材にコートして、又はペレット状にして、流通式のパティキュレート浄化用触媒を形成することもできる。
【0019】
図1は、本発明のパティキュレート燃焼触媒を模式的に示すものである。酸化物担体上の貴金属の担持を、上記にようなジニトロジアンミン白金錯体等の溶解性化合物を用いて行った場合、図1(a)に示すように、貴金属は、酸化物担体上に極めて薄い原子レベルの厚さで薄膜状に担持されることができる。
本発明のパティキュレート燃焼触媒は、こうした貴金属の上に遷移金属が粒子状に担持されて構成される。
【0020】
かかる貴金属の薄膜状の担持状態は、触媒が長期間にわたって約500℃を上回る高温の排気ガス雰囲気に曝されると、若干のシンタリングを生じて粒子状に変化する性質がある。この場合、図1(b)に示すように、遷移金属は、貴金属粒子の上に粒子状に担持された状態になる。
本発明のパティキュレート燃焼触媒は、こうした図1(a)と図1(b)の双方の担持状態を包含するものである。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。
【0021】
【実施例】
実施例1
γ-アルミナ粉末を担体として用い、これにジニトロジアンミン白金溶液を含浸させ、次いで乾燥と大気中で500℃×2時間の熱処理を行い、γ-アルミナ粉末100質量部に対して2.00質量部のPtが担持された粉末を得た。
【0022】
このPt担持γ-アルミナ粉末の30gを200ccの30℃のイオン交換水に分散させ、得られたスラリーに、下記の試薬を下記の量で順次に添加し、穏やかな攪拌下に24時間置くことで塩化鉄FeCl3・6H2OからFeを還元析出させた。
FeCl3・6H2O 0.29g
C6H7O6Na 21.28g
NaBH4 0.65g
【0023】
この還元析出の後、スラリーを濾過・洗浄し、大気中で120℃×2時間の乾燥を行い、さらに大気中で500℃×2時間の熱処理を行って、Pt/γ-アルミナにFeを担持し、Al2O3/Pt/Feの質量比=97.8/2/0.2の本発明の触媒を得た。
【0024】
実施例2
実施例1と同様に、γ-アルミナ粉末にジニトロジアンミン白金を用いてPtを担持した後、塩化鉄FeCl3・6H2Oに代えて塩化ニッケルNiCl2・6H2Oを用いた以外は実施例1と同様にしてNiを還元析出させ、Al2O3/Pt/Niの質量比=97.8/2/0.2の本発明の触媒を得た。
【0025】
実施例3
実施例1と同様に、γ-アルミナ粉末にジニトロジアンミン白金を用いてPtを担持した後、塩化鉄FeCl3・6H2Oに代えて塩化コバルトCoCl2を用いた以外は実施例1と同様にしてCoを還元析出させ、Al2O3/Pt/Coの質量比=97.8/2/0.2の本発明の触媒を得た。
【0026】
実施例4
実施例1と同様に、γ-アルミナ粉末にジニトロジアンミン白金を用いてPtを担持した後、塩化鉄FeCl3・6H2Oに代えて塩化マンガンMnCl2・4H2Oを用いた以外は実施例1と同様にしてMnを還元析出させ、Al2O3/Pt/Mnの質量比=97.8/2/0.2の本発明の触媒を得た。
【0027】
比較例1
実施例1と同様にして、γ-アルミナ粉末にジニトロジアンミン白金を用いてPtを担持したAl2O3/Ptの質量比=100/2のものを比較例の触媒とした。
【0028】
−触媒性能の評価−
上記の各触媒のパティキュレート燃焼触媒としての性能を以下のようにして評価した。
各触媒と市販のカーボンブラック(キシダ化学(株)製、Carbon Granular)を10:1の質量比で秤量し、これらを乳鉢を用いて入念に混合し、各サンプルを調製した。
【0029】
次いで、各サンプルのそれぞれ0.5gを、雰囲気制御が可能な赤外線加熱炉の中に配置し、モデルガス発生装置から、80体積%のN2と20体積%のO2を含むモデルガスを100cc/分の流量でサンプル領域に流通させ、サンプル領域の温度を10℃/分の速度で30℃から700℃まで高めた。
この昇温操作と併せて、サンプル領域の出口ガスを質量分析計に導き、サンプル領域の温度に対して、質量数44に相当するCO2の相対濃度を測定した。この結果を図2と図3に示す。
【0030】
図2は、質量分析計を用いて測定された、サンプル領域の温度に対するCO2の相対濃度のチャートである。図3は、測定チャートから求められたCO2生成開始温度を各触媒について比較したグラフである。
これらの結果より、実施例1〜4の触媒は、遷移金属を担持していない比較例1の触媒よりも、CO2生成開始温度が約50℃下回ることが分かり、本発明による炭素質粒子の燃焼促進効果は顕著である。
【0031】
−触媒の形態観察−
上記の実施例1〜4の各触媒について、透過型電子顕微鏡(TEM)による形態観察と、エネルギー分散型X線分光分析(EDX)による電子顕微鏡像のスポット領域における元素分析を行った。
この結果、各触媒はいずれも、分解能約1nmのTEMにおいて、粒子としてのPtは観察されず、遷移金属は2〜3nmの粒子径を有する粒子として存在していることが観察された。
【0032】
一方、EDXによる直径約1nmのスポット領域における各所の元素分析からは、Al2O3の殆ど全ての表面にPt原子が存在していることが分析され、また、遷移金属の存在が分析される直径約1nmのスポット領域には、常にPtが同時に分析された。
これらの結果から、Ptは極めて薄い膜状でγ-アルミナ粒子の表面上に存在し、遷移金属は、そのPtの薄膜の上に微細な粒子の形態で存在するものと判断される。
【0033】
【発明の効果】
パティキュレートの燃焼を格段に容易にするパティキュレート燃焼触媒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の触媒の構成を模式的に示す図である。
【図2】質量分析計によってCO2生成開始温度を測定したチャートである。
【図3】CO2生成開始温度を各触媒について比較したグラフである。
Claims (5)
- 酸化物担体に担持された貴金属の上に、少なくとも1種の遷移金属が直接に担持されており、前記貴金属が、白金、パラジウム、ロジウム、金、およびルテニウムからなる群より選択され、かつ前記遷移金属が、鉄、ニッケル、コバルト、およびマンガンからなる群より選択されることを特徴とする、パティキュレート燃焼触媒。
- 前記遷移金属/前記貴金属の質量比が0.005〜0.3である、請求項1に記載のパティキュレート燃焼触媒。
- 前記遷移金属の粒子径が0.5〜10nmである、請求項1または2に記載のパティキュレート燃焼触媒。
- 前記貴金属を前記酸化物担体に担持した後で、前記遷移金属を還元析出させることによって製造される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパティキュレート燃焼触媒。
- 前記貴金属を前記酸化物担体に担持した後で、前記遷移金属を還元析出させることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパティキュレート燃焼触媒の製造方法。
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