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JP4077307B2 - 帯電防止紙送りローラの製造方法及び該製造方法で製造された帯電防止紙送りローラ - Google Patents
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JP4077307B2 - 帯電防止紙送りローラの製造方法及び該製造方法で製造された帯電防止紙送りローラ - Google Patents

帯電防止紙送りローラの製造方法及び該製造方法で製造された帯電防止紙送りローラ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯電防止紙送りローラの製造方法及び該製造方法で製造された帯電防止紙送りローラに関し、詳しくは、半導電性熱可塑性エラストマー組成物からなり、ゴムと樹脂との特長を有すると共に、半導電の抵抗値を実現し、インクジェットプリンター、レーザプリンター、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置等のOA機器や、自動預金支払機(ATM)等の紙送り機構に使用される紙送りローラ、特に、紙等の搬送物に帯電した静電気によって画像等に影響がでる高画質用のインクジェットプリンターやレーザープリンター、静電式複写機等の印刷装置に搭載される紙送りローラとして好適に用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンター、レーザプリンター、静電式複写機、ファクシミリ装置等のOA機器や、自動預金支払機(ATM)等において紙・フィルム等を搬送する紙送り機構には、ゴム組成物、エラストマー組成物等からなる紙送りローラが使用されている。
【0003】
近年、特に、インクジェットプリンターやレーザープリンター、静電式複写機等の印刷装置は、より高画質が要求され、紙等の搬送物に帯電した静電気に起因する画像乱れの抑制が望まれている。このため、紙・フィルム等を搬送する紙送りローラにおいて、ある程度の導電性が要求され、帯電防止紙送りローラが開発されている。
【0004】
このような導電性を有する紙送りローラとしては、加硫ゴム組成物等が考えられるが、イオン導電性熱可塑性エラストマー組成物で紙送りローラ用とすることもでき、例えば、特開平9−301568号又は特開平9−328591号に開示されている様な、塩素系の導電性熱可塑性エラストマー組成物が提案されている。
【0005】
また、特開平8−183866号には、オレフィン系熱可塑性エラストマーに永久帯電防止剤を加えた熱可塑性エラストマーシ−ト状物が開示されている。その他、樹脂の帯電防止剤としては、導電性の可塑剤を用いたブリード型のものがある。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−301568号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平9−328591号公報
【0008】
【特許文献3】
特開平8−183866号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、加硫ゴム組成物はリサイクルできないという欠点がある。さらにエピクロルヒドリンゴム及び上記特開平9−301568号又は特開平9−328591号に開示されている様な塩素系の導電性熱可塑性エラストマー組成物は、塩素を含有しており、使用後に焼却処理したり、熱やせん断で分解してリサイクルしようとすると、処理条件によっては、燃焼時に塩化水素等の有害ガスやダイオキシンが発生する恐れもあり、昨今の環境問題への意識への高まりより、その廃棄時の取り扱いに難点がある。
【0010】
さらには、上記特開平9−301568号又は特開平9−328591号に開示されている塩素系のイオン導電性熱可塑性エラストーは圧縮永久歪みも大きく、力学特性が十分ではないという問題がある。
【0011】
また、上記特開平8−183866号に記載の熱可塑性エラストマーシ−ト状物は電気抵抗値が高く、紙等の搬送物に帯電した静電気に起因する画像乱れが生じる上に、市販品の熱可塑性エラストマーをそのまま用いており、圧縮永久歪みが大きく、ローラに使用するには性能が不十分であり、特に、低硬度とした時に圧縮永久ひずみが大きくなるという問題がある。
【0012】
さらに、上記の導電性の可塑剤を用いたブリード型のものは機械的物性を損ない、圧縮永久歪みが悪化する上に感光体を激しく汚染し、印刷画像に大きな影を作ってしまい、複写機やプリンタまわりの部品用に使用することができないという問題がある。さらには内分泌かく乱物質の疑いがあるフタル酸エステル等のエステル系可塑剤を含有することにより柔軟性を発現している点にも問題がある。
【0013】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、ゴムのような弾性、柔軟性と樹脂のような良好な成形性を併せ持つと共に、電気的に半導電の抵抗値を有する半導電性熱可塑性エラストマー組成物からなり、紙等の搬送物に帯電した静電気に起因する画像乱れが生じない帯電防止紙送りローラ及びその製造方法を提供することを課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、芯金の外周に、半導電性エラストマー組成物からなるチューブ状成形体を外嵌してなる帯電防止紙送りローラの製造方法であって、
水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンを含むコンパウンド(A)の混練物を作成し、
上記混練物に、油展したEPDMおよび樹脂架橋剤を配合しているコンパウンド(B)を配合して加熱混練し、EPDMが動的架橋して分散した熱可塑性エラストマー組成物を作成し、
上記動的架橋させた熱可塑性エラストマー組成物に、ポリエーテルを含むブロック共重合体樹脂及び金属塩を含むイオン導電性導電剤を配合して加熱混練して、半導電性熱可塑性エラストマー組成物を作成し、
上記半導電性熱可塑性エラストマー組成物を、押出機または射出成形機で上記チューブ状成形体に成形して、該成形体に上記芯金を取り付けており、
上記チューブ状成形体は、測定温度70℃,測定時間22〜24時間で測定したJIS K6262に記載の圧縮永久歪みが30%以下、かつ、ショアA硬度が10以上50以下、かつ印加電圧1000Vで測定したときのJIS K6911に記載の表面抵抗率が10の11乗[Ω・cm]以下としていることを特徴とする帯電防止紙送りローラの製造方法を提供している。
【0015】
本発明者らは、鋭意研究の結果、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンを含むコンパウンド(A)中に、架橋可能なゴムであるEPDM樹脂架橋により動的に架橋して分散させた熱可塑性エラストマー組成物のマトリクス中に、ポリエーテルを含むブロック共重合体樹脂及び金属塩を含むイオン導電性導電剤(以下、単にイオン導電性導電剤とも称す)を分散させることにより、ゴムのような耐久性、弾性、柔軟性と樹脂のような良好な成形性を併せ持つと共に、半導電の抵抗値を有する半導電性熱可塑性エラストマー組成物が得られることを見出した。
【0016】
具体的には、動的架橋されたドメインには上記イオン導電性導電剤は混入されにくく、主として上記熱可塑性エラストマー組成物のマトリクスに上記イオン導電性導電剤が偏在する。よって、上記イオン導電性導電剤の添加によりEPDMの架橋は影響を受けず、物性の低下(硬度の上昇や圧縮永久歪みの低下等)を抑制でき、良好な成形加工性を実現できる。
【0017】
また、上記半導電性熱可塑性エラストマー組成物は熱可塑性を有しているのでリサイクルも可能である上に流動性にも富んでいるため、成形加工性にも優れている上に、リサイクル性の確保、製造コストの低減をも実現している。
【0018】
よって、上記導電性熱可塑性エラストマー組成物を成形してなるチューブ状成形体は、70℃、22〜24時間での圧縮永久歪みが30%以下、かつ、ショアA硬度が10以上50以下、かつ1000Vで測定したときの表面抵抗率が10の11乗(Ω・cm)以下とすることができる。
【0019】
JISK6262に記載の加硫ゴムの永久歪み試験方法において、測定温度70℃、測定時間22〜24時間で測定した圧縮永久歪みの大きさが30%以下としているのは、上記圧縮永久歪みの大きさが30%より大きいと、紙送りローラ等を成形した時の寸法変化が大きくなりすぎて実用に適さないためである。例えば紙送りローラでは、はめ込み後にゆるみが発生してしまう。なお、好ましくは25%以下であり、小さければ小さいほど良い。
【0020】
JIS K6253に記載の加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法において、デュロメータ硬さ試験、タイプAで試験した、ショアA硬度を10以上50以下としているのは、この範囲より小さい場合には、耐久性が十分ではないためである。一方、この範囲より大きい場合には摩擦係数が低くなり、紙送りローラとしては不適となるためである。即ち、この範囲とすると、紙送りローラを比較的小さい圧接力で紙やフィルムに押付けても紙送りローラが充分に変形し、紙やフィルムとの間に大きい接触面積を得ることができる。なお、さらに好ましいショアA硬度値は、25以上45以下である。
【0021】
印加電圧1000V(1kV)、23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下で測定したJIS K6911に記載の表面抵抗率が10の11乗(Ω・cm)以下であるのは、10の11乗より大きいと、帯電防止効果が生じず、例えば紙送りローラ等とした場合に印字にずれが生じてしまうためである。より好ましい値は10の10乗以下であり、低ければ低いほど良いが、他の物性等との兼ね合いの点からは、10の8乗以上程度が良い。
このような表面抵抗率とすることにより、紙送りローラとした時に、ローラの表面に発生する静電気を防止できるという作用が働く。このため、ローラから発生した静電気が感光体等に影響を及ぼして印刷物に影ができるという現象を防止することができる。さらには、特にインクジェット用のローラとして用いる場合に、飛行しているインク滴の経路を歪め画像に乱れを生じるという現象をも防止することができる。
【0022】
上記ポリエーテルを含むブロック共重合体樹脂及び金属塩とを含むイオン導電性導電剤は、ポリエーテル構造を有することより、金属塩等のイオンを安定化し、電気抵抗値を下げる効果が著しく大きい。また、ブロック中のポリエーテル以外の他の構造により、基材ポリマーとある程度の相容性を確保することができるため、基材の熱可塑性エラストマー組成物の良好な物性を悪化させにくく、良好な物性と成形加工性を得ることできる。このように上記ポリエーテルを含むブロック共重合体樹脂と金属塩とを含むイオン導電性導電剤は、その他の各種帯電防止剤に比べ、電気抵抗を低下させる効果が著しく大きい上に、基材となる熱可塑性エラストマー組成物の良好な物性を確保することができる。
【0023】
上記イオン導電性導電剤は、上記水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンを含むコンパウンド(A)と上記イオン導電性導電剤との合計重量に対して9重量%以上30重量%以下、さらには10重量%以上25重量%以下の割合で含有されていることが好ましい。従って非常に少ない混合量で必要とする低い表面抵抗率を得ることができる。
上記範囲より少ないと、帯電防止効果が生じず、紙送りローラとした時に印字にずれが生じるためである。一方、上記範囲より多いと、硬くなりやすいためであり、またイオン導電性導電剤はあるレベル以上添加しても導電性はほとんど変化しなくなり、却って、イオン導電性導電剤が高価であるためコスト的に不利になることがあるためである。
また、半導電性熱可塑性エラストマー組成物の全重量に対して、上記イオン導電性導電剤は3重量%以上12重量%以下の割合であるのが好ましい。
【0024】
上記イオン導電性導電剤中のポリエーテルを含むブロック共重合体樹脂が、ポリエーテルブロックポリアミド共重合体樹脂、ポリエーテルエステルアミド樹脂の変性物、及びポリエーテルブロックポリオレフィン樹脂からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。これにより、半導電性熱可塑性エラストマー組成物を高温で混練後、射出成形や押し出し成形で紙送りロ−ラ等を成形する際に、ポリプロピレンのマトリクス樹脂中に通電に有利な相構造(バーコレーション構造)作製され、電気抵抗値を従来以上に低減することができる。
【0025】
また上記金属塩の金属としてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム塩等が挙げられ、中でもリチウムやナトリウムがイオン解離しやすいため好ましく用いられる。
【0026】
上記イオン導電性導電剤としては、ポリエーテルブロックポリアミド共重合体樹脂と金属塩とを含むイオン導電性導電剤がより好ましく、このポリエーテルブロックアミド共重合体樹脂としては、ポリエーテルブロックナイロン樹脂がより好ましく、さらに詳細にはポリエーテルブロックナイロン11樹脂、ポリエーテルブロックナイロン12樹脂あるいはポリエーテルブロックナイロン6樹脂が最も好適である。
【0027】
上記熱可塑性エラストマー組成物は、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンを含むコンパウンド(A)中に、油展したEPDMおよび樹脂架橋剤を配合しているコンパウンド(B)を動的架橋により分散させた組成物をベースとしている。これにより、低硬度と低圧縮永久ひずみを両立させることができ、さらにはゴムのような弾性、柔軟性と樹脂のような良好な成形性とを実現することができる。
【0028】
上記油展したEPDM及び樹脂架橋剤を配合しているコンパウンド(B)において、ゴム成分はEPDMを100%とすることが最も好ましく、EPDMと他のゴムとをブレンドする場合、全ゴムに占めるEPDMの比率は、50重量%以上、さらには80重量%以上が好ましい。EPDMは、主鎖が飽和炭化水素からなり、主鎖に二重結合を含まないため、高濃度オゾン雰囲気、紫外線を含む光照射等の環境下に長時間曝されても、分子主鎖切断が起こりにくい。よって、それ自体耐オゾン性、耐紫外線性及び耐熱性に優れたEPDMの比率を上記のように高めることにより、耐オゾン性、耐紫外線性、耐熱性を向上することができる。
【0029】
上記コンパウンド(B)中EPDM以外のゴム成分を配合する場合、ジエン系ゴムが好ましく、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)等が良好に用いられ、1種または2種以上をブレンドしても良い。その他、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、エチレンプロピレンゴム、BIMS(イソブチレンとp−メチルスチレンの共重合体を臭素化したゴム)、フッ素ゴム、シリコンゴム、アクリルゴム及びクロロスルフォン化ポリエチレンゴム等をEPDMに配合することもできる。かつ、ゴム成分は、ハロゲン成分を含有していない、非ハロゲン系であることが好ましい。
【0030】
また、上記コンパウンド(B)には、EPDM以外に架橋可能な熱可塑性エラストマーとして、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)あるいはこれらの部分水添品等を配合することもできる。
【0031】
上記コンパウンド(A)は、上記EPDM100重量部に対して、軟化剤を15重量部以上500重量部以下、好ましくは25重量部以上400重量部以下の割合で含むのが良い。これにより、適度な柔軟性と弾性を得ることができる。
上記範囲としているのは、上記範囲より小さいと硬度が高くなりやすいためである。一方、上記範囲より大きいと動的架橋物の表面から軟化剤がブリードしてきたり、あるいは軟化剤がゴムに移行して架橋阻害を起こし、物性が低下しやすいためである。
【0032】
上記コンパウンド(A)は、上記EPDM100重量部に対して、ポリプロピレンを1重量部以上50重量部以下、好ましくは2重量部以上40重量部以下、さらに好ましくは4重量部以上35重量部以下の割合で含むのが良い。コンパウンド(A)には水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー及びポリプロピレンを用いている。
上記範囲としているのは、上記範囲より小さいとポリプロピレンを添加しても、その量が少なすぎて加工性を向上させる等の効果がはっきりと確認できないためである。一方、上記範囲より大きいとローラの硬度が高くなりやすいためである。
【0033】
上記コンパウンド(B)は、上記EPDM100重量部に対して、軟化剤を15重量部以上600重量部以下、好ましくは25重量部以上400重量部以下の割合で含むのが良い。これにより、適度な柔軟性と弾性を得ることができる。
上記範囲としているのは、上記範囲より小さいと硬度が高くなりやすいためである。一方、上記範囲より大きいと動的架橋物の表面から軟化剤がブリードしてきたり、あるいは軟化剤が架橋阻害を起こして、ゴム分であるEPDMが十分に架橋されず、物性が低下しやすいためである。
【0034】
上記水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー及びポリプロピレンと、上記EPDMの重量比が、(スチレン系熱可塑性エラストマー及びポリプロピレン:EPDM)=(60:40)〜(15:85)であるのが好ましい(オイルの重量は除く)。
上記範囲としているのは、上記範囲よりゴム成分であるEPDMが多いと、良好な成形性を得にくいためであり、一方、ゴム成分であるEPDMが少ないと、圧縮永久ひずみが悪化しやすいためである。なお、さらに好ましくは(45:55)〜(25:75)である。
【0035】
なお、本出願中、ゴム成分の重量部とは、ゴムが非油展ゴムの場合、非油展ゴムの重量部を表し、ゴムが油展ゴムの場合は、油展ゴムからオイル成分の重量を差し引いたゴム成分のみの重量で重量部を表す。また、ゴムが油展ゴムと非油展ゴムの混合物の場合は、油展ゴムからオイル成分を差し引いたゴム成分のみの重量と非油展ゴムの重量との合計の重量で重量部を表す。
【0036】
使用するゴムは、良好な機械的物性を得るために、油展EPDMゴムを含むものとしており、分子量が極力大きいものが好ましい。油展EPDMの具体的な例としては、住友化学のエスプレン670F及びエスプレン601F、出光DMS社製501×100等がある。
【0037】
上記コンパウンド(A)には、流動性と相容化能力、適度な耐擦傷性を付与でき、加工性に優れ、EPDMとの相容性が良いという理由によりポリプロピレンを配合しているその他、市販のオレフィン系樹脂であれば配合でき、ポリエチレン、エチレンエチルアクリレート樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、アイオノマー樹脂、ポリエステル系樹脂、塩素化ポリエチレン等を1種または2種以上をブレンドしても良い。また、その他種々の熱可塑性樹脂を上記ポリプロピレンにブレンドして用いることもできる。
【0038】
上記軟化剤としては、オイル、可塑剤が挙げられる。オイルとしては、例えばパラフィン系、ナフテン系、芳香族系等の鉱物油や炭化水素系オリゴマーからなるそれ自体公知の合成油、またはプロセスオイルを用いることができる。合成油としては、例えば、α−オレフィンとのオリゴマー、ブテンのオリゴマー、エチレンとα−オレフィンとの非晶質オリゴマーが好ましい。可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルセパケート(DOS)、ジオクチルアジペート(DOA)等を用いることができる。
【0039】
上記動的架橋樹脂架橋剤を用いた樹脂架橋により行うものとしている。樹脂架橋剤は加熱等によってゴムに架橋反応を起こさせる合成樹脂であり、硫黄と加硫促進剤とを併用する場合に比べ、ブルームが生じにくく圧縮永久ひずみも小さく、物性低下も小さく、精度維持や耐久性に優れる点で好ましい。さらに、硫黄架橋系に比べ架橋時間が短いため、押出機内に滞留している短い時間内に動的架橋を進行させることができる。特に、フェノール樹脂が好ましい。
【0040】
その他の樹脂架橋剤としては、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、トリアジン・ホルムアルデヒド縮合物、ヘキサメトキシメチル・メラミン樹脂等が挙げられ、特に上記フェノール樹脂が好適であり、1種又は複数種を用いることができる。
フェノール樹脂の具体例としては、フェノール、アルキルフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン等のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類との反応により合成される各種フェノール樹脂が挙げられる。特に、ベンゼンのオルト位又はパラ位にアルキル基が結合したアルキルフェノールと、ホルムアルデヒドとの反応によって得られるアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂が、ゴムとの相溶性に優れるとともに、反応性に富んでいて架橋反応開始時間を比較的早くできるので好ましい。アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のアルキル基は、通常、炭素数が1から10のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。また、硫化−p−第三ブチルフェノールとアルデヒド類とを付加縮合させた変性アルキルフェノール樹脂や、アルキルフェノール・スルフィド樹脂も樹脂架橋剤として使用可能である。樹脂架橋剤の配合量は、上記EPDM100重量部に対して、2重量部以上20重量部以下、さらには5重量部以上15重量部以下が好ましい。
【0041】
上記コンパウンド(A)には、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを配合している。水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーは水素添加により二重結合が飽和されており、低硬度で耐久性に優れている。このように、二重結合が無くなっているために、動的架橋に際して架橋剤と反応して架橋されることがないのでゴムの架橋を阻害せず、動的架橋後のエラストマー組成物が所望の可塑性を発現することができる。従って、本発明には動的架橋に際して架橋されない程度に水素添加されているスチレン系熱可塑性エラストマーを用いている。また、機械的強度の点から、分子量は8万以上が好ましい。また、機械的強度の点から、分子量は8万以上が好ましい。なお、加工性を失わない範囲で、水添されていない熱可塑性エラストマー(SBS、SIS等)を加えることもできる。
【0042】
上記水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えばスチレン−エチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)が挙げられる。なお、上記水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーのほか、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系等の種々の熱可塑性エラストマーを配合することできる。
【0043】
架橋反応を適切に行うために架橋活性剤を用いてもよい。架橋活性剤としては金属酸化物が使用され、酸化亜鉛、炭酸亜鉛が好ましく、特に酸化亜鉛が好ましい。架橋活性剤は、上記EPDM100重量部に対して、0.5重量部以上10重量部以下、さらには1重量部以上5重量部以下が好ましい。
【0044】
上記動的架橋は、紙送りローラとしての摩擦係数や耐磨耗性が過酸化物架橋より樹脂架橋の方が良好であるため、樹脂架橋としている。硫黄架橋はブルームの恐れのある場合が多く、また一般に圧縮永久歪みが大きく、ローラとして長期間用いた場合の精度維持や耐久性に問題を生じる恐れがある。
【0046】
本発明の帯電防止紙送りローラの製造方法においては、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンを含むコンパウンド(A)中に、油展したEPDMおよび樹脂架橋剤を配合しているコンパウンド(B)を配合して、架橋可能なゴムであるEPDMを樹脂架橋剤で動的架橋して分散させた熱可塑性エラストマー組成物と、
ポリエーテルを含むブロック共重合体樹脂及び金属塩を含むイオン導電性導電剤とを含む半導電性熱可塑性エラストマー組成物製造方法しているが、上記熱可塑性エラストマー組成物と上記イオン導電性導電剤との混合前に、上記熱可塑性エラストマー組成物の動的架橋を行うものとしている
【0047】
具体的には、押出機又は混練機にて、上記EPDMを、樹脂架橋剤による動的架橋により上記水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンを含むコンパウンド中に分散させた後に、上記動的架橋により得られた組成物を、再度、押出機又は混練機にて混練して、上記イオン導電性導電剤を混入することにより、上記半導電性熱可塑性エラストマー組成物を得ている。
【0048】
本発明者は、鋭意研究の結果、上記イオン導電性導電剤は、動的架橋したドメイン相の方には入りにくく、マトリクス相の方に選択的に混入されるという特徴を持つことを見出した。このため、上記製法によれば、半導電性熱可塑性エラストマー組成物のマトリクスの方にイオン導電性導電剤が選択的に配置されることとなり、イオン導電性導電剤を、マトリクスとなる水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンを含む熱可塑性エラストマー中に偏在させることができる。その結果、イオン導電性導電剤を配合してもEPDMゴムの架橋度に影響を与えないので、圧縮永久ひずみの増大を抑制することができ、かつ、不必要にイオン導電性導電剤の使用量を増やすことがなく、このため硬度の上昇を抑えることができ、かつ、原材料コストを抑えることができる。これにより表面側に上記イオン導電性導電剤を配置することもできる。
【0049】
動的架橋時の加熱温度は160℃〜200℃、加熱時間は1〜20分であるのが良い。また、上記イオン導電性導電剤混入時の加熱温度は160℃〜220℃、加熱時間は1〜20分であるのが良い。上記動的架橋により得られた熱可塑性エラストマー組成物は、後工程のために、ペレット状とするのが良い。これにより、良好な成形性を得ることができる。
【0050】
動的架橋や混練には、2軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等を使用可能である
【0051】
明は上記半導電性熱可塑性エラストマー組成物をチューブ状成形体に成形し、該成形体に芯金を取り付けることにより帯電防止紙送りローラを製造している。
上記チューブ状成形体は、低い表面抵抗率を有し、かつ圧縮永久ひずみが小さく、低硬度である点で優れているので、これを用いた本発明の帯電防止紙送りローラは、レーザープリンター、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、ATM等の紙送り機構に用いられる。特に、本発明の帯電防止紙送りローラは、表面抵抗率が低いため、ローラに発生する静電気を抑えることができる。よって、紙等の搬送媒体に帯電した静電気によって画像等に影響を与えてしまう機構を持った印刷装置、例えば、高画質用のインクジェットプリンターや静電式複写機に搭載される紙送りローラとして好適に用いられる。
【0052】
本発明の帯電防止紙送りローラの製造に用いる半導電性熱可塑性エラストマー組成物は、流動性に優れるため、チューブ状に押し出したり、射出成形も可能であり、成形加工性に非常に優れている。上記紙送りローラ等は従来公知の方法により作製することができ、具体的には、以下のような方法が挙げられる。
上記半導電性熱可塑性エラストマー組成物をペレット化し、該ペレットを射出(インジェクション)成形機により射出成形してチューブ状に成形する。この成形品の表面を研磨した後、所要寸法にカットして紙送りローラとしている。なお、射出成形機のかわりに樹脂用単軸押出機等によってチューブ状に押し出し、必要に応じて研摩し、それをカットすることによってローラとすることもできる。
【0053】
本発明の帯電防止紙送りローラはその表面(紙やフィルム等の搬送物との接触面)が少なくとも上記半導電性熱可塑性エラストマー組成物で形成されていれば良い。具体的には、金属やセラミックス等からなる芯金の外周に、エラストマー組成物からなるチューブ状成形体を外嵌している。なお、芯金と紙送りローラとの間に接着層等を設けることもできる。また、その表面は研磨しても良く、ローラの表面が紙に対して大きなグリップ力が得られるように接触し、摩擦係数を高めることもできる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
本実施形態の帯電防止紙送りローラ1は図1に示される様に半導電性熱可塑性エラストマー組成物を円筒状のローラに成形し、その中空部に軸芯2を圧入するか、あるいは両者を接着剤で接合して固定している。
【0055】
この半導電性熱可塑性エラストマー組成物は、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンを含むコンパウンド中に、架橋可能なゴムであるEPDMを動的に架橋して分散させた熱可塑性エラストマー組成物を主成分とし、マトリクスとなる水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレン中に、ポリエーテルを含むブロック共重合体樹脂及び金属塩を含むイオン導電性導電剤を分散させて得られるものである。
【0056】
具体的には、上記熱可塑性エラストマー組成物は、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー及びポリプロピレンを主成分とするコンパウンド(A)中に、油展したEPDMを配合しているコンパウンド(B)を2種の樹脂架橋剤(計12重量部)と架橋活性剤(3.5重量部)を用いて動的架橋により分散させた組成物をベースとしている。
【0057】
コンパウンド(A)は、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーであるスチレン−エチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)と、オレフィン系樹脂であるポリプロピレンと、軟化剤であるパラフィンオイルとを含むコンパウンドとし、100重量部用いている。(SEEPS:PP:オイル)=(100:35:170)としている。
【0058】
コンパウンド(B)は、架橋可能なゴムである、パラフィンオイルで100%油展したエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)とし、この油展EPDMを200重量部用いている。
【0059】
上記イオン導電性導電剤は、ベース樹脂がポリアミド12であり、この中にポリアミド12とエーテルのブロック共重合体及び金属塩として過塩素酸ナトリウムを含むものを用いており、上記ポリプロピレン及び水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーを含むコンパウンドと上記イオン導電性導電剤との合計重量に対して16.7重量%の割合で含有されている。
【0060】
この半導電性熱可塑性エラストマー組成物から成形されるチューブ状成形体は、測定温度70℃、22〜24時間での圧縮永久歪みが17%、かつ、ショアA硬度が39、かつ1000Vで測定したときの表面抵抗率が10の9.8乗(Ω・cm)である。
【0061】
以下、本実施形態の帯電防止紙送りローラの製造に用いる半導電性熱可塑性エラストマー組成物の製造方法について詳述する。
水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー組成物を軟化剤中で膨潤させてから、これをポリプロピレン樹脂ペレットとともに2軸押出機、ニーダーまたはバンバリー等により160℃〜220℃の温度で、1〜20分間混練して、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー組成物、ポリプロピレン樹脂及び軟化剤の混合物(コンパウンド(A))からなるペレットを作製ししかる後に、このペレットと、油展EPDMゴム、樹脂架橋剤としてのフェノール樹脂、亜鉛華を配合しているコンパウンド(B)、その他、所望により老化防止剤、フィラー等の所要の添加剤を2軸押出機に投入し、160℃〜220℃の温度で加熱しながら、同じく1〜20分間混練して、ゴムを動的架橋した後、押し出している。この時点で、既に、動的架橋は行われている。
【0062】
次いで、この押し出した混練組成物を冷却しペレット化する。更にこのようにして得られた動的架橋組成物のペレットに上記イオン導電性導電剤を混合して、再度2軸押出機に投入し、160℃〜220℃の温度で、1〜20分間混練し、本実施態様の半導電性熱可塑性エラストマー組成物を得ている。なお、ニーダーまたはバンバリー等により混練してもよい。その後、動的架橋組成物と導電剤の混合物(本実施態様のエラストマー組成物)を通例の方法によりペレット化している。
【0063】
この半導電性熱可塑性エラストマー組成物を押し出し機にてチューブ状に押し出し成形してチューブ状成形体とし、該成形体に芯金を取り付けて、本実施形態の帯電防止紙送りローラを成形している。
【0064】
このように、帯電防止紙送りローラ1は、上記半導電性熱可塑性エラストマー組成物より成形されているため、ゴムのような耐久性、弾性、柔軟性と樹脂のような成形性を併せ持つと共に、半導電性を実現することができる。また、塩素を含んでおらず、廃棄時に有害ガスを発生することもないため、環境に優しく、かつ、熱可塑性を有するためリサイクル性にも優れている。また、流動性に富んでいるため、成形加工性にも優れている。よって、印字のずれも生じず、高画質用のインクジェットプリンター等の紙送りローラとして特に好適に用いることができる。
【0065】
上記実施形態では、架橋可能なゴムとしてEPDMのみを用いているが、上述した架橋可能な熱可塑性エラストマーやその他のゴムをさらに配合することもできる。水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーの種類も適宜変更しても良く、ポリプロピレン以外のオレフィン系樹脂を配合してもよい。また、各種配合材料の配合量は、適宜設定することができる。なお、イオン導電性導電剤中のポリエーテルを含むブロック共重合体樹脂は、ポリエーテルブロックポリアミド共重合体樹脂、ポリエーテルエステルアミド樹脂の変性物、及びポリエーテルブロックポリオレフィン樹脂からなる群から選択される1種以上とすることができる。
【0066】
以下、本発明の紙送りローラの実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例3について詳述する。
実施例及び比較例の紙送りローラは、下記の表1に記載の実施例1〜実施例5及び比較例2、比較例3の各々の配合を用い、上記実施形態と同様の方法により作製したエラストマー組成物のペレットを用いて、以下の様に紙送りローラ、各種物性評価用スラブシート等を作製した。
ただし、表2に示すように、比較例1は東ソー株式会社から購入した塩素系熱可塑性エラストマー組成物(商品名:エラステージ)のペレットを用いて、実施例1〜実施例5及び比較例2、比較例3と同様に、以下の様に紙送りローラ、各種物性評価用スラブシート等を作製した。
【0067】
すなわち、上記実施態様の方法で作製したエラストマー組成物のペレットを樹脂用押し出し機に投入し、チューブ状に押し出してカットし、内径31mm、外径36mm、幅17mmの紙送りローラとした。
また、上記ペレットを射出成型機により成形して、130mm×130mm×2mmのスラブシート及び下記のJISに記載の圧縮玉等のサンプルを作製し、下記の各種物性評価を行った。
【0068】
【表1】
Figure 0004077307
【0069】
【表2】
Figure 0004077307
【0070】
表中の各配合の数値は重量部である。また、表中の各配合は以下の通りである。
イオン導電性熱可塑性エラストマー組成物:フタル酸エステル類含有塩素系熱可塑性エラストマー組成物 東ソー株式会社製 エラステージES2520A
ゴム:住友化学EPDM エスプレン670F(パラフィンオイル100%油展)
水素添加スチレン系TPEコンパウンド:SEEPS Mn=30万 クラレ製 セプトン4077 +PP(日本ポリケム製 ノバックPP BC6)+パラフィンオイル(出光興産製 ダイアナプロセスオイルPW−380);(SEEPS:PP:オイル)=(100:35:170)
【0071】
導電剤1:ポリエーテルブロックナイロン12樹脂+金属塩 チバスペシャルティ・ケミカル株式会社製 イルガスタット(IRGASTAT)P18(ベース樹脂がポリアミド12であり、この中にポリアミド12とエーテルのブロック共重合体及び金属塩として過塩素酸ナトリウムを含んでいる)
導電剤2:ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体樹脂+金属塩 三洋化成工業株式会社製 ペレスタット300
導電剤3:ポリエーテルブロックナイロン6樹脂+金属塩 チバスペシャルティ・ケミカル株式会社製 イルガスタット(IRGASTAT)P22(ベース樹脂がポリアミド6であり、この中にポリアミド6とエーテルのブロック共重合体及び金属塩として過塩素酸ナトリウムを含んでいる)
【0072】
架橋剤1:田岡化学製 タッキロール250−III
架橋剤2:田岡化学製 タッキロール201
架橋活性剤:酸化亜鉛 三井金属鉱業社製 酸化亜鉛2種
【0073】
(実施例1〜実施例5)
実施例1〜実施例5は、EPDM200重量部(オイル100%を含む)及び水素添加スチレン系TPEコンパウンド100重量部との動的架橋混合物を上記熱可塑性エラストマー組成物として用いた。実施例1、実施例4及び実施例5はポリエーテルを含むブロック共重合体樹脂及び金属塩を含むイオン導電性導電剤として導電剤1を用いて、その配合量を上記熱可塑性エラストマー組成物中のマトリクス成分に対して、9.8重量%〜28.6重量%の割合で配合した。
実施例2はイオン導電性導電剤として導電剤2を用い、実施例3はイオン導電性導電剤として導電剤3用い、各配合量を上記熱可塑性エラストマー組成物中のマトリクス成分に対して16.7重量%の割合で配合した。
【0074】
(比較例1〜3)
比較例1は市販の塩素系であるイオン導電性熱可塑性エラストマー組成物を用い、ポリエーテルを含むブロック共重合体樹脂及び金属塩を含むイオン導電性導電剤は配合しなかった。
比較例2,3は、実施例と同じ上記熱可塑性エラストマー組成物(A)及び導電剤1を用いたが、導電剤1の配合量は上記熱可塑性エラストマー組成物中のマトリクス成分に対して各々、4.8重量%及び37.5重量%の割合とした。
【0075】
上記実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例3の熱可塑性エラストマー組成物、紙送りローラを、以下の各々の項目に関して、各々以下の様に測定および試験を行った。
【0076】
(スラブシート表面抵抗測定)
表面抵抗の測定は、上記の様にして作製した130mm×130mm×2mmのスラブシートに対して、アドバンテストコーポレーション社製のテジタル超高抵抗微小電流計R−8340Aを用いて、23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下で測定した。測定方法は、JIS K6911に記載の表面抵抗率の測定法に従った。測定時の印加電圧は1kVとした。
【0077】
(印字評価試験)
カットしたローラをキャノン製インクジェットプリンターS300に装着し、所定書式を印字し、インクが正常に飛んでいったか印刷面をビデオマイクロで観察し評価した。もしローラから静電気が発生していれば、その部分に画像乱れが生じる。
【0078】
(感光体汚染)
ヒューレットパッカード社製のLaser Jet4050型レーザービムプリンタのカートリッジ(カートリッジタイプC412X)のセットされている感光体に、スラブシートを押し付けた状態で、32.5℃、相対湿度90%の条件下で1週間保管する。その後、感光体からスラブシートを除去し、当該感光体を用いて上記プリンターにてハーフトーンの印刷を行い、印刷物に汚れがでるかどうかを以下の基準で評価した。
○:印刷物を目で見る限り汚染なし。
△:軽度の汚染。(5枚以内の刷り込みにより、目で見てわからない程度にまでとれる使用上問題ない汚染)
×:重度の汚染(5枚以内の刷り込んでも、印刷物を目で見て異常が判る汚染。
【0079】
(圧縮永久歪み)
JIS K6262「加硫ゴムの永久歪み試験方法」の規定に従い、測定温度70℃、測定時間24時間で測定した。
【0080】
(硬度)
JIS K6253「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」の規定に従い、デュロメータ硬さ試験、タイプAで試験した。
【0081】
表1に示される様に、実施例1乃至実施例5の半導電性熱可塑性エラストマー組成物を用いて形成された紙送りローラは、全て測定温度70℃、測定時間22〜24時間での圧縮永久歪みが30%以下であり、かつ、ショアA硬度が10以上50以下で、かつ1000Vで測定したときの表面抵抗率が10の11乗(Ω・cm)以下であった。また、印字評価も全て異常なく、静電気の発生による印字のずれは生じなかった。そして感光体汚染も全くみられなかった。
よって、実施例の半導電性熱可塑性エラストマー組成物を用いた紙送りローラは、全て、紙送りローラに適した硬度及び圧縮永久歪みを有すると共に、優れた帯電防止性能を有することが確認できた。
【0082】
また、実施例1〜5の材料は、ポリマー中に塩素を含有していないので、環境にも優しいものであった。さらには、実施例1〜5の半導電性熱可塑性エラストマー組成物は熱可塑性を有しているのでリサイクルも可能である上に流動性にも富んでいるため、成形加工性にも優れていた。
【0083】
また、実施例1〜5は少なくとも、上記熱可塑性エラストマー組成物(A)と上記イオン導電性導電剤(B)との混合前に、上記熱可塑性エラストマー組成物(A)の動的架橋を行っているので、不必要にイオン導電性導電剤(B)の使用量を増やすことがなく、また、均一に分散させることができ、このため硬度の上昇を抑えることができ、かつ、原材料コストを抑えることができた。
【0084】
一方、表1、表2に示すように、導電剤1〜3が配合されていない比較例1は、DOP等のフタル酸エステル類を含有しているため、圧縮永久歪みが大きく、はめ込み後にゆるみが発生してしまい、ローラとしては不適であった。また、感光体汚染も生じた。比較例2は、導電剤1の配合量が、少なく、詳細には、上記熱可塑性エラストマー組成物(A)中のマトリクス成分100重量部に対して、上記イオン導電性導電剤(B)は9重量%以上30重量%以下の割合の範囲外(4.8重量%)で配合しているため、表面抵抗の常用対数値は13.5と高かった。よって、印字試験においても、静電気の発生により、ずれが生じてしまった。比較例3は、導電剤1の配合量が、多すぎた(37.5重量%)ため、硬度が50を越えてしまい、そのため、摩擦係数が低くなり、紙送りローラとしては不適であった。
【0085】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、ゴムのような耐久性、弾性、柔軟性と樹脂のような良好な成形性を併せ持つと共に、半導電の抵抗値を有するチューブ状成形体を備えた帯電防止紙送りローラを得ることができる。また、該チューブ状成形体は熱可塑性であるため、リサイクルも可能であり、高価なイオン導電剤を不用意に増量することなく低抵抗を実現できるので、コスト的にも有利である。
【0086】
よって、本発明の帯電防止紙送りローラは、レーザープリンター、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、ATM等の紙送りローラとして好適に用いられ、特に、紙等の搬送媒体に帯電した静電気によって画像等に影響を与えてしまう機構を持った印刷装置、例えば、高画質用のインクジェットプリンターや静電式複写機に搭載される紙送りローラとして非常に好適に用いることができ、印字ずれのない良好な画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の紙送りローラの概略図である。
【符号の説明】
1 紙送りローラ
2 軸芯

Claims (7)

  1. 芯金の外周に、半導電性エラストマー組成物からなるチューブ状成形体を外嵌してなる帯電防止紙送りローラの製造方法であって、
    水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとポリプロピレンを含むコンパウンド(A)の混練物を作成し、
    上記混練物に、油展したEPDMおよび樹脂架橋剤を配合しているコンパウンド(B)を配合して加熱混練し、EPDMが動的架橋して分散した熱可塑性エラストマー組成物を作成し、
    上記動的架橋させた熱可塑性エラストマー組成物に、ポリエーテルを含むブロック共重合体樹脂及び金属塩を含むイオン導電性導電剤を配合して加熱混練して、半導電性熱可塑性エラストマー組成物を作成し、
    上記半導電性熱可塑性エラストマー組成物を、押出機または射出成形機で上記チューブ状成形体に成形して、該成形体に上記芯金を取り付けており、
    上記チューブ状成形体は、測定温度70℃,測定時間22〜24時間で測定したJIS K6262に記載の圧縮永久歪みが30%以下、かつ、ショアA硬度が10以上50以下、かつ印加電圧1000Vで測定したときのJIS K6911に記載の表面抵抗率が10の11乗[Ω・cm]以下としていることを特徴とする帯電防止紙送りローラの製造方法
  2. 上記コンパウンド(A)は、上記EPDM100重量部に対して、軟化剤を15重量部以上500重量部以下、上記ポリプロピレンを1重量部以上50重量部以下の割合で含むと共に、
    上記コンパウンド(B)は、上記EPDM100重量部に対して、軟化剤を15重量部以上600重量部以下の割合で含んでいる請求項1に記載の帯電防止紙送りローラの製造方法
  3. 上記イオン導電性導電剤は、上記半導電性エラストマー組成物の全重量に対して3重量%以上12重量%以下の割合で配合している請求項1または請求項2に記載の帯電防止紙送りローラの製造方法
  4. 上記水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー、上記ポリプロピレン及び上記EPDMは、重量比で(上記水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー及び上記ポリプロピレン:上記EPDM)=(45:55)〜(25:75)、かつ、(上記ポリプロピレン:上記EPDM)=(4:100)〜(35:100)の割合で配合している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の帯電防止紙送りローラの製造方法
  5. 上記イオン導電性導電剤中のポリエーテルを含むブロック共重合体樹脂が、ポリエーテルブロックポリアミド共重合体樹脂、ポリエーテルエステルアミド樹脂の変性物、ポリエーテルブロックポリオレフィン樹脂からなる群から選択される1種以上である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の帯電防止紙送りローラの製造方法
  6. 上記コンパウンド(B)は、上記樹脂架橋剤を上記EPDM100重量部に対して5重量部以上15重量部以下の割合で配合し、
    さらに、架橋活性剤として酸化亜鉛を上記EPDM100重量部に対して、1重量部以上5重量部以下の割合で配合している請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の帯電防止紙送りローラの製造方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の製造方法で製造され、インクジェットプリンターまたはレーザープリンタに装着される帯電防止紙送りローラ
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