JP4079018B2 - コバルト水溶液の精製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コバルト水溶液の精製方法に関し、さらに詳しくは銅、マンガン、亜鉛、カルシウムその他の不純物を除去することによって、高純度金属コバルト等を得るために好適な高純度コバルト水溶液が得られる精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コバルト水溶液の精製方法は、高純度金属コバルトを得るために用いる不純物が極めて少ない高純度コバルト水溶液を得るものである。
コバルトは、特殊材料や磁性材料として工業的用途に広く使用されている金属である。通常、コバルトは、ニッケル精錬や銅精錬の副産物として産出するものが大半を占めているので、コバルトの製造においては、ニッケルや銅との分離が不可欠である。例えば、ニッケル精錬からコバルトを回収する場合、まずニッケルとコバルトを含む水溶液を得るため、原料を鉱酸等を用いて溶解処理する。次いで前記水溶液は溶媒抽出に付され、ニッケルとコバルトが分離回収される。しかし、得られたコバルト水溶液には、処理原料に由来する各種不純物を含有している。また、ニッケル精錬では、処理原料として、ニッケルマット以外に銅精錬で産出されるニッケル残渣又はニッケルめっき廃液から回収されるニッケルスラッジ等も使用される。
そこで一般に、ニッケル精錬でコバルトを回収する際には、ニッケルとの分離のほか、銅、マンガン、亜鉛、カルシウム等の不純物の分離が必要となる。したがって、不純物の少ない高純度金属コバルトを製造するためには、電解採取法等のコバルトを金属化する工程に先立って、原料となるコバルト水溶液中の不純物をあらかじめ除去しておくことが必要であり、そのための効率的な方法が望まれていた。
【0003】
この解決策として、上記の不純物を含むコバルト水溶液の精製方法が提案されている。例えば、不純物を含むコバルト水溶液を、酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を600mV以上、かつpHを4.0以上に調整して、酸化中和して生成した鉄、マンガン、銅を含む水酸化物沈殿を除去する工程、及び亜鉛、カルシウム及び前記工程で残留した微量不純物をアルキルリン酸により溶媒抽出する工程を含む方法である(例えば、特許文献1参照)。
この提案は、コバルト電解の給液に適した高純度コバルト水溶液の製造に貢献しているが、処理すべき不純物量が増加するに伴なって、生産効率化において課題が生じている。すなわち、上記の高pH領域において、銅又はマンガンを含むコバルト水溶液から銅又はマンガンを沈殿させると、コバルト水溶液中のコバルトの共沈殿量も増加する。そこでコバルトの回収のため、沈殿を工程内で繰り返し処理する方法をとると、循環処理量が増大するのでコバルト水溶液生産能力が制約されるとともに、操業資材コストを上昇させる要因となる。
【0004】
また、近年、ニッケル及びコバルトの製造の新原料として、ニッケル酸化鉱を湿式製錬方法で処理して得られるニッケルとコバルトを含む化合物が有望視されているが、マンガンの含有率が高いという問題がある。前記化合物を溶解処理した場合、その溶解液中のマンガン濃度は上昇し、結果として高純度コバルトの原料となるコバルト水溶液中のマンガン濃度は上昇する。そこで、マンガンを含むコバルト水溶液からマンガンを沈殿させる場合、より一層のマンガン除去率の向上策が望まれている。
以上の状況から、銅、マンガン、亜鉛、カルシウムその他の不純物を含むコバルト水溶液から、コバルトの共沈殿を抑えて、銅及びマンガンを効率的に除去して、不純物が極めて少ない高純度コバルト水溶液が得られる精製方法が求められている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−17347号公報(第1頁、第2頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、不純物を含むコバルト水溶液から、銅、マンガン、亜鉛、カルシウムその他の不純物を除去することによって、高純度金属コバルト等を得るために好適な、不純物が極めて少ない高純度コバルト水溶液が得られる精製方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために、銅、マンガン、亜鉛、カルシウムその他の不純物を含有するコバルト水溶液を精製する方法について、鋭意研究を重ねた結果、前記コバルト水溶液を用いて、特定の条件で脱銅工程、脱マンガン工程、及び溶媒抽出工程を含む一連の処理を行ったところ、不純物が極めて少ない高純度コバルト水溶液が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、銅、マンガン、亜鉛、カルシウムその他の不純物を含有するコバルト水溶液を精製する方法であって、
(1)前記コバルト水溶液に硫化剤を添加し、該コバルト水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を50mV以下に、かつpHを0.3〜2.4に調整して、脱銅精製液と硫化銅沈殿を形成する脱銅工程、
(2)前記脱銅精製液に酸化剤とpH調整剤を添加し、該脱銅精製液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を950〜1050mV、かつpHを2.4〜3.0に調整して、脱マンガン精製液とマンガン沈殿を形成する脱マンガン工程、及び
(3)前記脱マンガン精製液に抽出剤としてアルキルリン酸を用いて、該脱マンガン精製液中の亜鉛、カルシウム及び前記工程で残留した微量不純物を抽出分離する溶媒抽出工程、を含むことを特徴とするコバルト水溶液の精製方法が提供される。
【0009】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記脱銅工程で用いる硫化剤が、硫化水素ガスであることを特徴とするコバルト水溶液の精製方法が提供される。
【0010】
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記脱マンガン工程において、前記脱銅精製液の温度を45℃以上とすることを特徴とするコバルト水溶液の精製方法が提供される。
【0011】
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3いずれかの発明において、前記コバルト水溶液が塩化コバルト水溶液であることを特徴とするコバルト水溶液の精製方法が提供される。
【0012】
また、本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、前記塩化コバルト水溶液のpHが1.0以下であることを特徴とするコバルト水溶液の精製方法が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のコバルト水溶液の精製方法を詳細に説明する。
本発明のコバルト水溶液の精製方法は、銅、マンガン、亜鉛、カルシウムその他の不純物を含有するコバルト水溶液を精製する方法であって、脱銅精製液と硫化銅沈殿を形成する脱銅工程、脱マンガン精製液とマンガン沈殿を形成する脱マンガン工程、及び亜鉛、カルシウム及び前記工程で残留した微量不純物を抽出分離する溶媒抽出工程を含む。これによって、コバルト水溶液から効率的に不純物が除去されるとともに、硫化銅沈殿とマンガン沈殿へのコバルト共沈澱量を極力低減させることが達成される。
【0014】
1.コバルト水溶液
本発明に用いるコバルト水溶液は、特に限定されるものではなく、銅、マンガン、亜鉛、カルシウムその他の不純物を含むコバルト水溶液が用いられるが、その中で、特にニッケル精錬でのコバルト回収液として得られる塩化コバルト水溶液が好ましい。さらに、pHが1.0以下である塩化コバルト水溶液が好ましく用いられる。すなわち、銅、マンガン、亜鉛、カルシウムその他の不純物を含むコバルト水溶液が、前記ニッケル精錬のコバルト回収のための溶媒抽出工程においてコバルト及び前記不純物を抽出した有機溶媒からコバルトを逆抽出して得られたものである場合、コバルト回収率を向上させるため、逆抽出液としてpHが1.0以下である塩酸が使用されるからである。
【0015】
2.脱銅工程
本発明の脱銅工程は、コバルト水溶液に硫化剤を添加し、酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を50mV以下に、かつ、pHを0.3〜2.4に調整して、コバルト水溶液中の銅を硫化物とすることにより、脱銅精製液と硫化銅沈殿を形成する工程である。ここで、酸化還元電位とpHを所定値に調整することが硫化物として銅を十分に除去し、かつコバルト共沈殿を抑制するために重要である。
【0016】
本発明の脱銅工程において、コバルト水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)は50mV以下、好ましくは30mV以下に調整される。すなわち、前記酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)が50mVを超えると、銅の硫化沈殿が不十分となる。ここで酸化還元電位の調整は、硫化剤の添加によって行われる。
【0017】
上記コバルト水溶液のpHは0.3〜2.4、好ましくは0.5〜1.0に調整される。すなわち、前記pHが0.3未満であると、酸性pH調整剤が多量に消費されるだけでなく、次工程でのpH上昇のためのpH調整剤コストも余分にかかることとなるので経済的ではない。一方、前記pHが2.4を超えれば、銅に付随するコバルト共沈殿量が増加し、コバルトのロスが多くなる。ここでpHの調整は、硫化剤の添加によって行われるが、必要に応じてpH調整剤が使用できる。すなわち、pH調整剤の使用は、特に限定されるものではなく、硫化反応に伴なうpH変化において本発明の所定値からの乖離を是正するため、付加的に行うことができる。
【0018】
本発明の脱銅工程において用いる硫化剤としては、特に限定されるものではなく、硫化水素、硫化ナトリウム、水硫化ナトリウム等の水溶性の硫化物が用いられるが、これらの中で、特にアルカリ金属等による新たな不純物汚染の恐れのない硫化水素が好ましい。
上記のpH調整剤としては、特に限定されるものではなく、アルカリ性pH調整剤として水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸コバルト等のアルカリ塩、又は酸性pH調整剤として塩酸、硫酸等の鉱酸を用いることができるが、これらの中で、特に他のアルカリ金属の混入を極力避けるため、塩酸若しくは硫酸、又は炭酸コバルトが好ましい。
【0019】
以上の本発明の脱銅工程によって、高純度金属コバルト等の製造原料として好適な濃度にまで銅を除去した脱銅精製液を得ることができる。また同時に、従来の酸化中和法による脱銅と比較して、コバルト硫化物の生成を抑えられるので、コバルト共沈殿量を極力低減させることができる。
【0020】
3.脱マンガン工程
本発明の脱マンガン工程は、前記脱銅精製液に酸化剤とpH調整剤を添加し、該脱銅精製液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を950〜1050mV、かつpHを2.4〜3.0に調整して、コバルト水溶液中のマンガンを高酸化状態での酸化中和反応によって酸化物沈殿とすることにより、脱マンガン精製液とマンガン沈殿を形成する工程である。
ここで、酸化還元電位とpHを所定値に調整することが、酸化物としてマンガンを十分に除去し、かつコバルト共沈殿を抑制するために重要である。
【0021】
本発明の脱マンガン工程において、前記脱銅精製液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)は950〜1050mVに調整される。すなわち、前記酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)が950mV未満では、マンガンの酸化物沈殿の生成が不十分である。一方、1050mVを超えても、それ以上のマンガンの酸化物沈殿の生成効果は得られず経済的でない。ここで、酸化還元電位の調整は、酸化剤の添加によって行われる。
【0022】
上記脱銅精製液のpHは2.4〜3.0、好ましくは2.4〜2.5に調整される。すなわち、前記pHが2.4未満では、マンガンの除去が不十分となり、3.0を超えると、マンガンの除去に伴なうコバルト共沈殿量が増加する。
【0023】
図3に、コバルト濃度80.0g/L、マンガン濃度1.85g/Lで、pH0.6の塩化コバルト水溶液の脱銅精製液に、酸化剤として塩素ガス、及びpH調整剤として炭酸コバルトスラリーを連続的に添加して、ORPを950mVに調整して、上記の処理を2時間継続して行った場合の脱マンガン工程におけるpHとマンガン沈殿のコバルト/マンガン重量比の関係を示す。また、図2に、このときの液中のマンガン濃度とマンガン沈殿のコバルト/マンガン重量比の関係を示す。
【0024】
図3より、前記pHが高くなると、マンガン沈殿のコバルト/マンガン重量比が上昇し、マンガンの除去に伴なうコバルト共沈殿量が増加することが分かる。
また、図2より、酸化中和反応が進行して液中のマンガン濃度が低下するに伴ない、マンガン沈殿のコバルト/マンガン重量比が上昇し、マンガンの除去に伴なうコバルト共沈殿量が増加することが分かる。したがって、工業的に許容できる範囲内で、マンガンを除去し、かつコバルト共沈殿量を抑制するためには、前記pHを3.0以下、好ましくは2.5以下に調整する。ここでpHの調整は、pH調整剤の添加によって行われる。
【0025】
本発明の脱マンガン工程において用いる酸化剤としては、特に限定されるものではなく、塩素、次亜塩素酸又はオゾンが用いられるが、これらの中で、特に安価で、アルカリ金属等による新たな不純物汚染の恐れのない塩素が好ましい。
上記のpH調整剤としては、特に限定されるものではなく、アルカリ性pH調整剤として水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸コバルト等のアルカリ塩を用いることができるが、これらの中で、特に他の金属の混入を極力避けるため、炭酸コバルトが好ましい。
【0026】
上記脱銅精製液の酸化中和反応での温度は、特に限定されるものではないが、45℃以上が好ましく、50〜60℃がより好ましい。すなわち、45℃未満では、酸化中和反応の進行が遅いため短時間ではマンガンの除去率が低い。また、前記温度が60℃を超えてもマンガンの除去率にそれ以上の改善が見られない。マンガンの除去率と温度上昇のための加熱のコストから、前記温度を50〜60℃とするのが有利である。なお、温度上昇のためには、外部熱源としてはヒーターあるいは蒸気などが用いることができる。
【0027】
以上の本発明の脱マンガン工程によって、高純度金属コバルト等の製造原料として好適な濃度にまでコバルト水溶液中のマンガンを除去した脱マンガン精製液を得ることができる。また、酸化中和反応の温度を上昇すれば、従来の酸化中和法による脱マンガンと比較して、マンガンの除去率を向上できる。
【0028】
4.溶媒抽出工程
本発明の溶媒抽出工程は、前記脱マンガン精製液に抽出剤としてアルキルリン酸を用いて、該脱マンガン精製液中の亜鉛、カルシウム及び前記工程で残留した微量不純物を抽出分離する工程である。ここで、前記工程を経た後に残留している亜鉛、カルシウム及び前記工程で残留した微量不純物を有機相に抽出させることにより、高純度コバルト水溶液を得ることができる。抽出剤としてアルキルリン酸を用いる溶媒抽出法としては、公知の方法が適用できる。例えば、ビス(2−エチルヘキシル)リン酸を用いた溶媒抽出で、炭酸コバルトを添加して水相のpHを2.0〜4.0に調整して、亜鉛とカルシウムを抽出できる。
【0029】
以上、本発明の精製方法によって、銅、マンガン、亜鉛、カルシウムその他の不純物を含有するコバルト水溶液から、硫化法による脱銅工程、酸化中和法による脱マンガン工程及びアルキルリン酸を用いる溶媒抽出工程によって、高純度金属コバルト等の製造原料として好適な濃度にまでコバルト水溶液中の銅、マンガン、亜鉛及びカルシウムを除去することができ、また、従来法に比較して、コバルト共沈殿量を大幅に低減することができる。
【0030】
【実施例】
以下に、本発明の実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例で用いた金属の分析方法はICP発光分析法及び原子吸光法で行った。
【0031】
実施例1
(1)脱銅工程
塩化コバルト水溶液として、pH0.62で、コバルト87g/L、銅0.53g/L、亜鉛0.083g/L、マンガン0.37g/L及びSO4 2−0.29g/Lの組成のものを用いて脱銅工程を行った。
前記塩化コバルト水溶液9Lを50℃に加温して、その中に硫化水素ガスを毎分50mLの流量で吹込んだ。硫化水素ガスの吹きこみを、酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準、以下ORPと呼称する場合がある。)が20mV以下となるまで継続した。なお、硫化水素の吹き込みのみで、本発明のpHを維持できたため、pH調整剤は使用しなかった。この間、適時サンプリングして、濾過後の液中の金属を分析した。表1に、液中の金属濃度とともに、その時のpH及びORPを示す。
【0032】
【表1】
【0033】
表1より、反応開始から40分後に塩化コバルト水溶液中の銅濃度が0.005g/L未満になり、ほぼ完全に銅を除去できることが分る。また、反応開始後40分間で吹き込んだ硫化水素量は、硫化沈殿した銅量に対して1.2倍当量であり、この硫化水素吹き込み量でほぼ完全に銅を除去できることが分る。このとき、塩化コバルト水溶液中のコバルト濃度の変化がなく、コバルトの共沈殿は非常に少ないことが分る。
【0034】
(2)脱マンガン工程
上記脱銅工程を行って得られた、Co濃度90.0g/L、マンガン濃度1.8g/Lの塩化コバルト水溶液を使用して、脱マンガン工程を行った。
前記塩化コバルト水溶液を、反応液容量が300Lの反応槽に装入した。これに、酸化剤として塩素ガス、及びpH調整剤として炭酸コバルトスラリーを連続的に添加して、pHを2.4、ORPを950mVに調整した。このとき、反応溶液温度を35、42、50、55、60、65℃の6水準に変えた。42℃以上の温度水準においては、温度上昇のためヒーター加熱を行った。以上の処理を2時間継続した後、濾過して、濾液のマンガン濃度を分析した。
【0035】
結果を図1に示す。図1より、上記の条件による処理によって、マンガンの除去が効率的に進行することが分る。また、反応溶液温度の上昇に伴ない、濾液のマンガン濃度(終液マンガン濃度)が低下し、酸化中和反応の進行がさらに早まることが分る。また、反応溶液温度を45℃以上に調節すると、高純度金属コバルトを製造するために望ましいコバルト水溶液のマンガン濃度0.05g/L以下が容易に達成できることが分る。さらに、50〜60℃の温度範囲において、マンガン濃度0.02g/L以下が得られ、この温度範囲が特に効率的であることが分る。
【0036】
(3)溶媒抽出工程
上記工程を行って銅及びマンガンを除去して得られた塩化コバルト水溶液を用いて、溶媒抽出工程を行った。前記塩化コバルト水溶液の組成を、コバルト原液として表2に示す。
溶媒抽出には、ビス(2−エチルヘキシル)リン酸が20容量%となるようにアルキルベンゼンで希釈した抽出剤を使用して、連続向流多段のミキサーセトラーを用いた。抽出段は、有機相/水相の容量比0.3〜1.0、温度40℃、pH2.0に調整した。そして抽出段から得られた水相すなわち溶媒抽出後の塩化コバルト水溶液のコバルト、カルシウム、亜鉛濃度を分析した。結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
表2より、亜鉛の92%以上、カルシウムの60%が溶媒抽出され、高純度塩化コバルト水溶液が得られることが分る。
上記の3工程で処理することによって、銅、マンガン、亜鉛、カルシウムが極めて少ない高純度塩化コバルト水溶液が得られる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のコバルト水溶液の精製法は、不純物を含むコバルト水溶液から、銅、マンガン、亜鉛、カルシウムその他の不純物を除去することができるので、高純度金属コバルト等を得るため好適な、不純物が極めて少ない高純度コバルト水溶液が得られる精製方法であり、その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の脱マンガン工程での反応溶液温度と反応後の溶液のマンガン濃度との関係を示す図である。
【図2】反応後の溶液のマンガン濃度とマンガン沈殿のコバルト/マンガン重量比の関係を示す図である。
【図3】pHとマンガン沈殿のコバルト/マンガン重量比の関係を示す図である。
Claims (5)
- 銅、マンガン、亜鉛、カルシウムその他の不純物を含有するコバルト水溶液を精製する方法であって、
(1)前記コバルト水溶液に硫化剤を添加し、該コバルト水溶液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を50mV以下に、かつpHを0.3〜2.4に調整して、脱銅精製液と硫化銅沈殿を形成する脱銅工程、
(2)前記脱銅精製液に酸化剤とpH調整剤を添加し、該脱銅精製液の酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)を950〜1050mV、かつpHを2.4〜3.0に調整して、脱マンガン精製液とマンガン沈殿を形成する脱マンガン工程、及び
(3)前記脱マンガン精製液に抽出剤としてアルキルリン酸を用いて、該脱マンガン精製液中の亜鉛、カルシウム及び前記工程で残留した微量不純物を抽出分離する溶媒抽出工程、を含むことを特徴とするコバルト水溶液の精製方法。 - 前記脱銅工程で用いる硫化剤が、硫化水素ガスであることを特徴とする請求項1に記載のコバルト水溶液の精製方法。
- 前記脱マンガン工程において、前記脱銅精製液の温度を45℃以上とすることを特徴とする請求項1に記載のコバルト水溶液の精製方法。
- 前記コバルト水溶液が塩化コバルト水溶液であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコバルト水溶液の精製方法。
- 前記塩化コバルト水溶液のpHが1.0以下であることを特徴とする請求項4に記載のコバルト水溶液の精製方法。
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