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JP4086126B2 - 建築物の構造設計方法 - Google Patents
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JP4086126B2 - 建築物の構造設計方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、住宅の設計時にコンピュータを用いて構造材の強度の判定を行えるようにした住宅の構造計画支援方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
在来軸組み工法においては、大工などの現場作業者が、作業現場において柱や横架材等を所定の寸法に加工したが、近年、これら材木の加工にいわゆるプレカットシステムが導入され、専用のプレカット工場にて材木に対する所用の加工が予めなされ、加工された材木が建築現場に運搬されて、木材相互の組立が行われている。係るプレカットシステムにおいては、経験に基づく架構ルールに従い柱、梁の材料寸法やスパンを決定しており、常に必要以上の強度の材料を用いていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、プレカットシステムにおいて、コンピュータを用いて構造解析を行うことで柱や横架材に最適強度のものを選択するとの着想を持った。ここで、コンピュータを用いて構造解析し住宅の設計を支援する方法として、例えば、特開平9−316994、特開平9−302764等が提案されている。しかし、かかる技術は、均質な建築材料を用いるプレハブ住宅に関するものであり、強度が1本ずつ異なる木材を用いる在来軸組工法に適用できるものではなかった。
【0004】
この発明は、建築物の形状データから構成木材の形状とヤング率と求めることができる建築物の構造設計方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
【0007】
請求項は、建築物の形状データを入力し、建築物の構成材に加わる荷重から、構造計算により強度上必要な構成材の形状を算出するステップと、前記算出した強度上必要な形状を、構成材の規格上の形状に切り上げ又は切り下げるステップと、前記切り上げ又は切り下げに応じて、算出した強度を保てるようにヤング率を求めるステップと、からなることを技術的特徴とする。
【0008】
請求項では、建築物の形状データを入力し、建築物の構成材に加わる荷重から、構造計算により強度上必要な形状を算出する。そして、形状を、構成材の規格上の形状に切り上げ又は切り下げ、切り上げ又は切り下げに応じて算出した強度を保てるようにヤング率を求める。このため、構成材の形状とヤング係数とを自動的に求めることが可能になる。
【0009】
請求項では、横架材及び柱を含む建築物の形状データを入力し、横架材に加わる荷重から、構造計算により強度上必要な横架材の高さを算出するステップと、前記算出した強度上必要な高さを、横架材の規格上の高さに切り上げ又は切り下げるステップと、前記切り上げ又は切り下げに応じて、算出した強度を保てるようにヤング率を求めるステップと、からなることを技術的特徴とする。
【0010】
請求項2では、横架材及び柱を含む建築物の形状データを入力し、横架材に加わる荷重から、構造計算により強度上必要な横架材の高さ算出する。そして、高さを、横架材の規格上の高さまで切り上げ又は切り下げ、切り上げ又は切り下げに応じて算出した強度を保てるようにヤング率を求める。このため、横架材の高さとヤング係数とを自動的に求めることが可能になる。
【0011】
請求項は、横架材及び柱を含む建築物の形状データを入力し、横架材に加わる荷重から、構造計算により強度上必要な横架材の高さとヤング係数を算出し、区画毎に横架材の高さ及びヤング係数の修正を行うことを技術的特徴とする。
【0012】
請求項では、横架材及び柱を含む建築物の形状データを入力し、横架材に加わる荷重から、構造計算により強度上必要な横架材の高さとヤング係数を算出し、区画毎に横架材の高さ及びヤング係数の修正を行う。このため、横架材に必要とされる高さとヤング係数とを自動的に求めることができ、算出したばらばらの横架材の高さを、区画単位で揃え、実際に建築し得る横架材の高さを得ることができる。
【0013】
請求項は、請求項において、前記区画毎の横架材の高さ及びヤング係数の修正は、修正を行う区画内の最も高さの高い横架材の高さに、他の横架材の高さを揃え、該高さを高くした横架材に対して、必要とする強度が得られる範囲でヤング係数を低下させることにより行うことを技術的特徴とする。
【0014】
請求項の発明では、区画毎の横架材の高さ及びヤング係数の修正は、修正を行う区画内の最も高さの高い横架材の高さに、他の横架材の高さを揃える。このため、算出したばらばらの横架材の高さを、区画単位で揃え、実際に建築し得る横架材の高さを得ることができる。一方、高さを高くした横架材に対して、必要とする強度が得られる範囲でヤング係数を低下させる。このため、ヤング係数の低い材木を効率的に利用することが可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について図を参照して説明する。本実施の形態では、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)の画面で住宅の仕様及び形状データを入力しながら住宅の設計を行い、同時に梁、柱及び基礎の強度チェックを行うようになっている。先ず、住宅の仕様データ及び形状データをパソコンに入力する手順及び設計処理について、図5〜図11フローチャートを参照しながら説明する。ここで、設計を行う住宅の1階の平面図を図1に、2階の平面図を図2に、1階の伏図を図3に、2階の伏図を図4に示す。
【0016】
図5は、第1実施形態に係る建築物の構造設計方法を遂行するための主ルーチンを示している。先ず、S100において初期条件を入力後、柱や梁等の位置データを処理して初期条件設定を終える。続いて、S200で地震力や風圧力等の水平荷重に対する検討を行い、各柱の負担面積と設計荷重から長期軸力の算出(S300)及び積雪・水平力による各柱の短期軸力(S400)の算出を行う。
【0017】
次にS500で区画の選択を行う。本実施形態で区画とは、横架材で囲まれる部屋割りのことを意味する。次のS800において、S500で選択した区画内にある大梁に対して強度上の必要に応じて梁成を高める修正を行う。
【0018】
そして、S900で、上記処理により強度上の要請から梁成を高め横架材の高さにバラツキが発生した際に、区画内で高さを揃える処理を行う。その後、未選択の区画があるかを判断し(S1000)、未選択の区画が有った場合には(S1000:Yes)、S500へ戻り、チェックされていない区画を選択し、同様の処理を進める。全ての区画について横架材の高さを修正すると(S1000:No)、主ルーチンを終了する。
【0019】
ここで上述したS100での初期条件設定について、当該処理のサブルーチンを示す図6を参照して更に詳細に説明する。S110で住宅の設計・物件情報を入力する。ここでは、荷重を計算するために必要な屋根種別、収納される重量物等の情報を入力する。続いて、S120で図1,図2に示す伏図のデータを入力する。この伏図のデータとしては、当該住宅用の材木をプレカット加工するためにプレカットシステムにて生成されたデータを流用することができる。
【0020】
続いて、S130で各層(階)ごとの固定荷重、積載荷重などの仮定荷重を設定する。固定荷重とは建物を構成する柱・梁等の建築物の自重である。したがって、構成材料により、それらの荷重を合計したものとなる。積載荷重とは、建築物内に収納される物や人間の重量である。ここで、2階建て住宅においては、1層(階)での固定荷重、積載荷重を仮定し、2層(階)についても同様に固定荷重、積載荷重を仮定する。
【0021】
S130での各層(階)における仮定荷重の設定が終わると、S140において各層(階)ごとの設計荷重の算出を行う。各層(階)における固定荷重、積載荷重を合計した荷重が設計荷重となり、この情報データを基に構造計算を行い、材料配置座標データを算出する。
【0022】
次に、S150で位置データの変換を行う。先ず、各層(階)・各耐力壁の座標位置データ及び壁倍率αiを(Xi、Yi、Xj、Yj、αi)に変換する。即ち、図12に示すように耐力壁Wの両端の座標(Xi、Yi、 Xj、Yj)を求め、座標で当該耐力壁Wを特定できるようにする。同様に、通常の壁(外壁・内壁)位置データを(Xi、Yi、Xj、Yj)に変換、柱の位置データ及び幅角d、材種番号nを(Xi、Yi、d、n)に変換、最後に梁の位置データ及び幅d、成h、材種番号nを(Xi、Yi、Xj、Yj、d、h、n)に変換する。全ての位置データの変換が終わると、初期条件設定(S100)のサブルーチンが終了する。
【0023】
つぎに、主ルーチンを示す図5中のS200での水平荷重に対する検討について、当該処理のサブルーチンを示す図7のフローチャートを参照して説明する。S210では、各層(階)・梁間・桁行方向毎の有効壁量及び壁耐力の算定を行う。ここで耐力壁とは、水平力、建物の自重等による鉛直力に対抗する壁体であり、各耐力壁の長さに壁倍率を乗じ、これを累計したものが有効壁量となる。また、壁耐力は、有効壁量に200kgf/mを乗じたものである。つぎに、地震力・風圧力に対する必要壁量の算定を行う(S220)。ここでは、有効壁量の必要壁量に対する比率が1.0以上であるように調整し、壁量の検討を終える。
【0024】
S230では、地震力及び風圧力の算定を行い、続いてS240で地震力・風圧力における水平力に対する耐力の比率が1.0以下であるように調整し、耐力の検討を終了する。つぎに、S250で層間変形角及び剛性率の検討を行う。外壁材が構造体に追随して脱落しないためには、層間変形角が1/200以下及び剛性率が0.6以上が必要である。特に、木造2階建てでは層間変形角は1/120以下となる。このステップでは、層間変形角が1/200(1/120)以下、剛性率が0.6以上であるように調整し、確認されれば、次のステップに移る。
【0025】
S260では、偏心率の検討を行う。各階平面の重心と耐力壁の剛性の中心である剛心のずれが偏心率であり、偏心率が0.15以下なら、耐力壁の配置バランスが良い建物である。このステップでは、偏心率が0.15以下であるように調整をしたら、このスッテップを終了し、S270に移る。
【0026】
S270では保有水平耐力の検討を行う。ここで、終局状態における水平耐力が保有水平耐力である。各層(階)の必要保有水平耐力に対する各層(階)の保有水平耐力の比が1.0以下であるように調整し、確認がされれば次のステップに移る。
【0027】
最後に、S280で接合部耐力の検討を行う。ここでは、土台−柱及び梁−柱の引抜け防止、及び桁−たる木の吹上げ防止の2つの条件について検討を行う。つまり、土台−柱及び梁−柱の引抜け防止については、水平力による接合部引抜力に対する金物の引抜短期許容耐力の比が1.0未満になるように調整する。また、桁−たる木の吹上げ防止については、たる木にかかる風圧力に対する吹上に対する抵抗力の比が1.0未満になるように調整する。S280での処理が終了すると、水平荷重に対する検討(S200)のサブルーチンを終了する。
【0028】
続いて、主ルーチンを示す図5に示すS800(大梁の自動指定及び修正)について、当該処理のサブルーチンである図8のフローチャートを参照して説明する。ここでは、2階の伏図である図4中の大梁(横架材)O1、O2、O3、O4で囲まれた区画Aの処理を例示して説明を行う。まず、S810のステップで区画A内にある未選択の大梁を選択する。ここでは、大梁O1を選択したとすると、その後、S820でスパンLの確認を行う。例えば、図4において大梁O1の渡される通し柱H1、H4の間に、下側の管柱H2、H3がある際には、スパンは、通し柱H1−管柱H2間のスパンL1、管柱H2−管柱H3間のスパンL2、管柱H3−通し柱H4間のスパンL3を確認する。更に、図4において大梁O1上に管柱H5が架かっているため、荷重のスパンは、管柱H3と管柱H5との間の距離、及び、管柱H5と管柱H2との距離ということになる。ここでは、管柱が存在したが、横架材の上に梁、根太などがある際にも、同様に荷重スパンを確認する。この確認が終了したら次のS830に移動する。
【0029】
S830では、大梁にかかる荷重形式を選択する。荷重形式は、後述するように大梁上にある横架材の種類やスパンなどによって決定される。荷重形式の選択が終了すると、荷重形式と梁の検定式より梁成を算出する(S840)。算出される梁成は、曲げによる梁成hb、剪断による梁成hs、たわみL/500による梁成h500、たわみ5mmによる梁成h5の4種類である。
【0030】
S850では、区画内に未選択の大梁があるかどうかを判別する。未選択の大梁があれば(S850:Yes)、S810に戻り、同様の処理を繰り返す。全ての大梁を選択すると(S850:No)ならば、S800での大梁の自動指定及び修正処理を終了する。
【0031】
上述したS830での大梁にかかる荷重形式の選択について、当該処理のサブルーチンを示す図9のフローチャートを参照して説明する。先ずS831では、指定した大梁の上に梁又は柱が存在するかを判定する。梁又は柱が存在する場合には(S831:Yes)、S838に進み、指定した大梁は集中荷重のみを受けていると判定する。
【0032】
一方、梁又は柱が存在しない場合には(S831:No)、S832へ進み、指定した大梁に根太が架かり、かつ梁又は柱が存在するかどうかを判定する。根太が架かり、かつ梁又は柱が存在するなら(S832:Yes)、S839に進み、指定した大梁は等分布荷重と集中荷重を受けていると判定する。
【0033】
ここでも大梁には根太はかかっておらず、かつ梁又は柱も存在しない時には(S832:No)、S833に進み、指定した大梁上に根太があるかどうかを判定する。根太があるなら(S833:Yes)、S837に進み、指定した大梁は等分布荷重のみを受けていると判定する。
【0034】
指定した大梁上に根太はない場合には(S833:No)、S834に進み、大梁上に内壁があるかどうかを判定する。内壁があるなら(S834:Yes)、S833と同様にS837に進み、指定した大梁は等分布荷重のみを受けていると判定する。
【0035】
内壁がないなら(S834:No)、S835へ進み、大梁上に外壁があるかどうかを判定する。外壁があるなら(S835:Yes)、同様にS837に進み、指定した大梁は等分布荷重のみを受けていると判定する。ここで、大梁上に外壁はない場合(S835:No)、S836へ進み、大梁上は床であると判定し、S837に進み、大梁は等分布荷重のみを受けていると判定する。以上の処理で荷重形式の判定(S830)を終了する。
【0036】
ここで、上述したS838、S839、S837の荷重形式の判定処理の際に、大梁のスパンLに加わる荷重(kg/m)を算出する。ここでは、等分布荷重のみと判定した際には(S837)、次式により等分布荷重ωを演算する。
【数1】
ω(kg/m)=W(kg/m2)×p(m)+(壁単位荷重)×(高さ)
ここで、Wは、設計荷重を表し、pは梁負担幅を表す。なお、等分布荷重ωについてのみ計算式を示すが、上述したS838の集中荷重のみの場合、S839の等分布荷重と集中荷重の場合も、所定の演算式に基づき荷重を算出する。
【0037】
図8を参照して上述したS840の梁成の算出処理について、当該処理のサブルーチンを示す図10を参照して説明する。先ず、指定した大梁の梁成が荷重に耐え得るかを検定する(S842)。梁の検定式は荷重形式により決まるが、大梁が等分布荷重のみを受けていると判定された際の検定について説明する。なお、本実施形態では、木材として、標準ヤング率(100kg/cm2)の物、低ヤング率(80kg/cm2)の物、高ヤング率(120kg/cm2)の物の3種類を用いる。先ず、曲げ応力度に耐える大梁の梁成hb(mm)を次式より求める。ここで、応力度とは、単位面積当たりの荷重である。
【数2】
hb=(3ωL2/4bfb)1/2
ここで、L(m)はスパン、b(mm)は大梁の幅、fb(kg/cm2) は、許容曲げ応力度を表す。
【0038】
また、剪断応力度に耐える大梁の梁成hs(mm)を次式より求める。
【数3】
hs=1.5ωL/2bfs
fs(kg/cm2)は、許容剪断応力度を表す。
【0039】
一方、L/500の撓み量(単位長さあたりの撓み量)以上撓まない梁成h500(mm)を次式より求める。
【数4】
h500=(25×106ωL3/32Eb)1/3
E(kg/cm2)はヤング係数を表し、本実施形態では標準ヤング率(100kg/cm2)で計算する。
【0040】
一方、撓み量5mm以下(絶対撓み量)である梁成h5(mm)を次式より求める。
【数5】
h5=(ωL4/32Eb)1/3
【0041】
上記値は断面性能データ及び強度区分表より与えられる値である。なお、荷重が等分布荷重と集中荷重からなる場合、及び、集中荷重のみからなる場合には、大梁の各スパンに対して同様の処理を行い、各スパンの内の最大の梁成を当該大梁の必要梁成として処理を進める。
【0042】
当該S842では、上述した4種類の内の最も大きい梁成が、予め指定された大梁の断面の高さ(梁成)H(mm)より小さいかどうかを判定する。小さければ(S842:Yes)、大梁の強度が十分にあるため、標準のヤング率(100kg/cm2)よりも低い、ヤング率80kg/cm2の木材を使用できるかを判断する(S843)。即ち、80kg/cm2の木材でも上記L/500の撓み量、及び、撓み量5mm以下を満たし得る場合には(S843:Yes)、当該大梁のヤング率として、80kg/cm2を設定する(S844)。他方、満たし得ない場合には(S843:No)、標準の100kg/cm2を設定した状態で処理を終了する。
【0043】
一方、S842において4種類の梁成の中で、梁の断面の高さHより大きいものがあれば(S842:No)、当該大梁をパソコンのモニター(図示せず)に色別表示する(S845)。たとえば、曲げによる梁成hbと剪断による梁成hsの2種類が梁の断面の高さHより大きかったとすると、パソコンの画面上で曲げによる梁成hbは紫色で表示され、剪断による梁成hsは赤色で表示される。または、撓みL/500による梁成h500や、撓み5mmによる梁成h5が梁の断面の高さHより大きいとすると、たわみL/500による梁成h500はピンク色で表示され、たわみ5mmによる梁成h5は黄色で表示され、オペレーターに異常があることを知らせる。
【0044】
次に、標準のヤング率(100kg/cm2)よりも高いヤング率120kg/cm2の木材を使用することで必要強度を満たせるかを判断する(S846)。即ち、ヤング率120kg/cm2の木材を用いることで上記L/500の撓み量、及び、撓み量5mm以下を満たし得る場合には(S846:Yes)、当該大梁のヤング率として、120kg/cm2を設定する(S840)。他方、満たし得ない場合には(S846:No)、梁成をランクアップする(S852)。例えば、当該大梁の梁成として150mmが指定されていた場合には、ワンランク高い180mmの梁成を指定する。即ち、30mm刻みで梁成を設定しているため、30mm高い梁成を採用する。その後、S842に戻り、ワンランク高い梁成より、上記4種類の梁成の中で最も値の大きい梁成が小さいかどうかを判定する。なお、大梁の幅bは、在来軸組み工法において柱との統一値を用いるため、強度が不足する際には、梁成のみを調整する。
【0045】
引き続き、図5に示す主ルーチンのS900(高さ揃え)について、当該処理のサブルーチンを示す図11を用いて説明する。S900の高さ揃え処理では、上述したS800において大梁の梁成を修正した後、このステップで区画内の横架材の高さ揃える。まず、S910において、区画内の横架材の高さにバラツキがあるかどうかを判定する。ここで、例えば図4に示す区画Aを構成する大梁O1、O2の高さは150mmであるが、大梁O3、O4の高さが180mmで大梁O1、O2よりも高いとすると(S910:Yes)、次のS920へ進む。
【0046】
S920では、低い梁成の大梁を選択する。ここでは、大梁O1を選択したものとして説明を続ける。次に、S930で当該選択した大梁O1の梁成を、高い大梁O3、O4の梁成(180mm)に揃える。そして、設定されているヤング率よりも低いヤング率の木材を使用できるかを判断する(S940)。即ち、梁成を高くした結果、ヤング率のランクの低い木材を用いても上記L/500の撓み量、及び、撓み量5mm以下を満たし得る場合には(S940:Yes)、当該大梁のヤング率として、低ランクのヤング率を設定する(S950)。他方、満たし得ない場合には(S940:No)、設定されたヤング率を用いる。そして、S960で、全ての低梁成の大梁を選択したか判断し、選択が完了していないときには(S960:No)、S920へ戻り、他方、選択が完了しているときには(S960:Yes)、当該高さ揃え処理を終了する。これにより、必要な強度を満たすのみでなく、実際に建築し得る構造データを得ることができる。また、低ヤング率の木材を効率的に使用することを可能にする。なお、S910で区画内の横架材の高さが全て等しいときは(S910:No)、S900での処理を終え、次のステップ1000に移る。
【0047】
上記処理を、2階の伏図を示す図4中の区画B、区画C、区画Dに対して進め、更に、下層の1階の各区画に対して行うことにより、設計が完了する。梁成の修正は、修正後の影響を考慮して上層が完了した後、当該修正した梁成に基づき荷重を算出して下層に対しての処理を進める。ここでは、大梁の梁成を揃えたが、横架材の梁成を揃える際にも上記処理を用いることができる。
【0048】
引き続き、本発明の第2実施形態に係る建築物の構造設計方法について説明する。上述した第1実施形態では、大梁の梁成を予め指定した。これに対して、第2実施形態では、必要な強度を有する大梁の梁成を自動算出する。この第2実施形態の処理は、梁成算出処理を除き第1実施形態と同様であるため、この梁成算出処理についてのみ図13を参照して説明する。
【0049】
先ず、梁成算出処理を示す図13のS1830にて、第1実施形態と同様に曲げ応力度に耐える大梁の梁成hb(mm)、剪断応力度に耐える大梁の梁成hs(mm)、L/500の撓み量(単位長さあたりの撓み量)の梁成h500(mm)、撓み量5mm以下(絶対撓み量)の梁成h5(mm)を求める。
【0050】
次に、上記4つの値の内の最も高い梁成よりも低い規格値の梁成の木材を用い得るかを判断する(S1833)。即ち、横架材として150mm、180mm、210mm等の30mm刻みの規格値を用いるが、この規格値まで切り下げた梁成の木材を用い得るかを判断する。例えば、曲げ応力度に耐える大梁の梁成hbが122mm、剪断応力度に耐える大梁の梁成hsが134mm、L/500の撓み量の梁成h500が156mm、撓み量5mmの梁成h5145mmと算出された際には、最も高いL/500の撓み量の梁成h500が156mmに対して、切り下げた最も近い規格値である150mmの木材を用いても、高い側のヤング率(120kg/cm2)を用れば、必要となる強度を得れるかを判断する(S1833)。必要強度が得られないときには(S1833:No)、S1842へ移行し、切り上げた梁成(ここでは、180mm)を設定し、切り上げた梁成に対応するヤング率を設定する(S1844)。
【0051】
一方、必要強度が得られる際には(S1833:Yes)、S1838にて、上記4つの値の内の最も高い梁成に最も近い規格値、及び、当該規格値でのヤング率を表示する。例えば、最も高いL/500の撓み量の梁成h500が156mmに対して、最も近い規格値、150mmと180mmとを表示し、当該150mmの際のヤング率(例えば、120kg/cm2)と、180mmの際のヤング率(例えば、80kg/cm2)とを表示する。
【0052】
この表示に応じて、オペレータが、当該大梁の高さ高い側への切り上げを指示した際には(S1840:Yes)、切り上げた梁成(ここでは、180mm)を設定し(S1842)、上記ヤング率80kg/cm2を設定する(S1844)。一方、オペレータが、当該大梁の高さ低い側への切り下げを指示した際には(S1850:Yes)、切り下げた梁成(ここでは、150mm)を設定し(S1852)、上記ヤング率120kg/cm2を設定する(S1854)。この第2実施形態では、大梁の梁成を予め指定する必要がないという利点がある。また、大梁の高さを切り上げるか、切り下げるかを使用予定の木材のヤング率に応じて指示することが可能である。
【0053】
引き続き、本発明の第3実施形態に係る建築物の構造設計方法について説明する。上述した第2実施形態では、大梁の梁成を選択した。これに対して、第3実施形態では、大梁の梁成を自動選択する。この第3実施形態の処理は、梁成算出処理を除き第1実施形態と同様であるため、この梁成算出処理についてのみ図14を参照して説明する。
【0054】
先ず、梁成算出処理を示す図14のS1830にて、第1実施形態と同様に曲げ応力度に耐える大梁の梁成hb(mm)、剪断応力度に耐える大梁の梁成hs(mm)、L/500の撓み量(単位長さあたりの撓み量)の梁成h500(mm)、撓み量5mm以下(絶対撓み量)の梁成h5(mm)を求める。
【0055】
次に、第2実施形態のS1833と同様に高い側のヤング率(120kg/cm2)を用れば、梁成を切り下げても必要となる強度を得れるかを判断する(S1833)。必要強度が得られないときには(S1833:No)、S1842へ移行し、切り上げた梁成を設定し、切り上げた梁成に対応したヤング率を設定する(S1944)。
【0056】
一方、切り下げても必要強度が得られるときには(S1833:Yes)、当該大梁が2区画に跨る大梁かを判断する(S1840)。例えば、図4中で、大梁O1は、区画Aのみに属するため(S1840:No)、S1842へ移行し、切り上げた梁成を設定し、切り上げた梁成に対応したヤング率を設定する(S1944)。一方、図4中で、大梁O4は、区画A及び区画Bに属するため(S1840:Yes)、S1852へ移行し、切り下げた梁成を設定し、切り下げた梁成に対応したヤング率を設定する(S1954)。即ち、複数の区画に跨る大梁は、梁成を高めると、梁成を揃える際の影響が大きくなるので、ヤング率を高めることで、低い梁成を設定する。
【0057】
第3実施形態では、低いヤング率の木材を利用できると共に、高いヤング率の木材を効率的に用いることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 設計を行う住宅の1階の平面図である。
【図2】 設計を行う住宅の2階の平面図である。
【図3】 設計を行う住宅の1階の伏図である。
【図4】 設計を行う住宅の2階の伏図である。
【図5】 第1実施形態の建築物の構造設計方法の主ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】 図5中の初期条件設定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】 図5中の水平荷重に対する検討処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】 図5中の大梁の自動指定及び修正処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図9】 図8中の荷重形式決定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図10】 図8中の梁成算出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図11】 図5中の高さ揃え処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図12】 耐力壁の位置データ変化を示す説明図である。
【図13】 第2実施形態に係る梁成算出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図14】 第3実施形態に係る梁成算出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
O1、O2、O3、O4 大梁
H1,H4 通し柱
H2、H3、H5 管柱
W 耐力壁
A、B、C、D 区画

Claims (4)

  1. 建築物の形状データを入力し、建築物の構成材に加わる荷重から、構造計算により強度上必要な構成材の形状を算出するステップと、前記算出した強度上必要な形状を、構成材の規格上の形状に切り上げ又は切り下げるステップと、前記切り上げ又は切り下げに応じて、算出した強度を保てるようにヤング率を求めるステップと、からなることを特徴とする建築物の構造設計方法。
  2. 横架材及び柱を含む建築物の形状データを入力し、横架材に加わる荷重から、構造計算により強度上必要な横架材の高さを算出するステップと、前記算出した強度上必要な高さを、横架材の規格上の高さに切り上げ又は切り下げるステップと、前記切り上げ又は切り下げに応じて、算出した強度を保てるようにヤング率を求めるステップと、からなることを特徴とする建築物の構造設計方法。
  3. 横架材及び柱を含む建築物の形状データを入力し、横架材に加わる荷重から、構造計算により強度上必要な横架材の高さとヤング係数を算出し、区画毎に横架材の高さ及びヤング係数の修正を行うことを特徴とする建築物の構造設計方法。
  4. 前記区画毎の横架材の高さ及びヤング係数の修正は、修正を行う区画内の最も高さの高い横架材の高さに、他の横架材の高さを揃え、該高さを高くした横架材に対して、必要とする強度が得られる範囲でヤング係数を低下させることにより行うことを特徴とする請求項の建築物の構造設計方法。
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