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JP4087155B2 - 成膜装置 - Google Patents
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JP4087155B2 - 成膜装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成膜装置および成膜方法に関し、特に、電界を与えて膜形成材料を励起させることにより成膜を行う成膜装置および成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の成膜装置のひとつとして、イオンプレーティング装置がある。例えば、高周波電圧、または高周波電圧と直流電圧とを印加して成膜を行うイオンプレーティング装置では、一方の電極として導電性の基材ホルダがチャンバ内に配置されるとともに、薄膜形成材料を充填した蒸発源が基材ホルダと対向するように配置される。そして、この基材ホルダに設けられた開口部に、光学用ガラス基材等の成膜対象たる絶縁性基材が取り付けられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
成膜時に高周波電圧を印加すると、基材ホルダに直接接触している基材外周部では、高周波電力の放電によって生じたプラズマによるセルフバイアスが発生する。このプラズマにより、蒸発した薄膜形成材料が励起され、そのセルフバイアスによって加速されて勢いよく基材表面に衝突する。その結果、緻密な膜が形成され、膜の屈折率や密着性等の向上が図られる(これをイオンプレーティング効果と呼ぶ)。
【0004】
一方、基材の中央部では、基材ホルダと接触しておらずかつ基材が絶縁性であるため、ほとんどセルフバイアスが発生しない。このため、薄膜形成材料を勢いよく基材表面に衝突させることができない。それゆえ、基材への密着性が低下するとともに、成膜された薄膜の緻密さが低くなることで、膜内に空隙ができ、屈折率が低下する。また、この空隙に空気中の水分が混入することで、屈折率が変化しやすくなる。このように、基材中央部に対応する薄膜の領域では、イオンプレーティング効果がほとんど得られない。
【0005】
以上のように、基材の外周部と中央部とでは、薄膜形成材料が基材に衝突する際の勢いが異なるため、成膜された薄膜の屈折率や密着性等に部分的なむらが発生してしまい、得られた薄膜の膜質が不均一となる。特に、寸法が大きな基材を用いて成膜する場合や多層膜を成膜する場合には、このような膜質の不均一が生じやすい。例えば、光学用の多層膜フィルタを成膜した場合には、基材の外周部および中央部に対応する各領域で膜質に不均一が生じるため、各領域における透過率等の光学特性が大きく異なることがある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、均一な膜質を有する膜を成膜することが可能な成膜装置および成膜方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る成膜装置は、その内部で電界を用いて基材に成膜を行うためのチャンバと、前記電界を発生させるための電源と、成膜材料を供給するための材料供給源装置と、前記チャンバ内に配置され、開口部を有して前記電源と電気的に接続されている導電性の基材ホルダと、前記開口部に装着された筒状の導電性の基材支持部材と、前記基材ホルダと電気的に接続されている補助電極と、を備え、前記基材支持部材の内部に絶縁性の基材が嵌め込まれ、前記補助電極が、前記基材を含めて前記基材支持部材を、前記基材の成膜面と反対の裏面側から覆うように構成されている(請求項1)。
【0008】
かかる構成によれば、補助電極を基材の成膜面と反対側の面に配置することにより、電界を与えた際に、基材外周部だけでなく基材中央部においても十分なセルフバイアスを発生させることが可能となる。このため、基材の外周部および中央部において、均一かつ十分な勢いで膜形成材料を基材に衝突させることが可能となり、よって、均一かつ良好な膜質を有する膜を成膜することが可能となる。
【0009】
記補助電極がメッシュ状であってもよい(請求項)。
【0010】
補助電極がメッシュ状である場合には、基材を加熱した際に、メッシュの間で露出した基材に効率よく熱が伝えられる。このため、補助電極により基材の昇温が妨げられるのを抑制して、効率よく基材の加熱を行うことが可能となる。
【0011】
前記基材ホルダが複数の前記開口部を有するとともに前記開口部にそれぞれ前記基材支持部材および前記基材が装着され、個々の前記基材に対応して複数の前記補助電極が配置されてもよく(請求項)、また、前記基材ホルダが複数の前記開口部を有するとともに前記開口部にそれぞれ前記基材支持部材および前記基材が装着され、前記複数の基材の前記成膜面と反対側の面を覆う共通の前記補助電極が配置されてもよい(請求項)。
【0012】
複数の基材に共通な補助電極が配置される場合には、個々の基材に個別に補助電極を配置する必要がないため、容易に補助電極を配置することが可能となるとともに、装置の部品数が減るので装置コストの低減化を図ることが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。ここでは、本発明に係る成膜装置として、イオンプレーティング装置について説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係るイオンプレーティング装置の構造を示す模式図である。
【0021】
図1に示すように、イオンプレーティング装置は、導電性部材からなる真空チャンバ1内に、成膜材料を供給するための材料供給源装置、すなわち薄膜形成材料を蒸発させる蒸発源2が配設され、この蒸発源2に対向するように導電性の部材からなるドーム状の基材ホルダ3が配置されている。この基材ホルダ3には、後述するように、成膜対象たる例えば円板状の基材4が取り付けられる。基材ホルダ3の背面中央部には、導電性の部材からなる回転軸5が真空チャンバ1の壁部を貫通して外部に延びるように配設されている。回転軸5は、軸受けにより回転可能に支持されている。回転軸5のチャンバ壁部貫通部分から先端に至る部分(以下、突出部と呼ぶ)は、回転駆動部たるモータ6に接続されている。
【0022】
回転軸5の突出部の所定部分には、回転軸5と直接接するようにブラシ(図示せず)が設けられている。ブラシは、ケーブルを通じて、高周波電源(RF)7に接続されるとともに、直流電源(DC)8に接続されている。この高周波電源7、直流電源8および真空チャンバ1は、それぞれ接地されている。
【0023】
基材ホルダ3には、大きさの等しい複数の円形の開口部が設けられており、この開口部に基材4が取り付けられる。開口部の配列は特に限定されるものではないが、例えばここでは、回転軸5を中心とする同心円上に等間隔で開口部が配置され、その開口部にそれぞれ基材4が取り付けられる。このような基材ホルダ3は、アルミニウム、SUS等の導電性材料から構成される。
【0024】
図2は、図1の基材ホルダの詳細な構造を示す模式的な断面図であり、ここでは、複数の開口部のうちの1つを例示している。
【0025】
図2に示すように、基材ホルダ3の開口部3aには、基材4を基材ホルダ3に取り付けるための基材支持部材9が嵌め込まれる。基材支持部材9は、アルミニウム、SUS、真鍮等の導電性材料から構成され、以下のような構造を有する。
【0026】
基材支持部材9の本体は円筒形であり、下端部に内方に突出する爪9Aを有するとともに上端部に鍔部9Bを有する。鍔部9Bの下面が基材ホルダ3の開口部3aの周縁部上面に当接することにより基材支持部材9が基材ホルダ3に支持され、開口部に基材支持部材9が嵌合される。
【0027】
開口部3aに取り付けられた基材支持部材9の内部に、爪9Aにより支持されるように基材4が嵌め込まれて収容される。基材4は、本実施の形態では、絶縁性材料から構成され、円板状である。基材支持部材9内に嵌め込まれた基材4では、基材ホルダ3のドーム内部側の面が成膜面となる。
【0028】
そして、基材4の前記成膜面と反対側の面(以下、これを裏面と呼ぶ)は、上方に配置された補助電極10Aにより完全に覆われる。補助電極10Aは、収容された基材4も含め基材支持部材9全体を裏面側から覆い、かつ、基材ホルダ3の開口部3aの周縁部を覆うように配置される。このような補助電極10Aは、基材ホルダ9の開口部3a周縁と直接接触することにより、基材ホルダ3と電気的に接続される。補助電極10Aは、電極材料として利用可能な材料、例えばアルミニウム、SUS等から構成される。例えば、アルミホイルにより補助電極10Aを形成してもよい。
【0029】
次に、以上のように構成されたイオンプレーティング装置の動作を説明する。
【0030】
図1および図2において、基材4を配置した基材支持部材9を基材ホルダ3の開口部3aに装着し、モータ6を駆動させる。すると、回転軸5およびその一端に取り付けられた基材ホルダ3が回転する。一方、高周波電源7および直流電源8を動作させる。すると、高周波電圧および直流電圧がケーブルを介してブラシ(図示せず)に与えられ、さらに、ブラシに接触している回転軸5に与えられる。それにより、基材ホルダ3と真空チャンバ1との間に高周波電圧および直流電圧が与えられる。
【0031】
次いで、蒸発源2に充填した薄膜形成材料を蒸発させる。すると、蒸発した薄膜形成材料が高周波電圧により発生したプラズマにより励起され、この励起された薄膜形成材料が、セルフバイアスおよび直流電界により加速され、基材4の表面に衝突して付着する。それにより、基材4の表面に薄膜が形成される。
【0032】
この際、基材4の裏面には基材ホルダ3と電気的に接続される補助電極10Aが設けられているため、基材ホルダ3を通じて高周波電圧が補助電極10Aに与えられる。基材4の裏面全体は補助電極10Aにより覆われているため、絶縁性の基材4であっても、導電性の基材支持部材9と接触している外周部だけでなく、基材中央部でも十分なセルフバイアスが発生する。それにより、薄膜形成材料が基材4の表面に衝突する際の勢いが、基材4の外周部と中央部とでほぼ均一となる。このため、基材4の表面に形成された薄膜では、基材4の外周部および中央部に対応する領域において、屈折率や密着性等の膜質の均一化が図られるとともに、セルフバイアスにより勢いよく薄膜形成材料を基材4に衝突させることができるため、緻密な膜が形成されて屈折率や密着性等の膜質の向上、すなわち十分なイオンプレーティング効果が得られる。
【0033】
以上のような本実施の形態における効果は、薄膜を多数積層してなる光学用の多層フィルタや、直径の大きな基材を用いて成膜を行う場合において、特に有効である。
(実施の形態2)
本実施の形態に係るイオンプレーティング装置は、実施の形態1の装置と同様の構成を有するが、以下の点が実施の形態1の装置と異なっている。
【0034】
図3は、本実施の形態のイオンプレーティング装置に用いられる基材ホルダの構造を示す模式的な上面図である。
【0035】
図3に示すように、本実施の形態では、補助電極10Bがメッシュ状になっており、メッシュの間で基材4の裏面が露出している。このような構成によれば、成膜時にヒータにより基材4の加熱を行った際に、ヒータの熱をメッシュの間から基材4の裏面に効率よく伝えることができるため、補助電極10Bにより基材4の昇温が妨げられるのを抑制することができる。このため、効率よく基材4の加熱を行うことが可能となる。
(実施の形態3)
本実施の形態に係るイオンプレーティング装置は、実施の形態1の装置と同様の構成を有するが、以下の点が実施の形態1の装置と異なっている。
【0036】
図4は、本実施の形態のイオンプレーティング装置に用いられる基材ホルダの構造を示す模式的な断面図である。なお、実施の形態1の図2においては、基材ホルダ3に設けられた複数の開口部3aのうちの1つを例示したが、図4においては、複数の開口部およびそこに取り付けられる各基材4について示している。
【0037】
図4に示すように、本実施の形態では、実施の形態1の場合のように基材ホルダ3の各開口部3aに配置される個々の基材4ごとに補助電極10Aが設けられるのではなく、複数の基材4に共通な補助電極10Cが、基材ホルダ3のドーム外面全体を覆うように設けられている。この補助電極10Cは、導電性材料から構成される複数のスペーサ11により、基材ホルダ3と電気的に接続される。このような構成によれば、複数の基材4に対して個々に補助電極を配置する必要がないため、容易に補助電極10Cを配置することが可能となる。また、装置の部品数が減るため、装置コストの低減化を図ることが可能となる。
(実施の形態4)
本実施の形態に係るイオンプレーティング装置は、実施の形態3の装置と同様の構成を有するが、補助電極がメッシュ状である点が実施の形態3の装置と異なっている。このような構成によれば、実施の形態3と同様の効果が得られるとともに、効率よく基材の加熱を行うことが可能となるいう実施の形態2と同様の効果が得られる。
(実施の形態5)
本実施の形態に係るイオンプレーティング装置は、実施の形態1の装置と同様の構成を有するが、以下の点が実施の形態1の装置と異なっている。
【0038】
図5は、本実施の形態のイオンプレーティング装置に用いられる基材ホルダの構造を示す模式的な断面図である。ここでは、図2の場合と同様、基材ホルダの開口部の1つを例示している。
【0039】
図5に示すように、本実施の形態では、補助電極10Dが、実施の形態1における基材支持部材9としての機能も果たしている。すなわち、補助電極と基材支持部材とが一体化した構成を有する。補助電極10Dは、基材4の裏面および基材ホルダ3の開口部周縁を覆う電極本体部10aと、電極本体部10aから基材ホルダ3内部に延びて端部に設けられた爪により基材4を支持する支持部10bとから構成される。支持部10bが基材ホルダ3の開口部に嵌め込まれるとともに、電極本体部10aの外周部下面が基材ホルダ3の外面と当接することにより補助電極10Dが支持される。
【0040】
このような構成によれば、基材支持部材が不要となるため、装置の部品数を減らすことが可能となる。したがって、装置コストの低減化を図ることが可能となる。なお、本実施の形態において、補助電極10Dは、基材4の裏面を完全に覆ってもよく、あるいは、メッシュ状であってもよい。
【0041】
上記の実施の形態1〜5においては、ドーム型形状を有し複数の円形の開口部を有する基材ホルダを用いる場合について説明したが、基材ホルダの形状はこれに限定されるものではなく、また、開口部の数および形状は特に限定されるものではない。
【0042】
また、上記の実施の形態1〜5においては、高周波電界と直流電界とを与えて成膜を行っているが、高周波電界のみを与えて成膜を行う場合においても本発明は適用可能である。
【0043】
上記の実施の形態1〜5においては、本発明をイオンプレーティング装置に適用する場合について説明したが、本発明に係る成膜装置はこれに限定されるものではなく、高周波電界、または高周波電界と直流電界とを与えて成膜を行う成膜装置、例えばスパッタ成膜装置やCVD(Chemical Vapor Deposition)等においても適用可能である。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、以上に説明したような形態で実施され、以下のような効果を奏する。
(1)補助電極を基材の裏面に配置することにより、基材中央部においても十分なセルフバイアスを発生させることが可能となるため、成膜時において、基材の周辺部および中央部における薄膜形成材料の衝突の勢いがほぼ均一となる。それにより、成膜された薄膜において、基材の周辺部および中央部に対応する領域の膜質の均一化を図ることが可能となるとともに、膜質の向上を図ることが可能となる。
(2)補助電極がメッシュ状であるとすると、基材を加熱した際に、メッシュの間で露出した基材に効率よく熱が伝えられる。このため、補助電極により基材の昇温が妨げられるのを抑制して、効率よく基材の加熱を行うことが可能となる。
(3)基材ホルダが複数の開口部を有するとともに開口部にそれぞれ基材が装着され、複数の基材の成膜面と反対側の面を覆う共通の補助電極が配置されるとすると、個々の基材に個別に補助電極を配置する必要がないため、容易に補助電極を配置することが可能となるとともに、装置の部品数が減るので装置コストの低減化を図ることが可能となる。
(4)基材は基材支持部材を介して基材ホルダの開口部に装着され、補助電極が支持部材を兼ねるとすると、基材支持部材を別に設ける必要がないため部品点数を減らすことが可能となり、よって、装置コストの低減化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係るイオンプレーティング装置の構造を示す模式図である。
【図2】図1の基材ホルダの構造を模式的に示す断面図である。
【図3】実施の形態2に係るイオンプレーティング装置に用いられる補助電極の構造を示す模式的な上面図である。
【図4】実施の形態3に係るイオンプレーティング装置に用いられる補助電極の構造を示す模式的な断面図である。
【図5】実施の形態5に係るイオンプレーティング装置に用いられる補助電極の構造を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
1 真空チャンバ
2 蒸発源
3 基材ホルダ
4 基材
5 回転軸
6 モータ
7 高周波電源
8 直流電源
9 基材支持部材
10A〜10D 補助電極
11 スペーサ

Claims (4)

  1. その内部で電界を用いて基材に成膜を行うためのチャンバと、
    前記電界を発生させるための電源と、
    成膜材料を供給するための材料供給源装置と、
    前記チャンバ内に配置され、開口部を有して前記電源と電気的に接続されている導電性の基材ホルダと、
    前記開口部に装着された筒状の導電性の基材支持部材と、
    前記基材ホルダと電気的に接続されている補助電極と、を備え、
    前記基材支持部材の内部に絶縁性の基材が嵌め込まれ、前記補助電極が、前記基材を含めて前記基材支持部材を、前記基材の成膜面と反対の裏面側から覆うように構成されている成膜装置。
  2. 前記補助電極がメッシュ状である請求項1記載の成膜装置。
  3. 前記基材ホルダが複数の前記開口部を有するとともに前記開口部にそれぞれ前記基材支持部材および前記基材が装着され、個々の前記基材に対応して複数の前記補助電極が配置される請求項1記載の成膜装置。
  4. 前記基材ホルダが複数の前記開口部を有するとともに前記開口部にそれぞれ前記基材支持部材および前記基材が装着され、前記複数の基材の前記裏面側を覆う共通の前記補助電極が配置される請求項1記載の成膜装置。
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