JP4089133B2 - シート状物分離機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、重ねられたシート状物を一枚ずつ分離させるシート状物分離機構において、メンテナンス性を向上させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ファクシミリやコピー機やスキャナ等に備えられる自動原稿送り装置(ADF)には、複数枚の原稿を一枚ずつ読み取るために、重ねてセットされたシート状の原稿を一枚ずつ分離して下流の読取部へ供給する、シート状物分離機構が備えられる。
また、受信したデータを基に形成した画像を定型の用紙(普通紙)に記録する構成のファクシミリにおいては、重ねてセットした用紙に一枚ずつ画像を形成し転写する必要があることから、シート状の用紙を一枚ずつ転写部へ送るための、同様のシート状物分離機構が設けられる。あるいはコピー機やプリンター等においても、重ねてセットされた定型の用紙に一枚ずつ画像やデータを印刷するために、同様のシート状物分離機構が用いられる。
【0003】
このシート状物分離機構として公知とされている技術に、該シート状物の経路に分離パッドと分離ローラを互いに圧接させて配置し、両者の間を通過するシート状物を一枚ずつ分離して下流へ送る構成がある。
この構成は簡素であり、製造コストを低廉とできる利点があるので、幅広く用いられている。
【0004】
ここで、このシート状物分離機構は、ゴミや塵挨等が前記分離パッドに付着したり、該分離パッドが摩耗したりすると、分離不良が発生し、複数枚のシート状物を下流に送ってしまうことがある。
この分離不良は、下流におけるシート状物の詰まりを誘発するとともに、ファクシミリやスキャナにおいては原稿の読取り漏れ等を招き、プリンターやコピー機においては印刷(コピー)の結果に白紙が混じる等の不具合が生じるので、早急に復旧させる必要がある。
従って、このような分離不良が発生した場合、ユーザは販売店等に連絡して、サービスマンが機器の設置場所に出向き、分離パッドの交換等の修理を行うのが一般であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のような対応では、分離不良によるトラブルが発生してからサービスマンが修理を完了するまでの間は、ユーザはその機器を使うことができないこととなる。
特に、会社や事務所等に設置されるファクシミリやプリンターやコピー機等は、業務において日常的に頻繁に使用されるのが一般であり、サービスマンが来訪して修理を完了するまでの間だけとはいえ、機器を使用できないことによりユーザ側の日常業務が受ける影響は大である。
本発明は上記の点に鑑みてされたものであり、分離パッドの摩耗やゴミ付着により分離不良を起こした場合でも、サービスマンなしでユーザが独自に行うことができる簡単な応急措置により該分離不良を解消できる、シート状物分離機構を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、複数枚重ねた状態で装置にセットされたシート状物を一枚ずつ分離させて下流に送出するシート状物分離機構であって、互いに圧接される分離ローラと分離パッドとを少なくとも有するものにおいて、前記分離パッドの一端縁を挿入させて保持するための保持部が構成されており、前記保持部による前記分離パッドを保持固定する保持力は、回転する前記分離ローラと前記分離パッドとの間に生ずる摩擦力に抗し得る大きさとし、前記シート状物を送出する方向に平行な方向へ、前記保持部の保持力を上回る引張力で前記分離パッドを引っ張ることにより、前記分離パッドが変位して、前記分離パッドの前記分離ローラに圧接される領域が、前記シート状物を送出する方向に平行な方向に変位するように構成したものである。
【0008】
請求項2においては、前記分離パッドには長孔を設け、分離パッド取付用装置基部には前記長孔に挿入される突起が設けられ、前記長孔と前記突起とにより、前記圧接される領域の変位の方向及び変位量を規制するように構成したものである。
【0009】
請求項3においては、前記分離パッドの後端を装置に押圧するための弾性部材を含んで構成したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
発明の実施例に係るシート状物分離機構を備える、ファクシミリ装置の構成を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る原稿分離機構を適用したファクシミリの全体的な構成を示した側面断面図である。
【0011】
ファクシミリ装置1は主に、本体2と、該本体2の前面及び前部上面を覆うように構成される原稿押さえ体3とにより構成される。本体2の上面には原稿トレイ4が構成され、原稿押さえ体3の上面には操作パネル5が形成されている。
そして、前記原稿トレイ4にセットされた原稿を搬送するための原稿搬送路Aが、前記本体2と前記原稿押さえ体3との間に、前下がり状に構成されている。該原稿押さえ体3の下端にはブラケット10が突設され、該ブラケット10を前記本体2の前下部に枢支して、原稿押さえ体3を図1に示す白抜き矢印の方向に回動自在とし、原稿押さえ体3を前方に回動して開くことで、原稿搬送路Aに詰まった原稿の除去等ができるようにしている。
【0012】
前記原稿搬送路Aへ原稿を供給するための原稿セット部6が前側上部に形成され、シート状の原稿を重ねた状態で前記原稿トレイ4上に載置し、その一端縁を装置内部に挿入して、ファクシミリ装置1にセットできるようにしている。
そして、該セットされた原稿の端縁が臨む位置において、原稿押さえ体3に設けた分離パッド7と、本体2に設けた分離ローラ8とにより、シート状物分離機構たる原稿分離機構9が構成され、該原稿分離機構9にて、重ねた状態の原稿を一枚ずつ分離しながら原稿搬送路Aへ送出するようにしている。
原稿搬送路Aへ送られた原稿は、該原稿搬送路Aの中途部に配設された読取部において、その内容を読取装置11によって読み取られ、読取装置11が出力するデータは、回線を通じて相手側のファクシミリへ送信されたり(ファクシミリ機能)、後述する記録部16へ送られて記録用紙Pに記録されたりする(コピー機能)。原稿はその後排出ローラ12によりさらに搬送されて、装置1前面下部の排出口13から排出される。
【0013】
一方、本体2の後側の略半部には、ロール状に巻き取られた記録用紙Pが収納され、該記録用紙Pの前方には、サーマルヘッド14及びプラテン15が配設されて、記録部16を構成している。
この構成において、ロール状に巻き取られた状態から繰り出された記録用紙Pが、サーマルヘッド14とプラテン15とのニップ部を通過しながら、受信したデータに基づいた画像を該サーマルヘッド14により形成し記録する。画像が記録された該記録用紙Pは、記録紙搬送路Bを搬送されて排出される。
【0014】
次に、前記原稿分離機構9について、全体の構成を説明する。
図2は原稿分離機構の構成を示した側面断面拡大図である。
【0015】
即ち図1に示すように、前記本体2の前部に分離ローラ8がその回転軸心を左右方向に向けて設けられ、原稿押さえ体3の後面(前記原稿搬送路Aに臨む面)には、前記分離パッド7が付設されている。
具体的には図2に示すように、前記原稿押さえ体3の後面には、後述する押圧体20を支持するための押圧体取付部材22が設けられ、該取付部材22の後面に分離パッド7が付設されている。該分離パッド7は適宜の弾性及び可撓性を有する素材、例えばゴム等をもって構成し、分離ローラ8に対向する一側の面のうちその搬送方向終端側寄りの一定幅の領域Xが、前記分離ローラ8の回転面に接触するようにしている。
また、前記押圧体取付部材22には円筒状の筒状部22dが設けられて、該筒状部22dの内部に押圧体20が付勢バネ21を介して設けられている。これにより、前記分離パッド7を該押圧体20が押圧して、該分離パッド7の前記一定幅の領域Xと分離ローラ8の回転面との間を常時圧接するようにしている。
【0016】
この原稿分離機構9において、重ねられた原稿の分離作用を良好に行わせるには、分離ローラ8と原稿の間、分離パッド7と原稿の間、隣り合う原稿と原稿の間の、それぞれの摩擦状態を、以下に示す特定の関係となるよう定めることが肝要とされている。
即ち、分離ローラ〜原稿間の静摩擦係数をμ1、分離パッド〜原稿間の静摩擦係数をμ2、原稿〜原稿間の静摩擦係数をμ3とすると、μ1>μ2>μ3なる関係が生じることとなるように、分離ローラ8や分離パッド7の材質等を定めるのである。
【0017】
上記静摩擦係数の関係と関連させながら、この原稿分離機構9の作用の一例を模式図を用いて説明する。
図3は重ねられた原稿に対し原稿分離機構が剪断作用を行う様子を示した図、図4は図3の状態から原稿が分離された状態を示した図、図5は分離された原稿に対し更に原稿分離機構が剪断作用を行う様子を示した図、図6は原稿が一枚のみ分離された状態を示した図、図7は一枚のみ分離された原稿が送出される様子を示した図である。
【0018】
即ち、重ねられた状態で原稿セット部6にセットされた原稿a・b・c・d・eは、分離ローラ8の回転により送り出されて、図3に示すとおり分離ローラ8の周面と前記分離パッド7が該原稿a・b・c・d・eを圧接する状態となる。ここで、分離ローラ8と分離パッド7とを圧接させる垂直圧力をNとすると、該垂直圧力Nは図3に示すとおり、分離ローラ8〜原稿a間、互いに隣り合う原稿〜原稿間(a〜b間やb〜c間等)、分離パッド7〜原稿e間のいずれに対しても等しく働く。
この状態において、回転している分離ローラ8は、重ねられた原稿a・b・c・d・eのうち該分離ローラ8に直接接している一枚aに対して、摩擦力F1を作用させ、該原稿aを下流へ送り出そうとする。一方、分離パッド7は、重ねられた原稿a・b・c・d・eのうち該分離パッドに直接接触する一枚eに対して、摩擦力F2を作用させて、該原稿eをその位置へ留めようとする。従って、重ねられた原稿a・b・c・d・eに対しては、前記二つの摩擦力F1・F2による剪断作用が行われる。
重ねられた原稿の一枚一枚a・b・c・d・eの間にはそれぞれ摩擦力F3・F3・・・が働いて、前記剪断作用に抗しようとするが、前記静摩擦係数の関係においてμ3はμ1・μ2のいずれよりも小さくなるよう定めているで、最終的には原稿〜原稿間に生じ得る最大の静摩擦力F3(=μ3×N)よりも前記二つの摩擦力F1・F2の方が上回って、原稿と原稿の間(様々な場合があり得るが、例えば原稿bと原稿cとの間)ですべりが生じて、図4に示す如く原稿は分離される。そして分離された原稿のうち、分離パッド7に接触している側c・d・eはその位置に保持され、分離ローラ8に接触している側の原稿a・bのみが下流に送られることとなる。
分離されて送られた原稿a・bは、適宜の幅だけ送出されると図5の如く分離パッド7に直接接触して、その時点で再び摩擦力F1・F2による剪断作用が行われる。このように分離作用は反復して行われるので、何枚重ねてセットされた原稿であっても、次々と分離されて最終的には図6に示すとおり、分離ローラ8に最も近い側の一枚aのみが分離されることとなる。
尚、最後の一枚となった原稿aには、図7の如く分離ローラ8からの摩擦力F1及び分離パッド7からの摩擦力F2が直接作用することとなるが、上述のμ1>μ2の関係より、分離ローラ8が該原稿aを送り出そうとする前記摩擦力F1の方がそれに抗して生じ得る最大の静摩擦力F2(=μ2×N)を上回るので、最後の一枚の原稿aは詰まることなく、分離パッド7に対してすべりながら分離ローラ8により下流へ送出される。
【0019】
次に、本発明の要部である、分離パッド7を原稿分離機構9に取り付けるための構成を説明する。
図8は分離パッドの面のうち、分離ローラに対し圧接される領域を示した正面図である。図9は原稿分離機構において、応急処置により分離パッドを変位させた後の構成を示した側面断面拡大図である。
即ち、上記分離パッド7は図8に示す如く長方形状に構成し、原稿の搬送方向に略沿う向きの長孔7aを設けてある。一方、図2に示す如く、分離パッド取付用装置基部たる前記押圧体取付部材22には、該長孔7aに挿入させるための突起22aが形成されるとともに、該突起22aの近傍には、分離パッド7の一端縁を挿入させて保持するための保持部25が構成されている。
この保持部25について説明する。即ち図2に示すように、該押圧体取付部材22に凸状の受け片22cを前方に向けて形成する一方、該押圧体取付部材22には更にネジボス22bを形成して、該ネジボス22bには弾性部材である板バネ23がネジ24にて締結固定される。
この板バネ23の先端は前記受け部22c近傍にまで延出され、該先端は受け片22c側が尖り側となるよう「く」字状に折曲されて、分離パッド7を押止するための尖状の押止部23aが構成される。該板バネ23はその弾性によって、該押止部23aが分離パッド7に接触して弾発力を加え、前記受け片22cに対し押圧して固定できるようにしており、これにより分離パッド7の端縁を、板バネ23と受け片22cとの間に掴持して保持固定できるようにしている。
ここで、前述のとおり前記分離パッド7は分離ローラ8と圧接されており、回転する分離ローラ8との間に生ずる摩擦力により分離パッド7が原稿搬送方向終端側に引き摺られようとするが、前記保持部25が分離パッド7を保持固定する保持力が、該摩擦力に十分抗し得る程度の大きさとなるよう、前記板バネ23のバネ力を予め設定しておくものとする。
尚、分離パッド7を保持する構成は前述のものに限るものでもなく、例えば、前記板バネ23先端の前記「く」字状折曲部に対応させて、分離パッド7にV字状の溝を設け、前記「く」字状折曲部が該V字状の溝に係入することにより分離パッド7を固定する構成としても良い。また、板バネ以外の適宜の弾性体、例えばねじりバネや皿バネ等を用いて保持部25を構成しても構わない。
【0020】
本構成の作用を説明する。即ち前述の原稿分離機構9において、図2に示すように分離パッドは当初、原稿搬送方向の始端側寄りの位置に取り付けられている。この状態において該分離パッド7の、押圧体20により分離ローラ8に押圧される領域は、図8に符号Xで示す領域となる。
一方、この状態から分離パッド7を手で掴んで原稿搬送方向終端側に向かって強く引っ張ると、該引張力が前記保持部25の保持力を上回って、前記分離パッド7は長孔7aに沿って原稿搬送方向終端側へ変位され、図9の状態となる。この場合、分離パッド7の分離ローラ8に対する相対位置が変化するので、それに伴って該分離パッド7の、前記押圧体20により分離ローラ8に対し押圧される領域も、原稿搬送方向の始端側に向かって変位し、図8の符号Yに示す領域が分離ローラ8に対し押圧され、分離作用を行うようになる。
【0021】
本構成の使用態様を具体的に説明する。
即ち、ファクシミリの製造・出荷の段階においては、分離パッド7を図2の如く原稿搬送方向の始端側寄りの位置に取り付けた状態とする。
設置され使用が開始されたファクシミリは、その当初においては、セットされた原稿に対して該原稿分離機構9が良好な分離作用を行う。しかし、長期間の使用により該分離パッド7の前記領域Xが摩耗したり、該領域Xに紙粉やゴミ等が付着したりすると、前記分離パッド〜原稿間の静摩擦係数μ2が徐々に低下してゆく。前記摩耗等の程度が特に激しくなり、分離パッド〜原稿間の静摩擦係数μ2が原稿〜原稿間の静摩擦係数μ3を下回るようになると、前述の剪断作用が十分に働かず原稿を良好に分離することができなくなり、原稿が複数枚重ねられたまま読取部へ送出される等のトラブルが発生するようになる。
しかし、このような分離不良が生じた場合でも、前記原稿押さえ体3を前述の如く前方へ回動して開き、現われる分離パッド7を手で掴んで原稿搬送方向終端側に向かって強く引っ張れば、分離パッド7が変位して、新しい領域Yが分離ローラ8に接触押圧されることとなる。図8に示す如く、この領域Yの少なくとも一部には、前記の領域Xでない領域、即ち、変位前まではまったく分離ローラ8に圧接されず摩耗やゴミ付着の生じていない新しい領域が含まれることとなるから、結果として前記静摩擦係数μ2が相当程度回復して、前記分離不良によるトラブルは収まるようになる。
【0022】
この分離パッド7を変位させるという処置は、一時的・応急的な性格を有するものであり、処置後更に分離パッド7の摩耗等が進んだ場合は、分離パッド7を交換修理する必要がある。
しかし、分離パッド7を引っ張るという処置は簡素で理解が容易なものであり、専門知識を有しないユーザでも短時間で十分に行うことが可能である。従って、ユーザ側からみれば、トラブルが発生しても即座に応急処置を施すことでトラブルを一時回避できることから、後の分離パッド7の交換修理までの間にもファクシミリを使用でき、該トラブルが日常業務に与える影響を小さく抑えることができる。
【0023】
尚、本実施例はファクシミリ装置の原稿セット部に設けられる用紙分離機構に係るものであるが、他の様々な装置にも適用することができる。例えば、コピー機やスキャナにおける自動原稿送り装置(ADF)の原稿セット部や、プリンターやコピー機における印刷用紙のセット部等である。
また、本発明は紙を分離する機構に限り適用されるものでもなく、例えば透明フィルム等、可撓性を有しかつシート状に構成されたものを分離する機構であれば、本発明の構成を適用することができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0025】
即ち、請求項1に示す如く、複数枚重ねた状態で装置にセットされたシート状物を一枚ずつ分離させて下流に送出するシート状物分離機構であって、互いに圧接される分離ローラと分離パッドとを少なくとも有するものにおいて、前記分離パッドの一端縁を挿入させて保持するための保持部が構成されており、前記保持部による前記分離パッドを保持固定する保持力は、回転する前記分離ローラと前記分離パッドとの間に生ずる摩擦力に抗し得る大きさとし、前記シート状物を送出する方向に平行な方向へ、前記保持部の保持力を上回る引張力で前記分離パッドを引っ張ることにより、前記分離パッドが変位して、前記分離パッドの前記分離ローラに圧接される領域が、前記シート状物を送出する方向に平行な方向に変位するように構成したので、
分離パッドが分離ローラに圧接する部分(即ち、分離パッドがシート状物に対し分離作用を行う部分)に摩耗が生じたり、ゴミが付着したりすることによって、分離不良のトラブルが生じた場合でも、該分離パッドの分離ローラに圧接される領域を変位させることで、摩耗やゴミがある部分以外の部分が分離ローラに圧接するようにすることができ、新しい部分がシート状物に対し良好に分離作用を行うこととなって、装置の分離不良は解消することとなる。
この分離パッドは消耗品であるので、摩耗やゴミ付着等の程度が激しい分離パッドは最終的にはサービスマンを呼ぶ等して交換する必要があるが、本発明の構成によれば、分離パッドを変位させるという応急処置を行うことによって、この分離不良のトラブルを一時的に解消することができるのである。
しかも、前記応急処置は、分離パッドを引っ張って変位させるという簡素で理解が容易なものであり、専門知識を有しないユーザでも短時間で十分に行うことが可能である。従って、分離不良のトラブルが発生した場合でも、連絡をしてきたユーザに対し販売店が該応急処置を指示し、あるいは予め該応急処置を装置のマニュアルに記載しておくことで、ユーザが単独で装置に対して処置を施して、一時的に装置を分離不良から復旧させることが可能である。
この結果、トラブル発生からサービスマンが来訪して交換修理を開始するまでの間においても、ユーザは装置を有効に使用することができ、分離不良のトラブルがユーザの日常業務に与える影響を小さく抑えることができる。
また、修理サービスを行う側からみれば、ユーザの力を借りて装置のトラブルをその場で応急的に復旧させることができれば、一時的にせよトラブルは解消しているのであるから、サービスマンが分離パッドの交換修理を緊急的に行う必要性は薄いと言うことができ、適宜の時間的余裕をおいて該交換修理に出向くこともできるようになる。即ち、装置の復旧のためにサービスマンが装置の設置場所に緊急に出向いて交換修理をしなければならない事態は減ることになり、修理サービスに関連する人的コストや負担が軽減されることにもなる。
また、分離パッドの摩耗やゴミ付着等により分離不良のトラブルが発生した場合、前記応急処置を施して、分離パッドの摩耗やゴミ付着がない新しい部分が分離作用を行うようにすることで、該新しい部分が摩耗あるいはゴミ付着等により使用できなくなるまで、ユーザは機器を更に相当の期間使用できることになる。即ち、本発明は、分離パッドの実質的な寿命を延ばすという点においても有用である。
【0026】
請求項2に示す如く、前記分離パッドには長孔を設け、分離パッド取付用装置基部には前記長孔に挿入される突起が設けられ、前記長孔と前記突起とにより、前記圧接される領域の変位の方向及び変位量を規制するように構成したので、
変位の方向を規制することによって、ユーザが応急処置の際に想定外の方向へ分離パッドを変位させるなどという事態が防止され、前述のような応急処置を失敗なく確実に行うことができる。また、分離パッドに設けた長孔によってその規制を行うのであるから、構成も簡素であり、製造コストを節減できる。
【0027】
請求項3に示す如く、前記分離パッドの後端を装置に押圧するための弾性部材を含んで構成したので、
分離パッドを弾性部材を用いて装置に対し取り付ける構成であるので、通常の使用時は当該弾性部材の弾発力により分離パッドを固定でき、前述のような応急処置を行う際には該弾発力より大きい力を加えることにより、分離パッドを変位させて、その分離ローラに圧接させる領域を変位させることができる。
即ち、通常の使用時においては分離パッドを確実に保持してその変位を防止する一方、前述の応急処置の際は分離パッドを変位させる方向へ強い力を加えさせることによって該変位を許容できる構成が、簡素な構成にて達成できるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る原稿分離機構を適用したファクシミリの全体的な構成を示した側面断面図。
【図2】原稿分離機構の構成を示した側面断面拡大図。
【図3】重ねられた原稿に対し原稿分離機構が剪断作用を行う様子を示した図。
【図4】図3の状態から原稿が分離された状態を示した図。
【図5】分離された原稿に対し更に原稿分離機構が剪断作用を行う様子を示した図。
【図6】原稿が一枚のみ分離された状態を示した図。
【図7】一枚のみ分離された原稿が送出される様子を示した図。
【図8】分離パッドの面のうち、分離ローラに対し圧接される領域を示した正面図。
【図9】原稿分離機構において、応急処置により分離パッドを変位させた後の構成を示した側面断面拡大図。
【符号の説明】
1 ファクシミリ(装置)
7 分離パッド
7a 長孔
X・Y 分離パッドが分離ローラに圧接される領域
8 分離ローラ
9 原稿分離機構(シート状物分離機構)
22 押圧体取付部材(分離パッド取付用装置基部)
a・b・c・d・e 原稿(シート状物)
Claims (3)
- 複数枚重ねた状態で装置にセットされたシート状物を一枚ずつ分離させて下流に送出するシート状物分離機構であって、互いに圧接される分離ローラと分離パッドとを少なくとも有するものにおいて、前記分離パッドの一端縁を挿入させて保持するための保持部が構成されており、前記保持部による前記分離パッドを保持固定する保持力は、回転する前記分離ローラと前記分離パッドとの間に生ずる摩擦力に抗し得る大きさとし、前記シート状物を送出する方向に平行な方向へ、前記保持部の保持力を上回る引張力で前記分離パッドを引っ張ることにより、前記分離パッドが変位して、前記分離パッドの前記分離ローラに圧接される領域が、前記シート状物を送出する方向に平行な方向に変位するように構成したことを特徴とする、シート状物分離機構。
- 前記分離パッドには長孔を設け、分離パッド取付用装置基部には前記長孔に挿入される突起が設けられ、前記長孔と前記突起とにより、前記圧接される領域の変位を規制するように構成したことを特徴とする、請求項1記載のシート状物分離機構。
- 前記分離パッドの後端を装置に押圧するための弾性部材を含んで構成したことを特徴とする、請求項1又は請求項2記載のシート状物分離機構。
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