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JP4089178B2 - 画像処理装置、画像処理方法およびプログラム - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、下地調整を行う画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに関する。
【0002】
この明細書において「下地調整」とは、下地飛ばし処理を行うことの他に、それ以外の下地の処理をも含む概念である。また、「下地飛ばし処理」とは、下地領域(画像が紙に印刷されたものであれば、紙地が現れた領域)の各画素データの明度(階調値)を、白に相当する最大値へ変換することを指す。
【0003】
【従来の技術】
一般に、画像処理装置では入力された画像データから下地となる領域を検出し、非下地領域の画像をより鮮明に表現するために、検出された下地領域に対して下地飛ばしなどの下地調整を行うことが行われている。
【0004】
下地となる領域は、ある特定の明度(階調)レベルの出現頻度が最も多くなる傾向を示すので、従来、画像処理装置が行う下地飛ばし処理としては、図9(a)に示すように入力画像中の各画素データが表す明度(階調値)のヒストグラムを作成して、明度の度数が最も多い階調レベルmを求め、その階調レベルmよりも明度が高い領域(これを「下地領域」とみなす。)では、図9(b)に示すように明度データLを白に相当する最大値(255)へ変換するものが知られている(例えば特開平2000−83166号公報)。または、図9(c)に示すように、下地領域では明度Lを最大値(255)へ変換するとともに、その階調レベルm以下の領域(これを「非下地領域」と呼ぶ。)では、変換後の明度L′が連続するように、下地飛ばし処理を行わない場合の勾配α1(=1)よりも大きい勾配α2で線形変換するものが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようにある特定の明度(階調)レベルを設定し、これに基づいて下地領域を検出しているので、非下地領域中の画像データに設定された明度(階調)レベルの画素があったとしても、これを下地領域として下地調整を行ってしまっていた。
【0006】
例えば、図10(a)に示すように、入力画像がなめらかに階調変化するグラデーションを有する場合がある。なお、図10(a)上段は画像をビットマップイメージで表し、図10(a)下段はその画像の中央線Cに沿った濃度プロファイルを示している(図10(b)(c)において同様。)。この例では、入力画像は中央部から周辺部へ向かって次第に暗くなるグラデーションを有している。この入力画像に対して、図9(b)(c)のような下地飛ばし処理を施した場合、それぞれ図10(b)(c)に示すように画像の中央部が平坦な白になり、グラデーションが失われるという問題がある。例えば、図11に示す子供の写真画像のように、本来ならばグラデーションを有する子供の肌が白く抜けてしまう(白抜け領域をIで示す。)。この結果、写真画像の滑らかな階調性が損なわれてしまっていた。
【0007】
そこで、この発明の課題は、下地調整を行いながらもグラデーション領域に白抜けが発生するのを防止できる画像処理装置、画像処理方法およびその画像処理方法を実行するためのプログラムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の画像処理装置は
画像データを入力する入力手段と
上記入力手段によって入力された入力画像データから、下地領域と非下地領域とを分けるための基準レベルを算出する基準レベル算出手段と
上記基準レベル算出手段によって算出された基準レベルに基づいて、上記入力画像データ中の下地領域に含まれた画素を検出する下地画素検出手段と
上記下地領域に含まれた画素について下地調整を行う下地調整手段と
上記下地領域に含まれた第1の画素を基準として、少なくとも一方向に並んだ第2の画素の階調変化量を算出する階調変化量算出手段と
上記階調変化量算出手段によって算出された階調変化量に基づいて、階調変化状況として、上記下地領域に含まれた上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在するか否かを識別する階調変化状況識別手段と
上記階調変化状況識別手段によって識別された階調変化状況に基づいて、上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在するとき、上記第1の画素について上記下地調整手段に下地調整を禁止させる一方、上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在しないとき、上記第1の画素について上記下地調整手段によって下地調整を行わせる制御手段
を備えたことを特徴とする。
【0009】
既述のように、「下地調整」の具体的な一例は、下地飛ばし処理を行うことである。
【0010】
この請求項1の画像処理装置では、まず入力手段によって画像データを入力する。次に、基準レベル算出手段は、上記入力手段によって入力された入力画像データから、下地領域と非下地領域とを分けるための基準レベルを算出する。上記基準レベル算出手段によって算出された基準レベルに基づいて、下地画素検出手段は上記入力画像データ中の下地領域に含まれた画素を検出する。ここで、階調変化量算出手段は、上記下地領域に含まれた第1の画素を基準として、少なくとも一方向に並んだ第2の画素の階調変化量を算出する。上記階調変化量算出手段によって算出された階調変化量に基づいて、階調変化状況識別手段は、階調変化状況として、上記下地領域に含まれた上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在するか否かを識別する。そして、制御手段は上記階調変化状況識別手段によって識別された階調変化状況に基づいて、上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在するとき、上記第1の画素について上記下地調整手段に下地調整を禁止させる一方、上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在しないとき、上記第1の画素について上記下地調整手段によって下地調整を行わせる。
【0011】
このように、この画像処理装置では、上記下地領域に含まれた第1の画素の周辺にグラデーションが存在するとき、上記第1の画素について上記下地調整手段に下地調整を禁止させる一方、上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在しないとき、上記第1の画素について上記下地調整手段によって下地調整を行わせている。例えば、下地調整が下地飛ばし処理である場合グラデーション領域に白抜けが発生するのを防止し、グラデーション領域の階調性を維持することができる。
【0012】
なお、この明細書において「グラデーション領域」とは、複数並ぶ画素の明度や色相が一方向又は複数方向に関して徐々に変化している領域を意味する。
【0013】
請求項2に記載の画像処理装置は、請求項1に記載の画像処理装置において、上記階調変化量算出手段は、上記下地領域に含まれた上記第1の画素を基準として複数方向に並んだ第2の画素の階調変化量を算出することを特徴とする。
【0014】
この請求項2の画像処理装置では、上記階調変化量算出手段は、上記下地領域に含まれた上記第1の画素を基準として複数方向に並んだ第2の画素の階調変化量を算出するので、階調変化状況識別手段によって、上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在するか否かを精度良く識別できる
【0015】
請求項に記載の画像処理装置は、請求項1または2に記載の画像処理装置において
上記下地領域に含まれた上記第1の画素の色相を抽出する色相抽出手段と
上記第1の画素の色相と、上記第1の画素に対して上記階調変化量算出手段によって階調変化量を算出した方向に並ぶ第2の画素の色相との間に相関があるか否かを識別する色相判別手段とを備え
上記制御手段は、上記色相判別手段による識別結果に基づいて、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関があるとき、上記第1の画素について上記下地調整手段に下地調整を禁止させる一方、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関がないとき、上記第1の画素について上記下地調整手段によって下地調整を行わせることを特徴とする。
【0016】
この請求項の画像処理装置では、色相抽出手段は、上記下地領域に含まれた上記第1の画素の色相を抽出する。色相判別手段は、上記第1の画素の色相と、上記第1の画素に対して上記階調変化量算出手段によって階調変化量を算出した方向に並ぶ第2の画素の色相との間に相関があるか否かを識別する。そして、上記制御手段は、上記色相判別手段による識別結果に基づいて、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関があるとき、上記第1の画素について上記下地調整手段に下地調整を禁止させる一方、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関がないとき、上記第1の画素について上記下地調整手段によって下地調整を行わせる。したがって、例えば、下地調整が下地飛ばし処理である場合、上記第1の画素が同じ色相で明度が徐々に変化するグラデーション領域内の画素である場合に限り、その第1の画素について上記下地調整手段に下地飛ばし処理を禁止させることができる。この結果、互いに色相が異なる領域が接している境界付近で、下地飛ばし処理の採否の精度が高まる。したがって、下地飛ばし処理を行うべきでないグラデーション領域と、下地飛ばし処理を行うべき領域とが接している場合に、それらの領域が接している境界を下地調整後に明瞭に再現できる。
【0017】
請求項4に記載の画像処理装置は、請求項3に記載の画像処理装置において、
上記色相判別手段は、上記第1の画素の色相と、上記第1の画素に対して上記階調変化量算出手段によって階調変化量を算出した方向に並ぶ第2の画素の色相とが一致するとき、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関があると識別し、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相とが一致しないとき、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関がないと識別することを特徴とする。
【0018】
この請求項4に記載の画像処理装置では、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関があるか否かが、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相とが一致するか否かに応じて識別される。
【0019】
請求項5に記載の画像処理方法は、画像処理装置によって実行される画像処理方法であって、
画像データを入力する入力ステップ
上記入力された入力画像データから、下地領域と非下地領域とを分けるための基準レベルを算出する基準レベル算出ステップ
上記算出された基準レベルに基づいて、上記入力画像データ中の下地領域に含まれた画素を検出する下地画素検出ステップ
上記下地領域に含まれた第1の画素を基準として、少なくとも一方向に並んだ第2の画素の階調変化量を算出する階調変化量算出ステップ
上記算出された階調変化量に基づいて、階調変化状況として、上記下地領域に含まれた上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在するか否かを識別する階調変化状況識別ステップ
上記識別された階調変化状況に基づいて、上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在するとき、上記第1の画素について下地調整を禁止する一方、上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在しないとき、上記第1の画素について下地調整を行う制御をする制御ステップと
を備えたことを特徴とする。
【0020】
この請求項5の画像処理方法では、まず、画像データを入力する(入力ステップ)。次に、上記入力された入力画像データから、下地領域と非下地領域とを分けるための基準レベルを算出する(基準レベル算出ステップ)。次に、上記算出された基準レベルに基づいて、上記入力画像データ中の下地領域に含まれた画素を検出する(下地画素検出ステップ)。次に、上記下地領域に含まれた第1の画素を基準として、少なくとも一方向に並んだ第2の画素の階調変化量を算出する(階調変化量算出ステップ)。次に、上記算出された階調変化量に基づいて、階調変化状況として、上記下地領域に含まれた上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在するか否かを識別する(階調変化状況識別ステップ)。そして、上記識別された階調変化状況に基づいて、上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在するとき、上記第1の画素について下地調整を禁止する一方、上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在しないとき、上記第1の画素について下地調整を行う制御をする(制御ステップ)
【0021】
このように、この画像処理方法では、上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在するとき、上記第1の画素について下地調整を禁止する一方、上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在しないとき、上記第1の画素について下地調整を行う制御をする。したがって、例えば、下地調整が下地飛ばし処理である場合グラデーション領域に白抜けが発生するのを防止し、グラデーション領域の階調性を維持することができる。
【0022】
請求項6に記載の画像処理方法は、請求項5に記載の画像処理方法において、上記階調変化量算出ステップでは、上記下地領域に含まれた上記第1の画素を基準として複数方向に並んだ第2の画素の階調変化量を算出することを特徴とする。
【0023】
この請求項6の画像処理方法では、上記階調変化量算出ステップによって、上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在するか否かを精度良く識別できる。
【0024】
請求項7に記載の画像処理方法は、請求項5または6に記載の画像処理方法において、
上記階調変化状況識別ステップの後で、上記制御ステップの前に、
上記下地領域に含まれた上記第1の画素の色相を抽出する色相抽出ステップと、
上記第1の画素の色相と、上記第1の画素に対して上記階調変化量算出ステップによって階調変化量を算出した方向に並ぶ第2の画素の色相との間に相関があるか否かを識別する色相判別ステップとを備え、
上記制御ステップでは、上記色相判別ステップによる識別結果に基づいて、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関があるとき、上記第1の画素について下地調整を禁止する一方、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関がないとき、上記第1の画素について下地調整を行う制御をすることを特徴とする。
【0025】
この請求項7の画像処理方法では、色相抽出ステップによって、上記下地領域に含まれた上記第1の画素の色相を抽出する。色相判別ステップでは、上記第1の画素の色相と、上記第1の画素に対して上記階調変化量算出ステップによって階調変化量を算出した方向に並ぶ第2の画素の色相との間に相関があるか否かを識別する。そして、上記制御ステップでは、上記色相判別ステップによる識別結果に基づいて、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関があるとき、上記第1の画素について上記下地調整ステップに下地調整を禁止させる一方、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関がないとき、上記第1の画素について上記下地調整ステップによって下地調整を行わせる。したがって、例えば、下地調整が下地飛ばし処理である場合、上記第1の画素が同じ色相で明度が徐々に変化するグラデーション領域内の画素である場合に限り、その第1の画素について上記下地調整ステップに下地飛ばし処理を禁止させることができる。この結果、互いに色相が異なる領域が接している境界付近で、下地飛ばし処理の採否の精度が高まる。したがって、下地飛ばし処理を行うべきでないグラデーション領域と、下地飛ばし処理を行うべき領域とが接している場合に、それらの領域が接している境界を下地調整後に明瞭に再現できる。
【0026】
請求項8に記載の画像処理方法は、請求項7に記載の画像処理方法において、
上記色相判別ステップでは、上記第1の画素の色相と、上記第1の画素に対して上記階調変化量算出ステップによって階調変化量を算出した方向に並ぶ第2の画素の色相とが一致するとき、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関があると識別し、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相とが一致しないとき、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関がないと識別することを特徴とする。
【0027】
この請求項8に記載の画像処理装置では、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関があるか否かを、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相とが一致するか否かに応じて識別できる。
【0028】
請求項に記載のプログラムは、請求項5から8までのいずれか一つに記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0029】
この請求項のプログラムによれば、請求項5から8までのいずれか一つに記載の画像処理方法をコンピュータに実行させることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0031】
図1は、この発明を適用した一実施形態の画像読取装置300のブロック構成を示している。
【0032】
この画像読取装置300は、ユーザが各種設定・入力を受けるための操作パネル100と、この装置全体を制御するCPU(中央演算処理装置)200と、このCPU200が実行すべきプログラムを格納したROM(リード・オンリ・メモリ)を備えている。また、この画像読取装置300は、原稿から画像データを得る入力手段としてのCCDセンサ111と、その画像データに画像処理を施すためのA/D変換部310、シェーディング補正部320、変倍・移動制御部330、Lab変換部340、下地レベル調整部350、逆Lab変換部360、LOG補正部370A、色補正処理部370B、領域判別部390およびMTF補正処理部380を備えている。
【0033】
図示しない露光ランプによって原稿面が照射され、原稿面からの反射光が光学系によって導かれてCCDセンサ111に入射する。CCDセンサ111の光電変換によって得られたアナログ信号は、A/D変換部310で、R(レッド),G(グリーン),B(ブルー)の多値デジタル画像データに変換される。そのRGB画像データは、シェーディング補正部320で、CCDセンサ111における画素間の濃度ムラおよび露光ランプの配光ムラ等によって生じた読取りバラツキが解消するように補正された後、変倍・移動制御部330へ出力される。
【0034】
入力されたRGB画像データは、上記変倍・移動制御部330において、予め・操作者により指示されていた倍率に変更されたり、画像の位置を移動されたりする処理を施された後、Lab変換部340へ出力される。
【0035】
変倍・移動制御部330から出力されたRGB画像データは、Lab変換部340でL(明度データ)並びにaおよびb(色度データ)に表色系が変換される。この変換によって得られたLab画像データは下地レベル調整部350へ出力される。なお、明度データLは256(0〜255)階調で表現される。
【0036】
下地レベル調整部350は、入力されたLab画像データに対して下地調整を行って、原稿の裏写り、下地かぶりを防止する。
【0037】
下地調整後のLab画像データは、逆Lab変換部360で再びRGB画像データに変換されて、LOG補正部370Aおよび色補正処理部370Bへ出力される。
【0038】
LOG補正部370Aは、入力された輝度データであるRGB画像データをトナー色に対応するY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の濃度データヘ変換する。一方、色補正処理部370Bは、そのYMC濃度データからUCR(下色除去)処理や墨入れ(BP)処理によってK(ブラック)の濃度データを生成する。なお、濃度データは256(0〜255)階調で表現される。
【0039】
濃度データであるCMYK画像データは、MTF補正処理部380でエッジ処理を施された上で、プリンタ(図示せず)へ出力される。
【0040】
一方、逆Lab変換部360から出力されたRGB画像データは、領域判別部390にも入力される。この領域判別部390は、入力されたRGB画像データに基づいて、対応する画素がエッジ部のものか否かなどの判別をする。
【0041】
さて、図2は下地レベル調整部350のブロック構成を示している。この下地レベル調整部350は、入力されたLab画像データのうち明度データLに対して所定の処理を実行する基準レベル算出部351、飛び画素検出部352、階調変化量算出部353およびグラデーション検出部354を備えるとともに、入力されたLab画像データのうち色相データa,bに対して所定の処理を実行する色相算出部355および色相判別部356を備えている。また、この下地レベル調整部350は、制御手段としての下地調整制御部357と、この下地調整制御部357からの下地処理制御信号に応じて下地調整を行う下地調整部358とを備えている。
【0042】
基準レベル算出部351は、入力されたLab画像データから、明度(階調値)Lのヒストグラムを作成して、明度Lの度数が最も多い階調レベルmを求める。そして、そのレベルmを、下地領域と非下地領域とを分けるための基準レベルとして飛び画素検出部352へ出力する。
【0043】
飛び画素検出部352は、下地画素検出手段として働いて、基準レベルmに基づいて、入力されたLab画像データ中の下地領域に含まれた画素を検出する。具体的には、入力されたLab画像データ中の各画素について、その画素の明度データLと基準レベルmとを比較して、その画素の明度Lが基準レベルmよりも高ければ、その画素は下地領域に含まれた画素(これを適宜「飛び画素」という。)であると判別する。一方、その画素の明度Lが基準レベルmよりも低ければ、その画素は非下地領域に含まれた画素であると判別する。飛び画素検出部352は、入力されたLab画像データ中の各画素について、この判別結果を表す飛び画素判別信号を下地調整制御部357へ出力する。
【0044】
階調変化量算出部353は、図3に示すように、各飛び画素Pについて、その飛び画素Pを中心として放射状に複数方向の階調変化量SL1,SL2,…,SLnを算出する。階調変化量は、処理対象となった飛び画素Pを中心として縦k個×横k個(kは3以上の自然数である。)の画素からなるウィンドウを形成し、グラディエントやラプラシアンなどの微分フィルタを用いて算出される。この結果、飛び画素Pを中心として、算出した方向の数(この例ではn=8個)分だけ階調変化量が得られる。なお、図4は、(a)ステップ、(b)ライン、(c)ルーフと呼ばれるタイプの濃淡断面と、それに対応するグラジエントフィルタを通して得られたデータと、ラプラシアンフィルタを通して得られたデータとをそれぞれ対応させて示している。
【0045】
図2中に示すグラデーション検出部354は、階調変化状況識別手段として働き、階調変化量算出部353によって算出された階調変化量SL1,SL2,…,SLnに基づいて、上記飛び画素Pの周辺の階調変化状況を識別する。具体的には、階調変化量SL1,SL2,…,SLnと予め設定された二つの基準値REF1,REF2(ただし、REF1<REF2である。)とをそれぞれ比較する。ここで、REF1は平坦とグラデーションとを区別するための値、基準値REF2はグラデーションとエッジとを区別するための値である。上記飛び画素Pについて、いずれかの階調変化量SLi(i=1,2,…,n)がREF1よりも大きく、かつREF2よりも小さければ、上記飛び画素Pはグラデーション領域内の画素であると判断される。なお、階調変化量SLiがREF1よりも小さければ、その方向に関してその飛び画素Pが平坦領域に存在し、階調変化量SLiがREF2よりも大きければ、その方向に関してその飛び画素Pがエッジに存在すると判断される。そして、グラデーション検出部354は、上記飛び画素Pがグラデーション領域内の画素であるか否かを表すn個のグラデーション検出信号を下地調整制御部357へ出力する。
【0046】
色相算出部355は、色相抽出手段として働いて、入力されたLab画像データ中の色相データa,bをもとに、飛び画素P自身の色相を算出する。図5に示すように、飛び画素P自身の色相は、a−b平面上でarctan(b/a)で表される。また、色相算出部355は、飛び画素Pに対して上記階調変化量算出部353によって階調変化量SL1,SL2,…,SLnを算出した各方向に並ぶ画素の色相を算出する。或る方向に関して並ぶ画素の色相は、例えば、その方向に並ぶ画素の色相のヒストグラムを算出し、最も頻度の高い色相を採用することによって代表される。または、或る方向に関して並ぶ画素の色相は、その方向に並ぶ画素の色相の平均値を採用することによって代表される。色相算出部355は、飛び画素P自身の色相と上記n方向に並ぶ画素の色相との、計(n+1)個の色相を表す色相情報を色相判別部356へ出力する。
【0047】
なお、スクリーン印刷による画像などでは、単一画素は原色データを持ち、各原色の面積率によって色相が定められる。この場合には、単一画素の色相のみからでは或る面積を占める画像の色相が分からないので、飛び画素Pの周辺に存在する複数の画素の色相から飛び画素Pの色相を算出する。
【0048】
色相判別部356は、色相算出部355からの色相情報に基づいて、飛び画素Pの色相と上記n方向に並ぶ画素の色相との間の相関、この例では飛び画素Pの色相と上記n方向に並ぶ画素の色相とが一致するか否かを識別する。そして、色相判別部356は、これらの識別結果を表すn個の色相判別信号を下地調整制御部357へ出力する。
【0049】
下地調整制御部357は、上記飛び画素検出部352からの飛び画素判別信号、上記グラデーション検出部354からのグラデーション検出信号、および上記色相判別部356色相判別信号に基づいて、上記下地調整部358に下地調整を行わせるか禁止させるかを表す下地処理制御信号を作成する。
【0050】
例えば、上記飛び画素Pが同じ色相で明度が徐々に変化するグラデーション領域内の画素であれば、その飛び画素Pについて下地調整部358に下地飛ばし処理を禁止させる一方、上記飛び画素Pがそれ以外の領域に含まれた画素であれば、その飛び画素Pについて下地調整部358に下地飛ばし処理を行わせることを表す下地処理制御信号を作成する。
【0051】
下地調整部358は、下地調整制御部357から下地飛ばし処理を禁止することを表す下地処理制御信号(ノンアクティブ)を受けない限り、下地飛ばし処理を行うようになっている。この例では、下地調整部358が行う下地飛ばし処理は、図9(a)に示したように入力画像中の各画素データが表す明度(階調値)のヒストグラムを作成して、明度の度数が最も多い基準レベルmを求め、その基準レベルmよりも明度が高い領域(これを「下地領域」とみなす。)では、図9(b)に示したように明度データLを白に相当する最大値(255)へ変換するものとする。
【0052】
図6は、下地レベル調整部350の全体的な制御フローを示している。以下、下地レベル調整部350の動作を、図6のフローと、図7(a)(b)に例示した画像データ(ビットマップイメージで表す。)および明度プロファイルを参照しながら説明する。なお、図7(a)(b)では、それぞれ上段が画像データを表し、下段が対応する各画像データの明度プロファイルを表している。
【0053】
図7(a)上段は入力画像データ(原画)を例示している。この入力画像データには、背景である下地領域1と、非下地領域としての円錐形の明度プロファイルを持つグラデーション領域3とが存在している。明度データは、図7(a)下段に示すように、下地領域1ではL=m1(≒200)、グラデーション領域3では中央部がL=255(白)、縁部がL≒100になっている。
【0054】
まず、基準レベル算出部351によって基準レベルmを求める(図6のS1)。図7(a)の例では基準レベルmはm1よりも若干低いレベルになっている。
【0055】
次に、飛び画素検出部352によって、入力されたLab画像データ中の下地領域1に含まれた画素(飛び画素)を検出する(図6のS2)。
【0056】
次に、階調変化量算出部353によって、或る飛び画素を処理対象し、その飛び画素(処理対象飛び画素)を中心として放射状に複数方向の階調変化量SL1,SL2,…,SLnを算出する(S3)。
【0057】
次に、グラデーション検出部354によって、階調変化量SL1,SL2,…,SLnと予め設定された二つの基準値REF1,REF2(ただし、REF1<REF2である。)とをそれぞれ比較する(S4)。既述のように、REF1は平坦とグラデーションとを区別するための値、基準値REF2はグラデーションとエッジとを区別するための値である。ここで、上記処理対象飛び画素について、いずれの階調変化量SLiもREF1よりも小、またはいずれの階調変化量SLiもREF2よりも大であれば、上記処理対象飛び画素はグラデーション領域外の画素であると判断して(S4でNO)、以降の処理をスルーする。
【0058】
一方、上記処理対象飛び画素について、いずれかの階調変化量SLi(i=1,2,…,n)がREF1よりも大きく、かつREF2よりも小さければ、上記処理対象飛び画素はグラデーション領域内の画素であると判断される(S4でYES)。この場合、色相算出部355によって、上記処理対象飛び画素に対して上記階調変化量算出部353によって階調変化量SL1,SL2,…,SLnを算出した各方向に並ぶ画素の色相を算出する(S5)。また、色相算出部355によって、入力画像データ中の色相データa,bをもとに、上記処理対象飛び画素自身の色相を算出する(S6)。
【0059】
次に、色相算出部355からの色相情報に基づいて、色相判別部356によって、上記処理対象飛び画素の色相と上記n方向のうちいずれか一方向に並ぶ画素の色相とが一致するか否かを識別する(S7)。ここで、上記処理対象飛び画素の色相と上記n方向に並ぶ画素の色相とがいずれも一致しなければ(S7でNO)、以降の処理をスルーする。
【0060】
一方、上記処理対象飛び画素の色相と上記n方向のうちいずれか一方向に並ぶ画素の色相とが一致すれば、上記処理対象飛び画素が同じ色相で明度が徐々に変化するグラデーション領域内の画素であると判断される(S7でYES)。この場合、下地調整制御部357は、その処理対象飛び画素について下地調整部358に下地飛ばし処理を禁止(キャンセル)させることを表す下地処理制御信号を作成する(S8)。そして、全ての飛び画素に対してステップS3〜S8の処理を繰り返す(S9)。
【0061】
この後、下地調整部358によって、下地調整制御部357からの下地処理制御信号に応じて下地調整を行う。この例では、上記処理対象飛び画素が同じ色相で明度が徐々に変化するグラデーション領域内の画素であれば、その処理対象飛び画素について下地飛ばし処理を行わない。一方、上記処理対象飛び画素がそれ以外の領域に含まれた画素であれば、その処理対象飛び画素について下地飛ばし処理を行う。
【0062】
この結果、図7(b)に示すように、グラデーション領域3の明度プロファイルは入力画像データのものと同じで、下地領域1の明度だけが255(白)に変換された画像データが得られる。したがって、グラデーション領域3に白抜けが発生するのを防止できる。しかも、互いに色相が異なる領域1,3が接している境界付近で、下地飛ばし処理の採否の精度が高まる。例えば図8に示すように、下地飛ばし処理を行うべきでないグラデーション画像(写真画像)A1と、下地飛ばし処理を行うべき枠画像A2とが接している場合に、それらの画像A1,A2が接している境界を下地調整後に明瞭に再現できる。
【0063】
なお、本実施形態では、下地レベル調整部350が処理する入カ画像データとしてL,a,bを使用したが、明度および色相情報を含むものであれば他の色空間のデータであっても良い。
【0064】
上記実施の形態では、下地調整の例として下地飛ばし処理を述べたが、下地調整は下地を特定の色(たとえば中間色)に着色する処理であっても良い。
【0065】
【発明の効果】
以上より明らかなように、この発明の画像処理装置によれば、グラデーション領域に白抜けが発生するのを防止し、この領域の階調性を維持することができる。
【0066】
この発明の画像処理方法によれば、グラデーション領域に白抜けが発生するのを防止し、この領域の階調性を維持することができる。
【0067】
また、この発明のプログラムによれば、この発明の画像処理方法をコンピュータに実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明を適用した一実施形態の画像読取装置300のブロック構成を示す図である。
【図2】 下地レベル調整部350のブロック構成を示す図である。
【図3】 飛び画素Pについて、その飛び画素Pを中心として階調変化量を算出する方向を示す図である。
【図4】 (a)ステップ、(b)ライン、(c)ルーフと呼ばれるタイプの濃淡断面と、それに対応するグラジエントフィルタを通して得られたデータと、ラプラシアンフィルタを通して得られたデータとをそれぞれ対応させて示す図である。
【図5】 飛び画素P自身の色相をa−b平面上で表す図である。
【図6】 下地レベル調整部350の制御フローを示す図である。
【図7】 画像データおよび明度プロファイルを示す図である。
【図8】 下地飛ばし処理を行うべきでないグラデーション画像(写真画像)A1と、下地飛ばし処理を行うべき枠画像A2とが接している画像データを示す図である。
【図9】 従来の下地飛ばし処理を説明する図である。
【図10】 従来の下地飛ばし処理による問題点を説明する図である。
【図11】 下地飛ばし処理後の良くない写真画像を例示する図である。
【符号の説明】
1 下地領域
3 非下地領域
300 画像読取装置
350 下地レベル調整部

Claims (9)

  1. 画像データを入力する入力手段と、
    上記入力手段によって入力された入力画像データから、下地領域と非下地領域とを分けるための基準レベルを算出する基準レベル算出手段と、
    上記基準レベル算出手段によって算出された基準レベルに基づいて、上記入力画像データ中の下地領域に含まれた画素を検出する下地画素検出手段と、
    上記下地領域に含まれた画素について下地調整を行う下地調整手段と、
    上記下地領域に含まれた第1の画素を基準として、少なくとも一方向に並んだ第2の画素の階調変化量を算出する階調変化量算出手段と、
    上記階調変化量算出手段によって算出された階調変化量に基づいて、階調変化状況として、上記下地領域に含まれた上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在するか否かを識別する階調変化状況識別手段と、
    上記階調変化状況識別手段によって識別された階調変化状況に基づいて、上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在するとき、上記第1の画素について上記下地調整手段に下地調整を禁止させる一方、上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在しないとき、上記第1の画素について上記下地調整手段によって下地調整を行わせる制御手段と
    を備えたことを特徴とする画像処理装置。
  2. 請求項1に記載の画像処理装置において、
    上記階調変化量算出手段は、上記下地領域に含まれた上記第1の画素を基準として複数方向に並んだ第2の画素の階調変化量を算出することを特徴とする画像処理装置。
  3. 請求項1または2に記載の画像処理装置において、
    上記下地領域に含まれた上記第1の画素の色相を抽出する色相抽出手段と、
    上記第1の画素の色相と、上記第1の画素に対して上記階調変化量算出手段によって階調変化量を算出した方向に並ぶ第2の画素の色相との間に相関があるか否かを識別する色相判別手段とを備え、
    上記制御手段は、上記色相判別手段による識別結果に基づいて、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関があるとき、上記第1の画素について上記下地調整手段に下地調整を禁止させる一方、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関がないとき、上記第1の画素について上記下地調整手段によって下地調整を行わせることを特徴とする画像処理装置。
  4. 請求項3に記載の画像処理装置において、
    上記色相判別手段は、上記第1の画素の色相と、上記第1の画素に対して上記階調変化量算出手段によって階調変化量を算出した方向に並ぶ第2の画素の色相とが一致するとき、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関があると識別し、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相とが一致しないとき、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関がないと識別することを特徴とする画像処理装置。
  5. 画像処理装置によって実行される画像処理方法であって、
    画像データを入力する入力ステップと、
    上記入力された入力画像データから、下地領域と非下地領域とを分けるための基準レベルを算出する基準レベル算出ステップと、
    上記算出された基準レベルに基づいて、上記入力画像データ中の下地領域に含まれた画素を検出する下地画素検出ステップと、
    上記下地領域に含まれた第1の画素を基準として、少なくとも一方向に並んだ第2の画素の階調変化量を算出する階調変化量算出ステップと、
    上記算出された階調変化量に基づいて、階調変化状況として、上記下地領域に含まれた上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在するか否かを識別する階調変化状況識別ステップと、
    上記識別された階調変化状況に基づいて、上記第1の画素の周辺にグラデーションが存 在するとき、上記第1の画素について下地調整を禁止する一方、上記第1の画素の周辺にグラデーションが存在しないとき、上記第1の画素について下地調整を行う制御をする制御ステップ
    を備えたことを特徴とする画像処理方法。
  6. 請求項5に記載の画像処理方法において、
    上記階調変化量算出ステップでは、上記下地領域に含まれた上記第1の画素を基準として複数方向に並んだ第2の画素の階調変化量を算出することを特徴とする画像処理方法。
  7. 請求項5または6に記載の画像処理方法において、
    上記階調変化状況識別ステップの後で、上記制御ステップの前に、
    上記下地領域に含まれた上記第1の画素の色相を抽出する色相抽出ステップと、
    上記第1の画素の色相と、上記第1の画素に対して上記階調変化量算出ステップによって階調変化量を算出した方向に並ぶ第2の画素の色相との間に相関があるか否かを識別する色相判別ステップとを備え、
    上記制御ステップでは、上記色相判別ステップによる識別結果に基づいて、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関があるとき、上記第1の画素について下地調整を禁止する一方、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関がないとき、上記第1の画素について下地調整を行う制御をすることを特徴とする画像処理方法。
  8. 請求項7に記載の画像処理方法において、
    上記色相判別ステップでは、上記第1の画素の色相と、上記第1の画素に対して上記階調変化量算出ステップによって階調変化量を算出した方向に並ぶ第2の画素の色相とが一致するとき、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関があると識別し、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相とが一致しないとき、上記第1の画素の色相と上記第2の画素の色相との間に相関がないと識別することを特徴とする画像処理方法。
  9. 請求項5から8までのいずれか一つに記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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