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JP4092030B2 - 登山道の修復方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗堀された登山道の修復方法、詳しくは、降雨時の流下水による登山道の洗堀進行防止と歩行を容易とし、且つ植生復帰に効果のある登山道の修復方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、山間地における交通網が整備された結果、自動車で山麓まで容易にアクセスできるようになり、比較的容易に登山道へ足を踏み入れることが可能となった。一般に登山道は、土や破砕物など水流により浸食され易い地盤で構成されている場合が多く、植物の根によって支持されていたが、増加する登山者により踏み固められて植物が死滅する事が多い。そのため、土が水流によって流され易くなり、次第にU字状に洗堀される現象が生じた。
【0003】
こうして洗堀し始めた登山道は、地形上周囲より一段低い位置にあるため、降雨時において流下する雨水の水路と化してしまう。そのため、この流下水流により登山道が一層堀削され、幅が狭く泥状でぬかるんだり或いは凹凸が激しい等歩行しにくい状態となるので、どうしても歩きにくくなった登山道を避け、歩きやすい登山道に沿った植物の繁茂する部分を歩行する登山者が増加している。
【0004】
以上の結果として、登山道の周囲の植物が踏み倒され、植物の根によって支持されていた土壌が洗堀され易くなって一層洗堀地が広がったり、特に高山帯の登山道周辺は国や県指定の自然公園になっていることも多いが、貴重な植物が消滅するといった弊害が生じた。この被害を、山形県と新潟県にまたがる朝日山系の主稜線において調査した結果報告では、幅5m,深さ1m,長さ100mを越える洗堀地が各所に見られた。他の山系でも同様な洗堀がみられており、自然破壊の歯止めと修復並びに強固な登山道の確保が課題となっている。
【0005】
従来これらを解決する方法としては、(a)木製杭を数本地盤に埋め込み、この杭の地表より上の杭部に受け板を固定して土留めし、これを踏段として利用する方法や、(b)洗堀された裸地を土で覆い、その上を藁で作製したこもなどで被覆して植生を復帰する方法が採られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記(a)の場合は、降雨時の流下水や地崩れに対する抵抗性が小さいため、降雨が激しい場合のときには前記受け板の上を通って流下し、登山道が水路と化す。その結果、この流下水により土砂が洗堀され、登山道は一層深くU字型にえぐられることが多かった。また、踏段の受け板には開口部がないため、水が流れ込んだ際、踏段の下部へ一気に滝のように水が流れ、踏段の下部が洗堀されやすい。
【0007】
そして、踏段の杭周囲の地盤が緩み土砂が流出しやすくなるため、長時間たつと踏段そのものが崩壊する場合もある。更に、杭や受け板は木製であることが多いため劣化が早く、耐久年数が短いといった欠点があった。また上記(b)の場合、平地ないしは傾斜が極めて緩い場所以外は、容易に土が雨水で流失するといった問題点があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような従来の問題点を解決するために成されたもので、登山道を歩きやすくし、歩行部の幅を広げないこと並びに歩行部以外の洗堀された場所の植生を回復することができるものを提供することを目的としたものであり、その要旨は、洗堀された登山道に、歩行時の荷重や水流により形崩れしない塊状の物質を充填して歩行部の基礎と雨水の流路を確保した後、透水性を有するシートで被覆してその上部を土で覆い、更にその上部に、内部空隙に土を充填したポーラスコンクリートブロックを設置して、植生の復帰と良好な歩行性を具備せしめることを特徴とする登山道の修復方法等にある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る登山道の修復方法を、図面に示す実施例により詳細に説明すると、図において、Aは雨水等の流下水によりU字状に洗堀された登山道で、この登山道Aの上には、下位から上位に向け、塊状の物質1,シート2,土3,ポーラスコンクリートブロック4が順に設置された構成としている。
【0010】
その施工方法は、まず、洗堀された登山道Aの最下位に塊状の物質1を充填して、歩行部を透水性を有する構造とする。この塊状の物質1としては、天然岩石や玉石,砂利,砕石,発泡スチロール,軽量人工岩石など、歩行の荷重や水により容易に崩壊しないものであればよく、これらを充填することでおよそ30〜50%の空隙を形成する。これによって降雨後流速の早い流下水流の発生を防ぎ、しかも水がスムーズに地表から地下へ浸透することが可能となる。なお、歩行性の点から、塊状の物質1は下位から上位にかけて粒径を細かくするとよい。
【0011】
つぎに、前記塊状の物質1をシート2で覆う。このシート2は、雨水を浸透させ且つその上部の土3を保持できる性能が必要である。したがって、繊維質の物質から構成されるシートが好ましい。より好ましくは、景観上、藁や椰子などの天然繊維から構成される繊維が好ましい。そして、このシート2は登山道Aから容易に剥がれないように、図示しないが、その両端部に沿って頭部が鉤型の釘等で押さえるのがよい。
【0012】
前記シート2の上に土3を敷設する。この土3は一般の植物栽培に用いられる土であればよい。ただし、周囲の植生に配慮が必要な自然公園などでは、その場所で生育している植物種以外の繁殖を防ぐため、オートクレーブなどで高温殺菌した土を用いるのよい。また、必要によってパーライトやバーミキュライトなどの混合用土や肥料を混合してもよい。
【0013】
そして、前記土3の上にポーラスコンクリートブロック4を敷設するが、このポーラスコンクリートブロック4は、セメント,水,粗骨材,混和剤を用い、通常使用される5mm以下の細骨材を全く使用しないか、僅かに0.6mm程度の微砂を使用する程度のもので形成されており、おこし状の組織で内部に空隙を多く有する。使用するセメントは、普通ポルトランドセメント,早強ポルトランドセメント等のポルトランドセメントや混合セメントを用いる。
【0014】
また水は、上水道水などJISA5308(レディミクストコンクリート)に規定するものを使用できる。粗骨材はコンクリート用粗骨材として使用されている砂利,砕石,軽量骨材を用いる。混和剤は、JISA6204(コンクリート用化学混和剤)に記載の減水剤,AE減水剤,高性能AE減水剤混和剤を用いてセメント粒子の分散性を向上させ、単位水量の低減,強度の増大を図る。
【0015】
以上の材料を加えて混練後、ブロック状に成形する。この後、蒸気養生,気中養生,水中養生などの養生を施してポーラスコンクリートブロック4を得る。形状は平板状で、断面の厚さが5〜10cm、平面部の寸法は30〜50cm程度のものが下部の土3の被覆性や重さの点から施工性がよい。また上記コンクリートを用いて作製した供試体の強度は、運搬などのハンドリング及び歩行時の際に破損しないようにするため10N/mm以上発現されていることが好ましい。
【0016】
つぎに、前記ポーラスコンクリートブロック4の空隙内部に土を充填する。これによって、植生が復帰しやすい環境を提供することができる。充填に用いる土は前述のブロック4の下部に敷設した土3と同等でよい。
【0017】
以上の実施形態をとることで、歩行性,耐洗堀性,植生復帰に優れた修復となる。ここで、前記ポーラスコンクリートブロック4の上面に、市販されている園芸用土に予め採取した施工場所周辺の植物種子を混合したものを散布し、はき均しながらポーラスコンクリートブロック4の空隙部に充填させることもできる。
【0018】
以上は、図1に示すように、下位の土3を全て前記ポーラスコンクリートブロック4で覆う構成の例について説明したが、図2に示すように、歩道部となる中央部にはポーラスコンクリートブロック或いは擬石様平板5を設置し、その左右に前記ポーラスコンクリートブロック4を敷設することでも本発明の目的は達成できる。なお、この場合、ポーラスコンクリートブロック4,4は土壌押さえの機能も果たしている。
【0019】
そこで、降雨により登山道Aに沿って流下する水は、ポーラスコンクリートブロック4の内部空隙及び各ポーラスコンクリートブロック4,4の間を通って下位の土3に流れ、この土3の飽和水はその下位に敷設したシート2を介して塊状の物質1内に流入する。そして、この塊状の物質1内を山側から谷側に向け流下する間に、流下水は各塊状の物質1,1に衝当してその間隙を迂回しながら流下する。これにより流水速度が低減され、ゆるやかな流れとなって塊状の物質1間を谷側方向に流下する。従って、登山道Aの表面を流れる水量は殆どなく、洗堀に泥土の滞留もないので歩行に適した状態が保持される。
【0020】
また、ポーラスコンクリートブロック4の空隙に植物の種子を充填したものにあってはこの植物の種子が、また施工後にその周辺の植物の種子がポーラスコンクリートブロック4の空隙内に入ったものにあってはこの植物の種子が、それぞれポーラスコンクリートブロック4内の土及び下位の土3が含有する水分によって発芽し、繁茂して植生復帰した状態となる。
【0021】
【実施例】
幅約120cm、深さ60cmのU型状に洗堀された登山道に、先ず長径が10〜40cmの円礫を深さ20cmまで充填し、その上に40−0砕石(粒径40mm〜0mm)を厚さ10cmに敷き整地した。その後、天然ヤシの実の繊維(パーム繊維)を原料としたシート〔日建工学株式会社製「ステラシート」(商品名)厚さ5mm〕で洗堀部がすべて覆われ、かつ隣接する非洗堀部にも概ね10〜30cm覆われるように敷設した。
【0022】
非洗堀部にはシートが容易に移動しないように長さ200mm、直径5mm、頭部が鉤型になった釘で固定した。そして、シートの上の土は以下のように施工した。土は園芸店で市販されている一般植物用の土を用い、概ね10cmになるよう前記シート全体に土を覆った。
【0023】
土の上に設置するポーラスコンクリートブロックの配合を以下に示す。
Figure 0004092030
【0024】
ポーラスコンクリートブロックの形状は、平板状で断面の厚さが5cm、平面部の寸法は40×40cmのポーラスコンクリート平板を製造した。該ポーラスコンクリート平板の敷設は、その下位の土全てを覆うように敷き詰めた。敷設後に、ポーラスコンクリート平板の上面に市販されている園芸用土に予め採取した施工場所周辺の植物種子を混合したものを散布し、はき均しながら空隙に充填させていった。
【0025】
上記のようにして洗堀部を補修し、施工後4ケ月間観察した結果、▲1▼降雨時には以前より水流速度が遅くなり、土砂の流出が少なくなった。▲2▼洗堀部は不規則な凹凸やぬかるみがあり歩行しにくかったが、施工後は平坦になり、しかもぬかるみは解消され歩きやすくなった。▲3▼ポーラスコンクリート平板に充填された種子が発芽してきた。また、修復部の端部では非修復部に繁茂していた植物が伸びて活着し始めており、確実に植生復帰効果を示した。
【0026】
【発明の効果】
本発明に係る登山道の修復方法によって、以下の諸効果を期待することができる。(1)降雨時又はその後に発生する登山道に沿って流れる雨水は、補修部の内部に速やかに浸透するため、歩道部に水や泥土等が滞留することがなく、歩行し易くなる。(2)雨水は補修部の内部においてゆるやかな流れとなって流下するため、土砂の流出が少なくなって洗堀が制御されるとゝもに、地下への浸透水量も多くなる。(3)本修復方法を採用することで洗堀場所の植生を復帰させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る登山道の修復方法を示す断面説明図である。
【図2】本発明に係る登山道の他の修復方法を示す断面説明図である。
【図3】図2の平面説明図である。
【符号の説明】
A 登山道
1 塊状の物質
2 透水性シート
3 土
4 ポーラスコンクリートブロック
5 擬石様平板

Claims (4)

  1. 洗堀された登山道に、歩行時の荷重や水流により形崩れしない塊状の物質を充填して歩行部の基礎と雨水の流路を確保した後、透水性を有するシートで被覆してその上部を土で覆い、更にその上部に、内部空隙に土を充填したポーラスコンクリートブロックを設置して、植生の復帰と良好な歩行性を具備せしめることを特徴とする登山道の修復方法。
  2. 洗堀された登山道に、歩行の荷重や水流により形崩れしない塊状の物質を充填して歩行部の基礎と雨水の流路を確保した後、透水性を有するシートで被覆してその上部を土で覆い、更にその上部に上面に擬石等を貼付けたポーラスコンクリートブロック又は擬石様平板を、その左右に内部空隙に土を充填したポーラスコンクリートブロックを夫々設置して、植生の復帰と良好な歩行性を具備せしめることを特徴とする登山道の修復方法。
  3. ポーラスコンクリートブロックの内部空隙に、土と植物の種子を充填したことを特徴とする請求項1又は2記載の登山道の修復方法。
  4. 塊状の物質が、天然岩石,砂利,発泡スチロール,軽量人工岩石のうち二種以上であることを特徴とする請求項1,2又は3記載の登山道の修復方法。
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