JP4092794B2 - 接合方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金(以下単にアルミニウムと称す)製の部材に対し、回転しつつ進入する摩擦ピンによって生じる摩擦熱により前記部材を軟化及び攪拌して、1つ又は2つの上記部材を摩擦ピンを介して別の部材と接合する接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、2つの部材を重ね合わせて点部分で接合する方法として、アーク溶接、又はスポット溶接が、また、部材の表面にボルトを植設する方法として、スタッド溶接が用いられている。
例えば図7(A)に示すように、2つの部材20,22を重ね合わせて部分的にアーク溶接を利用して接合する場合、電極Aにより接合すべき部分にアーク放電を行う。次いで、表面側部材20から裏面側部材22まで両部材20,22を溶融した状態でアーク放電を停止することにより、両部材20,22に跨る溶融部Mが凝固することにより、両部材20,22を点部分で接合するものである。
このアーク溶接による場合、表面側部材20から裏面側部材22に達するまで溶融させる必要があり、溶接の熱影響により両部材20,22の変形や、溶融による表面形状の荒れが生じるため、熟練した専門技術者が必要であった。
【0003】
また、スポット溶接は、図7(B)に示すように、表面側部材24と裏面側部材26とを一対の電極28で挟持し、係る電極28,28間に電流を流す。これにより、両部材24,26の接合面付近において抵抗発熱を生じ、図7(C)に示すように、両部材24,26間にナゲットGを形成し、両部材24,26を重ね合わせて部分的に接合できる。尚、図中の符号Sは上記電極28による圧痕を示す。
ところで自動車や車両の軽量化に伴って、各種の部品に対するアルミニウムの適用が検討されている。しかし、上記スポット溶接は、少なくとも一方の部材が薄肉である必要があり、接合すべき部材24,26の厚さが厚肉になると、スポット溶接機によっては溶接できず、且つアルミニウムの場合には大電流を要するため、溶接機にも大型の電源装置を備えることが必要になる。従って、2つのアルミニウム部材(24,26)同士を簡便に点接合するには不向きであった。
【0004】
更に、スタッド溶接は、図7(D)に示すように、部材30の表面に該部材30と同じ材質のボルト32とをチャック34と口金36を介して接触させる。次に、ボルト32と部材30の間でアークを発生させると、図7(E)に示すように、ボルト32の下端と部材30内に溶け込み部分Mを形成することにより、スタッドボルト32は、部材30の表面に垂直に植設される。
しかし、上記アークは、部材30に強度低下や変形を招くことがある。しかも、部材30をアルミニウム化した場合、スタッドボルト32にはアルミニウム以外の金属を使用することができず、接合強度不足となることがあった。
【0005】
ところで、アルミニウム製の部材に対して、異種金属の部材を接合する方法として、摩擦結合方法(特開平7−47480号公報)が提案されている。この結合方法は、アルミニウム(Al)製の第二の構成部品に対して、銅(Cu)製の第一の構成部品を回転ししつ進入させ、両部品間に生じる摩擦熱により両部品の界面付近を軟化させて結合するものである。しかし、上記第一の構成部品をどのようにして用いるのかについては、具体的には何ら開示されていない。
【0006】
【発明が解決すべき課題】
本発明は、以上に説明した従来の技術における問題点を解決し、1つ又は一対のアルミニウム製部材に対し別の部材を簡単な治具等を用いて簡便にネジ結合可能とする接合方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、アルミニウムと異種材質の摩擦ピンを介して、アルミニウム製の部材の表面に別の部材をネジ結合にて接合することに着想して成されたものである。
【0008】
即ち、本発明の第1の接合方法(請求項1)は、アルミニウム又はアルミニウム合金製の部材に対し、少なくとも先端面とは反対側の後端寄りの周面にネジを設けた摩擦ピンの先端面側を上記部材の表面から内部に向けて回転しつつ押圧し、上記部材と摩擦ピンとの間に生じる摩擦熱により上記部材を軟化せしめ且つ攪拌することにより、摩擦ピンを上記部材に植設すると共に、上記部材の表面から突出する摩擦ピンの上記ネジを利用して上記部材に別の部材を固定する、ことを特徴とする。
【0009】
これによれば、摩擦ピンによる摩擦熱によってアルミニウム製の部材を固相状態で流動化し攪拌することで、上記部材に摩擦ピンを簡便且つ強固に植設でき、且つ摩擦ピンの後端寄りに設けたネジを利用して別の部材を容易に固定することができる。しかも、摩擦ピンがアルミニウム以外の鋼やステンレス鋼等の異種材質であっても、従来のスタッド溶接のような制限を受けず、且つ摩擦ピンの埋設長さも深くすることができるので、少ない治具で容易且つ強固に植設できる。
尚、上記別の部材の材質には、アルミニウム製以外のものも含まれる。
【0010】
また、本発明の第2の接合方法(請求項2)は、一対のアルミニウム又はアルミニウム合金製の部材を重ね合わせて重合面を形成し、係る重合面を貫通するように一方の部材の表面から他方の部材に向けて、少なくとも先端面とは反対側の後端寄りの周面にネジを設けた摩擦ピンの先端面側を回転しつつ押圧し、上記一対の部材と摩擦ピンとの間に生じる摩擦熱により両部材を軟化せしめ且つ攪拌することにより、摩擦ピンを両部材に植設し且つ両部材同士を接合すると共に、上記一方の部材の表面から突出する摩擦ピンの上記ネジを利用して上記両部材に別の部材を固定する、ことを特徴とする。
【0011】
これによれば、摩擦ピンが一対のアルミニウム製の部材を貫通して両部材を固相状態で流動化・攪拌し直に接合すると共に、両部材も摩擦ピンを介して強固に接合される。しかも、上記部材に摩擦ピンを簡便且つ強固に植設でき、且つ摩擦ピンの後端寄りに設けたネジを利用して別の部材を容易に固定することができる。
尚、前記両部材同士が直に接合されていないか接合不十分であっても、上記摩擦ピンを介して強固に接合することができる。また、前記別の部材の材質もアルミニウム製のものに限らない。
【0012】
また、前記摩擦ピンが、その先端面に散点状又は線状の凹凸部を形成している、接合方法(請求項3)も含まれる。
これによれば、摩擦ピンと上記部材との間で摩擦熱を発生し易くし、部材のアルミニウムを固相状態で更に流動化することができる。
【0013】
更に、前記摩擦ピンが、その周面に凹凸を形成している、接合方法(請求項4)も含まれる。これによれば、摩擦ピンと上記部材との間で摩擦熱を発生し易くし、該部材のアルミニウムを固相状態で流動化を促進すると共に、第2の接合方法における一対の部材間に跨るアルミニウムの攪拌を確実にして、両部材の直接接合することができる。しかも、摩擦ピン自体を、第2の接合方法における一対の部材と、又は第1の接合方法における単独の部材と強固に接合することができる。
【0014】
また、前記摩擦ピンが、その周面に連続するか又は部分的なネジを形成している、接合方法(請求項5)も含まれる。
これによれば、ネジにより上記摩擦熱を発生させ、上記部材のアルミニウムを固相状態で流動化して攪拌し、一対の部材同士の直接接合及び摩擦ピン自体の一対の部材、又は単独の部材との接合を一層強固にできる。
【0015】
更に、前記摩擦ピンをその周面に形成したネジの回転方向と逆方向に回転しつつ前記一対の部材又は前記単独の部材に押圧する、接合方法(請求項6)も含まれる。
これによれば、摩擦ピンにより流動化された上記部材のアルミニウムをネジに沿って部材の外部に排出するのを阻止し、流動化した上記アルミニウムに内圧を加えつつ確実に攪拌できる。従って、係る流動化したアルミニウムは、摩擦ピンの周面付近に留まるため、摩擦ピンのネジ谷内にも進入して固化し摩擦ピンを強固に固定する。しかも、流動化するアルミニウムの容積も増えるため、第2の接合方法における一対の部材の接合を更に強固なものにすることができる。
【0016】
また、前記摩擦ピンが、その先端面に開口する中空部を有する中空材である、接合方法(請求項7)も含まれる。
更に、前記摩擦ピンが貫通する前記一対の部材間の重合面付近において、少なくとも何れかの部材に上記摩擦ピンの周囲に隙間を形成する凹部を予め設けた、接合方法(請求項8)も含まれる。
加えて、前記摩擦ピンが進入する前記一対の部材又は前記単独の部材内に、摩擦ピンと同軸で且つ細径の貫通孔又は閉塞穴を予め形成した、接合方法(請求項9)も含まれる。
【0017】
これらによれば、前記部材内に進入する摩擦ピンによりその容積分に相当するアルミニウムは、その一部が上記中空部、凹部、或いは貫通孔又は閉塞穴に進入して外部に排出されなくなり、接合後における仕上げ加工を容易にすることができる。しかも、摩擦ピンの押込み圧力を減らせると共に、第2の接合方法における一対の部材間の重合面間から流動化したアルミニウムが外部にバリとして流れ出すことも防止できる。
【0018】
更に、前記摩擦ピンを前記一対の部材又は前記単独の部材に植設する際、これらの部材の表面に位置する上記摩擦ピンに大径部分を形成すると共に、該摩擦ピンを一対の部材又は単独の部材に植設し終わる直前に摩擦ピンの回転を停止し、且つ当該摩擦ピンをその先端面に向けその軸方向に沿って荷重を加えることにより、上記大径部分の一部又は全部を一方の部材又は単独の部材内に埋設した、接合方法(請求項10)も含まれる。
これによれば、上記大径部分により前記部材の流動化して固化するアルミニウムに蓋をした状態で摩擦ピンを押圧するので、係る摩擦ピンと前記一対の部材又は単独部材との密着も確実になる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下において本発明の実施に好適な形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明の前提となる参考形態に関し、図1(A)は、接合すべき一対のアルミニウム製の部材1a,1bをそれぞれの端縁付近で重合して重合面Gを設け、且つ図示しない治具で拘束した状態を示す。上記部材1a,1bには、純Al系(JIS:A1080,A1100)、Al−Mn系(JIS:A3003)、Al−Mg系(JIS:A5052,A5457)、Al−Mg−Si系(JIS:A6061)等のアルミニウムからなる圧延による板材又は押出形材、或いは鋳造用アルミニウムやダイカスト用アルミニウムからなる鋳物又はダイカスト材が用いられる。各部材1a,1bの厚さは例えば3〜18mm程度である。
【0020】
図1(B)に示すように、両部材1a,1bの重合面Gを貫通するよう一方の部材1bの表面に向けて直角に摩擦ピン2を回転させつつ接近する。この摩擦ピン2は、アルミニウムよりも硬質で軟化点の高い特殊鋼等からなり、その周面に凹凸であるネジ4を有し、且つ上端に薄肉部6を有する。この薄肉部6は、図示しないモータ等の回転軸の一端に固定されたチャックに把持される。また、摩擦ピン2の直径は約3〜10mmで、長さは約4〜34mm程度である。係る摩擦ピン2は、500〜15000rpmの回転速度によりネジ4の回転方向と逆方向に回転されつつ、その軸方向に沿って1〜20kNの押込み力(押圧力)を付与されている。
【0021】
摩擦ピン2は、先ず一方の部材1b内に進入し、そのネジ4と部材1bのアルミニウムとの間で摩擦熱を生じ、且つネジ4付近のアルミニウムを固相状態で軟化して流動化しつつ攪拌する。この際、摩擦ピン2はネジ4と逆方向に回転されているため、流動化したアルミニウムは図示で下向きに押し付けられる。
更に、摩擦ピン2を押込むと、その先端側は重合面Gを貫通して、他方の部材1a内に進入し、上記と同じく摩擦熱を生じ、且つネジ4付近のアルミニウムを固相状態で軟化して流動化しつつ攪拌する。
その結果、図1(C)に示すように、摩擦ピン2は両部材1a,1bの重合面Gを貫通して、各部材1a,1bのアルミニウムを両者間に渉って水平及び垂直方向に流動化して攪拌し、そのネジ4の周囲に略鐘形状の接合部Wが形成される。
【0022】
そして、摩擦ピン2のネジ4部分が両部材1a,1b中に進入した状態で、摩擦ピン2の回転を停止し、その薄肉部6を上記チャックから開放する。すると、図1(D)に示すように、上記接合部Wは固化して両部材1a,1bを接合する。また、固化した接合部Wは摩擦ピン2を両部材1a,1bに跨って固定すると共に、その薄肉部6を一方の部材1bにおける接合部Wの表面Wa上に突出して植設することができる。従って、両部材1a,1bは接合部Wにより直接接合されると共に、摩擦ピン2を介しても接合されるため、強固な接合強度を得ることができ。尚、接合部Wの表面Wa上には摩擦ピン2の進入に伴いその体積分の一部が排出されてバリWcが形成されが、このバリWcは必要により追って除去される。また、重合面Gに沿って前記流動化したアルミニウムの一部は、摩擦ピン2のネジ4の逆向き回転による内圧を受けて外部に流出しようとする。その結果、図1(D)に示したようなバリWbが形成されてしまう場合がある。
【0023】
図2は、前記参考形態のうち、上記バリWbの発生を防ぐ形態に関する。
図2(A)は、接合すべき両部材1a,1bの重合面Gにおける中央付近に円盤形状の凹部1cを同軸に一対形成した状態を示す。図2(B)に示すように、前記同様に摩擦ピン2を一方の部材1bから重合面Gの上記各凹部1cに向けて回転しつつ押込む。その結果、図2(C)に示すように、摩擦ピン2のネジ4により流動化され攪拌された両部材1a,1bのアルミニウムは、摩擦ピン2の周囲に接合部Wを形成する。その際、上記一対の凹部1cに相当する容積のアルミニウムは摩擦ピン2のネジ4の逆向き回転による内圧を受けて外部に流出しなくなり、前記バリWb,Wcがないか少ない接合部Wを形成することができる。
尚、図2(C)において、各部材1a,1bの流動化したアルミニウムが互いに攪拌されない場合がある。しかし、この場合でも各部材1a,1bは個別の接合部W及び摩擦ピン2を介して所要程度以上の強度をもって接合される。尚また、上記凹部1cは何れか一方の部材1a,1bのみに穿設しても良い。
【0024】
図2(D)は、一方の部材1aにおける摩擦ピン2の進入路に沿って該ピン2よりも細径の貫通孔1dを穿設すると共に、他方の部材1bにおけるピン2の進入路に沿って該ピン2よりも細径の閉塞穴1eを穿設した状態を示す。閉塞穴1eの直径は、貫通孔1dと同径か僅かに細径としている。係る貫通孔1d及び閉塞穴1eを予め両部材1a,1bの重合面G付近に穿設することにより、摩擦ピン2により流動化したアルミニウムによる前記バリWb,Wcの発生を防いだり減らすことができる。しかも、摩擦ピン2の軸方向に沿った押込み力を低減することもできる。尚、貫通孔1dと閉塞穴1eの何れか一方のみを形成しても良い。
【0025】
また、図2(E)に示すように、摩擦ピン2自体をその先端面に開口する中空部3を有する中空材から形成することによっても、摩擦ピン2により流動化されたアルミニウムによる前記バリWb,Wcの発生を少なくすることができ、且つ摩擦ピン2の軸方向に沿った押込み力を低減することもできる。
尚、前記凹部1cと貫通孔1d、凹部1cと貫通孔1dと閉塞穴1e、或いはこれらと上記中空部3を有する摩擦ピン2を適宜組み合せて併用することで、接合部WのバリWb,Wcの発生を一層確実に防止することが可能となる。
【0026】
図3は、本発明における第2の接合方法に関する。
図3(a)は、前記摩擦ピン2を示し、図3(A)に示すように、一対のアルミニウム製の部材1a,1bに対し前記同様にして回転しつつ押込んで、そのネジ4の周囲に接合部Wを形成する。且つ、摩擦ピン2の後端寄りのネジ4を接合部Wの表面Wa及び一方の部材1bから上方に突出するように上記ピン2を植設したものである。そして、突出した摩擦ピン2のネジ4に別部材であるアングル8の透孔9を貫通し、且つ上記ネジ4にナットNを螺合することにより、アングル8を予め接合した一対の部材1a,1bに固定したものである。
【0027】
これにより、アルミニウム製の両部材1a,1b及びアングル8を摩擦ピン2を介して強固に接合することができる。尚、アングル8には形鋼又はアルミニウムの押出形材を用いる。また、本図3及びこれ以降の図面においても、部材1a,1bに前記凹部1cや貫通孔1d等を形成することにより、部材1aの表面や部材1a,1bの重合面付近にバリWb,Wcの発生を抑制する構造としている。但し、バリWc等の発生を完全には阻止できないが、その図示は省略した。
【0028】
図3(b)は、周面にネジ4を有し且つその後端面に六角穴7を形成した摩擦ピン2′を示す。図3(B)は、このピン2′を用いて一対の部材1a,1b及びアングル8を接合した状態を示す。即ち、予め摩擦ピン2′をその六角穴7内に図示しないチャックと一体の六角ピンを挿入し且つその周囲に電磁石を有する当該チャックに固定する。次に、摩擦ピン2′を一対のアルミニウム製の部材1a,1bに対し前記同様にして回転しつつ押込み、そのネジ4の周囲に接合部Wを形成する。同時に、摩擦ピン2′の後端寄りのネジ4を接合部Wの表面Wa及び一方の部材1bから上方に突出するよう上記ピン2′を植設する。
更に、突出した摩擦ピン2′のネジ4に別部材であるアングル8の透孔9を貫通し、且つ上記ネジ4にナットNを螺合することにより、アングル8を予め接合した一対の部材1a,1bに固定したものである。これによって、アルミニウム製の両部材1a,1b及びアングル8を摩擦ピン2′を介して強固に接合することができる。
【0029】
図3(c)は、先端寄りの周面にネジ4を、後端寄りの周面に逆ネジ4′を有すると共に、その間に六角形の太い把持部(大径部分)5を形成した摩擦ピン2″を示す。図3(C)は、このピン2″を用いて一対の部材1a,1b及びアングル8を接合した状態を示す。即ち、摩擦ピン2″を予めその把持部5により図示しないチャックに固定する。次に、係る摩擦ピン2″を一対の部材1a,1bに対し前記同様にして回転しつつ押込み、そのネジ4の周囲に接合部Wを形成し、同時に摩擦ピン2″の把持部5と後端寄りの逆ネジ4′を接合部Wの表面Wa及び一方の部材1bから上方に突出させて上記ピン2″を植設する。
【0030】
更に、突出した摩擦ピン2″の逆ネジ4′に別部材であるアングル8の透孔9を貫通し、且つ上記ネジ4にナットNを螺合することにより、アングル8を予め接合した一対の部材1a,1bに固定したものである。これによっても、アルミニウム製の両部材1a,1b及びアングル8を摩擦ピン2″を介して強固に接合することができる。
また、上記把持部5の全部又は一部を次述するように、一方の部材1b内の接合部W中に埋設しても良い。
更に、以上のアングル8に替えて更に異なる別の部材、例えばチャンネル形鋼、H形鋼、又はI形鋼等の構造用強度部材や、鋼板、ステンレス鋼板等のアルミニウムと異種材質の板材を摩擦ピン2,2′,2″から突出するネジ4,逆ネジ4′を活用して固定し接合することもできる。
【0031】
図4は、前記参考形態における変形形態に関する。
図4(A)及び(B)は、ネジ4を有する周面と、その後端の円筒形をなす大径部分5aと、該大径部分5aの後端面に六角穴7を有する摩擦ピン2aを示す。
図4(C)は、上記ピン2aを用いて一対の部材1a,1bを接合する状態を示す。予め、摩擦ピン2aをその六角穴7内に六角ピンを挿入し且つ大径部分5aを吸着する電磁石を六角ピンと一体に有する図示しないチャックに固定する。次に、係る摩擦ピン2aを一対の部材1a,1bに対し、前記同様その重合面Gを貫通するようにして回転しつつ押込み、そのネジ4の周囲に接合部Wを形成する。
【0032】
そして、摩擦ピン2aを一対の部材1a,1bに植設し終わる直前に摩擦ピン2aの回転を停止し、且つその先端面に向けその軸方向に沿って上記チャックを介して更に荷重を加える。その結果、図4(D)に示すように、摩擦ピン2aの大径部分5a全体を一方の部材1b中における接合部W内に埋設することができる。従って、接合部Wは摩擦ピン2aの大径部分5aにより押圧された状態で固化するため、各部材1a,1b及び上記ピン2aのネジ4に確実に密着し、これら3者間の接合を一層強固にすることができる。尚、上記大径部分5aの一部を部材1b中の接合部W内に埋設しても同様の作用を得ることができる。
【0033】
図5は、更に異なる形態の摩擦ピンを用いた第2の接合方法に関する。
図5(A)は、先端寄りの周面にその長手方向に沿って部分的なネジ4″を有し、後端寄りの周面にネジ4と後端面に六角穴7を有する摩擦ピン2bを示す。このピン2bを前記同様にチャックに固定し、図5(B)に示すように、一対の部材1a,1bに対し、前記同様その重合面Gを貫通するように回転しつつ押込み、先端寄りの部分的に形成されたネジ4″の周囲に接合部Wを形成する。この際、部分的なネジ4″により各部材1a,1bとの摩擦熱が高くなり、且つ流動化したアルミニウムを重合面Gを挟んで一層激しく攪拌することができる。
【0034】
従って、図5(C)に示すように、摩擦ピン2bの先端寄りが重合面Gを貫通した状態でも上記ネジ4″の周囲に比較的大きな接合部Wが形成される。そして、上記ピン2bの回転を停止し且つ両部材1a,1bに跨って植設すると共に、一方の部材1bの表面から突出した後端寄りのネジ4を利用して、別の部材たるアングル8をナットNにより、両部材1a,1bに固定し強固に接合することができる。
【0035】
図5(D)は、以上に説明した前記摩擦ピン2〜2bにおける先端面に、散点状の凹凸部3aを設けた形態を示す。また、図5(F)に示すように、摩擦ピン2〜2bの先端面に互いに直交する平行線からなる線状の凹凸部3bを設けることもできる。これらの凹凸部3a,3bを摩擦ピン2〜2bの先端面に設けることにより、各ピン2〜2bと各部材1a,1bとの間における摩擦熱の発生を容易にし且つアルミニウムの流動化を一層促進することができる。
【0036】
図6(A)乃至 ( C )は、本発明における第1の接合方法を示す。
予め、アルミニウム製の部材1bを水平に拘束すると共に、周面にネジ4を後端面に六角穴7を有する前記摩擦ピン2′を上記六角穴7を介して図示しないチャック固定する。
次に、図6(A)に示すように、チャックと共に摩擦ピン2′を回転しつつ上記部材1bに向けて押圧する。この際、回転方向は摩擦ピン2′のネジ4の回転方向と逆向きにする。すると、図6(B)に示すように、摩擦ピン2′の先端寄りのネジ4部分は部材1bとの間で摩擦熱を生じ、前記同様に部材1bのアルミニウムを軟化・流動化して攪拌し接合部Wを形成する。
【0037】
更に、摩擦ピン2′が部材1b内に一定長さ進入した状態で、その回転と押圧を停止する。すると、接合部Wのアルミニウムは固化して摩擦ピン2′の先端寄りのネジ4部分を部材1b内に埋設する。更に、摩擦ピン2′からチャックを取外すと、図6(B)に示すように、後端寄りのネジ4が部材1bの表面から突出した状態になる。
そして、図6(C)に示すように、上記部材1b表面から突出した摩擦ピン2cのネジ4部分に前記アングル8を貫通し且つナットNを螺合して、部材1bと別の部材たるアングル8とを摩擦ピン2′を介して強固に接合することができる。
尚、摩擦ピン2′に替えて前記摩擦ピン2,2″,2bを用い得ることも明らかである。
【0038】
図6(D)及び(E)は、防振ゴムブッシュ用のマウントブラケット10に、第1の接合方法を適用した例を示す。このブラケット10は、上記ブッシュを内嵌するリング部12と、その下辺から左右に延びるフランジ14,16とを一体に有し、図示で右側のフランジ16の底面には切欠き17が形成されている。且つ、係るブラケット10は、上記リング部12,フランジ14,16、及び切欠き17を一体に有する断面形状の図示しないアルミニウム製の押出形材を、その押出方向と直角に所要幅で切断することにより得られたものである。
【0039】
上記ブラケット10の左側のフランジ14の底面には、図6(E)に示すように、前記図6(A)乃至(C)に示した第1の接合方法により、摩擦ピン2′からなるボルトが垂直に植設されている。係るボルト(摩擦ピン)2′を用いて、このブラケット10を図示しない車体等の構成部材にネジ止めすることができる。
また、図6(D)のように、上記ブラケット10における右側のフランジ16の切欠き17内に、該フランジ16と直交するアルミニウム製のプレート18が挿入される。そして、図6(E)に示すように、フランジ16とプレート18との重合部に、前記図4で示した参考形態の接合方法により、一対の前記接合部Wが形成され且つ摩擦ピン2aがそれぞれ進入している。これにより、ブラケット10にプレート18が強固に接合される。尚、プレート18の両端には取付孔19,19が穿設されており、これによって車体等の構成部材にネジ止めされる。
【0040】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記図3〜図5における一対の部材1a,1b間の重合面G付近に前記凹部1cや、貫通孔1d、閉塞穴1eを設けたり、或いは前記図3〜図6(C)における摩擦ピン2,2′,2″,2a,2bに、前記図2(E)で示した中空部3を形成しても良い。
また、一対の部材1a,1bをアルミニウム製の押出形材で成形する場合、追って重合部となる付近に予め前記凹部1cを一体に形成しておくこともできる。
【0041】
更に、摩擦ピンの周面に形成する凹凸は、前記ネジ4や部分的なネジ4″に限らず、周面の径方向に沿って互いに平行な連続したリング形の凹凸又は不連続なリング形の凹凸としたり、或いは周面の円周方向に複数ヶ所突出する凸条又は突起を軸方向に沿って連続的に形成したものも含まれる。
尚、前記一対の部材1a,1bのアルミニウムには、同一又は同種のものに限らず、互いに異なる種類のアルミニウムを用い得ること明らかである。
【0042】
【発明の効果】
以上において説明した第1の接合方法(請求項1)によれば、摩擦ピンによる摩擦熱でアルミニウム製の部材を固相状態で流動化し攪拌することで、上記部材に摩擦ピンを簡便且つ強固に植設でき、且つ摩擦ピンの後端寄りに設けたネジを利用して別の部材を容易に固定することができる。しかも、摩擦ピンがアルミニウム以外の鋼やステンレス鋼等の異種材質であっても、従来のスタッド溶接のような制限を受けないと共に、摩擦ピンの埋設長さも深くすることができるので、少ない治具で容易且つ強固に植設できる。
【0043】
更に、第2の発明の接合方法(請求項2)によれば、摩擦ピンが一対のアルミニウム製の部材を貫通して両部材を固相状態で流動化して攪拌し直に接合すると共に、両部材も摩擦ピン介して強固に接合される。しかも、上記部材に摩擦ピンを簡便且つ強固に植設でき、且つ摩擦ピンの後端寄りに設けたネジを利用して別の部材を容易に固定することもできる。
また、請求項3乃至5に記載の接合方法によれば、一対の部材又は単独の部材に対し摩擦ピンによる摩擦熱を発生し易くし、且つ部材の流動化したアルミニウムを確実に攪拌することができる。
更に、請求項6に記載の接合方法によれば、摩擦ピンが進入する部材における流動化したアルミニウムが不用意に部材の外へ排出されることを防止できる。
加えて、請求項7乃至9に記載の接合方法によれば、摩擦ピンが進入する部材における流動化したアルミニウムが一対の部材間にバリとなって流出したり、単独の部材の表面に不用意に排出されることを防いだり減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(D)は前提的な参考形態の接合方法の各工程を示す概略図。
【図2】(A)〜(C)は上記参考形態の接合方法における異なる形態を示す概略図、(D)は更に異なる形態を示す概略図、(E)は異なる形態の摩擦ピンを示す断面図。
【図3】(a)〜(c)は更に異なる形態の摩擦ピンを示す概略図、(A)〜(C)はこれらの摩擦ピンを用いた本発明における第2の接合方法を示す概略図。
【図4】(A)と(B)は更に異なる形態の摩擦ピンを示す正面図又は断面図、(C)と(D)はこの摩擦ピンを用いた異なる参考形態を示す概略図。
【図5】(A)は別異の形態の摩擦ピンを示す正面図、(B)と(C)はこの摩擦ピンを用いた本発明における第2の接合方法を示す概略図、(D)と(E)は摩擦ピンの先端面における凹凸部を示す部分正面図又は底面図。
【図6】(A)〜(C)は本発明における第1の接合方法の各工程を示す概略図、(D)と(E)は上記接合方法により形成したマウントブラケットの斜視図又は正面図。
【図7】(A)は従来の技術のアーク溶接による接合状態を示す概略図、(B)と(C)は従来のスポット溶接の各工程を示す部分断面図、(D)と(E)は従来のスタッド溶接の各工程を示す概略図。
【符号の説明】
1a,1b…………………………部材
1c…………………………………凹部
1d…………………………………貫通孔
1e…………………………………閉塞穴
2,2′,2″,2a,2b……摩擦ピン
3……………………………………中空部
3a,3b…………………………凹凸部
4,4′,4″……………………ネジ(凹凸)
5……………………………………把持部(大径部分)
8……………………………………アングル(別の部材)
G……………………………………重合面
Claims (10)
- アルミニウム又はアルミニウム合金製の部材に対し、少なくとも先端面とは反対側の後端寄りの周面にネジを設けた摩擦ピンの先端面側を上記部材の表面から内部に向けて回転しつつ押圧し、
上記部材と摩擦ピンとの間に生じる摩擦熱により上記部材を軟化せしめ且つ攪拌することにより、摩擦ピンを上記部材に植設すると共に、
上記部材の表面から突出する摩擦ピンの上記ネジを利用して上記部材に別の部材を固定する、
ことを特徴とする接合方法。 - 一対のアルミニウム又はアルミニウム合金製の部材を重ね合わせて重合面を形成し、
上記重合面を貫通するように一方の部材の表面から他方の部材に向けて、少なくとも先端面とは反対側の後端寄りの周面にネジを設けた摩擦ピンの先端面側を回転しつつ押圧し、
上記一対の部材と摩擦ピンとの間に生じる摩擦熱により両部材を軟化せしめ且つ攪拌することにより、摩擦ピンを両部材に植設し且つ両部材同士を接合すると共に、
上記一方の部材の表面から突出する摩擦ピンの上記ネジを利用して上記両部材に別の部材を固定する、
ことを特徴とする接合方法。 - 前記摩擦ピンが、その先端面に散点状又は線状の凹凸部を形成している、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の接合方法。 - 前記摩擦ピンが、その周面に凹凸を形成している、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の接合方法。 - 前記摩擦ピンが、その周面に連続するか又は部分的なネジを形成している、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の接合方法。 - 前記摩擦ピンをその周面に形成したネジの回転方向と逆方向に回転しつつ前記一対の部材又は前記単独の部材に押圧する、
ことを特徴とする請求項5に記載の接合方法。 - 前記摩擦ピンが、その先端面に開口する中空部を有する中空材である、
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の接合方法。 - 前記摩擦ピンが貫通する前記一対の部材間の重合面付近において、少なくとも何れかの部材に上記摩擦ピンの周囲に隙間を形成する凹部を予め設けた、
ことを特徴とする請求項2乃至7の何れかに記載の接合方法。 - 前記摩擦ピンが進入する前記一対の部材又は前記単独の部材内に、摩擦ピンと同軸で且つ細径の貫通孔又は閉塞穴を予め形成した、
ことを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の接合方法。 - 前記摩擦ピンを前記一対の部材又は前記単独の部材に植設する際、これらの部材の表面に位置する上記摩擦ピンに大径部分を形成すると共に、
上記摩擦ピンを一対の部材又は単独の部材に植設し終わる直前に摩擦ピンの回転を停止し、且つ当該摩擦ピンをその先端面に向けその軸方向に沿って荷重を加えることにより、上記大径部分の一部又は全部を一方の部材又は単独の部材内に埋設した、
ことを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の接合方法。
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