JP4092866B2 - 不乾性シーラ組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な不乾性シーラ組成物及びその調製方法に関する。特に、自動車のウェザストリップのトリム部の内側に装填して、板金フランジ部とトリム部内側の隙間をシールするのに好適な不乾性シーラ組成物に関する発明である。
【0002】
ここではトランクリッドウェザストリップを例に採り説明するが、他の、リフトゲート等のウェザストリップ、更には、板金相互又は板金/ゴム部材間の隙間用にも本発明の不乾性シーラは適用できる。
【0003】
【背景技術】
一般的な、不乾性シーラの装着態様を、トランクリッドウェザストリップに適用する場合を例に採り説明をする(図1〜2参照)。
【0004】
図2は図1の2−2線部位における装着断面図である。ウェザストリップ12は、トリム部14と中空シール部16、シールリップ部18とを備えた構成である。トリム部14は、内側に二対の挟持リップ部20、22を備えているとともに、形態保持・挟持力維持のための板金インサート24が埋設されている。
【0005】
そして、該トリム部14の溝底部にシーラSを装填した後、該トリム部14を介して、ウェザストリップ12をトランク部の板金フランジ部26に組み付ける。このとき、シーラSに板金フランジ部26が挿入される結果となる。なお、図例中、27(二点鎖線)はトランクリッドである。
【0006】
シーラは、板金フランジ部の防錆性及びウェザストリップトリム部内のシール性の向上を担うものである。
【0007】
従来のこのような部位に使用するシーラとして、例えば、表1の参照例に示すような組成のものがあった。
【0008】
しかし、表1の参照例に示すようなタイプのシーラは、ブチルゴムを溶解させて適度な粘度に調整をするために、有機溶剤(例えばケロシン)を必須とした。
【0009】
有機溶剤は一般に有毒であり揮発性も高いため下記のような問題点を有した。
【0010】
▲1▼シーラの製造、塗布工程の作業環境の保全に注意が要求され、更に、地球環境保全の見地から外部への排出(揮散)を可及的に抑制することが要求される。
【0011】
▲2▼シーラ装填に際して、シーラ調製直後においては、糸曳き性が大きくて他部に付着し易くてシーラ装填作業性が良好でなく、かつ、垂れ流れ性が高くて装填後、反転させて連続的に板金フランジ部に対するウェザストリップの組み付け作業ができない。逆に、装填後時間をおきすぎると、有機溶剤が揮発して粘度が増大して、板金の挿入荷重が増大してウェザストリップの組み付け作業性に悪影響を与える。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、先に有機溶剤レスで従来と同等以上のシーラ特性が得ることができる不乾性シーラ組成物を提案した(特開2000−80347号公報参照)。
【0013】
「液状ゴムをシーラ基材とし、粘着性付与剤(タッキファイア)及びチキソトロピー性付与剤を副資材とし不揮発性可塑剤又はプロセスオイルを分散媒とすることを特徴とする不乾性シーラ組成物。」
しかし、上記構成の不乾性シーラ組成物に含まれる液状ゴム、分散媒はエチレンプロピレン系ゴム加硫物(EPDMゴム加硫物)等の非極性ゴム加硫物を膨潤させる。このため、当該不乾性シーラ組成物をEPDMゴム加硫物からなるウェザストリップに適用した場合、ウェザストリップが形状変化したり強度低下したりしてウェザストリップ自体のシール性能が低下するおそれがある。特に、ウェザストリップのトリム部をインサートレスとしたときこの傾向は顕著に現れ易い。
【0014】
本発明は、上記にかんがみて、非極性ゴム加硫物を実質的に膨潤ないし収縮させない不乾性シーラ組成物を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明のシーラ組成物は、上記課題を下記構成により解決するものである。
【0016】
液状ゴムをシーラ基材とし、粘着性付与剤及びチキソトロピー性付与剤を副資材とし、不揮発性軟化剤(可塑剤を含む。)を分散媒とする構成で、非極性ゴム加硫物製品に適用する不乾性シーラ組成物において、不揮発性軟化剤として収縮化作用成分を単独使用又は膨潤化作用成分と併用することにより、シーラ組成物による非極性ゴム加硫物に対する膨潤化作用をゴム膨潤率で約±5%以内(望ましくは約0%)とすることを特徴とする。
【0017】
不乾性シーラ組成物を当該構成とすることにより、適用製品に対し膨潤ないし収縮が発生せず、適用製品の形状変形や強度低下が発生し難い。したがって、ウェザストリップ等の非極性ゴム加硫物からなるシール製品に適用した場合、製品膨潤ないし収縮に基づくシール性能も低下し難い。
【0018】
上記収縮化作用成分としては、ポリエーテルポリオールが望ましい。官能基数(OH価)及び分子量において多様であり最適なものを入手し易いためである。
【0019】
特に、収縮化作用成分が三官能ポリプロピレングリコール(PPG)であることが望ましい。二官能のものに比して、収縮化作用が大きく、且つ、粘度や分子量において広い幅の内から選択可能である。
【0020】
上記構成において、液状ゴムが液状NBRであり、不揮発性軟化剤における膨潤化作用成分としてフタル酸ジエステル系可塑剤及び/又はプロセスオイルを使用させる構成とすることが望ましい。フタル酸ジエステル系可塑剤やプロセスオイルは、膨潤作用成分であり、収縮化作用成分であるPPG等のポリエーテルポリオールと組み合わせることにより、シーラ組成物による非極性ゴムに対する膨潤化作用を実質的に零とすることが容易となる。
【0021】
そして、チキソトロピー性付与剤としては、通常、炭酸カルシウム粉末を用いる。炭酸カルシウム粉末は、他のチキソトロピー付与剤に比して、入手し易いとともに、装填性に適した粘度を得易いためである。
【0022】
【構成の詳細な説明】
次に、上記手段の各構成について詳細な説明を行う。以下「シーラ組成物」を単に「シーラ」と称することがある。
【0023】
A.シーラ組成物の説明
(1) 液状ゴムをシーラ基材とする。
【0024】
液状ゴムは、シーラのシール作用の主体となるもので、ゴム状弾性を担うものと推定される。液状ゴムとは、分子量2000〜10000程度の常温液状のものをいう。必然的ではないが、重合体鎖の両末端に、−OH、−SH、−NH2、−COOH、−NCO、−Brなどの官能基を付与して安定化させたものでもよい(神原周他3名編「増訂新版合成ゴムハンドブック」(昭42−11−30)朝倉書店、p21参照)。
【0025】
そして、ゴムの種類としては、従来からある汎用の液状の低分子量ブチルゴム、液状ポリイソプレン、ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、ポリクロロプレン等であってもよいが、分子量3000〜10000でニトリル量15〜50%(望ましくは25〜30%)の液状NBRを好適に使用できる。本発明のシーラは、自動車に使用されるため、耐油性が要求されるとともに、有機溶剤に変えて使用する非揮発性可塑剤(通常極性を有する)との混和性(compatibility)に優れているためである。
【0026】
(2) 粘着性付与剤及びチキソトロピー性付与剤を副資材とし不揮発性可塑剤又はプロセスオイルを分散媒(マトリックス)とするものである。
【0027】
ここで粘着性付与剤として、液状タッキファイア(常温液体)及び樹脂状タッキファイア(常温固体)との併用系とすることが望ましい。液状タッキファイアのみでは、シーラに十分な板金に対する粘着性を付与し難いとともに、シーラの流動性が高くなり過ぎてゲル化したときにシーラに必要な剛性を確保し難くなる。他方、樹脂状タッキファィアのみでは、樹脂状タッキファイアの配合量が相対的に多くなって、分散媒中に溶解させることが困難となるとともに、シーラのゴム状弾性が阻害されるおそれがある。
【0028】
なお、液状タッキファイアと樹脂状タッキファイアとの配合比は、前者/後者(重量比)=2/8〜7/3、望ましくは3/7〜6/4とする。
【0029】
液状タッキファイアとしては、液状ポリブテン、液状ポリブタジエン(分子量1000〜4000)、重合型特殊ポリエステル、液状ポリブタジエン、テレピン系粘着付与剤、その他市販されている特殊調合品を適宜使用することができる(ラバーダイジェスト社編・発行「ゴム・プラスチック配合薬品」昭49−10−15、頁139、140、142、143等参照)。
【0030】
これらの内で粘着付与能力と可塑剤に対する溶解性(相溶性)とのバランスから、更には、入手のし易さから液状ポリブテンが望ましい。より具体的には、平均分子量500〜1500のもの、望ましくは平均分子量900〜1500の液状ポリブテンを好適に使用できる。更に、具体的には、出光石油化学から「出光ポリブテン100R(940)・300R(1330)」の商品名で上市されているものを好適に使用できる(注:括弧内は平均分子量)。
【0031】
樹脂状タッキファイアとしては、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド系樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、ポリテルペン樹脂、ロジンエステル等を使用できる。これらの内で、石油樹脂が、好適である。ここで石油樹脂とは、石油類の分解油留分を混合物のまま、触媒を用いてカチオン的に重合させて得られる熱可塑性樹脂のことで、該石油樹脂は、比較的溶解粘度が低くて、加工し易いため、シーラ成分として好適である。
【0032】
(3) 分散媒とする不揮発性軟化剤(可塑剤を含む。)は、シーラ組成物による非極性ゴム加硫物(EPDM等の)に対する膨潤化作用を膨潤率で約±5%以内となるような組成とする。通常、上記液状ゴム、液状粘着付与剤は、非極性ゴム加硫物に対し膨潤化作用を有するため、必然的に収縮化作用成分を含有させることになる。
【0033】
なお、分散媒として収縮化作用成分が使用できること、及び、膨潤化作用成分と併用すれば、膨潤化率を約0%とすることができることは、公知ではなく、本発明者らが実験過程で知見したものである。
【0034】
収縮化作用成分としては、不揮発性軟化剤の概念に属すれば特に限定されないが、通常、ポリエーテルポリオールが好適に使用できる。官能基数(具体的にはOH価)(極性基数)及び分子量において多様であり最適なものを入手し易い。
【0035】
具体的には、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレンオキサイド(EO)/プロピレンオキサイド(PO)共重合体を挙げることができる。これらは、二官能体(本来のグリコール)ばかりでなく、三官能以上のものも含む。三官能以上のものは、三官能以上の多価アルコール(グリセリン、ペンタエリトリトール、ショ糖等)を基剤(ベース)としてアルキレンオキシド(C:2〜6、望ましくはC:2〜3)を付加重合させて得る。
【0036】
具体的には下記の特性を有する各ポリエーテルポリオールを使用可能である。
【0037】
▲1▼PPG(二官能):
粘度(mPa・s/25℃)100 〜600、
分子量 400〜3000、
OH価 280 〜40、
▲2▼PPG(三官能):
粘度(mPa・s/25℃)100 〜600、
分子量 400〜3000、
OH価 280 〜40、
▲3▼PEG(二官能):
粘度(mPa・s/25℃) 50 〜500、
分子量 200 〜600、
OH価 560〜 190、
▲4▼EO/PO共重合体(二官能):
粘度(mPa・s/25℃)100〜1000、
分子量 240〜3750、
OH価 470〜 30、
こららの内で、三官能PPGが望ましい。二官能のものに比して、収縮化作用が大きく、且つ、粘度、分子量及びOH価において広い幅の内から選択可能となる。
【0038】
このことは、三官能・二官能のPPGの単独組成について、粘度、分子量及びOH価と収縮化作用(膨潤率)の関係について70℃×24h浸漬して調べた実験結果を示す図3・4・5により支持される。
【0039】
そして、上記ポリエーテルポリオールのみで、シーラ組成全体として膨潤化作用と収縮化作用が略平衡して、膨潤率約±5%以内、望ましくは約0%となれば問題はないが、通常、収縮作用が過剰となり易く、特に約0%とするためには、前述の公開公報で使用した分散媒をポリエーテルポリオールと組み合わせて使用することが望ましい。後述の如く、シーラ粘度の調整も容易になるためである。
【0040】
不揮発性軟化剤(分散媒)における膨潤化作用成分としては、不揮発性で上記液状ゴム及び副資材と相溶性ないし混和性を有すれば、特に、限定されない。
【0041】
例えば、芳香族ジカルボン酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、エポキシ系の可塑剤を使用可能である。これらの内で、通常、芳香族ジカルボン酸エステル系である、炭素数7〜12の高級アルコールのフタル酸ジエステルを使用することが入手し易くて望ましく、該高級アルコールが分岐しているものがさらに望ましい。
【0042】
炭素数が小さすぎると耐揮発性、耐寒性、耐水性等に欠けるおそれがあり、炭素数が大き過ぎると、液状ゴム等との混和性に欠けるおそれがある。フタル酸ジエステルに使用する高級アルコールは分岐している方が、耐油性、耐移行性に優れているためである。
【0043】
具体的には、フタル酸ジ2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル等を好適に使用できる。
【0044】
上記可塑剤(特にフタル酸ジエステル系)とともに又は代わりに使用可能な膨潤化作用成分としては、プロセスオイルを使用可能である。当該プロセスオイルは、上記可塑剤同様、上記液状ゴム及び副資材と相溶性ないし混和性を有すれば、特に限定されず、通常のゴム配合に使用するパラフィン系、ナフテン系、アロマ系のいずれでもよい。これらの内で、パラフィン系のものが、ウェザストリップ材料であるEPDMとの濡れ性(なじみ性)が良好で好ましい。
【0045】
そして、上記各膨潤化作用成分に対する収縮化成分(三官能PPG)の配合比率は、基本的な配合組成において例えば下記の通りとする。当然、各成分の膨潤化作用/収縮化作用の能力(力率)により異なる。
【0046】
フタル酸ジエステル/PPG=10/90〜20/80(望ましくは15/85前後)
プロセスオイル/PPG=15/85〜25/75(望ましくは20/80)
(4) チキソトロピー性付与剤は、シーラのトリム部溝底部に対する装填作業性及びシーラ装填後の板金フランジの装填作業性を向上させるとともに、静置状態におけるシーラをゲル化させて非流動化させるためである。
【0047】
通常、相互に凝集力による構造形成能があるものなら特に限定されず、有機微粒子、無機微粒子を問わないが、耐熱性及びゲル化強度の見地から、表面活性を有する無機微粒子が望ましい。無機微粒子としては、粒径0.05〜3μmの重質炭酸カルシウム、微粒子炭酸カルシウム、カーボンブラック、シリカ粉末(ホワイトカーボン)、タルク等を使用できる。特に、これらの内で、炭酸カルシウム系のものが望ましい。カーボンブラック、シリカ粉末等では、粘度が高くなり易くて、装填性に悪影響を与えるおそれがある。
【0048】
(5) 上記各成分の配合割合は、シーラとしての必要な特性(板金に対する濡れ性・可塑性、必要なゴム状弾性、耐熱性、所定の形態保持剛性等)が得られる範囲内なら、特に限定されないが、通常、下記のような配合割合とする。
【0049】
液状ゴム: 2〜8wt%(望ましくは4〜6wt%)
粘着性付与剤 10〜30wt%(望ましくは15〜25wt%)
液状/樹脂状=3/7〜7/3(望ましくは4/6〜6/4)
分散剤(ポリエーテルポリオール、可塑剤又はプロセスオイル)
10〜30wt%(望ましくは15〜25wt%)
チキソトロピー性付与剤
40〜70wt%(望ましくは50〜60wt%)
B.シーラ組成物の調製
シーラ組成物の調製は、下記の如く行う(図6参照)。
【0050】
(1) 樹脂状タッキファイア42を粉砕して不揮発性可塑剤又はプロセスオイルに溶解分散させて分散媒マスターバッチ44を調製する。樹脂状タッキファイアは、通常、粒径1cm以上の塊状であり、そのままでは、溶解分散が困難又は時間がかかり過ぎる。
【0051】
ここで粉砕粒度は、3〜0.3mmとする。粉砕機としては、中間粉砕機を使用して行い、特に限定されないが、図例のようなロールクラッシャ46を使用する。
【0052】
また、溶解分散は、通常の攪拌機を用いて、樹脂タッキファイアの軟化温度(例えば70℃)以上に可塑剤又はプロセスオイルを加熱して行う。
【0053】
(2) 次に、チキソトロピー性付与剤に、液状である各成分を加えて、攪拌混合して、ゲル状シーラSを調製する。
【0054】
このときの攪拌混合は、自転・公転方式、いわゆるプラネタリー方式の攪拌羽根48を備えた攪拌機(以下「プラネタリー方式攪拌機」と称する。)で行うことが望ましい。具体的には、「アイコー・ケミカル・ミキサー」の商品名で、(株)愛工舎から製造販売されている攪拌機で、図例のような高粘度用攪拌子48を用いて調製可能である。
【0055】
このとき攪拌時間は、例えば、200kgのバッチで、20〜40分とする。
【0056】
C.シーラの使用態様
こうして調製したシーラは、従来と同様にして、ウェザストリップのトリム部の溝底部にシーラ用カートリッジガン等を用いて装填し、板金フランジ部を挿入して、ウェザストリップの組み付けを行う。
【0057】
このときシーラは溶剤レスであるため、溶剤揮発に伴う環境汚染及び物性変化がなく、安定したシーラ効果を発揮する。更に、糸曳き性もほとんどなく、かつ、垂れ流れ性を低いため、シーラの装填作業性、更には、粘度変化率も小さいため、その後のウェザストリップの組み付け作業性(フランジ挿入作業性)にも優れている。
【0058】
ここで、ウェザストリップの形成材料は、通常、エチレンαオレフィンジエン共重合体であるEPDMであり、非極性ゴムであり、従来の公開公報に係る組成のシーラでは、膨潤するが、本発明のシーラでは、実質的に膨潤/収縮せず、膨潤/収縮してもそれらの率は低い。したがって、膨潤/収縮に伴うウェザストリップの変形・強度変化が小さく、ウェザストリップ自体のシール特性が低下し難い。
【0059】
なお、本発明を提供する加硫ゴム製品は、EPDMに限らず、シーラ中の液状ゴムや液状粘着剤(タッキファイア)により膨潤する非極性ゴム加硫物からなるゴムシール製品にも適用可能である。ここで、適用可能な非極性ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(BR)等を挙げることができる。
【0060】
なお、従来の技術では、シーラに対する膨潤率を実質的に0%とするためには、シーラの膨潤率はゴムの種類により異なるので、ゴムの種類に対応した数のシーラを用意する必要がある。しかし、本発明のシーラでは、基本配合(組成)を変えずに、分散媒における膨潤化作用成分と収縮化作用成分の比率を変えるのみで、対応可能となる。なお、分散媒を2種類以上とした方が、シーラ粘度調節が容易となる。すなわち、分散媒が1種類であると、膨潤率を0%とするための添加量が決定されるため、粘度が一定となってしまうためである。
【0061】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認するために従来例(参照例)、対照例とともに行った実施例について説明をする。
【0062】
(1) シーラの調製
各従来例・対照例・実施例は、表1・2に示す各配合処方にしたがって下記の順序で調製をした。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
バケット(20L)に石油樹脂(平均粒径2mm粉砕物)及び可塑剤又はプロセスオイル(分散媒)を仕込み、80℃に加熱しながら、攪拌を60分行って、分散媒マスターバッチを調製した。
【0066】
プラネタリー方式攪拌機(「アイコー・ケミカル・ミキサー」、容量5L)に表示の各チキソトロピー性付与剤を投入して、回転数90rpmで5分間攪拌混合後、分散媒マスターバッチ、ポリブテン及び液状NBRを加えて回転数90rpmで30分間攪拌し、ゲル化させて、各実施例の不乾性シーラを調製した。
【0067】
なお、参照例の不乾性シーラは、実施例と類似の方法で下記の如く調製した。バケット(20L)に石油樹脂(平均粒径2mm粉砕物)及びケロシン(分散媒)を仕込み、常温で攪拌を120分行ってケロシンマスターバッチを調製した。 上記プラネタリー方式攪拌機(容量5L)に表示の各チキソトロピー性付与剤を投入して、回転数90rpmで5分間攪拌混合後、ケロシンマスターバッチ、ポリブテン及びブチルゴムを加えて回転数90rpmで20時間攪拌し、ゲル化させて、各従来例・実施例の不乾性シーラを調製した。
【0068】
(2) 各参照例・従来例・実施例の不乾性シーラについて、下記各項目の性能評価試験を行った。
【0069】
▲1▼粘度
調製後の各資料を容器に採り、初期粘度を測定後、密封して、所定日数放置後取り出し、粘度を測定した。各測定条件は、下記の通りとした。
【0070】
使用粘度計:BH型回転粘度計(ロータ 7号、回転数 2rpm )
初期粘度(Pa・s) :測定温度 20℃
経時変化率(%):40℃×20日経過後、測定温度 22℃
▲2▼シール性
図7に示す如く、ガラス板28にシーラ(試料)Sを径約5mmの断面略円状となるように塗布後、3mm厚のスペーサ30を挟んでガラス板を張り合せクリップ(図示せず)で固定して試験体を調製する。該試験体に、深さ60mmとなるように水Wを入れ、垂直に立て、下記測定条件にて水漏れの有無を調べた。
【0071】
初期:22時間経過後の水漏れの有無により判定。
【0072】
老化後:90℃×10日放置後におけるシーラを使用して、同様に判定。
【0073】
▲3▼垂れ流れ性
図8に示す如く、塗装板金32にシーラSを断面半円状(幅約5mm×高さ約2.5mm)となるように塗布したのち、該塗装板金32を溝付台33を用いて立て、表示の各条件で放置後、シーラSの最大垂れ量(mm)を測定した。
【0074】
試験条件: 50℃×5日放置後、90℃×5日放置後
▲4▼挿入荷重
図9において、チャンネル(a=13mm、b=170mm、h=8mm)34に4mm深さになるように装填したシーラSに、塗装板金(L=40mm、t=2.4mm)32Aを20mm/分の速度で、1mm挿入したときの荷重(単位N/100mm)を測定した。
【0075】
なお、直後試験は表示の各温度で、初期試験は40℃×5日放置後のものについて常温で行った。
【0076】
▲5▼付着性
図9において、チャンネル(a=5.5mm、b=150mm、h=9mm)34Aに4mm深さになるように装填したシーラSに、塗装板金(L=100mm、t=0.8mm)32Bを中央部底まで差し込み、10分間放置後、200mm/分の速度で塗装板金32Bを引き抜き、付着したシーラの質量(g)を求めた。
【0077】
なお、初期試験(40℃×5日放置後)は表示の各温度で、老化後試験は、80℃×10日放置後のものについて常温で行った。
【0078】
▲6▼防錆性
塗装板金(150mm×40mm×0.8mmt)にカッタナイフで傷を付けた後、その上に各シーラを断面半円状(幅約5mm×高さ約2.5mm)となるように塗布して試験片を調製した。該試験片を、図10に示すサイクルを30回繰り返し後、シーラを取り除き、溶剤(ケロシン)で洗い流した後、傷部における錆の状態を調べた。
【0079】
▲7▼糸引き性(曳糸性)
図11に示す如く、鋼板36にカートリッジガン38にて、高さ5mmから断面半円状(幅約5mm×高さ約2.5mm)に約3gのシーラSを塗布し、ノズル38aを13cm/sの速度で垂直に引き上げて、試料(シーラ)の切れるまでのノズル38aの移動距離(mm)を測定した。
【0080】
▲8▼ゴム膨潤性
ウェザストリップ形成材料と同じ下記処方ゴム配合物を幅25mm×厚さ3mmで押出加硫したものを、25mm長に裁断して、25mm×25mm×3mmtの試験片を調製する。
【0081】
配 合 処 方
EPDM* 100重量部
カーボンブラック 113重量部
プロセスオイル(パラフィン系) 58重量部
ステアリン酸 0.8重量部
亜鉛華 1.5重量部
粘着付与剤 3.8重量部
白色カーボン 15重量部
硫黄 1.2重量部
加硫促進剤 3.4重量部
発泡剤 0.8重量部
*C2含量:46〜50%、ヨウ素価:16〜18
そして、該試験片をシーラを充填した容器(200mL)の中心部に浸漬し、密閉して24時間経過後に、試験片を取り出すとともに、浸漬前・後の空気中・水中質量をそれぞれ測定して下記式により膨潤率(体積変化率)を求めた。
【0082】
膨潤率(%)={W2+W3−(W1+W4)}×100/(W1−W2)
ただし、W1、W3:浸漬前・後の空気中の質量
W2、W4:浸漬前・後の水中(20℃)の質量
(2) 上記評価試験の結果を表3・4に示す。
【0083】
従来例と同様、シール性に優れているとともに、垂れ流れ性・糸曳き性(曳糸性)がほとんどなく、更には、挿入荷重も安定していて(特に、初期の)、シーラの装填作業性に優れていることが分かる。
【0084】
またゴム基材の膨潤率において、従来例1(分散媒:プロセスオイルのみ)、従来例2(分散媒:可塑剤のみ)に比して、各実施例は、ゴム基材に対する膨潤率が格段に低い(膨潤率0%である。)。なお、分散媒がPPGのみの対照例1・2は、膨潤率はそれぞれー2%及びー3%と、PPGのみでは、収縮に伴うシール性能の低下が発生するおそれがあることが分かる。
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【0087】
【発明の効果】
本発明の不乾性シーラは、上記の如く、溶剤レスであるため、溶剤の使用する場合の、問題点(環境汚染及び経時的な物性変化)が発生せず、また、シーラ装填作業性にも優れている。しかも、溶剤タイプと同等以上のシーラ特性を有している。
【0088】
そして、分散媒としてポリエーテルポリオール等の収縮化作用成分を含ませることにより、従来の膨潤化作用成分のみの場合に比して、膨潤率を格段に低くすることができる。特に、ウェザストリップのトリム部をインサートレスとしたウェザストリップへの適用が容易となる。ゴム基材に対する膨潤化作用が小さく、トリム部の膨潤による強度低下が小さくなるためである。
【0089】
分散媒として2種以上を使用して膨潤化作用成分と収縮化作用成分の配合比率を変えるだけで、ゴムの膨潤率を0%にする際の粘度調整も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明をシーラを適用するウェザストリップの一例であるトランクリッドウェザストリップの装着部位を示す自動車の後部概略斜視図
【図2】図1の2−2線部位におけるウェザストリップのシーラ装填後の断面図
【図3】PPGの粘度とゴム加硫物の膨潤率の関係を示すグラフ図
【図4】PPGの分子量とゴム加硫物の膨潤率の関係を示すグラフ図
【図5】PPGのOH価とゴム加硫物の膨潤率の関係を示すグラフ図
【図6】本発明のシーラの製造方法の一例を示す概略工程説明図
【図7】シーラシール性試験の説明図
【図8】シーラ垂れ流れ性試験の説明図
【図9】シーラに対するフランジ挿入荷重・付着性試験の説明図
【図10】防錆性試験における防錆促進サイクル図
【図11】糸ひき性試験の説明図
【符号の説明】
12 ウェザストリップ
14 トリム部
26 板金フランジ部
S シーラ
Claims (4)
- 液状NBRをシーラ基材とし、粘着性付与剤及びチキソトロピー性付与剤を副資材とし、不揮発性軟化剤を分散媒とする構成で、非極性ゴム加硫物製品に適用する不乾性シーラ組成物において、
前記不揮発性軟化剤としてフタル酸ジエステル系可塑剤と三官能ポリプロピレングリコール(以下「三官能PPG」という。)とをフタル酸ジエステル系可塑剤/三官能PPG=10/90〜20/80の配合比率で併用して、シーラ組成物による非極性ゴム加硫物に対する膨潤化作用を膨潤率で±5%以内となるようにすることを特徴とする不乾性シーラ組成物。 - 液状NBRをシーラ基材とし、粘着性付与剤及びチキソトロピー性付与剤を副資材とし、不揮発性軟化剤を分散媒とする構成で、非極性ゴム加硫物製品に適用する不乾性シーラ組成物において、
前記不揮発性軟化剤としてプロセスオイルと三官能PPGとをプロセスオイル/三官能PPG=15/85〜25/75の配合比率で併用して、シーラ組成物による非極性ゴム加硫物に対する膨潤化作用を膨潤率で±5%以内となるようにすることを特徴とする不乾性シーラ組成物。 - シーラ組成物による非極性ゴム加硫物に対する膨潤化作用を膨潤率で0%となるようにすることを特徴とする請求項1又は2記載の不乾性シーラ組成物。
- 前記チキソトロピー性付与剤が炭酸カルシウム粉末であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の不乾性シーラ組成物。
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