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JP4095750B2 - 内燃機関用潤滑油組成物 - Google Patents
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JP4095750B2 - 内燃機関用潤滑油組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関用潤滑油組成物に関し、さらに詳しくは、自動車の内燃機関に対する摩擦損失低減性に優れ、特に排気ガス還流装置(以下、EGRと略称することもある。)を装着したディーゼルエンジン用として好適な内燃機関用省燃費潤滑油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、摺動部位を有する機関である、内燃機関や、自動変速機、緩衝器、パワーステアリングなどの駆動系機器や、ギヤなどには、その作動を円滑にするために潤滑油が用いられている。特に内燃機関用潤滑油は、主としてピストンリングとシリンダライナ、クランク軸やコネクティングロッドの軸受、カムとバルブリフタを含む動弁系機構など、各種摺動部分の潤滑のほか、エンジン内の冷却や燃焼生成物の清浄分散、さらには錆や腐食を防止するなどの作用を果たす。このように、内燃機関用潤滑油には、多様な性能が要求され、しかも近年、内燃機関の高性能化、高出力化、運転条件の苛酷化などに伴い、高度な性能が要求されてきている。
このため、内燃機関用潤滑油には、このような要求性能を満たすための各種添加剤、例えば耐摩耗剤、金属清浄剤、無灰分散剤、酸化防止剤などが配合されている。内燃機関用潤滑油の基本的機能として、特にあらゆる条件下で機関を円滑に作用させ、摩耗、焼付き防止を行うことが重要である。エンジン潤滑部は、大部分が流体潤滑状態にあるが、動弁系やピストンの上下死点などでは境界潤滑状態となりやすく、このような境界潤滑下における摩耗防止性は、一般にジチオリン酸亜鉛などの添加によって付与されている。
【0003】
ところで、内燃機関では、潤滑油が関与する摩擦部分でのエネルギー損失が大きいために、摩擦損失低減や燃費低減対策として、例えば、特公平3−23595号公報等に示すように、摩擦低減剤を始め、各種の添加剤を組み合わせた潤滑油が使用されている。自動車の内燃機関は、広範囲の油温度、回転数、負荷で運転されており、したがって、さらに燃費を向上させるためには、内燃機関用潤滑油は、広範囲の使用条件下での摩擦特性に優れる必要がある。
【0004】
従来、潤滑油の摩擦係数を低くするために、有機モリブデン化合物の添加、有機モリブデン化合物と金属系清浄剤の組合せ配合(例えば特公平6−62983号公報)、有機モリブデン化合物と硫黄系化合物の組合せ配合(例えば特公平5−83599号公報)、又は有機モリブデン化合物とジチオリン酸亜鉛と硫黄系化合物との組合せ配合(例えば特開平8−73878号公報)などが行われている。また、有機モリブデン化合物以外の摩擦低減剤の配合例としては、脂肪酸のグリセロール部分エステルと有機銅化合物の組合せ配合(例えば特公平3−77837号公報)や、ペンタエリスリトールエステルとコハク酸イミド又はジチオリン酸亜鉛との組合せ配合(例えば特開昭55−80494号公報、特開昭55−82195号公報)などが提案されている。
ところが、ディーゼルエンジンにおいては、ガソリンエンジンと異なり、軽油の不完全燃焼により生成するすすが多量にエンジン油中に混入する。この油中スーツ(すす)は、表面活性を有するために、油中の極性添加剤を吸着したり、また、摩擦面に生成した被膜を削りとる作用を示すと言われている。したがって、こうような油中にすすが混入するという苛酷な摩擦条件下では、摩擦低減剤としての作用形態は、ガソリンエンジンとは大きく異なり、従来の摩擦低減剤、すなわち有機モリブデン化合物、アミン、アミド、リン酸エステル等は、ディーゼルエンジンの燃費低減に対して十分な効果を示さないと言われている。そのために、ディーゼルエンジンの省燃費性能向上のため、アルカリ金属ホウ酸塩水和物の配合油(例えば特公平1−48319号公報)や、多価アルコールの部分エステルの配合油(特開2000−26879号)などが若干提案されているにすぎない。
また、ディーゼルエンジンの排気ガス汚染、特にNOxなどによる大気汚染が世界的に深刻化しているため、ディーゼル車の排出NOxなどについて、新たに規制を追加し、排出量を削減しようとしている。これらの排気ガス規制に対して、エンジンメーカーでは、NOx低減策として、ガソリンエンジンに採用されているEGRでの対応を採用するとされている。このEGRの影響としては、油中スーツが、さらに増加し、スーツによる動弁系やピストン/シリンダー間の摩耗が多くなることや、摩擦低減剤による燃費低減効果が十分に発揮しなくなることなどが挙げられている。
また一方、潤滑油の低粘度化も、燃費を向上する手段として有効であることが知られており、低粘度潤滑油にポリメタクリレートやエチレン−プロピレン共重合体等の粘度指数向上剤を添加したマルチグレードディーゼルエンジン油が一般に用いられている。
しかしながら、これらの粘度指数向上剤のみを添加したマルチグレードディーゼルエンジン油の燃費低減効果は、微々たるものであるため、決して十分とは言えなかった。そのために、ガソリンエンジンは勿論のこと、ディーゼルエンジンにおいても、十分な燃費低減効果を発揮する内燃機関用潤滑油組成物の技術開発が強く望まれてきた。特に、日本国内においては、2005年よりディーゼル乗用車の燃費を平均14.9%(1995年度比)向上することが求められており、ディーゼルエンジン油での省燃費技術に対する期待が高まっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、自動車の内燃機関の摩擦損失低減性に優れ、特にEGRを装着したディーゼルエンジン用として好適な潤滑油組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物を特定量含有した潤滑油組成物を調製したところ、驚くべきことに、スーツが混入した潤滑条件下において、低い摩擦係数が得られることを見い出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0007】
すなわち、本発明によれば、鉱油及び/又は合成潤滑油からなる基油に、組成物全量基準で、0.01〜40重量%の多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物、又は脂肪酸で部分エステル化されたポリエチレングリコールの少なくとも1種、0.01〜30重量%の非分散型エチレン−プロピレン共重合体又はポリイソブチレンの粘度指数向上剤、及び窒素量で0.001〜0.5重量%のコハク酸イミドを含有することを特徴とする燃機関用潤滑油組成物が提供される。
また、本発明によれば、多価アルコールの脂肪酸部分エステルがソルビタンの脂肪酸部分エステルであることを特徴とする上記の内燃機関用潤滑油組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、すすを排出する内燃機関、又は排気ガス還流装置(EGR)を装着したディーゼルエンジンに用いられることを特徴とする上記の内燃機関用潤滑油組成物が提供される。
【0008】
本発明は、上記した如く、多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物、又は脂肪酸で部分エステル化されたポリエチレングリコールの少なくとも1種を含有する内燃機関用省燃費潤滑油組成物に係るものであるが、その好ましい態様としては、次のものが包含される。
(1)脂肪酸は、炭素数12〜24の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸であることを特徴とする上記の内燃機関用潤滑油組成物。
(2)多価アルコールは、グリセリン、エリトリトール、アラビトール、ソルビトール、ソルビタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、及びそれらの混合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記の内燃機関用潤滑油組成物。
(3)アルキレンオキサイド付加物が酸化エチレン付加物であることを特徴とする上記の内燃機関用潤滑油組成物。
(4)さらに、組成物全量基準で、0.01〜30重量%の非分散型エチレン−プロピレン共重合体又はポリイソブチレンの粘度指数向上剤、及び窒素量で0.001〜0.5重量%のコハク酸イミドを含有することを特徴とする上記の内燃機関用潤滑油組成物。
(5)非分散型エチレン−プロピレン共重合体又はポリイソブチレンの分子量は、重量平均で10万以上(GPC分析においてポリスチレン換算量)であることを特徴とする上記の内燃機関用潤滑油組成物。
(6)油中スーツ量が0.1重量%以上である状態で使用されることを特徴とする上記の内燃機関用潤滑油組成物。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
1.潤滑油基油
本発明の潤滑油組成物に用いられる基油は、特に限定されるものではなく、一般に潤滑油基油として用いられているものならば何でも使用することができる。すなわち、これらに該当するものとしては、鉱油、合成潤滑油、或いはそれらの混合油がある。
【0010】
鉱油としては、原油の常圧又は減圧蒸留により誘導される潤滑油原料をフェノール、フルフラール、N−メチルピロリドンの如き芳香族抽出溶剤で処理して得られる溶剤精製ラフィネート、潤滑油原料を水素化処理用触媒の存在下において水素化処理条件下で水素と接触させて得られる水素化処理油、ワックスを異性化用触媒の存在下において異性下条件下で水素と接触させて得られる異性化油、あるいは溶剤精製工程と水素化処理工程及び異性化工程等を組み合わせて得られる潤滑油留分などを挙げることができる。いずれの製造法においても、脱蝋工程、水素化仕上げ工程、白土処理工程等の工程は、常法により、任意に採用することができる。鉱油の具体例としては、軽質ニュートラル油、中質ニュートラル油、重質ニュートラル油及びブライトストック等が挙げられ、要求性状を満たすように適宜混合することにより基油を調整することができる。
【0011】
合成潤滑油としては、例えば、ポリα−オレフィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリブテン、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、二塩基酸エステル、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングルコールエーテル、シリコーン油等を挙げることができる。
【0012】
これらの基油は、それぞれ単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができ、鉱油と合成油を組み合わせて使用してもよい。本発明で使用する基油は、100℃において、通常、2〜20mm/sの動粘度を有し、好適な動粘度は3〜15mm/sの範囲である。潤滑油基油の動粘度が高すぎると、攪拌抵抗が大になり、また流体潤滑域での摩擦係数が高くなり、省燃費特性が悪化し、逆に動粘度が低すぎると、内燃機関の動弁系、ピストン、リングや軸受等の摺動部において摩耗が増加するという難点が生じる。
【0013】
2.多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸で部分エステル化されたポリエチレングリコール
本発明の内燃機関用潤滑油組成物では、必須成分として、多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物、又は脂肪酸で部分エステル化されたポリエチレングリコールの少なくとも1種が用いられ、その多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物は、以下に述べるように、多価アルコールの脂肪酸部分エステルの遊離の水酸基に、酸化エチレン等のアルキレンオキサイドの縮合物を付加重合することに特徴がある。
また、脂肪酸で部分エステル化されたポリエチレングリコールとしては、一般式RCOO(CHCHO)H(nは、3以上)で表されるポリオキシエチレン脂肪酸モノエステル(又はポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル)、或いは両端が全てエステル化されずに水酸基を一部残したポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル(又はポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル)の部分エステル化物である。
【0014】
本発明で使用する多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物の原料である多価アルコール成分は、1分子中に3個以上の水酸基をもつものである。このような1分子中に3個以上の水酸基をもつ多価アルコール成分としては、例えばグリセリン、エリトリトール、アラビトール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、及びソルビトールの分子内脱水したソルビタンなどが挙げられ、これらの1種を用いてもよいし、2種以上を適宜混合して用いてもよい。中でもソルビタンが好ましく用いられる。1分子中に3個未満の水酸基をもつ、例えば2価のアルコールなどでは、すすが混入した潤滑条件下において、低い摩擦係数が得られなく、本発明の目的を達成することができない。
【0015】
本発明で使用する多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物と、脂肪酸で部分エステル化されたポリエチレングリコールの原料である脂肪酸成分は、炭素数3〜24の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸を用いるものであり、好ましくは、炭素数12〜24、さらに好ましくは、炭素数12〜18の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸である。好ましい脂肪酸の具体例としては、例えばラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸などが挙げられる。脂肪酸の鎖長が短いと、すすが混入した潤滑条件下において、低い摩擦係数が得られなくなる恐れがあり、また、潤滑油油中での相溶性や安定性等が低下する恐れがある。
【0016】
本発明の潤滑油組成物において、必須の摩擦低減成分として用いられる多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物は、多価アルコールの脂肪酸部分エステル等の遊離の水酸基に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の縮合物を付加重合したものである。アルキレンオキサイドの炭素数は、2〜4が適当であり、エチレンオキサイドが好ましい。
アルキレンオキサイドの付加率は、多価アルコールの脂肪酸部分エステル1分子あたり、エチレンオキサイドでは、1〜30モル、プロピレンオキサイドでは、1〜10モル位が適当であり、好ましくはいずれも4モル以上である。これらは、単独、又は混合して付加させてもよい。また、ランダム、ブロックであってもよい。
【0017】
本発明の潤滑油組成物において、多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物又は脂肪酸で部分エステル化されたポリエチレングリコールの含有量は、組成物全量基準で、0.01〜40重量%、好ましくは0.1〜25重量%である。含有量が0.01重量%未満であると、すすが混入した潤滑条件下において、低い摩擦係数が得られなくなる。一方、40重量%を超えると、摩擦低減効果の向上が得られず、むしろシールゴム適合性等が悪化して好ましくない。また、多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物は、基油としても用いられるため、100℃における動粘度が0.5〜50mm/sであることが望ましい。100℃における動粘度が0.5mm/s未満であると、内燃機関の動弁系、ピストン、リングや軸受等の摺動部において摩耗が増加するという難点が生じ、油消費量が増大する恐れがあり、逆に100℃における動粘度が50mm/sを超えると、他の基油との相溶性等が問題になる恐れがあって、さらに、攪拌抵抗が大になり、また流体潤滑域での摩擦係数が高くなり、省燃費特性が悪化するという難点を生じる。
【0018】
さらに、多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物としては、前記原料成分のところでも述べたが、ソルビタン脂肪酸部分エステルのエチレンオキサイド付加物が好ましく用いられる。特に、アシル基が炭素数12〜24の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸の部分エステルのエチレンオキサイド付加物が好ましく用いられ、さらに好ましくは、炭素数12〜18の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸の部分エステルのエチレンオキサイド付加物が好ましく用いられる。脂肪酸は、1種用いてもよいし、2種以上を適宜混合してもよい。また、多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物の均等物として、ポリオキシエチレンヒマシ油やポリオキシエチレン硬化ヒマシ油なども用いることができる。これらは、ヒマシ油又は水添ヒマシ油などに酸化エチレンを付加重合して作ることができる。
また、本発明の潤滑油組成物は、基油に、上記の多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物、又は脂肪酸で部分エステル化されたポリエチレングリコールの少なくとも1種を必須成分として含有させることにより、自動車のエンジンなどの内燃機関の潤滑油として用いられた場合、潤滑油が関与する種々の摩擦部分で、低摩擦特性の顕著な効果を奏する。特に、スーツが混入した潤滑条件下において、顕著な摩擦低減効果が得られる。そのため、本発明の潤滑油組成物は、油中スーツが存在する内燃機関用として用いられる。特に、EGRを装着したディーゼルエンジン用として用いられる。油中スーツ量としては、0.1重量%以上、好ましくは、0.2〜5.0重量%の範囲である。油中スーツ量が5.0重量%を超えると、摺動部での摩耗が増加する恐れが生じる。なお、本明細書中に示した油中スーツ量(重量%)は、超遠心分離法(遠心力:36,790G、回転数:17,500rpm、時間:30分、回数:3回、温度:0℃)により得られたn−ヘキサン不溶解分量を示している。
【0019】
3.その他の添加剤成分
本発明の内燃機関用潤滑油組成物には、潤滑油基油に必須成分として上記の多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物、又は脂肪酸で部分エステル化されたポリエチレングリコールの少なくとも1種を含有するものであるが、さらに、粘度指数向上剤や無灰分散剤の添加によっても、スーツが混入した潤滑条件下において、摩擦低減効果が異なってくる。
【0020】
粘度指数向上剤としては、一般にポリメタクリレート系、オレフィンコポリマー系(ポリイソブチレン系、エチレン−プロピレン共重合体系)、ポリアルキルスチレン系、スチレン−ブタジエン水添共重合体系、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体系、星状イソプレン系等が挙げられが、本発明においては、摩擦低減効果の点から非分散型のオレフィンコポリマー系(ポリイソブチレン系、エチレン−プロピレン共重合体系)が好ましく用いられる。さらに、ポリイソブチレンやエチレン−プロピレン共重合体の分子量としては、重量平均で10万以上(GPC分析においてポリスチレン換算量)のものが特に好ましく用いられる。非分散型とは、分子中に酸素又は窒素を含んでいなくて分散性能を有していないものである。これらは、組成物全量基準で、通常0.01〜30重量%の割合で使用される。
【0021】
無灰分散剤としては、コハク酸イミド系、コハク酸アミド系、ベンジルアミン系、コハク酸エステル系、コハク酸エステル−アミド系及びそれらのホウ素含有物等が挙げられるが、本発明においては、摩擦低減効果の点からコハク酸イミド及びホウ素含有コハク酸イミドが好ましく用いられる。コハク酸イミド及びホウ素含有コハク酸イミドの配合量は、組成物全量基準で、油中窒素量として、0.001〜0.5重量%であり、好ましくは0.05〜0.2重量%である。
【0022】
内燃機関用潤滑油には、多様な性能が要求されており、それらに適応した性能を確保するため、さらに必要に応じて、各種添加剤、即ち流動点降下剤、金属清浄剤、酸化防止剤、摩擦低減剤、耐摩耗剤、極圧剤、金属不活性化剤、防錆剤、消泡剤、腐食防止剤、着色剤などを本発明の目的を損なわない範囲で適宜添加することができる。
【0023】
流動点降下剤としては、一般にエチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化パラフィンとナフタレンとの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合物、ポリメタクリレート、ポリアルキルスチレン等が挙げられ、中でも、ポリメタクリレートが好ましく用いられる。これらは、通常0.01〜5重量%の割合で使用される。
【0024】
金属清浄剤としては、Ca、Mg、Ba、Na等のスルホネート系、フェネート系、サリシレート系、ホスホネート系のものがあり、これらは、通常0.05〜5重量%の割合で使用される。
【0025】
酸化防止剤としては、一般にアルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化フェニル−α−ナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤、2,6−ジターシャリ−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジターシャリ−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネイト等の硫黄系酸化防止剤、ホスファイト等のリン系酸化防止剤更に、ジチオリン酸亜鉛等が挙げられ、中でも、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤が好ましく用いられる。これらは、通常0.05〜5重量%の割合で使用される。
【0026】
摩擦低減剤としては、上記の必須成分である多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物、又は脂肪酸で部分エステル化されたポリエチレングリコール以外に、例えば、有機モリブデン化合物、脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸部分エステル、油脂類、アミン、アミド、硫化エステル、リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩などが挙げられる。これらは、通常0.05〜3重量%の割合で使用される。
【0027】
耐摩耗剤としては、一般にジチオリン酸亜鉛、ジチオリン酸金属塩(Pb、Sb、Moなど)、ジチオカルバミン酸金属塩(Zn、Pb、Sb、Moなど)、ナフテン酸金属塩(Pbなど)、脂肪酸金属塩(Pbなど)、ホウ素化合物、リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩等が挙げられ、通常0.1〜5重量%の割合で使用される。中でも、ジアルキルジチオリン酸亜鉛が好ましく用いられ、この場合、配合量としては、リン濃度として、0.05〜0.16重量%が好ましい。
【0028】
極圧剤としては、一般に無灰系サルファイド化合物、硫化油脂、リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩等が挙げられ、これらは、通常0.05〜3重量%の割合で使用される。
【0029】
金属不活性化剤としては、ベンゾトリアゾール、トリアゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体等が挙げられ、これらは、通常0.001〜3重量%の割合で使用される。
【0030】
防錆剤としては、例えば、脂肪酸、アルケニルコハク酸ハーフエステル、脂肪酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸アミン、酸化パラフィン、アルキルポリオキシエチレンエーテル等が挙げられ、これらは、通常0.01〜3重量%の割合で使用される。
【0031】
消泡剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ポリアクリレート等が挙げられ、通常、ごく少量、例えば0.002重量%程度添加される。
更に、本発明の潤滑油組成物には、腐蝕防止剤、着色剤等その他の添加剤も所望に応じて使用することができる。
【0032】
【実施例】
次に、本発明について実施例及び比較例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に特に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における摩擦係数は、往復動型(SRV)摩擦試験機を用いて測定し、以下に示す試験条件で摩擦試験を行った。
試験条件
・試験片(摩擦材):SUJ−2
・プレート :24mm径×7mm
・シリンダー :15mm径×22mm
・温度 :80℃、又は40℃、50℃、60℃、70℃
・荷重 :400N
・振幅 :1.5mm
・振動数 :50Hz
・試験時間 :5分
【0033】
[実施例1〜9]
実施例1〜5は、潤滑油基油として、溶剤精製パラフィン系鉱油(100℃における粘度5.7mm/s)を使用し、これに組成物全量基準で、多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物として、ソルビタンモノオレエートのエチレンオキサイド付加物(20モル付加)を10重量%、粘度指数向上剤として、非分散型エチレン−プロピレン共重合体(重量平均分子量19.5万)を2.0重量%、無灰分散剤として、コハク酸イミドを窒素(N)量として0.07重量%、アルキル基が第1級C8と第2級C3/C6の混合物(重量比が1級/2級=10/9)であるジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)をリン(P)量として0.09重量%、及びその他の添加剤成分として金属清浄剤、粘度指数向上剤(分散型ポリメタクリレート)、流動点降下剤、消泡剤をその他の添加剤成分合計7.42重量%配合した潤滑油組成物に、さらに、予め実機ディーゼルエンジンを潤滑油基油のみで運転して、濃縮採取したスーツを0〜3.0重量%配合する潤滑油組成物を調製し、SRV摩擦摩耗試験での摩擦係数を測定した。結果を表1に示す。
実施例6〜9は、実施例1〜5と同様に、表1に示す潤滑油基油成分と添加剤成分及びスーツを同表に示す割合で配合し、潤滑油組成物を調製した。これらの潤滑油組成物についても、SRV摩擦摩耗試験での摩擦係数を測定した結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0004095750
【0035】
[比較例1〜10]
表2に示す潤滑油基油成分と添加剤成分及びスーツを同表に示す割合で配合し、潤滑油組成物を調製した。比較例1〜10は、多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物を含有せず、比較例6〜8は、多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物の替わりに、多価アルコールの脂肪酸部分エステルであるソルビタンモノオレエートを含有し、比較例9、10は、摩擦低減剤として、カリウムホウ酸塩水和物を1.0重量%を含有している。実施例1〜9と同様に、摩擦係数を測定した結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
Figure 0004095750
【0037】
[実施例10〜14]
実施例10〜14は、潤滑油基油として、溶剤精製パラフィン系鉱油(100℃における粘度5.1mm/s)を使用し、これに組成物全量基準で、多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物として、ソルビタンモノオレエートのエチレンオキサイド付加物(20モル付加)、脂肪酸で部分エステル化されたポリエチレングリコールとして、ポリエチレングリコールモノオレエート、粘度指数向上剤として、非分散型エチレン−プロピレン共重合体、無灰分散剤として、コハク酸イミド、アルキル基が第1級C8と第2級C3/C6の混合物(重量比が1級/2級=10/9)であるジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、及びその他の添加剤成分として金属清浄剤、流動点降下剤、消泡剤を、表3に示す割合で配合した潤滑油組成物に、さらに、予め実機ディーゼルエンジンを潤滑油基油のみで運転して、濃縮採取したスーツを3.0重量%配合する潤滑油組成物を調製し、SRV摩擦摩耗試験での摩擦係数を測定した。尚、摩擦係数は、40℃、50℃、60℃、70℃のそれぞれの温度で測定した時の摩擦係数の平均である。結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
Figure 0004095750
【0039】
[比較例11〜17]
表4に示す潤滑油基油成分と添加剤成分及びスーツを同表に示す割合で配合し、潤滑油組成物を調製した。実施例10〜14と同様に、摩擦係数を測定した結果を表4に示す。
【0040】
【表4】
Figure 0004095750
【0041】
上記の実施例と比較例の結果から、潤滑油基油に、特定の多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物、又は脂肪酸で部分エステル化されたポリエチレングリコールの少なくとも1種を含有させた潤滑油組成物は、驚くべきことに、油中スーツの共存下において、油中スーツ量の増加に伴って摩擦係数が低減することが明らかになった。他の摩擦低減剤では、油中スーツの共存下において、摩擦係数の低減効果はそれ程でもなく、むしろ摩擦係数は、高くなる傾向にある。
また、潤滑油基油に、特定の多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物、又は脂肪酸で部分エステル化されたポリエチレングリコールの少なくとも1種を含有したものに、さらに、非分散型のエチレン−プロピレン共重合体、及びコハク酸イミドを含有させた潤滑油組成物は、油中スーツの共存下において、優れた摩擦係数の低減効果が得られることが明らかになった。
【0042】
【発明の効果】
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、潤滑油基油に、必須成分として、特定の多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物、又は脂肪酸で部分エステル化されたポリエチレングリコールの少なくとも1種を含有することにより、油中に不溶解なスーツが混入した潤滑条件下において、摩擦損失低減性に優れるという顕著な効果を発揮する。そのために、油中スーツが存在する内燃機関、特に排気ガス還流装置(EGR)を装着したディーゼルエンジン用潤滑油組成物として好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 鉱油及び/又は合成潤滑油からなる基油に、組成物全量基準で、0.01〜40重量%の多価アルコールの脂肪酸部分エステルのアルキレンオキサイド付加物、又は脂肪酸で部分エステル化されたポリエチレングリコールの少なくとも1種、0.01〜30重量%の非分散型エチレン−プロピレン共重合体又はポリイソブチレンの粘度指数向上剤、及び窒素量で0.001〜0.5重量%のコハク酸イミドを含有することを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物。
  2. 多価アルコールの脂肪酸部分エステルは、ソルビタンの脂肪酸部分エステルであることを特徴とする請求項1記載の内燃機関用潤滑油組成物。
  3. すすを排出する内燃機関に用いられることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の内燃機関用潤滑油組成物。
  4. 排気ガス還流装置(EGR)を装着したディーゼルエンジンに用いられることを特徴とする請求項3記載の内燃機関用潤滑油組成物。
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