JP4095880B2 - 木製ビームを有する防護柵 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、資源の有効利用の一環として間伐材等を用いてなる木製ビームを有する防護柵に係り、特に、支柱と木製ビームとの接合構造に特徴がある木製ビームを有する防護柵に関する。
【0002】
【従来の技術】
道路の側部に沿って設置されている防護柵(ガードレール)においては、支柱とビームとの接合構造を如何に合理化するかが改良点の主要部を占めており、これに関する改良案が従来多く提案されている。また、従来のガードレールの多くは金属製であるが、前述の間伐材等を用いた木製の防護柵の改良案も提案されている。木製と金属製の両防護柵において、支柱とビームとの接合構造に関しては共通に適用でき構造部分と、適用できない構造部分とがある。
【0003】
本発明の対象である木製ビームを有する防護柵に関しての従来技術としては、例えば、後記の特許文献1、2、3、4、5等がある。これらの従来例は、木製ビームを有する防護柵に関するものではあるが、本発明とは基本的な構造が相違する。本発明と若干の関連性がある従来例として、金属製のガードレールに関する特開平9−228333号があり、これを説明する。
【0004】
この先行技術の概要を図8〜図11によって説明すると、道路の側部に間隔をあけて複数の支柱1が立設されており、この支柱1の正面に取付け金具3を介して金属パイプからなるビーム2が架設されてガードレールを構成している。前記の支柱1と取付け金具3とビーム2との取付け構造は次のようになっている。すなわち、支柱1の道路側壁上部に略L型で下部に支持部3bを有する取付け金具3の垂直部3aを当てがい、この垂直部3aと支柱1に開設したボルト孔に取付けボルト4を挿通しナットを締結することで、支柱1に取付け金具3を固着する。さらに、この略L型の取付け金具3の支持部3bに短尺筒状の接続金具5を載置して固定ボルト6で固定する。
【0005】
次に、この接続金具5よりも一回り大径の金属パイプからなるビーム2の端部を接続金具5の両端から嵌合し、かつこの嵌合部に接合ボルト9を挿通することで、接続金具5とビーム2を固着する。こうして支柱1の前面において、接続金具5を介して道路側部に沿って伸長する複数のビーム2の端部同士を接続するものである。
【0006】
ところで、間伐材を利用した防護柵における木製ビームを前記従来の接合構造に適用するときは、図10又は図11の構造となる。この場合、木製ビーム7は中実であるから金属管の接続金具5の外側に嵌めることができず、図のように筒状の接続金具5の内側に挿入することになる。そして、接続金具5と中実の木製ビーム7を貫通して接合ボルト9aを設けることにより両部材を結合することになる。
【0007】
図10に示す木製ビームを有する防護柵において、運転ミスなどにより支柱1に自動車が衝突した際、図11のように木製ビーム7は衝撃応力を受けて最終破壊部位8を残して折れ曲がり、破損する。これは木製ビーム7よりも金属製の接続金具5の強度が高いからであり、支柱1の前面側から衝撃が加わった際、接続金具5と木製ビーム7とが一体になって衝撃に抵抗するとき、接続金具5と木製ビーム7との境界部位(イ)に応力が集中し、該部が破壊されて衝撃を吸収するからである。なお、図9の金属管のビーム2では、前述のような破損はないが、ビーム2が曲がることで衝撃を吸収するか、或いは、金属製の接続金具5とビーム2の剛性が一定以上に高ければ、その衝撃は自動車自体を大きく破損させることになる。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−350800号公報
【特許文献2】
特開2000−73324号公報
【特許文献3】
特開2002−21031号公報
【特許文献4】
実公昭62−14167号公報
【特許文献5】
登録実用新案第3031316号公報
【特許文献6】
特開平9−228333号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
木製ビームを有する防護柵における支柱と木製ビームとの接合構造には、通常、自動車が衝突したとき(1)衝撃を円滑に吸収できること、(2)接合部が破損し、飛び散らない構造であること、(3)構造をできるだけ簡潔にし、木製ビームがはずれないことなどが求められるが、従来提案されている技術はその要望に必ずしも応え得るものではない。特に、木製ビームを有する防護柵はその実績が少ないこともあって、前記(1)、(2)、(3)の観点から提案された改良技術は存在しない。また、木製ビームを有する防護柵には、強度や構造の面で金属製ガードレールと異なる問題があり、金属製ガードレールに関する既存技術を木製ビームを有する防護柵にそのまま適用できないという問題がある。
【0010】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みて提案するもので、その目的は、木製ビームを有する防護柵における支柱と木製ビームとの接合構造を、自動車が衝突したとき(1)衝撃を円滑に吸収できること、(2)接合部の破損、飛び散り等を少なくすること、(3)構造をできるだけ簡潔にし、木製ビームがはずれないようすること、これらの要望に応える新技術を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明は次のように構成する。
【0012】
第1の発明は、所定間隔で地中に立設された支柱の前面にブラケットを固着し、該ブラケットに木製ビームの端部を支持させることで支柱間に木製ビームを架設する防護柵であって、前記ブラケットは木製ビームの外形に沿う円弧状部を具備しており、該円弧状部は支柱側円弧部と下部側円弧部からなり、前記木製ビームの支柱側部位を押さえる支柱側円弧部の上端は木製ビームの支柱側の中間部位を越えて上側に伸びていると共に、木製ビームの下側部を支持する下部側円弧部の先端は木製ビームの下端部位を越えて支柱の反対側に伸びており、前記支柱側円弧部の木製ビーム長手方向長さが前記下部側円弧部の木製ビーム長手方向長さよりも長寸に設けられ、前記支柱側円弧部と木製ビームの軸芯部を通して水平方向に接合ボルトを挿通するにことにより、隣接する木製ビームの端部を前記ブラケットに固着することを特徴とする。
【0014】
第2の発明は、第1の発明における前記ブラケットを、前記円弧状部を形成した円弧状本体部と、該円弧状本体部の背面側に固定した後部支持腕とから構成し、後部支持腕の後端部を支柱に当てがい、該支柱と後部支持腕を貫通する前記取付けボルトにより両部材を固着することを特徴とする。
【0015】
図1、図2に示す模式図によって、本発明をさらに説明する。
【0016】
各図において、所定間隔に立設された鋼管等の金属管からなる支柱1間に木製ビーム7が架設され、隣接する前記木製ビーム7の端部同士が前記支柱1の前面に取付けボルト10で固着されたブラケット11を介して接合されている。
【0017】
前記ブラケット11は断面が真円形状の木製ビーム7の外形に沿う円弧状本体部11aと、該円弧状本体部11aの背面側に突出する後部支持腕11bとからなる。円弧状本体部11aは、さらに木製ビーム7の支柱側部位を押さえる支柱側円弧部11cと、木製ビーム7の下側部位を支持する下部側円弧部11dとからなる。また、後部支持腕11bは、さらに上下の傾斜腕部12と後部垂直腕部13とを有し、上下の傾斜腕部12の先端を円弧状本体部11aの背面上下部に溶接にて一体化する。
【0018】
そして、後部支持腕11bの後部垂直腕部13を支柱1に当てがったうえ、支柱1と後部支持腕11bを貫通して取付けボルト10を設けることにより、ブラケット11が支柱1の前面所定の高さに固着する。
【0019】
ブラケット11における円弧状本体部11aの支柱側円弧部11cは木製ビーム7の支柱側の円弧状部位を押さえており、かつその上側端部は、木製ビーム7の支柱側の中間部位を越えて上側に伸びている。また、円弧状本体部11aの下部側円弧部11dは木製ビーム7の円弧状の下部側部位を支え、かつその先端はビーム下端部(ロ)を越えて支柱1の反対側に伸びている。
【0020】
前記ブラケット11の円弧状本体部11aにおける支柱側円弧部11cは平面的にみて支柱1の左右側(つまり、木製ビームの長手方向に)に所定寸法の長さ(L)だけ伸長している。また、下部側円弧部11dは、支柱側円弧部11cの長さ(L)よりも短い寸法の長さ(L1)だけ木製ビームの長手方向に伸長している。
【0021】
こうして支柱1の左右側に隣接する木製ビーム7のそれぞれの端部を下部側円弧部11dで支持させる。さらに、下部側円弧部11dの両端よりも外側寄りの部位において、支柱側円弧部11cと木製ビーム7の軸芯部を通して水平方向に接合ボルト14を挿通することにより、前記ブラケット11に木製ビーム7を固着する。
【0022】
本発明の木製ビームを有する防護柵において、運転ミスなどにより支柱1に自動車が衝突したとき、図2(A)に平面的に示すように、ブラケット11の円弧状本体部11aにおける、特に支柱側円弧部11cが支柱1の部分を頂点として、「く」の字状に変形しそれに伴って、支柱1の左右側に伸びる木製ビーム7、7は円弧状本体部11aと一体に変位し、この変位によって衝撃を吸収すると共に、木製ビーム7、7自体も破損することがない。
【0023】
また本発明では、図のように、下部側円弧部11dの長さ(L1)を木製ビーム7の端部を支持するのに必要な限度とし、支柱側円弧部11cの長さ(L)よりも小さく設けておくことにより、下部側円弧部11dが木製ビーム7の変位を拘束することが少なく、しかも、支柱側円弧部11cは木製ビーム7の端部をしっかりと固定できる。したがって、支柱1の前側から衝撃が加わったとき、隣接する木製ビーム7の端部は支柱側円弧部11cと一体に、「く」の字状に円滑に変形して、衝突による衝撃を確実に吸収できるうえ、木製ビーム7の破損も可及的に少なくすることができる。
【0024】
さらに、ブラケット11の支柱側円弧部11cに開設するボルト孔15は木製ビーム長手方向に長径が位置する楕円とすることで、衝突時、接合ボルト14がボルト孔15内で相対変位できて木製ビーム7の軸方向の変位に対応でき、この手段によっても木製ビーム7の破損を少なくできる。本発明の木製ビームを有する防護柵のさらなる強度対策として、支柱1のスパンを調整することで対応できる。すなわち、道路のカーブなどにおいては、支柱1の設置間隔を短くして、支柱本数を増加することで強度向上が図れる。
【0025】
本発明の特徴を整理すると次の(1)〜(5)となる。
(1)木製ビーム7をブラケット11に支持させ、接合ボルト14で背面側から止めることで、衝突時ブラケット11が変形し、支柱1の変位に木製ビーム7が追従し、対応できる。
(2)木製ビーム7の軸直角方向に貫通して接合ボルト14を挿入するための、ブラケット11の円弧状本体部11aに形成するボルト孔15は、長径がビーム長手方向とした楕円に形成することで衝突時、木製ビーム7の伸び(長手方向の変位)に対応できる。
(3)接合ボルト14を木製ビーム7に水平方向に挿通して止めるため、作業性、施工性がよい。
(4)衝突方向に接合ボルト14が位置しているので、木製ビーム7の端部の破壊強度が高い。
(5)木製ビーム7の配置時の勾配に対応できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図3〜図7を参照して説明する。なお、図1、図2と同一要素には同一符号を付して説明する。
【0027】
図3(A)は、実施形態に係る木製ビームを有する防護柵の正面図、同(B)は、同(A)の側面断図、図4は、図3(A)の(ハ)部の拡大平面図、図5は、図4の正面図、図6(A)は、図5の(ニ)−(ニ)断面図、同図(B)は、同図(A)の(ホ)−(ホ)矢視図である。また、図7は、(A)は、ブラケットの一部破断平面図、(B)は正面図、(C)は(B)の中央部縦断側面図、(D)は背面図、(E)は斜視図である。
【0028】
図3に示すように、支柱1が道路16の側部に所定の間隔をあけて立設されている。すなわち、支柱1の下端部は、図3(B)に示すように地中に所定深さ掘削した穴17に支柱1が挿入され、支柱1と穴17の間隙に補強金を介してアスファルト又はモルタル18を充填して道路16の側部にしっかりと埋設されている。この支柱1の前面において、ブラケット11を介して上下2段の木製ビーム7が接続され道路16沿って配置されている。
【0029】
図4以下に示すように、ブラケット11の後部支持腕11bにおける後部垂直腕部13にはボルト孔19が開設されていて、支柱1を貫通する取付けボルト10の先端を前記ボルト孔19に挿通し、ナット20を締めることでブラケット11をしっかりと支柱1に固定できる。
【0030】
つぎに、支柱1に固定したブラケット11の円弧状本体部11aの中間部で隣り合う木製ビーム7の端部同士を突き合わせるよう配置し、長さ寸法(L1)の下部側円弧部11dで木製ビーム7の下側部位を支持させ、長さ寸法(L)の支柱側円弧部11cで木製ビーム7の支柱側円弧部を押さえる。
【0031】
さらに、木製ビーム7の端部に軸芯を通して軸直角方向に開設したボルト孔21と、支柱側円弧部11cの両端よりの部位に開設したボルト孔15に接合ボルト14を挿入したうえ、支柱側からナット23を締めることで、木製ビーム7の端部をブラケット11に固着する。ボルト孔21の木製ビーム7の前面側の端部にはビーム表面をえぐることにより、ボルト頭部が嵌る凹部22が形成されていて、ボルト頭部14aは、この凹部22に位置することで、木製ビーム7の表面から突出することがない。
【0032】
前記円弧状本体部11aの支柱側円弧部11cに開設したボルト孔15は、その長径部が木製ビーム7の長手方向に位置するような楕円孔とすることで、衝突時、木製ビーム7の伸びに対応でき、その接合部に無理な力が作用するのを低減できる。
【0033】
本実施形態において、自動車の衝突などにより支柱1に前面側から衝撃が加わったとき、図2で説明したように、ブラケット11が「く」の字に変形し、支柱1の変位に木製ビーム7も追従でき、衝撃を吸収できると共に、木製ビーム7が折損するおそれを解消できる。支柱側円弧部11cの長さ寸法(L)と下部側円弧部11dの長さ寸法(L1)を、L>L1とすることにより、支柱1の前面部位に衝撃が加わったとき、支柱側円弧部11cと一体に木製ビーム7を一層円滑に変形させて確実に衝撃を吸収できると共に、木製ビーム7を破損させないことは、図2で説明したのと同じである。
【0034】
本発明の図に示した構成を適宜設計変更して実施することは、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によると、木製ビームを有する防護柵において、支柱と木製ビームとの接合構造を、自動車が衝突したとき衝撃を吸収でき、しかも前記接合部の破損をできるだけ少なくすることができ、さらに構造が簡潔である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は、本発明に係る木製ビームを有する防護柵の平面模式図、(B)は、正面模式図、(C)は、側面模式図である。
【図2】(A)は、図1の木製ビームを有する防護柵が衝撃を受けて変形する状態を示す平面模式図、(B)は、正面模式図、(C)は、側面模式図である。
【図3】(A)は、本発明の実施形態に係る木製ビームを有する防護柵の正面図、(B)は、側断面図である。
【図4】図3(ハ)部の拡大平面図である。
【図5】図4の正面図である。
【図6】(A)は、図5の(ニ)−(ニ)断面図、(B)は、同図(A)の(ホ)−(ホ)矢視図である。
【図7】(A)は、ブラケットの一部破断平面図、(B)は正面図、(C)は(B)の中央部縦断側面図、(D)は背面図、(E)は斜視図である。
【図8】従来例に係る木製ビームを有する防護柵の正面図である。
【図9】(A)は、従来例に係る木製ビームを有する防護柵の平面模式図、(B)は、正面模式図、(C)は、側面模式図である。
【図10】(A)は、比較例として示す木製ビームを有する防護柵の平面模式図、(B)は、正面模式図、(C)は、側面模式図である。
【図11】(A)は、図10の木製ビームを有する防護柵が衝撃を受けて変形する状態を示す平面模式図、(B)は正面模式図、(C)は、側面模式図である。
【符号の説明】
1 支柱
2 ビーム
3 取付け金具
3a 垂直部
3b 支持部
4 接合ボルト
5 接続金具
6 固定ボルト
7 木製ビーム
8 最終破壊部位
10 取付けボルト
11 ブラケット
11a 円弧状本体部
11b 後部支持腕
11c 支柱側円弧部
11d 下部側円弧部
12 傾斜腕部
13 後部垂直腕部
14 接合ボルト
15 ボルト孔
16 道路
17 穴
18 アスファルト又はモルタル
19 ボルト孔
20 ナット
21 ボルト孔
22 凹部
23 ナット
Claims (2)
- 所定間隔で地中に立設された支柱の前面にブラケットを固着し、該ブラケットに木製ビームの端部を支持させることで支柱間に木製ビームを架設する防護柵であって、前記ブラケットは木製ビームの外形に沿う円弧状部を具備しており、該円弧状部は支柱側円弧部と下部側円弧部からなり、前記木製ビームの支柱側部位を押さえる支柱側円弧部の上端は木製ビームの支柱側の中間部位を越えて上側に伸びていると共に、木製ビームの下側部を支持する下部側円弧部の先端は木製ビームの下端部位を越えて支柱の反対側に伸びており、前記支柱側円弧部の木製ビーム長手方向長さが前記下部側円弧部の木製ビーム長手方向長さよりも長寸に設けられ、前記支柱側円弧部と木製ビームの軸芯部を通して水平方向に接合ボルトを挿通するにことにより、隣接する木製ビームの端部を前記ブラケットに固着することを特徴とする木製ビームを有する防護柵。
- 前記ブラケットは、前記円弧状部を形成した円弧状本体部と、該円弧状本体部の背面側に固定した後部支持腕とから構成され、後部支持腕の後端部を支柱に当てがい、該支柱と後部支持腕を貫通する前記取付けボルトにより両部材を固着することを特徴とする請求項1記載の木製ビームを有する防護柵。
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