JP4098066B2 - マルチピースゴルフボールおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスピン性能、耐久性、反発係数および打撃時のフィーリングなどの諸特性を犠牲にすることなく、飛距離を向上したマルチピースゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴルフボールに要求される基本特性として、飛距離、スピン性能、耐久性および打撃時のフィーリングなどがある。ここで飛距離を増大させるためには、ゴルフボールの慣性モーメントを高めることが好ましい。
【0003】
例えば、コアとカバーの間に中間層を設けたマルチピースゴルフボールでは、コア比重より、中間層比重を大きくすることでボールの慣性モーメントを大きくしている。かかる構造のゴルフボールにおいては、ゴルフクラブで打撃した際、ゴルフボールにスピンが生じ、このスピンによりゴルフボールの弾道曲線に対して法線方向に揚力が働くが、打出直後のボール上昇時には揚力は、水平方向分力ではゴルフボール進行方向に対して負の力がゴルフボールに作用するため、打出直後の大きなボールスピードが揚力によって減じられる。一方、ゴルフボールが弾道曲線の最高点位置を通過した後の下降時のスピンによる揚力は、水平方向分力は進行方向に対して正の力として作用するため、ゴルフボール下降時の揚力が大きいことが飛距離を増大するには好ましい。
【0004】
したがって、ゴルフボール飛距離を増大するには、打出直後のボール上昇時におけるスピン量が小さく、ボール下降時におけるスピン量が小さくならないことが好ましい。そのためにゴルフボールの慣性モーメントが大きくなるよう設計することがより好ましい。
【0005】
従来、ゴルフボールの慣性モーメントを高くするには、コアを軽量化することが提案されている。この場合コアは軽量充填材を配合したゴム加硫物の成形体、軽量充填材を配合した樹脂成形体、ゴムまたは樹脂の発泡成形体で構成されている(特許文献1参照)。しかしこの技術では中間層に多量の充填材を含有するため、ゴルフボールの反発係数自体が低くなり飛距離が低下するという問題があった。
【0006】
またゴルフボールのコアに発泡体を用いてコアの比重を小さくする一方、外側に高比重の中間層またはカバーを配置することで慣性モーメントを高めることが可能である(例えば特許文献2参照)。この技術ではゴルフボールの慣性モーメントを高めることができるが、ゴルフボールの反発係数が低下したり、耐久性が低下する問題があった。
【0007】
さらに中空コアとカバー層からなるゴルフボールであって、前記中空コアは直径5〜30mmの中空部と該中空部以外の中空コア外層部で構成し、中空コア外層部を基材ゴム、不飽和カルボン酸の金属塩、有機過酸化物、充填剤を含有するゴム組成物の加硫成形体で構成することで、慣性モーメントを大きく、打撃時の打出角を大きく飛距離を増大し、柔かいフィーリングを向上する技術がある(特許文献3参照)。しかしこの技術においてもゴルフボールの反発係数を低下させ、さらに耐久性にも問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−170012号公報
【0009】
【特許文献2】
特開平10−127821号公報
【0010】
【特許文献3】
特開平9−308709号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はスピン性能、耐久性、反発係数および打撃時のフィーリングなどの諸特性を犠牲にすることなく、空力特性に優れ飛距離を向上したマルチピースゴルフボールを提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明はコアと、該コアを被覆する中間層と、更に該中間層の外側を被覆するカバーからなるマルチピースゴルフボールにおいて、前記コアまたはその外側の少なくとも一層に多数のエア塊が、該層の外周球面に沿って分布して形成されたことを特徴とするマルチピースゴルフボールである。
【0013】
また本発明はコアと、該コアを被覆する中間層と、更に該中間層の外側を被覆するカバーからなるマルチピースゴルフボールにおいて、前記中間層または、前記カバーの少なくとも一層に多数のエア塊が中間層またはカバーの球面に沿って分布して形成されたことを特徴とするマルチピースゴルフボールである。
【0014】
前記マルチピースゴルフボールはコアと中間層が接する境界線、複数の中間層の境界線または中間層とカバーの境界線の少なくとも1つに接してエア塊が20〜600個形成されている。そして前記エア塊のそれぞれの容積は0.75〜6mm3で個数は20〜550であることが好ましい。
【0015】
さらにエア塊の合計容積は、エア塊が形成される層の容積の0.5〜50%であり、エア塊が形成される層の厚みは0.5〜5mmであることが好ましい。
【0016】
本発明は球面に突起を有する金型を使用して、空隙が内側表面に形成された中間層のハーフシェルを成形する工程、一対のハーフシェルをコアに被覆してコアと中間層の複合体を成形する工程を含むマルチピースゴルフボールの製造方法である。前記一対のハーフシェルをコアに被覆してコアと中間層の複合体を成形する工程は、温度は100〜140℃で、圧力は0.1〜20kg/cm2でプレス成形することが好ましい。このようにエア塊を形成することでゴルフボール打球時のスピン量を少なくすることができ、飛距離が増大し、打球感および低速打撃時のコントロール性を改善することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明はコアと、該コアを被覆する中間層と、更に該中間層の外側を被覆するカバーからなるマルチピースゴルフボールにおいて、前記コア、前記中間層または前記カバーの少なくとも一層に多数のエア塊がコア、中間層またはカバーの球面に沿って分布して形成されたことを特徴とするマルチピースゴルフボールである。
<ゴルフボールの構造>
本発明のマルチピースゴルフボールの一実施形態を図1に示す断面図にしたがって説明する。図1においてマルチピースゴルフボールは、コア1と該コア1の外側を被覆して形成される中間層2と、更に該中間層2の外側を被覆するカバー3から構成される。そして前記コアの外周球面と前記中間層の内周球面の境界線に沿って、多数のエア塊4が分布して形成されている。
【0018】
エア塊の数は、1個のゴルフボールにおいて、20〜600個、好ましくは20〜550個の範囲で形成される。エア塊の数が20個より少ないと、スピン量が多くなり飛距離が出ない。一方、600個を超えるとゴルフボールの反発係数が低下し、飛距離に悪影響を及ぼす。エア塊の数は、特に好ましくは50〜400個の範囲である。
【0019】
各エア塊の容積(Va)は、0.75〜6mm3の範囲に調整されることが好ましい。エア塊の容積が大きすぎると耐久性が低下し、一方エア塊の容積が小さすぎると、製造上困難を伴なう。
【0020】
そしてエア塊の合計容積(Va)のエア塊が形成される層(コア、中間層またはカバー層)の容積(Vl)に対する割合(Va/Vl)は、0.5〜50%の範囲である。前記割合(Va/Vl)が、0.5%未満では、スピン量が多くなり、一方50%を超えるとゴルフボールの反発係数が低下する傾向にある。好ましくはこの前記割合(Va/Vl)は、0.7〜45%、好ましくは0.8〜40%の範囲である。
【0021】
更にエア塊を含む層、典型的には複合コアで構成する場合のコア外層、中間層、または複合カバーで構成する場合の内層カバーは、それぞれ厚さは0.5〜5mmの範囲に調整される。厚さが0.5mmよりも薄いとエア塊の形成が不充分でスピン量が多くなる。一方、5mmを超えると、成形が困難となり均一なエア塊が安定に得ることが困難となる。好ましくは層の厚さは、0.5〜4.0mm、より好ましくは0.8〜4mmの範囲である。
【0022】
エア塊は、コア、中間層あるいはカバーの内側球面または外側球面に沿って形成されるが、その形状はドーム型、円柱型、角柱型、円錐型あるいは円錐型などが採用できる。そしてエア塊の配置は、通常コア、中間層またはカバーの境界面に沿って配置されるが、エア塊の形成される層は1層または複数層とすることができる。好ましくは中間層またはカバーのいずれかにエア塊を形成する。
【0023】
更にエア塊の形成される層は、ショアD硬度で70以下、JIS−C硬度で20以上に設定することが好ましい。ショアD硬度が70を超えると、エア塊形成による打球感の向上は認められず、一方、JIS−C硬度が20未満の場合、反発係数が低下し、ゴルフボールの飛距離は低下する。
【0024】
なおエア塊は層に均一に形成される必要があり、そのためエア塊の形成位置は、ゴルフボールの球面を正多面体に分割し、球面のどの位置から対称軸を取っても対称になるように設計する。そして慣性モーメントはあらゆる回転方向での最大値と最小値の差が3gcm2以下となるように設定し、ゴルフボール打撃した場合、曲がった弾道にならないように注意する必要がある。
【0025】
図5に本発明の他の実施形態を示す。図において、ゴルフボールはコア51、その外側を被覆する中間層52、更にカバー53で構成されており、前記カバーは内層カバー53A、と外層カバー53Bの複合層で形成されている。そして中間層52の内面にはエア塊54が、内層カバー53Aの内面には、エア塊55がそれぞれ球面に沿って形成されている。この実施形態では、図1の実施形態に比較し、エア塊は中間層と内層カバーの二層に形成されているので打球感、耐久性及びスピン性能等の綜合的バランスの調整が容易となる。
<コア>
本発明のマルチピ−スゴルフボールは、コアとして糸巻き芯、単一層、複数層のコアが使用され、糸巻きボールあるいはソリッドボールのいずれにも採用し得る。そしてコアの比重は通常1.05〜1.25の範囲が採用され、充填剤の配合量により適宜調整する。
【0026】
前記コアの直径を10mm〜41.0mm、好ましくは15.0mm〜40.5mm、特に30.0〜39.0mmとすることが望ましい。10.0mmより小さいと、中間層またはカバーを所望の厚さより厚くする必要があり、その結果、反発係数が低下するか、または打球感が硬く悪いものとなる。またコアの直径が41.0mmより大きいと、中間層またはカバーを所望の厚さより薄くする必要があり、その結果、中間層およびカバーの機能が十分発揮されなくなる。
【0027】
また前記コアは10kgから130kgに荷重を負荷した状態での圧縮変形量は、好ましくは2.0mm〜7.0mm、特に2.5mm〜5.0mmの範囲である。2.0mm未満の場合、打撃感が悪くなる傾向にあり、一方、7.0mmを超えると反発性に不利となる。
【0028】
本発明のゴルフボールのコアはゴム組成物の架橋物で構成されるが、そのゴム組成物のゴム成分としては、シス−1,4−構造を有するブタジエンゴムを基材とするのが適している。ただし、上記ブタジエンゴムの他にたとえば天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、アクリルニトリルゴムなどをゴム成分中40質量%以下でブレンドしたものであってもよい。
【0029】
前記ゴム組成物には架橋剤として、アクリル酸、メタクリル酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸と金属酸化物とをゴム組成物の調製中に反応させてα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩にしたもの、あるいはアクリル酸亜鉛、メタアクリル酸亜鉛などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩、さらに多官能モノマー、N,N′−フェニルビスマレイミド、イオウなどを架橋剤として用いられる。特にα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩が好適に使用される。
【0030】
たとえばα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩を使用する場合、その配合量はゴム成分100質量部に対して20〜40質量部が好ましい。一方α,β−エチレン性不飽和カルボン酸と金属酸化物とをゴム組成物の調製中に反応させる場合、その配合量はα,β−エチレン性不飽和カルボン酸を15〜30質量部と、該α,β−エチレン性不飽和カルボン酸に対して酸化亜鉛などの金属酸化物を15〜35質量%が好ましい。
【0031】
前記ゴム組成物で用いる充填剤としては、たとえば硫酸バリウム、炭酸カルシウム、クレー、酸化亜鉛などの無機粉末の1種または2種以上を使用することができる。これらの充填剤の配合量はゴム成分100質量部に対して5〜50質量部の範囲が好ましい。また、作業性の改善や硬度調整などの目的で軟化剤や液状ゴムなどを適宜配合してもよいし、また老化防止剤を適宜配合してもよい。
【0032】
また架橋開始剤としては、たとえばジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどの有機過酸化物が用いられる。これらの架橋開始剤の配合量はゴム成分100質量部に対して0.1〜5質量部、特に0.3〜3質量部が好ましい。
【0033】
本発明では前記コアは単一層もしくは比重、硬度等の特性の異なった複合層とすることもできる。この場合、コアの配合は上記配合の記述に限定されるものではない。
【0034】
そして、コアの製造にあたっては、上述の配合剤をロール、ニーダー、バンバリなどを用いてミキシングし、金型を用いて加圧下で145℃〜200℃、好ましくは150℃〜175℃で10分〜40分間加硫してコアを作製する。得られたコアはカバーとの密着をよくするため、表面に接着剤を塗布したりあるいは表面を粗面化することができる。
<中間層>
中間層はエア塊を含むことができる層であり、単一層または複数層とすることができる。そして中間層の合計厚さは、0.5〜7.0mm、好ましくは1.0〜6.0mmの範囲に調整する。
【0035】
中間層はコアと実質的に同様にジエン系ゴムをα,β−エチレン系不飽和カルボン酸の金属塩などで共架橋したゴム組成物のほか、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂などがが使用できる。
<オレフィン系樹脂>
本発明のカバー組成物に使用されるオレフィン系樹脂は、最も広義に解釈されるものとしオレフィンを重合単位として含むポリマーである。例えば、オレフィン系熱可塑性樹脂、アイオノマー樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマーまたはそれらの変性体である。
【0036】
ここでオレフィン系熱可塑性樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂等が使用できる。
【0037】
またアイオノマー樹脂としては、たとえばα−オレフィンと炭素数3〜8のα,β−不飽和カルボン酸との共重合体であってそのカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和して得られる二元共重合体がある。またα−オレフィンと炭素数3〜8のα,β−不飽和カルボン酸と炭素数2〜22のα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体で、そのカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和して得られるものが挙げられる。
【0038】
そしてそれらの組成比としては、アイオノマー樹脂のベースポリマーがα−オレフィンと炭素数3〜8のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体の場合、α−オレフィンが80〜90重量%で、α,β−不飽和カルボン酸が10〜20重量%であることが好ましい。ベースポリマーがα−オレフィンと炭素数3〜8のα,β−不飽和カルボン酸と炭素数2〜22のα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体の場合、α−オレフィンが70〜85重量%で、α,β−不飽和カルボン酸が5〜30重量%、α,β−不飽和カルボン酸エステルが25重量%以下であることが好ましい。またこれらのアイオノマー樹脂はメルトインデックス(MI)が0.1〜20、特に0.5〜15であることが好ましい。カルボン酸含量またはカルボン酸エステル含量を上記範囲とすることにより反発性を高めることができる。
【0039】
上記α−オレフィンとしては、たとえばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテンなどが用いられ、特にエチレンが好ましい。炭素数3〜8のα,β−不飽和カルボン酸としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸などか用いられ、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。また、不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸などのメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステルなどが用いられ、特にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルが好ましい。
【0040】
上記α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体またはα−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する金属イオンとしては、ナトリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、カリウムイオンなどがある。
【0041】
そして、アイオノマー樹脂が、エチレンとアクリル酸またはメタクリル酸との共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したものである場合は、そのメルトインデックスが3〜7で、曲げ剛性率が200〜400MPaのいわゆる高剛性でかつハイフロータイプのものであることが好ましい。
【0042】
上記アイオノマー樹脂の具体例を商品名で例示すると、三井デュポンケミカル(株)から市販されている二元共重合体のアイオノマー樹脂としてハイミラン1555(Na)、ハイミラン1557(Zn)、ハイミラン1605(Na)、ハイミラン1706(Zn)、ハイミラン1707(Na)、ハイミランAM7318(Na)、ハイミランAM7315(Zn)、ハイミランAM7317(Zn)、ハイミランAM7311(Mg)、ハイミランMK7320(K)があり、また三元共重合体のアイオノマー樹脂として、ハイミラン1856(Na)、ハイミラン1855(Zn)、ハイミランAM7316(Zn)などがある。
【0043】
さらにデュポン社から市販されているアイオノマー樹脂としては、サーリン8945(Na)、サーリン8940(Na)、サーリン9910(Zn)、サーリン9945(Zn)、サーリン7930(Li)、サーリン7940(Li)、三元共重合体系アイオノマー樹脂として、サーリンAD8265(Na)、サーリンAD8269(Na)などがある。
【0044】
エクソン社から市販されているアイオノマー樹脂としては、アイオテック7010(Zn)、アイオテック8000(Na)などがある。なお、上記商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、K、Li、Mgなどは、これらの中和金属イオン種を示している。また、本発明において、カバーの組成物に用いられるアイオノマー樹脂は、上記例示のものを2種以上混合してもよいし、上記例示の1価の金属イオンで中和したアイオノマー樹脂と2価の金属イオンで中和したアイオノマー樹脂を2種以上混合して用いてもよい。
【0045】
オレフィン系熱可塑性エラストマーとは、分子鎖中にオレフィン単位を含むもので、いわゆるスチレン系熱可塑性エラストマーを含む概念であり、分子内にソフトセグメントとハードセグメントを有するブロック共重合体を含む。ソフトセグメントとして共役ジエン化合物から得られる、ブタジエンブロックあるいはイソプレンブロック等の単位である。ここで共役ジエン化合物としては、たとえばブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等の中から1種または2種以上が選択でき、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。ハードセグメントを構成する成分としては、エチレン、プロピレン、スチレンおよびその誘導体、たとえばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等の中から1種または2種以上が選択された化合物から得られるポリエチレンブロック、ポリプロピレンブロックまたはスチレンブロック等である。
【0046】
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、たとえばスチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SIBS構造)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS構造)、そのブタジエンの二重結合部分を水素添加したスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS構造)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS構造)、そのイソプレン二重結合部分を水素添加したスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS構造)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS構造)およびそれらを変性したもの等が挙げられる。例えば、前記SEBS構造のものとして三菱化学社のラバロンSR04などの商品がある。
【0047】
なお上記SIBS構造、SBS構造、SEBS構造、SIS構造、SEPS構造、SEEPS構造におけるスチレン(またはその誘導体)の含量は共重合体中10〜50重量%、特に15〜45重量%の範囲が好ましい。
【0048】
本発明では、上記SIBS構造、SBS構造、SEBS構造、SIS構造、SEPS構造、SEEPS構造の共重合体の一部にエポキシ基、水酸基、酸無水物、カルボキシル基から選択される官能基で変性された変性体を使用できる。
<ポリエステル系樹脂>
ポリエステル系樹脂はポリエステル系熱可塑性樹脂およびポリエステル系熱可塑性エラストマーを包含する。ここでポリエステル系熱可塑性エラストマーはポリエステル構造のハードセグメントとポリエーテルまたはポリエステルのソフトセグメントで構成される。具体的商品名としては東レ・デュポン社のハイトレル、東洋紡績社のペルプレンP.S、大日本インキ化学工業社のグリラックスE、三菱化学社のプリマロイなどがある。
<ポリウレタン系樹脂>
ポリウレタン系樹脂は、熱可塑性ポリウレタン樹脂及びポリウレタン系熱可塑性エラストマーを包含する。ポリウレタン系熱可塑性エラストマーはウレタン構造のハードセグメントとポリエステルまたはポリエーテルのソフトセグメントで構成される。商品名として日本ミラクトラン社のミラクトラン、大日本インキ化学工業社のパンデックス、日本ポリウレタン工業社のパラプレン、ダウケミカルジャパン社のペレセン、BASFジャパン社のエラストランなどがある。
<ポリアミド系樹脂>
ポリアミド系樹脂はポリアミド系熱可塑性樹脂およびポリアミド系熱可塑性エラストマーを含む。ポリアミド系熱可塑性エラストマーはポリアミドのハードセグメントとポリエーテルまたはポリエステルのソフトセグメントより構成される。その商品名は東レ社のペバックス、ダイセルヒュルズ社のダイアミド・PAE、大日本インキ化学工業社のグリラックスA、三菱エンジニアリングプラスチックス社のノバミッドPAE、宇部興産社のUBE・PAE、Emsジャパン社のグロリンELX、グリラミドELY、積水化学工業社のS−TPAEなどがある。
<その他の配合剤>
前記上記中間層組成物には、主成分としての上記オレフィン系樹脂の他に必要に応じて、硫酸バリウム等の充填剤や二酸化チタン等の着色剤や、分散剤、老化防止剤をゴルフボールカバーによる所望の特性が損なわれない範囲で配合してもよい。
<カバー>
カバーは前記中間層と実質的に同じ材料を使用でき、カバーとしての要求特性に応じて、その配合を適宜調整できる。カバーはエア塊を形成することができ、着単一層のほか複数層で構成することもできる。そして、カバーの合計厚さは、0.4〜5.0mm、好ましくは0.8〜2.5mmの範囲である。厚さが0.4mm未満の場合、耐久性および耐摩耗性に劣り、また5.0mmを超えると打球感が硬くなる。カバーは、ショアD硬度が40〜70、好ましくは44〜66を有する。ショアD硬度が40未満では軟らかくなりすぎ、耐カット性に劣り、ショアD硬度が70を超えると逆に、打球感が硬くなり耐久性は低下する。ここでショアD硬度はASTM−D2240に準じて測定する。そしてゴルフボールは、通常ボール直径42.67〜43.00mmの範囲でボール重量45.00〜45.93gの範囲に設計される。
<ゴルフボールの製造方法>
本発明のマルチピースゴルフボールの製造方法を、図2〜図4を用いて説明する。図2は、本発明のゴルフボールに用いられる中間層半殻の成形用金型の1形態を示す概略断面図である。図3は、中間層半殻をコアに被覆する成形用金型の1形態を示す概略断面図である。まず、中間層用のゴム組成物または樹脂組成物を、押出機を用いて円筒状の中間層に成形する。次いで、図2に示す半球状キャビティを有する半球状の上金型25とコアと同形の半球中子を有する下金型26とを用いて、上記中間層用のゴム組成物または樹脂組成物を、例えば120〜160℃で2〜15分間加熱プレスして、半球殻状中間層27を成形する。
【0049】
ここで前記下金型26の中子の半球面には均一に突起24が形成されている。ここで突起24の形状を図4において説明する。図4において、TYPE1は頂部円弧状のドーム形状であり、(a1)にその平面図、(b1)にその断面図を示す。TYPE2は円錐形状であり、(a2)にその平面図、(b2)にその断面図を示す。TYPE3は円柱形状であり、(a3)にその平面図、(b3)にその断面図を示す。図においてRAは突起底部の半径、HAは突起高さ、RBはドーム形状の半径を示す。前記突起は、その他角柱形状、角錘形状等が採用されるが、形状は特に限定されない。前記突起24によって形成された中間層の凹部は、コアとの一体化において実質的に突起形状に対応したエア塊を形成する。
【0050】
続いて、図3に示すような上下2つのコア用金型38を用いて、予め成形した加硫または半加硫コア39を一対の上記半殻状の中間層37で挟んで、例えば140〜180℃で10〜60分間一体成形して、コア39とその上に形成された中間層37とから一体物を形成し、その境界面にエア塊を形成する。
【0051】
なおエア塊の形成方法を中間層を用いて説明したが、コア外層またはカバーにエア塊を形成する場合においても同様な方法を採用できる。
【0052】
ここで、エア塊を形成する層にゴム組成物を使用する場合と、樹脂組成物を使用する場合では製法が異なる。まずエア塊を形成する層、例えば中間層にゴム組成物を使用する場合を説明する。コアを予め成形するが、コアにゴム組成物を用いる場合は加硫成形(または半加硫成形)し、コアに樹脂組成物を使用する場合は成形する。次に未加硫のゴム組成物を金型で半加硫成形(または加硫成形)してエア塊を含む半殻の例えば中間層を成形する。ここで金型の中子球面にはエア塊を形成するための突起が形成されている。次にコアを一対の半殻の中間層で被覆し加硫プレスで成形し一体化する。プレス圧はエア塊が潰れないように0.1〜20kg/cm2とするが、組成物の種類に応じて適宜調節する。
【0053】
次にエア塊を形成する層に樹脂組成物を使用する場合について説明する。予めコアを成形するが、コアにゴム組成物を用いる場合は加硫成形(または半加硫成形)し、コアに樹脂組成物を使用する場合は成形する。次に樹脂組成物を金型で射出成形またはプレス成形してエア塊を含む半殻、例えば中間層を成形するが、金型の中子球面にはエア塊を形成するための突起が形成されている。次にコアを一対の半殻の中間層で被覆しプレスで成形し一体化する。プレス成形は樹脂が溶けてエア塊が潰れないように、圧力が0.1〜20kg/cm2で温度は100〜140℃とするが、組成物の種類に応じて適宜調節する。
<カバー成形>
本発明ではカバーをコアーに成形するには公知の方法を用いて行なうことができる。カバー組成物を予めハーフシェルに形成し、それを2枚用いてコアを包み、120〜170℃で1〜10分間加圧成形するか、または上記カバー組成物を直接コア上に射出成形してコアを包み込む方法を用いてもよい。さらに、カバー成形時、必要に応じてディンプルを多数表面上に形成する。ゴルフボールは美観を高め、商品価値を上げるために、通常ペイント仕上げ、マーキングスタンプ等を施して市場に投入される。
【0054】
【実施例】
実施例1〜実施例10、比較例1〜比較例7
(1) コアの作製
表1に示すようにブタジエンゴムを主成分とするコア用ゴム組成物を混練し、金型内での加熱成形することにより表1記載の直径の球状コアを作製した。コアの組成物および作製されたコアの物性を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
(注1)BR01:日本ジェーエスアール社製ポリブタジエンで、シス−1,4結合が96%である。
(注2)酸化亜鉛の「適量」とは、ボール重量が45.4gとなるように配合量を調整したことを意味する。
【0057】
(2) 中間層の作製
表2に示すようにブタジエンゴムを主成分とする中間層用のゴム組成物または樹脂組成物を混練し、金型内で半殻を成形した。ここでエア塊を形成する突起形状は図4に示す各種形状のものを使用した。半殻の成形条件及びコアへの被覆する加硫条件は表2に示すとおりである。なおコアに半殻を被覆する際の圧力は1kg/cm2である。得られたコア/中間層の複合層の仕様を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
(注1)BR01:日本ジェーエスアール社製ポリブタジエンで、シス−1,4結合が96%である。
(注2)サーリン8945:デュポン社製アイオノマー樹脂。
(注3)サーリン9945:デュポン社製アイオノマー樹脂。
(注4)ラバロンSR04:三菱化学社製SEBSのポリマーアロイ。
【0060】
(3) カバー用組成物の調製
表3に示すカバー用組成物を二軸混練押出機によりミキシングし、二軸押し出し機でシリンダー温度180℃で押し出した。押出条件は、次の通りである。
【0061】
スクリュー径:45mm
スクリュー回転数:200rpm
スクリューL/D:35
配合物は押出機のダイの位置で195〜205℃に加熱された。
【0062】
上記カバー用組成物を用いて半球殻状のハーフシェルを射出成形し、これを2枚用いて上記のコアを包み、金型内で150℃でプレス熱圧縮成形し、冷却後、ゴルフボールを取り出した。その後、表面にペイントを塗装して、直径42.8mm、重量45.4gを有するゴルフボールを作製した。得られたゴルフボールの仕様を表4に示す。
【0063】
なお、実施例9はカバー層にエア塊を形成したもので、エア塊の種類は、表5におけるEであり、Vaが179mm3で、カバー層の容積V1は7760mm3である。したがって、(Va)/(V1)は2.3%となる。半球殻は130℃で8分間成形し、中間層の外側への被覆は142℃で6分間プレス熱圧縮成形した。
【0064】
【表3】
【0065】
(注1)サーリン8945:デュポン社製アイオノマー樹脂。
(注2)サーリン9945:デュポン社製アイオノマー樹脂。
(注3)ラバロンSR04:三菱化学社製SEBSのポリマーアロイ。
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
<性能評価方法>
(1) ショアD硬度
ASTM−D2240に準じて測定した。材料から作成された厚さ約2mmの熱プレス成形シートを23℃で2週間保存後、スプリング式硬度計ショアD型を用いて測定した。
【0070】
(2) 耐久性能
ツルーテンパー社製のスイングロボットにメタルヘッド製ウッド(No.1)を取りつけ、ヘッドスピードを45m/秒に設定して各ゴルフボールを打撃し、衝突板に衝突させた。評価基準はゴルフボールが壊れるまでの打撃回数を測定し、同構造の比較例を100として指数化し、同構造でエア塊の有無での比較を行なった。指数が大きい程ゴルフの耐久性が優れていることを示す。
【0071】
(3) 飛行性能
ツルーテンパー社製のスイングロボットにメタルヘッド製ウッド(No.1)を取りつけ、ヘッドスピードを40m/secに設定して各ゴルフボールを打撃し、打ち出し直後の打ち出し角およびバックスピン量、落下までの距離(飛行距離)、停止点までの距離(トータル飛距離)を測定した。測定は各ゴルフボールで5回実施し、その平均値を求めた。
【0072】
(4) 打撃時の衝撃フィーリング
ゴルファー10名により、メタルヘッド製ウッド(No.1)ドライバーで実打を行ない、打撃時の衝撃の強さを次の基準で評価した。
【0073】
◎ :ソフトで軽い。
× :硬くて重い。
【0074】
<評価結果>
比較例1〜比較例5は、エア塊が形成されておらず、フィーリング及び飛距離に劣る。比較例6は中間層に形成されたエア塊が多すぎるため、フィーリング、耐久性及び飛距離に劣る。比較例7は、中間層に形成されたエア塊が少なすぎるため、フィーリング及び飛距離に劣る。
【0075】
実施例1〜実施例9は、エア塊を中間層に形成しており、打球感、耐久性及び飛距離が綜合的に優れている。また実施例10は、エア塊をカバー層に形成しており、同様に打球感、耐久性及び飛距離が綜合的に優れたものになっている。
【0076】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0077】
【発明の効果】
本発明のゴルフボールは、コア外層、中間層およびカバーの少なくとも1層にエア塊を形成しているので、打球感、耐久性及び飛距離が綜合的に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のゴルフボールの断面図である。
【図2】 中間層の半殻成形用金型の概略断面図である。
【図3】 中間層の半殻をコアに被覆一体化する成形用金型の概略断面図である。
【図4】 エア塊を形成する金型突起の概略図である。
【図5】 本発明のゴルフボールの断面図である。
【符号の説明】
1 コア、2 中間層、3 カバー、4 エア塊。
Claims (6)
- コアと、該コアを被覆する中間層と、更に該中間層の外側を被覆するカバーからなるマルチピースゴルフボールにおいて、
前記コア、前記中間層または前記カバーには、前記コアと中間層の境界面または中間層とカバーの境界面の少なくともいずれかにおいてエア塊が、その境界面の球面に沿って均一に20〜600個、分布して形成されたことを特徴とするマルチピースゴルフボール。 - 各エア塊の容積は0.75〜6mm3で個数は20〜550である請求項1記載のマルチピースゴルフボール。
- エア塊の合計容積は、エア塊が形成される層の容積の0.5〜50%である請求項1記載のマルチピースゴルフボール。
- エア塊が形成される層の厚みは0.5〜5mmである請求項1記載のマルチピースゴルフボール。
- 請求項1記載のマルチピースゴルフボールの製造方法において、球面に突起を有する金型を使用して、空隙が内側表面に形成された中間層のハーフシェルを成形する工程、該ハーフシェルの一対をコアに被覆してコアと中間層の複合体を成形する工程を含むマルチピースゴルフボールの製造方法。
- 一対のハーフシェルをコアに被覆してコアと中間層の複合体を成形する工程は、温度が100〜140℃で、圧力が0.1〜20kg/cm2でプレス成形することを特徴とする請求項5記載のマルチピースゴルフボールの製造方法。
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