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JP4100148B2 - 電動式パワーステアリング装置 - Google Patents
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JP4100148B2 - 電動式パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は操舵補助力の発生源としてモータを用いてなる電動式パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用の電動式パワーステアリング装置は、操舵補助用のモータ及び該モータの回転力を舵取手段に伝える減速歯車機構を備えており、操舵手段の操舵に応じた舵取手段の動作を前記モータの回転により補助し、舵取りのための運転者の労力負担を軽減するように構成されている。
【0003】
減速歯車機構はモータの出力軸に軸継手を介して継合され、反モータ側に軸部を有するウォームと、該ウォームに噛合し、前記舵取機構に繋がるウォームホイールと、前記ウォームの他端部をウォーム及びウォームホイールの回転中心間距離が長短となる方向へ移動可能に支持する軸受部材と、該軸受部材を移動操作する操作体と、該操作体及び前記軸受部材の間に介在され、ウォームのウォームホイールとの噛合部に予圧を加えるべく前記軸受部材を径方向へ付勢するコイルバネとを備え、前記噛合部に予圧を加えることによりバックラッシュ量を少なくするように構成されている。(例えば、特許文献1。)
【0004】
また、ウォームは前記モータの出力軸との継合部に対しモータと反対側へ離隔した部分が転がり軸受を介してハウジング内に回転自在に支持されている。ところが、転がり軸受には複数の転動体を介して嵌合された内輪及び外輪間に軸長方向隙間があるため、この軸長方向隙間をなくする必要がある。つまり、転がり軸受の軸長方向隙間によってウォームが軸長方向へガタつき、このガタつきによって発生する異音が車室の内部に洩れることになり、運転者に不快感を与えることになるため、前記軸長方向隙間をなくする必要がある。
【0005】
この軸長方向隙間をなくする一手段として、転がり軸受の外輪の一側に当接する調節環を前記ハウジング内に螺着し、該調節環を回転操作することにより転がり軸受の外輪及び内輪を軸長方向へ相対移動させることによりウォームに予圧を加えて軸長方向隙間をなくし、ウォームの軸長方向へのガタつきをなくするようにしてある。
【0006】
ところで、減速歯車機構のウォーム歯車等は回転中心線に対しその歯すじが回転方向へ捩じれており、ウォームからウォームホイールへ回転トルクが加わるとき、換言すればモータの回転によって操舵補助する場合、ウォームがウォームホイールの歯すじに沿って径方向へ動くように分力(以下噛合反力と云う)が発生し、該噛合反力によりウォームが径方向へ押圧されて揺動し、雄形継手部の周面が雌形継手部に当接して叩き音が発生し易くなるため、雄形継手部及び雌形継手部の間にグリースを塗布により充填し、前記叩き音を低減するようにしてある。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−21943号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の電動式パワーステアリング装置にあっては、ウォームの揺動によって雄形継手部及び雌形継手部の間のグリースが雌形継手部の開口端から外部へ流出することになり、グリース量が減少し、叩き音が発生し易くなり、改善策が要望されていた。また、ウォームの軸長方向へのガタつきをなくするための調節環はウォームの周りに配置されているため、ウォームよりも大径寸法の調節環が必要であり、さらに、ウォームの周りが大形となり、改善策が要望されていた。
【0009】
本発明は斯る事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は雄形継手部及び雌形継手部の間に充填された潤滑剤の流出を防ぐことができ、しかも、付勢手段を小形にできるとともに、駆動歯車の周りを小形にできる電動式パワーステアリング装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る電動式パワーステアリング装置は、モータの出力軸に雄形継手部及び雌形継手部を介して継合され、反モータ側に軸部を有する駆動歯車と、該駆動歯車に噛合し、舵取手段に繋がる従動歯車と、前記軸部を支持し駆動歯車及び従動歯車の回転中心間距離が長短となる方向への移動が可能な軸受部材と、該軸受部材を収容する収容孔を有する支持部材と、前記駆動歯車を反モータ側へ付勢する付勢手段とを備え、前記モータの回転によって操舵補助するようにした電動式パワーステアリング装置において、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方は雄形継手部及び雌形継手部の間に充填される潤滑剤の流出を防ぐための流出止環を備えており、前記雄形継手部は端面から軸長方向へ窪んだ凹所を有し、該凹所に前記付勢手段を収容してあり、前記流出止環はその内周面及び外周面の間に、軸長方向の寸法が径方向の寸法よりも小さい撓み部を有することを特徴とする。
【0011】
第1発明にあっては、雄形継手部及び雌形継手部の間に充填されている潤滑剤が雌形継手部の開口端から流出するのを防ぐことができるため、雄形継手部及び雌形継手部の叩き音を抑制しつつ経年使用することができる。また、付勢手段は雄形継手部の凹所に収容されているため、付勢手段を小形にでき、さらに、付勢手段の周りを小形にでき、電動式パワーステアリング装置の全体を小形にできる。また、流出止環を内周面及び外周面の間の撓み部で撓ませ易いため、駆動歯車及び従動歯車の噛合部のバックラッシュ量の調整代を充分に確保することができるとともに、流出止環の潤滑剤流出止め機能をより一層高めることができ、噛合部のバックラッシュ量の調整代を充分に確保することができる駆動歯車が前記噛合反力によって頻繁に揺動する場合においても、潤滑剤の流出を防ぐことができ、雄形継手部及び雌形継手部の叩き音を低減できる。
【0016】
発明に係る電動式パワーステアリング装置は、モータの出力軸に雄形継手部及び雌形継手部を介して継合され、反モータ側に軸部を有する駆動歯車と、該駆動歯車に噛合し、舵取手段に繋がる従動歯車と、前記軸部を支持し駆動歯車及び従動歯車の回転中心間距離が長短となる方向への移動が可能な軸受部材と、該軸受部材を収容する収容孔を有する支持部材と、前記駆動歯車を反モータ側へ付勢する付勢手段とを備え、前記モータの回転によって操舵補助するようにした電動式パワーステアリング装置において、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方は雄形継手部及び雌形継手部の間に充填される潤滑剤の流出を防ぐための流出止環を備えており、前記雄形継手部は端面から軸長方向へ窪んだ凹所を有し、該凹所に前記付勢手段を収容してあり、前記流出止環は複数個が近傍となるように並置されていることを特徴とする。
【0017】
発明にあっては、雄形継手部及び雌形継手部の間に充填されている潤滑剤が雌形継手部の開口端から流出するのを防ぐことができるため、雄形継手部及び雌形継手部の叩き音を抑制しつつ経年使用することができる。また、付勢手段は雄形継手部の凹所に収容されているため、付勢手段を小形にでき、さらに、付勢手段の周りを小形にでき、電動式パワーステアリング装置の全体を小形にできる。しかも、雌形継手部の開口端から潤滑剤が流出するのを2段階で防ぐことができるため、流出止環の潤滑剤流出止め機能をより一層高めることができ、駆動歯車が前記噛合反力によって頻繁に揺動する場合においても、潤滑剤の流出を防ぐことができ、雄形継手部及び雌形継手部の叩き音を低減できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1
図1は本発明に係る電動式パワーステアリング装置の実施の形態1の構成を示す減速歯車機構部分の拡大断面図、図2は電動式パワーステアリング装置の全体部分の構成を示す断面図、図3は駆動歯車及び従動歯車と支持部材の支持孔との関連を示す説明図である。
【0019】
電動式パワーステアリング装置は、操舵補助用のモータ1と、該モータ1の出力軸1aに軸継手2を介して継合される駆動歯車としてのウォーム3及び該ウォーム3に噛合する従動歯車としてのウォームホイール4を有する減速歯車機構Aと、ウォームホイール4を支持する回転軸(後記する)を有し、ウォームホイール4に繋がる舵取手段5とを備えている。
【0020】
この舵取手段5は、一端部が舵取りのための操舵輪Bに繋がり、他端部に筒部51aを有する第1の操舵軸51と、筒部51a内に挿入されてその一端部が第1の操舵軸51の筒部51aに連結され、操舵輪Bに加わる操舵トルクの作用によって捩れるトーションバー52と、他端部がトーションバー52の他端部に連結され、減速歯車機構Aに繋がる回転軸としての第2の操舵軸53とを備え、該第2の操舵軸53がユニバーサルジョイントを介して例えばラックピニオン式の舵取機構(不図示)に繋がる。
【0021】
減速歯車機構Aのウォーム3は両端に軸部3a,3bを有しており、一端の軸部3aが転がり軸受6を介して支持部材7に回転自在に支持された状態でモータ1の出力軸1aに継合され、他端の軸部3bが円柱形の軸受部材8を介して支持部材7に支持されている。なお、軸部3aは転がり軸受6の内輪6aに圧入されている。軸部3aの途中には転がり軸受6の内輪6aの一端と向き合い、ウォーム3の内輪6aとの相対移動を規制するフェールセールとしてのC形リング等の規制環9が着脱可能に取付けられている。ウォームホイール4は回転軸5の途中に嵌合固定されている。
【0022】
支持部材7はウォーム3を収容し、該ウォーム3の軸部3a,3bを、転がり軸受6及び軸受部材8を介して回転自在に支持した第1収容部7aと、ウォームホイール4を収容し、該ウォームホイール4を第2の操舵軸53及び該第2の操舵軸53に嵌合された2つの転がり軸受10,11を介して支持した第2収容部7bとを有する。
【0023】
第1収容部7aはウォーム3の軸長方向に長くなっており、その長手方向一端部には転がり軸受6を嵌合支持する支持孔71及び該支持孔71に連なるねじ孔72及びモータ取付部73が設けられており、ねじ孔72に転がり軸受6を固定するためのねじ環12が螺着されている。また、モータ取付部73にモータ1が取付けられている。
【0024】
第2収容部7bは転がり軸受10,11を嵌合支持する2つの支持孔74,75が設けられている。
支持孔71の中心と支持孔74,75の中心との間の中心間距離Lは、ウォーム3のピッチ円直径φdのφd/2と、ウォームホイールのピッチ円直径φDのφD/2とを加算した寸法と等しいか、又は、φd/2とφD/2とを加算した寸法よりも小さくなるように設定してある。
【0025】
この寸法の設定により、ウォーム3は転がり軸受6への支持部を中心としてウォーム3及びウォームホイール4の回転中心の平行域(図のC−C域)とほぼ平行になるか、又は、回転中心の平行域C−Cに対して軸部3a側(モータ側)の回転中心間距離H1が、軸部3b側(反モータ側)の回転中心間距離H2よりも短くなるように傾斜する。
【0026】
モータ1の出力軸1aとウォーム3の軸部3aとはセレーションを有する雄形継手部21及び雌形継手部22を介して継合されている。雄形継手部21は軸部3aの周面にセレーションを設けることにより構成されており、また、雌形継手部22は出力軸1aに嵌合固定された筒部材23の内側にセレーションを設けることにより構成されており、雄形継手部21と雌形継手部22との間に径方向隙間S1ができるように雄形継手部21及び雌形継手部22がセレーション嵌合されている。この雄形継手部21及び雌形継手部22の間にはグリースからなる潤滑剤が塗布により充填されている。
【0027】
雄形継手部21の反モータ側端部には、セレーションの谷部直径以下の寸法の環状溝21aが設けられており、また、雌形継手部22の開口端部には、セレーションの谷部直径以上の寸法の環状凹部22aが設けられている。環状溝21aにはその外周面が環状凹部22aに接触して雄形継手部21及び雌形継手部22の間に充填されている潤滑剤の流出を防ぐための流出止環13が嵌合により保持されている。尚、環状凹部22aは雌形継手部22の開口側の端縁から設けられている。また、環状凹部22aは雌形継手部22の開口側の端縁近傍に溝状に形成してもよい。
【0028】
雄形継手部21のモータ側端面、換言すればウォーム3の一端には軸長方向へ窪んだ凹所21bが設けられている。この凹所21bには出力軸1aの端面にその一端が当接してウォーム3を反モータ側へ付勢する付勢手段としてのコイルバネ14が収容されている。
【0029】
このコイルバネ14は前記回転中心の平行域C−Cと平行的に付勢するようにしてあり、この付勢力がウォーム3の一端で、軸部3aの転がり軸受6への支持部中心Oに対して回転中心間距離H1が長くなる位置に加わり、ウォーム3が前記したように回転中心の平行域C−Cに対して傾斜している場合、該ウォーム3を傾斜角度が小さくなる方向へ揺動させるようにしてある。また、コイルバネ14の付勢力は軸部3aから規制環9を介して内輪6aに伝動され、転がり軸受6の軸長方向隙間をなくする。
【0030】
図4は流出止環の構成を示す拡大断面である。
流出止環13は例えば図4の(a) 〜(e) のように内周面及び外周面の間に、軸長方向の寸法が径方向の寸法よりも小さい撓み部13aを有するゴム等の弾性材料からなる。
図4(a) の流出止環13は断面形状を径方向の寸法が軸長方向の寸法よりも長い略楕円形にしてあり、内周面及び外周面と径方向中央部との間の内側部分及び外側部分を撓み部13aとしてある。
図4(b) の流出止環13は断面形状を内周側及び外周側に2つの接触環部13b,13bを有する略X字形にしてあり、内周側及び外周側の各接触環部13bを撓み部13aとしてある。
図4(c) の流出止環13は断面形状を略エ字形にしてあり、内側部分及び外側部分の間の径方向中央部分を撓み部13aとしてある。
図4(d) の流出止環13は断面形状を略コ字形にしてあり、換言すればオイルシールからなり、内側部分及び外側部分の間の径方向中央部分を撓み部13aとしてある。
図4(e) の流出止環13は断面形状を内周側に1つの接触環部13cを有し、外周側に2つの接触環部13cを有する略Y字形にしてあり、内周側及び外周側の各接触環部13cを撓み部13aとしてある。
【0031】
第1収容部7aの他端部には、ウォーム3の他端の軸部3bが挿入される凹孔76及び該凹孔76の内面に臨み、軸部3bの径方向に向けて穿設、換言すればウォーム3をウォームホイール4に向けて押付ける方向に穿設された円柱形の収容孔77が設けられている。この収容孔77には軸部3bが回転自在に嵌合される軸受部材8と、該軸受部材8を前記押付ける方向へ付勢するコイルバネからなる弾性体15と、収容孔77の外部への開放部を閉じる閉孔部材15とが収容されている。また、収容孔77の外部への開放側にはねじ部78が設けられており、該ねじ部78に閉孔部材16が螺着されている。
【0032】
この閉孔部材16と軸受部材8との間には径方向隙間S1よりも大きい隙間S2が設けられており、噛合反力等によって回転中心間距離H2が長くなる方向へウォーム3が動く際に、このウォーム3の動きを径方向隙間S1部分で規制し、軸受部材8が閉孔部材16に当接しないようにしてある。
【0033】
軸受部材8はその軸長方向の途中、換言すれば収容孔77に沿って移動する移動方向の途中に前記移動方向と直交するように穿設された軸受孔8aが設けられており、該軸受孔8aに軸部3bが回転可能に嵌合されたすべり軸受17を挿入固定してあり、該すべり軸受17を介して軸部3bを軸受部材8に支持してある。
【0034】
尚、支持部材7は第2収容部7bに連なる第3収容部7cを有しており、トーションバー17の捩れに応じた操舵軸51,53の相対回転変位量によって操舵輪Bに加わる操舵トルクを検出するトルクセンサ18が第3収容部7cに収容されており、該トルクセンサ18が検出したトルク等に基づいてモータ1が駆動制御されるように構成されている。
【0035】
以上のように構成された電動式パワーステアリング装置において、モータ1及び減速歯車機構Aを組み込む場合、例えば雌形継手部22内にグリースからなる潤滑剤が塗布により充填された状態で、ウォーム3の雄形継手部21が出力軸1aの雌形継手部22に挿入され、セレーション嵌合される。この場合、雄形継手部21の反モータ側端部に設けられた流出止環13が、雌形継手部22の開口端部に設けられた環状凹部22aに接触するため、雌形継手部22内の潤滑剤が雌形継手部22の開口端部から外部へ流出するのを防ぐことができる。従って、雄形継手部21及び雌形継手部22の叩き音を抑制しつつ経年使用することができる。
【0036】
また、出力軸1aの雌形継手部22とウォーム3の雄形継手部21とがセレーション嵌合された場合、雄形継手部21及び雌形継手部22の間に径方向隙間S1が生ずる。また、転がり軸受6に支持されたウォーム3は転がり軸受6の内輪6aと外輪6bとの間の隙間によって転がり軸受6への支持部(軸部3a)を中心として揺動し、ウォーム3及び雄形継手部21の回転中心が雌形継手部22及び出力軸1aの中心に対して前記径方向隙間S1の範囲内で傾斜することが可能になる。
【0037】
そして、支持孔71及び支持孔74,75の中心間距離Lと、ウォーム3のピッチ円直径φd及びウォームホイール4のピッチ円直径φDとの関係が、L<φd/2+φD/2である場合、ウォーム3は転がり軸受6への支持部を中心として前記回転中心の平行域C−Cに対してモータ側の回転中心間距離H1が、反モータ側の回転中心間距離H2よりも短くなるように傾斜する。
【0038】
この傾斜したウォーム3は、転がり軸受6よりもモータ1側でコイルバネ14により前記回転中心の平行域C−Cと平行的に付勢されるため、ウォーム3は転がり軸受6への支持部を中心として傾斜角度が小さくなる方向へ揺動する。この揺動によりウォーム3及びウォームホイール4の噛合部に予圧を加えることができ、噛合部のバックラッシュ量を少なくすることができる。また、コイルバネ14は転がり軸受6よりもモータ1側でウォーム3を反モータ側へ付勢するため、転がり軸受6の軸長方向隙間をなくし、ウォーム3の軸長方向へのガタつきをなくすることができる。
【0039】
支持孔71及び支持孔74,75の中心間距離Lと、ウォーム3のピッチ円直径φd及びウォームホイール4のピッチ円直径φDとの関係が、L=φd/2+φD/2である場合、ウォーム3は前記回転中心の平行域C−Cとほぼ平行になる。この平行な状態のウォーム3は、転がり軸受6よりもモータ1側でコイルバネ14により前記回転中心の平行域C−Cと平行的に付勢されるため、前記噛合部のバックラッシュ量を少なくすることができる。また、コイルバネ14は転がり軸受6よりもモータ1側でウォーム3を反モータ側へ付勢するため、転がり軸受6の軸長方向隙間をなくし、ウォーム3の軸長方向へのガタつきをなくすることができる。
【0040】
また、モータ1の回転によって操舵補助する場合において、噛合反力等によって回転中心間距離H2が長くなる方向へウォーム3が動く際には雄形継手部21の周面が雌形継手部22に当接し、ウォーム3の動きが制限される。この場合、閉孔部材16と軸受部材8との間の隙間S2は径方向隙間S1よりも大きく設定されているため、ウォーム3の軸部3bを支持した軸受部材8が閉孔部材16に当接するのを防ぐことができ、軸受部材8及び閉孔部材16間での音鳴りをなくすることができる。このように音鳴りをなくすることができるため、前記した特許文献1のように軸受部材8及び閉孔部材16間に緩衝部材を設ける必要がなく、部品点数を少なくすることができる。また、軸受部材8及び閉孔部材16間にはコイルバネからなる弾性体15が介されているため、ウォーム3の前記した動きを抑制することができ、雄形継手部21の周面が雌形継手部22に当接するのを防ぐことも可能である。また、弾性体15に代えて、付勢手段を雌形継手部22及び規制環9との間に設けることも可能である。
【0041】
また、流出止環13は図4に示すように、内周面及び外周面の間に、軸長方向の寸法が径方向の寸法よりも小さい撓み部13aを有するため、ウォーム3の揺動量を充分に確保した場合においても、潤滑剤の流出を防ぐことができ、雄形継手部21及び雌形継手部22の叩き音を低減できる。
【0042】
尚、以上説明した実施の形態では閉孔部材16及び軸受部材8間の隙間S2を径方向隙間S1よりも大きく設定したが、その他、径方向隙間S1及び隙間S2が等しくなるように設定してもよいし、また、隙間S2が径方向隙間S1よりも小さくなるように設定してもよい。この場合、軸受部材8及び閉孔部材16間に介したコイルバネからなる弾性体15によって軸受部材8及び閉孔部材16間での音鳴りを低減できる。
【0043】
実施の形態2
図5は電動式パワーステアリング装置の実施の形態2の構成を示す要部の拡大断面図である。
この実施の形態2の電動式パワーステアリング装置は、雄形継手部21の反モータ側端部に図4の流出止環13を並置したものである。図5の(a) は軸長方向に離隔する2つの環状溝21c,21cを設け、各環状溝21cに流出止環13を挿入してある。図5の(b) は2つの流出止環13を挿入することが可能な幅寸法の環状溝21dを設け、該環状溝21dに2つの流出止環13を挿入してある。
【0044】
実施の形態2にあっては、雌形継手部22の開口端から潤滑剤が流出するのを2段階で防ぐことができるため、流出止環13の潤滑剤流出止め機能をより一層高めることができる。従って、ウォーム3が前記噛合反力によって頻繁に揺動する場合においても、潤滑剤の流出を防ぐことができ、雄形継手部21及び雌形継手部22の叩き音を低減できる。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0045】
実施の形態3
図6は電動式パワーステアリング装置の実施の形態3の構成を示す要部の拡大断面図である。
この実施の形態3の電動式パワーステアリング装置は、雄形継手部21の反モータ側端部に図4の流出止環13と、該流出止環13の一側に接触する略皿ばね形状のバックアップ環19とを並置したものである。
実施の形態3において、流出止環13及びバックアップ環19は1つの環状溝21eに挿入されている。
【0046】
実施の形態3にあっては、ウォーム3の揺動によって流出止環13が撓む場合、該流出止環13の撓み力がバックアップ環19に伝動され、該バックアップ環19も撓むため、流出止環13の撓みを抑制できる。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0047】
実施の形態4
図7は電動式パワーステアリング装置の実施の形態4の構成を示すもので、(a) は要部の拡大断面図、(b) は(a) のVII −VII 線の断面図である。
この実施の形態4の電動式パワーステアリング装置は、雄形継手部21及び雌形継手部22をセレーション嵌合する代わりに、雄形継手部21及び雌形継手部22をスプライン嵌合し、雄形継手部21のモータ側端部と雌形継手部との間に雄形継手部21の周面が雌形継手部22に当接するのを抑制する弾性環20を設けたものである。
【0048】
実施の形態4において、雄形継手部21及び雌形継手部22の周面には断面形状が四角形となるスプラインが設けられている。また、雄形継手部21のモータ側端部には環状凹部21fが設けられており、該環状凹部21fに弾性環20が嵌合保持されている。
【0049】
実施の形態4にあっては、雄形継手部21及び雌形継手部22のスプラインの側面同士が出力軸1aの回転方向と直交的に接触するため、雄形継手部21及び雌形継手部22の継合部分の強度をセレーションに比べて高めることができる。
また、ウォーム3が転がり軸受6への支持部を中心として揺動する場合、弾性環20が撓み、雄形継手部21の周面が雌形継手部22に当接するのを防ぐことができ、雄形継手部21及び雌形継手部22間での音鳴りを減少させることができる。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0050】
実施の形態5
図8は電動式パワーステアリング装置の実施の形態5の構成を示すもので、(a) は要部の拡大断面図、(b) は(a) のVIII−VIII線の断面図である。
この実施の形態5の電動式パワーステアリング装置は、雄形継手部21及び雌形継手部22をセレーション嵌合、スプライン嵌合する代わりに、雄形継手部21及び雌形継手部22の間にキー30を設け、雄形継手部21のモータ側端部と雌形継手部22との間に雄形継手部21の周面が雌形継手部22に当接するのを抑制する弾性環20を設けたものである。
【0051】
実施の形態5において、雄形継手部21及び雌形継手部22の周面で周方向に離隔した2つの位置にはキー溝が設けられており、各キー溝にキー30が嵌合されている。また、雄形継手部21のモータ側端部には環状凹部21fが設けられており、該環状凹部21fに弾性環20が嵌合保持されている。
【0052】
実施の形態5にあっては、雄形継手部21及び雌形継手部22の相対回転をキー30によって防ぐことができ、出力軸1aの回転を雌形継手部22からキー30を介して雄形継手部21に伝動することができるため、雄形継手部21及び雌形継手部22の継合部分の強度をセレーションに比べて高めることができる。
また、ウォーム3が転がり軸受6への支持部を中心として揺動する場合、弾性環20が撓み、雄形継手部21の周面が雌形継手部22に当接するのを防ぐことができ、雄形継手部21及び雌形継手部22間での音鳴りを減少させることができる。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0053】
実施の形態6
図9は電動式パワーステアリング装置の実施の形態6の構成を示す要部の拡大断面図である。
この実施の形態6の電動式パワーステアリング装置は、雄形継手部21及び雌形継手部22を可撓性を有する弾性体31により継合したものである。
【0054】
実施の形態6において、雄形継手部21の端面及び雌形継手部22には断面が四角形の嵌合孔21g,22bが設けられており、角柱形の弾性体31の一端部を嵌合孔21gに嵌合し、弾性体31の他端部を嵌合孔22bに嵌合し、出力軸1aの回転を雌形継手部22から弾性体31を介して雄形継手部21に伝動するようにしてある。また、雄形継手部21の端面と雌形継手部22の開口端との間はウォーム3の揺動を許容する以上の寸法で離隔している。
【0055】
実施の形態6にあっては、ウォーム3の揺動量を充分に確保することができ、しかも、雄形継手部21及び雌形継手部22の継合部分での音鳴りをなくすることができ、さらに、出力軸1aの回転を伝動する場合に弾性体31を捩じらせることができるため、操舵感を向上できる。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0056】
実施の形態7
図10は電動式パワーステアリング装置の実施の形態7の構成を示す要部の拡大断面図である。
この実施の形態7の電動式パワーステアリング装置は、雄形継手部21及び雌形継手部22を可撓性を有する弾性体32により継合し、さらに、弾性体32の撓み量を制限する制限部21hを設けたものである。
【0057】
実施の形態7において、雄形継手部21のモータ側の端部には立方体形状の嵌合凸部21j及び該嵌合凸部21jに連なり、嵌合凸部21jよりも大形で立方体形状の制限部21hが設けられており、また、雌形継手部22には制限部21hよりも大形で断面が四角形の嵌合孔22cが設けられている。尚、この嵌合孔22cは嵌合凸部21jよりも長い寸法にしてある。
【0058】
弾性体32は断面が四角形の環部材からなり、この弾性体32の内側が嵌合凸部21jに嵌合されている。そして、嵌合孔22cが弾性体32の外側に嵌合されることにより雄形継手部21及び雌形継手部22が弾性体32により継合される。
【0059】
実施の形態7にあっては、ウォーム3の揺動量を充分に確保することができ、しかも、雄形継手部21及び雌形継手部22の継合部分での音鳴りをなくすることができ、さらに、ウォーム3の揺動により弾性体32が一定量以上に撓む場合、雌形継手部22の開口端部が制限部21hに当接し、弾性体32の撓み量を制限することができるため、弾性体32の損傷を防ぐことができる。また、出力軸1aの回転を伝動する場合に弾性体32を捩じらせることができるため、操舵感を向上できる。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0060】
実施の形態8
図11は電動式パワーステアリング装置の実施の形態8の構成を示す要部の拡大断面図である。
この実施の形態8の電動式パワーステアリング装置は、実施の形態6の弾性体31によりウォーム3を反モータ側へ付勢するようにしたものである。
【0061】
実施の形態8において、雄形継手部21の端面と雌形継手部22の開口端との間は弾性体31を軸長方向に撓ませることができる間隔以上の寸法で離隔しており、弾性体31を介して雄形継手部21及び雌形継手部22を継合する場合に弾性体31を軸長方向へ撓ませるようにしてある。
【0062】
実施の形態8にあっては、伝動用の弾性体31が付勢ばねを兼ねるため、部品点数を少なくすることができる。
その他の構成及び作用は実施の形態1、6と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0063】
実施の形態9
図12は電動式パワーステアリング装置の実施の形態9の構成を示す要部の拡大断面図である。
この実施の形態9の電動式パワーステアリング装置は、実施の形態6の弾性体31の周りで、雄形継手部21の端面と雌形継手部22の開口端との間にウォーム3を反モータ側へ付勢するコイルバネ33を設けたものである。
【0064】
実施の形態9において、雄形継手部21の端面と雌形継手部22の開口端との間はコイルバネ33を介在することが出来る寸法で離隔している。
その他の構成及び作用は実施の形態1、6と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0065】
尚、以上説明した実施の形態ではモータ1の出力軸1aが雌形継手部22を有し、ウォーム3の軸部3aが雄形継手部21を有する構成としたが、その他、出力軸1aが雄形継手部21を有し、軸部3aが雌形継手部22を有する構成としてもよい。
また、以上説明した実施の形態の減速歯車機構Aは、ウォーム3である駆動歯車及びウォームホイール4である従動歯車を備えたウォーム歯車である他、ベベルギヤであってもよい。
【0066】
【発明の効果】
以上詳述したように第1発明によれば、雄形継手部及び雌形継手部の間に充填されている潤滑剤が雌形継手部の開口端から流出するのを防ぐことができ、雄形継手部及び雌形継手部の叩き音を抑制しつつ経年使用することができる。しかも、噛合部のバックラッシュ量の調整代を充分に確保することができる駆動歯車が前記噛合反力によって頻繁に揺動する場合においても、潤滑剤の流出を防ぐことができ、雄形継手部及び雌形継手部の叩き音を低減できる。また、付勢手段を小形にできるとともに、付勢手段の周りを小形にでき、電動式パワーステアリング装置の全体を小形にできる。
【0068】
発明によれば、雄形継手部及び雌形継手部の間に充填されている潤滑剤が雌形継手部の開口端から流出するのを防ぐことができ、雄形継手部及び雌形継手部の叩き音を抑制しつつ経年使用することができる。しかも、噛合部のバックラッシュ量の調整代を充分に確保することができる駆動歯車が前記噛合反力によって頻繁に揺動する場合においても、潤滑剤の流出を防ぐことができ、雄形継手部及び雌形継手部の叩き音を低減できる。また、付勢手段を小形にできるとともに、付勢手段の周りを小形にでき、電動式パワーステアリング装置の全体を小形にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の実施の形態1の構成を示す減速歯車機構部分の拡大断面図である。
【図2】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の全体部分の構成を示す断面図である。
【図3】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の駆動歯車及び従動歯車と支持部材の支持孔との関連を示す説明図である。
【図4】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の流出止環の構成を示す拡大断面図である。
【図5】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の実施の形態2の構成を示す要部の拡大断面図である。
【図6】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の実施の形態3の構成を示す要部の拡大断面図である。
【図7】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の実施の形態4の構成を示すもので、(a) は要部の拡大断面図、(b) は(a) のVII −VII 線の断面図である。
【図8】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の実施の形態5の構成を示すもので、(a) は要部の拡大断面図、(b) は(a) のVIII−VIII線の断面図である。
【図9】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の実施の形態6の構成を示す要部の拡大断面図である。
【図10】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の実施の形態7の構成を示す要部の拡大断面図である。
【図11】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の実施の形態8の構成を示す要部の拡大断面図である。
【図12】本発明に係る電動式パワーステアリング装置の実施の形態9の構成を示す要部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 モータ
1a 出力軸
3 ウォーム(駆動歯車)
3b 軸部
4 ウォームホイール(従動歯車)
5 舵取手段
7 支持部材
77 収容孔
8 軸受部材
21 雄形継手部
21b 凹所
22 雌形継手部
13 流出止環
13a 撓み部
14 コイルバネ(付勢手段)

Claims (2)

  1. モータの出力軸に雄形継手部及び雌形継手部を介して継合され、反モータ側に軸部を有する駆動歯車と、該駆動歯車に噛合し、舵取手段に繋がる従動歯車と、前記軸部を支持し駆動歯車及び従動歯車の回転中心間距離が長短となる方向への移動が可能な軸受部材と、該軸受部材を収容する収容孔を有する支持部材と、前記駆動歯車を反モータ側へ付勢する付勢手段とを備え、前記モータの回転によって操舵補助するようにした電動式パワーステアリング装置において、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方は雄形継手部及び雌形継手部の間に充填される潤滑剤の流出を防ぐための流出止環を備えており、前記雄形継手部は端面から軸長方向へ窪んだ凹所を有し、該凹所に前記付勢手段を収容してあり、前記流出止環はその内周面及び外周面の間に、軸長方向の寸法が径方向の寸法よりも小さい撓み部を有することを特徴とする電動式パワーステアリング装置。
  2. モータの出力軸に雄形継手部及び雌形継手部を介して継合され、反モータ側に軸部を有する駆動歯車と、該駆動歯車に噛合し、舵取手段に繋がる従動歯車と、前記軸部を支持し駆動歯車及び従動歯車の回転中心間距離が長短となる方向への移動が可能な軸受部材と、該軸受部材を収容する収容孔を有する支持部材と、前記駆動歯車を反モータ側へ付勢する付勢手段とを備え、前記モータの回転によって操舵補助するようにした電動式パワーステアリング装置において、前記雄形継手部及び雌形継手部の少なくとも一方は雄形継手部及び雌形継手部の間に充填される潤滑剤の流出を防ぐための流出止環を備えており、前記雄形継手部は端面から軸長方向へ窪んだ凹所を有し、該凹所に前記付勢手段を収容してあり、前記流出止環は複数個が近傍となるように並置されていることを特徴とする電動式パワーステアリング装置。
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