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JP4100473B2 - 燃料電池用金属製セパレータ及びその製造方法 - Google Patents
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燃料電池用金属製セパレータ及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、固体高分子型燃料電池の金属製セパレータ及びその製造方法に係り、特に、素材板からの金の被覆層の剥離を防止することにより、セパレータの接触抵抗の低下を防止して、高い発電効率を長時間にわたって維持する燃料電池の開発技術に関する。
固体高分子型燃料電池は、平板状の電極の両側にセパレータが積層された積層体が1ユニットとされ、複数のユニットが積層されて燃料電池スタックとして構成される。電極は、一対のガス拡散電極板(正極板と負極板)の間にイオン交換樹脂等からなる電解質層が挟まれた三層構造をなす。セパレータには、ガス拡散電極板との間にガスを流通させるガス通路が形成されている。このような燃料電池においては、例えば、負極側のガス拡散電極板に面するガス通路に酸素や空気等の酸化性ガスを流通させることによって電気化学反応を誘引し、電気を発生させる。
ところで、上記セパレータの材料としては、焼成された等方性黒鉛にフェノール等の樹脂を含浸させたガス不浸透性黒鉛材料や、フェノール等の樹脂によって部品形状を成形後焼成させたアモルファスカーボン材料が挙げられる。また、樹脂と黒鉛とからなる複合成形材料等の黒鉛系材料や、ステンレス鋼又はチタン合金等の高耐食性金属材料も使用されている。さらに、金又は白金等の貴金属系めっきを表面に被覆した金属材料等の金属系材料も使用されている。
このような各種材料を使用するセパレータにおいては、例えば、正極、負極及びこれら正負極間に介在された電解質を備えた燃料電池モジュールの両側に配置され、ガス流通用の溝部が形成され、少なくとも上記溝部表面にフッ素樹脂又はフッ化黒鉛粒子が共析した貴金属複合めっき皮膜を形成した燃料電池用金属セパレータが提案されている(特許文献1参照)。また、貴金属皮膜を形成した金属板の表面に平行且つ直線状の多数本のガス流通路溝を設けたセパレータ板と、セパレータ板の周縁を固定する耐熱性且つ耐酸性のプラスチック枠部とからなり、プラスチック枠部には、ガス流通路管、誘導凹溝等が形成されている、固体高分子型燃料電池用セパレータが提案されている(特許文献2参照)。これら特許文献1,2に記載されているセパレータは、共に、金属製の素材板の表面に金めっきを被覆したものである。
特開2000−36309号公報(要約書) 特開2003−223905号公報(要約書)
しかしながら、上記特許文献1,2に記載されたセパレータにおいては、燃料電池の発電時において、金の被覆層の素材板に対する密着性が低下し、これによりセパレータの接触抵抗が上昇し、高い発電効率を長時間にわたって維持することができないという問題があった。
本発明は、上記従来技術が抱える問題を解決すべくなされたものであり、燃料電池の発電時において、金の被覆層の素材板からの剥離を防止し、これによりセパレータの接触抵抗の低下を防止した燃料電池用金属製セパレータ及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明者等は、燃料電池の発電時において、金の被覆層の素材板からの剥離を防止する手段について鋭意、研究を重ねた。その結果、上記特許文献1,2に記載された技術により得られた通常のセパレータにおいては、導電性介在物と金の被覆層との間に十分なアンカー効果が得られていないことが上記剥離の原因であることを確認した。そこで、上記アンカー効果を向上させるべく、金めっき前の素材板の表面の平均粗さRaを0.4μm以上としたところ、導電性介在物と金の被覆層との間に十分なアンカー効果が得られるとの知見を得た。これは、粗面化した素材板表面に金粒子が付着する際に、導電性介在物と金とが接触面積を十分に確保した上で複雑にからみ合って密着するためである。また、本発明者等は、このような優れたアンカー効果が得られた場合には、導電性介在物と金との密着性が向上し、金の被覆層の素材板からの剥離が防止されることを確認した。一方、発明者等は、上記平均粗さRaを5.2μmを超えるものとした場合には、導電性介在物と金との接触面積の十分な確保によるこれらの密着性の向上は図られるものの、導電性介在物の素材板からの突出量が多いため、セパレータと拡散層であるカーボンペーパとの実質的な接触面積が少なく、電池性能の低下を招くおそれがあるとの知見を得た。さらに、本発明者等は、素材板の粗面化手段として、例えば、ステンレス鋼の表面を塩化第二鉄で溶削処理することが好適であることを確認した。また、導電性介在物として、CrB、TiN、ZrN、CrN、TiC、TaC又はCrC等を使用した場合に、それぞれ上記溶削処理を施すことにより金との間で好適な十分なアンカー効果が得られることも併せて確認した。
本発明の燃料電池用金属製セパレータは、以上の知見に基づいてなされたものであり、耐食性を有するオーステナイト系ステンレス鋼板を備える燃料電池用金属製セパレータにおいて、前記オーステナイト系ステンレス鋼板の表面に溶削処理が施されて該表面から導電性介在物が突出して該表面の平均粗さRaが0.4〜5.2μmとされ、前記オーステナイト系ステンレス鋼板の表面に突出した導電性介在物上に、金の被覆層を形成してなることを特徴としている。
また、本発明の燃料電池用金属製セパレータの製造方法は、上記燃料電池用金属製セパレータを好適に製造する方法であって、オーステナイト系ステンレス鋼板の表面に溶削処理を施すことにより、該表面から導電性介在物を突出させて表面の平均粗さRa0.4〜5.2μmとし、前記オーステナイト系ステンレス鋼板の表面に不動態化処理を施し、次いで下地処理を施さずに前記導電性介在物上に直接金めっきを行って金の被覆層を形成することを特徴としている。
本発明では、金めっき前のオーステナイト系ステンレス鋼板の表面の平均粗さRaを0.4〜5.2μmとしており、この限定理由は以下のとおりである。即ち、上記表面粗さRaが0.4μm未満の場合には、導電性介在物のオーステナイト系ステンレス鋼板からの突出量が少ないため、粗面化したオーステナイト系ステンレス鋼板表面に金粒子が付着する際に、導電性介在物と金との接触面積を十分に確保することができず、これらが複雑にからみ合って密着することができない。このため、十分なアンカー効果が得られず、発電時に金の被覆層のオーステナイト系ステンレス鋼板からの剥離を防止することができない。一方、上記表面粗さRaが5.2μmを超える場合には、導電性介在物と金との接触面積を十分に確保することができ、これらが複雑にからみ合って密着することはできる。しかしながら、導電性介在物のオーステナイト系ステンレス鋼板からの突出量が多いため、セパレータと拡散層であるカーボンペーパとの実質的な接触面積が少なく、電池性能の低下を招くおそれがある。従って、本発明によれば、金めっき前のオーステナイト系ステンレス鋼板の表面の平均粗さRaの適正化を図ることにより、電池性能の低下を招来せずに、導電性介在物と金の被覆層との間に十分なアンカー効果を得ることができ、これにより燃料電池の発電時において、金の被覆層のオーステナイト系ステンレス鋼板からの剥離を防止し、ひいては、セパレータの接触抵抗の低下を防止することができる。従って、本発明のセパレータを使用した燃料電池は、高い発電効率を長時間にわたって維持することができる。
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明の燃料電池用金属製セパレータを製造する際には、先ず、ステンレス鋼製の素材板の表面に塩化第二鉄を用いて溶削処理を施し、素材板の表面の平均粗さRaを0.4〜5.2μmに調整する。次いで、導電性介在物が突出している素材板の表面に不動態化処理を施し、さらに下地処理を施さずに導電性介在物上に直接金めっきを施して導電性介在物上に金の被覆層を形成する。なお、上述したところでは、素材板の粗面化には、溶削処理を用いているが、粗面化はこれに限られず、例えば、ブラスト等の他の粗面化処理を採用することもできる。
図1(a)〜(c)は、金めっき前の素材板の表面の平均粗さRaを異ならせた、各種燃料電池用金属製セパレータの金めっき後の状態を示す要部概念図である。図1(a)は、本発明の燃料電池用金属製セパレータの要部概念図であり、同図によれば、金めっき前の素材板の表面の平均粗さRaが0.4〜5.2μmであるため、導電性介在物の素材板からの突出量が適正範囲内にあるため、導電性介在物と金との十分な接触面積による優れた密着性を確保しすることができ、これにより燃料電池の発電時において、金の被覆層の素材板からの剥離を防止することができる。
これに対し、図1(b)は、金めっき前の素材板の表面の平均粗さRaが0.4μm未満であるため、粗面化した素材板表面に金粒子が付着する際に、導電性介在物と金との接触面積を十分に確保することができず、これらが複雑にからみ合って密着することができない。このため、十分なアンカー効果が得られず、発電時に金の被覆層の素材板からの剥離を防止することができない。また、図1(c)は、金めっき前の素材板の表面の平均粗さRaが5.2を超えるものであるため、導電性介在物の素材板からの突出量が多く、セパレータと拡散層であるカーボンペーパとの実質的な接触面積が少なくなるため、電池性能の低下を招くおそれがある。
次に、本発明の実施例を説明する。
A.セパレータの製造
[比較例1]
表1に示す成分を有するオーステナイト系ステンレス鋼板を厚さ0.2mmまで圧延し、この圧延鋼から100mm×100mmの正方形状の薄板を切り出して得た。次に、この薄板をプレス成形して、図2に示すようなセパレータの素材板を得た。この素材板は、中央に断面凹凸状の発電部を有し、その周囲に平坦な縁部を有している。また、この素材板は、成分中のBが、MB及びMB型の硼化物、M23(C,B)型の硼化物として金属組織中に析出しており、これら硼化物がセパレータの表面に導電経路を形成する導電性介在物である。
Figure 0004100473
次いで、素材板の両面に不動態化処理を施して素材板の表面に強固な酸化被膜を形成した。不動態化処理は、素材板をアセトンで10分間脱脂洗浄後、50℃に保持した50wt%硝酸液浴の中に10分間浸漬することによって行った。不動態化処理後は常温水による10分間の洗浄を2回行い、この後、乾燥させた。次に、素材板の両面に金めっきを行った。金めっきは、30℃に保持し、電流密度が1A/dmに設定された青化金(3g/L)のめっき浴に10分間浸漬することにより行った。金めっき後、常温水による10分間の水洗を2回行い、比較例1のセパレータを得た。なお、比較例1のセパレータにおいて、金めっき前の素材板の表面の平均粗さRaは0.2μmであった。
[本発明例1〜5及び比較例2]
上記比較例1で採用した、不動態化処理、洗浄、乾燥を行った後、塩化第二鉄による溶削処理を施し、素材板の表面の平均粗さRaを0.4〜7.3μmに調整した後、上記金めっき及び水洗を行い、本発明1〜5及び比較例2の各セパレータを得た。
B.各比較例及び各本発明例についての、初期接触抵抗の測定
接触面圧10kg/cm、25℃の時の初期接触抵抗をそれぞれ測定した。これらの結果を表2及び図3に示す。
Figure 0004100473
表2及び図3によれば、金めっき前に溶削処理を施したセパレータ(本発明例1〜5)は、溶削処理を施さずに金めっき処理したセパレータ(比較例1)に比して、優れた接触抵抗を示すことが判る。これは、素材板の表面を粗面化することにより、拡散層であるカーボンペーパとの実質的な接触面積が大きいためである。これに対し、平均粗さが7.3であるセパレータ(比較例2)は、各本発明例に比して、高い接触抵抗の値を示す。これは、素材板からの導電性介在物の突出量が多すぎるため、拡散層であるカーボンペーパとの実質的な接触面積が小さいためである。
C.比較例及び本発明例についての、通電後の接触抵抗の測定
75℃での通電を4時間行った後、25℃で1時間放置するテストを250サイクル、計1250時間の耐久テストを行った。接触抵抗の測定は接触面圧を10kg/cmとし、25℃で行った。この結果を表2及び図3に併記する。
表2及び図3によれば、溶削処理を施していないセパレータ(比較例1)については、耐久後の接触抵抗は著しく上昇することが判る。一方、溶削処理を施したセパレータ(本発明例1〜5及び比較例2)については、接触抵抗の上昇はほとんど見られないことが判る。これは、溶削処理を施して表面を粗面化することで、導電性介在物と金とが接触面積を十分に確保することができ、これらが複雑にからみ合って密着し、金の被覆層の剥離が防止されるためである。
本発明の燃料電池用金属製セパレータは、燃料電池の発電時において、金の被覆層の素材板からの剥離を防止し、ひいては、セパレータの接触抵抗の低下を防止することができるため、高い発電効率を長時間にわたって維持することが要請されている各種電源として使用することができ、特に、自動車産業、電機機器産業、並びに通信産業等の幅広い分野で使用することができる。
各種燃料電池用金属製セパレータの要部概念図であり、(a)は熱処理前の素材板の表面の平均粗さRaが適正な場合を示し、(b)は上記Raが0.4μm未満の場合を示し、(c)は、上記Raが5.2μmを超える場合を示す。 各比較例及び各本発明例で製造されるセパレータの素材板の写真である。 各比較例及び各本発明例についての、初期接触抵抗及び通電後の接触抵抗と、素材板の表面の平均粗さRaとの関係を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 耐食性を有するオーステナイト系ステンレス鋼板を備える燃料電池用金属製セパレータにおいて、前記オーステナイト系ステンレス鋼板の表面に溶削処理が施されて該表面から導電性介在物が突出して該表面の平均粗さRaが0.4〜5.2μmとされ、前記オーステナイト系ステンレス鋼板の表面に突出した導電性介在物上に、金の被覆層を形成してなることを特徴とする燃料電池用金属製セパレータ。
  2. オーステナイト系ステンレス鋼板の表面に溶削処理を施すことにより、該表面から導電性介在物を突出させて表面の平均粗さRa0.4〜5.2μmとし、前記オーステナイト系ステンレス鋼板の表面に不動態化処理を施し、次いで下地処理を施さずに前記導電性介在物上に直接金めっきを行って金の被覆層を形成することを特徴とする燃料電池用金属製セパレータの製造方法。
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