JP4100720B2 - 車両用ブレーキ圧力制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、例えばアンチスキッド制御(以下、ABS制御という)やトラクション制御(以下、TRC制御という)等を実施する車両用ブレーキ圧力制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばABS制御やTRC制御等のブレーキ圧力制御を行う装置では、運転者によるブレーキ操作の有無を示すブレーキ信号に従いその制御指令が決定される。そのため、該ブレーキ信号が正しく出力されないと、制御精度に多大な影響を及ぼすおそれがあり、従来よりブレーキセンサの異常を検出する種々の方法が提案されている(例えば、特開平5−149417号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の異常検出方法では、単に車両の急減速時におけるブレーキセンサ信号の有無を検出する等、主に通常ブレーキ動作時の検出方法が開示されており、ABS制御やTRC制御を実施する上での具体的な検出方法は開示されていない。
【0004】
この発明は、上記問題に着目してなされたものであって、その目的とするところは、ブレーキ圧力制御の実行時にも適切なブレーキセンサの異常検出を行うことができ、また、ブレーキセンサの異常が発生した場合にも適切なブレーキ圧力制御を実施することができる車両用ブレーキ圧力制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、運転者によるブレーキ操作の有無を検出し、その旨を示すブレーキ信号を出力するブレーキセンサと、
所定の制御条件成立時において、運転者によるブレーキ操作に伴う車輪ロックを解消するべく、車輪のブレーキ圧力を少なくとも減圧状態及び増圧状態のいずれかに制御するブレーキ圧力制御手段と、
前記ブレーキ圧力制御手段の制御条件が所定回数成立するまでの間、前記ブレーキ操作有りを示すブレーキ信号が出力されていなければ前記ブレーキセンサに異常が発生したと判定する異常検出手段と、
スリップ判定レベルが異なる複数の制御開始基準を有するアンチスキッド制御手段と、
前記異常検出手段によりブレーキセンサの異常が判定された場合には、前記スリップ判定レベルが低くなるように前記制御開始基準を変更する制御開始基準変更手段とを備えたことを要旨としている。
【0006】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、
前記ブレーキセンサの正常時には、
前記ブレーキ信号が出力されていると、前記制御開始基準として第1の開始基準を選択し、前記ブレーキ信号が出力されていないと、前記制御開始基準として前記第1の開始基準よりスリップ判定レベルの高い第2の開始基準を選択するとともに、
前記ブレーキセンサの異常時には、
前記制御開始基準として第1の開始基準を選択するように構成している。
【0007】
請求項3に記載の発明では、請求項1〜2に記載の発明において、前記異常検出手段によりブレーキセンサの異常が判定された場合に、当該異常情報を記憶する異常情報記憶手段と、前記異常情報を運転者に報知するための報知手段と、
前記異常情報記憶手段に記憶された異常情報を所定の車両運転条件が成立したときに報知するべく、前記報知手段を制御するように構成している。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記報知制御手段の車両運転条件は、車両速度が所定速度以下であること、又は車両が非減速状態であることの少なくとも一方を含むことを要旨としている。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記報知制御手段の車両運転条件は、エンジン始動時であることを含むことを要旨としている。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5に記載の発明において
加速スリップ発生時において、ポンプの供給圧により各車輪にブレーキ液圧を付与するトラクション制御手段と、前記異常検出手段によりブレーキセンサの異常が判定された場合、前記トラクション制御手段によるブレーキ圧力制御を変更する制御変更手段とを有する
ことを要旨としている。
【0011】
【作用】
請求項1に記載の発明によれば、ブレーキセンサは、運転者によるブレーキ操作の有無を検出し、その旨を示すブレーキ信号を出力する。ブレーキ圧力制御手段は、所定の制御条件成立時において、運転者によるブレーキ操作に伴う車輪ロックを解消するべく、車輪のブレーキ圧力を少なくとも減圧状態及び増圧状態のいずれかに制御する。異常検出手段は、ブレーキ圧力制御手段の制御条件が所定回数成立するまでの間、ブレーキ操作有りを示すブレーキ信号が出力されていなければブレーキセンサに異常が発生したと判定する。つまり、ブレーキ圧力制御手段の制御条件が成立することは、運転者によるブレーキ操作が行われた可能性が高く、この条件成立の回数とブレーキ信号の有無からブレーキセンサの異常が容易に検出される。なお、条件成立の回数を多くすれば誤検出の防止となる。
【0012】
また、制御開始基準変更手段は、異常検出手段によりブレーキセンサの異常が判定された場合に、スリップ判定レベルが低くなるようにアンチスキッド制御手段の制御開始基準を変更する。この場合、ブレーキセンサの異常時にブレーキ操作有りが検出できなくとも、アンチスキッド制御は低めのスリップ判定レベルにて開始される。そのため、同制御が早いタイミングで開始され、車輪ロックの発生が余裕を持って抑制される。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、ブレーキセンサの正常時で、
前記ブレーキ信号が出力されているとき、ブレーキセンサの異常時ともに第1の開始基準が選択される。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、異常情報記憶手段は、異常検出手段によりブレーキセンサの異常が判定された場合に、当該異常情報を記憶する。報知制御手段は、異常情報記憶手段に記憶された異常情報を所定の車両運転条件が成立したときに報知するべく、報知手段を制御する。この報知手段の制御により異常情報が運転者に報知される。この場合、センサ異常が検出されてもその異常情報が無条件に(直ちに)運転者に報知されるのではなく、所定の車両運転条件が成立した後に報知されるので、異常報知の際において運転者に与える混乱が回避される。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、報知制御手段の車両運転条件は、車両速度が所定速度以下であること、又は車両が非減速状態であることの少なくとも一方を含んでいる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、報知制御手段の車両運転条件は、エンジン始動時であることを含んでいる。請求項4、5でも、異常情報による運転者の混乱が回避される。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、トラクション制御手段は、加速スリップ発生時において、ポンプの供給圧により各車輪にブレーキ圧力を付与する。制御変更手段は、異常検出手段によりブレーキセンサの異常が判定された場合、トラクション制御手段によるブレーキ圧力制御を変更する。この場合、ブレーキセンサの異常時にブレーキ操作有りが検出できなくとも、所要のマスタシリンダ圧が各車輪のホイールシリンダにいち早く伝達され、適正なブレーキ動作が確保される。
【0018】
【実施例】
(第1比較例)
以下、この発明を前輪駆動式4輪自動車用のブレーキ圧力制御装置に具体化した第1比較例について、図面に従い説明する。
【0019】
図1は、本比較例におけるブレーキ圧力制御装置の概略を示す構成図である。図1に示すように、ブレーキペダル1には、同ペダル1の踏み込み力を倍力するためのバキューム式ブースタ(以下、V/Bという)2が接続され、同V/B2にはタンデム型のマスタシリンダ(以下、M/Cという)3が連結されている。M/C3に設けられた2系統の油圧経路4,5には、ブレーキアクチュエータ6が接続され、該ブレーキアクチュエータ6には油圧ポンプ7が付設されている。ブレーキアクチュエータ6は、少なくとも増圧状態と減圧状態とを切り替え可能な各種電磁弁を有する公知の油圧回路にて構成されている。ブレーキアクチュエータ6及び油圧ポンプ7は電子制御装置(以下、ECUという)20からの制御指令に応じて駆動される。そして、M/C3又は油圧ポンプ7にて供給されるブレーキ油は、ブレーキアクチュエータ6、油圧経路8,9を経て各車輪FL,FR,RL,RRのホイールシリンダ(以下、W/Cという)10FL,10FR,10RL,10RRに給送される。
【0020】
各車輪FL〜RRには、車輪の回転速度を検出する車輪速度センサ11FL,11FR,11RL,11RRがそれぞれ設けられている。これら車輪速度センサ11FL〜11RRとしては電磁ピックアップ式或いは光電変換式等のセンサが用いられる。各車輪速度センサ11FL〜11RRからの検出信号はECU20に入力され、ECU20は、各車輪の回転速度情報に基づいて車両制動時に発生した車輪ロックを抑制するABS制御(アンチスキッド制御)、及び車両加速時に発生した車輪の加速スリップを抑制するTRC制御(トラクション制御)を実行する。なお、このABS制御時には、図2に示すように前輪側のブレーキ圧力を後輪側のブレーキ圧力よりも大きくするようブレーキ圧力が配分され、車両の安定性確保が図られるようになっている。
【0021】
また、ECU20は、上記各車輪速度センサ11FL〜11RRからの検出信号以外に、ブレーキペダル1の操作の有無を検出するブレーキセンサ13や、図示しないアクセルペダルの操作量を検出するためのアクセルセンサ14等からの検出信号を受けて動作する。車両室内の図示しないインストルメントパネルには、ブレーキセンサ13の異常情報を運転者に報知するための警告ランプ15が設けられている。
【0022】
ECU20は、CPU,ROM,RAM等を中心に構成されたマイクロコンピュータからなり、各種センサの検出データや制御データを送受信する通信装置を備えている。本比較例では、ECU20によりブレーキ圧力制御手段、車輪速度差検出手段、異常検出手段、異常情報記憶手段及び報知制御手段が構成され、警告ランプ15により報知手段が構成されている。
【0023】
次に、本比較例における特有の作用・効果を、図3〜図6を用いて説明する。ここで、図3は、ECU20により所定周期(例えば、5ms毎)に実行されるセンサ異常検出ルーチンを示すフローチャートであり、図6は、ECU20により所定周期(例えば、20ms毎)に実行される異常警告ルーチンである。なお、図3のフローはブレーキセンサ13の断線等によるOFF異常を検出するものであり、同フローでは、F1=1,F2=1でセンサ異常を示すと共にF1=0,F2=0でセンサ正常を示す、異常判定フラグF1,F2を用いている。異常判定フラグF1,F2の状態は、異常情報としてイグニションキーのオン・オフにかかわらずECU20内のメモリに記憶保持される。
【0024】
さて、図3のルーチンをスタートすると、ECU20は、先ずステップ100で異常判定フラグF1,F2のいずれかが「1」であるか否かを判別し、これが肯定判別されれば直ちに本処理を終了する。また、ステップ100が否定判別されれば、ECU20はステップ101に進む。
【0025】
ECU20は、ステップ101で左右後輪RL,RRの平均車輪速度VRaveと左右前輪FL,FRの平均車輪速度VFaveとの差が所定の判定値εよりも大きいか否を判別すると共に、その状態が所定時間以上、継続したか否かを判別する。ここで、ステップ101が肯定判別されることは、ABS制御の実行により前輪側のブレーキ圧力が大きくなり、図4に示す如く後輪側の平均車輪速度VRaveに対して前輪側の平均車輪速度VFaveが判定値ε以上、低下したことを示す。図4では、時間t1でステップ101が肯定判別される。
【0026】
ステップ101が肯定判別されれば、ECU20はステップ102に進み、センサ異常検出条件が成立しているか否かを判別する。ここで、センサ異常検出条件とは、エンジンが減筒運転状態でないことや、パーキングブレーキ(図示しない)が作動していないことを含む。つまり、前輪駆動車では、減筒運転時において燃料カットによるエンジンブレーキが行われると、運転者によるブレーキ操作に関係なく前輪(駆動輪)の車輪速度が低下することがある。また、車両走行中にパーキングブレーキが作動すると、前輪側にパーキングブレーキによる制動力が働き、前輪速度の低下を招く。このような場合には、ブレーキセンサ13のオン・オフにかかわらず前後車輪の速度差が生じるためセンサ異常の検出を行わず、ステップ102を否定判別してそのままステップ106に進む。
【0027】
ステップ102が肯定判別されれば、ECU20はステップ103に進み、ブレーキセンサ13がオンされているか否かを判別する。この場合、ステップ103が肯定されれば、ECU20はステップ104で異常判定フラグF1を「0」をリセットし、後続のステップ106に進む。すなわち、ECU20は、ブレーキセンサ13が正常であると判定する。また、ステップ103が否定判別されれば、ECU20は、ブレーキセンサ13がOFF異常であるとみなし、ステップ105に進む。ECU20は、ステップ105で異常判定フラグF1に「1」にセットして、本処理を終了する。
【0028】
その後、ECU20は、ステップ106で車輪のスリップ率Sが所定のABS開始基準値SSよりも大きいか否かを判別すると共に、その状態が所定時間以上、継続したか否かを判別する。ここで、ステップ106が肯定判別されることは、ブレーキペダル1の踏み込み操作により、図5に示す如くいずれかの車輪の回転速度が車体速度に対して低下し、当該車輪のスリップ率SがABS制御の開始基準値SSに達したことを示す。図5では、時間t2でステップ106が肯定判別される。
【0029】
ステップ106が肯定判別された場合、ECU20は、続くステップ107でブレーキセンサ13がオンされているか否かを判別する。この場合、ステップ107が肯定判別されれば、ECU20はステップ108に進み、異常判定フラグF1を「0」にリセットして本処理を終了する。また、ステップ107が否定判別されれば、ECU20はステップ109に進み、異常判定フラグF2に「1」をセットして本処理を終了する。
【0030】
一方、図6のルーチンでは、ECU20は、ステップ200で異常判定フラグF1,F2のいずれかが「1」であるか否かを判別する。また、ECU20は、ステップ201で推定車体速度VT0が30km/h未満であるか否かを検出し、続くステップ202で車体加速度GT0が「0」よりも大きいか否か、すなわち車両が非減速状態であるか否かを判別する。
【0031】
そして、ステップ200〜202がいずれも肯定判別された場合、ECU20は、ステップ203に進み、警告ランプ15を点灯して運転者にセンサ異常情報を報知する。
【0032】
このように本比較例のブレーキ圧力制御装置では、ABS制御により生じる前後の車輪速度差を利用することにより、ブレーキセンサ13の異常を容易に検出することができる。この場合、エンジンの減筒運転時やパーキングブーキ作動時には、ブレーキセンサ13の異常検出を中止したため、センサ異常の誤検出を防止することができる。
【0033】
また、本比較例では、所定の車両運転条件(車両が低速域にあり且つ非減速状態にあること)が成立したときに、異常情報を運転者に報知するようにした。そのため、異常情報の報知により運転者が驚いたり混乱したりする可能性は少なく、適切なタイミングにて異常情報を運転者に報知することができる。
【0034】
一方で、本第1比較例のブレーキ圧力制御装置では、センサ異常時においてABS制御,TRC制御の制御方法を以下に示す如く変更する。すなわち、本制御装置では、図7に示すようにスリップ判定レベルの異なる2種類のABS制御開始基準が設定されている。つまり、図7において、第1の開始基準K1は、ブレーキ信号=オンの時のABS制御開始基準であり、同開始基準K1よりも高いスリップ判定レベルを有する第2の開始基準K2(車輪速度はK1側の方が大きいが、スリップ判定レベルはK1側の方が低い)は、ブレーキ信号=オフの時のABS制御開始基準である。
【0035】
そして、ECU20は、ブレーキ信号のオン・オフ状態に応じていずれかの開始基準を選択してABS制御を実施する。また、ブレーキセンサ13の異常が判定された場合には、ECU20は、ブレーキ信号のオン・オフに関係なく、ABS制御開始基準を常に第1の開始基準K1とする。この場合、ブレーキセンサ13の異常時にブレーキ操作有りが検出できなくとも、ABS制御は低めのスリップ判定レベルにて開始される。そのため、同制御が早いタイミングで開始され、車輪ロックの発生が余裕を持って抑制される。ここでは、ECU20によりアンチスキッド制御手段及び制御開始基準変更手段が構成されている。
【0036】
また、本ブレーキ圧力制御装置では、ブレーキセンサ13の異常が判定された場合、それ以降TRC制御が禁止される。この場合、ブレーキセンサ13の異常時にブレーキ操作有りが検出できなくとも、所要のマスタシリンダ圧が各車輪のW/C10FL〜10RRにいち早く伝達され、適正なブレーキ動作を確保することができる。ここでは、ECU20によりトラクション制御手段及び制御禁止手段が構成されている。
【0037】
(第1実施例)
次に、第1実施例におけるブレーキ圧力制御装置について、上記第1比較例との相違点を中心に説明する。なお、本実施例は、上記第1比較例と同様の装置を用いている。本第1実施例では、ECU20によりブレーキ圧力制御手段及び異常検出手段が構成されている。
【0038】
つまり、ECU20は、所定のABS制御条件(運転者によるブレーキ操作時における車輪速度の低下に伴うABS開始条件)の成立時において、車輪のブレーキ圧力を少なくとも減圧状態及び増圧状態のいずれかに制御し、車輪ロックを抑制する。また、ECU20は、ABS制御条件が所定回数成立するまでの間、ブレーキ操作有りを示すブレーキ信号が出力されていなければブレーキセンサ13に異常が発生したと判定する。
【0039】
この場合、ABS制御条件が成立することは、運転者によるブレーキ操作が行われた可能性が高く、この条件成立の回数(例えば1回〜10回)とブレーキ信号の有無からブレーキセンサ13の異常を容易に検出することができる。なお、条件成立の回数を多くすれば誤検出を防止することができる。
【0040】
(第2比較例)
次に、第2比較例におけるブレーキ圧力制御装置について説明する。なお、本比較例は、上記第1比較例と同様の装置を用いている。本第2比較例では、ECU20によりブレーキ圧力制御手段、従動輪速度検出手段及び異常検出手段が構成されている。
【0041】
つまり、ECU20は、従動輪RL,RR側の車輪速度センサ11RL,11RRの検出結果から従動輪速度を検出する。そして、ECU20は、TRC制御中における従動輪速度の低下量が所定値を超えた際に、ブレーキ操作有りを示すブレーキ信号が出力されていなければブレーキセンサ13に異常が発生したと判定する。要するに、TRC制御の実行時は通常、加速スリップ発生時に相当し、この時に従動輪速度が低下することは運転者によるブレーキ操作が行われた可能性が高い。従って、上記従動輪速度の低下量からブレーキセンサ13の異常を容易に検出することができる。
【0042】
(第3比較例)
次に、第3比較例におけるブレーキ圧力制御装置について説明する。なお、本比較例は、上記第1比較例と同様の装置を用いている。本第3比較例では、ECU20により計測手段及び異常検出手段が構成されている。
【0043】
つまり、ECU20は、車両のイグニションキーのオン後における車両走行距離又は最高車速を計測する。そして、ECU20は、前記車両走行距離又は最高車速が所定値に達した際において、それまでにブレーキ操作有りを示すブレーキ信号が一度も出力されていなければブレーキセンサ13に異常が発生したと判定する。要するに、実際の車両走行時において車両走行距離が所定値(例えば、5km)に達した際、又は最高速度が所定速度(例えば、60km/h)に達した際、それまでに運転者によるブレーキ操作が全く行われなかったという可能性は非常に低い。従って、上記方法からブレーキセンサ13の異常を容易に検出することができる。
【0044】
なお、上記各例の他に次の様態にて具体化することもできる。
【0045】
(1)上記第1比較例では、車両が低速域であり且つ加速状態であれば車両運転条件が成立したとして異常情報を運転者に警告したが(図6の処理)、これを変更してもよい。例えば、エンジン始動時であることを車両運転条件とし、車両始動時におけるイグニションキーのオン動作に従い異常情報を運転者に警告するようにしてもよい。
【0046】
(2)上記比較例では、報知手段を警告ランプ15にて構成したが、これをブザーやメッセージ表示装置等、他の手段に変更してもよい。
【0047】
(3)上記比較例では、センサ異常時にそれ以降のTRC制御を禁止する旨を記載したが、これをセンサ異常時にTRC制御パターンを変更するようにしてもよい。
【0048】
すなわち、TRC制御中にブレーキ信号=オンとなった場合、及びセンサ異常が判定された場合において、TRC制御時にM/C3から各車輪のW/C10FL〜10RRへの余剰なブレーキ油の流入が防止されるよう、TRC制御パターンが変更される。つまり、TRC制御時には、ブレーキアクチュエータ6を介して油圧ポンプ7から駆動輪FL,FR側のW/C10FL,10FRに多量のブレーキ油が供給されている。そのため、前記状態で運転者によるブレーキ操作に伴うブレーキ動作が行われると、TRC制御時に使用したブレーキ油の排出とM/C3からの新たなブレーキ油の供給とにより、ペダルボトミング(ブレーキペダル1の底付き)等の諸問題が生じる。
【0049】
これに対して、本構成では、例えば油圧ポンプ7の供給圧を常にM/C3の供給圧以上としてM/C3からW/C10FL〜10RRへの余剰なブレーキ油の流入を防止して上記問題を解消している。また、本構成では、センサ異常の検出時に上記の制御変更を実施するため、ブレーキセンサ13の異常時にブレーキ操作有りが検出できなくとも、上記諸問題が回避できる。さらに、TRC制御から通常のブレーキ動作(ABS制御を含む)への移行も適切に実施できる。
【0050】
【発明の効果】
請求項1、2に記載の発明によれば、ブレーキ圧力制御条件の成立回数とブレーキ信号の有無からブレーキセンサの異常を容易に検出することができる。また、ブレーキセンサの異常発生にも適切なブレーキ圧力制御を実施することができる。
【0051】
請求項3に記載の発明によれば、適切なタイミングにて異常情報を運転者に報知することができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 比較例における車両用制動制御装置の構成図。
【図2】 ブレーキ圧力の前後配分を示す線図。
【図3】 センサ異常検出ルーチンを示すフローチャート。
【図4】 前輪速度と後輪速度との変化を示すタイムチャート。
【図5】 車体速度と車輪速度との変化を示すタイムチャート。
【図6】 異常警告ルーチンを示すフローチャート。
【図7】 ABS制御の開始基準を示すタイムチャート。
【符号の説明】
3…マスタシリンダ(M/C)、7…油圧ポンプ、10FL〜10RR…ホイールシリンダ(W/C)、13…ブレーキセンサ、15…報知手段としての警告ランプ、20…ブレーキ圧力制御手段,車輪速度差検出手段,異常検出手段,従動輪速度検出手段,計測手段,アンチスキッド制御手段,制御開始基準変更手段,トラクション制御手段,制御禁止手段,異常情報記憶手段,報知制御手段としての電子制御装置(ECU)。
Claims (6)
- 運転者によるブレーキ操作の有無を検出し、その旨を示すブレーキ信号を出力するブレーキセンサと、
所定の制御条件成立時において、運転者によるブレーキ操作に伴う車輪ロックを解消するべく、車輪のブレーキ圧力を少なくとも減圧状態及び増圧状態のいずれかに制御するブレーキ圧力制御手段と、
前記ブレーキ圧力制御手段の制御条件が所定回数成立するまでの間、前記ブレーキ操作有りを示すブレーキ信号が出力されていなければ前記ブレーキセンサに異常が発生したと判定する異常検出手段と、
スリップ判定レベルが異なる複数の制御開始基準を有するアンチスキッド制御手段と、
前記異常検出手段によりブレーキセンサの異常が判定された場合には、前記スリップ判定レベルが低くなるように前記制御開始基準を変更する制御開始基準変更手段とを備えたことを特徴とする車両用ブレーキ圧力制御装置。 - 前記ブレーキセンサの正常時には、
前記ブレーキ信号が出力されていると、前記制御開始基準として第1の開始基準を選択し、前記ブレーキ信号が出力されていないと、前記制御開始基準として前記第1の開始基準よりスリップ判定レベルの高い第2の開始基準を選択するとともに、
前記ブレーキセンサの異常時には、
前記制御開始基準として第1の開始基準を選択する請求項1に記載の車両用ブレーキ圧力制御装置。 - 前記異常検出手段によりブレーキセンサの異常が判定された場合に、当該異常情報を記憶する異常情報記憶手段と、
前記異常情報を運転者に報知するための報知手段と、
前記異常情報記憶手段に記憶された異常情報を所定の車両運転条件が成立したときに報知するべく、前記報知手段を制御する報知制御手段とを備えた請求項1〜2のいずれかに記載の車両用ブレーキ圧力制御装置。 - 前記報知制御手段の所定の車両運転条件は、車両速度が所定速度以下であること、又は車両が非減速状態であることの少なくとも一方を含む請求項3に記載の車両用ブレーキ圧力制御装置。
- 前記報知制御手段の所定の車両運転条件は、エンジン始動時であることを含む請求項4に記載の車両用ブレーキ圧力制御装置。
- 加速スリップ発生時において、ポンプの供給圧により各車輪にブレーキ液圧を付与するトラクション制御手段と、
前記異常検出手段によりブレーキセンサの異常が判定された場合、前記トラクション制御手段によるブレーキ圧力制御を変更する制御変更手段とを有する請求項1〜5のいずれかに記載の車両用ブレーキ圧力制御装置。
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