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JP4100861B2 - リチウム電池 - Google Patents
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JP4100861B2 - リチウム電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電池容器内に、正極と、負極と、正極と負極とを分離するセパレータと、非水電解液とを備えたリチウム電池に係り、リチウム電池をリフロー炉に入れて自動ハンダ付けを行う場合のように、リチウム電池を高温環境条件に曝した場合においても、その放電容量が低下するのを防止するようにした点に特徴を有するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、高出力,高エネルギー密度の新型電池の1つとして、非水電解液を用いて、リチウムの酸化,還元を利用した高起電力のリチウム電池が利用されるようになり、またこのようなリチウム電池は、上記のように非水電解液を用いるため、正極や負極が保存中に反応して水素や酸素を発生することが少ないとして、メモリーバックアップ用等の緊急時用の電源として用いられるようになった。
【0003】
ここで、このようなリチウム電池としては、電池容器内に、正極と、負極と、正極と負極とを分離するセパレータと、非水電解液とを設けたものが一般に用いられている。
【0004】
そして、このようなリチウム電池を、メモリーバックアップ用等の緊急時用の電源として使用するにあたり、このリチウム電池をリフロー炉に入れて、このリチウム電池におけるリード端子をプリント基板に自動ハンダ付けすることが試みられている。
【0005】
ここで、このようにリチウム電池をリフロー炉に入れて、このリチウム電池におけるリード端子をプリント基板に自動ハンダ付けする場合、リチウム電池がリフロー炉内において高温に曝され、通常、250℃の高温条件で10秒間程度放置されることになる。
【0006】
しかし、このようにリチウム電池が250℃の高温条件で10秒間程度放置されると、このリチウム電池の電池容器内における非水電解液が気化して、電池の内圧が上昇したり、電池容器内において主に非水電解液と正極とが反応し、これによってリチウム電池の放電容量が著しく低下するという問題が生じた。
【0007】
このため、近年においては、特開2000−40525号公報に示されるように、非水電解液の溶媒に沸点の高いスルホランを用い、リフロー炉内に入れて自動ハンダ付けする場合に、非水電解液が気化して電池の内圧が上昇するのを防止することが提案されている。
【0008】
しかし、非水電解液の溶媒に沸点の高いスルホランを用いた場合においても、高温下において非水電解液と正極等とが反応するのを抑制することができず、依然として、リチウム電池の放電容量が大きく低下するという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、電池容器内に、正極と、負極と、正極と負極とを分離するセパレータと、非水電解液とを備えたリチウム電池における上記のような問題を解決することを課題とするものであり、リチウム電池をリフロー炉に入れて自動ハンダ付けする場合のように、リチウム電池を高温環境条件に曝した場合において、電池の内圧が上昇したり、非水電解液と正極とが反応したりするのを抑制して、放電容量が低下するのを防止することを課題とするのものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明においては、上記のような課題を解決するため、電池容器内に、正極と、負極と、正極と負極とを分離するセパレータと、非水電解液とを備えたリチウム電池において、上記正極とセパレータとの間に、融点が100〜210℃の範囲でかつ融解熱が16cal/g以上である吸熱剤のうち、2,3−ジメチルナフタレン、2,6−ジメチルナフタレン、フルオレン、ヘキサメチルベンゼン、ポリフッ化ビニル、硝酸銀からなるグループから選択される少なくとも1種を添加させるようにしたものである。
【0011】
そして、この発明におけるリチウム電池のように、正極とセパレータとの間に、融点が100〜210℃の範囲でかつ融解熱が16cal/g以上でセパレータと異なる材料からなる吸熱剤を添加させると、リチウム電池をリフロー炉に入れて自動ハンダ付けする場合のように、高温環境条件に曝した場合に、正極とセパレータとの間に添加した上記の吸熱剤が熱を奪って溶融し、リチウム電池の温度が上昇するのが抑制され、非水電解液が気化して電池の内圧が上昇したり、電池容器内において非水電解液と正極とが反応したりするのが抑制されて、リチウム電池の放電容量が低下するのが防止される。
【0012】
ここで、吸熱剤として、上記のように融点が100〜210℃の範囲のものを用いるようにしたのは、融点が100℃以下の吸熱剤では、保存時に吸熱剤の一部が非水電解液に溶解してしまい、高温環境条件に曝した場合に、リチウム電池の温度が上昇するのを十分に抑制することができなくなる一方、融点が210℃以上の吸熱剤では、リチウム電池をリフロー炉に入れて自動ハンダ付けする場合に、この吸熱剤が溶融しにくく、リチウム電池の温度が上昇するのを十分に抑制することができなくなるためである。
【0013】
また、吸熱剤として、上記のように融解熱が16cal/g以上のものを用いるようにしたのは、融解熱が低いと、この吸熱剤が溶融する際に奪う熱量が少なくなって、リチウム電池の温度が上昇するのを十分に抑制することができなくなるためである。
【0015】
また、このような吸熱剤を正極とセパレータとの間に添加させるにあたり、その量が少ないと、リチウム電池を高温環境条件に曝した場合に、リチウム電池の温度が上昇するのを十分に抑制することができなくなる一方、その量が多くなり過ぎると、電池容器内における電極材料等の量が減少するため、リチウム電池全体に対して0.02〜3質量%の範囲で添加させることが好ましい。
【0017】
なお、この発明におけるリチウム二次電池は、上記のように吸熱剤を正極とセパレータとの間に添加させることを特徴とするものであり、非水電解液に使用する溶媒や溶質の種類、また正極や負極に使用する材料等については特に限定されず、リチウム電池において従来より一般に使用されているものを用いることができる。
【0018】
ここで、非水電解液に用いる溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の溶媒を単独若しくは2種以上混合させて使用することができる。
【0019】
また、非水電解液に用いる溶質としては、例えば、LiPF6 、LiBF4 、LiAsF6 、LiSbF6 、LiBiF4 、LiAlF4 、LiGaF4 、LiInF4 、LiClO4 、LiCF3 SO3 、LiN(CF3 SO2 2 、LiN(C2 5 SO2 2 、LiC(CF3 SO2 3 等のリチウム化合物を使用することができ、リチウム二次電池のサイクル特性をより向上させるため、好ましくは、LiPF6 、LiBF4 、LiCF3 SO3 、LiN(CF3 SO2 2 、LiN(C2 5 SO2 2 、LiC(CF3 SO2 3 を用いるようにし、より好ましくは、LiCF3 SO3 、LiN(CF3 SO2 2 、LiN(C2 5 SO2 2 、LiC(CF3 SO2 3 を用いるようにする。
【0020】
また、この発明のリチウム電池において、その正極を構成する正極材料としては、例えば、二酸化マンガン、五酸化バナジウム、酸化ニオビウム、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、スピネルマンガン等を使用することができ、特に、ホウ素又はホウ素化合物を固溶させたホウ素含有リチウム−マンガン複合酸化物を用いると、優れた充放電サイクル特性を示すリチウム電池が得られるようになる。
【0021】
また、この発明のリチウム電池において、その負極を構成する負極材料としては、例えば、金属リチウム、Li−Al,Li−In,Li−Sn,Li−Pb,Li−Bi,Li−Ga,Li−Sr,Li−Si,Li−Zn,Li−Cd,Li−Ca,Li−Ba等のリチウム合金、リチウムイオンの吸蔵,放出が可能な黒鉛,コークス,有機物焼成体等の炭素材料等を使用することができ、特に、Li−Al合金を用いると、負極上に優れたイオン伝導率を示す被膜が形成されて、優れた放電特性を示すリチウム電池が得られるようになる。
【0022】
【実施例】
以下、この発明に係るリチウム電池について実施例をあげて具体的に説明すると共に、この実施例におけるリチウム電池においては、高温環境条件に曝した場合においても、その放電容量が低下するのが防止されることを比較例をあげて明らかにする。なお、この発明に係るリチウム電池は下記の実施例に示したものに限定されるものでなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0023】
実施例1〜6、参考例1〜11
実施例1〜6、参考例1〜11においては、正極及び負極を下記のようにして作製すると共に、非水電解液を下記のようにして調製し、図1に示すような扁平なコイン型のリチウム二次電池を作製した。
【0024】
[正極の作製]
正極を作製するにあたっては、水酸化リチウムLiOHと酸化ホウ素B2 3 と二酸化マンガンMnO2 とを、Li:B:Mnの原子比が0.53:0.06:1.00の割合になるように混合し、この混合物を空気中において375℃で20時間熱処理し、その後、これを粉砕して正極活物質として用いるホウ素含有リチウム−マンガン複合酸化物の粉末を得た。
【0025】
そして、このホウ素含有リチウム−マンガン複合酸化物の粉末と、導電剤のカーボンブラック粉末と、結着剤のフッ素樹脂粉末とを85:10:5の重量比になるように混合して正極合剤を得た。
【0026】
次いで、この正極合剤を円板状に鋳型成型し、これを真空中において250℃で2時間乾燥させて正極を得た。
【0027】
[負極の作製]
負極を作製するにあたっては、リチウム−アルミニウム(Li−Al)合金を円板状に打ち抜いて負極を得た。
【0028】
[非水電解液の調製]
プロピレンカーボネート(PC)と1,2−ジメトキシエタン(DME)とを1:1の体積比で混合させた混合溶媒に、溶質としてリチウムトリフルオロメタンスルホン酸イミドLiN(CF3 SO2 2 を1モル/リットルの濃度になるように溶解させて非水電解液を調製した。
【0029】
[電池の作製]
電池を作製するにあたっては、図1に示すように、上記の正極1をステンレス鋼板(SUS316)からなる正極集電体5に取り付ける一方、上記の負極2をステンレス鋼板(SUS304)からなる負極集電体6に取り付け、ポリプロピレン製の微多孔膜からなるセパレータ3に上記の非水電解液を含浸させ、このセパレータ3を上記の正極1と負極2との間に介在させると共に、この実施例1〜6、参考例1〜11においては、上記のセパレータ3と正極1との間にそれぞれ異なった種類の吸熱剤を添加した。
【0030】
そして、これらを正極缶4aと負極缶4bとで構成される電池容器4内に収容させ、正極集電体5を介して正極1を正極缶4aに接続させる一方、負極集電体6を介して負極2を負極缶4bに接続させ、この正極缶4aと負極缶4bとを絶縁パッキン7によって電気的に絶縁させて、外径が24mm、厚さが3mm、総重量が4.0gになったリチウム二次電池を作製した。なお、このリチウム二次電池を充放電する前の内部抵抗は約10Ωであった。
【0031】
ここで、上記のようにセパレータ3と正極1との間に吸熱剤を添加させるにあたっては、下記の表1に示すように、実施例1では融点104℃,融解熱38cal/gの2,3−ジメチルナフタレンを、実施例2では融点110℃,融解熱38cal/gの2,6−ジメチルナフタレンを、参考例1では融点129℃,融解熱16cal/gのp−ジヨードベンゼンを、参考例2では融点100℃,融解熱32cal/gのα−α’−ジクロロ−p−キシレンを、参考例3では融点174℃,融解熱18cal/gのビシクロオクタンを、参考例4では融点121℃,融解熱22cal/gの4−メチルヘプタンを、実施例3では融点114℃,融解熱28cal/gのフルオレンを、参考例5では融点151℃,融解熱20cal/gのピレンを、参考例6では融点107℃,融解熱22cal/gのフルオランテンを、参考例7では融点161℃,融解熱22cal/gの1,2−ベンズアントラセンを、参考例8では融点181℃,融解熱16cal/gの3,4−ベンゾピレンを、参考例9では融点162℃,融解熱18cal/gのo−フィニレンピレンを、実施例4では融点164℃,融解熱30cal/gのヘキサメチルベンゼンを、実施例5では融点197℃,融解熱39cal/gのポリフッ化ビニルを、実施例6では融点210℃,融解熱16cal/gの硝酸銀を、参考例10では融点179℃,融解熱23cal/gのチオシアン酸カリウムを、参考例11では融点180℃,融解熱101cal/gのリチウムを、それぞれリチウム二次電池の総重量4.0gの1質量%にあたる0.04g添加させるようにした。
【0032】
(比較例1)
比較例1においては、上記の実施例1〜6、参考例1〜11における電池の作製において、吸熱剤を添加させないようにし、それ以外は、上記の実施例1〜6、参考例1〜11の場合と同様にして、リチウム二次電池を作製した。なお、このリチウム二次電池も充放電する前の内部抵抗が約10Ωであった。
【0033】
(比較例2)
比較例2においては、上記の実施例1〜6、参考例1〜11における非水電解液の調製において、溶媒にスルホラン(SL)を用いると共に、電池の作製において、吸熱剤を添加させないようにし、それ以外は、上記の実施例1〜6、参考例1〜11の場合と同様にして、リチウム二次電池を作製した。なお、このリチウム二次電池も充放電する前の内部抵抗が約10Ωであった
【0034】
(比較例3〜10)
比較例3〜10においては、上記の実施例1〜6、参考例1〜11における電池の作製において、セパレータ3と正極1との間に添加させる吸熱剤として、融点が100〜210℃の範囲でかつ融解熱が16cal/g以上という条件を満たさないものを用い、下記の表1に示すように、比較例3では融点181℃,融解熱15cal/gの1,2−ベンゾピレンを、比較例4では融点100℃,融解熱15cal/gの2,2,3,3−テトラメチルブタンを、比較例5では融点125℃,融解熱9cal/gのヨードホルムを、比較例6では融点74℃,融解熱45cal/gのポリイソプレンを、比較例7では融点239℃,融解熱19cal/gのポリスチレンを、比較例8では融点66℃,融解熱45cal/gのポリエチレンオキシドを、比較例9では融点317℃,融解熱23cal/gのポリアクリロニトリルを、比較例10では融点156℃,融解熱6cal/gのインジウムを、それぞれリチウム二次電池の総重量4.0gの1質量%にあたる0.04g添加させるようにした。
【0035】
そして、それ以外は、上記の実施例1〜6、参考例1〜11の場合と同様にして、比較例3〜10の各リチウム二次電池を作製した。なお、この各リチウム二次電池も充放電する前の内部抵抗が約10Ωであった。
【0036】
次に、上記のようにして作製した実施例1〜6、参考例1〜11及び比較例1〜10の各リチウム二次電池について、それぞれリフロー炉において加熱する前のものと、リフロー炉において250℃で10秒間加熱させた後のものとを用意し、それぞれ放電電流10mAで放電終止電圧2.0Vまで放電して、リフロー炉において加熱する前の放電容量Qoと、250℃で10秒間加熱させた後の放電容量Qaとを測定し、リフロー炉において加熱する前の放電容量Qoに対する加熱後の放電容量Qaの比率(容量残存率)(Qa/Qo)×100(%)を求め、その結果を下記の表1に示した。
【0037】
【表1】
【0038】
この結果から明らかなように、セパレータ3と正極1との間に融点が100〜210℃の範囲で、融解熱が16cal/g以上の吸熱剤を、リチウム二次電池の総重量4.0gに対して1質量%添加させた実施例1〜6、参考例1〜11の各リチウム二次電池は、吸熱剤を添加させていない比較例1,2の各リチウム二次電池や、融点が100〜210℃の範囲、融解熱が16cal/g以上の条件を満たさない吸熱剤を、リチウム二次電池の総重量4.0gに対して1質量%添加させた比較例3〜10の各リチウム二次電池に比べて、容量残存率が向上していた。
【0039】
また、実施例1〜6、参考例1〜11のリチウム二次電池を比較した場合、吸熱剤に、2,3−ジメチルナフタレンを用いた実施例1のリチウム二次電池、2,6−ジメチルナフタレンを用いた実施例2のリチウム二次電池、フルオレンを用いた実施例3のリチウム二次電池、ヘキサメチルベンゼンを用いた実施例4のリチウム二次電池、ポリフッ化ビニルを用いた実施例5のリチウム二次電池、硝酸銀を用いた実施例6のリチウム二次電池においては、容量残存率が70%以上の高い値になっており、特に、上記の実施例1,2,5,6の各リチウム二次電池においては、容量残存率が75%以上の高い値になっていた。
【0040】
(実施例A1〜A6)
実施例A1〜A6においては、上記の実施例1〜6、参考例1〜11における電池の作製において、上記の実施例1の場合と同様に、セパレータ3と正極1との間に吸熱剤として2,3−ジメチルナフタレンを添加させるようにし、この2,3−ジメチルナフタレンの添加量を、リチウム二次電池の総重量の4.0gに対して、下記の表2に示すように、実施例A1では0.02質量%、実施例A2では0.1質量%、実施例A3では0.5質量%、実施例A4では2質量%、実施例A5では3質量%、実施例A6では5質量%とした。
【0041】
そして、それ以外は、上記の実施例1〜6、参考例1〜11の場合と同様にして、実施例A1〜A6の各リチウム二次電池を作製した。なお、この各リチウム二次電池も充放電する前の内部抵抗が約10Ωであった。
【0042】
次に、このようにして作製した実施例A1〜A6の各リチウム二次電池についても、上記の実施例1〜6、参考例1〜11及び比較例1〜10の場合と同様にして、リフロー炉において加熱する前の放電容量Qoと、リフロー炉において250℃で10秒間加熱させた後の放電容量Qaとを測定して、容量残存率(Qa/Qo)×100(%)を求め、その結果を上記の実施例1の結果と合わせて下記の表2に示した。
【0043】
【表2】
【0044】
この結果から明らかなように、リチウム二次電池の総重量に対して、吸熱剤の2,3−ジメチルナフタレンを添加させる量が0.02質量%以上になると、容量残存率が70%以上の高い値を示しており、さらにその添加量が0.5質量%以上になると、容量残存率が90%以上の非常に高い値を示した。なお、添加量が3質量%及び5質量%の実施例A5,A6のものにおいては、何れも容量残存率が98%であり、添加量を3質量%より多くしても容量残存率は殆ど変化しなかった。この場合、吸熱剤を多く添加させると、相対的に電池容器内における電極材料等の量が減少するため、吸熱剤の添加量を3質量%以下にすることが好ましい。
【0045】
(実施例B1〜B5)
実施例B1〜B5においては、上記の実施例1〜6、参考例1〜11における非水電解液の調製において、非水電解液に用いる溶質の種類を変更させ、下記の表3に示すように、実施例B1においてはヘキサフルオロリン酸リチウムLiPF6 を、実施例B2においてはテトラフルオロホウ酸リチウムLiBF4 を、実施例B3においてはトリフルオロメタンスルホン酸リチウムLiCF3 SO3 を、実施例B4においてはリチウムペンタフルオロエタンスルホン酸イミドLiN(C2 5 SO2 2 を、実施例B5においてはリチウムトリフルオロメタンスルホン酸メチドLiC(CF3 SO2 3 を用いた。
【0046】
そして、上記の溶質を、プロピレンカーボネート(PC)と1,2−ジメトキシエタン(DME)とを1:1の体積比で混合させた混合溶媒にそれぞれ1モル/リットルの濃度になるように溶解させて各非水電解液を調製した。
【0047】
そして、上記のように調製した各非水電解液を用いる以外は、上記の実施例1の場合と同様に、セパレータ3と正極1との間に吸熱剤として2,3−ジメチルナフタレンをリチウム二次電池の総重量に対して1質量%添加させて、実施例B1〜B5の各リチウム二次電池を作製した。なお、この各リチウム二次電池も充放電する前の内部抵抗が約10Ωであった。
【0048】
次に、このようにして作製した実施例B1〜B5の各リチウム二次電池についても、上記の実施例1〜6、参考例1〜11及び比較例1〜10の場合と同様にして、リフロー炉において加熱する前の放電容量Qoと、リフロー炉において250℃で10秒間加熱させた後の放電容量Qaとを測定して、容量残存率(Qa/Qo)×100(%)を求め、その結果を上記の実施例1の結果と合わせて下記の表3に示した。
【0049】
【表3】
【0050】
この結果から明らかなように、非水電解液の溶質として、LiPF6 、LiBF4 、LiCF3 SO3 、LiN(CF3 SO2 2 、LiN(C2 5 SO2 2 、LiC(CF3 SO2 3 の何れを用いた場合においても、容量残存率が80%以上の高い値を示しており、特に、LiCF3 SO3 、LiN(CF3 SO2 2 、LiN(C2 5 SO2 2 、LiC(CF3 SO2 3 を用いた実施例1,B3〜B5のリチウム二次電池においては、容量残存率が90%以上の非常に高い値を示した。
【0051】
(実施例C1〜C12)
実施例C1〜C12においては、上記の実施例1〜6、参考例1〜11における非水電解液の調製において、非水電解液に用いる溶媒の種類を変更させ、下記の表4に示すように、実施例C1においてはエチレンカーボネート(EC)と1,2−ジメトキシエタン(DME)とを1:1の体積比で混合させた混合溶媒を、実施例C2においては1,2−ブチレンカーボネート(BC)と1,2−ジメトキシエタン(DME)とを1:1の体積比で混合させた混合溶媒を、実施例C3においてはビニレンカーボネート(VC)と1,2−ジメトキシエタン(DME)とを1:1の体積比で混合させた混合溶媒を、実施例C4においてはγ−ブチロラクトン(γ−BL)と1,2−ジメトキシエタン(DME)とを1:1の体積比で混合させた混合溶媒を、実施例C5においてはスルホラン(SL)と1,2−ジメトキシエタン(DME)とを1:1の体積比で混合させた混合溶媒を、実施例C6においてはプロピレンカーボネート(PC)と1,2−ジエトキシエタン(DEE)とを1:1の体積比で混合させた混合溶媒を、実施例C7においてはプロピレンカーボネート(PC)と1,2−エトキシメトキシエタン(EME)とを1:1の体積比で混合させた混合溶媒を、実施例C8においてはプロピレンカーボネート(PC)とテトラヒドロフラン(THF)とを1:1の体積比で混合させた混合溶媒を、実施例C9においてはプロピレンカーボネート(PC)と1,3−ジオキソラン(DOXL)とを1:1の体積比で混合させた混合溶媒を、実施例C10においてはプロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)とを1:1の体積比で混合させた混合溶媒を、実施例C11においてはプロピレンカーボネート(PC)とジエチルカーボネート(DEC)とを1:1の体積比で混合させた混合溶媒を、実施例C12においてはプロピレンカーボネート(PC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを1:1の体積比で混合させた混合溶媒を用いた。
【0052】
そして、上記のような各混合溶媒に溶質としてリチウムトリフルオロメタンスルホン酸イミドLiN(CF3 SO2 2 を1モル/リットルの濃度になるように溶解させて各非水電解液を調製した。
【0053】
そして、上記のように調製した各非水電解液を用いる以外は、上記の実施例1の場合と同様に、セパレータ3と正極1との間に吸熱剤として2,3−ジメチルナフタレンをリチウム二次電池の総重量に対して1質量%添加させて、実施例C1〜C11の各リチウム二次電池を作製した。なお、この各リチウム二次電池も充放電する前の内部抵抗が約10Ωであった。
【0054】
次に、このようにして作製した実施例C1〜C12の各リチウム二次電池についても、上記の実施例1〜6、参考例1〜11及び比較例1〜10の場合と同様にして、リフロー炉において加熱する前の放電容量Qoと、リフロー炉において250℃で10秒間加熱させた後の放電容量Qaとを測定して、容量残存率(Qa/Qo)×100(%)を求め、その結果を上記の実施例1の結果と合わせて下記の表4に示した。
【0055】
【表4】
【0056】
この結果から明らかなように、非水電解液の溶媒に上記のような各混合溶媒を用いた場合においても、容量残存率が73%以上の高い値を示していた。
【0057】
また、非水電解液の溶媒に、PCとDME、ECとDME、BCとDME、VCとDME、γ−BLとDME、SLとDME、PCとDEE、PCとEME、PCとTHF、PCとDOXLの各混合溶媒を用いた実施例1,C1〜C9のリチウム二次電池においては、容量残存率が80%以上の高い値を示し、特に、PCとDME、ECとDME、BCとDME、PCとDEE、PCとEMEの各混合溶媒を用いた実施例1,C1,C2,C6,C7のリチウム二次電池においては、容量残存率が90%以上の非常に高い値を示した。
【0058】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明におけるリチウム電池においては、正極とセパレータとの間に、融点が100〜210℃の範囲でかつ融解熱が16cal/g以上である吸熱剤のうち、2,3−ジメチルナフタレン、2,6−ジメチルナフタレン、フルオレン、ヘキサメチルベンゼン、ポリフッ化ビニル、硝酸銀からなるグループから選択される少なくとも1種を添加させるようにしたため、このリチウム電池をリフロー炉に入れて自動ハンダ付けする場合等のように、高温環境条件に曝した場合に、この電池容器内における上記の吸熱剤が熱を奪って溶融し、リチウム電池の温度が上昇するのが抑制されるようになった。
【0059】
この結果、この発明におけるリチウム電池においては、リフロー炉に入れて自動ハンダ付けする場合においても、非水電解液が気化して電池の内圧が上昇したり、電池容器内において非水電解液と正極とが反応したりするのが抑制されて、リチウム電池の放電容量が低下するのが防止された。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例及び比較例において作製したリチウム二次電池の内部構造を示した断面説明図である。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 電池容器

Claims (2)

  1. 電池容器内に、正極と、負極と、正極と負極とを分離するセパレータと、非水電解液とを備えたリチウム電池において、上記正極とセパレータとの間に、融点が100〜210℃の範囲でかつ融解熱が16cal/g以上である吸熱剤のうち、2,3−ジメチルナフタレン、2,6−ジメチルナフタレン、フルオレン、ヘキサメチルベンゼン、ポリフッ化ビニル、硝酸銀からなるグループから選択される少なくとも1種を添加させたことを特徴とするリチウム電池。
  2. 請求項1に記載のリチウム電池において、リチウム電池全体に対する上記の吸熱剤の割合が0.02〜3質量%の範囲であることを特徴とするリチウム電池。
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