JP4101430B2 - 電荷輸送性高分子材料の精製法及び電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は複写機、プリンター、ファクシミリ等に使用される電子写真感光体用の電荷輸送性高分子材料、特に電荷輸送層に使用される電荷輸送性高分子材料や有機EL素子等の有機電子デバイスに使用される電荷輸送性材料を精製する方法、及び、それらの方法によって精製処理された電荷輸送性高分子材料を含有する電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機感光体(OPC)が複写機、プリンターに多く使用されている。有機感光体の代表的な構成例として、導電性基板上に電荷発生層(CGL)、電荷輸送層(CTL)を順次積層した積層感光体が挙げられる。電荷輸送層は低分子電荷輸送材料(CTM)とバインダー樹脂より形成される。しかしながら、低分子電荷輸送材料の含有により、バインダー樹脂が本来有する機械的強度を低下させ、このことが感光体の摩耗性、傷、クラック等の原因となり、感光体の耐久性を損うものとなっている。そこで前述の積層型感光体の欠点を改良すべく、電荷輸送能を有する高分子材料(電荷輸送性高分子材料)に関する検討がなされている。しかしながら電荷輸送性高分子材料は低分子分散型高分子に比べて不純物の影響を受けやすく電子写真感光体の電気特性を初期から長時間使用後まで安定させるために高純度の材料が要求されている。これまでモノマー原料の高純度化や重合過程に使用する薬品類の高純度化や重合後の溶媒洗浄やアルカリ洗浄や酸洗浄や純水による洗浄等が行われている。また、良溶媒に溶解させた液を貧溶媒に注入する再沈殿を繰り返す手法も知られている。しかしながら、低分子材料に比べて高分子化された後の精製は一般に困難であり、安定した特性の精製樹脂が得られにくく、感光体に使用した場合に電子写真特性を満足できない場合がしばしば生じることがあり、実用化の大きな障害となっていた。
【0003】
従来の技術としては、電荷輸送性樹脂を再沈殿により精製することを特徴とする方法が知られている。(特開平9−59365号公報参照)この方法によって低分子量成分は除去できるが、残留電位が発生するような樹脂からこの方法でその発生源となる不純物を完全に除去することは困難である。
【0004】
また、有機電子デバイス用樹脂を溶解可能な溶剤に溶解させ、酸性物質または塩基性物質と接触させて精製する方法も知られている。(特開平9−59389号公報参照)この内容は、樹脂中の不純物を酸性物質または塩基性物質と接触させることで除去し、その後、使用した酸性物質又は塩基性物質を水洗によって除くものである。しかしながら、水洗に関してはどの程度まで行うのか具体的な記載はない。また、実施例に記載の方法で有機相と水相を静置分離する場合は長大な時間を要したり、完全には分離困難であったりし、製造上の問題を抱えている。
【0005】
さらに、電荷輸送性樹脂において、該電荷輸送性樹脂を有機溶剤に溶解させ、その溶液から水溶性成分を蒸留水にて抽出したときの抽出液のpHが該蒸留水のpHと0.5との和以下であるとする方法も知られている。(特開平10−133405号公報参照)しかしながら、酸性成分を水洗によって除くことは特性の安定化に効果があるもののそれだけでは完全な特性安定化が達成されない。中性成分のイオン種でも電気特性には影響を与える。また、本文中に電気伝導度の記載が有り、実施例として2.3〜4.01μS/cmの値が記されている。しかしながら、この程度の電導度では電荷輸送性樹脂の特性向上において不十分であることがわかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような状況に鑑み、安定した特性を有する電荷輸送性高分子材料の精製法について鋭意検討を重ねた結果、電荷輸送性高分子材料中のイオン性不純物が特性の変動に影響していることをつきとめ、電荷輸送性高分子材料を水と混合しない有機溶媒に溶解し、水と共に混合攪拌し、分別された水相の電導度が2μS/cm以下になるまで水洗を繰り返すことによって特性の安定した電荷輸送性高分子材料を提供でき、それを用いて電子写真特性の安定した電子写真感光体を提供できることを見いだした。
【0007】
本発明は下記の構成よりなる。
(1)水と混合しない有機溶剤に溶解させた、ポリカーボネート構造及び/又はポリエステル構造及び/又はポリシラン構造を有する電荷輸送性高分子材料を水と共に混合攪拌して得られる混合液を、平均孔径200μm以下の膜を1回以上通過させた後、分別された水相の電導度が0.9μS/cm以下になるまで、該混合液の水洗を繰り返すことを特徴とする電荷輸送性高分子材料の精製方法。
【0012】
電荷輸送性高分子材料を水と混合しない有機溶媒に溶解し、水と共に混合攪拌し、分別された水相の電導度が0.9μS/cm以下になるまで水洗を繰り返すことによって特性の安定した電荷輸送性高分子材料を提供できる。
【0013】
この場合の電荷輸送性高分子材料としては、低分子電荷輸送材を用いなくともホール、あるいは電子を電界下で輸送できる材料であり、そのような機能を有する樹脂であれば特に制限無く適用できる。例えば、アリールアミン骨格やベンジジン骨格やヒドラゾン骨格やカルバゾール骨格やスチルベン骨格やピラゾリン骨格等を有するポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂等の高分子材料やポリシラン骨格を有する高分子材料等を挙げることができる。前者の具体的な例としては特開平01−001728、特開平01−009964、特開平01−013061、特開平01−019049、特開平01−241559、特開平04−011627、特開平04−175337、特開平04−183719、特開平04−225014、特開平04−230767、特開平04−320420、特開平05−232727、特開平05−310904、特開平06−234836、特開平06−234837、特開平06−234838、特開平06−234839、特開平06−234840、特開平06−234841、特開平06−239049、特開平06−236050、特開平06−236051、特開平06−295077、特開平07−056374、特開平08−176293、特開平08−208820、特開平08−211640、特開平08−253568、特開平08−269183、特開平09−062019、特開平09−043883、特開平09−71642、特開平09−87376、特開平09−104746、特開平09−110974、特開平09−110976、特開平09−157378、特開平09−221544、特開平09−227669、特開平09−235367、特開平09−241369、特開平09−268226、特開平09−272735、特開平09−302084、特開平09−302085、特開平09−328539号公報等に記載の電荷輸送性高分子材料が挙げられる。また後者の具体例としては例えば特開昭63−285552、特開平05−19497、特開平05−70595、特開平10−73944号公報等に記載のポリシリレン重合体が例示される。
【0014】
これら電荷輸送性高分子材料を溶解させる有機溶媒としては高分子材料を溶かし、水と実質的に混ざらないものであれば特に制限は無い。例えば炭化水素類、エステル類、エーテル類、ハロゲン化物類、酸アミド類、アルデヒド類、ニトリル類、ケトン類、芳香族ニトロ化合物類、アルキルスルホキシド類等いずれでもよい。具体的にはジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン、クロロホルム、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、酢酸エチル等が挙げられる。特にジクロロメタン、トルエン、クロロホルム、クロロベンゼンがより好ましく用いられる。また、有機溶媒は上記溶媒を混合して使用することもできる。また、単独では溶解性の劣るヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素を上記溶媒と混合して使用することもできる。有機溶媒は電荷輸送性高分子材料1重量部に対して2〜200重量部、好ましくは3〜100重量部の範囲で使用される。使用される水は蒸留及び/又はイオン交換された電導度2μS/cm以下の純水が好適に使用される。より好ましくは電導度1μS/cm以下の純水が使用される。水洗の初めはより電導度の高い水を使用し、最終的に電導度2μS/cm以下の水を使用することもできる。一回の水洗で使用する水の量は特に制限は無いが、好ましくは樹脂溶液1容量部に対して0.2〜10容量部であり、より好ましくは0.5〜3容量部である。
【0015】
混合攪拌は攪拌羽根による機械的攪拌や振とう機による攪拌が適用でき、できるだけ有機相と水相の接触面積が大きくなるように攪拌するのが良い。インラインミキサーやホモジナイザーが好ましく使用される。混合時の温度は使用する有機溶媒の沸点以下および100℃以下で在れば良いが、通常は室温から60℃で実施すればよい。混合攪拌時間は攪拌方法により異なるが通常一回3分〜300分であり、好ましくは5分から30分行えばよい。混合攪拌後有機相と水相を分離し、水相の電導度を導電率計により15℃〜30℃で測定しその電導度が0.9μS/cm以下であれば水洗終了とする。電導度をより厳密に比較する場合は一定濃度の電荷輸送性高分子材料溶液と水を決められた量比で接触させた後の分別水の電導度を測定する。例えば、電荷輸送性高分子材料の5重量%溶液をそれと同容量の水で抽出した場合の分別水の電導度を測定する。
【0016】
電導度が高い場合は有機相を分離後、新しい水を加えて上記の操作を繰り返す。水洗終了後、有機相を分別し、溶媒を除いて精製物を得る。あるいは有機相と水相の混合状態のまま、有機溶媒を留去する方法もある。溶媒を除く方法としては再沈殿法やスプレードライ法や凍結乾燥法等も使用できる。最終的に電荷輸送性高分子材料中に残る水分量は1000ppm以下が好ましく、300ppm以下がより好ましい。
【0017】
上記説明に加えて有機相と水相との分別工程に以下の内容を加えることでより好ましく精製できる。
【0018】
電荷輸送性高分子材料を溶解させた有機相と水を激しく混合攪拌した場合、エマルジョン状態や懸濁状態になり、静置後も分離が不完全であったり、有機相に微小な水滴が浮遊したりして完全な分離が不可能であったり、長大な時間を要したりして水洗効率を大幅に低下させる。また、水相に微小な油滴が浮遊したりして目的物の収量を損してしまう。これらの改善のために有機相を希釈したり、両相に可溶なアルコール等の溶媒を添加する事が効果があるが、精製装置を大型化させたり、溶剤回収の手間が複雑化する等の欠点を有する。これらの措置を講じないで両相を分離させるには平均孔径200μm以下のフィルターを通過させることが好適である。平均孔径としては0.2〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましい。フィルターの材質は溶媒に不溶なものであれば良く、例えば紙、ステンレス、ガラス繊維、フッ素樹脂、コットン等が使用できる。また、シリコン等で撥水処理を施した前記フィルターも使用できる。しかしながら、水との接触角が40度以下の親水性の高い濾材がより好ましく、ガラス繊維が特に好ましい。一方、フィルターを通過させる方法としては通常のろ過と同様に行えば良く、常圧下、加圧下、減圧下いずれでも良い。好ましくは加圧下あるいは減圧下で行うのが効率が良い。濾材層を通過させる際の流速としては、約100mm/sec以下であり、好ましくは10mm/sec以下であり、より好ましくは1mm/sec以下である。
【0019】
特に、電荷輸送性高分子材料がポリカーボネート構造及び又はポリエステル構造及び又はポリシラン構造を有する物である場合、水相の電導度が0.9μS/cm以下になるまで水洗を行うことが安定した特性を有する電荷輸送性高分子材料の提供に有効である。これら樹脂の合成段階で混入される不純物中に特性に大きく影響するものが含まれており、これらの影響を受けないレベルまで不純物を除く必要があるためと推測される。
【0020】
次に、本発明の感光体の実施形態について以下に説明する。
本発明の感光体の断面図を図1〜図6に示す。
本発明の感光体は前記のような芳香族ポリカーボネート樹脂の1種または2種以上を感光層2 (2',2'',2''',2'''',2''''')に含有させたものであるが、これらの応用の仕方によって図1、図2、図3、図4、図5あるいは図6に示したごとくに用いることができる。
【0021】
図1における感光体は導電性支持体1上に増感染料及び芳香族ポリカーボネート樹脂、場合により結合剤(結着樹脂)よりなる感光層2が設けられたものである。ここでの芳香族ポリカーボネート樹脂は光導電性物質として作用し、光減衰に必要な電荷担体の生成及び移動は芳香族ポリカーボネート樹脂を介して行われる。しかしながら、芳香族ポリカーボネート樹脂は光の可視領域においてほとんど吸収を有していないので、可視光で画像を形成する目的のためには、可視領域に吸収を有する増感染料を添加して増感する必要がある。
【0022】
図2における感光体は導電性支持体1上に電荷発生物質3を電荷輸送能を有する芳香族ポリカーボネート樹脂単独あるいは結合剤と併用してなる電荷輸送媒体4の中に分散せしめた感光層2'が設けられたものである。ここでの芳香族ポリカーボネート樹脂は単独であるいは結合剤との併用で電荷輸送媒体を形成し、一方、電荷発生物質3 (無機又は有機顔料のような電荷発生物質)が電荷担体を発生する。この場合、電荷輸送媒体4は主として電荷発生物質3が発生する電荷担体を受入れ、これを輸送する作用を担当している。そしてこの感光体にあっては電荷発生物質と芳香族ポリカーボネート樹脂とが、互いに主として可視領域において吸収波長領域が重ならないというのが基本的条件である。これは電荷発生物質3に電荷担体を効率よく発生させるためには、電荷発生物質表面まで光を透過させる必要があるからである。一般式(3)、(4)あるいは(6)で表される構成単位を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂は波長600nm以上にほとんど吸収がなく、一般に可視領域から近赤外領域の光線を吸収し、電荷担体を発生する電荷発生物質3とを組合せた場合、特に有効に電荷輸送物質として働くのがその特長である。なお、上記電荷輸送媒体4中に低分子電荷輸送物質を含有させてもよい。
【0023】
図3における感光体は導電性支持体1上に電荷発生物質3を主体とする電荷発生層5と、電荷輸送能を有する芳香族ポリカーボネート樹脂を含有する電荷輸送層4との積層からなる感光層2''が設けられたものである。この感光体では電荷輸送層4を透過した光が電荷発生層5に到達し、その領域で電荷担体の発生が起こり、一方電荷輸送層4は電荷担体の注入を受け、その輸送を行うもので、光減衰に必要な電荷担体の発生は電荷発生物質3で行われ、また電荷担体の輸送は電荷輸送層4で行われる。こうした機構は図2に示した感光体においてした説明と同様である。
【0024】
なお電荷輸送層4は本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂単独あるいは結合剤との併用で形成される。また電荷発生効率を高めるために、電荷発生層5に本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂を含有させてもよい。同様の目的で感光層2''中に低分子電荷輸送物質を併用してもよい。後述の感光層2'''〜2'''''についても同様である。
【0025】
図4における感光体は電荷輸送層4上に保護層6を設けたものである。本構成の場合は電荷輸送層4上に本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂あるいは結合剤との併用で保護層が形成される。当然のことながら、従来多く使用されている低分子分散型電荷輸送層上への形成が効果的である。なお図2に示した感光層2'上へ同様に保護層が設けられてもよい。
【0026】
図5における感光体は図3の電荷発生層5と芳香族ポリカーボネート樹脂を含有する電荷輸送層4の積層順を逆にしたものであり、その電荷担体の発生及び輸送の機構は上記の説明と同様にできる。この場合機械的強度を考慮し図6のように電荷発生層5の上に保護層6を設けることもできる。
【0027】
実際に本発明の感光体を作製するには、図1に示した感光体であれば、電荷輸送能を有する芳香族ポリカーボネート樹脂の1種または2種以上あるいはそれと結合剤と併用して溶解し、更にこれに増感染料を加えた液をつくり、これを導電性支持体1上に塗布し乾燥して感光層2を形成すればよい。
【0028】
感光層の厚さは3〜50μm、好ましくは5〜40μmが適当である。感光層2に占める芳香族ポリカーボネート樹脂の量は30〜100重量%であり、又、感光層2に占める増感染料の量は0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%である。増感染料としてはブリリアントグリーン、ビクトリアブルーB、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アシッドバイオレット6Bのようなトリアリールメタン染料、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミンGエキストラ、エオシンS、エリトロシン、ローズベンガル、フルオレセインのようなキサンテン染料、メチレンブルーのようなチアジン染料、シアニンのようなシアニン染料が挙げられる。
【0029】
又、図2に示した感光体を作製するには、1種又は2種以上の電荷輸送能を有する芳香族ポリカーボネート樹脂あるいは結合剤を併用し溶解した溶液に電荷発生物質3の微粒子を分散せしめ、これを導電性支持体1上に塗布し乾燥して感光層2'を形成すればよい。
【0030】
感光層2'の厚さは3〜50μm、好ましくは5〜40μmが適当である。感光層2'に占める電荷輸送能を有する芳香族ポリカーボネート樹脂の量は40〜100重量%であり、又、感光層2'に占める電荷発生物質3の量は0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%である。電荷発生物質3としては、例えばセレン、セレン−テルル、硫化カドミウム、硫化カドミウム−セレン、α−シリコンなどの無機材料、有機材料としては例えばシーアイピグメントブルー25(カラーインデックスCI21180)、シーアイピグメントレッド41(CI21200)、シーアイアシッドレッド52(CI45100)、シーアイベーシックレッド3(CI45210)、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報に記載)などのアゾ顔料、例えばシーアイバットブラウン5(CI73410)、シーアイバットダイ(CI73030)などのインジゴ系顔料、アルゴスカーレットB(バイエル社製)、インダンスレンスカーレットR(バイエル社製)などのペリレン系顔料などが挙げられる。フタロシアニン顔料としては、下記式で表されるフタロシアニン骨格を有する化合物で、M(中心金属)は、金属および無金属(水素)の元素があげられる。
【0031】
【化1】
【0032】
ここであげられるM(中心金属)は、H、Li、Be、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ba、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Th、Pa、U、Np、Am等の単体、もしくは酸化物、塩化物、フッ化物、水酸化物、臭化物などの2種以上の元素からなる。中心金属は、これらの元素に限定されるものではない。本発明におけるフタロシアニン骨格を有する電荷発生物質とは、少なくとも一般式(N)の基本骨格を有していればよく、2量体、3量体など多量体構造を持つもの、さらに高次の高分子構造を持つものでもかまわない。また基本骨格に様々な置換基があるものでもかまわない。
【0033】
これらの様々なフタロシアニンのうち、中心金属にTiOを有するオキソチタニウムフタロシアニン、Hを有する無金属フタロシアニンは、感光体特性的に、特に好ましい。
【0034】
またこれらのフタロシアニンは、様々な結晶系を持つことも知られており、例えばオキソチタニウムフタロシアニンの場合、α、β、γ、m、y型等、銅フタロシアニンの場合、α、β、γ等の結晶多系を有している。同じ中心金属を持つフタロシアニンにおいても、結晶系が変わることにより、種々の特性も変化する。その中で、感光体特性も、このような結晶系変化に伴い、変化することが報告されている。(電子写真学会誌 第29巻 第4号(1990))このことから、各フタロシアニンは、感光体特性的に、最適な結晶系が存在し、特にオキソチタニウムフタロシアニンにおいては、y型の結晶系が望ましい。
【0035】
また、これらの電荷発生物質は、フタロシアニン骨格を有する電荷発生物質を2種以上混合していてもかまわない。さらにそれ以外の電荷発生物質と混合していてもかまわない。この場合に混合する電荷輸送物質としては、無機系材料及び有機系材料があげられる。
【0036】
更に図3に示した感光体を作製するには、導電性支持体1に電荷発生物質を真空蒸着するか、あるいは電荷発生物質の微粒子3を必要によって結合剤を溶解した適当な溶媒中に分散した分散液を塗布し乾燥するかして、更に必要であればバフ研磨などの方法によって表面仕上げ、膜厚調整などを行って電荷発生層5を形成し、この上に1種又は2種以上の電荷輸送能を有する芳香族ポリカーボネート樹脂あるいは結合剤と併用し溶解した溶液を塗布し乾燥して電荷輸送層4を形成すればよい。
なおここで電荷発生層5の形成に用いられる電荷発生物質は、前記の感光層2'の説明と同じものである。
【0037】
電荷発生層5の厚さは5μm以下、好ましくは2μm以下であり、電荷輸送層4の厚さは3〜50μm、好ましくは5〜40μmが適当である。電荷発生層5が電荷発生層物質の微粒子3を結合剤中に分散させたタイプのものにあっては、電荷発生物質の微粒子3の電荷発生層5に占める割合は10〜100重量%、好ましくは50〜100重量%程度である。又、電荷輸送層4に占める電荷輸送能を有するポリカーボネート樹脂の量は40〜100重量%である。
【0038】
なお、図3における感光層2''に低分子電荷輸送物質を含有してもよいことは前記のとおりであるが、ここに用いられる該電荷輸送物質としては下記のものが挙げられる。
オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体(特開昭52−139065号、同52−139066号公報に記載)、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体(特開平3−285960号公報に記載)、ベンジジン誘導体(特公昭58−32372号公報に記載)、α−フェニルスチルベン誘導体(特開昭57−73075号公報に記載)、ヒドラゾン誘導体(特開昭55−154955号、同55−156954号、同55−52063号、同56−81850号などの公報に記載)、トリフェニルメタン誘導体(特公昭51−10983号公報に記載)、アントラセン誘導体(特開昭51−94829号公報に記載)、スチリル誘導体(特開昭56−29245号、同58−198043号各公報に記載)、カルバゾール誘導体(特開昭58−58552号公報に記載)、ピレン誘導体(特開平2−94812号公報に記載)など。
【0039】
図4に示した感光体を作成するには、図3に示した感光体上に本発明の電荷輸送能を有する芳香族ポリカーボネート樹脂を単独であるいは結合剤と併用して溶解し塗布し、乾燥して、保護層6が設けられる。保護層の厚さは0.15〜10μmが好ましい。保護層6中に占める本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂の量は40〜100重量%である。
【0040】
図5に示した感光体を作成するには導電性支持体1上に電荷輸送能を有する芳香族ポリカーボネート樹脂あるいは結合剤と併用し溶解した溶液を塗布し、乾燥して電荷輸送層4を形成したのち、この電荷輸送層の上に電荷発生層物質の微粒子を必要によって結合剤を溶解した溶媒中に分散した分散液をスプレー塗工等の方法で塗布乾燥して電荷発生層5を形成すればよい。電荷発生層あるいは電荷輸送層の量比は図3で説明した内容と同様である。
【0041】
このようにして得られた感光体の電荷発生層5の上に前述の保護層6を形成することにより、図6に示す感光体を作成できる。
なお、これらのいずれの感光体製造においても、導電性支持体1にはアルミニウムなどの金属板又は金属箔、アルミニウムなどの金属を蒸着したプラスチックフィルム、あるいは導電処理を施した紙などが用いられる。
【0042】
又、結合剤としてはポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネートなどの縮合樹脂や、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドのようなビニル重合体などが用いられるが、絶縁性で且つ接着性のある樹脂はすべて使用できる。必要により可塑剤が結合剤に加えられているが、そうした可塑剤としてはハロゲン化パラフィン、ジメチルナフタリン、ジブチルフタレートが例示できる。また必要に応じて酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、滑剤などの添加剤を加えることができる。
【0043】
更に以上のようにして得られる感光体には導電性支持体と感光層の間に、必要に応じて接着層又はバリヤ層を設けることができる。これらの層に用いられる材料としては、ポリアミド、ニトロセルロース、酸化アルミニウム、酸化チタンなどであり、また膜厚は1μm以下が好ましい。
【0044】
本発明の感光体を用いて複写を行うには、感光面に帯電、露光を施した後、現像を行い必要によって紙などへ転写を行う。
本発明の感光体は感度が高く、また耐久性に優れている。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下実施例に基づきより詳細に説明する。
(使用ポリマーの製造例1)
電荷輸送能を有するジオールとしてN−{4−[2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ビニル]フェニル]−N,N−ビス(4−トリル)アミン2.69部と共重合ジオールとしての2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン1.97部と分子量調節剤としての4−tert−ブチルフェノール0.024部を撹拌反応容器に入れ、窒素気流下で水酸化ナトリウム2.66部とナトリウムハイドロサルファイト0.1部を水45部に溶解させた液を加えて溶解させた。その後、7℃まで冷却し、ホスゲンの3量体であるビス(トリクロロメチル)カーボネート2.16部をジクロロメタン40部に溶解させた液を撹拌しながら一気に加え、その後15分撹拌した後トリエチルアミン0.01部を加えて27℃で60分撹拌反応させ、下記構造の電荷輸送性高分子材料を合成した。その後、ジクロロメタンを加えて電荷輸送性高分子材料5%のジクロロメタン精製前溶液100部を得た。この物の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したところポリスチレン換算の分子量は、数平均分子量で52800、重量平均分子量で139800であった。
【0046】
【化2】
【0047】
参考例1
使用ポリマーの製造例1で得られた高分子溶液100部に蒸留とイオン交換処理された純水(電導度0.7μS/cm)100部を加えて15分間振とう機により混合攪拌を行った。その後、40分間静置し、両相を分別した。この水洗処理を4回行ったところ分別された水相の電導度は1.96μS/cmであった。その後、高分子溶液を加熱された純水中に滴下してジクロロメタンを除き、乾燥して電荷輸送性高分子材料を得た。
【0048】
参考例2
使用ポリマーの製造例1で得られた高分子溶液100部に蒸留とイオン交換処理された純水(電導度0.7μS/cm)100部を加えて15分間振とう機により混合攪拌を行った。その後、40分間静置し、両相を分別した。この水洗処理を5回行ったところ分別された水相の電導度は1.46μS/cmであった。その後、高分子溶液を加熱された純水中に滴下してジクロロメタンを除き、乾燥して電荷輸送性高分子材料を得た。
【0049】
参考例3
使用ポリマーの製造例1で得られた高分子溶液100部に3%水酸化ナトリウム水溶液100部を加えて15分間振とう機により混合攪拌を行った。その後、40分間静置し、高分子溶液相を分別した。その後、蒸留とイオン交換処理された純水(電導度0.7μS/cm)100部を加えて15分間振とう機により混合攪拌を行った。その後、40分間静置し、両相を分別した。この水洗処理を4回行ったところ分別された水相の電導度は1.92μS/cmであった。その後、高分子溶液を加熱された純水中に滴下してジクロロメタンを除き、乾燥して電荷輸送性高分子材料を得た。
【0050】
参考例4
使用ポリマーの製造例1で得られた高分子溶液100部に3%水酸化ナトリウム水溶液100部を加えて15分間振とう機により混合攪拌を行った。その後、40分間静置し、高分子溶液相を分別した。その後、2%塩酸水溶液100部を加えて40分間振とう機により混合攪拌を行った。その後、20分間静置し、高分子溶液相を分別した。その後、蒸留とイオン交換処理された純水(電導度0.7μS/cm)100部を加えて15分間振とう機により混合攪拌を行った。その後、40分間静置し、両相を分別した。この水洗処理を3回行ったところ分別された水相の電導度は1.35μS/cmであった。その後、高分子溶液を加熱された純水中に滴下してジクロロメタンを除き、乾燥して電荷輸送性高分子材料を得た。
【0051】
参考例5
使用ポリマーの製造例1で得られた高分子溶液100部に蒸留とイオン交換処理された純水(電導度0.7μS/cm)100部を加えて15分間振とう機により混合攪拌を行った。その後、40分間静置し、高分子溶液相を分別した。その後、2%塩酸水溶液100部を加えて40分間振とう機により混合攪拌を行った。その後、20分間静置し、高分子溶液相を分別した。その後、純水(電導度0.7μS/cm)100部を加えて15分間振とう機により混合攪拌を行った。その後、40分間静置し、両相を分別した。この水洗処理を3回行ったところ分別された水相の電導度は1.38μS/cmであった。その後、高分子溶液を加熱された純水中に滴下してジクロロメタンを除き、乾燥して電荷輸送性高分子材料を得た。
【0052】
比較例1
参考例1において純水洗浄処理を2回実施した他は同様にして電荷輸送性高分子材料を得た。分別された水相の最終電導度は11.75μS/cmであった。
【0053】
比較例2
参考例1において純水洗浄処理を3回実施した他は同様にして電荷輸送性高分子材料を得た。分別された水相の最終電導度は5.07μS/cmであった。
【0054】
比較例3
参考例3において純水洗浄処理を2回実施した他は同様にして電荷輸送性高分子材料を得た。分別された水相の最終電導度は9.82μS/cmであった。
【0055】
比較例4
参考例4において純水洗浄処理を2回実施した他は同様にして電荷輸送性高分子材料を得た。分別された水相の最終電導度は3.41μS/cmであった。
【0056】
比較例5
参考例5において最終純水洗浄処理を2回実施した他は同様にして電荷輸送性高分子材料を得た。分別された水相の最終電導度は2.17μS/cmであった。
【0057】
(使用ポリマーの製造例2)
電荷輸送能を有するジオールとして製造例1と同様のN−[4−[2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ビニル]フェニル]−N,N−ビス(4−トリル)アミン2.7部と共重合ジオールとしての1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン1.99部と分子量調節剤としての4−tert−ブチルフェノール0.023部を撹拌反応容器に入れ、窒素気流下で水酸化ナトリウム3.27部とナトリウムハイドロサルファイト0.1部を水33部に溶解させた液を加えて溶解させた。その後、12℃まで冷却し、ホスゲンの3量体であるビス(トリクロロメチル)カーボネート2.31部をジクロロメタン37部に溶解させた液を撹拌しながら一気に加え、その後15分撹拌した後トリエチルアミン0.01部を加えて25℃で60分撹拌反応させた。その後、4−tert−ブチルフェノール0.02部を加えてさらに27℃で120分撹拌反応させて下記構造の電荷輸送性高分子材料を合成した。その後、ジクロロメタンを加えて電荷輸送性高分子材料5%のジクロロメタン精製前溶液100部を得た。この物の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したところポリスチレン換算の分子量は、数平均分子量で44200、重量平均分子量で160800であった。
【0058】
【化3】
【0059】
参考例6
使用ポリマーの製造例2で得られた高分子溶液100部に蒸留とイオン交換処理された純水(電導度0.7μS/cm)100部を加えて15分間振とう機により混合攪拌を行った。この混合溶液を1000メッシュのステンレスフィルターを常圧下で通し、その後、10分間静置し、両相を分別した。この水洗処理を4回行ったところ分別された水相の電導度は1.12μS/cmであった。その後、高分子溶液を加熱された純水中に滴下してジクロロメタンを除き、乾燥して電荷輸送性高分子材料を得た。
【0060】
実施例1
使用ポリマーの製造例2で得られた高分子溶液100部に蒸留とイオン交換処理された純水(電導度0.07μS/cm)100部を加えて15分間振とう機により混合攪拌を行った。40分間静置し、高分子溶液相を分別した。その後、2%塩酸水溶液100部を加えて40分間振とう機により混合攪拌を行った。その後、20分間静置し、高分子溶液相を分別した。その後、純水(電導度0.7μS/cm)100部を加えて10分間ホモジナイザーにより混合攪拌を行った。その後、孔径40μmのガラス繊維製のフィルターを通過速度0.1mm/secで通過させ10分間静置し、両相を分別した。分別された水相の電導度は0.90μS/cmであった。その後、高分子溶液を加熱された純水中に滴下してジクロロメタンを除き、乾燥して電荷輸送性高分子材料を得た。
【0061】
実施例2
実施例7においてホモミキサーによる混合とガラス繊維製のフィルターの通過を最初の水洗工程及び塩酸水溶液洗浄工程にも適用する他は同様にして電荷輸送性高分子材料を得た。最終の分別された水相の電導度は0.86μS/cmであった。
【0062】
比較例6
参考例6においてステンレスフィルターを使用しない他は同様にして電荷輸送性高分子材料の精製を行った。この場合、10分間の静置では水洗後の液分離が行われず、電荷輸送性高分子材料の回収低下を招くと共に4回後の分別水の電導度は3.82であった。
【0063】
比較例7
実施例1においてガラス繊維製フィルターによる通過作業を行わない他は同様にして電荷輸送性高分子材料の精製を行った。この場合、ホモミキサーによる混合後の液分離が極めて悪く、40分の静置では分別できなかった。
【0064】
比較例8
実施例2においてガラス繊維製フィルターによる通過作業を行わない他は同様にして電荷輸送性高分子材料の精製を行った。この場合、最初の水洗時のホモミキサーによる混合後の液分離が極めて悪く、40分の静置では分別できなかった。
【0065】
(使用ポリマーの製造例3)
電荷輸送能を有するジオールとしてN−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニル}−N,N−ビス(4−トリル)アミン4.86部を2%水酸化ナトリウム水溶液80mlで溶解した後、窒素気流下、水冷して強攪拌しながら、酸クロリドとしてテレフタール酸クロリド1.115部とイソフタール酸クロリド1.115部を脱水クロロホルム60mlに溶解させた溶液を加え、20℃で3時間重合させて下記構造の電荷輸送性高分子材料を合成した。その後、クロロホルムを加えて電荷輸送性高分子材料5%のクロロホルム精製前溶液100部を得た。この物の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したところポリスチレン換算の分子量は、数平均分子量で15400、重量平均分子量で26900であった。
【0066】
【化4】
【0067】
参考例7
使用ポリマーの製造例3で得られた高分子溶液を使用する他は参考例2と同様にして電荷輸送性高分子材料の精製を行った。最終の分別された水相の電導度は1.20μS/cmであった。その後、高分子溶液を多量のアセトン中に滴下して再沈殿させ、ろ過後、乾燥して電荷輸送性高分子材料を得た。
【0068】
比較例9
参考例7において水洗処理を2回実施した他は同様にして電荷輸送性高分子材料の精製を行った。最終の分別された水相の電導度は4.01μS/cmであった。その後、高分子溶液を多量のアセトン中に滴下して再沈殿させ、ろ過後、乾燥して電荷輸送性高分子材料を得た。
【0069】
参考例8
減圧蒸留によって精製したフェニルメチルジクロロシランを金属ナトリウムを分散した乾燥トルエンに還流しながらゆっくり滴下した。反応終了後、中性アルミナに通し、一度水洗した後、大量のメタノールで再沈殿を行い粗収物を得た。このようにして得られたポリメチルフェニルシラン(重量平均分子量88000)をトルエンに溶解させ、5%の溶液100部を作製した。この高分子溶液を使用する他は参考例2と同様にして電荷輸送性高分子材料の精製を行った。一回目の分別された水相の電導度は11.2μS/cmであり、最終の分別された水相の電導度は1.45μS/cmであった。その後、高分子溶液を多量のメタノール中に滴下して再沈殿させ、ろ過後、乾燥して電荷輸送性高分子材料を得た。
【0070】
参考例9
(感光体作製方法1)
アルミ板上にメタノール/ブタノール混合溶媒に溶解したポリアミド樹脂(CM-8000:東レ社製)溶液をドクターブレードで塗布し、自然乾燥して0.3μmの中間層を設けた。この上に電荷発生物質として下記式で表されるビスアゾ化合物をシクロヘキサノンと2−ブタノンの混合溶媒中でボールミルにより粉砕し、得られた分散液をドクターブレードで塗布し、自然乾燥して0.5μmの電荷発生層を形成した。
【0071】
【化5】
【0072】
次に、電荷輸送性高分子材料として参考例1で得られた電荷輸送性高分子をジクロロメタンに溶解し、この溶液を前記電荷発生層上にドクターブレードで塗布し、自然乾燥し、次いで120℃で20分間乾燥して厚さ20μmの電荷輸送層を形成して感光体を作製した。
【0073】
(初期特性評価)
かくしてつくられた感光体について市販の静電複写紙試験装置[(株)川口電機製作所製EP-8200型]を用いて暗所で−6KVのコロナ放電を20秒間行って帯電せしめた後、感光体の表面電位Vm(-V)を測定し、更に20秒間暗所に放置した後、表面電位V0(-V)を測定し、暗減衰率V0/Vmを求めた。次いで、タングステンランプ光を感光体表面での照度が5.31luxになるように30秒間照射した後、残留電位V30(-V)を測定した。また、初期電位800Vから光照射により電位が1/2になるまでの時間(秒)を求め、露光量E1/2(lux・sec)を算出した。
【0074】
(チャージ疲労特性評価法)
上記のようにして初期特性を求めた後、露光照度が53luxになるように光照射しながら15分間放電電流が−28μAになるように放置した後、初期特性と同様にして暗減衰率V0/Vm、残留電位V30(-V)、露光量E1/2(lux・sec)を求めた。
それらの結果を表1に比較例とともに示す。
【0075】
参考例10〜14
参考例2から6で得られた電荷輸送性高分子を使用する他は参考例9と同様にして感光体を作製し、評価した。それらの結果を表1に示す。
実施例、3、4
実施例1、2で得られた電荷輸送性高分子を使用する他は参考例9と同様にして感光体を作製し、評価した。それらの結果を表1に示す。
参考例15
参考例7で得られた電荷輸送性高分子を使用する他は参考例9と同様にして感光体を作製し、評価した。それらの結果を表1に示す。
【0076】
参考例16
参考例8で得られた電荷輸送性高分子を使用し、ジクロロメタンの代わりにテトラヒドロフランを溶媒に用いる他は参考例9と同様にして感光体を作製し、評価した。それらの結果を表1に示す。
【0077】
比較例10〜16
比較例1から6及び比較例9で得られた電荷輸送性高分子を使用する他は参考例9と同様にして感光体を作製し、評価した。それらの結果を表1に示す。
【0078】
比較例17
精製処理を実施しなかったポリメチルフェニルシランを使用し、ジクロロメタンの代わりにテトラヒドロフランを溶媒に用いる他は参考例 9と同様にして感光体を作製し、評価した。それらの結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
【発明の効果】
以上の結果からわかるように分別水の電導度が0.9μS/cm以下になるまで水洗を行った電荷輸送性高分子材料を使用した場合は、帯電性の安定性を示す暗減衰率、残留電位が初期評価でも疲労後の評価でも安定して良好な特性を有しており電荷輸送性高分子材料の精製法として効果があることがわかる。また、このような処理をした電荷輸送性高分子材料を使用した電子写真感光体は初期特性も良く耐久性にも優れることがわかる。
【0081】
また、電荷輸送性高分子材料を溶解させた溶液と水の混合攪拌後の液を平均孔径200μm以下の膜を通過させることで分液性を改善することができ、電導度が0.9μS/cm以下に下がるまでの洗浄回数、時間を少なくすることができ、特性の優れる電荷輸送性高分子材料を効率的に製造する事ができるようになる。このようにして得られた電荷輸送性高分子材料を使用することにより帯電性及びその安定性に優れ、残留電位及びその変化が小さい電気特性的に優れ、且つ、電荷輸送性高分子材料が持つ強い機械的強度を備えた耐摩耗性に優れた電子写真感光体の提供が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる電子写真用感光体の層構成の一例を示す断面図。
【図2】 本発明に係わる電子写真用感光体の層構成の他の例を示す断面図。
【図3】 本発明に係わる電子写真用感光体の層構成の他の例を示す断面図。
【図4】 本発明に係わる電子写真用感光体の層構成の他の例を示す断面図。
【図5】 本発明に係わる電子写真用感光体の層構成の他の例を示す断面図。
【図6】 本発明に係わる電子写真用感光体の層構成の他の例を示す断面図。
【符号の説明】
1 導電性支持体
2,2',2'',2''',2'''',2''''' 感光層
3 電荷発生物質
4 電荷輸送層又は電荷輸送媒体
5 電荷発生層
6 保護層
Claims (1)
- 水と混合しない有機溶剤に溶解させた、ポリカーボネート構造及び/又はポリエステル構造及び/又はポリシラン構造を有する電荷輸送性高分子材料を水と共に混合攪拌して得られる混合液を、平均孔径200μm以下の膜を1回以上通過させた後、分別された水相の電導度が0.9μS/cm以下になるまで、該混合液の水洗を繰り返すことを特徴とする電荷輸送性高分子材料の精製方法。
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