JP4101962B2 - 多孔質フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超高分子量ポリオレフィン樹脂を含む多孔質フィルムの製造方法に関し、詳しくは、高強度、高比表面積及び高細孔容積を有すると共に、フィルムを貫通する孔の経路、即ち、貫通経路が長いにもかかわらず、イオン透過性、従って、高速充放電特性にすぐれるので、種々の電池、特に、電気自動車用バッテリーにおいて、安定性と耐久性にすぐれる高性能セパレータとして好適に用いることができる多孔質フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、種々の電池が実用に供されているが、最近、電子機器のコードレス化等に対応するために、軽量で、高起電力、高エネルギーを得ることができ、しかも、自己放電が少ないリチウム電池が注目を集めている。例えば、円筒形リチウムイオン二次電池は、携帯電話やノート型パソコン用として、多量に用いられており、更に、今後、電気自動車用バッテリーとして期待されている。
【0003】
このようなリチウム電池の負極材料としては、金属リチウムをはじめ、リチウム合金やリチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料のような層間化合物を挙げることができる。他方、正極材料としては、コバルト、ニッケル、マンガン、鉄等の遷移金属の酸化物やこれら遷移金属とリチウムとの複合酸化物を挙げることができる。
【0004】
一般に、このようなリチウム電池においては、上述したような正極と負極との間に、それら電極間の短絡を防止するためにセパレータが設けられている。このようなセパレータとしては、通常、正極負極間のイオンの透過性を確保するために、多数の微細孔を有する多孔質フイルムが用いられている。
【0005】
このようなセパレータ用の多孔質フィルムの製造方法としては、従来、超高分子量ポリオレフィン樹脂を、必要に応じてその他のポリオレフィン樹脂と共に、適宜の溶媒中に加熱溶解させ、この溶液をゲル状シートに成形し、このゲル状シートを圧延した後、延伸する前後で脱溶媒処理を行なって、残存溶媒を除去する方法が知られている。
【0006】
例えば、特開平7−228718号公報には、重量平均分子量1×106 以上の超高分子量ポリオレフィン樹脂を少なくとも10重量%含むポリオレフィン樹脂組成物からなり、フィブリルの平均径が0.01〜0.2μm、貫通孔の平均径が0.01〜0.1μm、空隙率が35〜95%、比表面積が20〜400m2 /gである多孔質フィルムが記載されている。
【0007】
しかし、超高分子量ポリオレフィン樹脂からなる多孔質フィルムを電気自動車用バッテリーのセパレータとして実用化するには、多孔質フィルムが一層の高強度、高比表面積、高細孔容積を有すると共に、電解液の保液性にすぐれ、更に、、イオン透過性、高速充放電特性にすぐれることが強く要望されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、超高分子量ポリオレフィン樹脂からなる多孔質フィルムにおける上述したような要望に応えるために鋭意研究した結果、多孔質フィルムの三次元網状構造を構成するフィブリル径が小さく、その分布が均一であると共に、貫通孔も、その孔径の分布が狭く、しかも、その最大径が0.1μm以下である多孔質フィルムを得ることができ、そして、このような多孔質フィルムが上記要望にすべて応えることができ、特に、高速充放電特性にすぐれていることを見出して、本発明に至ったものである。即ち、本発明は、高強度、高比表面積及び高細孔容積を有すると共に、高速充放電特性にすぐれており、従って、種々の電池、特に、電気自動車用バッテリーのセパレータとして好適に用いることができる多孔質フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【問題を解決するための手段】
本発明による多孔質フィルムの製造方法は、重量平均分子量が5×105 以上の超高分子量ポリオレフィン樹脂を少なくとも15重量%含む超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物5〜30重量%と凝固点が−10℃以下である溶媒95〜70重量%とからなる混合物を加熱して、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物を上記溶媒中に溶解させ、得られた溶液を115〜240℃の範囲の温度で混練りし、この混練り物を用いた溶媒の凝固点以下の温度まで冷却しながら、第1のゲル状シートに成形して、超高分子量ポリオレフィン樹脂を結晶化させ、別に、重量平均分子量が5×105 以上の超高分子量ポリオレフィン樹脂を少なくとも15重量%含む超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物5〜30重量%と凝固点が−10℃以下である溶媒95〜70重量%とからなる混合物を加熱して、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物を上記溶媒中に溶解させ、得られた溶液を115〜240℃の範囲の温度で混練りし、この混練り物を第2のシートに成形し、この第2のシートにおける上記超高分子量ポリオレフィン樹脂の融点をMとするとき、その表面の温度を(M+30)℃から(M−10)℃の範囲として、その表面に上記第1のゲル状シートを貼り合わせた後、この貼り合わせシートを第2のシートの調製に用いた上記溶媒の凝固点以下の温度まで冷却しながら、一体の貼り合わせゲル状シートに成形して、第2のシートの超高分子量ポリオレフィン樹脂を結晶化させ、次いで、この一体の貼り合わせゲル状シートを(M+5)℃から(M−30)℃の範囲の温度にて二軸延伸して、延伸フィルムとし、次いで、この延伸フィルムを脱溶媒処理することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の方法によれば、超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物と溶媒の混練り物を所定の温度まで冷却しながら、シートに成形して、第1のゲル状シートを得、別に、同様に、超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物と溶媒の混練り物から第2のシートを得、この第2のシートの表面温度が一定の範囲にある間に、その表面に第1のゲル状シートを貼り合わせ、得られた貼り合わせシートを所定の温度まで冷却して、一体化した貼り合わせゲル状シートを得、これを必要に応じて、圧延した後、延伸処理し、脱溶媒して、目的とする多孔質フィルムを得る。ここに、第1のゲル状シートと第2のシートは、組成の相違する混練り物から異なる条件の下に調製してもよいが、好ましくは、単一の混練り物から調製するのが効率的である。
【0011】
以下に詳細に本発明の方法について説明する。本発明によれば、先ず、超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物と溶媒の混練り物を所定の温度まで冷却しながら、シートに成形して、第1のゲル状シートを調製する。本発明において、超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物は、重量平均分子量が5×105 以上の超高分子量ポリオレフィン樹脂を少なくとも15重量%含む。しかし、本発明においては、超高分子量ポリエチレン樹脂組成物は、超高分子量ポリオレフィン樹脂のみからなるものであってもよく、このような場合も、便宜上、超高分子量ポリエチレン樹脂組成物ということとする。
【0012】
本発明において、超高分子量ポリオレフィン樹脂は、重量平均分子量が5×105 〜20×106 の範囲にあり、好ましくは、1×106 〜15×106 の範囲にあるものである。このような超高分子量ポリオレフィン樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等の単独重合体、共重合体又はこれらの混合物を挙げることができる。しかし、なかでも、本発明においては、超高分子量ポリエチレン樹脂が好ましく用いられる。
【0013】
本発明において、ポリオレフィン樹脂が上記超高分子量ポリオレフィン樹脂と共に、第2のポリオレフィン樹脂を含むとき、この第2のポリオレフィン樹脂は、重量平均分子量が5×105 未満であり、好ましくは、重量平均分子量が1×104 以上、5×105 未満の範囲にあり、好ましくは、1×104 〜3×105 の範囲にあるものである。このようなポリオレフィン樹脂としても、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等の単独重合体、共重合体又はこれらの混合物を挙げることができる。しかし、なかでも、本発明においては、第のポリオレフィン樹脂としては、高密度ポリエチレン樹脂が好ましく用いられる。
【0014】
本発明において、超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物は、超高分子量ポリオレフィン樹脂を少なくとも15重量%含むことが必要である。超高分子量ポリオレフィン樹脂における超高分子量ポリオレフィン樹脂の割合が15重量%よりも少ないときは、電池用セパレータとして必要な強度を有する多孔質フィルムを得ることができない。
【0015】
本発明によれば、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物5〜30重量%、好ましくは、8〜20重量%と凝固点が−10℃以下である溶媒95〜70重量%、好ましくは、92〜80重量%とを混合し、加熱し、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂を上記溶媒中に溶解させ、かくして、得られた溶液を115〜240℃の範囲の温度で混練りして、混練り物を調製する。
【0016】
上記溶媒としては、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物をよく溶解すると共に、凝固点が−10℃以下のものであれば、特に、限定されるものではないが、特に、本発明においては、凝固点が−10℃から−45℃の範囲のものが好ましく用いられる。そのような溶媒の好ましい具体例として、例えば、デカン、デカリン、流動パラフィン等の脂肪族又は環式炭化水素や、凝固点がこれらに対応する鉱油留分を挙げることができる。しかし、なかでも、流動パラフィンのような不揮発性溶媒が好ましく、特に、凝固点が−10℃以下であり、40℃における動粘度が65cst以下の不揮発性溶媒が好ましく用いられる。
【0017】
超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物と上記溶媒とからなる混合物(溶液)において、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物が30重量%を越えるときは、特に、超高分子量ポリオレフィン樹脂の溶媒に対する溶解性が不十分であって、混練り時に超高分子量ポリオレフィン樹脂が延び切り状態近くに解されず、ポリマー鎖の十分な絡み合いを得ることが困難である。
【0018】
更に、後述するように、このように、超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物が30重量%を越える混合物(溶液)から第1のゲル状シートを調製し、この第1のゲル状シートを第2のシートに貼り合わせ、これを冷却して、貼り合わせゲル状シートとし、これを延伸処理して、延伸フィルムとする際に、延伸倍率が比較的低いとき、本発明によるフィブリル径と貫通孔径に関する特性を備えた多孔質フィルムを得ることが困難であり、他方、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物が5重量%を下回るときは、得られる多孔質フィルムが強度に劣る。このように、超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物と上記溶媒とからなる混合物(溶液)において、超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物の割合が5〜30重量%の範囲にあることが必要である理由は、後述する第2のシートの調製の場合にも当てはまる。
【0019】
本発明においては、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物を溶媒に溶解させてなる溶液を混練りするに際して、240℃を越える温度で混練りするときは、溶液の粘度が低すぎて、混練り物に十分なせん断力を作用させることができず、他方、混練温度が115℃よりも低いときは、上記混合物を効果的に混練することができず、かくして、上記混合物の混練りにおいて、上述したような超高分子量ポリオレフィン樹脂のポリマー鎖の十分な絡み合いを得ることが困難である。
【0020】
本発明においては、このような超高分子量ポリオレフィン樹脂のポリマー鎖の十分な絡み合いを得るために、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物と溶媒との混合物(溶液)に高いせん断力を作用させつつ、混練りすることが好ましい。混練り時に、十分なせん断力を作用させることができないときは、超高分子量ポリオレフィン樹脂のポリマー鎖の十分な絡み合いを得ることができないことがある。従って、本発明によれば、超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物と溶媒との混合物(溶液)の混練りには、通常、混合物に強いせん断力を与えることができるニーダや二軸押出機等が好ましく用いられる。
【0021】
次いで、本発明によれば、このようにして得られた超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物と溶媒との混練り物を用いた溶媒の凝固点以下の温度、好ましくは、−10℃から−70℃の範囲の温度、好ましくは、−15℃〜−55℃の範囲の温度に冷却しながら、ゲル状シートに成形して、超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物を結晶化させる。ゲル状シートの厚みは、通常、0.5〜5.0mmの範囲が適当である。以下、このゲル状シートを第1のゲル状シートという。
【0022】
超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物と溶媒との混練り物を用いた溶媒の凝固点以下の温度に冷却して、第1のゲル状シートを調製するには、特に、限定されるものではないが、例えば、予め2枚の金属板をドライアイスにて冷却しておき、これら金属板の間に上記混練り物を挟み、加圧して、シートとすればよく、或いはダイスを取付け混練り機を用いて、超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物と溶媒との混練り物を得た後、これをダイスを通してシートに成形し、このシートを予め冷却しておいた2枚の金属板の間に挟み、必要に応じて、加圧してもよい。また、別の方法として、ダイスを通して得られたシートを直接、冷却媒体に浸漬してもよい。
【0023】
本発明によれば、混練り物を冷却しながら第1のゲル状シートに成形する際、得られるシートの表面層のみならず、シートの中心部まで、樹脂が微細に結晶化して、最終的に高強度、高空孔率で、均一、緻密な孔構造を有する多孔質フィルムを得ることができるように、シートを急冷することが好ましく、従って、その冷却速度は平均で50℃/分以上が好ましい。即ち、一般に、結晶性高分子量樹脂を結晶化させると、ラメラ結晶が生成し、このラメラ結晶の厚みは、結晶化温度に大きく依存し、融点と結晶化温度との差が大きいほど、ラメラ結晶の厚みは小さくなる。表面層とは、後述するように、表面から1mm以内の範囲をいい、表面を含む。シート内部の温度は、細い温度センサをシート内に埋め込むことによって測定することができる。溶液状態、即ち、混練り物からシートへの成形時の冷却速度が遅いときは、混練りによって、引き伸ばされ、絡み合っているフィブリルが毛毬状に戻って、太い繊維を形成するので、細く、且つ、均一なフィブリルからなる多孔質膜構造が形成され難く、大きな貫通孔を有する多孔質膜構造が部分的に形成される。
【0024】
本発明において用いる超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物と溶媒との混練り物は、熱伝導性は高くない。従って、このような混練り物を外部から冷却するとき、その厚みが大きいほど、内部の温度は下がり難い。特に、この傾向は、厚みが5mm程度より大きいシートにおいて著しい。従って、シートを冷却するとき、その表面層は数十秒にて冷却媒体に近い温度まで冷却されるが、シートの中心部では、冷却速度はかなり遅く、従って、冷却媒体の温度を相当に低くしないときは、得られるシートの中心部まで急冷して、中心部の樹脂を微細に結晶化することができない。例えば、シートの厚みが8mmである場合、−20℃の冷却媒体で冷却しても、2分後のシートの中心部の温度は未だ約40℃である。
【0025】
このように、シートが厚いとき、これを冷却して、ゲル状シートとしても、強度は、期待するほどには大きくないのが現状である。しかし、圧延や延伸工程において、延伸比を大きくするには、シートは厚いほどよい。
【0026】
そこで、本発明によれば、第1のゲル状シートを調製し、これに第2のシートを貼り合わせて、その厚みを大きくした貼り合わせシートを所定の温度まで冷却することによって、第2のシート中の超高分子量ポリオレフィン樹脂を結晶化させ、ゲル化させ、かくして、第1のゲル状シートに第2のゲル状シートを一体化してなる貼り合わせゲル状シートを得るのである。
【0027】
以下、第2のシートについて説明する。本発明によれば、上記第1のゲル状シートと別に、この第1のゲル状シートに貼り合わせるための第2のシートを準備する。この第2のシートは、第1のゲル状シートの調製において説明したと同じ理由によって、重量平均分子量が5×105 以上の超高分子量ポリオレフィン樹脂を少なくとも15重量%含む超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物5〜30重量%と凝固点が−10℃以下である溶媒95〜70重量%とからなる混合物を加熱して、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物を上記溶媒中に溶解させ、得られた溶液を115〜240℃の範囲の温度で混練りし、厚み0.5〜5mmのシートに成形することによって得ることができる。混練り物を第2のシートに成形する手段は、特に限定されるものではなく、例えば、混練り物をダイスから押し出してもよく、また、ロールで圧延してもよく、この後、必要に応じて、加熱し、又は冷却して、表面温度を調節すればよい。
【0028】
本発明によれば、第2のシートは、第の1ゲル状シートとは別に調製してもよく、従って、第2のシートの組成、用いる溶媒や冷却温度を含む製造条件は、第1のゲル状シートと相違していてもよいが、好ましくは、超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物と溶媒との混練り物を調製し、その一部を用いて、第1のゲル状シートを調製し、他の一部を用いて、第2のシートを調製するのが効率的である。
【0029】
次に、第1のゲル状シートと第2のシートと貼り合わせと、一体化した貼り合わせゲル状シートの調製とについて説明する。本発明によれば、第2のシートの製造に用いた超高分子量ポリオレフィン樹脂の融点をMとするとき、その表面の温度を(M+30)℃から(M−10)℃の範囲として、その表面に第1のゲル状シートを貼り合わせた後、第2のシートの製造に用いた溶媒の凝固点以下の温度まで、好ましくは、−10〜−70℃、特に、好ましくは、−15〜−55℃の範囲の温度まで冷却しながら、第1のゲル状シートと第2のシートとが一体化された貼り合わせゲル状シートに成形して、第2のシートの超高分子量ポリオレフィン樹脂を結晶化させ、かくして、貼り合わせゲル状シートを得る。貼り合わせゲル状シートの厚みは、通常、1.0〜20mmの範囲である。
【0030】
第1のゲル状シートの製造と同様に、第1のゲル状シートに第2のシートを貼り合わせた後、これを冷却しながらシートに成形する際、特に、第2のシートにおいて、表面層のみならず、シートの中心部まで、樹脂が微細に結晶化して、最終的に高強度、高空孔率で、均一、緻密な孔構造を有するゲル状シートを形成し、第1のゲル状シートと一体化した多孔質フィルムを得ることができるように、上記貼り合わせ物を急冷することが好ましく、従って、その冷却速度は平均で50℃/分以上が好ましい。
【0031】
本発明によれば、第1のゲル状シートに第2のシートを貼り合わせるに際して、第2のシートの表面温度は、第2のシートにおける超高分子量ポリオレフィン樹脂の融点をMとするとき、(M+30)℃から(M−10)℃の範囲にあることが必要である。第2のシートの表面温度が(M−10)℃よりも低いときは、第1のゲル状シートと貼り合わせて、一体化したシートを得ることが困難であり、反対に、第2のシートの表面温度が(M+30)℃よりも高いときは、第2のシートの表面の溶媒が揮散しやすく、同様に、第1のゲル状シートと貼り合わせて、一体化した貼り合わせゲル状シートを得ることが困難であり、更に、第1のゲル状シート中の超高分子量ポリオレフィン樹脂の結晶形態を損なうおそれもある。特に、本発明においては、実用上は、表面温度を126℃以上とするのが有利である。
【0032】
第1のゲル状シートと第2のシートを貼り合わせた後、第2のシートの調製に用いた溶媒の凝固点以下の温度に冷却するには、特に、限定されるものではないが、例えば、予め2枚の金属板をドライアイスにて冷却しておき、これら金属板の間に上記貼り合わせ物を挟み、必要に応じて加圧すればよく、また、別の方法として、直接、冷却媒体に浸漬してもよい。
【0033】
本発明によれば、このようにして、第1のゲル状シートを調製し、これに第2のシートを貼り合わせ、これを冷却して、第1のゲル状シートと第2のゲル状シートとが一体化した貼り合わせゲル状シートとし、これを必要に応じて圧延した後、延伸し、脱溶媒することによって、強度の著しく高い多孔質フィルムを得ることができる。即ち、本発明によれば、第1のゲル状シートは、既に、冷却され、ゲル化しており、貼り合わせシートの冷却に際しては、主として、第2のシートを冷却して、ゲル化させればよく、従って、貼り合わせシートは厚みが大きいにもかかわらず、速やかに冷却することができる。更に、このようにして得られる一体化したゲル状シートは、いわば貼り合わせた界面によって、多層構造を有し、そのために、強度が向上しているとみられる。
【0034】
このように、シートの冷却における表面層と内部の相違を考慮して、第1のゲル状シートも第2のシートも、前述したように、それらの厚みが5mm以下であるのが好ましく、他方、第1のゲル状シートと第2のゲル状シートとの間に明確な界面が存在して、得られるシートの強度を高めるには、第1のゲル状シートも第2のシートも、その厚みが0.5mm以上であるのが好ましいのである。
【0035】
更に、本発明によれば、第1のゲル状シートの調製に際しては、超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物と溶媒との混練り物を、また、第1のゲル状シートと第2のシートの貼り合わせシートの冷却による貼り合わせゲル状シートの調製に際しては、貼り合わせシートを、それぞれ115〜240℃の高い温度から、用いた溶媒の凝固点以下の温度、即ち、−10℃以下の温度に冷却しながら、好ましくは、急冷しながら、ゲル状シートに成形するので、ラメラ結晶の厚みは非常に小さく、従って、一体化した貼り合わせゲル状シートを圧延し、延伸して、延伸フィルムを得る際に、ラメラ結晶が微結晶に分割される結果、フィブリル径が小さく、且つ、均一である多孔質フィルムを得ることができるとみられる。
【0036】
本発明に従って、混練り物を溶液状態から急冷しながら、第1のゲル状シートに成形して、樹脂を結晶化させても、このようなゲル状シートにおける樹脂の結晶構造は、用いた溶媒の凝固点以上の温度でこのゲル状シートを保存するときは、上記冷却速度が遅いときと同様、混練りによって、引き伸ばされ、絡み合っているフィブリルが毛毬状に戻って、太い繊維を形成して、微細で均一な多孔構造が形成され難く、大きな貫通孔が部分的に形成される。同様に、第1のゲル状シートと第2のシートとの貼り合わせシートを急冷して、一体化した貼り合わせゲル状シートを得ても、このようなゲル状シートにおける樹脂の結晶構造は、用いた溶媒の凝固点以上の温度でこのゲル状シートを保存するときは、上記冷却速度が遅いときと同様、混練りによって、引き伸ばされ、絡み合っているフィブリルが毛毬状に戻って、太い繊維を形成して、微細で均一な多孔構造が形成され難く、大きな貫通孔が部分的に形成される。従って、得られたゲル状シートは、直ちに延伸するか、又は保存するとすれば、得られたゲル状シートを溶媒の凝固点以下の温度に保存することが望ましい。
【0037】
このように、混練り物のシートへの成形時の冷却速度が遅い場合や、得られたシートを用いた溶媒の凝固点以上の温度で保存した場合には、上述したような現象を生じ、得られる多孔質フィルムは、孔構造の微細性と均一性に欠けるものとなって、比較的大きい空孔ができるので、強度、特に、突刺し強度において劣るようになる。
【0038】
本発明によれば、次いで、第2のシートの調製に用いた超高分子量ポリオレフィン樹脂の融点をMとするとき、上記一体化した貼り合わせゲル状シートを(M+5)℃から(M−30)℃の範囲の温度、好ましくは、M℃から(M−25)℃の範囲の温度にて、必要に応じて、圧延した後、二軸延伸する。この二軸延伸は、逐次又は同時二軸延伸のいずれによってもよいが、好ましくは、同時二軸延伸する。本発明において、ゲル状シートの延伸倍率は、一方向に3〜35倍であり、面積延伸倍率は9〜1225倍の範囲が適当であり、好ましくは、一方向に3〜30倍であり、面積延伸倍率は9〜900倍の範囲である。
【0039】
一体化した貼り合わせゲル状シートを圧延するときは、通常、0.5〜5mmの範囲の圧延フィルムとし、これを二軸延伸すればよい。
【0040】
次いで、このように得られた二軸延伸フィルムを適宜の溶剤で洗浄して、フィルム中に残留する溶媒を除去して、多孔質フィルムとし、好ましくは、この後、このフィルムの熱収縮を防止するために、加熱して、ヒートセット(熱固定)する。
【0041】
上記脱溶媒処理に用いる溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素等の塩素化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等の易揮発性のものが好ましく用いられる。これらの溶剤は、超高分子量ポリオレフィン樹脂(組成物)の溶液の調製に用いた溶媒に応じて適宜に選ばれる。シート中に残留する溶媒を除去するには、例えば、シートを溶剤に浸漬すればよい。
【0042】
このようにして得られる本発明による多孔質フィルムは、厚みが1〜60μm、好ましくは、5〜45μmの範囲にあり、BET比表面積が100m2 /g以上、好ましくは、100〜300m2 /gの範囲であり、BJH法で測定した細孔容積が0.5cm3 /g以上、好ましくは、0.5〜1.5cm3 /gの範囲であり、更に、BJH法で測定した貫通孔の平均孔径が0.03μm以下、好ましくは、0.01〜0.03μmの範囲であり、最大孔径が0.1μm以下、好ましくは、0.1〜0.03μmの範囲であり、三次元網状構造を構成するフィブリル(繊維)の平均径が0.01〜0.1μm、好ましくは、0.01〜0.05μm、最大径が0.2μm以下、好ましくは、0.02〜0.1μmの範囲であり、空孔率が35〜75%、好ましくは、40〜70%の範囲であり、通気度が100〜800秒/100cc、好ましくは、100〜500秒/100ccの範囲である。
【0043】
このような本発明による多孔質フィルムは、高強度、高比表面積及び高細孔容積を有し、更に、イオン透過性にすぐれ、しかも、高速充放電特性にすぐれ、高速充放電特性にもすぐれる。また、グローブボックス中でガラスの中に正極にコバルト酸リチウム電極、負極にカーボン電極を用い、その間に電解液を含浸させた上記多孔質フイルムをクッション材となる不織布(電解液含浸品)と共に挟み込み、充放電特性を調べたところ、高電流密度で高放電効率を示し、短時間での大出力が可能である。
【0044】
更に、本発明による多孔質フイルムは、通気性は良好なものの、比表面積が高く、細いフィブリルが高密度に配置して、平均孔径も小さいことから、過充電試験におけるデンドライトによる短絡も発生し難く、かくして、電池用セパレータとして安定性と耐久性にすぐれる。
【0045】
本発明による多孔質フィルムがこのようにすぐれた電気特性を有する理由は、必ずしも明らかではないが、一体化した貼り合わせゲル状シートは、元の第1のゲル状シートと第2のシートとの界面で不完全に融着されて、その界面に、溶媒や空気が含まれており、そのような不完全な融着構造が最終の多孔質フィルムにも空隙として継承されているとみられる。そこで、電池におけるセパレータとして用いるとき、このセパレータ内の空隙に電解液溜が形成されて、急速放電時、イオンの移動に有利に作用しているとみられる。
【0046】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。以下において、用いた樹脂の融点や、得られた多孔質フィルムの特性は、次のようにして評価した。
【0047】
(融点)
DSC(示差走査熱量)測定において、オンセット温度を融点とした。
(重量平均分子量)
ゲル浸透クロマトグラフ(ウォーターズ社製、GPC−150C)を用い、溶媒にo−ジクロロベンゼンを、また、カラムとしてShodex−80M(昭和電工(株)製)を用いて温度135℃で測定した。データ処理は、TRC社製データ処理システムを用いて行なった。分子量はポリスチレンを基準として算出した。
(フィルムの厚み)
1/10000mmシックネスゲージ及び多孔質フイルムの断面の1万倍走査電子顕微鏡写真から測定した。
(BET比表面積)
(株)島津製作所製の窒素の吸脱着方式による比表面積・細孔分布測定器ASAP2010を用いて、BET比表面積を測定した。
【0048】
(細孔容積)
(株)島津製作所製の窒素の吸脱着方式による比表面積・細孔分布測定器ASAP2010を用いて、BJH法にて細孔容積を測定した。
(通気度)
JIS P8117に準拠して測定した。
(貫通孔の平均孔径及び最大孔径)
(株)島津製作所製の窒素の吸脱着方式による比表面積・細孔分布測定器ASAP2010を用いて、BJH法にて孔径の分布を測定し、これより平均孔径と最大孔径とを求めた。
(フィブリルの平均径及び最大径)
多孔質フィルムの表面及び断面の5万倍走査顕微鏡写真から読み取った。
(放電容量)
放電速度5CmAの放電時における放電容量を求め、表1に記載する物性を有する市販品を1とする相対値にて示す。
【0049】
実施例1
重量平均分子量2×106 の超高分子量ポリエチレン樹脂(融点136℃)5重量部と重量平均分子量20万の高密度ポリエチレン樹脂(融点131℃)10重量部を流動パラフィン(凝固点−15℃、40℃における動粘度59cst)85重量部に加えてスラリーとし、これを二軸混練り機に仕込み、160℃の温度で約5分間、混練りして、超高分子量ポリエチレン樹脂組成物と溶媒との混練り物を得た。この後、この混練り物を−15℃まで急冷しながら、厚み4mmの第1のゲル状シートに成形した。
【0050】
別に、上記混練り物をプレスにて厚み4mmの第2のシートに成形し、表面温度が145℃のとき、上記第1のゲル状シートと貼り合わせた後、予め、ドライアイスで−50℃に冷却してある2枚の金属板の間に挟んで、急冷しながら、厚み8mmの一体化した貼り合わせゲル状シートに成形して、超高分子量ポリエチレン樹脂を結晶化させた。貼り合わせゲル状シートの最終温度は−40℃であった。
【0051】
次いで、この貼り合わせゲル状シートをプレスを用いて115℃の温度で縦横3×3倍に圧延した後、更に、115℃の温度で縦横4×4倍に同時二軸延伸し、次いで、ヘプタンに浸漬して脱溶媒し、このようにして得られた多孔質フィルムを120℃で10秒間、ヒートセットして、本発明による多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムの物性を表1及び表2に示す。
【0052】
実施例2
重量平均分子量2×106 の超高分子量ポリエチレン樹脂(融点136℃)15重量部を流動パラフィン(凝固点−15℃、40℃における動粘度59cst)85重量部に加えてスラリーとし、これを二軸混練り機に仕込み、160℃の温度で約5分間、混練りして、超高分子量ポリエチレン樹脂組成物と溶媒との混練り物を得た。この後、この混練り物を−15℃まで急冷しながら、厚み1mmの第1のゲル状シートに成形した。
【0053】
別に、上記混練り物をプレスにて厚み1mmの第2のシートに成形し、表面温度が155℃のとき、上記第1のゲル状シートとロールを用いて貼り合わせて、厚み2mmの貼り合わせシートとし、これを−25℃の冷却媒体に浸漬して、急冷しながら、一体化した貼り合わせゲル状シートに成形して、超高分子量ポリエチレン樹脂を結晶化させた。貼り合わせゲル状シートの最終温度は−20℃であった。
【0054】
次いで、この貼り合わせゲル状シートをプレスを用いて125℃の温度で縦横6×6倍に同時二軸延伸し、次いで、ヘプタンに浸漬して脱溶媒し、このようにして得られた多孔質フィルムを130℃で10秒間、ヒートセットして、本発明による多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムの物性を表1及び表2に示す。
【0055】
実施例3
重量平均分子量2×106 の超高分子量ポリエチレン樹脂(融点136℃)10重量部と重量平均分子量20万の高密度ポリエチレン樹脂(融点131℃)10重量部を流動パラフィン(凝固点−15℃、40℃における動粘度59cst)80重量部に加えてスラリーとし、これを二軸混練り機に仕込み、160℃の温度で約5分間、混練りして、超高分子量ポリエチレン樹脂組成物と溶媒との混練り物を得た。この後、この混練り物を−15℃まで急冷しながら、厚み2mmの第1のゲル状シートに成形した。
【0056】
別に、上記混練り物をプレスにて厚み1mmの第2のシートに成形し、表面温度が150℃のとき、上記第1のゲル状シートの間に挟んだ後、予め、ドライアイスで−50℃に冷却してある2枚の金属板の間に挟んで、急冷しながら、厚み5mmの一体化した貼り合わせゲル状シートに成形して、超高分子量ポリエチレン樹脂を結晶化させた。貼り合わせゲル状シートの最終温度は−40℃であった。
【0057】
次いで、この貼り合わせゲル状シートをプレスを用いて120℃の温度で縦横3×3倍に圧延した後、更に、120℃の温度で縦横3×3倍に同時二軸延伸し、次いで、ヘプタンに浸漬して脱溶媒し、このようにして得られた多孔質フィルムを125℃で10秒間、ヒートセットして、本発明による多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムの物性を表1及び表2に示す。
【0058】
実施例4
重量平均分子量2×106 の超高分子量ポリエチレン樹脂(融点136℃)4重量部と重量平均分子量20万の高密度ポリエチレン樹脂(融点131℃)11重量部を流動パラフィン(凝固点−15℃、40℃における動粘度59cst)85重量部に加えてスラリーとし、これを二軸混練り機に仕込み、160℃の温度で約5分間、混練りして、超高分子量ポリエチレン樹脂組成物と溶媒との混練り物を得た。この後、この混練り物を−15℃まで急冷しながら、厚み5mmの第1のゲル状シートに成形した。
【0059】
別に、上記混練り物をプレスにて厚み5mmの第2のシートに成形し、表面温度が145℃のとき、上記第1のゲル状シートの間に挟んだ後、予め、ドライアイスで−50℃に冷却してある2枚の金属板の間に挟んで、急冷しながら、厚み15mmの一体化した貼り合わせゲル状シートに成形して、超高分子量ポリエチレン樹脂を結晶化させた。貼り合わせゲル状シートの最終温度は−40℃であった。
【0060】
次いで、この貼り合わせゲル状シートをプレスを用いて115℃の温度で縦横3×3倍に圧延した後、更に、115℃の温度で縦横4×4倍に同時二軸延伸し、次いで、ヘプタンに浸漬して脱溶媒し、このようにして得られた多孔質フィルムを120℃で10秒間、ヒートセットして、本発明による多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムの物性を表1及び表2に示す。
【0061】
比較例1
重量平均分子量2×106 の超高分子量ポリエチレン樹脂(融点136℃)5重量部と重量平均分子量20万の高密度ポリエチレン樹脂(融点131℃)10重量部を流動パラフィン(凝固点−15℃、40℃における動粘度59cst)85重量部に加えてスラリーとし、これを二軸混練り機に仕込み、160℃の温度で約5分間、混練りして、超高分子量ポリエチレン樹脂組成物と溶媒との混練り物を得た。この後、この混練り物を、予め、ドライアイスで−50℃に冷却してある2枚の金属板の間に挟んで、急冷しながら、厚み8mmのゲル状シートに成形して、超高分子量ポリエチレン樹脂を結晶化させた。冷却停止温度は−40℃であった。
【0062】
次いで、このゲル状シートをプレスを用いて115℃の温度で縦横3×3倍に圧延した後、更に、115℃の温度で縦横4×4倍に同時二軸延伸し、次いで、ヘプタンに浸漬して脱溶媒し、このようにして得られた多孔質フィルムを120℃で10秒間、ヒートセットして、比較例としての多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムの物性を表1及び表2に示す。
【0063】
比較例2
重量平均分子量2×106 の超高分子量ポリエチレン樹脂(融点136℃)15重量部を流動パラフィン(凝固点−15℃、40℃における動粘度59cst)85重量部に加えてスラリーとし、これを二軸混練り機に仕込み、160℃の温度で約5分間、混練りして、超高分子量ポリエチレン樹脂組成物と溶媒との混練り物を得た。次いで、ロールを用いてこの混練り物を厚み2mmのシートに成形し、−25℃の冷却媒体に浸漬し、急冷して、超高分子量ポリエチレン樹脂を結晶化させて、ゲル状シートを得た。冷却停止温度は−20℃であった。
【0064】
次いで、このゲル状シートを125℃の温度で縦横6×6倍に同時二軸延伸した後、ヘプタンに浸漬して脱溶媒し、このようにして得られた多孔質フィルムを130℃で10秒間、ヒートセットして、比較例としての多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムの物性を表1及び表2に示す。
【0065】
比較例3
重量平均分子量2×106 の超高分子量ポリエチレン樹脂(融点136℃)5重量部と重量平均分子量20万の高密度ポリエチレン樹脂(融点131℃)10重量部を流動パラフィン(凝固点−15℃、40℃における動粘度59cst)85重量部に加えてスラリーとし、これを二軸混練り機に仕込み、160℃の温度で約5分間、混練りして、超高分子量ポリエチレン樹脂組成物と溶媒との混練り物を得た。この後、この混練り物を−15℃まで急冷しながら、厚み4mmの第1のゲル状シートに成形した。
【0066】
別に、上記混練り物をプレスにて厚み4mmの第2のシートに成形し、表面温度が180℃になるように加熱し、上記第1のゲル状シートと貼り合わせた後、予め、ドライアイスで−50℃に冷却してある2枚の金属板の間に挟んで、急冷しながら、厚み8mmの一体化した貼り合わせゲル状シートに成形して、超高分子量ポリエチレン樹脂を結晶化させた。貼り合わせゲル状シートの最終温度は−40℃であった。
【0067】
次いで、この貼り合わせゲル状シートをプレスを用いて115℃の温度で縦横3×3倍に圧延した後、更に、115℃の温度で縦横4×4倍に同時二軸延伸し、次いで、ヘプタンに浸漬して脱溶媒し、このようにして得られた多孔質フィルムを120℃で10秒間、ヒートセットして、本発明による多孔質フィルムを得た。この多孔質フィルムの物性を表1及び表2に示す。
【0068】
比較例4
重量平均分子量2×106 の超高分子量ポリエチレン樹脂(融点136℃)5重量部と重量平均分子量20万の高密度ポリエチレン樹脂(融点131℃)10重量部を流動パラフィン(凝固点−15℃、40℃における動粘度59cst)85重量部に加えてスラリーとし、これを二軸混練り機に仕込み、160℃の温度で約5分間、混練りして、超高分子量ポリエチレン樹脂組成物と溶媒との混練り物を得た。この後、この混練り物を−15℃まで急冷しながら、厚み4mmの第1のゲル状シートに成形した。
【0069】
別に、上記混練り物をプレスにて厚み4mmの第2のシートに成形し、表面温度115℃のとき、上記第1のゲル状シートと貼り合わせたが、一体化した貼り合わせ物を得ることができなかった。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【発明の効果】
以上のように、本発明の方法によって得られる多孔質フィルムは、高強度を有すると共に、BET比表面積が100m2 /g以上、BJH法で測定した細孔容積が0.5cm3 /g以上、更に、BJH法で測定した平均孔径が0.03μm以下、最大孔径が0.1μm以下である貫通孔を有し、三次元網状構造を構成するフィブリルの平均径が0.01〜0.1μm、最大径が0.2μm以下である。
【0073】
このように、本発明の方法によって得られる多孔質フィルムは、三次元網状構造を形成するフィブリルが微細均一であるので、突き刺し強度が大きく、高速充放電特性にすぐれるので、例えば、電気自動車用バッテリーのセパレータとして好適に用いることができる。
Claims (10)
- 重量平均分子量が5×105 以上の超高分子量ポリオレフィン樹脂を少なくとも15重量%含む超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物5〜30重量%と凝固点が−10℃以下である溶媒95〜70重量%とからなる混合物を加熱して、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物を上記溶媒中に溶解させ、得られた溶液を115〜240℃の範囲の温度で混練りし、この混練り物を用いた溶媒の凝固点以下の温度まで冷却しながら、第1のゲル状シートに成形して、超高分子量ポリオレフィン樹脂を結晶化させ、別に、重量平均分子量が5×105 以上の超高分子量ポリオレフィン樹脂を少なくとも15重量%含む超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物5〜30重量%と凝固点が−10℃以下である溶媒95〜70重量%とからなる混合物を加熱して、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物を上記溶媒中に溶解させ、得られた溶液を115〜240℃の範囲の温度で混練りし、この混練り物を第2のシートに成形し、この第2のシートにおける上記超高分子量ポリオレフィン樹脂の融点をMとするとき、その表面の温度を(M+30)℃から(M−10)℃の範囲として、その表面に上記第1のゲル状シートを貼り合わせた後、この貼り合わせシートを第2のシートの調製に用いた上記溶媒の凝固点以下の温度まで冷却しながら、一体の貼り合わせゲル状シートに成形して、第2のシートの超高分子量ポリオレフィン樹脂を結晶化させ、次いで、この一体の貼り合わせゲル状シートを(M+5)℃から(M−30)℃の範囲の温度にて二軸延伸して、延伸フィルムとし、次いで、この延伸フィルムを脱溶媒処理することを特徴とする多孔質フイルムの製造方法。
- 第1のゲル状シート及び/又は第2のシートの調製のための超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物が超高分子量ポリオレフィン樹脂と共に、重量平均分子量5×105 未満の第2のポリオレフィン樹脂を含む請求項1に記載の多孔質フィルムの製造方法。
- 超高分子量ポリオレフィン樹脂が重量平均分子量1×106 〜15×106 を有する請求項1又は2に記載の多孔質フィルムの製造方法。
- 第2のポリオレフィン樹脂が重量平均分子量1×104 〜3×105 の範囲の高密度ポリエチレン樹脂である請求項2に記載の多孔質フィルムの製造方法。
- 一体の貼り合わせゲル状シートから延伸フィルムへの延伸倍率が面積倍率にて4〜400倍の範囲である請求項1に記載の多孔質フイルムの製造方法。
- 溶媒が流動パラフィンである請求項1に記載の多孔質フイルムの製造方法。
- 一体の貼り合わせゲル状シートをM℃から(M−25)℃の範囲の温度にて二軸延伸する請求項1に記載の多孔質フイルムの製造方法。
- 第2のシートが126℃以上の表面温度を有する請求項1に記載の多孔質フイルムの製造方法。
- 一体の貼り合わせゲル状シートを(M+5)℃から(M−30)℃の範囲の温度にて圧延して、圧延フィルムとした後、この圧延フィルムを(M+5)℃から(M−30)℃の範囲の温度にて二軸延伸して、延伸フィルムとし、次いで、この延伸フィルムを脱溶媒処理する請求項1に記載の多孔質フイルムの製造方法。
- 重量平均分子量が5×105 以上の超高分子量ポリオレフィン樹脂を少なくとも15重量%含む超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物5〜30重量%と凝固点が−10℃以下である溶媒95〜70重量%とからなる混合物を加熱して、上記超高分子量ポリオレフィン樹脂組成物を上記溶媒中に溶解させ、得られた溶液を115〜240℃の範囲の温度で混練りし、この混練り物を用いた溶媒の凝固点以下の温度まで冷却しながら、第1のゲル状シートに成形して、超高分子量ポリオレフィン樹脂を結晶化させ、別に、上記混練り物を第2のシートに成形する請求項1に記載の多孔質フイルムの製造方法。
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