JP4114738B2 - 電磁波発生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波を発生させる装置に係わり、特に、電磁波発振素子であるマグネトロンを高電圧パルスで駆動してGHzオーダーの周波数で高出力の電磁波を発生させ、各種の分野での応用が可能な電磁波発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図21は、従来の電磁波発生装置200の構成図であり、この電磁波発生装置200は、高い直流電圧を発生するための直流電圧発生部10と、直流電圧発生部10から供給される電流を増幅するMC爆薬発電機(エネルギー増幅・蓄積部)20と、常時は閉状態でMC型爆薬発電機20による電気エネルギーの通過を可能とし、制御信号が与えられると閉状態となって高電圧パルスを発生させるプラズマスイッチ(スイッチング部)40と、アノード61、バッテリ64の両端にスイッチ65を介して接続されたカソード62を有し、高電圧パルスが印可されると電磁波を発振する高周波出力部63を備えるマグネトロン60と、マグネトロン60に接続されたアンテナ70と、直流電圧発生部10に設けられたスイッチ11と、MC型爆薬発電機20に設けられた電気雷管21およびスイッチ65に起動信号や制御信号を所定のタイミングで供給する制御部80と、制御部80を起動するためのスイッチ90とを含んで構成されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ここで、プラズマスイッチ40は、MC型爆薬発電機20が接続される2つの電極と、2つの電極間に供給される電流が所定以上になったときに溶融してプラズマとなる図示しない金属薄膜と、図示しない爆薬と、前記制御信号が与えられるとこれを起動信号として前記爆薬を爆発させる電気雷管41とを有している。
この従来の電磁波発生装置200の動作は次のようになる。
【0004】
先ず、スイッチ90を操作すると、制御部80は、制御信号をスイッチ65に与えてスイッチ65を閉状態にして、バッテリ64を加熱電源としてカソード62に電圧供給を行ってマグネトロン60の加熱を開始する。そして、制御部80は、マグネトロン60の加熱開始から所定時間経過後、スイッチ11に起動信号を供給する。これにより直流電圧が電流としてMC型爆薬発電機20に供給され始めた後、制御部80は電気雷管21に起動信号を供給する。これにより、「直流電圧発生部10→MC型爆薬発電機20→プラズマスイッチ40」の経路中を増幅されながら電流が流れる。
【0005】
さらに、制御部80は、電気雷管21を起爆してから所定時間経過後、電気雷管41に起動信号を供給する。これにより、プラズマスイッチ40は閉状態から高抵抗状態(開状態)となり、プラズマスイッチ40に電流が流れなくなる。これにより、立ち上がりの速い高電圧パルスがマグネトロン60のアノード61、カソード62間に印可され、マグネトロン60の高周波出力部63では電磁波が発振され、発振された電磁波はアンテナ70を介して放射される。
【0006】
なお、電磁波発生装置200においては、高い直流電圧を発生する直流電圧発生部10から供給される電流を増幅しつつ、その増幅した電流を電気エネルギーとして蓄積するMC型爆薬発電機20は、常時は閉状態で当該MC型爆薬発電機20による電気エネルギーの通過が可能とされて、制御部80からの制御信号が与えられると開状態となって高圧パルスを発生させるプラズマスイッチ40と接続するように構成されている。
【特許文献1】
特開2000−049537号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような従来の電磁波発生装置200は、以下のような課題を有していた。
MC型爆薬発電機20の作動後、プラズマスイッチ40を開にする時点で、回路のインダクタンスはほとんど零になっており、そのためMC型爆薬発電機20からプラズマスイッチ40へのエネルギーの伝達がうまく行えず、これにより、プラズマスイッチ40で発生した高電圧パルスは30kV程度を越えることができず、その結果、マグネトロン60から出力される電磁波の電力値を大きくすることが困難となっていた。
【0008】
さらに、高電圧パルスの立ち上がりは、プラズマスイッチ40の抵抗値の上昇時間により決まり、通常数μsかかる。しかし、マグネトロン60を正常に発振させるために数10nsの立ち上がり時間をもつパルス波形をなすような高電圧パルスが望まれていた。
そこで、本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、その目的は、電気エネルギーの蓄積およびその伝達がうまくでき、スイッチング部を開にしたとき、より高い高電圧パルスを発生することを可能にすることで高出力の電磁波を出力することができる電磁波発生装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明では、直流電圧を発生する直流電圧発生部と、前記直流電圧発生部から供給される電流を増幅するエネルギー増幅部と、前記エネルギー増幅部と直列に接続され、増幅した電流を電気エネルギーとして蓄積するエネルギー蓄積部と、前記エネルギー蓄積部と接続され、常時は閉状態で前記エネルギー蓄積部による電気エネルギーの通過を可能とし、制御信号が与えられると開状態となって高電圧パルスを発生させるスイッチング部と、常時は開状態で前記高電圧パルスの電圧値が所定の値になると作動して、高速な立ち上がりパルス電圧波形を供給するスイッチと、前記高電圧パルスが印可されると電磁波を発生するマグネトロンと、前記マグネトロンに接続されたアンテナと、前記制御信号を所定のタイミングで供給する制御部とを備えていることを特徴としている。
【0010】
これによれば、エネルギー増幅部は、インダクタンスを小さくしながら直流電圧発生部から発生する電流を増幅しながら、エネルギー蓄積部およびスイッチング部へ通電し、増幅を終えた時点ではインダクタンスは零となり、電気エネルギーはエネルギー蓄積部へ蓄積される。
さらに、スイッチング部は、常時は閉状態でエネルギー蓄積部による電気エネルギーの通過を可能とし、制御部から制御信号が与えられると開状態となって、高電圧パルスを発生させるが、エネルギー蓄積部でのインダクタンスの存在により、エネルギー蓄積部からスイッチング部へのエネルギーの移行が正常に行われ、スイッチングで発生する高電圧パルスは大きな値となる。
【0011】
そして、高電圧パルスの電圧値が所定の値になるとスイッチが作動し、マグネトロンに高速な立ち上がり電圧波形をもつ高電圧パルスを印可することが可能となり、アンテナから高周波、高出力の電磁波が出力される。
【0012】
また、請求項1に係る発明では、前記制御部が、起動信号を所定のタイミングで供給するようにも構成されており、前記エネルギー増幅部が、爆薬及び前記起動信号が与えられると起爆して前記爆薬を起爆させる電気雷管とを内蔵するライナと、このライナの外周に設けたコイルと、を含んで成るMC型爆薬発電機で構成されていることを特徴としている。
【0013】
これによれば、起動信号が与えられた電気雷管が起爆して爆薬を爆発しライナを順次拡張してコイルを短絡していくので、大きな電流増幅が行われる。
また、請求項1に係る発明では、前記スイッチング部が、前記エネルギー蓄積部が接続される2つの電極と、前記2つの電極間に供給される電流が所定以上になったときに溶融してプラズマとなる金属薄膜と、爆薬と、前記制御信号が与えられると前記爆薬を爆発させる電気雷管と、を含んで成ることを特徴としている。
【0014】
これによれば、制御信号が与えられた電気雷管が爆発して爆薬を爆発し、導電性を有するプラズマが高速に圧縮するので、急激に抵抗値が大きくなって蓄積されていたエネルギーを急速にスイッチングして高電圧パルスを得ることができる。
また、請求項1に係る発明では、前記スイッチが、電極が対向されて配置されており、所定の電圧に達したときに前記電極間がオン状態とされるギャップスイッチであることを特徴としている。すなわち、ギャップスイッチにより高電圧パルスの電圧値が所定の値になると作動するスイッチを構成することができる。
また、請求項2に係る発明では、請求項1に係る発明において、前記エネルギー蓄積部が、直列リアクトルで構成され、そのインダクタンス値が、周波数1kHzにおいて4μH〜10μHに設定されていることを特徴としている。
【0015】
これによれば、電圧パルスの値はスイッチングするときの回路のインダクタンス値および電流の時間変化率の積に比例するが、エネルギー蓄積部の直列リアクトルのインダクタンス値を周波数1kHzにおいて4μHから10μHに選定しておくことにより、エネルギー蓄積部の電気エネルギーの蓄積を可能とし、スイッチング作動時、回路のインダクタンス値および電流の時間変化率の積が大きくなり、スイッチング部の発生パルス電圧の値を大きくすることができる。
【0016】
また、請求項3に係る発明では、請求項1又は2に係る発明において、前記エネルギー蓄積部が、空芯トランスで構成され、前記空芯トランスの一次側コイルの漏れインダクタンス値が、周波数1kHzにおいて0.4μH〜0.6μH、前記空芯トランスの二次側コイルの漏れインダクタンス値が、周波数1kHzにおいて4μH〜10μHに設定されていることを特徴としている。
【0017】
これによれば、電圧パルスの値はスイッチングするときの回路のインダクタンス値および電流の時間変化率の積に比例するが、エネルギー蓄積部の空芯トランスの一次漏れインダクタンス値を周波数1kHzにおいて0.4μHから0.6μHに、二次漏れインダクタンス値を周波数1kHzにおいて4μHから10μHにしておくことにより、エネルギー増幅部の電流増幅作用を阻害することなく、エネルギー蓄積部のエネルギー蓄積を可能とし、スイッチング作動時、回路のインダクタンス値および電流の時間変化率の積が大きくなり、スイッチング部の発生パルス電圧の値を大きくすることができる。
【0018】
また、請求項4に係る発明では、請求項1乃至3のいずれかに係る発明において、前記エネルギー蓄積部が、三巻線をもつ鉄芯トランスで構成され、前記鉄芯トランスの一次巻線の漏れインダクタンス値が、周波数1kHzにおいて0.4μH〜0.6μH、前記鉄芯トランスの二次側コイルの漏れインダクタンスが、周波数1kHzにおいて4μH〜10μHに設定されていて、前記鉄芯が、高飽和磁束密度および高透磁率をもち、前記鉄芯トランスの三次巻き線が、リセット電流の通電を可能とし、前記スイッチング部が動作する前にリセット電流を通電しておくことにより、パルス電流200kAを通電しても前記鉄芯は磁気飽和を起こさないことを特徴としている。
【0019】
これによれば、電圧パルスの値はスイッチングするときの回路のインダクタンス値および電流の時間変化率の積に比例するが、エネルギー蓄積部の鉄芯は高飽和磁束密度および高透磁率をもち、鉄芯トランスの一次漏れインダクタンス値を周波数1kHzにおいて0.4μHから0.6μHに、二次漏れインダクタンス値を周波数1kHzにおいて4μHから10μHにしておき、三次巻き線はリセット電流の通電を可能とし、スイッチング部の作動前にリセット電流を通電しておくことにより、エネルギー増幅部の電流増幅作用を阻害することなく、二次巻き線に流れる電流の磁気飽和による限流をなくし、エネルギー蓄積部のエネルギー蓄積を可能とし、スイッチング作動時、回路のインダクタンス値および電流の時間変化率の積が大きくなり、スイッチング部の発生パルス電圧の値を大きくすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる電磁波発生装置100のブロック構成図を示している。
電磁波発生装置100は、直流電圧を発生させる直流電圧発生部10と、直流電圧発生部10から供給される電流を増幅するエネルギー増幅部としてのMC型爆薬発電機20と、MC型爆薬発電機20と直列に接続され、増幅した電流を電気エネルギーとして蓄積するエネルギー蓄積部30と、エネルギー蓄積部30と接続され、常時は閉状態でエネルギー蓄積部30による電気エネルギーの通過を可能とし、制御信号が与えられると開状態となって高電圧パルスを発生させるスイッチング部としてのプラズマスイッチ40と、常時は開状態でプラズマスイッチ40の高電圧パルスが所定の電圧値になると作動し、高速な立ち上りパルスを発生させるスイッチとされるギャップスイッチ50と、アノード61、バッテリ64の両端にスイッチ65を介して接続されたカソード62を有し、高電圧パルスが印加されると電磁波を発振する高周波出力部63を備えるマグネトロン60と、発振された電磁波を放射するためのアンテナ70と、直流電圧発生部10に設けられたスイッチ11と、MC型爆薬発電機20に設けられた電気雷管21およびスイッチ65に起動信号や制御信号を所定のタイミングで供給する制御部80と、制御部80を起動するためのスイッチ90とを有している。
【0021】
先ず、各構成要素の構成や動作について説明し、その後、装置全体について説明する。
図2は、本発明による直流電圧発生部10の一例であるMHD型爆薬発電機120の構成例を示す図である。
MHD型爆薬発電機120は、図2に示すように、プラズマを発生させるプラズマ発生部130(図3に詳細を示す。)と、プラズマの進行に起因した起電力を得るための起電力発生部140(図4に詳細を示す。)とを有している。
【0022】
プラズマ発生部130は、図3中(a)および(b)に示すように、収納容器131に爆薬132とアルゴンガスを封入したものに電気雷管133を設けた構成になっていて、制御部80が電気雷管133に起動信号を与えると、電気雷管133が起爆して爆薬132が爆発することによってアルゴンガスがプラズマ状態になってプラズマが所定方向に進行する。
【0023】
また、図4中(a)および(b)は、各々起電力発生部140の正面図、平面図であり、図4中(b)の平面図は、図4中(a)の正面図を図4中(a)中の符号A方向から見たものである。図4中(b)に示すように、プラズマの進行方向は、図中、左から右に向かう方向に設定するため、図4中(a)でのプラズマの進行方向は、紙面に垂直に、紙面手前側から向かう側の方向(矢印で「プラズマの進行方向」を図示)となる。
【0024】
この起電力発生部140は、長手方向が、プラズマの進行方向となるように、所定の間隔を設けて延在する1対の電極固定部材144a,144bと、同じく長手方向がプラズマの進行方向となるように、所定の間隔を設けて延在する1対の磁石固定部材142a,142bとを有し、1対の電極固定部材144a,144bと1対の磁石固定部材142a,142bとで、起電力発生部外観が、プラズマ進行方向に長い直方体形状となっていて、1対の磁石固定部材142a,142bには夫々、プラズマ進行方向が長手方向となる、N極永久磁石141a、S極永久磁石141b(磁界発生手段)が装着されているとともに、1対の電極固定部材144a,144bには夫々、プラズマ進行方向が長手方向となる、電極143a、電極143bが装着されていて、さらに、電極143a、電極143bの夫々には得られた直流起電力を後に説明するMC型爆薬発電機20に供給するための電線145a、電線145bが接続されている。したがって、図4中(a)において、磁界の方向は、紙面に平行で、紙面上側から下側に向かう方向になり、プラズマ進行方向と磁界の方向とが直交する。
【0025】
さて、プラズマが進行すると、以下に示すような起電力が発生し、この起電力が電線145a、電線145bを介して電流としてMC型爆薬発電機20に供給される。この起電力はフレミング右手の法則によって求まり、起電力をE、プラズマの速度をV、電極間の間隔をd、N極永久磁石141a、S極永久磁石141bで発生される磁界をBとすると、「E=v・B・d」なる式で求まる。
【0026】
したがって、充電操作等を不要として、爆薬132の爆発によって生成され高速で進行するプラズマによって充分高い直流電圧を得ることが可能となる。
もちろん、電流電圧発生部10にMHD型爆薬発電機の替わりに、充電されたコンデンサ等を用いてもよく、これによって小型、軽量な装置を実現できる。
図5は、直流電圧発生部10をコンデンサ群で構成した例を示す。この図5に示す直流電圧発生部10は、コンデンサバンク110として構成されたものであり、コンデンサ111を直・並列して構成されている。このような構成により、所望の電圧を得るためにコンデンサ111を必要数直列接続し、所望の電流を得るために、コンデンサ111を並列接続することができる。
【0027】
図6は、直流電圧発発生部10をバッテリ群150として構成した例を示す。この図6に示すバッテリ群150は、所望の電圧を得るためにバッテリ151を直列接続し、所望の電流を得るためにバッテリ151を並列接続して構成されている。
次に、図7の模式図を参照して、MC型爆薬発電機20の構成や動作の概要について説明する。
【0028】
MC型爆薬発電機20は、内部に爆薬24を充填したライナ23とこのライナ23の外周に沿って構成されるコイル22とを有し、通常、コイル22とライナ23の間隔に絶縁ガスが封入された構成となっていて、さらに、爆薬24中には起動信号が与えられると起爆する電気雷管21が設けられている。
なお、コイル22の一方の端子は、直流電圧発生部10の電線145aに接続されるとともに、コイル22の他方の端子は、マグネトロン60のアノード61に接続されている。
【0029】
そして、爆薬24中に設けた電気雷管21を起爆させて爆薬24を爆発させると、ライナ23が順次拡張してコイル22を短絡していくので、コイルのインダクタンスが小さくなる。一方、コイル中の磁束φは一定に保たれているため(φ(磁束)=L(インダクタンス)×i(電流)=一定)、電流が急激に増幅される。
【0030】
このように、起爆信号が与えられた電気雷管が起爆して爆薬24を爆発し、ライナ23を順次拡張してコイル22を短絡していくので、大きな電流増幅が行われる。
次に、図8から図13を参照して、エネルギー蓄積部30の構成や動作の概要について説明する。
【0031】
先ず、図8および図9を参照して、エネルギー蓄積部30の構成や動作の概要について説明する。図8は、第1のコイル32aおよび第2のコイル32bから構成されるエネルギー蓄積部30の一例である直列リアクトル31aを示す。また、図9は、その直列リアクトル31aからなるエネルギー蓄積部30の電磁波発生装置100における具体的な接続状態を示す。
【0032】
第1のコイル32aおよび第2のコイル32bは、MC型爆薬発電機20と直列に接続されており、MC型爆薬発電機20の電流を通電し、電気エネルギーとして蓄積する。
直列リアクトル31aのインダクタンス値は、周波数1kHzにおいて4μH〜10μHに設定されていて、例えばインダクタンス値が6μHとすると、MC型爆薬発電機20のインダクタンス値が作動して、その初期値が例えば100μHが作動終了後0μHに変化しても、前記直列リアクトル31a電流値は概ねインダクタンス値の比(100÷6)として、概ね16倍に増幅され、それが直列リアクトル31aに電気エネルギーとして蓄積される。
【0033】
電圧パルスの値はスイッチングするときの回路のインダクタンス値および電流の時間変化率の積に比例するが、前述したようにエネルギー蓄積部30を直列リアクトル31aとして構成し、その直列リアクトル31aのインダクタンス値を周波数1kHzにおいて4μHから10μHに選定しておくことにより、エネルギー蓄積部30としての電気エネルギーの蓄積を可能にしている。
【0034】
なお、直列リアクトル31aのインダクタンス値は、周波数1kHzにおいて4μH〜10μHに設定されることに限定されるものではなく、望ましくは周波数1kHzにおいて5μH〜10μHであってもよい。
次に、図10および図11を参照して、他の構成のエネルギー蓄積部30の構成や動作の概要について説明する。図10は、一次コイル33aおよび二次コイル34aから構成されるエネルギー蓄積部30の一例である空芯トランス31bを示す。また、図11は、その空芯トランス31bからなるエネルギー蓄積部30の電磁波発生装置100における接続状態を示す。
【0035】
一次コイル33aおよび二次コイル34aは、MC型爆薬発電機20と直列に接続されており、MC型爆薬発電機20の電流を通電し、電気エネルギーとして蓄積する。ここで、空芯トランス31bの一次コイル33aの漏れインダクタンス値は、周波数1kHzにおいて0.4μH〜0.6μHに設定されており、二次コイル34aの漏れインダクタンス値は、周波数1kHzにおいて4μH〜10μHに設定されている。
【0036】
例えば一次コイル33aの漏れインダクタンス値を周波数1kHzにおいて0.5μHと設定したときでは、MC型爆薬発電機20が作動して、その初期のインダクタンス値、例えば100μHが作動終了後0μHに変化しても、電流値は概ねインダクタンス値の比(100÷0.5)として、概ね200倍に増幅されるが、空芯トランスの一次コイル33aと二次コイル34aとの結合係数が概ね0.1であるため、空芯トランス31bの二次コイル34aにはMC型爆薬発電機20の初期電流の20倍の電流が通電され、それが空芯トランス31bに電気エネルギーとして蓄積される。
【0037】
電圧パルスの値はスイッチングするときの回路のインダクタンス値および電流の時間変化率の積に比例するが、前述したようにエネルギー蓄積部30を空芯トランス31bとして構成し、その空芯トランス31bの一次漏れインダクタンス値を周波数1kHzにおいて0.4μHから0.6μHに、二次漏れインダクタンス値を周波数1kHzにおいて4μHから10μHにしておくことにより、エネルギー増幅部(MC爆薬発電機20)の電流増幅作用を阻害することなく、エネルギー蓄積部30としてエネルギー蓄積を可能にしている。
【0038】
なお、空芯トランス31bの一次コイル33aの漏れインダクタンス値は、周波数1kHzにおいて0.4μH〜0.6μHに設定されることに限定されるものではなく、望ましくは周波数1kHzにおいて0.5μH〜0.6μHであってもよい。また、空芯トランス31bの二次コイル34aの漏れインダクタンス値は、周波数1kHzにおいて4μH〜10μHに設定されることに限定されるものではなく、望ましくは周波数1kHzにおいて5μH〜10μHであってもよい。
【0039】
次に、図12ないし図14を参照して、さらに他のエネルギー蓄積部30の構成や動作の概要について説明する。図12は、一次コイル33bおよび二次コイル34bから構成されるエネルギー蓄積部30の一例である鉄芯トランス31cを示す。また、図13は、その鉄芯トランス31cからなるエネルギー蓄積部30の電磁波発生装置100における接続状態を示す。
【0040】
一次コイル33bおよび二次コイル34bはMC型爆薬発電機20と直列に接続されており、MC型爆薬発電機20の電流を通電し、電気エネルギーとして蓄積する。
ここで先ず、鉄芯36の磁気飽和現象について説明する。図14は、鉄芯36のヒステリシス特性を示すB(磁束密度)−H(起滋力)曲線である。
【0041】
ここでは、鉄芯36の磁気特性にかかわる飽和磁束密度および透磁率の大きいものを用いることにより、B(磁束密度)およびH(起磁力)を大きくしている。さらに、作動前に、図12および図13に示すスイッチ38をオンし、バッテリ37からリセットコイル35に通電することにより、鉄芯36の磁気特性の初期状態を図14に示すヒステリシス曲線のa点からc点に移動させておく。こうすることにより、鉄芯36の磁気特性はc点からb点上を移動するため、鉄芯36の磁気飽和が起こりにくくなる。
【0042】
このような構成において、MC型爆薬発電機20を動作させたとき鉄芯トランス31cの動作は次のようになる。
ここで、鉄芯トランス31cの一次コイル33bの漏れインダクタンス値は、周波数1kHzにおいて0.4μH〜0.6μHに設定されており、二次コイル34bの漏れインダクタンス値は、周波数1kHzにおいて4μH〜10μHに設定されている。
【0043】
例えば一次コイル33bの漏れインダクタンスを周波数1kHzにおいて0.5μHと設定したときでは、MC型爆薬発電機20のインダクタンス値が作動して、その初期値概ね100μHが作動終了後0μHに変化しても、電流値は概ねインダクタンス値の比(100÷0.5)として、概ね200倍に増幅されるが、鉄芯トランス31cの一次コイル33bと二次コイル34bとの結合係数が概ね0.3であるため、鉄芯トランス31cの二次コイル34bにはMC型爆薬発電機20の初期電流の60倍の電流が通電され、鉄芯トランス31cに電気エネルギーとして蓄積される。
【0044】
電圧パルスの値はスイッチングするときの回路のインダクタンス値および電流の時間変化率の積に比例するが、前述したようにエネルギー蓄積部30を高飽和磁束密度および高透磁率をもつ鉄芯トランス31cとして構成し、その鉄芯トランスの一次漏れインダクタンス値を周波数1kHzにおいて0.4μHから0.6μHに、二次漏れインダクタンス値を周波数1kHzにおいて4μHから10μHにしておき、三次巻き線をリセット電流の通電を可能とし、プラズマスイッチ40の作動前にリセット電流を通電しておくことにより、エネルギー増幅部(MC爆薬発電機20)の電流増幅作用を阻害することなく、二次巻き線に流れる電流の磁気飽和による限流をなくし、エネルギー蓄積部30としてエネルギー蓄積を可能にしている。
【0045】
なお、鉄芯トランス31cの一次コイル33bの漏れインダクタンス値は、周波数1kHzにおいて0.4μH〜0.6μHに設定されることに限定されるものではなく、望ましくは1kHzにおいて0.5μH〜0.6μHであってもよい。また、鉄芯トランス31cの二次コイル34bの漏れインダクタンス値は、周波数1kHzにおいて4μH〜10μHに設定されることに限定されるものではなく、望ましくは周波数1kHzにおいて5μH〜10μHであってもよい。
【0046】
このように、種々の構成としてエネルギー蓄積部30が構成されており、その構成に応じた動作特性を有している。
次に、図15を参照して、プラズマスイッチ40の構成や動作の概要について説明する。図15中(a)および(b)は、プラズマスイッチ40の一例の構成を模式的に示したもので、図15中(b)は、図15中(a)のA−A線断面図である。
【0047】
このプラズマスイッチ40は、円盤状で銅等の導電性材料で形成された電極44aと、この電極44aの外形より大きな円形状の中空部を有し、銅等の導電性材料で形成された円盤状の電極44bと、その中空部を塞ぐように設けられた、アルミ箔等の金属薄膜45とを有していて、これらの上下両側に爆薬43が備えられた状態で収納筺体42に収納されている。さらに、爆薬43中には、起動信号が与えられると起爆する電気雷管41が設けられているとともに、電極44a,44bの夫々には電線46a,46bが接続されていて、この電線44a,44bは、エネルギー蓄積部30の両端子と、ギャップスイッチ50の両端子に接続されている。
【0048】
さて、エネルギー蓄積部30によって蓄積された電流は、電線46aおよび電線46bを介して電極44aおよび電極44b間を流れるが、所定値以上の電流が流れるとアルミ箔が溶融し、導電性を有するプラズマとなった状態で、電流が電極44a、電極44b間を流れるようになる。
そして、この後、電気雷管41を起爆し、爆薬43を爆発させると、アルミ箔の溶融によって生成されたプラズマが上下両側から急激に圧縮されるため、導電部の体積が急激に小さくなって急激に抵抗値が大きくなり、プラズマスイッチ40が電流を流さないような状態になる。
【0049】
このように、爆薬を用いて高速にスイッチング動作を行うことが可能となり、これにより蓄積されたエネルギーを高速にスイッチングして高電圧パルスを得ることが可能になる。
なお、プラズマスイッチ40の代わりに、オフスイッチとして機能するヒューズを用いてもよく、これによっても装置構成を簡素化できる。
【0050】
次に、図16を参照して、ギャップスイッチ50の構成や動作の概要について説明する。図16は、ギャップスイッチ50の一例の構成を模式的に示したものである。
このギャップスイッチ50は、球状で銅等の導電性材料で形成された電極51aと電極51bとを気中で狭いギャップを隔てて対向させており、所定の電圧に達したときに電極51a,51b間がオン状態とされるスイッチである。このギャップスイッチ50の電極51a,51bがそれぞれ電線52a,52bに接続され、電線52cとともに、プラズマスイッチ40およびマグネトロン60へ接続されている。
【0051】
図17中(a)および(b)を用いてギャップスイッチ50の動作を説明する。図17中(a)では、縦軸はプラズマスイッチ40が作動を開始後のプラズマスイッチ40の出力電圧を示し、横軸は時間を示す。図17中(b)では、縦軸はギャップスイッチ50の出力電圧を示し、横軸は時間を示す。
プラズマスイッチ40が作動後、ギャップスイッチ50の電極51a,51bの間隔によって決まる所定の電圧値に達したとき(図17中(a)の電圧値V1)、ギャップスイッチ50が作動し、図17中(b)に示すような立ち上がり速度の速いパルス電圧をマグネトロン60へ供給する。
【0052】
マグネトロン60は、アノード61に発振下限電圧V1以上かつ電圧の立ち上がり波形がV2/秒傾きを有する電圧が印可されると、高周波出力部63で発振された電磁波を出力するもので、このために、制御信号を与えてスイッチ65を閉状態にしてバッテリ64の電圧をカソード62に印可して、マグネトロン60を加熱状態にしておく。
【0053】
アンテナ70は、マグネトロン60の高周波出力部63から出力される電磁波を放射するためのものであり、例えば、パラボラ型、角錐ホーン型、円錐ホーン型、レンズ付円錐ホーン型等のアンテナで実現可能である。高周波出力部63とアンテナ70との接続のために、導波管やコーナベント等の高周波デバイスを必要に応じて用いるようにすればよい。
【0054】
制御部80は、後に説明する制御動作を行うものであって、例えば、動作プログラムを内蔵したROMと、動作プログラムにしたがって所望の信号を出力するCPUを有して実現可能である。
以上のように電磁波発生装置100が構成されている。なお、以上のような構成において、具体的には、電気雷管21、41、133としては、鉱工業用6号電気雷管、時間精度が高い地震探索用電気雷管、ガス導管起爆システム、ノネルシステム(両システムは、非電式起爆システムで周囲の電流による誤動作が防止され、高信頼性を有する)等を用いればよく、また、爆薬としては、ダイナマイト、含水爆薬、硝安爆薬、硝安油剤爆薬等の爆薬や、PETN、RDX、HMT、TNT等の単一品または2種以上の混合品、または、これらに、油脂系・シリコン系のバインダ、硝酸塩・塩素酸等の酸化剤を加えたものを用いればよい。
【0055】
次に、制御部80による制御信号や起動信号の供給タイミングに基づく電磁波発生装置100全体としての動作について説明する。図18は、制御部80による制御信号や起動信号の供給タイミングを示す。
図18に示すように、まず、スイッチ90を操作すると制御部80は、制御信号をスイッチ65に与えてスイッチ65を閉状態にして、バッテリ64を加熱電源としてカソード62に電圧供給を行ってマグネトロン60の加熱を開始する。
【0056】
300(秒)経過してマグネトロン60の加熱が充分行われた後、制御部80は、スイッチ11に起動信号を供給する。これにより直流電圧が電流としてMC型爆薬発電機20に供給され始めた後、制御部80は電気雷管21に起動信号を供給する。
これにより、電流が「直流電圧発生部10→MC型爆薬発電機20→エネルギー蓄積部30→プラズマスイッチ40」の経路中を増幅されながら流れ、「(1/2)・L・i2(Lはエネルギー蓄積部二次側から見たインダクタンス、iは電流)」なる電気エネルギーがエネルギー蓄積部30のコイルに蓄積される。
【0057】
このとき、前記経路に流れる電流は、図19中(a)(電流i)の符号Aで示すようになる。さらに、電気雷管21を起爆してから50(μs)を経過して、制御部80は、電気雷管41に起動信号を供給する。これにより、プラズマスイッチ40は閉状態から高抵抗状態(開状態)となり、プラズマスイッチ40に電流が流れなくなり、前述経路に流れる電流は、図19の符号Bで示すようになる。
【0058】
このときのスイッチング時間(閉状態から開状態にする時間をdtとすると、「−L・(di/dt)」なる高電圧がギャップスイッチ50に印可される。この高電圧の発生の様子を図19中(b)のVpとして併記する。
ギャップスイッチ50に印可された電圧がギャップ間隔で決まる所定の電圧値に到達したとき、ギャップ間で放電が発生し、ギャップスイッチ50の二次側に立ち上がり時間の速い高電圧パルスが発生する。この高電圧の発生の様子を図19中(c)のVgとして併記する。
【0059】
このようにして、立ち上がりの速い高電圧パルスがマグネトロン60のアノード61、カソード62間に印可され、マグネトロン60の高周波出力部63では電磁波が発振され、発振された電磁波はアンテナ70を介して放射される。
このようにして、パルス電圧の立ち上がり要求が速く(30〜50kV/μs)、発振条件下限電圧が高いマグネトロンであっても、電磁波の発振が可能となり、高出力、高周波数(GHzオーダー)の電磁波が放射される。
【0060】
ここで具体的な実験例について説明する。
直流電圧発生部10として45μFのコンデンサを6個並列に接続し、電圧7.5kVで充電したものを用いた。MC型爆薬発電機20として、全長1000mm、直径200mm、コイル径160mm、コイルピッチ8mm、コイル巻数63、コイル初期インダクタンス100μHのものを用いた。プラズマスイッチ40として、直径240mm、厚さ34mm、電極間隔60mm、金属箔として銅箔、厚さ50μm、ギャップスイッチ50として、空気中に径10mmの球ギャップを対向させ、ギャップ間隔を3.2mmとしたもの、マグネトロン60として周波数9.4GHz、出力500kW、パルス電圧50kV、パルス立ち上がり150kV/μs、アンテナとして角錐ホーンアンテナ、ゲイン20dBのものを用いた。
【0061】
図20中(a)は、従来技術によるもので、エネルギー蓄積部30のないものであって、プラズマスイッチ40の電流は500kAと大きいにもかかわらず、プラズマスイッチ40の発生するパルス電圧は30kVにとどまって、マグネトロン60を発振するに至らなかった。
図20中(b)は、エネルギー蓄積部30として、図8および図9に示す第1の直列リアクトル31aを用いた場合の結果を示す。結果では、そのインダクタンス値を1kHzにおいて4.5μHとしたところ、プラズマスイッチ40の電流は100kAであったが、プラズマスイッチ40の発生するパルス電圧は60kVであり、これにより、マグネトロン60を発振することができた。
【0062】
図20中(c)は、エネルギー蓄積部30として、図10および図11に示す空芯トランス31bを用いた場合の結果を示す。結果では、その一次漏れインダクタンス値を0.5μHとし、二次漏れインダクタンス値を5μHとしたところ、プラズマスイッチ40の電流は150kAであったが、プラズマスイッチ40の発生するパルス電圧は80kVであり、これにより、マグネトロン60を発振することができた。
【0063】
図20中(d)は、エネルギー蓄積部30として、図12および図13に示す鉄芯トランス31cを用いた場合の結果を示す。結果では、その一次漏れインダクタンス値を0.5μHとし、二次漏れインダクタンス値を5μHとしたところ、プラズマスイッチ40の電流は200kAであったが、プラズマスイッチ40の発生するパルス電圧は100kVであり、これにより、マグネトロン60を発振することができた。このように、GHzオーダーの高い周波数で、かつ、電界強度の大きな電磁波が得られることが確認できた。
【0064】
なお、この電磁波発生装置100の応用例としては、まずこれらの装置を各種電子機器の耐電磁波ノイズ性の評価用に用いることが考えられる。具体的には、評価対象機器に対して、アンテナ70から放射される電磁波を照射して、その破損状態を評価することによって、各種の電子機器の耐ノイズ性の評価が可能になる。
【0065】
また、この電磁波発生装置100から放射される電磁波を、受信基地側のアンテナで検出して、電磁波を放射した装置の存在位置を把握可能とするシステムに用いることも可能である。このような使用様態によれば、海洋上、山間地等の遠隔地における、自身の存在位置を通知することが可能となる。
このように、この電磁波発生装置の応用には様々なものが考えられ、ここに記載した応用例はその数例に過ぎないことは言うまでもない。
【0066】
以上説明した本発明の実施形態によれば、スイッチ65を閉状態にしてマグネトロン60のカソード62へのヒート電圧印可を開始し、このヒート電圧印可開始から300(s)後に、スイッチ11を閉にし、直流電圧発生部10から直流電圧を発生し、その後100(μs)後に、電気雷管21を起爆してMC型爆薬発電機20の爆発制御を行い、直流電圧発生部10で生成された直流電流によって供給される電流を増幅し、さらに、この増幅電流を通常は電気エネルギーとしてエネルギー蓄積部30に蓄積されるようにしておき、電気エネルギーを用いて高電圧パルスを発生するように、MC型爆薬発電機20の爆発制御から30(μs)後に電気雷管41を起爆してプラズマスイッチ40を爆発制御するため、プラズマスイッチ20の作動時は回路に所定のインダクタンス値が存在するため、高電圧パルスが発生し、さらに、発生した直流電圧が所定の電圧値に到達すると放電して閉状態になるようギャップ間隔を調整したギャップスイッチ50により、直流パルス電圧は鋭い立ち上がり波形をもつ電圧パルスに変換され、発生した高電圧パルスをマグネトロン60に印可するので、高出力、高周波の電磁波を出力可能な装置を実現できる。
【0067】
さらにエネルギー増幅部として、MC型爆薬発電機20を用いた場合には、爆薬24を爆発しライナを順次拡張してコイルを短絡していくので、爆薬を用いることによって、大きな電流増幅を行わせることができる。
さらに、エネルギー蓄積部30を設けることにより、MC型爆薬発電機20が作動した後も、回路にインダクタンスが存在し、エネルギーの蓄積が可能になる。
さらにまた、スイッチング部として、プラズマスイッチ40を用いた場合には、爆薬43を爆発し、導電性を有するプラズマが高速で圧縮され急激に抵抗値が大きくなるので、爆薬を用いることによって、蓄積されていたエネルギーを高速にスイッチングして高電圧パルスを得ることができる。
【0068】
さらにまた、ギャップスイッチ50を用いることにより、プラズマスイッチ40により発生した高電圧パルスが所定の電圧に到達したときにギャップスイッチ50が作動し、立ち上がりの速い高電圧パルスを得ることができる。
このように爆薬を用いた構成にすれば、小型な装置構成であっても高出力の電磁波を出力可能な装置を実現することが可能となる。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、エネルギー増幅部はインダクタンスを小さくしながら直流電圧発生部から発生する電流を増幅しながら、エネルギー蓄積部およびスイッチング部へ通電し、増幅を終えた時点ではインダクタンスは零となり、電気エネルギーはエネルギー蓄積部へ蓄積される。
【0070】
さらに、スイッチング部は、常時は閉状態で前記エネルギー蓄積部による電気エネルギーの通過を可能とし、制御部から制御信号が与えられると開状態となって、高電圧パルスを発生させるが、エネルギー蓄積部でのインダクタンスの存在により、エネルギー蓄積部からスイッチング部へのエネルギーの移行が正常に行われ、スイッチングで発生する高電圧パルスは大きな値となる。
【0071】
さらに、高電圧パルスの電圧値が所定の値になるとギャップスイッチが作動し、マグネトロンに高速な立ち上がり電圧波形をもつ高電圧パルスを印可することが可能となり、アンテナから高周波、高出力の電磁波が出力される。
また、起動信号が与えられた電気雷管が起爆して爆薬を爆発しライナを順次拡張してコイルを短絡していくので、大きな電流増幅を実現することができる。
【0072】
また、制御信号が与えられた電気雷管が爆発して爆薬を爆発し、導電性を有するプラズマが高速に圧縮するので、急激に抵抗値が大きくなって蓄積されていたエネルギーを急速にスイッチングして高電圧パルスを得ることができる。
また、ギャップスイッチにより高電圧パルスの電圧値が所定の値になると作動するスイッチを構成することができ、よって、高電圧パルスの電圧値が所定の値になると作動するスイッチを簡単な構成として実現することができる。
また、請求項2に係る発明によれば、電圧パルスの値はスイッチングするときの回路のインダクタンス値および電流の時間変化率の積に比例するが、エネルギー蓄積部の直列リアクトルのインダクタンス値を周波数1kHzにおいて4μHから10μHに選定しておくことにより、エネルギー蓄積部の電気エネルギーの蓄積を可能とし、スイッチング作動時、回路のインダクタンス値および電流の時間変化率の積が大きくなり、スイッチング部の発生パルス電圧の値を大きくすることができる。
【0073】
また、請求項3に係る発明によれば、電圧パルスの値はスイッチングするときの回路のインダクタンス値および電流の時間変化率の積に比例するが、エネルギー蓄積部の空芯トランスの一次漏れインダクタンス値を周波数1kHzにおいて0.4μHから0.6μHに、二次漏れインダクタンス値を周波数1kHzにおいて4μHから10μHにしておくことにより、エネルギー増幅部の電流増幅作用を阻害することなく、エネルギー蓄積部のエネルギー蓄積を可能とし、スイッチング作動時、回路のインダクタンス値および電流の時間変化率の積が大きくなり、スイッチング部の発生パルス電圧の値を大きくすることができる。
【0074】
また、請求項4の発明によれば、電圧パルスの値はスイッチングするときの回路のインダクタンス値および電流の時間変化率の積に比例するが、エネルギー蓄積部の鉄芯は高飽和磁束密度および高透磁率をもち、鉄芯トランスの一次漏れインダクタンス値を周波数1kHzにおいて0.4μHから0.6μHに、二次漏れインダクタンス値を周波数1kHzにおいて4μHから10μHにしておき、三次巻き線はリセット電流の通電を可能とし、スイッチング部の作動前にリセット電流を通電しておくことにより、エネルギー増幅部の電流増幅作用を阻害することなく、二次巻き線に流れる電流の磁気飽和による限流をなくし、エネルギー蓄積部のエネルギー蓄積を可能とし、スイッチング作動時、回路のインダクタンス値および電流の時間変化率の積が大きくなり、スイッチング部の発生パルス電圧の値を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる電磁波発生装置のブロック構成図である。
【図2】MHD型爆薬発電機の構成図である。
【図3】MHD型爆薬発電機のプラズマ発生部の構成図である。
【図4】MHD型爆薬発電機の起電力発生部の構成図である。
【図5】他の直流電圧発生部の構成図である。
【図6】他の直流電圧発生部の構成図である。
【図7】MC型爆薬発電機の構成図である。
【図8】エネルギー蓄積部の構成例を示す図である。
【図9】前記図8に示す構成例のエネルギー蓄積部の電磁波発生装置における具体的な接続状態を示す図である。
【図10】他のエネルギー蓄積部の構成例を示す図である。
【図11】前記図10に示す他の構成例のエネルギー蓄積部の電磁波発生装置における具体的な接続状態を示す図である。
【図12】他のエネルギー蓄積部の構成例を示す図である。
【図13】前記図12に示す他の構成例のエネルギー蓄積部の電磁波発生装置における具体的な接続状態を示す図である。
【図14】鉄芯のヒステリシス特性図である。
【図15】プラズマスイッチの構成図である。
【図16】ギャップスイッチの構成図である。
【図17】ギャップスイッチの特性を説明するために用いた特性図である。
【図18】制御部が供給する制御信号(起動信号)の説明図である。
【図19】高電圧パルスを生成する説明図である。
【図20】高電圧パルスを生成する実験結果を示す図である。
【図21】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
10 直流電圧発生部
11 スイッチ
20 MC型爆薬発電機
21 電気雷管
22 コイル
23 ライナ
24 爆薬
30 エネルギー蓄積部
31a 直列リアクトル
32a コイル
32b コイル
31b 空芯トランス
31c 鉄芯トランス
33a 一次コイル
33b 二次コイル
34a 一次コイル
34b 二次コイル
35 リセットコイル
36 鉄芯
37 バッテリ
38 スイッチ
39 抵抗
40 プラズマスイッチ
41 電気雷管
42 収納筐体
43 爆薬
44a 電極
44b 電極
45 金属薄箔
46a 電線
46b 電線
50 ギャップスイッチ
51a 電極
51b 電極
52a 電線
52b 電線
53 収納筐体
60 マグネトロン
61 アノード
62 カソード
63 高周波出力部
64 バッテリ
65 スイッチ
80 制御部
90 スイッチ
100,200 電磁波発生装置
110 コンデンサバンク
111 コンデンサ
120 MHD型爆薬発電機
130 プラズマ発生部
131 収納容器
132 爆薬
133 電気雷管
134 アルゴンガス
140 起電力発生部
141a N極磁石
141b S極磁石
142a 電極固定部材
142b 磁石固定部材
143a 電極
143b 電極
144a 電極固定部材
144b 電極固定部材
150 バッテリ群
151 バッテリ
Claims (4)
- 直流電圧を発生する直流電圧発生部と、
前記直流電圧発生部から供給される電流を増幅するエネルギー増幅部と、
前記エネルギー増幅部と直列に接続され、増幅した電流を電気エネルギーとして蓄積するエネルギー蓄積部と、
前記エネルギー蓄積部と接続され、常時は閉状態で前記エネルギー蓄積部による電気エネルギーの通過を可能とし、制御信号が与えられると開状態となって高電圧パルスを発生させるスイッチング部と、
常時は開状態で前記高電圧パルスの電圧値が所定の値になると作動して、高速な立ち上がりパルス電圧波形を供給するスイッチと、
前記高電圧パルスが印可されると電磁波を発生するマグネトロンと、
前記マグネトロンに接続されたアンテナと、
前記制御信号を所定のタイミングで供給する制御部と、を備え、
前記制御部は、起動信号を所定のタイミングで供給するようにも構成され、
前記エネルギー増幅部は、爆薬及び前記起動信号が与えられると起爆して前記爆薬を起爆させる電気雷管とを内蔵するライナと、このライナの外周に設けたコイルと、を含んで成るMC型爆薬発電機で構成され、
前記スイッチング部は、前記エネルギー蓄積部が接続される2つの電極と、前記2つの電極間に供給される電流が所定以上になったときに溶融してプラズマとなる金属薄膜と、爆薬と、前記制御信号が与えられると前記爆薬を爆発させる電気雷管と、を含んで構成され、
前記スイッチは、電極が対向されて配置されており、所定の電圧に達したときに前記電極間がオン状態とされるギャップスイッチで構成されることを特徴とする電磁波発生装置。 - 請求項1記載の電磁波発生装置において、前記エネルギー蓄積部は、直列リアクトルで構成され、そのインダクタンス値は、周波数1kHzにおいて4μH〜10μHに設定されていることを特徴とする電磁波発生装置。
- 請求項1又は2に記載の電磁波発生装置において、前記エネルギー蓄積部は、空芯トランスで構成され、前記空芯トランスの一次側コイルの漏れインダクタンス値は、周波数1kHzにおいて0.4μH〜0.6μH、前記空芯トランスの二次側コイルの漏れインダクタンス値は、周波数1kHzにおいて4μH〜10μHに設定されていることを特徴とする電磁波発生装置。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の電磁波発生装置において、前記エネルギー蓄積部は、三巻線をもつ鉄芯トランスで構成され、前記鉄芯トランスの一次巻線の漏れインダクタンス値は、周波数1kHzにおいて0.4μH〜0.6μH、前記鉄芯トランスの二次側コイルの漏れインダクタンスは、周波数1kHzにおいて4μH〜10μHに設定されていて、前記鉄芯は、高飽和磁束密度および高透磁率をもち、前記鉄芯トランスの三次巻き線は、リセット電流の通電を可能とし、前記スイッチング部が動作する前にリセット電流を通電しておくことにより、パルス電流200kAを通電しても前記鉄芯は磁気飽和を起こさないことを特徴とする電磁波発生装置。
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