JP4116135B2 - ゴルフクラブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はゴルフクラブに関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、ゴルフクラブに用いられているシャフトは、強化繊維を一方向に引揃えて合成樹脂を含浸させた、いわゆるプリプレグシートを、芯金に対して重合するように巻回し、その上にセロハンテープを巻回して安定させた後、これを加熱炉において合成樹脂を熱硬化し、その後、冷却して、脱芯、セロハンテープの剥離、研磨、塗装等の工程を経て作成されている。
【0003】
そして、一般的に、芯金に対して巻回される上記プリプレグシートによる積層構造は、芯金に対して斜向した方向(軸方向に対して45°が多い)に強化繊維を引揃えたプリプレグシート(斜向プリプレグシート)を、引揃方向が相互にクロスするように重ね合わせて(軸方向に対して±45°となるように重ねることが多い)巻回した斜向繊維層と、芯金に対して軸方向に強化繊維を引揃えたプリプレグシート(軸方向プリプレグシート)を巻回した軸方向繊維層とによる本体層を備えており、さらに、そのような本体層に対して、必要な箇所に、軸方向プリプレグシートもしくは周方向に強化繊維を引揃えたプリプレグシート(周方向プリプレグシート)を巻回した補強層を積層させた構成となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の構成において、本体層として使用される斜向プリプレグシートおよび軸方向プリプレグシートの厚さは、通常、ともに略0.1mm〜0.2mm程度のものが用いられている。
【0005】
しかし、上述したように、斜向プリプレグシートは、その繊維方向がクロスするように重ねた状態で芯金に巻回するため、軸方向プリプレグシートに対して、略倍の肉厚差がある。すなわち、例えば、斜向プリプレグシートおよび軸方向プリプレグシートとして、0.1mmの厚さのものを用いた場合、斜向プリプレグシートは2枚重ねた状態で巻回されるため、その厚さが0.2mmになってしまい、軸方向プリプレグシートに対して略倍の肉厚差がある。したがって、そのように厚くなったプリプレグシートを巻回することで、巻回端部領域の重なり部分では、その肉厚による偏肉状態が生じてしまう。
【0006】
特に、最近においては、シャフトの軽量化、高弾性化が要求されており、斜向プリプレグシートおよび軸方向プリプレグシートの巻回数も少なくなってきている。このため、巻回するプリプレグシートの端部領域において、上記した肉厚差による偏肉が生じると、それが原因で強度が低下したり、強度のばらつきが大きくなるという問題が生じる。
【0007】
また、通常シャフトは、グリップ側の径が大きくヘッド側の径が小さいため、グリップ側では捩じり剛性が大きくなり、ヘッド側では捩じり剛性が小さくなる。このため、斜向繊維層の肉厚がヘッド側で厚く、グリップ側で薄くなるように、斜向プリプレグシートは、ヘッド側とグリップ側でその巻回数を異ならせている。
【0008】
しかし、このような構成によれば、捩じりとヘッドの負荷によって、シャフトの略中間部において、強度が低下しやすく破損しやすいという問題が生じる。
本発明は、強度低下、強度のばらつきの防止を図ったシャフトで構成されるゴルフクラブを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のゴルフクラブは、強化繊維を一方向に引揃えて合成樹脂を含浸させた複数のプリプレグシートを芯金に順に巻回した後、加熱、脱芯して形成したシャフトを備えたゴルフクラブにおいて、
前記シャフトは、シャフトの軸方向に対して強化繊維の引揃方向が斜向したプリプレグシートを、引揃方向がクロスするように重ね合わせて巻回することで構成された斜向繊維層を備えており、この斜向繊維層は、肉厚が0.06mm以下、2枚重ね合せた厚さが0.1mm以下のプリプレグシートを、巻回初期位置が周方向にずれるように重ね合わせ、その巻回数がシャフトの先端部と基端部とで異なると共に、シャフト全長に対する先端から40%〜60%の範囲で、各引揃方向に夫々2層以上でかつ基端側よりも先端側で多く巻回して形成されることを特徴とする
【0010】
通常、シャフトに巻装されるプリプレグシートの厚さは、略0.1mm〜0.2mm程度であったものを、斜向繊維層を構成するプリプレグシートの肉厚を、肉厚が0.06mm以下、2枚重ね合せた厚さが0.1mm以下としたことによって、これを重ねて用いても、略0.1mm〜0.2mm程度にすることができ、巻回端部領域の重ね合わせ部分において、肉厚差を少なくすることができ、強度低下や強度のばらつきが抑制される。また、このようなプリプレグシートの巻回初期位置が周方向にずれるように重ね合わされることで、巻回端部領域の重なり部分では、その肉厚差による偏肉状態の発生が更に抑制され、その巻回数がシャフトの先端部と基端部とで異なると共に、全長に対する先端から40%〜60%の破損し易い範囲で各引揃方向に夫々2層以上でかつ基端側よりも先端側で多く巻回して形成されることで、強度の向上が図られる。
【0011】
前記斜向繊維層を形成するプリプレグシートは、2枚重ね合せた厚さが0.1mm以下で、かつその樹脂含浸量を35wt%以下であることが好ましい。
【0012】
この場合には、シャフトの破損が防止されて高強度のゴルフクラブにできると共に、強度のばらつきが少なく、安定した強度のゴルフクラブとすることができる。また、樹脂含浸量を少なくして薄肉厚の重合プリプレグシートを巻回することで、比強度、比トルクの向上が図れ、軽量化が可能になる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に沿って説明する。
図1は、シャフトを形成するにあたり、芯金1に対して巻回されるプリプレグシートの一配置構成例を示す図である。この場合、芯金1に対して、L=1160mmの領域に、後述する各プリプレグシートが巻回される。また、芯金1は、その先端P1(シャフト先端)の径が5.0mm、後端P2(シャフト後端)の径が14.9mm、先端P1から150mmの位置P3の径が6.2mm、位置P3から80mmの位置P4の径が7.2mmで構成されており、位置P3から位置P4の範囲に急テーパ1aが形成されている。このように、芯金1の先端領域に急テーパ1aを形成しておくことで、成形されるシャフトの先端領域は、強度が確保され滑らかな剛性分布となる。
【0020】
上記芯金1に対しては、先端領域において補強層となるプリプレグシート3が巻回され、順にシャフト全体を形成する本体層となるプリプレグシート5,7,9,11,13が巻回され、そして、先端領域において補強層となるプリプレグシート15が巻回される。各プリプレグシートは、炭素繊維を一方向に引揃えてエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性合成樹脂を含漫させたものであり、以下のような構成となっている。
【0021】
先端領域において補強層となるプリプレグシート3は、弾性率24tonf/mm2 の炭素繊維を軸方向に引揃えたものであり、樹脂含漫量が30wt%、繊維の目付け量が125g/m2 、厚さが0.114mmで構成されており、軸方向両端において芯金1に対して各3プライされる大きさに裁断されている。このプリプレグシート3に対しては、別途、ガラスの織布を裏打ちしても良い。
【0022】
本体層を構成する最内層となる上記プリプレグシート5は、弾性率40tonf/mm2 の炭素繊維を周方向に引揃えたものであり、樹脂含漫量が40wt%、繊維の目付け量が28g/m2 、厚さが0.032mmで構成されており、軸方向両端において芯金1に対して各1.1プライされる大きさに裁断されている。
【0023】
上記プリプレグシート5上には、弾性率40tonf/mm2 の炭素繊維を軸方向に対して斜向して引揃えたプリプレグシート7a,7bを、各炭素繊維の引揃方向がクロスするように(好ましくは軸方向に対して±45゜となるように)重ね合わせて構成されたプリプレグシート7が巻回される。各プリプレグシート7a,7bは、樹脂含漫量が30wt%未満、好ましくは、25wt%以下で10wt%以上とし、繊維の目付け量が58g/m2 、厚さが0.048mmで構成されている。この場合、厚さは、0.06mm以下であれば良く、この例のように0.048mmか、それ以下にするのが良い。そして、各プリプレグシート7a,7bは、先端側において、夫々4プライ(重ね合わせ状態で8プライ)され、基端側において夫々1.6プライ(重ね合わせ状態で3.2プライ)される大きさに裁断されている。なお、各プリプレグシート7a,7bは、図に示すように、巻回初期位置が周方向にずれるように重ね合わせることが好ましい。また、この構成においては、各プリプレグシート7a,7bは、その中間領域において、夫々少なくとも2プライ(両者で4プライ)以上されるようになっている。
【0024】
上記プリプレグシート7上に巻回されるプリプレグシート9は、弾性率30tonf/mm2 の炭素繊維を軸方向に引揃えたものであり、樹脂含漫量が30wt%、繊維の目付け量が150g/m2 、厚さが0.137mmで構成されている。そして、軸方向両端において芯金1に対して各2プライされる大きさに裁断されている。
【0025】
上記プリプレグシート9上に巻回されるプリプレグシート11は、上記プリプレグシート5と同一の構成であり、軸方向両端において芯金1に対して各1.1プライされる大きさに裁断されている。また、このプリプレグシート11上に巻回されるプリプレグシート13は、弾性率24tonf/mm2 の炭素繊維を軸方向に引揃えたものであり、樹脂含浸量が30wt%、繊維の目付け量が125g/m2 、厚さが0.114mmで構成され、軸方向両端において芯金1に対して各1プライされる大きさに裁断されている。
【0026】
そして、上記プリプレグシート13上には、先端領域において補強層となるプリプレグシート15が巻回される。このプリプレグシート15は、上記最内層側の補強層となるプリプレグシート3と同一の構成であり、芯金1の先端部に対して3プライされ、前記位置P3において0プライとなるように裁断されている。
【0027】
上記のように構成された各プリプレグシートは、芯金1に対して、1枚づつ個別に巻回しても良いし、あるいは各シート同士を任意にあらかじめ張り付けておき、これを巻回しても良い。例えば、プリプレグシート5は、プリプレグシート7にあらかじめ張り付けておいても良いし、プリプレグシート11は、プリプレグシート13にあらかじめ張り付けておいても良い。また、上記したプリプレグシート7は、プリプレグシート7a,7bをあらかじめ張り付けて構成したものであるが、あらかじめ張り合わせておかずに、個別に巻回しても良い。
【0028】
上述したように、斜向繊維層を構成するプリプレグシート7a,7bは、その厚さが0.048mmで、これらを2枚に重ねても0.1mm以下であり、軸方向に炭素繊維を引揃えたプリプレグシート9,13と比較しても、その厚さは薄くなっている。したがって、プリプレグシート9,13に対して肉厚差は殆ど無く、これらを巻回した際に、その巻回端部領域の重なり部分では、その肉厚差による偏肉状態の発生が抑制され、完成されたシャフトの強度低下や強度のばらつきが抑制される。このような効果が有効に得られるように、斜向繊維層を構成するプリプレグシート7a,7bの厚さは、軸方向に炭素繊維を引揃えたプリプレグシート9,13の厚さの略半分以下に構成しておくのが良い。
【0029】
また、プリプレグシート7は、各プリプレグシート7a,7bを正確に位置合わせして構成しても良いが、図に示すように、互いのプリプレグシート7a,7bを、軸方向と直交する方向にずれるように重合しておくことで、芯金1に対して巻回した際、巻回端部領域で生じる肉厚変化をより効果的に抑制することが可能となる。さらに、斜向繊維層を構成するプリプレグシート7a,7bの樹脂含漫量を、30wt%未満、好ましくは、25wt%以下とすることにより、シャフトを軽量高強度化することができる。なお、この場合、層間強度を確保するため、その下限値は10wt%とするのが良い。
【0030】
また、上記した構成のように、本体層を構成するプリプレグシートの内、厚さが0.032mmと薄く、周方向に炭素繊維を引揃えたプリプレグシート5,11を介在させることが好ましい。このように、厚さが薄い周方向繊維層を設けることによって、隣接するプリプレグシートの炭素繊維の動きを固定できると共に、シャフト全体でつぶし強度の向上が図れる。
【0031】
以上のように構成された各プリプレグシートを芯金1に対して巻回し、その後、常法、すなわち、加熱工程、冷却工程、脱芯、研磨、塗装等の工程を経て、図2に示すようなシャフト20が形成される。そして、このように形成されたシャフト20に対して、図3に示すように先端部にクラブヘッド25が嵌入され、基端部にクリップ30が取着されてゴルフクラブ40が完成する。
【0032】
また、上記のように構成されたプリプレグシート、特に、先端側において夫々4プライされ、基端側において夫々1.6プライされるように裁断されたプリプレグシート7a,7bを巻回した場合、シャフト全長に対する先端から40%〜60%の範囲(シャフト全長L−1160mmとした場合、L1=464mmの位置P5、L2=464mmの位置P6との間の範囲)のシャフトの断面構造は、図4に示すように、その斜向繊維層は、各プリプレグシート7a,7bが2層以上巻回されて肉厚が厚くなった状態となっている。
【0033】
上述したように、ゴルフクラブのシャフトは、捩じりとヘッドの負荷によってシャフト全長に対する先端から40%〜60%の範囲において破損しやすいが、図に示すように、そのような位置の斜向繊維層の肉厚が厚くなっていることにより、強度の向上が図れ、破損を抑制することが可能になる。
【0034】
実際に、図1に示したプリプレグの配置構成例によって得られるシャフトにおいて、プリプレグシート7を、以下の表で示すように、本実施の形態のように構成したもの(イ)と、従来と同様に構成したもの(口)とを比較実験した。この場合、プリプレグシート7(プリプレグシート7a,7b)以外のプリプレグシートの構成は同一であり、シャフト重量、肉厚も同一となるようにした。
【0035】
【表1】
【0036】
上記した構成で得られた(イ)の構成のシャフトは、従来の(口)の構成シャフトに対して21%のねじり強度向上が得られ、強度のばらつきもなく、強度の安定、向上が図れた。また、(イ)の構成のシャフトによれば、トルクが6.6度となり、(口)の構成シャフトの7.0度に対し、0.4度(5.7%)トルクを小さくすることができた。さらに、強度の安定向上およびトルクを小さくできたことで、シャフトの軽量化が図れ、スイングしやすく振り抜きやすいゴルフクラブが得られた。
【0037】
次に、図5(a)および(b)を参照して本発明の別の実施の形態について説明する。この実施の形態に用いられる芯金1およびプリプレグシート3,5,9,11,13の構成については、前記第1の実施の形態と同一であるため、その説明は省略する。
【0038】
この実施の形態は、斜向繊維層を構成するプリプレグシートに特徴がある。すなわち、斜向繊維層は、シャフトの軸方向に対して強化繊維の引揃方向が斜向した(好ましくは軸方向に対して45゜)プリプレグシート8a,8bを、各繊維の引揃方向が略直交するように重ね合わせて構成された重合プリプレグシート8を2枚以上用いることで構成されている。
【0039】
各プリプレグシート8a,8bは、樹脂含浸量が30wt%未満、好ましくは、25wt%以下で10wt%以上であり、好ましくは、その繊維の目付け量が29g/m2 、厚さが0.024mmで構成されている。すなわち、このようなプリプレグシート8a,8bを重合したプリプレグシート8は、その厚さが0.048mmとなり、上記第1の実施の形態における各プリプレグシート7a,7bと同様な厚さ、および繊維目付け量となる。また、重合プリプレグシート8を構成する各プリプレグシート8a,8bは、先端側において、夫々4プライ(重ね合わせ状態で8プライ)され、基端側において夫々1.6プライ(重ね合わせ状態で3.2プライ)される大きさに裁断されている。したがつて、このような重合プリプレグシート8を2枚以上重ねて巻回することで、先端側は16プライ、基端側で6.4プライとなり、その中間領域においては、夫々少なくとも2プライ(両者の重合プリプレグシートで4プライ)以上となる。
【0040】
そして、上記した各重合プリプレグシート8は、図5(b)に示すように、芯金1に対して、それぞれ巻回初期位置が周方向にずれて巻回される。すなわち、芯金1に対して、各重合プリプレグシート8の巻回初期位置をずらすことで、その巻回端部領域の重なり部分で、肉厚差による偏肉状態の発生を抑制することができ、この結果、上記第1の実施の形態と同様、完成されたシャフトの強度低下や強度のばらつきを抑制することが可能となる。また、この実施の形態の斜向繊維層は、繊維の目付け量が29g/m2 で厚さが0.024mmのプリプレグシート8aおよび8bによる重合プリプレグシート8を2枚以上重ね、これらを所定プライ数巻回して構成されていることにより、特に、ねじり強度の向上、およびその強度の安定化が図れる。
【0041】
また、図5に示す構成において、2枚ある重合プリプレグシート8,8を1枚のみにして、その分、幅を広くして巻回数を多くしても良い。このとき形成される斜向繊維層は、そのようなプリプレグシートを1プライ以上、通常、2〜6プライの範囲で巻回することによって形成される。この場合、重合プリプレグシートによって形成される斜向繊維層の厚さは、0.1mm以下に設定されるが、比強度、比トルクの向上、軽量化がさらに図れるように0.07mm以下にするのが良く、より好ましくは0.04mm以下にするのが良い。また、このような重合プリプレグシートの樹脂含浸量は、35wt%以下に設定されるが、比強度、比トルクの向上、軽量化がさらに図れるように30wt%以下にするのが良く、より好ましくは25wt%以下にするのが良い。また、斜向繊維層以外の層を形成するプリプレグシート3,5,9,11,13,15については、図5に示す実施の形態と同じであるが、巻回位置や層数等については、任意に設定しても良い。
【0042】
上記図1〜図5に示した実施の形態において、斜向繊維層、又は斜向繊維層と周方向繊維層、又は周方向繊維層を形成するプリプレグシートは、破損や強度ばらつきの防止、安定した強度、偏肉や方向性の防止、比強度、比トルクの向上、軽量化等が効果的に達成できるように、以下のように構成することが好ましい。すなわち、樹脂含浸量を30wt%以下、好ましくは25wt%以下、より好ましくは25wt%〜10wt%とし、その肉厚を0.06mm以下、好ましくは0.04mm以下、より好ましくは0.035mm〜0.005mmとし、繊維目付量を40g/m2 以下、好ましくは35g/m2 以下、より好ましくは35〜10g/m2 とする。なお、軸方向繊維層は、上記した層より同等以上に厚くしたプリプレグシートを巻回して構成するのが良い。このようなプリプレグシートを用いることで、曲げ剛性を効率良く向上でき、成形作業が行いやすくなる。また、巻回数は、半端な巻回数よりも整数回の巻回数にすると方向性や偏肉を防止することができる。なお、各プリプレグシートの巻回位置や巻回数等については任意に設定しても良い。
【0043】
また、図1および図5に示されるプリプレグシート11を、斜向プリプレグシートにしても良い。その斜向プリプレグシートは、1枚(繊維の引揃方向が一方向のみ)でも良いし、2枚を引揃方向がクロスするようにしそれぞれの巻回初期位置が周方向にずれるように重ね合わせたものでも良い。あるいはプリプレグシート11を斜向させた重合プリプレグシートとしても良い。この場合、そのようなプリプレグシートによって形成される斜向繊維層の厚さが0.1mm以下、好ましくは0.07mm以下、より好ましくは0.04mm以下とするのが良い。また、プリプレグシート11は、最外層や最内層、あるいはプリプレグシート3と5の間、プリプレグシート5と7の間、プリプレグシート7と9の間等に巻回しても良い。ただし、トルクの向上等の効率を考慮すると、プリプレグシート9より外側に巻回するのが好ましい。なお、プリプレグシート11によって形成される層の軸方向長さを、細径部のシャフト先端から200mm〜500mmの範囲に巻回することで、シャフトのトルクを効率良く小さくすることができる。しかし、このような範囲に限らず、それ以上長い範囲で巻回しても良いし、シャフト全長に亘って巻回したり、中間部分のみや、元側部分、例えば握部のみに巻回しても良い。あるいは、先端側に斜向プリプレグシートを巻回し、基端側に周方向プリプレグシートを巻回しても良い(斜向プリプレグシートと周方向プリプレグシートを軸方向に分ける)。この場合、各プリプレグシートの長さ、配分は任意に調整することができる。
【0044】
また、プリプレグシート11を斜向プリプレグシートによって構成し、これを斜向プリプレグシート7よりも外側に巻回する場合、ねじり負荷時の剪断ひずみ量が斜向プリプレグシート7よりも大きい量になる。したがって、斜向プリプレグシート11を、斜向プリプレグシート7の強化繊維よりも破断伸度が大きい強化繊維で構成するか、あるいは破断伸度が大きくても、破断しないような方向に引揃えて構成するのが良い。斜向プリプレグシート11に用いる強化繊維は、斜向プリプレグシート7の強化繊維よりも、5%以上、好ましくは10%以上破断伸度の大きい材料を用いるのが良い。これによりねじり強度の向上が図れる。
【0045】
しかし、一般的には、破断伸度が大きい材料は、弾性率が小さいことが多いため、比弾性を上げるために樹脂含浸量を少なく(繊維比率を多く)するのが良く、35wt%以下、好ましくは30wt%以下、より好ましくは10wt%〜25wt%にするのが良い。これによりねじり剛性を向上できる。なお、プリプレグシートの肉厚は、前述したように、0.06mm以下、好ましくは0.04mm以下、より好ましくは0.035mm〜0.005mmにすると良い。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。例えば、各プリプレグシートの強化繊維としては、炭素繊維を用いたが、それ以外にもガラス、ボロン、アラミド、アルミナ等、有機繊維や無機繊維を用いることができる。また、上述したように、本発明は、斜向繊維層を構成するプリプレグシートの肉厚を軸方向繊維層を構成するプリプレグシートより薄くすること、シャフトの略中央部分の斜向繊維層の肉厚を厚くすること(各引揃方向に少なくとも夫々2層以上)、斜向繊維層を構成するプリプレグシートを重合する際、その巻回初期位置をずらすこと等、斜向繊維層を構成するプリプレグシートの特定の構成に特徴がある。このため、それ以外の各プリプレグシートにおける強化繊維の弾性率、樹脂含漫量、繊維の目付け量、厚さ、プライ数については、単に一例を示したに過ぎないのであり、これらの具体的な構成については、上述した実施の形態の構成以外にも、ゴルフクラブの番手、要求特性等に応じて、種々変形することができる。例えば、プリプレグシート3,15のような部分的補強のための補助プリプレグシートについて、上述した構成のように、繊維の引揃方向を軸方向とする以外にも、交差状にした傾斜状の繊維方向としたり、周方向に引揃えたり、あるいはこれらを組み合わせて構成しても良い。特に組み合わせて用いる場合は、本体プリプレグシート、例えば、プリプレグシート7,9,13よりも薄肉厚にするのが良い。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、斜向繊維層を形成する肉厚が0.06mm以下、2枚重ね合せた厚さが0.1mmとしたプリプレグシートを、回初期位置を周方向にずれるように重ね合わされることで、巻回端部領域の重なり部分で、その肉厚差による偏肉状態の発生が更に抑制され、更に、その巻回数がシャフトの先端部と基端部とで異なると共に、全長に対する先端から40%〜60%の破損し易い範囲で各引揃方向に夫々2層以上でかつ基端側よりも先端側で多く巻回して形成されることで、全長に対する先端から40%〜60%の破損し易い範囲の強度の向上が図られ、これにより、シャフトの破損が防止されて高強度のゴルフクラブにできると共に、強度のばらつきが少なく、安定した強度のゴルフクラブが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図であり、芯金に対して巻回されるプリプレグシートの配置構成例を示す図。
【図2】図1のプリプレグシートの配置構成によって形成されるシャフトを示す図。
【図3】図2に示したシャフトにヘッドとグリップを取り付けて構成されたゴルフクラブを示す図。
【図4】シャフトの略中央部における断面楕造を示す図。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す図であり、(a)は芯金に対して巻回されるプリプレグシートの配置構成例を示す図、(b)は斜向繊維層を構成するプリプレグシートの重合状態を示す図。
【符号の説明】
1 芯金
3,15 プリプレグシート(補強層)
5,7,9,11,13 プリプレグシート(本体層)
20 シャフト
25 クラブヘッド
40 ゴルフクラブ
Claims (2)
- 強化繊維を一方向に引揃えて合成樹脂を含浸させた複数のプリプレグシートを芯金に順に巻回した後、加熱、脱芯して形成したシャフトを備えたゴルフクラブにおいて、
前記シャフトは、シャフトの軸方向に対して強化繊維の引揃方向が斜向したプリプレグシートを、引揃方向がクロスするように重ね合わせて巻回することで構成された斜向繊維層を備えており、この斜向繊維層は、肉厚が0.06mm以下、2枚重ね合せた厚さが0.1mm以下のプリプレグシートを、巻回初期位置が周方向にずれるように重ね合わせ、その巻回数がシャフトの先端部と基端部とで異なると共に、シャフト全長に対する先端から40%〜60%の範囲で、各引揃方向に夫々2層以上でかつ基端側よりも先端側で多く巻回して形成されることを特徴とするゴルフクラブ。 - 前記斜向繊維層を形成するプリプレグシートは、その樹脂含浸量を35wt%以下にしたことを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブ。
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