JP4117082B2 - 交差穴のバリ除去方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワークに明けられた穴の開口部に発生しているバリをバリ取り工具によって除去する、交差穴のバリ除去方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、図9に示す自動車用エンジンに取り付けられるバランスシャフト50は鋼材からなり、エンジンのシリンダブロックに装着されるもので、バランスシャフト50の軸方向数箇所に設けられた円筒部42が軸受ブッシュ43を介してシリンダブロックに軸承され、エンジン稼動中、高速回転する。このバランスシャフト50には、円筒部42の外周面と軸受ブッシュ43との間に潤滑油を供給するための内部通路が形成されている。
【0003】
前記内部通路は、バランスシャフト50を軸方向に貫通する第1の穴40と、円筒部42にて前記第1の穴40と直交して第1の穴40に開口する第2の穴41とから形成されている。この内部通路の加工は、長軸ドリルで第1の穴40を穿設した後、この第1の穴40と直交する方向にドリルを切り込ませて第2の穴41を穿設する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記第2の穴41を穿設したときに図10で示すように、第1の穴40と第2の穴41の交差部においてドリルの切り込み出口となる第2の穴41の開口部41aにバリ44a,44bが発生する。このバリ44a,44bを除去するために、ドリル、ワイヤブラシ等のバリ取り工具45を図10の矢印A方向から図11で示すように第1の穴40に回転挿入している。
【0005】
しかし、バリ取り工具45の挿入方向奥側のバリ44aはバリ取り工具45に押されて逃げるものの、第1の穴40内面側に逃げるためバリ取り工具45による除去可能な位置であり、これは除去することができるが、バリ取り工具45の挿入方向手前側のバリ44bは、バリ取り工具45に押されて図11で示すように、完全に除去できないまま第2の穴41の開口部41a内に倒れ込んでしまいバリの一部が残ることがあった。このバリが残ると前記エンジンのバランスシャフト50においては、エンジン稼動中にバリが脱落し、潤滑油とともに流れて円筒部42と軸受ブッシュ43のと間に噛み込まれ、バランスシャフト50の円滑な回転性を損なうことになりかねない。
【0006】
本発明の目的は、バリの倒れを阻止し完全なバリ取り加工を可能にした交差穴のバリ除去方法及びその装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の方法は、請求項1に記載の通り、第1の穴の内面に第2の穴が開口部を有するように交差する交差穴の穴明け加工後、前記第1の穴内にバリ取り工具を挿入して前記第2の穴の開口部に発生しているバリを除去する交差穴のバリ除去方法において、前記第1の穴内にバリ取り工具を挿入するに際して、前記第2の穴と略同径のピンをワーク外部から第2の穴にピン先端が第1の穴内に突出する位置まで挿入することにより、前記第2の穴の開口部を閉塞して前記バリ取り工具を前記第1の穴内に挿入し、この第1の穴内に挿入したバリ取り工具との接触によって前記ピン先端が第1の穴内面と略一致する位置まで後退するように前記ピンを保持するようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の装置は、請求項2に記載の通り、第1の穴の内面に第2の穴が開口部を有するように交差形成された交差穴の前記開口部に発生しているバリを前記第1の穴にバリ取り工具を挿入して除去する交差穴のバリ除去装置において、
前記第2の穴と略同径のピンが一側から突出しているガイドピン機構と、前記ピンがワーク外部から第2の穴に挿入されてピンの先端が第1の穴内に突出する位置まで前記ガイドピン機構を移動させる駆動機構とを備え、前記ピンが第1の穴内に挿入したバリ取り工具との接触によってピン先端が第1の穴の内面と略一致する位置まで前記ガイドピン機構内で後退するようにガイドピン機構に保持されていることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の方法は図1及び図2で示すように、従来と同様にワークWに長軸ドリルで第1の穴40を穿設し、この第1の穴40と直交する方向にドリルを切り込ませて第2の穴41を穿設して第1の穴40の内面に第2の穴41が開口部41aを有するように交差する交差穴の穴明け加工後、前記第2の穴41の開口部41aに発生しているバリ44を除去するため、前記第1の穴40内にバリ取り工具45を挿入するに際して、前記第2の穴41と略同径のピン1をワークW外部から第2の穴41に挿入し、前記第2の穴41の開口部41aを前記ピン1で閉塞して前記バリ取り工具45の挿入により前記バリ44が第2の穴41内へ倒れ(逃げ)ることをを防止するようにした。
【0010】
また、前記ピン1を、ピン1の先端が第1の穴40内に突出する位置まで挿入すると共に、第1の穴40内に挿入したバリ取り工具45との接触によって前記ピン1の先端が第1の穴40内面と略一致する位置まで後退する(図2)ように前記ピン1を保持するようにした。
【0011】
上記本発明の方法を実現するための装置について以下に説明する。
[第1の実施形態の構成]
図3で示すように、第2の穴41と略同径のピン1が一側から突出しているガイドピン機構2と、このガイドピン機構2を、バリ取り時の前進位置と待機時の後退位置との間を移動させる駆動機構3とから構成されている。この駆動機構3は油圧シリンダ、空圧シリンダ、リニアモータ等である。
【0012】
前記ガイドピン機構は、筒状のハウジング4内に、先端部に円錐状部5aが形成され、前記ピン1を保持しハウジング4内を軸方向に摺動可能なピンホルダ5と、前記ピン1が突出する側のハウジング4内に固定され前記ピンホルダ5の円錐状部5aがテーパ嵌合して求心案内する円錐状穴部6aが形成されたガイド部材6と、前記ピン1の突出側とは反対側の前記ハウジング4に螺合したエンドキャップ7と、このエンドキャップ7と前記ピンホルダ5との間に介装され、ピンホルダ5を前記ガイド部材6の方向に押圧付勢し、バリ取り工具45とピン1との接触によって容易にピンホルダ5を後退しうる強さに設定されたコイルスプリング9とから構成されている。
【0013】
前記駆動機構3は進退作動するロッド8を有し、このロッド8が前記ガイドピン機構2のエンドキャップ7に結合されている。
【0014】
[第1の実施形態の作用]
図1で示すように、第1の穴40と第2の穴41の交差穴を穿設加工後、前記駆動機構3を作動させ、ガイドピン機構2をワークWに接近させてピン1を第2の穴41に挿入する。このピン1の先端が第2の穴41を貫通し第1の穴40内に若干量突出する位置で駆動機構3の作動を停止する。これにより第2の穴41にバリ44が発生している側の開口部41aはピン1の先端で閉塞された状態になっている。
【0015】
この状態でバリ取り工具45を第1の穴40に挿入して前進させることによりバリ取り工具45がバリ44とピン1の先端に接触し、ピン1はバリ取り工具45に押されてコイルスプリング9の付勢力に抗してピン1の先端が第1の穴40の内面と略一致する位置まで後退し、バリ44が発生している部位をバリ取り工具45が通過してバリ44を除去する。
【0016】
この際に、第2の穴41の開口部41aが前述の通りピン1の先端で閉塞された状態になっているため、バリ44は第2の穴41内に倒れ込む(逃げる)ことなく第1の穴40内面に止どまり、バリ取り工具45によって完全に除去されるのである。
【0017】
このようなバリ除去の効果を得るには、ピン1の先端が第1の穴40の内面と略一致するまでピン1を第2の穴41に挿入し、この位置でピン1を保持するだけで足りるが、この実施形態では、ピン1の先端を第1の穴40内に突出させると共に、前記バリ取り工具45とピン1との接触によってピン1の先端が第1の穴40の内面と略一致するまで後退するようピン1を保持しているので、駆動機構3の作動によるガイドピン機構2の移動位置精度を厳格に管理しなくても、バリ取り工具45がバリ44に接触するときには、第2の穴41の開口部41aは確実に閉塞される。すなわち、駆動機構3の作動に多少の誤差があっても、ピン1の先端が第1の穴40の内面と略一致する位置に届かないようなガイドピン機構2の移動量不足が生じることがないので、バリ44の倒れ込みを許容するようなことはなくバリ44を完全に除去することができる。
【0018】
[第2の実施形態の構成]
第2の実施形態の構成は前記第1の実施形態の構成と基本的に同様である。この第2の実施形態はピン1と第2の穴41との間の調心を行う調心手段を追加したものである。すなわち、図4で示すように、エンドキャップ7に函体10を設け、駆動機構3のロッド8端に大径係合部11を形成し、ロッド8の軸部8aを前記函体10のロッド挿通孔10aに遊動隙間を持たせて貫通して、前記大径係合部11を函体10で包囲係合した構成である。
【0019】
[第2の実施形態の作用]
この第2の実施形態においては、ガイドピン機構2全体が駆動機構3のロッド8の軸線に対して、半径方向に変位が可能であるから、第2の穴41の加工誤差によってピン1と第2の穴41との間に多少のずれがあっても、ピン1が第2の穴41に倣って挿入されるので、ピン1を第2の穴41に確実に挿入することができる。
【0020】
[第3の実施形態の構成]
第3の実施形態の構成は前記第1の実施形態の構成と基本的に同様である。この第3の実施形態はガイドピン機構2のハウジング4とピン1との間の調心を行う調心手段を追加したものである。すなわち、図5で示すように、ピン1が挿通されるハウジング4内に、ピン1の外径よりも大きい径のピン挿通穴13を有するリング12を固設した構成である。
【0021】
[第3の実施形態の作用]
この第3の実施形態においても、ピン1がロッド8及びハウジング4に対して半径方向に変位が可能であるから、ピン1と第2の穴41との間に多少のずれがあってもピン1が第2の穴41に倣って挿入されるので、ピン1を第2の穴41に確実に挿入することができる。
【0022】
[その他の実施形態]
上記各実施形態のものにおいて、図6で示すように、ピン1の先端部を第1の穴40の内面と同じ曲率の凹形状である部分円筒面14にする。これにより、バリ44が発生している部位をバリ取り工具45が通過する際に、第1の穴40の内面とピン1の部分円筒面14とで略完全な円筒面が形成され、バリ44の倒れ込む余地は全くなく、より確実にバリ44が除去される。
【0023】
この場合、ピン1の回り止めが必要となるので、図7で示すように、ピンホルダ5とハウジング4の一方に設けたキー16と他方に設けたキー溝17とで回転方向を係合した構成や、図8で示すように、ピンホルダ5の円筒外周面の一部とハウジング4の円筒内周面の一部とに、互いに回転方向を係合する平坦部18,19を設けることにより容易に達成できる。
【0024】
また、上記の実施形態ではピン1とピンホルダ5は別体であるが、ピン1とピンホルダ5は一体物でも良い。
【0025】
さらには、ガイドピン機構2のコイルスプリング9を次のものに置換しても上記本発明の作用が得られる。その1つは、コイルスプリング9を廃止し、ピン1及びピンホルダ5の自重によってピン1をハウジング4から最も突出するハウジング4内の最下降位置に位置させ、バリ取り工具45との接触によって後退(上昇)できるようピン1及びピンホルダ5の質量を設定することである。
【0026】
また、他の1つは、ピンホルダ5のピン1側とハウジング4の内壁との間にコイルスプリングを介装すると共に、ピンホルダ5のピン1側とは反対側とハウジング4の内壁との間に圧力室を形成し、これに流体を供給してピンホルダ5とともにピン1をワーク方向へ付勢することである。この場合、バリ取り工具45との接触によってピン1を後退させる際には、バリ取り工具45を第1の穴40に挿入する動作に連動させて前記圧力室内を減圧し、ピン1を容易に後退できるようにする。
【0027】
上記の各実施形態では、バリ取り工具45との接触によりピン1が後退しうるように設定したが、ピン1をハウジング4に対して軸方向に相対変位しないようにハウジング4内に保持して、バリ取り工具45との接触によってピン1が後退しないようにし、バリ44とともにピン1も切削するようにもできる。これにより、バリ取り工具45に対してバリ44がいささかも逃げることがなく、完全にバリ44を除去できる。この場合のピン1の材質は、樹脂、軟金属(銅、真ちゅう、アルミ等)や木材等の軟削材が用いられる。
【0028】
尚、本発明は従来技術で例示したバランスシャフト50のバリ除去の他に、交差する潤滑油の供給穴を有する変速機のアウトプットシャフトやカウンタシャフトあるいは工作機械等のシャフト等に広く適用することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によると、第1の穴の内面に第2の穴が開口部を有するように交差した交差穴の前記第2の穴の開口部に発生しているバリを除去するために前記第1の穴内にバリ取り工具を挿入するに際して、前記第2の穴と略同径のピンをワーク外部から第2の穴にピン先端が第1の穴内に突出する位置まで挿入することにより、前記第2の穴の開口部を閉塞して前記バリ取り工具を前記第1の穴内に挿入し、この第1の穴内に挿入したバリ取り工具との接触によって前記ピン先端が第1の穴内面と略一致する位置まで後退するように前記ピンを保持するようにしたので、バリ取り工具の挿入によるバリが第2の穴へ倒れ込むことを防止し、バリを残すことなく完全に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法を示すバリ除去前の状態の要部断面図
【図2】 本発明方法を示すバリ除去後の状態の要部断面図
【図3】 本発明装置の第1実施形態を示す要部断面側面図
【図4】 本発明装置の第2実施形態を示す要部断面図
【図5】 本発明装置の第3実施形態を示す要部断面図
【図6】 先端部を部分円筒面にしたピンを示す図
【図7】 ピンの回り止め構造を示す断面図
【図8】 ピンの回り止め構造を示す断面図
【図9】 バリを除去するワークの1例を示す正面図
【図10】 交差穴のバリの発生状態を示す断面図
【図11】 従来の交差穴のバリ除去方法を示す断面図
【符号の説明】
1 ピン
2 ガイドピン機構
3 駆動機構
4 ハウジング
5 ピンホルダ
7 エンドキャップ
9 コイルスプリング
40 第1の穴
41 第2の穴
44 バリ
45 バリ取り工具
Claims (2)
- 第1の穴の内面に第2の穴が開口部を有するように交差する交差穴の穴明け加工後、前記第1の穴内にバリ取り工具を挿入して前記第2の穴の開口部に発生しているバリを除去する交差穴のバリ除去方法において、
前記第1の穴内にバリ取り工具を挿入するに際して、前記第2の穴と略同径のピンをワーク外部から第2の穴にピン先端が第1の穴内に突出する位置まで挿入することにより、前記第2の穴の開口部を閉塞して前記バリ取り工具を前記第1の穴内に挿入し、この第1の穴内に挿入したバリ取り工具との接触によって前記ピン先端が第1の穴内面と略一致する位置まで後退するように前記ピンを保持するようにしたことを特徴とする交差穴のバリ除去方法。 - 第1の穴の内面に第2の穴が開口部を有するように交差形成された交差穴の前記開口部に発生しているバリを前記第1の穴にバリ取り工具を挿入して除去する交差穴のバリ除去装置において、
前記第2の穴と略同径のピンが一側から突出しているガイドピン機構と、前記ピンがワーク外部から第2の穴に挿入されてピンの先端が第1の穴内に突出する位置まで前記ガイドピン機構を移動させる駆動機構とを備え、前記ピンが第1の穴内に挿入したバリ取り工具との接触によってピン先端が第1の穴の内面と略一致する位置まで前記ガイドピン機構内で後退するようにガイドピン機構に保持されていることを特徴とする交差穴のバリ除去装置。
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