JP4122938B2 - シリカ含有地熱水処理方法およびシリカ含有粒状体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地熱発電等に用いられる地熱水を処理する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地熱発電等において用いられる地熱水中には、高濃度のシリカが含まれる場合が多く、このシリカが配管や還元井の内壁にシリカスケールとして付着する問題が起きることがある。
従来、地熱水中のシリカを除去する方法としては、地熱水に無機系凝集剤や有機系凝集剤を添加し、凝集物を沈降分離などにより分離する方法がある(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【特許文献1】
特開平11−301460号公報
【特許文献2】
特開平11−342613号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の処理方法は、処理コストがかさむため、実用化が難しいのが現状である。
無機系凝集剤を用いた場合には、凝集剤由来の金属成分が凝集物に多く含まれるようになるため、凝集物をシリカ原料として資源化し工業的に利用するのは難しく、コスト面で不利であった。また有機系凝集剤を用いた場合には、シリカ除去効率が低く、十分なシリカ除去は難しいという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、シリカ含有地熱水処理において、シリカを効率よく除去することができ、かつ低コスト化が可能となる処理方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のシリカ含有地熱水処理方法は、シリカ含有地熱水に、下記式(1)に示す含窒素カチオン化合物を添加し、該地熱水中のシリカを凝集させる凝集工程と、得られた凝集物を粒状化する粒状化工程と、得られた粒状体を加熱する加熱工程を含み、加熱工程において、加熱温度を300℃以下とすることにより、前記粒状体の表面電位を正とすることを特徴とする。なお、式(1)において、mは0を含む自然数であり、nは0を含まない自然数である。
【0005】
【化2】
【0006】
本発明の処理方法では、セメント用混和材、化粧料等として工業的に利用可能なシリカ含有粒状体を得ることができる。従って、コスト面で有利である。
また、上記含窒素カチオン化合物からなる凝集剤を用いるので、シリカを効率よく凝集させ、シリカ除去率を高めることができる。
さらには、加熱工程において、加熱温度を300℃以下とするので、粒状体の表面電位を正にすることができる。
従って、セメント用混和材、化粧料等に用いた場合に優れた特性を有する粒状体を得ることができる。
【0007】
粒状化工程においては、噴霧乾燥法を用いることによって、凝集物を効率よく粒状化することができる。
【0008】
本発明のシリカ含有粒状体は、上記処理方法によって得られたものであることを特徴とする。
本発明のセメント用混和材は、上記シリカ含有粒状体を含むことを特徴とする。
本発明の化粧料は、上記シリカ含有粒状体を含むことを特徴とする。
本発明の塗料は、上記シリカ含有粒状体を含むことを特徴とする。
本発明の記録シート用表面処理剤は、上記シリカ含有粒状体を含むことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のシリカ含有地熱水処理方法の一実施形態を説明する。
(1)凝集工程
図1に示すように、シリカ含有地熱水(例えばシリカを過飽和状態で含有する地熱水)を、被処理水として、経路11を通して蒸気分離1に導入する。
なお、一般に、水溶液中のシリカは、通常、その一部が負電荷を帯びた形態(H3SiO4−等)となる。
蒸気分離槽1では、被処理水の温度が高温(例えば100℃を越える温度)である場合、この被処理水の一部が蒸発し、外部に放出される。
【0010】
蒸気分離槽1を経た被処理水を、経路12を通して滞留槽2に導入する。滞留槽2においては、被処理水中のシリカの重合反応が進行する。
滞留槽2としては、被処理水の滞留時間が10分以上(好ましくは15分以上)となる容量のものを用いると、シリカの重合反応を十分に進めることができるため好ましい。
【0011】
滞留槽2を経た被処理水を、経路13を通して反応分離槽3に導入するとともに、凝集剤供給部4を用いて、凝集剤を反応分離槽3に添加する。
凝集剤としては、下記式(1)に示す含窒素カチオン化合物を使用する。
【0012】
【化3】
【0013】
式(1)に示す含窒素カチオン化合物は、親水部Aと疎水部Bとを有する。親水部Aと疎水部Bの存在比(親水部A:疎水部B)は、97:3〜80:20(好ましくは95:5〜90:10)(質量比)とすることができる。
また、疎水部Bを含まず、親水部Aのみからなる含窒素カチオン化合物を使用することもできる。
上記含窒素カチオン化合物の分子量は、500〜3000000、好ましくは150000〜2000000であることが望ましい。なお、分子量とは、光散乱法によって求めた重量平均分子量を指す。
凝集剤の添加量は、被処理水に対して50mg/kg以上(好ましくは100mg/kg以上)とするのが好ましい。
【0014】
凝集剤の添加によって、被処理水中のシリカの一部は、荷電中和されるとともに架橋されるため、凝集し、フロック化する。
凝集物は、反応分離槽3底部に沈降し、経路14を通して導出される。
この凝集物は、正電荷を有する凝集剤を含むため、通常、正電荷を帯びた状態となる。凝集物の表面電位は、例えば+3〜+25mVとなる。
【0015】
凝集物の一部は、循環経路15を通して反応分離槽3に循環するのが好ましい。これによって、循環された凝集物が、シリカの結晶成長の際の核(シード)となり、反応分離槽3においてシリカの結晶成長が促されるため、凝集効率を高めることができる。
凝集物が分離された処理水は、反応分離槽3の上部に接続された経路16から系外に導出される。
【0016】
(2)粒状化工程
経路14を通して回収された凝集物は、噴霧乾燥造粒装置5(スプレードライヤー)を用いて、噴霧乾燥法(スプレードライ法)によって粒状化する。
この方法では、通常、一次粒子の平均粒径は0.4μm程度となり、二次粒子(一次粒子の集合体)の平均粒径は10μm以下となる。すなわち、この方法によって、平均粒径(例えばモード径)が10μm以下のシリカ含有粒状体(以下、単に粒状体という)が得られる。
粒状体の平均粒径が上記範囲を越えると、セメント用混和材として使用した場合に、その充填密度が低くなり、セメントモルタル等の機械特性に悪影響が及ぶおそれがある。
【0017】
噴霧乾燥造粒装置5の吸気温度条件は90〜180℃とするのが好ましい。排気温度条件は45〜75℃とするのが好ましい。
吸気または排気の温度条件が上記範囲未満であると、粒状体の粒径が大きくなったり、乾燥が不十分になることがある。吸気または排気の温度条件が上記範囲を越えると、粒状体の粒径が大きくなりやすい。
噴霧乾燥造粒装置5で得られた粒状体は、経路17を通して回収される。
なお、本発明では、噴霧乾燥法に限らず、他の造粒法によって凝集物を粒状化することもできる。
【0018】
(3)加熱工程
粒状化工程で得られた粒状体は、加熱炉(図示略)を用いて加熱され、焼成される。
加熱温度は、300℃以下とされる。加熱温度は250℃未満とするのが好ましい。
粒状体は、上記温度条件(300℃以下、好ましくは250℃未満)での加熱によって、正電荷を帯びた状態となる。この粒状体の表面電位(ゼータ電位)は、例えば+3〜25mVとなる。
加熱温度が上記範囲を越えると、粒状体の表面電位が正になりにくい。これは、正電荷を有する凝集剤が熱分解されるためであると考えられる。
上記温度条件での加熱によって、粒状体のシリカ含有率を高めることができる。このシリカ含有率は、例えば75wt%以上となる。
加熱工程では、粒状体はその表面凹凸が小さくなり、表面が比較的平滑な状態となる。
上記加熱温度は、120℃以上とするのが好ましい。加熱時間は、10分以上とすることができる。
【0019】
上記工程で得られる粒状体の一例における微量成分(シリカ以外の成分)の含有率を以下に示す。
TiO2:0.01wt%以下、Al2O3:1.0wt%以下、Fe2O3:0.1wt%以下、FeO:0.01wt%以下、MnO:0.01wt%以下、MgO:0.02wt%以下、CaO:0.1wt%以下、Na2O:1.9wt%以下、K2O:0.4wt%以下、P2O5:0.01wt%以下、Cl:0.9wt%以下、SO3:0.5wt%以下、T−S:0.2wt%以下、CO2:0.01wt%以下、T−C:6.7wt%以下、H2O+:9wt%以下、H2O−:4wt%以下。
【0020】
加熱工程を経た粒状体は、セメント用混和剤(シリカヒューム)として利用可能である。この粒状体をセメント用混和材として使用することによって、セメントモルタル等の機械特性を向上させることができる。
例えば、この粒状体をシリカヒュームセメントに適用すると、セメントモルタルの圧縮強度を高くする(例えば100N/mm2以上とする)ことができる。
【0021】
上記粒状体は、化粧品などに使用される化粧料に配合することもできる。
上記粒状体を含む化粧料では、化粧品としての優れた特性を得ることができる。
例えば、吸湿性が高い粒状体が得られるため、肌表面の保湿効果に優れた化粧品を得ることができる。
【0022】
上記粒状体は、塗料に配合することもできる。
上記粒状体を含む塗料は、正電荷を有するため、顔料等の定着性や耐水性等の点で優れている。
【0023】
上記粒状体は、紙などの記録シートの表面処理剤に配合することもできる。
上記粒状体を含む表面処理剤を記録シート表面に塗布し、この表面処理剤からなる表面層を形成することによって、インク等の定着性や耐水性などの点で優れた記録シートを得ることができる。
【0024】
上記処理方法では、次に示す効果を得ることができる。
(1)上記含窒素カチオン化合物によりシリカを凝集させる凝集工程と、凝集物を粒状化する粒状化工程と、粒状体を加熱する加熱工程を含むので、セメント用混和材、化粧料等として工業的に利用可能なシリカ含有粒状体を得ることができる。従って、コスト面で有利である。
(2)上記含窒素カチオン化合物からなる凝集剤を用いるので、シリカを効率よく凝集させ、シリカ除去率を高めることができる。
(3)加熱工程において、加熱温度を300℃以下とするので、粒状体の表面電位を正にすることができる。
従って、セメント用混和材、化粧料等に用いた場合に優れた特性を有する粒状体を得ることができる。
【0025】
【実施例】
以下、具体例を示し、本発明の効果を明確化する。
(試験例1〜6)
図1に示す処理装置を用いて、次のようにしてシリカ含有地熱水(被処理水)の処理を行った。被処理水の全シリカ濃度は690〜740mg/kgであった。
反応分離槽3において、上記式(1)に示す含窒素カチオン化合物からなる凝集剤を被処理水に添加し、凝集物を分離した。
凝集剤としては、疎水部Bを含まないものを用いた。凝集剤の添加量は、被処理水に対して100mg/kgとした。
次いで、凝集物を、噴霧乾燥造粒装置5を用いて粒状化し、粒状体を得た。噴霧乾燥造粒装置5の吸気温度は120℃とした。排気温度は70℃とした。
次いで、粒状体を加熱炉(図示略)を用いて加熱し焼成した。粒状体のゼータ電位を測定した結果を図2に示す。
図2において、横軸は加熱工程における加熱温度を示し、縦軸は粒状体のゼータ電位を示す。
【0026】
(試験例7〜12)
凝集剤の添加量を75mg/kgとすること以外は試験例1と同様にして地熱水を処理した。粒状体のゼータ電位を測定した結果を図2に示す。
【0027】
図2より、粒状体の表面電荷は、加熱工程での加熱温度に応じて変化することがわかる。
【0028】
上記試験例のうち、加熱温度を300℃以下とした試験例で得られた粒状体を、セメント用混和材として用いてセメントモルタルを製造した。
このセメントモルタルの成分は以下の通りである。
ポルトランドセメントとセメント用混和材(粒状体)との合量1;砂1.4;水と減水材の合量0.3(数字は質量比)。
各セメントモルタルの圧縮強度を測定したところ、100N/mm2以上であることが確認された。
【0029】
【発明の効果】
本発明のシリカ含有地熱水処理方法にあっては、次に示す効果を得ることができる。
(1)上記含窒素カチオン化合物によりシリカを凝集させる凝集工程と、凝集物を粒状化する粒状化工程と、粒状体を加熱する加熱工程を含むので、セメント用混和材、化粧料等として工業的に利用可能なシリカ含有粒状体を得ることができる。従って、コスト面で有利である。
(2)上記含窒素カチオン化合物からなる凝集剤を用いるので、地熱水中のシリカを効率よく凝集させ、シリカ除去率を高めることができる。
(3)加熱工程において、加熱温度を300℃以下とするので、粒状体の表面電位を正にすることができる。
従って、セメント用混和材、化粧料等に用いた場合に優れた特性を有する粒状体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のシリカ含有地熱水処理方法の一実施形態を実施するために用いられる処理装置を示す概略構成図である。
【図2】 試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
3・・・反応分離槽、4・・・凝集剤供給部、5・・・噴霧乾燥造粒装置
Claims (7)
- 粒状化工程において、噴霧乾燥法を用いて凝集物を粒状化することを特徴とする請求項1記載のシリカ含有地熱水処理方法。
- 請求項1または2記載のシリカ含有地熱水処理方法によって得られたものであることを特徴とするシリカ含有粒状体。
- 請求項1または2記載のシリカ含有地熱水処理方法によって得られたシリカ含有粒状体を含むことを特徴とするセメント用混和材。
- 請求項1または2記載のシリカ含有地熱水処理方法によって得られたシリカ含有粒状体を含むことを特徴とする化粧料。
- 請求項1または2記載のシリカ含有地熱水処理方法によって得られたシリカ含有粒状体を含むことを特徴とする塗料。
- 請求項1または2記載のシリカ含有地熱水処理方法によって得られたシリカ含有粒状体を含むことを特徴とする記録シート用表面処理剤。
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