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JP4123348B2 - ガスバリア性に優れた樹脂製パイプおよびそれを用いた温水循環装置 - Google Patents
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JP4123348B2 - ガスバリア性に優れた樹脂製パイプおよびそれを用いた温水循環装置 - Google Patents

ガスバリア性に優れた樹脂製パイプおよびそれを用いた温水循環装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、管外から侵入する酸素の透過阻止能に優れた樹脂製パイプ並びにこれを用いた温水循環装置に関し、特にフロアーヒーティングシステムやロードヒーティングシステムに好適に使用できる樹脂製パイプ、並びにこれを用いた温水循環装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、土木・建築業界では、パイプ状配管に30〜60℃程度の温水もしくはエチレングリコールやプロピレングリコールなどの多価アルコールを不凍液として含む水溶液(以下「不凍液」と総称する。)を通して室内の床暖房を行うフロアーヒーティングシステムや、寒冷地での路面の凍結を防止するロードヒーティングシステムなどの、いわゆる「ヒートシステム法」が採用されている。
【0003】
ヒートシステム法に用いられるパイプ状配管には、従来より金属製パイプが用いられていたが、金属製パイプの使用には溶接作業が必要である等の理由から、近年では樹脂製パイプの使用が主流になりつつある。樹脂製パイプとしては、例えば、ポリエチレン樹脂からなる樹脂製パイプが挙げられる。しかしながら、ポリエチレン樹脂は高い酸素透過性を有するため、管外から酸素が透過し、管内に侵入した酸素により温水循環装置を構成する金属が錆びて腐食するという問題があった。酸素バリア性に優れるパイプとしてポリエチレンとエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)との多層構造のパイプがあるが、EVOH樹脂は乾燥状態では非常に高い酸素バリア性を示すものの、高湿度環境下や水分に暴露されると酸素バリア性が著しく低下するという問題を有しており、管内を30〜60℃の不凍液が流れる本用途では十分な酸素バリア性が得られないという問題があった。また、ロードヒーティングシステムでは、パイプ状配管を地中に埋設し、その埋設部の地表面を通常160℃程度のアスファルト混合物で覆ってアスファルト施工を行うため、耐熱性の面からも好適に使用できるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決し、管外から侵入する酸素の透過阻止能に優れた樹脂製パイプ並びにこれを用いた温水循環装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
筆者らは上記問題を解決するために鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂により構成されるパイプの外側あるいは内側に、皮膜層として特定のエポキシ樹脂と特定エポキシ樹脂硬化剤を主成分として形成される高酸素バリア性硬化皮膜層を形成させることにより、酸素バリア性、耐熱性、耐衝撃性および経済性に優れた樹脂製パイプが得られることを見出した。
すなわち本発明は、熱可塑性ポリマー樹脂により構成されるパイプの内側あるいは外側の少なくとも一方に皮膜層が形成されたパイプであって、該皮膜層がエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤を主成分とするエポキシ樹脂組成物の硬化により形成され、
該エポキシ樹脂硬化剤が、下記の(A)と(B)の反応生成物、または(A)、(B)および(C)の反応生成物であり、
かつ該皮膜層の23℃、相対湿度60%RHにおける酸素透過係数が0.2 cc−mm/m・day・atm以下であることを特徴とする樹脂製パイプ、およびそれを使用した温水循環装置を提供するものである。
(A)メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物
(C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂製パイプを構成する熱可塑性ポリマー樹脂としては、成形後に形状を保持し得るものであればいずれのものでも使用することができ、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、EVOH系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などが挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリオレフィン系樹脂の中でも低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂がより好ましく、ポリエチレン樹脂の中でも高密度ポリエチレン樹脂が特に好ましい。
また、耐熱性、寸法安定性、耐衝撃性などの諸性能を向上させるために、必要に応じてこれらの樹脂を配合して使用したり、多層構成としても良い。さらに、成形時に発生するスクラップ樹脂を再利用しても良い。具体的には成形時に発生するロス部分や、一般消費者に使用された後の回収品の粉砕物等が挙げられる。かかるスクラップ樹脂を用いることにより廃棄物量が抑制されるため、環境保全の観点から好ましく、コスト低減の効果も得られる。
【0007】
さらに本発明の樹脂製パイプを構成する熱可塑性ポリマー樹脂には、必要に応じて各種添加剤を配合することもできる。このような添加剤の例としては、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなどの酸化防止剤、フタル酸エステル類、ワックス、流動パラフィン、リン酸エステルなどの可塑剤、エチレン−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収剤、ペンタエリスリットモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化ポリオレフィン類、ポリエチレンオキシド、カーボワックスなどの帯電防止剤、エチレンビスステアロアミド、ブチルステアレートなどの滑剤、カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、ベンガラなどの着色剤、その他フィラー、熱安定剤等を挙げることができる。
【0008】
本発明において、熱可塑性ポリマー樹脂により構成されるパイプは、パイプ用ダイスと引取り装置とを用いた押出成形にて作製することができる。例えば、L/D(長さ/口径)が15〜45で、口径が20〜70mmのスクリュー付きの一軸押出し機を用い、シリンダー内で樹脂を融点以上の温度で溶融した後、ダイス先端部より吐出し、引取り装置にてパイプ状に押出して作製できる。パイプの樹脂層を多層構成とする場合には多層押出成形にて作製できる。また、成形後にパイプと皮膜層との接着性を向上させるために、必要に応じてパイプの内外表面にコロナ放電処理やオゾン処理などの各種表面処理を実施してもよい。
【0009】
本発明の樹脂製パイプの層厚みは0.9〜2.2mmであることが好ましい。0.9mmより小さくなると、圧縮強度に優れたパイプが得られなくなる。また、2.2mmより大きくなると、重くなりすぎまたコスト高となる。また、樹脂製パイプの外径は、8mm以上とすることが好ましい。樹脂製パイプの外径が8mmより小さくなると、水頭損失が大きくなり、放熱量が小さくなってヒートシステムとしての効果が小さくなりやすくなる。
【0010】
本発明の樹脂製パイプを構成する皮膜層について以下に説明する。本発明における皮膜層はエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤を主成分とするエポキシ樹脂組成物の硬化により形成され、該皮膜層の23℃、相対湿度60%RHにおける酸素透過係数が0.2 cc-mm/m・day・atm以下、好ましくは0.1 cc-mm/m・day・atm以下、特に好ましくは0.06 cc-mm/m・day・atm以下であることを特徴としている。ここで酸素透過係数とは1mm厚のサンプル1平方メートルを24時間かけて透過する酸素の量を示す値である。
【0011】
また、前記エポキシ樹脂組成物中に含有される(1)式に示される骨格構造が30重量%以上であることが好ましい。該骨格構造を30重量%以上にすることにより、良好な酸素バリア性が発現する。
【化2】
Figure 0004123348
【0012】
以下に、エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤について詳細に説明する。
【0013】
本発明におけるエポキシ樹脂は飽和または不飽和の脂肪族化合物や脂環式化合物、芳香族化合物、あるいは複素環式化合物のいずれであってよいが、高い酸素バリア性の発現を考慮した場合には芳香環を分子内に含むエポキシ樹脂が好ましい。
【0014】
具体的にはメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミン部位および/またはグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、レゾルシノールから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂などが使用できるが、中でもメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂およびレゾルシノールから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂が好ましい。
【0015】
更に、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂やメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂を主成分として使用することがより好ましく、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂を主成分として使用することが特に好ましい。
【0016】
さらに、柔軟性や耐衝撃性、耐湿熱性などの諸性能を向上させるために、上記の種々のエポキシ樹脂を適切な割合で混合して使用することもできる。
【0017】
本発明におけるエポキシ樹脂は、各種アルコール類、フェノール類およびアミン類とエピハロヒドリンの反応により得られる。例えば、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂は、メタキシリレンジアミンにエピクロルヒドリンを付加させることで得られる。
【0018】
ここで、前記グリシジルアミン部位は、キシリレンジアミン中のジアミンの4つの水素原子と置換できる、モノ−、ジ−、トリ−および/またはテトラ−グリシジルアミン部位を含む。モノ−、ジ−、トリ−および/またはテトラ−グリシジルアミン部位の各比率はメタキシリレンジアミンとエピクロルヒドリンとの反応比率を変えることで変更することができる。例えば、メタキシリレンジアミンに約4倍モルのエピクロルヒドリンを付加反応させることにより、主としてテトラグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂が得られる。
【0019】
本発明におけるエポキシ樹脂は、各種アルコール類、フェノール類およびアミン類に対し過剰のエピハロヒドリンを水酸化ナトリウム等のアルカリ存在下、20〜140℃、好ましくはアルコール類、フェノール類の場合は50〜120℃、アミン類の場合は20〜70℃の温度条件で反応させ、生成するアルカリハロゲン化物を分離することにより合成される。
【0020】
生成したエポキシ樹脂の数平均分子量は各種アルコール類、フェノール類およびアミン類に対するエピハロヒドリンのモル比により異なるが、約80〜4000であり、約200〜1000であることが好ましく、約200〜500であることがより好ましいい。
【0021】
本発明におけるエポキシ樹脂硬化剤は、ポリアミン類、フェノール類、酸無水物またはカルボン酸類などの一般に使用され得るエポキシ樹脂硬化剤を使用することができる。これらのエポキシ樹脂硬化剤は飽和または不飽和の脂肪族化合物や脂環式化合物、芳香族化合物、あるいは複素環式化合物のいずれであってよい。
【0022】
具体的には、ポリアミン類としてはエチレジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族アミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香環を有する脂肪族アミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソフォロンジアミン、ノルボルデンジアミンなどの脂環式アミン、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミンなどの芳香族アミン、およびこれらを原料とするエポキシ樹脂またはモノグリシジル化合物との変性反応物、炭素数2〜4のアルキレンオキシドとの変性反応物、エピクロロヒドリンとの変性反応物、およびこれらのポリアミン類との反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物との反応生成物、およびこれらのポリアミン類とのとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物と、炭素数1〜8の一価のカルボン酸および/またはその誘導体との反応生成物などが使用できる。
【0023】
フェノール類としてはカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンなどの多置換基モノマー、およびレゾール型フェノール樹脂などが挙げられる。
【0024】
酸無水物またはカルボン酸類としてはドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物などの脂肪族酸無水物、(メチル)テトラヒドロ無水フタル酸、(メチル)ヘキサヒドロ無水フタル酸などの脂環式酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの芳香族酸無水物、およびこれらに対応するカルボン酸などが使用できる。
【0025】
高い酸素バリア性および熱可塑性ポリマー樹脂製パイプとの良好な接着性の発現を考慮した場合には、エポキシ樹脂硬化剤として、下記の(A)と(B)の反応生成物、または(A)、(B)および(C)の反応生成物を用いることが好ましい。
(A)メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン(ポリアミン)
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物
(C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体
【0026】
前記(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、リンゴ酸、酒石酸、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸などのカルボン酸およびそれらの誘導体、例えばエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物などが挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸およびそれらの誘導体が好ましい。
【0027】
また、前記(C)の炭素数1〜8の一価のカルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、グリコール酸、安息香酸などが挙げられ、また、それらの誘導体、例えばエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物なども使用することができる。これらは上記多官能性化合物と併用してポリアミン(メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン)と反応させてもよい。
【0028】
また、メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン(A)と、該ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物(B)との反応における反応比は、ポリアミン成分に対する多官能性化合物のモル比が0.3〜0.95の範囲が好ましい。
【0029】
反応により導入されるアミド基部位は高い凝集力を有しており、エポキシ樹脂硬化剤中に高い割合でアミド基部位が存在することにより、より高い酸素バリア性が発現し、皮膜層の酸素等価阻止機能が著しく向上する。また熱可塑性ポリマー樹脂製パイプへの良好な接着強度も得られる。さらに、柔軟性や耐衝撃性、耐湿熱性などの諸性能を向上させるために、上記の種々のエポキシ樹脂硬化剤を適切な割合で混合して使用することもできる。
【0030】
本発明におけるエポキシ樹脂組成物の主成分であるエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の配合割合については、一般にエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤との反応によりエポキシ樹脂硬化物を作製する場合の標準的な配合範囲であってよい。具体的には、エポキシ樹脂中のエポキシ基の数に対するエポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数の比が0.5〜5.0、好ましくは0.8〜2.0の範囲である。
【0031】
皮膜層を熱可塑性ポリマー樹脂製パイプの表面に形成する場合には、鋼材の表面の湿潤を助けるために前記エポキシ樹脂組成物の中に、シリコンあるいはアクリル系化合物といった湿潤剤を添加しても良い。適切な湿潤剤としては、ビックケミー社から入手しうるBYK331、BYK333、BYK348、BYK381などがある。これらを添加する場合には、硬化反応物の全重量を基準として0.01重量%〜2.0重量%の範囲が好ましい。
【0032】
また、本発明で形成される皮膜層の酸素バリア性、耐衝撃性、耐熱性などの諸性能を向上させるために、エポキシ樹脂組成物の中にシリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機フィラーを添加しても良い。高い酸素バリア性を考慮した場合には、このような無機フィラーが平板状であることが好ましい。これらを添加する場合には、硬化反応物の全重量を基準として0.01重量%〜10.0重量%の範囲が好ましい。
【0033】
さらに、本発明で形成される皮膜層の熱可塑性ポリマー樹脂製パイプに対する接着性を向上させるために、エポキシ樹脂組成物の中にシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、硬化反応物の全重量を基準として0.01重量%〜5.0重量%の範囲が好ましい。
【0034】
さらに、本発明で形成される皮膜層を形成するエポキシ樹脂組成物中には必要に応じ、低温硬化性を増大させるための例えばN-エチルモルホリン、ジブチル錫ジラウレート、ナフテン酸コバルト、塩化第一錫などの硬化促進触媒、ベンジルアルコールなどの有機溶剤、リン酸亜鉛、リン酸鉄、モリブデン酸カルシウム、酸化バナジウム、水分散シリカ、ヒュームドシリカなどの防錆添加剤、フタロシアニン系有機顔料、縮合多環系有機顔料などの有機顔料、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、カーボンブラックなどの無機顔料等の各成分を必要割合量添加しても良い。
【0035】
本発明において、皮膜層の層厚は1〜200μm程度、好ましくは5〜100μmが実用的である。1μm未満であると十分な酸素バリア性が発現せず、200μmを越えるとその膜厚の制御が困難になる。
【0036】
皮膜層を熱可塑性ポリマー樹脂製パイプの表面に形成させる場合には、熱可塑性ポリマー樹脂製パイプの内側あるいは外側のいずれの表面にも形成させることができる。樹脂製パイプの耐熱性を向上させたい場合には、少なくともパイプの外側の表面に皮膜層を形成させることが好ましい。
また、必要に応じて熱可塑性ポリマー樹脂製パイプの表面に下地調整塗膜を塗布し、その上に本発明の皮膜層を形成させても良い。下地調整用塗料には、エチレン酢酸ビニル樹脂系、アクリル樹脂系、アクリルカチオン系エマルジョン等が使用できる。
また、形成した皮膜層の上に、耐光性、耐候性、耐水性、耐薬品性、耐摩耗性、耐察傷性の付加等、必要に応じて上塗り塗膜を形成させても良い。上塗り樹脂には、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、フッ素系等が使用できる。
【0037】
皮膜層はエポキシ樹脂組成物の硬化により形成されるが、エポキシ樹脂組成物を樹脂製パイプに塗布する方法としては、ロール塗布、しごき塗り、刷毛塗り、流し塗り、浸漬、スプレー塗布等任意の方法の中から樹脂製パイプの形態などに応じて適宜選択できる。またこれらの処理後に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。エポキシ樹脂組成物の塗布後、必要に応じて加熱装置により皮膜層の硬化反応を完結させても良い。加熱装置による樹脂製パイプの加熱方法はドライヤー、高周波誘導加熱、遠赤外線加熱、ガス加熱など従来公知の方法の中から適宜選択して用いることができる。加熱処理は到達材温で50〜300℃、好ましくは70〜200℃の範囲で行うことが望ましい。
【0038】
本発明の樹脂製パイプは酸素バリア性に優れた皮膜層がエポキシ樹脂組成物の硬化により熱可塑性ポリマー樹脂製パイプの表面に形成されている。このため、酸素バリア性に加え、エポキシ樹脂が本来有する性能である耐熱性、強靭性、耐衝撃性などを有する樹脂製パイプを提供することができる。
【0039】
本発明の樹脂製パイプは、例えば、フロアーヒーティングやロードヒーティング等の温水循環装置に用いられる。温水循環装置の管路には、温水もしくはエチレングリコールなどの多価アルコールを含む水溶液等の水性媒体を循環させるのであるが、本発明においては、30〜60℃に調整された水もしくは多価アルコールを含む水溶液が通されていることが好ましい。多価アルコールを含む水溶液は、不凍液としての効果を有するため寒冷地で使用する温水循環装置として好適に使用できる。このような多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等があげられ、いずれも効果が認められるが、エチレングリコールやプロピレングリコールが有効に使用でき、さらに衛生的見地からはプロピレングリコールが好適に使用できる。
【0040】
また、本発明における温水循環装置は、上記のように作製された樹脂製パイプが地中に埋設されるとともに、その埋設部の地表面がアスファルト処理されたロードヒーティングシステムに好適に使用できるものである。
【0041】
【実施例】
以下に本発明の実施例を紹介するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0042】
<エポキシ樹脂硬化剤A>
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.50molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。滴下終了後120℃で1時間攪拌し、さらに、生成するメタノールを留去しながら3時間で180℃まで昇温した。50℃まで冷却し、エポキシ樹脂硬化剤Aを得た。
【0043】
<エポキシ樹脂硬化剤B>
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.67molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。滴下終了後120℃で1時間攪拌し、さらに、生成するメタノールを留去しながら3時間で180℃まで昇温した。50℃まで冷却し、エポキシ樹脂硬化剤Bを得た。
【0044】
<酸素バリア性評価>
以下の実施例等で作製したパイプから得られた試験体(長さ1000mm、外径17mm)の一方の端面をアルミ体(アルミ蒸着フィルム)で封止した。パイプ中にプロピレングリコールを50cc注入し、もう一方の端面をアルミ体で同様に封止して、40℃に保温した。窒素を連続的に一方のアルミ体面より注入し、もう一方のアルミ体面より取り出したパイプ内の気体中の酸素量を測定した。
【0045】
実施例1
高密度ポリエチレン樹脂を、L/D(長さ/直径)が25で口径45mmのスクリュー付きの一軸押出し機を用いて溶融し、ダイスにより外径17mm、肉厚2mmのパイプ状に溶融押出し成形した。このパイプを長さ1000mmで切断し、オゾン処理を施した。メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂(三菱ガス化学(株)製; TETRAD-X)を50重量部、エポキシ樹脂硬化剤Aを33重量部、アクリル系湿潤剤(ビック・ケミー社製;BYK348)を0.02重量部加え、よく攪拌した。このエポキシ樹脂組成物を、前記パイプの外側表面に膜厚約90μmになるように塗布し、120℃で30分間硬化させ皮膜を形成させた。なお皮膜層の23℃、相対湿度60%における酸素透過係数は0.025 cc-mm/m・day・atmであった。また、この皮膜層を形成させたパイプについて、酸素バリア性を評価した。結果を表1に示す。
【0046】
実施例2
エポキシ樹脂硬化剤Aの代わりにエポキシ樹脂硬化剤Bを45重量部用いた以外は実施例1と同様の方法で作製した。なお皮膜層の23℃、相対湿度60%における酸素透過係数は0.020 cc-mm/m・day・atmであった。
【0047】
実施例3
エポキシ樹脂硬化剤Aの代わりにメタキシリレンジアミンとメタクリル酸メチルのモル比が約2:1のメタキシリレンジアミンとメタクリル酸メチルとの反応生成物(三菱ガス化学(株)製;ガスカミン340)を35重量部用いた以外は実施例1と同様の方法で作製した。なお皮膜層の23℃、相対湿度60%における酸素透過係数は0.040 cc-mm/m・day・atmであった。
【0048】
比較例1
メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂の代わりにビスフェノールAから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製;エピコート828)を97重量部用いた以外は実施例1と同様の方法で作製した。なお皮膜層の23℃、相対湿度60%における酸素透過係数は0.42 cc-mm/m・day・atmであった。
【0049】
比較例2
高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、接着性樹脂(Tie)(三井化学製ADMER GT−6A)、バリア性樹脂(チレン含量32mol%、けん化度99.5mol%のエチレン−ビニルアルコール共重合体)をHDPE 1mm/Tie/Barrier 100μm/Tie/HDPE 1mm(外側)からなる構成となるようにパイプ状(外径17mm)に溶融押出し成形した。このパイプを長さ1000mmで切断し、試験体を得た。
【0050】
【表1】
Figure 0004123348
【0051】
【発明の効果】
本発明は、熱可塑性ポリマー樹脂製パイプの表面に酸素バリア性に優れるエポキシ樹脂硬化物からなる皮膜層を形成させていることから、管外よりパイプ内へ侵入する酸素の量を著しく減少させることができる。本発明の樹脂製パイプを使用することにより、床暖房などを目的とした温水循環装置の装置金属部の腐食による劣化を防ぐことが可能であり、装置全体の長期寿命化が可能となる。

Claims (11)

  1. 熱可塑性ポリマー樹脂により構成されるパイプの内側あるいは外側の少なくとも一方に皮膜層が形成されたパイプであって、該皮膜層がエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤を主成分とするエポキシ樹脂組成物の硬化により形成され、
    該エポキシ樹脂硬化剤が、下記の(A)と(B)の反応生成物、または(A)、(B)および(C)の反応生成物であり、
    かつ該皮膜層の23℃、相対湿度60%RHにおける酸素透過係数が0.2 cc−mm/m・day・atm以下であることを特徴とする樹脂製パイプ。
    (A)メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン
    (B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物
    (C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体
  2. 前記酸素透過係数が0.1 cc−mm/m・day・atm以下である請求項1に記載の樹脂製パイプ。
  3. 前記熱可塑性ポリマー樹脂が、ポリオレフィン樹脂である請求項1または2に記載の樹脂製パイプ。
  4. 前記熱可塑性ポリマー樹脂が、ポリエチレン樹脂である請求項1または2に記載の樹脂製パイプ。
  5. 前記エポキシ樹脂組成物中に含有される(1)式に示される骨格構造が30重量%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂製パイプ。
    Figure 0004123348
  6. 前記エポキシ樹脂が、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂およびレゾルシノールから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つを含むものである請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂製パイプ。
  7. 前記エポキシ樹脂が、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂および/またはビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂を主成分とするものである請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂製パイプ。
  8. 前記エポキシ樹脂が、メタキシリレンジアミンから誘導されたテトラグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂を主成分とするものである請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂製パイプ。
  9. 前記(B)多官能性化合物がアクリル酸、メタクリル酸および/またはそれらの誘導体である請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂製パイプ。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の樹脂製パイプにて構成される管路を有し、該管路に30〜60℃の水性媒体を通液させることを特徴とする温水循環装置。
  11. 前記水性媒体が、水、または多価アルコールを含む水溶液である請求項10に記載の温水循環装置。
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