JP4123566B2 - 懸垂式昇降装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,基台(例えば移動台車)から懸垂材を介して昇降可能に吊り下げられた昇降部を有し,上記昇降部の位置調整のために、上記昇降部の位置を光学式位置検出器により検出する場合に、上記光学式位置検出器の光線が、人手等により遮られた場合のトラブルを未然に防ぐ事の出来る懸垂式昇降装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば工場内などでは,荷物の搬送装置として懸垂式昇降装置(いわゆるクレーン)を搭載した搬送装置が用いられることが多い。このような搬送装置の一例を図4及び図5に示す。
図4に示す搬送装置A0は,天井51に配設されたレール52に沿って移動する移動台車53と,上記移動台車53の下部に取り付けられた位置決めアクチュエータ1及び上板2と,上記上板2から垂下された懸垂材54と,上記懸垂材54の下端部に取り付けられ,荷物59を把持可能なハンド55aが一体的に取り付けられた昇降部55と,該昇降部55に設けられ、上記位置決めアクチュエータ1の位置決め動作を制御することによって上記昇降部55の制振を行う昇降部位置制御装置10(図5参照,詳細は後述する)とを具備して構成されている。上記懸垂材54は,例えば上記上板2側に取り付けられた図外の巻き取り装置により巻き取り/巻き出しが行われ,これにより上記昇降部55の上昇/下降が行われる。
上記位置決めアクチュエータ1は,上記上板2を上記移動台車53に対して上記レール52と直角な水平方向に相対移動させるものであり,上記昇降部位置制御装置10からの推力指令により動作する。上記位置決めアクチュエータ1の実位置(実移動量)及び実速度は該位置決めアクチュエータ1に設けられた図外のセンサにより検出される。また、上記上板2から見た昇降部55の相対位置は、昇降部55に設けた投光部56からの光線を上板2に設けた受光部57で受光する事により観測される。
続いて,上記昇降部位置制御装置10の構成及び制御動作について,図5に示す制御ブロック図を用いて説明する。
上記昇降部位置制御装置10は,図5に示すように,上記位置決めアクチュエータ1に対する位置指令(位置目標値)と実変位(実位置)との偏差に基づいて位置補償部11により速度指令を出力する位置制御ループと,上記位置補償部11から出力された上記位置決めアクチュエータ1に対する速度指令と実速度との偏差に基づいて速度補償部12により上記位置決めアクチュエータ1に対して推力指令を出力する速度制御ループと,上記受光部57からの上板2に対する昇降部55の振れ相対変位を微分器58で微分して得た振れ相対速度に基づいて上記位置決めアクチュエータ1に対する制振信号を出力し,上記制振信号を位相反転した後に上記速度補償部12から出力された推力指令に加算する振れ止め補償部4(振れ止め補償手段に相当)とで構成されている。
上記振れ止め補償部4は,比例要素4aとフィルタ4bとで構成されている。上記比例要素4aは上記昇降部55の停止高さに応じて設定されている。また,上記フィルタ4bは,観測ノイズを除去して上記観測ノイズによるサーボ系の発振を防ぐために設けられたローパスフィルタである。
【0003】
以上のような昇降部位置制御装置10では、上記移動台車53が目的位置に停止すると,上記昇降部位置制御装置10に対して,上記位置決めアクチュエータ1を例えば所定の原点位置(上記移動台車53と上記上板2との相対位置関係から決まる)に制御するための位置指令が与えられる。上記位置指令は,上記位置決めアクチュエータ1の実変位との偏差(位置偏差)がとられ,上記位置補償部11に入力される。上記位置補償部11からは,上記位置偏差を0にするような速度指令が出力され,更に上記速度指令は上記位置決めアクチュエータ1の実速度との偏差(速度偏差)がとられ,上記速度補償部12に入力される。上記速度補償部12からは,上記速度偏差を0にするような推力指令が出力される。
また,それと同時に,上記振れ止め補償部4には,上記受光部57からの振れ相対変位の微分値からなる振れ相対速度が入力される。上記振れ止め補償部4では,上記比例要素4aにより上記昇降部55の振れ速度に応じた推力が出力され,更に上記フィルタ4bを介して制振信号として出力される。
上記振れ止め補償部4から出力された上記制振信号は,位相反転した後で上記速度補償部12から出力された推力指令に加算され,該推力指令は上記位置決めアクチュエータ1に入力され,所定の動作が行われる。
以上の制御により,上記昇降部55に振れがある場合には,上記位置決めアクチュエータ1は,振れの周波数が速度制御周波数に比べて十分低い場合に,等価的に上記昇降部55の振れ速度に比例して変位する。ここで,上板2と昇降部55との間に相対変位が生じると昇降部55にはそれに比例した力が働くため,上記昇降部55には自分自身の振れ速度に比例した力が減衰力として与えられることになり,上記昇降部55の振動は短時間で減衰する。また,上記振れ止め補償部4から出力された上記制振信号は上記速度補償部12から出力された推力指令に外乱の形で加算されるため,上記位置決めアクチュエータ1は,上記位置制御ループにより,上記昇降部55の振動の減衰と共に正確に目標位置に位置決めされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の懸垂式昇降装置では、昇降部55の振れ変位の測定に光学的位置センサを用いるため、位置決めアクチュエータ1の上板2と、上記昇降部55との間に人の手等が一時的に誤って入ってしまった場合、検出光線が遮られて、受光部57による検出値が急激に変動する。そのため、上記変位値の微分値である振れ相対速度も急変し、これを受けて位置決めアクチュエータ1が、急激に作動し、荷物59にショックを与えるという不都合があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記したような従来技術の問題点を解決する事を目的としてなされたもので、請求項1記載の発明は、その要旨とするところが、基台に取り付けられた支持部から懸垂材が垂下され、該懸垂材により昇降部を昇降可能に吊り下げた懸垂式昇降装置であって、入力された推力指令に応じて上記支持部を上記基台に対して水平方向に相対移動させるアクチュエータと、上記アクチュエータに対し、上記支持部の変位及び速度に応じた推力指令を出力して上記懸垂材の位置を調整する事により上記昇降部の位置決めを行う位置決め制御装置と、上記支持部に対する上記昇降部の振れ速度を検出する振れ速度検出部と、上記速度センサで検出された上記振れ速度に応じた制振信号を出力する振れ止め補償部とを具備してなり、上記位置決め制御装置が、上記位置決め制御装置が、上記基台或いは昇降部のいずれか一方に設けられた投光部と他方に設けられた受光部とを含む光学的な位置センサの上記受光部からの信号が急激に変化していないときに、上記振れ止め補償部から出力される上記制振信号を上記推力指令に加算し、上記受光部からの信号が急激に変化したときに、上記制振信号の上記推力指令への加算を中止してなる事を特徴とする懸垂式昇降装置である。
また、請求項2の発明では、上記制振信号の上記推力指令への加算の中止後における上記受光部からの出力の変化に応じて、上記制振信号の上記推力指令への加算を復帰させてなる請求項1記載の懸垂式昇降装置として把握されている。また、請求項3に記載のように、上記受光部からの出力の内、長周期の変化のみを検出することによって、ノイズによって復帰するような不都合が回避される。
更に、上記受光部からの出力を2乗処理したものをもとに判断するようにしてもよい。
【0006】
【実施の形態】
続いて本発明を具体化した実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。ここに図1は、本発明の一実施の形態に用いる懸垂式昇降装置の制御ハードブロック図、図2は、その一部を示すハードブロック図、図3は、位置センサからの信号、その微分値、位置制御出力の有無及び上記微分値の2乗をローパスフィルターに通した時の信号波形を示すタイムチャートである。
この実施形態が前記従来技術に示した懸垂式昇降装置と異なるところは、図1に示すように、振れ止め補償部4からの制振信号を、速度補償部12の出力に伝える経路に開閉スイッチSWを設けて、外乱としての制振信号の挿入を必要に応じて停止できるようにした点、及び前記受光部57からの昇降部55の振れ相対変位の微分器58による微分値及び該微分値をローパスフィルタ60を通した信号を、過大判定器61に入力し、過大判定器60が過大な振れが生じたと判定した時に出される判定信号により上記開閉スイッチSWを切るように構成した点である。
上記の構成により、振れ止め補償部からの制振信号が導入されて通常の位置決め動作を行っている状態で、例えば、受光部57と、投光部56の間に
突然人手が差し込まれて投光部56からの光線が遮られた場合、微分器58からは大きい変動を含む波形が過大判定器61に導入される。同時に上記微分器58からの信号はローパスフィルタ60に導入され、変動を押さえられた信号として、過大判定器61に導入される。過大判定器61は、比較器であり、上記微分器58からの振れ相対速度信号と、ローパスフィルタ61からの変動を抑制された信号とを比較し、その差が予め定めた所定の値を超える場合は、変動が過大である、即ち何らかの原因で投光部58からの光線が遮られる等のトラブルが発生したものとして、過大判定信号を出力し、開閉スイッチSWを開にする。これによって、急激な変動を伴う制振信号の導入が防がれ、位置決めアクチュエータ1の急激な動作が抑制され、投光部57からの光線が手等によって遮られる事で荷物に過大な衝撃が掛るといった問題が解消される。当然ながら、微分器58からの速度信号の変動があまり大きくない場合には、過大判定信号は出力されないので、制振信号の導入は継続される。
【0007】
【実施例】
上の実施形態に、復帰機能を追加したのが、図2に示す回路である。この場合、微分器58から出た振れ相対速度信号Vは、2乗回路62で2乗された後、過大検出回路63に導入される。同時に2乗回路62から出た信号は、ローパスフィルタ64で平滑化された後過小検出回路65に導入される。上記過大検出回路63及び過小検出回路65の出力はいずれもリレー回路に伝達される。リレー回路66の出力は、前記開閉スイッチSWを駆動する。
この回路に、投光部56からの光線を遮る事による大きい変動を伴う相対速度信号が入力された場合を考える。その場合、相対速度信号は、変位信号が不定となるため図3に示すように大きく変動する信号となる。この信号が2乗回路63を通る事によって正数化され、過大検出回路63で過大な変動を含むものか否かの判定を受ける。上記のように、速度信号を2乗処理する事により、正方向の過大値の判断だけで済み、回路が簡素化されるとともに、出力のレンジが大きくなるので、過大か否かの判定精度が向上する。
ここで変動が過大であると判定されると、リレー回路66が駆動され、開閉スイッチSWが開かれ、制振信号の導入が停止され、位置決めアクチュエータ1の急激な動きが抑えられる。
この状態で、挿入された手が光線を遮らない領域まで脱出すると、速度の変動が急激に減少する。そこでその変動をローパスフィルタ64を通した後、過小検出回路65を通す事で、十分に変動の小さい値となった事が判定されると、リレー回路66に判定信号が送られ、リレー回路66が開閉スイッチSWを閉じる方向に駆動し、制振信号が導入される状態に復帰する。
このようにして、投光部56からの光線が一時的に遮られた場合に、上記光線の急激な変動により大きく変動する制振信号が、制御ループに導入されなくなるので、位置決めアクチュエータ1の急激な動きによる荷物の損傷などが回避されるとともに、光線が遮られる事による大きい変動が無くなると、制振信号の導入が自動的に復帰される。
尚、上記例では、いずれも投光部56を昇降部55側に設け、受光部57を基台の一例である上板2に設けているが、投光部56を上板2側に設け、受光部57を昇降部55に設けても良い事は当然である。
【0008】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、基台に取り付けられた支持部から懸垂材が垂下され、該懸垂材により昇降部を昇降可能に吊り下げた懸垂式昇降装置であって、入力された推力指令に応じて上記支持部を上記基台に対して水平方向に相対移動させるアクチュエータと、上記アクチュエータに対し、上記支持部の変位及び速度に応じた推力指令を出力して上記懸垂材の位置を調整する事により上記昇降部の位置決めを行う位置決め制御装置と、上記支持部に対する上記昇降部の振れ速度を検出する振れ速度検出部と、上記速度センサで検出された上記振れ速度に応じた制振信号を出力する振れ止め補償部とを具備してなり、上記位置決め制御装置が、上記基台或いは昇降部のいずれか一方に設けられた投光部と他方に設けられた受光部とを含む光学的な位置センサの上記受光部からの信号が急激に変化していないときに、上記振れ止め補償部から出力される上記制振信号を上記推力指令に加算し、上記受光部からの信号が急激に変化したときに、上記制振信号の上記推力指令への加算を中止してなる事を特徴とする懸垂式昇降装置であり、昇降部の位置を検出する受光部の光線が何らかの理由により一時的に遮られたり、光量が減少した場合に、昇降部の位置調整の程度を加減するものであるから、光線が遮られた場合に生じる位置決めアクチュエータの急激な作動が防がれて、釣り下げた荷物に損傷が生じるような問題が回避される。
また、上記制振信号の上記推力指令への加算の中止後における上記受光部からの出力の変化に応じて、上記制振信号の上記推力指令への加算を復帰させるようにすれば、一時的に光線を遮っていた障害物が光線を遮らなくなればすぐに正常な制振動作に復帰できるものである。
更に、上記受光部からの出力の内、長周期の変化のみを検出するようにする事で、平滑化された信号をもとに判断しうるようになり、瞬間的な速度低下によっては復帰しないようにできるものである。
更にまた、速度信号を2乗処理するようにすれば、正方向の過大値の判断だけで済み、回路が簡素化されるとともに、出力のレンジが大きくなるので、相対速度の変動が過大か否かの判定精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る懸垂式昇降装置の概略構成を示す模式図。
【図2】 上記懸垂式昇降装置の制御回路の一部の変形例ブロック図。
【図3】 図2に示した例における信号波形を示すタイムチャート。
【図4】 従来の懸垂式昇降装置A0の概略構成を示す模式図。
【図5】 従来の懸垂式昇降装置A0の制御回路の概略構成を示すブロック図。
【符号の説明】
1…位置決めアクチュエータ
4…振れ止め補償部
4a…比例要素
4b…フィルタ
10…昇降部位置制御装置
11…位置補償部
12…速度補償部
53…移動台車(基台)
54…懸垂材
55…昇降部
56…投光部
57…受光部
58…微分器
60…ローパスフィルタ
61…過大判定回路
62…2乗回路
63…過大検出回路
64…ローパスフィルタ
65…過小検出回路
Claims (4)
- 基台に取り付けられた支持部から懸垂材が垂下され、該懸垂材により昇降部を昇降可能に吊り下げた懸垂式昇降装置であって、
入力された推力指令に応じて上記支持部を上記基台に対して水平方向に相対移動させるアクチュエータと、
上記アクチュエータに対し、上記支持部の変位及び速度に応じた推力指令を出力して上記懸垂材の位置を調整する事により上記昇降部の位置決めを行う位置決め制御装置と、
上記支持部に対する上記昇降部の振れ速度を検出する振れ速度検出部と、
上記速度センサで検出された上記振れ速度に応じた制振信号を出力する振れ止め補償部と、
と、
を具備してなり、
上記位置決め制御装置が、上記基台或いは昇降部のいずれか一方に設けられた投光部と他方に設けられた受光部とを含む光学的な位置センサの上記受光部からの信号が急激に変化していないときに、上記振れ止め補償部から出力される上記制振信号を上記推力指令に加算し、上記受光部からの信号が急激に変化したときに、上記制振信号の上記推力指令への加算を中止してなる事を特徴とする懸垂式昇降装置。 - 上記制振信号の上記推力指令への加算の中止後における上記受光部からの出力の変化に応じて、上記制振信号の上記推力指令への加算を復帰させてなる請求項1記載の懸垂式昇降装置。
- 上記受光部からの出力の内、長周期の変化のみを検出する請求項2記載の懸垂式昇降装置。
- 上記受光部からの出力を2乗処理したものをもとに判断するようにした請求項1〜3のいずれか1つに記載の懸垂式昇降装置。
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