JP4123932B2 - 車両の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の駆動源であるエンジンに対する燃料の供給および停止の制御に関し、特に、燃費を向上させるために減速中に燃料の供給を停止する制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃費を向上させるために減速中に燃料の供給を停止する制御、いわゆるフューエルカット制御は、走行性能や乗心地を損なわない範囲でエンジンに対する燃料の供給を可及的に少なくして燃費を向上させる制御である。一般には、エンジンがアイドリング状態にある減速中にエンジン回転数が予め定められた範囲に入ることにより、燃料の供給を停止している。具体的には、走行中にスロットルバルブが閉じられてエンジン回転数が次第に低下し、その範囲の上限を規定しているフューエルカット回転数以下になると燃料の供給を停止する。またエンジン回転数がさらに低下してその範囲の下限を規定している復帰回転数に達すると燃料の供給を再開する。なお、この復帰回転数はエンジンストールを生じさせず、また安定した回転を維持する回転数に設定されている。
【0003】
このようなフューエルカット制御は、基本的には、エンジン回転数に基づいて実行され、これに対してエンジン回転数はたとえ減速中であっても直線的に低下する訳ではないのであり、したがってエンジン回転数がフューエルカット領域にあるにも拘らず、燃料の供給が再開されてしまうことがある。すなわちコースト状態で減速することにより車速がある程度の低車速になるとダウンシフトを実行し、その際に一時的にエンジン回転数が低下して、その低下したエンジン回転数が復帰回転数を下回ると、燃料の供給が再開されてしまい、その後にダウンシフトの終了によってエンジン回転数がフューエルカット領域まで増大しても燃料の供給を停止できなくなる。
【0004】
特開平8−11591号(特許3201153号)公報(特許文献1)は、このような問題を解決する制御装置を開示する。この公報に開示された制御装置は、車速に相当するパラメータを含む複数のパラメータに基づいて変速が実行される自動変速機がエンジンに連結され、減速中のエンジン回転数が所定の範囲にある時にエンジンへの燃料の供給を停止する自動変速機付き車両の燃料供給制御装置である。この制御装置は、燃料の供給を再開するための復帰回転数の近傍でダウンシフトを実行した場合のエンジン回転数を予測するエンジン回転数予測回路と、その予測されたエンジン回転数が復帰回転数より高回転数の場合に燃料の供給の停止を継続させる燃料カット継続回路とを含む。
【0005】
この公報に開示された制御装置によると、減速中にエンジン回転数が次第に低下して所定の範囲に入ると、エンジンに対する燃料の供給が停止される。エンジン回転数がさらに低下して、その範囲の下限を規定する復帰回転数に近付くと、その時点の変速段からのダウンシフトによって設定される変速段でのエンジン回転数をエンジン回転数予測回路が予測する。その予測されたエンジン回転数が燃料の供給を再開する復帰回転数より高い回転数であれば、燃料カット継続回路が燃料の供給停止を継続させる。すなわち、エンジン回転数の低下を伴って減速され、その結果、ダウンシフトが生じるのであれば、その過程で一時的にエンジン回転数が復帰回転数より低い回転数になることがあっても、燃料の供給停止を継続し、燃費を向上させる。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−11591号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この特許文献1に開示された制御装置では、ダウンシフトに伴うエンジン回転数の一時的な低下により燃料の供給が再開されてしまうことを考慮して、予測されたダウンシフト後の変速段でのエンジン回転数がフューエルカット復帰回転数よりも高ければ、そのままフューエルカットを継続する。これによりフューエルカットによる燃費の向上を目指す。しかしながら、本出願人の知見によると、さらにフューエルカットによる燃費を改善するべき余地が多分にある。たとえば、フューエルカットを開始するエンジン回転数や、フューエルカットから復帰するエンジン回転数を変更して、フューエルカット領域を広げるということがある。ただし、このようなフューエルカット領域を単に広げるためにフューエルカット復帰回転数を下げて設定すると、エンジンストールが生じる可能性がある。また、フューエルカット開始回転数を下げて設定すると、フューエルカットからの復帰と再開とを頻繁に繰返すため、好ましくない。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、乗心地や走行フィーリングを損なうことなく、燃費を向上させることができる車両の制御装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る制御装置は、車両の減速中に、エンジンの回転数が予め定められた範囲であると、フューエルカットするためのフューエルカット実行手段と、フューエルカット実行手段によるフューエルカットの実行実績および実行予測の少なくともいずれかを判定するための判定手段と、判定されたフューエルカットの実行実績および実行予測の少なくともいずれかに基づいて、範囲を変更するための変更手段とを含む。
【0010】
第1の発明によると、たとえば、過去のフューエルカットの履歴(直近のフューエルカットから復帰してからの経過時間の長さ)や、過去のフューエルカットの頻度(過去の予め定められた時間におけるフューエルカットの実行回数)や、これからのフューエルカットの予測頻度(車両の減速走行状態の継続)に基づいて、フューエルカットの開始やフューエルカットからの復帰を規定するエンジン回転数を、フューエルカットの適用範囲を広げるように(たとえばフューエルカット開始回転数を低めにするように)変更する。これにより、フューエルカットの実行実績が少なく減速が継続されると予測される場合には、フューエルカットの適用範囲を広げ、また、車両の減速走行状態が継続するのでフューエルカットが継続して実行されると予測される場合には、フューエルカットの適用範囲を広げる。特に、フューエルカットが継続して実行されると予測される場合にフューエルカットの適用範囲を広げても、フューエルカットの開始と復帰とを頻繁に繰返すことがない。その結果、乗心地や走行フィーリングを損なうことなく、燃費を向上させることができる車両の制御装置を提供できる。
【0011】
第2の発明に係る制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、判定手段は、直近のフューエルカットから復帰してからの経過時間が長いとフューエルカットの実行実績が少ないと判定するための手段を含む。変更手段は、フューエルカットの実行実績が少ないと判定されると、範囲を広げるための手段を含む。
【0012】
第2の発明によると、直近のフューエルカットから復帰してからの経過時間が予め定められた時間よりも長いとフューエルカットの頻度が少ないので、フューエルカットの適用範囲を広げて燃費を向上させる。
【0013】
第3の発明に係る制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、判定手段は、予め定められた時間におけるフューエルカットの実行回数が少ないとフューエルカットの実行実績が少ないと判定するための手段を含む。変更手段は、フューエルカットの実行実績が少ないと判定されると、範囲を広げるための手段を含む。
【0014】
第3の発明によると、予め定められた時間におけるフューエルカットの実行回数が少ないとフューエルカットの頻度が少ないので、フューエルカットの適用範囲を広げて燃費を向上させる。
【0015】
第4の発明に係る制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、判定手段は、車両の減速走行状態が継続するか否かを判定するための手段を含む。変更手段は、減速走行状態が継続すると判定されると、範囲を広げるための手段を含む。
【0016】
第4の発明によると、車両の減速走行状態が継続すると(たとえば、長い下り坂を走行している場合)、フューエルカットが継続すると考えられるので、実行予測としてフューエルカットが繰返して実行される頻度が少ないと判定される。このため、フューエルカットの適用範囲を広げても、フューエルカットの開始とフューエルカットからの復帰とを繰り返さないので、フューエルカットの適用範囲を広げて燃費を向上させる。
【0017】
第5の発明に係る制御装置においては、第4の発明の構成に加えて、判定手段は、現在の車速と前方車との距離とに基づいて、車両の減速走行状態が継続するか否かを判定するための手段を含む。
【0018】
第5の発明によると、前方車との距離が比較的短くて、現在の車速がある程度以上であると、運転者がアクセルを踏んで車両を加速させる可能性が低い。このため、このような状態であると、車両の減速走行状態が継続すると判定して、フューエルカットの適用範囲を広げて燃費を向上させる。
【0019】
第6の発明に係る制御装置においては、第4の発明の構成に加えて、判定手段は、前方の道路状況に基づいて、車両の減速走行状態が継続するか否かを判定するための手段を含む。
【0020】
第6の発明によると、車両の前方に曲率の大きなカーブや渋滞があると、運転者がアクセルを踏んで車両を加速させる可能性が低い。このため、このような状態であると、車両の減速走行状態が継続すると判定して、フューエルカットの適用範囲を広げて燃費を向上させる。
【0021】
第7の発明に係る制御装置においては、第1〜6のいずれかの発明の構成に加えて、変更手段は、フューエルカットを開始するエンジン回転数の設定を低くするための手段を含む。
【0022】
第7の発明によると、フューエルカットを開始するエンジン回転数の設定を低く変更されると、その回転数以上であればエンジン回転数以外のフューエルカット開始条件を満足するとフューエルカットが実行される。その結果、フューエルカットの適用範囲が広がり、燃費が向上する。
【0023】
第8の発明に係る制御装置においては、第1〜7のいずれかの発明の構成に加えて、フューエルカット実行手段は、ロックアップクラッチがスリップ状態およびオン状態のいずれかであることを条件として、エンジンの回転数が予め定められた範囲であると、フューエルカットするための手段を含む。
【0024】
第8の発明によると、車両は、ロックアップクラッチ付き流体継手(たとえばトルクコンバータ)を構成要素とする自動変速機が搭載され、ロックアップクラッチがスリップ状態およびオン状態のいずれかであることおよび他の条件を満足すると、フューエルカットが実行される。ロックアップクラッチがオフ状態であるとエンジンが被駆動状態にならないので、エンジンへの燃料供給が中止されると直ちにエンジン回転数が急激に低下して、フューエルカット復帰回転数を下回る。このため、ロックアップクラッチがスリップ状態およびオン状態のいずれかの状態でフューエルカットを実行するようにしておくと、エンジンが被駆動状態になり、エンジン回転数の低下を遅らせることができ、フューエルカットを継続できる。
【0025】
第9の発明に係る制御装置においては、第8の発明の構成に加えて、変更手段は、自動変速機の変速ギヤ比に基づいて、範囲を広げるための手段を含む。
【0026】
第9の発明によると、フューエルカットに高速の変速ギヤ比ほどエンジン回転数の変化が少ないのでエンジン回転数の低下に時間がかかる。このため、フューエルカット開始回転数を低下させても、エンジン回転数が低下してフューエルカット復帰回転数に到達するまでの時間が極端に短くならないので、フューエルカットの開始と復帰とが短い周期にならない。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0028】
図1を参照して、本実施の形態に係る制御装置を含む車両のパワートレインについて説明する。本実施の形態に係る制御装置は、図1に示すECT_ECU(Electronic Controlled Automatic Transmission_Electronic Control Unit)400により実現される。
【0029】
図1に示すように、この車両は、エンジン100と、トルクコンバータ200と、自動変速機300と、エンジン100の駆動力により回転されるオイルポンプ700とから構成される。オイルポンプ700に加えて、電動式のオイルポンプを設けてもよい。なお、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、流体継手は、トルクコンバータではなくフルードカップリングであってもよいし、自動変速機は、たとえばベルト式などの無段変速機であってもよい。無段変速機の場合、以下の説明の中におけるギヤ段はギヤ比となる。
【0030】
エンジン100の出力軸は、模式的に表現されたエンジンイナーシャ110を介してトルクコンバータ200の入力軸に接続される。エンジン100とトルクコンバータ200とは回転軸150により連結されている。したがって、エンジン100の出力軸回転数N(E)とトルクコンバータ200の入力軸回転数N(P)とは同じである。また、エンジン100の出力トルクをT(E)と、トルクコンバータ200への入力トルクをT(P)として表わす。
【0031】
トルクコンバータ200は、ロックアップクラッチ210を含み、ポンプ羽根車220とタービン羽根車230とから構成される。トルクコンバータ200と自動変速機300とは、回転軸250により接続される。トルクコンバータ200の出力軸回転数をN(T)と、トルクコンバータ200の出力トルクをT(T)として表わす。
【0032】
これらのパワートレインを制御するECT_ECU400には、ポンプ回転数N(P)、タービン回転数N(T)、アクセル開度、車速、車両加速度、スロットル開度、AT信号、エンジン冷却水温信号、シフトポジション信号および車両前方情報が入力される。また、ECT_ECU400から、トルクコンバータ200のロックアップクラッチ210に対してロックアップクラッチ係合圧信号が出力される。ECT_ECU400から、自動変速機300に対してAT制御信号が出力される。
【0033】
車両前方信号とは、この車両と、この車両の前方を走行する車両との距離を検知するレーダセンサから入力される距離信号、この車両に搭載されたGPS(Global Positioning System)装置から入力された前方の急カーブ情報や、前方の渋滞情報などである。ECT_ECU400は、車両の車速が比較的高くて、この車両と、この車両の前方の車両との距離が比較的短いと、運転者がアクセルを踏む可能性が低いと判断して、減速走行状態が継続すると判定する。また、ECT_ECU400は、前方に急カーブがあると、運転者がアクセルを踏む可能性が低いと判断して、減速走行状態が継続すると判定する。さらに、ECT_ECU400は、前方の道路が渋滞していると、運転者がアクセルを踏む可能性が低いと判断して、減速走行状態が継続すると判定する。
【0034】
図1において、エンジン100の動力は、ロックアップクラッチ付きトルクコンバータ200を備えた自動変速機300を介して連結される駆動輪に伝達される。トルクコンバータ200は、エンジン100のクランク軸(トルクコンバータ200の入力軸)150に固定されたポンプ羽根車220と、自動変速機300の入力軸(トルクコンバータ200の出力軸)250に連結されたタービン羽根車230と、それらポンプ羽根車220および入力軸250を直結するロックアップクラッチ210と、ステータ222とを備えている。
【0035】
図2に自動変速機300のスケルトン図を、図3に自動変速機300の作動表を示す。図2に示すスケルトン図および図3に示す作動表によると、摩擦要素であるクラッチ要素(図中のC(0)〜C(2))や、ブレーキ要素(B(0)〜B(4))、ワンウェイクラッチ要素(F(0)〜F(2))が、どのギヤ段の場合に係合および解放されるかを示している。車両の発進時に使用される1速時には、クラッチ要素(C(0)、C(1))、ブレーキ要素(B(4))、ワンウェイクラッチ要素(F(0)、F(2))が係合する。
【0036】
図4を参照して、ECT_ECU400のメモリに記憶されるフューエルカット領域を示すマップについて説明する。このマップは、エンジン冷却水温に対するエンジン100の回転数の関数によりフューエルカット領域を規定する。このマップには、フューエルカットの開始回転数と復帰回転数とが記憶される。車両減速に伴ってフューエルカットが開始されると、図4に示すように、このフューエルカットの開始回転数(この開始回転数以上の範囲を含む)と復帰回転数とにより規定される範囲にエンジン回転数がある場合に、他の条件を満足するとフューエルカットが実行される。
【0037】
たとえば、エンジン100がアイドル状態のときであって、車両の減速時においてフューエルカットが実行されている場合に、現在のエンジン100の回転数が図4に示すフューエルカットの復帰回転数よりも大きいか否かを判定し、フューエルカットの復帰回転数よりも大きいときには、継続して減速時のフューエルカットを実行し、フューエルカットの復帰回転数以下のときには、減速時のフューエルカットの実行状態から燃料噴射実行状態へと復帰(フューエルカットからの復帰)する。
【0038】
このフューエルカットが実行されているときには、トルクコンバータ200のロックアップクラッチ210をスリップ制御(オン状態を含む)することによって、エンジン100の回転速度が急激に低下しないようにすることにより、フューエルカットが実行されている時間を長く保つことができ、同時にこの間は適度なエンジンブレーキを確保することができる。
【0039】
また、フューエルカットの実行中にアクセルが踏まれて、フューエルカットの実行状態から燃料噴射実行状態へと復帰した後、エンジン100の回転数が上昇したところで、エンジン100が再びアイドル状態になって、車両が減速状態になった場合に、現在のエンジン100の回転数が図4に示すフューエルカットの開始回転数よりも大きいか否かを判定し、フューエルカットの開始回転数よりも大きいときには、減速時のフューエルカットを再開し、フューエルカットの開始回転数以下のときには、燃料噴射実行状態を継続する。このため、フューエルカットの開始回転数を下げて設定すると、フューエルカットが再開しやすくなる。また、フューエルカットの復帰回転数を下げて設定すると、フューエルカットからの復帰がし難くなる。
【0040】
このように、フューエルカットの開始回転数やフューエルカットの復帰回転数を下げることは、フューエルカットが実行される場合が多くなるので、本発明においては、このようにして、フューエルカットの開始回転数やフューエルカットの復帰回転数を下げる場合を、フューエルカットをより多く実行するために、エンジン回転数に基づいて規定されるフューエルカットの範囲を広げるという。なお、フューエルカットの開始回転数は、エンジン100の回転数がその開始回転数以上であれば(図4における開始回転数以上の範囲)、エンジン回転数以外の他の条件を満足すると、フューエルカットを開始できることを意味する。
【0041】
ECT_ECU400は、このようなマップをメモリに記憶するとともに、フューエルカットの開始回転数を下げたマップを記憶する。図5〜7にこのようなマップを示す。
【0042】
図5に示すように、このマップは、直近のフューエルカットから復帰してからの経過時間の長さおよび自動変速機300の変速ギヤ段に応じて設定されたフューエルカット開始回転数を記憶する。高速ギヤ段(4TH、5TH)において、復帰からの経過時間が長いほど、フューエルカット復帰回転数の低下幅が大きくなるように設定されている。
【0043】
図6に示すように、このマップは、過去の予め定められた時間内のフューエルカットの回数および自動変速機300の変速ギヤ段に応じて設定されたフューエルカット開始回転数を記憶する。高速ギヤ段(4TH、5TH)において、過去のフューエルカットの頻度が小さいほど、フューエルカット復帰回転数の低下幅が大きくなるように設定されている。
【0044】
図7に示すように、このマップは、未来のフューエルカットの予測繰返し頻度および自動変速機300の変速ギヤ段に応じて設定されたフューエルカット開始回転数を記憶する。高速ギヤ段(4TH、5TH)において、未来のフューエルカットの予測繰返し頻度が小さいほど、フューエルカット復帰回転数の低下幅が大きくなるように設定されている。車両の減速走行状態が継続すると予測されるほど、未来のフューエルカットの予測繰返し頻度は、小さくなる。前述したように、運転者がアクセルを踏まない状況であると(前方車との距離が比較的近い、前方に急カーブがある、前方の道路が渋滞している等)、車両の減速走行状態が継続すると判断される。
【0045】
図5〜7に示したマップに基づいて、ECT_ECU400が図4に示したフューエルカットの開始回転数を下げるように演算して、フューエルカットをより多く実行して、車両の燃費を向上させる。さらに、フューエルカットの開始回転数のみならずフューエルカットの復帰回転数を下げるようにしてもよい。
【0046】
図8を参照して、本実施の形態に係るECT_ECU400で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0047】
ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、ECT_ECU400は、車両が減速中であるか否かを判断する。この判断は、ECT_ECU400に入力される車速の時間微分値に基づいて行なわれる。
【0048】
車両が減速中であると(S100にてYES)、処理はS200へ移される。もしそうでないと(S100にてNO)、この処理は終了する。
【0049】
S200にて、ECT_ECU400は、フューエルカットが可能であるか否かを判断する。この判断は、予め定められたフューエルカットの開始に対するエンジン100の回転数などの条件を満足するか否かに基づいて行なわれる。フューエルカットが可能であると(S200にてYES)、処理はS300へ移される。もしそうでないと(S200にてNO)、この処理は終了する。
【0050】
S300にて、ECT_ECU400は、トルクコンバータ200のロックアップクラッチ210のロックアップ状態が継続しているか否かを判断する。このとき、ロックアップクラッチ210がオン状態やスリップ状態であるか否かが判断される。より具体的には、ロックアップクラッチ210は、タービン回転数NTがたとえば1000rpm以下であると、ロックアップクラッチ210がオフになり、タービン回転数NTが1000rpmより上であると、ロックアップクラッチ210がスリップまたはオンになるので、この判断は、タービン回転数NTで判断する。ロックアップクラッチ210がロックアップ状態を継続していると(S300にてYES)、処理はS400へ移される。もしそうでないと(S300にてNO)、処理はS500へ移される。
【0051】
S400にて、ECT_ECU400は、フューエルカット領域として、フューエルカット領域が拡大されたマップ(フューエルカットの開始回転数が下げられたマップ)を設定する。このとき、図5に示すような直近のフューエルカットから復帰してからの経過時間の長さおよび自動変速機300の変速ギヤ段に応じて、図6に示すような過去の予め定められた時間内のフューエルカットの回数および自動変速機300の変速ギヤ段に応じて、図7に示すような未来のフューエルカットの予測繰返し頻度および自動変速機300の変速ギヤ段に応じて、予め設定されたフューエルカットの開始回転数に基づいて、フューエルカットの開始回転数が設定される。
【0052】
S500にて、ECT_ECU400は、フューエルカット領域として、通常のフューエルカット領域(フューエルカットの開始回転数が下げられていないマップ)を設定する。
【0053】
S600にて、ECT_ECU400は、フューエルカットの開始条件が満足されているか否かを判断する。たとえば、実際のエンジン100の回転数が、フューエルカット開始回転数に達したか否かを判定する。フューエルカット開始条件を満足すると(S600にてYES)、処理はS700へ移される。もしそうでないと(S600にてNO)、処理はS800へ移される。
【0054】
S700にて、ECT_ECU400は、フューエルカットの開始処理を実行する。
【0055】
S800にて、ECT_ECU400は、フューエルカットの復帰条件を満足したか否かを判断する。たとえば、エンジン100の回転数がフューエルカットの復帰回転数に到達したか否かにより行なわれる。フューエルカット復帰条件を満足すると(S800にてYES)、処理はS900へ移される。もしそうでないと(S800にてNO)、この処理は終了する。
【0056】
S900にて、ECT_ECU400は、フューエルカットからの復帰処理を実行する。
【0057】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る車両の制御装置であるECT_ECU400の動作を図9を参照して説明する。
【0058】
車両が減速を開始して(S100にてYES)、フューエルカットが可能と判断されて(S200にてYES)、トルクコンバータ200のロックアップクラッチ210がスリップ状態およびオン状態のいずれかの状態であると(S300にてYES)、車両の運転状態をモニタリングした結果に応じて、フューエルカット領域を定めたマップが設定される(S400)。このとき、モニタリングの結果、直近のフューエルカットから復帰してからの経過時間が長い場合、過去の予め定められた時間内のフューエルカットの回数が少ない場合および減速走行状態が継続するので未来のフューエルカットの予測繰返し頻度が小さいと予測された場合の少なくともいずれかの場合であると、たとえば、フューエルカットの開始回転数(1)はフューエルカットの開始回転数(2)に下げられてフューエルカット領域が拡大したマップが設定される。
【0059】
フューエルカット条件が成立すると(S600にてYES)、このように設定されたマップを用いてフューエルカットの開始処理が実行される(S700)。その後、エンジン回転数がフューエルカット復帰回転数を下回るなどによりフューエルカット条件が成立しなくなると(S800にてNO)、フューエルカットからの復帰処理が実行される(S900)。
【0060】
図9に示すように、開始回転数(1)が開始回転数(2)に下げられたことにより、フューエルカット状態(A)ではフューエルカットが実行されないのに対して、フューエルカット状態(B)に示すようにフューエルカットが実行される。その結果、車両の燃費を向上させることができる。
【0061】
以上のようにして、本実施の形態に係るECT_ECUによると、減速フューエルカットの制御において、過去のフューエルカットの履歴、頻度、未来のフューエルカットの繰返し頻度に基づいて、フューエルカットの適用範囲を規定するエンジン回転数を変更して、フューエルカットをより多く実行させることができる。その結果、車両の燃費が向上する。
【0062】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る制御装置が搭載された車両のパワートレインの構成を示す図である。
【図2】 図1に示す自動変速機のスケルトン図である。
【図3】 図1に示す自動変速機の作動係合状態を表わす図である。
【図4】 フューエルカット領域を示す図である。
【図5】 フューエルカット領域の変更例を示す図(その1)である。
【図6】 フューエルカット領域の変更例を示す図(その2)である。
【図7】 フューエルカット領域の変更例を示す図(その3)である。
【図8】 本発明の実施の形態に係るECT_ECUで実行される処理の制御構造を示すフローチャートである。
【図9】 フューエルカットの開始時およびフューエルカットからの復帰時のタイミングチャートを示す図である。
【符号の説明】
100 エンジン、110 エンジンイナーシャ、200 トルクコンバータ、210 ロックアップクラッチ、220 ポンプ羽根車、230 タービン羽根車、300 自動変速機、400 ECT_ECU、700 オイルポンプ。
Claims (14)
- 車両の減速中に、エンジンの回転数が予め定められた範囲であると、フューエルカットするためのフューエルカット実行手段と、
前記フューエルカット実行手段によるフューエルカットの実行実績および実行予測の少なくともいずれかを判定するための判定手段と、
前記判定されたフューエルカットの実行実績および実行予測の少なくともいずれかに基づいて、前記範囲を変更するための変更手段とを含み、
前記判定手段は、予め定められた時間におけるフューエルカットの実行回数が少ないと前記フューエルカットの実行実績が少ないと判定するための手段を含み、
前記変更手段は、前記フューエルカットの実行実績が少ないと判定されると、前記範囲を広げるための手段を含む、車両の制御装置。 - 前記判定手段は、車両の減速走行状態が継続するか否かを判定するための手段をさらに含み、
前記変更手段は、前記減速走行状態が継続すると判定されると、前記範囲を広げるための手段を含む、請求項1に記載の制御装置。 - 前記判定手段は、現在の車速と前方車との距離とに基づいて、車両の減速走行状態が継続するか否かを判定するための手段を含む、請求項2に記載の制御装置。
- 前記判定手段は、前方の道路状況に基づいて、車両の減速走行状態が継続するか否かを判定するための手段を含む、請求項2に記載の制御装置。
- 前記変更手段は、フューエルカットを開始するエンジン回転数の設定を低くするための手段を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の制御装置。
- 前記車両は、ロックアップクラッチ付き流体継手を構成要素とする自動変速機を搭載し、
前記フューエルカット実行手段は、前記ロックアップクラッチがスリップ状態およびオン状態のいずれかであることを条件として、エンジンの回転数が予め定められた範囲であると、フューエルカットするための手段を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の制御装置。 - 前記変更手段は、前記自動変速機の変速ギヤ比に基づいて、前記範囲を広げるための手段を含む、請求項6に記載の制御装置。
- 車両の減速中に、エンジンの回転数が予め定められた範囲であると、フューエルカットするためのフューエルカット実行手段と、
前記フューエルカット実行手段によるフューエルカットの実行履歴、実行頻度および実行予測の少なくともいずれかを判定するための判定手段と、
前記判定されたフューエルカットの実行履歴、実行頻度および実行予測の少なくともいずれかに基づいて、前記範囲を変更するための変更手段とを含む、車両の制御装置。 - 前記判定手段は、車両の減速走行状態が継続するか否かを判定するための手段を含み、
前記変更手段は、前記減速走行状態が継続すると判定されると、前記範囲を広げるための手段を含む、請求項8に記載の制御装置。 - 前記判定手段は、現在の車速と前方車との距離とに基づいて、車両の減速走行状態が継続するか否かを判定するための手段を含む、請求項9に記載の制御装置。
- 前記判定手段は、前方の道路状況に基づいて、車両の減速走行状態が継続するか否かを判定するための手段を含む、請求項9に記載の制御装置。
- 前記変更手段は、フューエルカットを開始するエンジン回転数の設定を低くするための手段を含む、請求項8〜11のいずれかに記載の制御装置。
- 前記車両は、ロックアップクラッチ付き流体継手を構成要素とする自動変速機を搭載し、
前記フューエルカット実行手段は、前記ロックアップクラッチがスリップ状態およびオ ン状態のいずれかであることを条件として、エンジンの回転数が予め定められた範囲であると、フューエルカットするための手段を含む、請求項8〜12のいずれかに記載の制御装置。 - 前記変更手段は、前記自動変速機の変速ギヤ比に基づいて、前記範囲を広げるための手段を含む、請求項13に記載の制御装置。
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