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JP4125901B2 - 線材繰出装置 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅合金線等の金属細線の撚線を製造するための撚線装置において、撚り返しを与えながら線材をバンチャーに供給する線材繰出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通信用等の特殊用途電線として、20〜30μmといった極細の銅合金線を使用した撚線が多用されるようになってきている。この撚線は、線材を供給する線材繰出装置とバンチャーとからなる撚線装置によって製造され、複数本の線材を束にしてバンチャーによって撚り合わせる。
【0003】
線材に撚りがかかって撚線が形成されるとき、同時に各線材も撚り回数と同じだけ捻回される。この捻回数が多いと、銅合金線のような細い伸びの少ない線材では、撚線中に断線することがある。
【0004】
そこで、線材の捻れを解消するために、線材を撚り合わす前に撚り返しを与えて線材を供給する線材繰出装置が、例えば特開昭59−203309号公報、特公平7−13353号公報等に開示されている。この線材繰出装置では、ボビンの周りを回転するフライヤによって、回転するボビンから線材がボビンの軸線方向に繰り出され、線材に撚り方向と反対方向の撚りを与えて、線材を撚り返している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
撚線の製造に際して高能率な二度撚りバンチャーを使用して、撚線装置の高速化が図られており、ボビンおよびフライヤも高速回転される。すると、空気抵抗や軸受抵抗が大きくなって、高回転になるほど線材の張力が変動しやすくなる。また、ボビンに巻かれた線材の巻き状態が異なると、個々のボビンの巻径に差が生じるので、張力が変化する。張力が過大になれば、断線の危険性が高まり、逆に張力が低下すれば、十分な撚り返しが与えられなくなる。
【0006】
本発明は、上記に鑑み、ボビンの状態に係わりなく張力の変動のない状態で線材を繰り出すことができる線材繰出装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による課題解決手段は、複数の回転自在なボビンと、ボビンの軸線上に配された線材繰出用ガイドと、ボビンに巻き付けられた線材に撚り返しを与えながら前記ガイドに導く回転自在なフライヤと、全ボビンを同期させて回転駆動するボビン駆動手段と、各フライヤに対応して設けられフライヤをそれぞれ回転駆動する差動機構を含むフライヤ駆動手段と、繰り出される線材の速度が各線材を撚り合わすときの撚合速度に合うようにフライヤの回転を調整する速度制御手段とを備えたものである。
【0008】
ここで、線材の速度を検出する手段として、ガイドの軸線方向前方に設けたダンサーローラを用い、速度制御手段は、ダンサーローラから得られる線材の速度変動の情報に基づいてフライヤの回転を制御する。
【0009】
撚線を製造するための運転が行われると、ボビンに巻かれた線材の巻径が小さくなっていき、フライヤの回転数が変化する。ボビンの回転は一定速度であるので、ボビンとフライヤとの回転差が同じであると、線速のバランスが乱れ、繰り出される線材の速度が変化し、ダンサーローラが変位する。このダンサーローラから得られる情報に基づいて、フライヤ駆動手段の駆動制御が行われる。フライヤのボビンとの回転差が大きくあるいは小さくされて、線材の速度が一定に維持される。これによって、線材の張力が変動せず、断線のおそれがなくなり、線材の撚り返しを確実に行える。
【0010】
また、各ボビンに対応して設けられボビンをそれぞれ回転駆動する差動機構を含むボビン駆動手段と、全フライヤを同期させて回転駆動するフライヤ駆動手段と、繰り出される線材の速度が各線材を撚り合わすときの撚合速度に合うようにボビンの回転を調整する速度制御手段とを備えたものとし、速度制御手段は、ダンサーローラから得られる線材の速度変動の情報に基づいてボビンの回転を制御するようにしてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態の撚線装置は、線材繰出装置とバンチャーとから構成され、複数の線材繰出装置がサプライスタンドに設置されている。各線材繰出装置から供給された金属細線といった線材Wは、目板、集合ダイスによって束状に集合され、バンチャー内に入って、撚り合わされ、撚線となる。
【0012】
線材繰出装置は、図1に示すように、線材Wが巻き付けられたボビン1と、ボビン1を回転駆動するボビン駆動装置2と、ボビン1の軸線上に配された線材繰出用ガイド3と、ボビン1から線材Wをガイド3に導く回転自在なフライヤ4と、フライヤ4を回転駆動するフライヤ駆動装置5と、繰り出される線材Wの張力を一定にするためにフライヤ4の回転を調整する速度制御手段とを備えている。
【0013】
各線材繰出装置のボビン1は、図2に示すように、同一円周上に等間隔に配置されるとともに、さらにその円の中心に1つ配置される。ボビン1は、サプライスタンドに回転自在に支持された水平な支持軸10に支持され、支持軸10のフランジ11と支持軸10の前側に嵌め込まれたキャップ12とに挟み込まれている。フランジ11に突設されたピンがボビン1のフランジに係合することにより、ボビン1は支持軸10と一体的に回転する。
【0014】
支持軸10の後端にプーリ15が取り付けられ、ボビン用モータ16のプーリ17との間にベルト18が掛け巻きされ、モータ16からの駆動力が支持軸10に伝達され、ボビン1が回転する。また、各ボビン1の支持軸10間においてもプーリ15、ベルト18を介して駆動力が伝達され、1つのボビン用モータ16によって全てのボビン1が同一速度で回転する。これらのプーリ15、ベルト18、モータ16によってボビン駆動装置2が構成される。
【0015】
フライヤ4は、ボビン1の周りを周回する一対のローラ20と、ローラ20を支持する支持体21とからなる。ローラ20は支持軸10を挟んで対称に配され、支持体21の前側がキャップ12に軸受を介して回転自在に支持され、後側が支持軸10に軸受を介して回転自在に支持される。これによって、フライヤ4は、ボビン1および支持軸10とは独立して回転可能とされる。
【0016】
ブッシュからなる線材繰出用ガイド3は、ボビン1よりも軸線方向において前方に位置して、支持体21の前側に一体的に取り付けられている。ローラ20からの線材Wは、支持体21に形成されたガイド孔22、スリット状のガイド23、通過孔24を経て、線材繰出用ガイド3に達する。フライヤ4の回転に伴って線材繰出用ガイド3も回転するので、両者の位置関係は変わらず、これらのガイドによる案内機構によって線材Wをぶれずに繰り出すことができる。
【0017】
線材繰出用ガイド3の前方には、ダンサーローラ30が配されている。ダンサーローラ30は、各ボビン1に対応してそれぞれ設けられており、軸線上に位置する固定ローラ31と、その下方に位置する移動ローラ32と、移動ローラ32の移動を検出する位置検出センサ33とからなる。固定ローラ31は、入線用および出線用の一対のローラからなり、図示しないスタンドに回転自在に支持されている。移動ローラ32は、アーム34に回転自在に取り付けられ、アーム34はスタンドに揺動自在に取り付けられている。ポテンションメータからなる位置検出センサ33によってアーム34の回動を検出することにより、繰り出される線材Wの張力の変動が検出される。
【0018】
フライヤ駆動装置5としては、差動機構を利用してフライヤ用モータ40からの駆動力をベルト18を介して支持体21に伝達するものである。具体的には、支持体21の後端にプーリ41が一体的に取り付けられ、このプーリ41は差動装置42を中継してモータ40のプーリ43と連結されている。
【0019】
差動装置42には、支持軸10に取り付けられた中間プーリ13がベルト18を介して接続されている。差動装置42は、支持軸10から入力された回転数にフライヤ用モータ40の回転数を加算あるいは減算して、フライヤ4の支持体21を駆動する。
【0020】
ここで、ダンサーローラ30によって検出された速度差の変動は、コントローラ、マイコン等の制御装置に入力され、制御装置は速度差の変動に応じてフライヤ用モータ40の駆動を制御する。すなわち、ダンサーローラ30、制御装置によって速度制御手段が構成され、線材Wの速度がバンチャーの撚合速度に対して一定になるように各フライヤ4の回転速度がそれぞれ制御される。なお、制御装置は、ボビン用モータ16もバンチャーの回転数に対し所定の比率の回転速度になるように駆動制御している。
【0021】
次に、上記の線材繰出装置の動作を説明する。図3に示すように、ボビン1には、ガイド側から見て時計回りに線材Wが巻き付けられ、ボビン1は時計回りに回転駆動される。このとき、バンチャーによって線材Wが引き出されていくと、線材Wの張力によりダンサーローラ30に変位が発生する。この変位が検出されて、フライヤ用モータ40が駆動される。差動装置42を介してフライヤ4が回転して、線材Wは撚り返されながら繰り出され、線材Wに撚り方向と反対方向の撚りを与えられる。
【0022】
ここで、ボビン用モータ16を停止して、線材Wを引き出したとき、ダンサーローラ30の変位が検出されて、フライヤ用モータ40が駆動され、フライヤ4が差動装置42を介して反時計回りに回転する。このときのフライヤ4の回転数をnとする。また、ボビン用モータ16を駆動するときのボビン1の回転数をNとする。
【0023】
上記のようにボビン1を回転させて、フライヤ4が回転すると、差動装置42の働きにより、フライヤ4は時計回りにN−nの回転数で回転する。なお、図4に示すように、ボビン1に線材Wが反時計回りに巻き付けられている場合には、フライヤ4は時計回りにN+nの回転数で回転する。
【0024】
ボビン1の線材Wの巻径は、個々のボビン1の巻き状態によって異なり、しかも運転の進行によって巻径は徐々に小さくなるように変化していく。そのため、ボビン1の回転は一定であるにもかかわらず、フライヤ4の回転数が同じであると、線速が遅くなる。
【0025】
このようにボビン1の巻径の変化によって生じる線速の変動により、ダンサーローラ30の移動ローラ32の位置が変化する。例えば、フライヤ4のボビン1との回転数の差が小さいままであると、線材Wの速度が小さくなる。すると、移動ローラ32は上昇し、これが位置検出センサ33によって検出される。位置検出センサ33からの出力信号が制御装置に入ると、制御装置では、フライヤ4のボビン1との回転数の差が増すようにフライヤ用モータ40の回転数を増加させる駆動信号をモータ40のドライバに出力する。すると、フライヤ用モータ40の回転が速くなり、フライヤ4の回転差が大きくなり、線材Wの速度が再び一定値になる。また、線材Wの速度が大きくなっても、同様にフライヤ用モータ40が駆動制御され、フライヤ4の回転差が小さくなる。
【0026】
このように、ボビン1とフライヤ4との回転のバランスが取られ、線材Wの張力は一定に保たれる。したがって、線材Wに確実に撚り返しを与えることができ、線材Wの断線がなくなり、生産性が向上する。
【0027】
また、他の形態の線材繰出装置を図5に示す。この線材繰出装置では、1つのフライヤ用モータ40により全フライヤ4が同期して駆動され、各ボビン1は個別のボビン用モータ16によってそれぞれ差動装置42を介して駆動される。すなわち、フライヤ駆動装置5は、支持体21のプーリ41にベルト18を介して接続されたフライヤ用モータ40によって構成される。ボビン駆動装置2は、ボビン用モータ16からの駆動力を差動装置42を中継して支持軸10に伝達するものであり、支持軸10のプーリ15から差動装置42を中継してモータ16のプーリ17にベルト18を介して連結されている。差動装置42には、支持体21に取り付けられた中間プーリ25がベルト18を介して接続され、差動装置42は、フライヤ4から入力された回転数にボビン用モータ16の回転数を加算あるいは減算して、支持軸10に駆動する。
【0028】
そして、速度制御手段を構成する制御装置は、ダンサーローラ30によって検出された速度の変動に応じてボビン用モータ16の駆動制御を行う。すなわち、線材Wの速度が一定になるように各ボビン1の回転速度がそれぞれ制御される。なお、制御装置は、フライヤ用モータ40もバンチャーの回転数に対して所定の回転速度になるように駆動制御している。その他の構成は、上記実施形態と同じである。
【0029】
線材繰出装置の運転により、ボビン1から線材Wが繰り出され、フライヤ4の回転は一定であるので、各ボビン1からの線材Wの撚り返し数は一定である。そして、徐々にボビン1の巻径が小さくなり、ボビン1のフライヤ4に対する回転差が同じであると、線材Wの速度が小さくなる。このとき、ダンサーローラ30を通じて検出された速度の変動に応じてボビン用モータ16が駆動制御され、速度が一定になるようにボビン1の回転差が大きくなる。
【0030】
これによっても、ボビン1とフライヤ4との回転のバランスが取られ、線材Wの張力を一定に保つことができる。したがって、線材Wに確実に撚り返しを与えることができ、線材Wの断線がなくなり、生産性の向上を図れる。
【0031】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。張力制御手段として、ダンサーローラの代わりに繰り出された線材の速度を検出して、その線速からモータの駆動制御を行ってもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、本発明によると、繰り出される線材の速度の変動に応じてフライヤあるいはボビンの回転を調整することにより、線材の張力を一定に保持することができる。したがって、確実な撚り返しを行え、高効率に高品質な撚線を製造することができる。特に、細く伸びの少ない線材を撚線にする場合、ボビンの巻き状態、ボビンやフライヤの回転による空気抵抗の変化、周囲の環境による機械的なトルク変化の影響を多大に受けるが、ボビンとフライヤとの回転の制御を図ることによって、これらの影響を排除でき、所望の性能を有する撚線を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の線材繰出装置の概略構成図
【図2】ボビンの配置を示す図
【図3】ボビンとフライヤの回転方向を示す図
【図4】線材の巻き付け方向が異なる場合のボビンとフライヤの回転方向を示す図
【図5】他の形態のボビンの線材繰出装置の概略構成図
【符号の説明】
1 ボビン
2 ボビン駆動装置
3 線材繰出用ガイド
4 フライヤ
5 フライヤ駆動装置
16 ボビン用モータ
30 ダンサーローラ
40 フライヤ用モータ

Claims (4)

  1. 複数の回転自在なボビンと、該ボビンの軸線上に配された線材繰出用ガイドと、前記ボビンに巻き付けられた線材に撚り返しを与えながら前記ガイドに導く回転自在なフライヤと、全ボビンを同期させて回転駆動するボビン駆動手段と、各フライヤに対応して設けられ前記フライヤをそれぞれ回転駆動する差動機構を含むフライヤ駆動手段と、繰り出される線材の速度が各線材を撚り合わすときの撚合速度に合うように前記フライヤの回転を調整する速度制御手段とを備えたことを特徴とする線材繰出装置。
  2. ガイドの軸線方向前方にダンサーローラが設けられ、速度制御手段は、ダンサーローラから得られる線材の速度変動の情報に基づいてフライヤの回転を制御することを特徴とする請求項1記載の線材繰出装置。
  3. 複数の回転自在なボビンと、該ボビンの軸線上に配された線材繰出用ガイドと、前記ボビンに巻き付けられた線材に撚り返しを与えながら前記ガイドに導く回転自在なフライヤと、各ボビンに対応して設けられ前記ボビンをそれぞれ回転駆動する差動機構を含むボビン駆動手段と、全フライヤを同期させて回転駆動するフライヤ駆動手段と、繰り出される線材の速度が各線材を撚り合わすときの撚合速度に合うように前記ボビンの回転を調整する速度制御手段とを備えたことを特徴とする線材繰出装置。
  4. ガイドの軸線方向前方にダンサーローラが設けられ、速度制御手段は、ダンサーローラから得られる線材の速度変動の情報に基づいてボビンの回転を制御することを特徴とする請求項3記載の線材繰出装置。
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