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JP4126792B2 - 放射体温計 - Google Patents
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JP4126792B2 - 放射体温計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は生体の体温を耳孔内から発せられる赤外線量を検知することにより測定する放射体温計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より体温計として、耳孔内から発せられる赤外線量を非接触で検知して体温換算する放射体温計があり、これらは水銀や熱電対を利用した接触型のものに対して短時間で測定可能であるという特長がある。
【0003】
この種の放射体温計の一般的な例として特開平6−165号公報に示されるものを図11により説明する。図11に示すように放射体温計は、プローブ1と、プローブ1内を長さ方向に走る導波管2と、導波管2内を伝搬した赤外線の放射強度を電気信号に変換する赤外受光素子3と、変換された電気信号から温度を測定する信号処理手段4を備える。
【0004】
このプローブ1を外耳道に挿入することで、赤外受光素子3が鼓膜および/またはその近傍から発せられる赤外線を受光し、受光した赤外線量に相関を持った電気信号を出力し、信号処理手段4がその電気信号から鼓膜および/またはその近傍の温度を換算するというものである。
【0005】
一般に赤外受光素子3はあらゆる方向から入射する赤外線量の総量に相関を持った電気的信号を出力するものであり、導波管2は少なくともその内面を金属で構成、またはメッキ処理を施すなどして反射率を高くしている。このような構成で鼓膜および/またはその近傍から発せられる赤外線は直接または導波管2内面で多重反射して赤外受光素子3に至る。またプローブ1の内面等から発せられる不要な赤外線は赤外受光素子3には至らない。
【0006】
しかし、導波管2内面を完全反射体(反射率=1)にすることは困難であり、多重反射で入射する光は反射率のn乗による反射ロスを生じる。また1回反射のような浅い角度での反射は一般に垂直光より反射率が低くなり、やはり反射ロスが生じる。これら反射ロスに相当する部分は導波管2から発せられる赤外線輻射が赤外受光素子3に入射することになり、プローブ1を外耳道に挿入したときに導波管2の温度変動があれば赤外受光素子3はその影響を受けて正確な体温測定ができなくなる。
【0007】
上記従来例においてはこの課題解決のためにプローブ1の先端部を基幹部より細くして外耳道との接触を低減して導波管2の温度変動を低減している。また特開平5−45229号公報に示される例においてはプローブ表面を断熱材、内部を高熱伝導性材料で構成して、外耳道からの熱の影響を受けにくくするとともに受けた熱は素早く赤外受光素子に熱伝導させて影響をキャンセルする工夫をしている。また特開平8−126615号公報に示される例においてはプローブを着脱自在とし、測定ごとにプローブを交換してプローブに貯まる熱の影響を除去するよう工夫している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、外耳道から導波管に伝わる熱の影響を排除して正確に鼓膜および/またはその近傍の温度を測定するには、上記いずれの方法も完全ではなく、導波管の温度変動の影響を受け、体温測定の正確さを欠くという課題がある。特に短時間の間隔で繰り返し測定したときに、徐々に導波管が温度変化しその影響を受けて、同一被験者であっても測定温度が徐々に変化していくという課題がある。
【0009】
この課題による測定誤差の影響を低減するために、導波管に高い熱伝導性材料として金属を用いると、低温環境で導波管内部に結露が発生しやすいという課題がある。それは、低温環境で耳孔に挿入することで体温に近い空気に触れても金属表面の温度が容易に上昇しないからである。従って水蒸気を含む蒸気が露点以下の金属で冷却され金属表面に結露が発生する。この結露現象が、導波管のように赤外線を反射させる機能を持つ部品に発生すると、結露により赤外線が、吸収、散乱をうけ、赤外受光素子に到達する赤外線が著しく減少し、測定誤差となる。
【0010】
またこのような放射体温計を不特定多数の人が使う場合には、一般に衛生管理の面からプローブに衛生カバーを装着して外耳道に挿入し、衛生カバーを交換し使い捨てするのが一般的である。この衛生カバーはプローブ先端に当接する部分を膜で閉じなければならない。それは導波管先端部がプローブ先端部まで延びているためで、導波管に汚れを付着させないためには先端に膜を設ける必要がある。
【0011】
一方、家庭や少人数の職場のように被験者が特定少数であれば、個人ごとに使うプローブを決めておけば耳からの感染は防ぐことができ、衛生カバーは不要となり使い捨てのような資源の消費は解消できる。しかしこの場合でも導波管に汚れを付着させないためにプローブの先端を赤外線透過材の膜で閉じる必要がある。
【0012】
いずれにしても衛生上の問題でプローブ先端に設けた膜を透過した赤外線量を測定することになる。ここで赤外線が膜を透過する際には吸収または反射する成分があり、完全に透過させることは困難である。この膜による赤外線の透過率は膜の厚み等によりばらつくものであり、特定の膜を付けた状態で調整しても、別の膜を付けたときには透過率のばらつきによる温度誤差が発生するという課題がある。
【0013】
また、測定温度を音声で報知することにより、目の不自由な人が使う場合や暗闇で測定する場合においても測定結果がわかるなどの効果があり、例えば特開平6−142061号公報で示される方法などが知られている。
【0014】
しかし、例えば測定の終了をビープ音で報知するのであれば0.1〜0.2秒で十分であるが、温度を音声で報知すれば2〜3秒要する。即ち、上記してきた構成の放射体温計で音声報知すると、その報知が終わるまでプローブを耳に挿入し続けていなければならず、その間に導波管には耳の熱が伝わり温度変化を起こす。1回だけの測定ならよいが、繰り返し測定する場合にはこの報知時間中の導波管の温度変化が次の測定の測定誤差となって表れるという課題がある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、外耳道に挿入され鼓膜および/またはその近傍から放射された赤外線を通過させるプローブと、前記プローブを通過した赤外線を受光する受光部と、前記受光部の出力を温度に演算する信号処理手段と、前記信号処理手段の出力を報知する報知手段とからなり、前記受光部は赤外受光素子と、前記赤外受光素子を内部に設け赤外線の入射する開口部を有する筐体と、少なくともプローブを通過した赤外線を集光する集光素子を有し、前記筐体の開口部は前記集光素子の焦点位置から後方に離して設置することにより、受光領域を制限した構成としたものである。
【0016】
上記発明によれば、受光部は鼓膜および/またはその近傍から放射されプローブを通過した赤外線のみを受光し、信号処理手段は受光部からの出力を温度に演算し、演算結果の温度を報知手段が報知する。そして受光部の筐体の開口部には集光素子で集光された赤外線が入射し、開口部に入射した赤外線は赤外受光素子に入射することで、鼓膜および/またはその近傍から放射されプローブを通過した放射光のみをスポット的に検出することが可能となり、正確な検温ができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1にかかる放射体温計は、外耳道に挿入され鼓膜および/またはその近傍から放射された赤外線を通過させるプローブと、前記プローブを通過した赤外線を受光する受光部と、前記受光部の出力を温度に演算する信号処理手段と、前記信号処理手段の出力を報知する報知手段とからなり、前記受光部は赤外受光素子と、前記赤外受光素子を内部に設け赤外線の入射する開口部を有する筐体と、少なくともプローブを通過した赤外線を集光する集光素子を有し、前記筐体の開口部は前記集光素子の焦点位置から後方に離して設置することにより、受光領域を制限したものである。
【0018】
そして、受光部は鼓膜および/またはその近傍から放射されプローブを通過した赤外線のみを受光し、信号処理手段は受光部からの出力を温度に演算し、演算結果の温度を報知手段が報知する。そして受光部の筐体の開口部には集光素子で集光された赤外線が入射し、開口部に入射した赤外線は赤外受光素子に入射することで、鼓膜および/またはその近傍から放射されプローブを通過した放射光のみをスポット的に検出することが可能となり、正確な検温ができる。
【0019】
本発明の請求項2にかかる放射体温計は、受光部を収納する本体を有し、プローブは内部を空洞状態にして前記本体に連結し着脱自在としたものである。
【0020】
そして、本体に収納された受光部は鼓膜および/またはその近傍から発せられプローブを通過した赤外線のみを受光し、プローブは内部に導波管がなく空洞状態にして本体に着脱自在に連結しているので、導波管の温度変動による温度精度の悪化がなく、プローブ交換により衛生上の問題がなくかつプローブをはずせば突出部分がなく収納が容易になる。
【0021】
本発明の請求項3にかかる放射体温計は、プローブは先端が開口している構成としたものである。
【0022】
そしてプローブは先端が開口しているので、先端を覆うカバーの赤外線透過率のばらつきによる温度誤差要因が無くなり、測定温度精度を向上できる。
【0023】
本発明の請求項4にかかる放射体温計は、本体には非計測時にプローブを収納する収納部を有するものである。
【0024】
そして、非計測時には収納部にプローブが収納されるので、本体は収納しやすい形状になり、かつはずしたプローブを紛失する可能性は少なくなる。
【0025】
本発明の請求項5にかかる放射体温計は、プローブは複数でそれぞれを目視で判別可能な差異を有する構成としたものである。
【0026】
そして、目視で判別可能な複数のプローブを備えているのでプローブごとに使用者を特定することは可能でプローブ交換による感染の問題がない。
【0027】
本発明の請求項6にかかる放射体温計は、報知手段は信号処理手段の演算結果の温度を音声で報知する音声報知手段を有するものである。
【0028】
そして、鼓膜および/またはその近傍から直接放射される赤外線のみを受光する受光部からの出力に基づいて演算した温度を音声報知手段を有する報知手段で報知するので、耳に挿入している時間に拘わらず正確な体温を測定することができる。
【0029】
本発明の請求項7にかかる放射体温計は、受光部は集光素子外からの赤外線が筐体の開口部に入射するのを遮る遮光体を有し、前記遮光体の前記筐体の開口部側に反射抑制手段を設けたものである。
【0030】
そして、集光素子外からの赤外線が筐体に入射するのを遮る遮光体とを有し、遮光体の筐体側に反射抑制手段を設けたので筐体の開口部以外の位置へ進行した赤外線が反射して筐体の内部に入射してしまうことがない。従って、受光領域を制限し、鼓膜および/またはその近傍以外からの赤外線を筐体の開口部以外の点へ導くので、プローブの温度変化の影響を受けず正確な体温測定ができる。
【0031】
本発明の請求項8にかかる放射体温計は、遮光体の材質として合成樹脂を用いるものである。
【0032】
そして、一般に合成樹脂の放射率は0.9前後と高い値になることが知られていて、これを遮光体として用いることで赤外線の反射が抑制される。また、合成樹脂は熱伝導率が低く、かつ熱容量が小さいので、遮光体表面に結露が発生しにくい。したがって、結露による赤外線の反射や散乱がなく正確な体温測定ができる。
【0033】
本発明の請求項9にかかる放射体温計は、集光素子は熱伝導率が低く、かつ熱容量が小さい材質よりなるものである。
【0034】
そして、プローブからの赤外線を遮る導波管は不要であり、集光素子を含む光学系に高い熱伝導率を必要としない。そして、集光素子は熱伝導率が低く、かつ熱容量が小さい材質より構成したので、集光素子表面に結露が発生しにくく正確な体温測定ができる。
【0035】
本発明の請求項10にかかる放射体温計は、集光素子の材質として合成樹脂を用いるものである。
【0036】
そして、一般に合成樹脂は熱伝導率が低く熱容量が小さいことが知られており、合成樹脂により集光素子表面の結露を抑制することができる。
【0037】
本発明の請求項11にかかる放射体温計は、筐体の開口部を、集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側のプローブの内壁に接するように引いた直線が前記プローブの先端の面と交叉する仮想先端点から光軸に対して前記仮想先端点と同じ側の集光素子の縁を通過して前記集光素子による前記仮想先端点の像点へ到達する光路と光軸との交点よりも前記集光素子から遠く且つ前記集光素子による前記仮想先端点の像点よりも前記集光素子に近い領域に設置するものである。
【0038】
そして、筐体には集光素子で集光された赤外線が入射し、また筐体の開口部はは仮想先端点と同じ側の集光素子の縁を通過して集光素子による仮想先端点の像点へ到達する光路と光軸との交点よりも集光素子から遠く且つ集光素子による仮想先端点の像点よりも集光素子に近い領域に設置することで、プローブ内壁から集光素子に入射する赤外線を筐体の開口部以外の位置へ進行させることができ、受光領域を制限することができる。そして筐体の開口部から入射した赤外線が赤外受光素子に入射するので、鼓膜および/またはその近傍から放射されプローブを通過した放射光のみをスポット的に検出することが可能となる。
【0039】
本発明の請求項12にかかる放射体温計は、筐体の開口部を、集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側のプローブの内壁に接するように引いた直線が前記プローブの先端の面と交叉する仮想先端点から光軸に対して前記仮想先端点と同じ側の集光素子の縁を通過して前記集光素子による前記仮想先端点の像点へ到達する光路と光軸との交点と、前記集光素子による前記仮想先端点の2つの像点とで形成される、前記集光素子の子午面内の三角形内に設置するものである。
【0040】
そして、筐体には集光素子で集光された赤外線が入射し、また筐体の開口部は仮想先端点と同じ側の集光素子の縁を通過して集光素子による仮想先端点の像点へ到達する光路と光軸との交点と、集光素子による仮想先端点の2つの像点とで形成される、集光素子の子午面内の三角形内に設置することで、プローブ内壁から集光素子に入射する赤外線を筐体の開口部以外の位置へ進行させることができ、受光領域を制限することができる。そして筐体の開口部から入射した赤外線が赤外受光素子に入射するので、鼓膜および/またはその近傍から放射されプローブを通過した放射光のみをスポット的に検出することが可能となる。
【0041】
本発明の請求項13にかかる放射体温計は、筐体の開口部を、集光素子の焦点距離fと、前記筐体の開口部の半径rSと、前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側のプローブの内壁に接するように引いた直線が前記プローブ先端の面と交叉する仮想先端点と光軸との距離rαと、前記仮想先端点と前記集光素子との距離Lαと、前記集光素子の半径r3を用いて、
【0042】
【数3】
Figure 0004126792
【0043】
で与えられるL3だけ前記集光素子の焦点よりも集光素子から遠くに設置したものである。
【0044】
そして、筐体には集光素子で集光された赤外線が入射し、また筐体の開口部は集光素子の焦点距離fと、筐体の開口部の半径rSと、仮想先端点と光軸との距離rαと、仮想先端点と集光素子との距離Lαと、集光素子の半径r3を用いて、前記の式で与えられるL3だけ集光素子の焦点よりも集光素子から遠くに設置することで、プローブ内壁から集光素子に入射する赤外線を筐体の開口部以外の位置へ進行させることができ、受光領域を制限することができる。そして筐体の開口部に入射した赤外線が赤外受光素子に入射するので、鼓膜および/またはその近傍から放射されプローブを通過した放射光のみをスポット的に検出することが可能となる。
【0045】
本発明の請求項14にかかる放射体温計は、筐体の開口部を、集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側のプローブの内壁に接するように引いた直線が前記プローブの先端の面と交叉する仮想先端点の集光素子による像点よりも前記集光素子から遠い領域に設置するものである。
【0046】
そして、筐体には集光素子で集光された赤外線が入射し、また筐体の開口部を、集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側のプローブの内壁に接するように引いた直線が前記プローブの先端の面と交叉する仮想先端点の集光素子による像点よりも前記集光素子から遠い領域に設置することで、プローブ内壁から集光素子に入射する赤外線を筐体の開口部以外の位置へ進行させることができ、受光領域を制限することができる。そして筐体の開口部に入射した赤外線が赤外受光素子に入射するので、鼓膜および/またはその近傍から放射されプローブを通過した放射光のみをスポット的に検出することが可能となる。
【0047】
本発明の請求項15にかかる放射体温計は、筐体の開口部を、集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側のプローブの内壁に接するように引いた直線が前記プローブの先端の面と交叉する仮想先端点から光軸を挟んで前記仮想先端点と反対側の前記集光素子の縁を通過して前記集光素子による前記仮想先端点の像点へ到達する前記集光素子の子午面内の2つの光路で挟まれた領域に設置するものである。
【0048】
そして、筐体には集光素子で集光された赤外線が入射し、また筐体の開口部を、集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側のプローブの内壁に接するように引いた直線が前記プローブの先端の面と交叉する仮想先端点から光軸を挟んで前記仮想先端点と反対側の前記集光素子の縁を通過して前記集光素子による前記仮想先端点の像点へ到達する前記集光素子の子午面内の2つの光路で挟まれた領域に設置することで、プローブ内壁から集光素子に入射する赤外線を筐体の開口部以外の位置へ進行させることができ、受光領域を制限することができる。そして筐体の開口部に入射した赤外線が赤外受光素子に入射するので、鼓膜および/またはその近傍から放射されプローブを通過した放射光のみをスポット的に検出することが可能となる。
【0049】
本発明の請求項16にかかる放射体温計は、筐体の開口部を、集光素子の焦点距離fと、前記筐体の開口部の半径rSと、前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側の前記プローブの内壁に接するように引いた直線が前記プローブの先端の面と交叉する仮想先端点と光軸との距離rαと、前記仮想先端点と前記集光素子との距離Lαと、前記集光素子の半径r3を用いて、
【0050】
【数4】
Figure 0004126792
【0051】
で表されるL3だけ前記集光素子の焦点よりも集光素子から遠くに設置したものである。
【0052】
そして、筐体には集光素子で集光された赤外線が入射し、また筐体の開口部は集光素子の焦点距離fと、筐体の開口部の半径rSと、仮想先端点と光軸との距離rαと、仮想先端点と前記集光素子との距離Lαと、集光素子の半径r3を用いて、前記の式で表されるL3だけ前記集光素子の焦点よりも集光素子から遠くに設置することで、プローブ内壁から集光素子に入射する赤外線を筐体の開口部以外の位置へ進行させることができ、受光領域を制限することができる。そして筐体の開口部に入射した赤外線が赤外受光素子に入射するので、鼓膜および/またはその近傍から放射されプローブを通過した放射光のみをスポット的に検出することが可能となる。
【0053】
本発明の請求項17にかかる放射体温計は、集光素子は屈折レンズで構成している。
【0054】
そして屈折レンズにより、筐体の開口部には集光された赤外線が入射する。
【0055】
本発明の請求項18にかかる放射体温計は、集光素子は集光ミラーで構成している。
【0056】
そして集光ミラーにより、筐体の開口部には集光された赤外線が入射する。
【0057】
本発明の請求項19にかかる放射体温計は、集光ミラーは、前記集光ミラーに入射する第1の光軸と、前記集光ミラーから射出し筐体の開口部に入射する第2の光軸とを屈曲させるものである。
【0058】
そして、外耳道に挿入して測定する放射体温計としての使い勝手を考慮しプローブと本体を屈曲させたとき、この角度に併せて光学系も屈曲させることができる。従って、使い勝手がよく、耳孔に挿入しやすくなることで挿入方向が安定しやすく精度よく体温測定ができる。
【0059】
本発明の請求項20にかかる放射体温計は、筐体は少なくとも内面を反射率の高い材料で構成したものである。
【0060】
そして、筐体の内面を反射率の高い材料とすることで、赤外受光素子には筐体の開口部から入射する赤外線を反射させながら有効に入射させることができる。
【0061】
本発明の請求項21にかかる放射体温計は、筐体は金属で構成したものである。
【0062】
そして、金属は一般に反射率が高いので、筐体を簡易に構成できる。
【0063】
【実施例】
(実施例1)
以下、本発明の実施例1を図1〜図4を参照しながら説明する。図1は本発明の放射体温計の構成図である。図2〜図3は複数のプローブの側面図、図4は受光部およびプローブの構成図である。
【0064】
図1において1はプローブで体温測定に際して外耳道に挿入する部分であり、鼓膜に向かう側の先端方向に細くした形状で、先端は開口していて、反対側の端部には本体5と着脱可能なように突起部6を備えている。そしてプローブ1を本体5に取り付ける時は、押し圧により突起部6が内側に歪んで本体5に取り付けられる。はずすときはプローブ1を指で押さえることで、同様に突起部6を内側に歪ませてはずす。本体5には収納部7があり、体温測定をしないときはプローブ1をはずして収納部7に収納する。収納部7は蓋8を備え、収納時に開閉する。非測定時にプローブ1をはずすことで本体そのものの形状となり、収納しやすい形状となる。またはずしたプローブ1は収納部7で保管するので紛失する可能性は少ない。
【0065】
9は受光部でプローブ1の開口を通過した赤外線のみを受光し、その赤外線量に応じた電気信号を出力する。4は信号処理手段で受光部9から入力する信号に基づいて温度換算する。ここで換算される温度は赤外線の照射源温度であり、鼓膜および/またはその近傍の温度に相当する。
【0066】
信号処理手段4で換算された温度を体温として報知手段10で使用者に報知する。報知手段10は信号処理手段4で換算した体温を数字で表示する数字表示手段11と音声報知手段12から成る。数字表示手段11は例えば液晶表示器であり、音声報知手段12は例えばスピーカである。
【0067】
ここで、受光部9は後に詳述するようにプローブ1の開口を通過した赤外線のみを受光するのでプローブ1の温度変動の影響を受けることはなく、また導波管も必要ない。プローブ1は着脱自在であり、複数個具備していて、例えば図2に示すようにそれぞれ、異なる記号を印刷している。図2では(a)には「A」、(b)には「B」、(c)には「C」、(d)には「D」の記号を印刷している。例えば家庭で使う場合、4人家族であれば個人ごとに使うプローブを決めておけば、記号が目印になって間違うことはなく耳からの感染は避けることができる。また導波管を持たないのでプローブ1の先端部分は開口していてもよく、膜で覆うようなことはないので、膜の赤外線透過率のばらつきによる温度誤差はない。
【0068】
個人ごとに使うプローブを間違えないように目視で判断可能な差異を設ける方法として前記した記号の違いの他に、色を変えたり異なる図柄を印刷してもよい。また図3に示すように寸法を変えてもよい。図3では(a)を最も短く、(b)、(c)、(d)の順に長くしている。この場合には目視で判断可能な差異により使うプローブを間違えない他に、耳の小さい幼児ならば(a)、耳の大きい大人は(d)を使うなどすれば最も耳に挿入しやすい寸法を選択できるという効果もある。
【0069】
また音声報知手段12で音声報知するので、暗闇で測定する場合や目の不自由な人が測定する場合でも検温結果を知ることができる。また数字表示手段11でも報知しているので、騒音の大きい環境で測定する場合や耳の不自由な人が測定する場合でも検温結果を知ることができる。耳で温度を測定するので音声報知手段12は十分小さな音量で被験者に報知することができ、被験者にのみ検温結果が聞こえ、被験者以外には検温結果が聞こえないようにできて、被験者の周囲に不要な雑音で迷惑をかけることはない。また被験者のプライバシーも守ることができる。
【0070】
受光部9の構成を図4により説明する。図4において、13は集光素子である屈折レンズ、3は赤外受光素子で、反射率の高い金属により構成された筐体14に内蔵され、筐体14には赤外線が入射する開口部15が設けられている。16は遮光体である。遮光体16は少なくともその内面は後に詳述する合成樹脂等の反射率の低い反射抑制手段で構成している。A、A’は屈折レンズ13の縁からこの縁と同じ側のプローブ1の内壁に接するように引いた直線とプローブ1の先端の面との交点で、図4のように開口から本体装着部分までの間が直線的なプローブであればプローブ1の先端内壁に位置する点である。Bはプローブ1の内壁における点、即ち受光したくない領域の点、Fは屈折レンズ13の焦点、FAは屈折レンズ13によるAの像点、FA’は屈折レンズ13によるA’の像点、FBは屈折レンズ13によるBの像点、K1AはAから光軸に対して同じ側の屈折レンズ13の縁を通過してFAへ進行する光(マージナル光線)の光路、K2AはAから光軸と平行に進んで焦点Fを通過してFAに到達する光の光路、K3AはAから屈折レンズ13の中心を通過してFAに到達する光の光路、K4AはAから光軸を挟んで反対側の屈折レンズ13の縁を通過してFAに到達する光(マージナル光線)の光路である。また同様にK1A’はA’から光軸に対して同じ側の屈折レンズ13の縁を通過してFA’へ進行する光(マージナル光線)の光路、K2A’はA’から光軸と平行に進んで焦点Fを通過してFA’に到達する光の光路、K3A’はA’から屈折レンズ13の中心を通過してFA’に到達する光の光路、K4A’はA’から光軸を挟んで反対側の屈折レンズ13の縁を通過してFA’に到達する光(マージナル光線)の光路、K3BはBから屈折レンズ13の中心を通過してFBに到達する光の光路、FXは光路K1Aと光路K1A’の交点である。
【0071】
プローブ1の開口を通過する赤外線のみが筐体14の開口部15に入射するような光学系を設計する。
【0072】
筐体14を遮光体16に取り付け、屈折レンズ13を通過しない赤外線は筐体14が受光しないようにする。屈折レンズ13を通った赤外線のみ受光する構成にした上で以下の設計を行う。
【0073】
Aから放射される光は光路K1A、K2A、K3A、K4Aなどを通ってAの像点FAに到達する。幾何光学で周知の通り、Aの像点FAは光軸を挟んでAと反対側に形成される。図4中に示すように、光路K2Aを通る光は、屈折レンズ13を通過してFで光軸と交叉したのち光軸から離れながらFAに到達する。同じように、光路K1Aを通る光は、屈折レンズ13を通過して光軸と交叉したのち光軸から離れながらFAに到達する。光路K3Aを通る光は、屈折レンズ13で光軸と交叉したのち光軸から離れながらFAに到達する。光路K4Aを通る光は、光軸と交叉して屈折レンズ13を通過し、屈折レンズ13を通過してからは光軸と交叉せずにFAに到達する。このように、光路K1Aと光軸が交叉する点FXよりも屈折レンズ13から離れた位置かつFAよりも屈折レンズ13に近い位置で、Aから放射される光が通過しない領域が存在する。この領域は、FXとFAとFA’が形成する三角形の内側となる。この三角形の内側に筐体14の開口部15を設置することで、A、A’から放射される光は、筐体14の内部には入射せず赤外受光素子3では受光しない受光部が得られる。
【0074】
受光したくないプローブ1内壁の領域中のB点は、Aよりも光軸から遠いため、屈折レンズ13によるBの像点FBがFAより光軸から遠くなることは周知の通りである。従って、FXとFAとFA’が形成する三角形の内側に筐体14の開口部15を設置することによってA、A’から放射される赤外線が筐体14の内部に入射しないようにすれば、自動的にBからの赤外線も入射せず、赤外受光素子3では受光しない構成となる。
【0075】
以上のように、FXとFAとFA’が形成する三角形の内側に筐体14の開口部15を設置することによって、光軸付近の受光したい領域、即ちプローブ1の開口を通過した鼓膜および/またはその近傍から放射される赤外線のみを赤外受光素子3が受光するような受光部が得られる。
【0076】
(実施例2)
次に本発明の実施例2を図5を用いて説明する。図5は本発明の実施例2における放射体温計の受光部およびプローブを示す構成図である。図5において、13は屈折レンズ、3は赤外受光素子で、反射率の高い金属により構成された筐体14に内蔵され、筐体14には赤外線が入射する開口部15が設けられている。16は遮光体である。A、A’は屈折レンズ13の縁からプローブ1の内壁に接するように引いた直線とプローブ1の先端の面との交点で、図5のように開口から本体装着部までの間が直線的なプローブであればプローブ1の先端内壁に位置する点である。Bはプローブ1の内壁における点、即ち受光したくない領域の点、Fは屈折レンズ13の焦点、FAは屈折レンズ13によるAの像点、FA’は屈折レンズ13によるA’の像点、FBは屈折レンズ13によるBの像点、K1AはAから光軸に対して同じ側の屈折レンズ13の縁を通過してFAへ進行する光(マージナル光線)の光路、K2AはAから光軸と平行に進んで焦点Fを通過してFAに到達する光の光路、K3AはAから屈折レンズ13の中心を通過してFAに到達する光の光路、K4AはAから光軸を挟んで反対側の屈折レンズ13の縁を通過してFAに到達する光(マージナル光線)の光路、K1A’はA’から光軸に対して同じ側の屈折レンズ13の縁を通過してFA’へ進行する光(マージナル光線)の光路、K2A’はA’から光軸と平行に進んで焦点Fを通過してFA’に到達する光の光路、K3A’はA’から屈折レンズ13の中心を通過してFA’に到達する光の光路、K4A’はA’から光軸を挟んで反対側の屈折レンズ13の縁を通過してFA’に到達する光(マージナル光線)の光路、K3BはBから屈折レンズ13の中心を通過してFBに到達する光の光路、K4BはBから光軸を挟んで反対側の屈折レンズ13の縁を通過してFBに到達する光(マージナル光線)の光路、FXは光路K1Aと光路K1A’の交点、FYは光路K4Aと光路K4A’の交点である。
【0077】
プローブ1の開口を通過する赤外線のみが筐体14の開口部15に入射するような光学系を設計する。
筐体14を遮光体16に取り付け、屈折レンズ13を通過しない赤外線は筐体14が受光しないようにする。屈折レンズ13を通った赤外線のみ受光する構成にした上で以下の設計を行う。
【0078】
Aから放射される光は光路K1A、K2A、K3A、K4Aなどを通ってAの像点FAに到達する。幾何光学で周知の通り、Aの像点FAは光軸を挟んでAと反対側に形成される。図5中に示すように、光路K2Aを通る光は、屈折レンズ13を通過してFで光軸と交叉してFAに到達し光軸から離れていく。同じように、光路K1Aを通る光は、屈折レンズ13を通過して光軸と交叉してFAに到達し光軸から離れていく。光路K3Aを通る光は、屈折レンズ13で光軸と交叉してFAに到達し光軸から離れていく。光路K4Aを通る光は、光軸と交叉して屈折レンズ13を通過し、屈折レンズ13を通過してからは光軸と交叉せずにFAに到達し、その後光軸に近づくかあるいは遠ざかっていく。
【0079】
このように、Aの像点FAよりも屈折レンズから離れた位置でAから放射される光が通過しない領域が存在する。この領域は、FAよりも屈折レンズ13から遠い部分の光路K4Aと、FA’よりも屈折レンズ13から遠い部分の光路K4A’で挟まれた領域である。この領域に筐体14の開口部15を設置することで、A、A’から放射される光は、筐体14の内部には入射せず赤外受光素子3では受光しない受光部が得られる。
【0080】
受光したくないプローブ1内壁の領域中のB点は、Aよりも光軸から遠いため、屈折レンズ13によるBの像点FBがFAより光軸から遠くなることは周知の通りである。従って、FAよりも屈折レンズ13から遠い部分の光路K4Aと、FA’よりも屈折レンズ13から遠い部分の光路K4A’で挟まれた領域内に筐体14の開口部15を設置することによってA、A’から放射される赤外線が筐体14の内部に入射しないようにすれば、自動的にBからの赤外線も入射せず、赤外受光素子3では受光しない構成となる。
【0081】
以上のように、FAよりも屈折レンズ13から遠い部分の光路K4Aと、FA’よりも屈折レンズ13から遠い部分の光路K4A’で挟まれた領域内に筐体14の開口部15を設置することによって、光軸付近の受光したい領域、即ちプローブ1の開口を通過した鼓膜および/またはその近傍から放射される赤外線のみを赤外受光素子3が受光するような受光部が得られる。
【0082】
(実施例3)
次に本発明の実施例3を図6を用いて説明する。図6は本発明の実施例3における放射体温計の受光部およびプローブを示す構成図である。ここでプローブ1は前記実施例と異なり、より外耳道に挿入し易いようR付けの部分を持たせている。図6において、13は屈折レンズ、3は赤外受光素子で、反射率の高い金属により構成された筐体14に内蔵され、筐体14には赤外線が入射する開口部15が設けられている。16は遮光体である。α、α’は屈折レンズ13の縁からこの縁と光軸に対して同じ側のプローブ1内壁へ接する直線がプローブ1の先端面と交わる仮想先端点、Fは屈折レンズ13の焦点、Fα、Fα’はそれぞれ屈折レンズ13によるα、α’の像点、K1αはαから光軸に対して同じ側の屈折レンズ13の縁を通過してFαへ進行する光(マージナル光線)の光路、K2αはαから光軸と平行に進んで焦点Fを通過してFαに到達する光の光路、K3αはαから屈折レンズ13の中心を通過してFαに到達する光の光路、K4αはαから光軸を挟んで反対側の屈折レンズ13の縁を通過してFαに到達する光(マージナル光線)の光路、K1α’はα’から光軸に対して同じ側の屈折レンズ13の縁を通過してFα’へ進行する光(マージナル光線)の光路、K2α’はα’から光軸と平行に進んで焦点Fを通過してFα’に到達する光の光路、K3α’はα’から屈折レンズ13の中心を通過してFα’に到達する光の光路、K4α’はα’から光軸を挟んで反対側の屈折レンズ13の縁を通過してFα’に到達する光(マージナル光線)の光路、FXは光路K1αと光軸との交点である。
【0083】
プローブ1の開口を通過する赤外線のみが筐体14の開口部15に入射するような光学系を設計する。
【0084】
筐体14を遮光体16に取り付け、屈折レンズ13を通過しない赤外線は筐体14が受光しないようにする。屈折レンズ13を通った赤外線のみ受光する構成にした上で以下の設計を行う。
【0085】
鼓膜および/またはその近傍から発せられプローブ1の開口を通過した赤外光のみ筐体14の開口部15に入射するようにするためには、プローブ1から放射される赤外光を受光しないようにすればよい。そのため、受光したい領域と受光したくない領域の境界に位置する点を仮想し、この点から、光軸に対してこの仮想した境界に位置する点と同じ側の屈折レンズ13の縁を通過する光(マージナル光線)の光路よりも、光軸から遠くに位置するようにプローブ1を設置すればよい。そこで、上記仮想の境界に位置する点を、屈折レンズ13の縁からこの縁と光軸に対して同じ側のプローブ1内壁へ接する直線がプローブ1の先端面と交わる点α、α’として、FαとFα’とFXで形成される三角形の内側に筐体14の開口部15を設置する。これにより、プローブ1をαと屈折レンズ13の間で光路K1α、K1α’よりも光軸から遠くに位置させることになるため、プローブ1からの光を受光しない光学系が得られる。
【0086】
上記について詳細を以下に述べる。αから放射される光は光路K1α、K2α、K3α、K4αなどを通ってαの像点Fαに到達する。幾何光学で周知の通り、αの像点Fαは光軸を挟んでαと反対側に形成される。図6中に示すように、光路K2αを通る光は、屈折レンズ13を通過してFで光軸と交叉したのち光軸から離れながらFαに到達する。同じように、光路K1αを通る光は、屈折レンズ13を通過して光軸と交叉したのち光軸から離れながらFαに到達する。光路K3αを通る光は、屈折レンズ13で光軸と交叉したのち光軸から離れながらFαに到達する。光路K4αを通る光は、光軸と交叉して屈折レンズ13を通過し、屈折レンズ13を通過してからは光軸と交叉せずにFαに到達する。このように、光路K1αと光軸が交叉する点FXよりも屈折レンズ13から離れた位置かつFαよりも屈折レンズ13に近い位置で、αから放射される光が通過しない領域が存在する。同じように、α’についても、光路K1α’と光軸が交叉する点よりも屈折レンズ13から離れた位置かつFα’よりも屈折レンズ13に近い位置で、α’から放射される光が通過しない領域が存在する。この、Fα、Fα’、FXで形成される三角形の内側よりに筐体14の開口部15を設置することで、α、α’から放射される光を赤外受光素子3が受光しない受光部が得られる。αと屈折レンズ13の間の光路K1αより光軸から遠い部分からの光は、αと同じ面内で光軸からの距離がαより大きい点からの光と置き換えられる。この点の屈折レンズ13による像点はFαよりも光軸から遠くなることは幾何光学で周知の通りである。そのため、αからの光を受光しないようにすれば、αよりも光軸から遠い点からの光を受光せず、従ってプローブ1からの光を受光しない。同様に、α’と屈折レンズ13の間の光路K1α’より光軸から遠い部分からの光は、α’と同じ面内で光軸からの距離がα’より大きい点からの光と置き換えられる。この点の屈折レンズ13による像点はFα’よりも光軸から遠くなることは幾何光学で周知の通りである。そのため、α’からの光を受光しないようにすれば、α’よりも光軸から遠い点からの光を受光せず、従ってプローブ1からの光を受光しない。
【0087】
このように、FαとFα’とFXで形成される三角形の内側に筐体14の開口部15を設置することでα、α’から放射される赤外線が入射しないようにすれば、自動的にプローブ1から放射される赤外線も筐体14の内部には入射せず赤外受光素子3が受光しない構成となる。
【0088】
以下、αからの光を受光しないような筐体14の開口部15の位置を求める。
【0089】
開口部15はFαよりも屈折レンズ13に近い。この時、次式が成り立つ。
【0090】
LαF≧f+L3 (1)
したがって
L3≦LαF−f (2)
ここでLαFは屈折レンズ13の中心からαの像点Fαまでの距離、fは屈折レンズ13の中心から焦点Fまでの距離、L3は焦点Fから開口部15までの距離である。
【0091】
図6に示すように、受光面は光路K1αと光軸が交わる点FXとFαとの間であるので、αからFαまでの各光路のうち受光面で開口部15に最も近づくものはK1αである。したがって、αからの光が開口部15に入射しないためには、次式を満たす必要がある。
【0092】
rαS1>rS (3)
ここで、rαS1は光路K1αと開口部15の受光面との交点FαS1から光軸までの距離、rSは開口部15の半径である。また屈折レンズ13の半径をr3、光軸から像点Fαまでの距離をrαFとしたとき、幾何光学で周知の通りr3、rαF、rαS1、L3、fは幾何関係として(式4)を満たす。
【0093】
【数5】
Figure 0004126792
【0094】
したがって、(式5)を満たす。
【0095】
【数6】
Figure 0004126792
【0096】
(式5)を(式3)へ代入することで(式6)が得られる。
【0097】
【数7】
Figure 0004126792
【0098】
(式2)、(式6)から、αから放射される光が開口部15から入射しないための条件は(式7)となる。
【0099】
【数8】
Figure 0004126792
【0100】
さらにαから光軸までの距離をrα、プローブ1の先端から屈折レンズ13の中心までの距離をLαとしたときに、幾何光学で周知の通り、rα、Lα、rαF、LαFは幾何関係として(式8)を満たす。
【0101】
【数9】
Figure 0004126792
【0102】
したがって、(式9)を満たす。
【0103】
【数10】
Figure 0004126792
【0104】
(式9)を(式7)へ代入することにより、αから放射される光が開口部15から入射しないための条件は(式10)となる。
【0105】
【数11】
Figure 0004126792
【0106】
また、ガウスの公式から(式11)が成り立つ。
【0107】
【数12】
Figure 0004126792
【0108】
したがって、(式12)が成り立つ。
【0109】
【数13】
Figure 0004126792
【0110】
(式12)を(式10)に代入することにより、αから放射される光が開口部15から入射しないための条件は(式13)となる。
【0111】
【数14】
Figure 0004126792
【0112】
以上のように、プローブ1先端のαから放射される光が開口部15から筐体14の内部に入射せず赤外受光素子3で受光しないためには、(式7)、或いは(式10)、或いは(式13)を満たすよう光学系を設計する必要がある。(式7)、(式10)、(式13)で与えられるL3だけ、開口部15を屈折レンズ13の焦点からずらして設置することで、プローブ1から放射される赤外線が開口部15から入射せず、鼓膜および/またはその近傍から発せられプローブ1の開口を通過した赤外線のみが開口部15から入射して赤外受光素子3で受光させることができる。
【0113】
(実施例4)
次に本発明の実施例4を図7に基づいて説明する。図7は本発明の実施例4における放射体温計の受光部およびプローブを示す構成図である。図7において、1はプローブで実施例3と同様にR付けの部分を持たせている。また13は屈折レンズ、3は赤外受光素子で、反射率の高い金属により構成された筐体14に内蔵され、筐体14には赤外線が入射する開口部15が設けられている。16は遮光体である。α、α’は屈折レンズ13の縁からこの縁と光軸に対して同じ側のプローブ1内壁へ接する直線がプローブ1の先端面と交わる仮想先端点、Fは屈折レンズ13の焦点、Fα、Fα’はそれぞれ屈折レンズ13によるα、α’の像点、K1αはαから光軸に対して同じ側の屈折レンズ13の縁を通過してFαへ進行する光(マージナル光線)の光路、K2αはαから光軸と平行に進んで焦点Fを通過してFαに到達する光の光路、K3αはαから屈折レンズ13の中心を通過してFαに到達する光の光路、K4αはαから光軸を挟んで反対側の屈折レンズ13の縁を通過してFαに到達する光(マージナル光線)の光路、K1α’はα’から光軸に対して同じ側の屈折レンズ13の縁を通過してFα’へ進行する光(マージナル光線)の光路、K2α’はα’から光軸と平行に進んで焦点Fを通過してFα’に到達する光の光路、K3α’はα’から屈折レンズ13の中心を通過してFα’に到達する光の光路、K4α’はα’から光軸を挟んで反対側の屈折レンズ13の縁を通過してFα’に到達する光(マージナル光線)の光路、FXは光路K1αと光軸との交点である。
【0114】
プローブ1の開口を通過する赤外線のみが筐体14の開口部15に入射するような光学系を設計する。
【0115】
筐体14を遮光体16に取り付け、屈折レンズ13を通過しない赤外線は筐体14が受光しないようにする。屈折レンズ13を通った赤外線のみ受光する構成にした上で以下の設計を行う。
【0116】
鼓膜および/またはその近傍から発せられプローブ1の開口を通過した赤外光のみを受光するためには、プローブ1から放射される赤外光を受光しないようにすればよい。そのため、受光したい領域と受光したくない領域の境界に位置する点を仮想し、この点から、光軸に対してこの仮想した境界に位置する点と同じ側の屈折レンズ13の縁を通過する光(マージナル光線)の光路よりも、光軸から遠くに位置するようにプローブ1を設置すればよい。そこで、上記仮想の境界に位置する点を、屈折レンズ13の縁からこの縁と光軸に対して同じ側のプローブ1内壁へ接する直線がプローブ1の先端面と交わる点α、α’として、Fαよりも屈折レンズ13から遠い部分の光路K4αと、Fα’よりも屈折レンズ13から遠い部分の光路K4α’で挟まれた領域に赤外受光素子3を設置する。これにより、プローブ1をαと屈折レンズ13の間で光路K1α、K1α’よりも光軸から遠くに位置させることになるため、プローブ1からの光を受光しない光学系が得られる。
【0117】
上記について詳細を以下に述べる。
【0118】
αから放射される光は光路K1α、K2α、K3α、K4αなどを通ってαの像点Fαに到達する。幾何光学で周知の通り、αの像点Fαは光軸を挟んでαと反対側に形成される。図7中に示すように、光路K2αを通る光は、屈折レンズ13を通過してFで光軸と交叉してFαに到達し光軸から離れていく。同じように、光路K1αを通る光は、屈折レンズ13を通過して光軸と交叉してFαに到達し光軸から離れていく。光路K3αを通る光は、屈折レンズ13で光軸と交叉してFαに到達し光軸から離れていく。光路K4αを通る光は、光軸と交叉して屈折レンズ13を通過し、屈折レンズ13を通過してからは光軸と交叉せずにFαに到達し、その後光軸に近づくかあるいは遠ざかっていく。このように、αの像点Fαよりも屈折レンズ13から離れた位置でαから放射される光が通過しない領域が存在する。同じようにα’についても、α’の像点Fα’よりも屈折レンズ13から離れた位置でα’から放射される光が通過しない領域が存在する。この、Fαよりも屈折レンズ13から遠い部分の光路K4αと、Fα’よりも屈折レンズ13から遠い部分の光路K4α’で挟まれた領域内に開口部15を設置することによってα、α’から放射される赤外線を受光しない受光部が得られる。αと屈折レンズ13の間の光路K1αより光軸から遠い部分からの光は、αと同じ面内で光軸からの距離がαより大きい点からの光と置き換えられる。この点の屈折レンズ13による像点はFαよりも光軸から遠くなることは幾何光学で周知の通りである。そのため、αからの光が開口部15に入射しないようにすれば、αよりも光軸から遠い点からの光は入射せず、従ってプローブ1からの光は開口部15からは入射しない。同様に、α’と屈折レンズ13の間の光路K1α’より光軸から遠い部分からの光は、α’と同じ面内で光軸からの距離がα’より大きい点からの光と置き換えられる。この点の屈折レンズ13による像点はFα’よりも光軸から遠くなることは幾何光学で周知の通りである。そのため、α’からの光が開口部15に入射しないようにすれば、α’よりも光軸から遠い点からの光は入射せず、従ってプローブ1からの光は開口部15から入射しない。
【0119】
このように、Fαよりも屈折レンズ13から遠い部分の光路K4αと、Fα’よりも屈折レンズ13から遠い部分の光路K4α’で挟まれた領域に開口部15を設置することでα、α’から放射される赤外線が入射しないようにすれば、自動的にプローブ1から放射される赤外線も入射せず赤外受光素子3では受光しない構成となる。
【0120】
以下、αからの光を受光しないような開口部15の位置を求める。
【0121】
開口部15はFαよりも屈折レンズ13から遠い。この時、次式が成り立つ。
【0122】
LαF≦f+L3 (14)
したがって
L3≧LαF−f (15)
ここでLαFは屈折レンズ13の中心からαの像点Fαまでの距離、fは屈折レンズ13の中心から焦点Fまでの距離、L3は焦点Fから開口部15までの距離である。
【0123】
図7に示すように、受光面はFαよりも屈折レンズ13から遠いので、αからFαまでの各光路のうち受光面で開口部15に最も近づくものはK4αである。したがって、αからの光が開口部15に入射しないためには、次式を満たす必要がある。
【0124】
rαS4>rS (16)
ここで、rαS4は光路K4αと開口部15の受光面との交点FαS4から光軸までの距離、rSは開口部15の半径である。また屈折レンズ13の半径をr3、光軸から像点Fαまでの距離をrαFとしたとき、幾何光学で周知の通りr3、rαF、LαF、rαS4、L3、fは幾何関係として(式17)を満たす。
【0125】
【数15】
Figure 0004126792
【0126】
したがって(式18)を満たす。
【0127】
【数16】
Figure 0004126792
【0128】
(式18)を(式16)へ代入することで(式19)が得られる。
【0129】
【数17】
Figure 0004126792
【0130】
(式15)、(式19)から、αから放射される光が開口部15に入射しないための条件は(式20)となる。
【0131】
【数18】
Figure 0004126792
【0132】
さらにαから光軸までの距離をrα、プローブ1の先端から屈折レンズ13の中心までの距離をLαとしたときに、幾何光学で周知の通り、rα、Lα、rαF、LαFは幾何関係として前記した(式8)を満たす。したがって前記した(式9)を満たす。
【0133】
(式9)を(式20)へ代入することにより、αから放射される光が開口部15に入射しないための条件は(式21)となる。
【0134】
【数19】
Figure 0004126792
【0135】
また、ガウスの公式から前記した(式11)が成り立つ。したがって前記した(式12)が成り立つ。
【0136】
(式12)を(式21)に代入することにより、αから放射される光を赤外受光素子3で受光しないための条件は(式22)となる。
【0137】
【数20】
Figure 0004126792
【0138】
以上のように、αから放射される光が開口部15に入射しないためには、(式20)、或いは(式21)、或いは(式22)の条件を満たすよう光学系を設計する必要がある。(式20)、(式21)、(式22)で与えられるL3だけ、開口部15を屈折レンズ13の焦点からずらして設置することで、プローブ1から放射される赤外線は開口部15から筐体14に入射することはなく、赤外受光素子3で受光せずに、鼓膜および/またはその近傍から発せられプローブ1の開口を通過した赤外線のみが開口部15から入射して赤外受光素子3で受光させることができる。したがってプローブ1からの赤外線を遮る導波管は不要となる。また、プローブ1からの熱を受ける導波管がないため、屈折レンズ13に高い熱伝導率の材質を使用する必要がない。
【0139】
以上の実施例1〜4において、屈折レンズ13は、例えばポリエチレン等のような10μm前後の波長の赤外線を透過する合成樹脂を用いる。ポリエチレンの熱物性値は、熱伝導率λが0.34J/msK、熱容量は2.12×106 J/kgK、である。参考までに金属体の、たとえば銅の物性値を掲載すると熱伝導率λが398J/msK、熱容量は3.43×106J/kgK、となり、合成樹脂の熱伝導率が小さくまた熱容量が小さいことがわかる。
【0140】
この時、低温の室内に放置されていた放射体温計を高温の室内に持ち込むと、低温の屈折レンズ13を含む受光部9が、その周囲の空気を冷却し露点以下になる状態が過渡的に発生する。
【0141】
しかし、屈折レンズ13は、熱容量が小さいので表面の温度が上昇しやすく、また熱伝導率が小さいので表面の熱が厚さ方向に拡散しない。よって、屈折レンズ13の表面が露点以下になったとしてもその時間は短く、結露は発生しにくい。したがって、放射体温計の周囲の温度が変化した場合でも結露の影響がない正確な温度検出が可能な構成である。
【0142】
以上、受光部の集光素子として屈折レンズを用いた例を説明したが、透過型回折レンズを用いても同様に赤外受光素子を配置することにより鼓膜および/またはその近傍から発せられプローブ1の開口を通過した赤外線のみが開口部15から筐体14に入射し赤外受光素子3で受光させることができる他、レンズの成形が容易という効果がある。
【0143】
(実施例5)
次に本発明の実施例5を図8を用いて説明する。図8は本発明の実施例5における放射体温計の受光部およびプローブを示す構成図である。ここで集光素子13は前記実施例と異なり、集光ミラーを用いている。図8において、1はプローブ、3は赤外受光素子で、反射率の高い金属により構成された筐体14に内蔵され、筐体14には赤外線が入射する開口部15が設けられている。16は遮光体である。α、α’は集光ミラー13の縁からこの縁と光軸に対して同じ側のプローブ1内壁へ接する直線がプローブ1の先端面と交わる仮想先端点、Fは集光ミラー13の焦点、Fα、Fα’はそれぞれ集光ミラー13によるα、α’の像点、K1αはαから光軸に対して同じ側の集光ミラー13の縁で反射してFαへ進行する光(マージナル光線)の光路、K2αはαから光軸と平行に進んで焦点Fを通過してFαに到達する光の光路、K3αはαから集光ミラー13の中心で反射してFαに到達する光の光路、K4αはαから光軸を挟んで反対側の集光ミラー13の縁で反射してFαに到達する光(マージナル光線)の光路、K1α’はα’から光軸に対して同じ側の集光ミラー13の縁で反射してFα’へ進行する光(マージナル光線)の光路、K2α’はα’から光軸と平行に進んで焦点Fを通過してFα’に到達する光の光路、K3α’はα’から集光ミラー13の中心で反射してFα’に到達する光の光路、K4α’はα’から光軸を挟んで反対側の集光ミラー13の縁で反射してFα’に到達する光(マージナル光線)の光路、FXは光路K1αと光軸との交点である。
【0144】
プローブ1の開口を通過する赤外線のみが筐体14の開口部15に入射するような光学系を設計する。
【0145】
筐体14を遮光体16内部に設け、集光ミラー13で反射しない赤外線は筐体14が受光しないようにする。集光ミラーで反射した赤外線のみ受光する構成にした上で以下の設計を行う。
【0146】
鼓膜および/またはその近傍から発せられプローブ1の開口を通過した赤外光のみを受光するためには、プローブ1から放射される赤外光を受光しないようにすればよい。そのため、受光したい領域と受光したくない領域の境界に位置する点を仮想し、この点から、光軸に対してこの仮想した境界に位置する点と同じ側の集光ミラー13の縁で反射する光(マージナル光線)の光路よりも、光軸から遠くに位置するようにプローブ1を設置すればよい。そこで、上記仮想の境界に位置する点を、集光ミラー13の縁からこの縁と光軸に対して同じ側のプローブ1内壁へ接する直線がプローブ1の先端面と交わる点α、α’として、FαとFα’とFXで形成される三角形の内側に開口部15を設置する。これにより、プローブ1をαと集光ミラー13の間で光路K1α、K1α’よりも光軸から遠くに位置させることになるため、プローブ1からの光を受光しない光学系が得られる。
【0147】
上記について詳細を以下に述べる。αから放射される光は光路K1α、K2α、K3α、K4αなどを通ってαの像点Fαに到達する。幾何光学で周知の通り、αの像点Fαは光軸を挟んでαと反対側に形成される。図8中に示すように、光路K2αを通る光は、集光ミラー13で反射してFで光軸と交叉したのち光軸から離れながらFαに到達する。同じように、光路K1αを通る光は、集光ミラー13で反射して光軸と交叉したのち光軸から離れながらFαに到達する。光路K3αを通る光は、集光ミラー13で光軸と交叉したのち光軸から離れながらFαに到達する。光路K4αを通る光は、光軸と交叉して集光ミラー13で反射し、集光ミラー13で反射してからは光軸と交叉せずにFαに到達する。このように、光路K1αと光軸が交叉する点FXよりも集光ミラー13から離れた位置かつFαよりも集光ミラー13に近い位置で、αから放射される光が通過しない領域が存在する。同じように、α’についても、光路K1α’と光軸が交叉する点よりも集光ミラー13から離れた位置かつFα’よりも集光ミラー13に近い位置で、α’から放射される光が通過しない領域が存在する。この、Fα、Fα’、FXで形成される三角形の内側よりに開口部15を設置することで、α、α’から放射される光を受光しない受光部が得られる。
【0148】
αと集光ミラー13の間の光路K1αより光軸から遠い部分からの光は、αと同じ面内で光軸からの距離がαより大きい点からの光と置き換えられる。この点の集光ミラー13による像点はFαよりも光軸から遠くなることは幾何光学で周知の通りである。そのため、αからの光を受光しないようにすれば、αよりも光軸から遠い点からの光を受光せず、従ってプローブ1からの光を受光しない。同様に、α’と集光ミラー13の間の光路K1α’より光軸から遠い部分からの光は、α’と同じ面内で光軸からの距離がα’より大きい点からの光と置き換えられる。この点の集光ミラー13による像点はFα’よりも光軸から遠くなることは幾何光学で周知の通りである。そのため、α’からの光を受光しないようにすれば、α’よりも光軸から遠い点からの光を受光せず、従ってプローブ1からの光を受光しない。
【0149】
このように、FαとFα’とFXで形成される三角形の内側に開口部15を設置することでα、α’から放射される赤外線が開口部15に入射しないようにすれば、自動的にプローブ1から放射される赤外線も開口部15から筐体14には入射せず赤外受光素子3では受光しない構成となる。
【0150】
以下、αからの光を受光しないような開口部15の位置を求める。
【0151】
開口部15はFαよりも集光ミラー13に近い。この時、(式1)が成り立ち、したがって(式2)が成り立つ。ここでLαFは集光ミラー13の中心からαの像点Fαまでの距離、fは集光ミラー13の中心から焦点Fまでの距離、L3は焦点Fから開口部15までの距離である。
【0152】
図8に示すように、受光面は光路K1αと光軸が交わる点FXとFαとの間であるので、αからFαまでの各光路のうち受光面で開口部15に最も近づくものはK1αである。したがって、αからの光が開口部15に入射しないためには、(式3)を満たす必要がある。ここで、rαS1は光路K1αと開口部15の受光面との交点FαS1から光軸までの距離、rSは開口部15の半径である。また集光ミラー13の半径をr3、光軸から像点Fαまでの距離をrαFとしたとき、幾何光学で周知の通りr3、rαF、rαS1、L3、fは幾何関係として(式4)を満たし、したがって(式5)を満たす。また(式5)を(式3)へ代入することで(式6)が得られる。(式2)、(式6)から、αから放射される光が開口部15に入射しないための条件は(式7)となる。
【0153】
さらにαから光軸までの距離をrα、プローブ1の先端から集光ミラー13の中心までの距離をLαとしたときに、幾何光学で周知の通り、rα、Lα、rαF、LαFは幾何関係として(式8)を満たし、したがって、(式9)を満たす。(式9)を(式7)へ代入することにより、αから放射される光が開口部15に入射しないための条件は(式10)となる。また、ガウスの公式から(式11)が成り立ち、したがって、(式12)が成り立つ。(式12)を(式10)に代入することにより、αから放射される光が開口部15に入射しないための条件は(式13)となる。
【0154】
以上のように、プローブ1先端のαから放射される光が開口部15に入射しないためには、(式7)、或いは(式10)、或いは(式13)を満たすよう光学系を設計する必要がある。(式7)、(式10)、(式13)で与えられるL3だけ、開口部15を集光ミラー10の焦点からずらして設置することで、プローブ1から放射される赤外線は開口部15に入射せずに、鼓膜および/またはその近傍から発せられプローブ1の開口を通過した赤外線のみが開口部15から筐体14に入射して赤外受光素子3で受光させることができる。
【0155】
(実施例6)
次に本発明の実施例6を図9に基づいて説明する。図9は本発明の実施例6における放射体温計の受光部およびプローブを示す構成図である。図9において、1はプローブ、13は集光ミラー、3は赤外受光素子で、反射率の高い金属により構成された筐体14に内蔵され、筐体14には赤外線が入射する開口部15が設けられている。16は遮光体である。α、α’は集光ミラー13の縁からこの縁と光軸に対して同じ側のプローブ1内壁へ接する直線がプローブ1の先端面と交わる仮想先端点、Fは集光ミラー13の焦点、Fα、Fα’はそれぞれ集光ミラー13によるα、α’の像点、K1αはαから光軸に対して同じ側の集光ミラー13の縁で反射してFαへ進行する光(マージナル光線)の光路、K2αはαから光軸と平行に進んで焦点Fを通過してFαに到達する光の光路、K3αはαから集光ミラー13の中心で反射してFαに到達する光の光路、K4αはαから光軸を挟んで反対側の集光ミラー13の縁で反射してFαに到達する光(マージナル光線)の光路、K1α’はα’から光軸に対して同じ側の集光ミラー13の縁を通過してFα’へ進行する光(マージナル光線)の光路、K2α’はα’から光軸と平行に進んで焦点Fを通過してFα’に到達する光の光路、K3α’はα’から集光ミラー13の中心で反射してFα’に到達する光の光路、K4α’はα’から光軸を挟んで反対側の集光ミラー13の縁で反射してFα’に到達する光(マージナル光線)の光路、FXは光路K1αと光軸との交点である。
【0156】
プローブ1の開口を通過する赤外線のみが開口部15に入射ような光学系を設計する。
【0157】
筐体14を遮光体16内部に設け、集光ミラー13で反射する赤外線のみが開口部15に入射するようにする。集光ミラー13で反射した赤外線のみ入射する構成にした上で以下の設計を行う。
【0158】
鼓膜および/またはその近傍から発せられプローブ1の開口を通過した赤外光のみを受光するためには、プローブ1から放射される赤外光を受光しないようにすればよい。そのため、受光したい領域と受光したくない領域の境界に位置する点を仮想し、この点から、光軸に対してこの仮想した境界に位置する点と同じ側の集光ミラー13で反射する光(マージナル光線)の光路よりも、光軸から遠くに位置するようにプローブ1を設置すればよい。そこで、上記仮想の境界に位置する点を、集光ミラー13の縁からこの縁と光軸に対して同じ側のプローブ1内壁へ接する直線がプローブ1の先端面と交わる点α、α’として、Fαよりも集光ミラー13から遠い部分の光路K4αと、Fα’よりも集光ミラー13から遠い部分の光路K4α’で挟まれた領域に開口部15を設置する。これにより、プローブ1をαと集光ミラー13の間で光路K1α、K1α’よりも光軸から遠くに位置させることになるため、プローブ1からの光を受光しない光学系が得られる。
【0159】
上記について詳細を以下に述べる。
【0160】
αから放射される光は光路K1α、K2α、K3α、K4αなどを通ってαの像点Fαに到達する。幾何光学で周知の通り、αの像点Fαは光軸を挟んでαと反対側に形成される。図9中に示すように、光路K2αを通る光は、集光ミラー13で反射してFで光軸と交叉してFαに到達し光軸から離れていく。同じように、光路K1αを通る光は、集光ミラー13で反射して光軸と交叉してFαに到達し光軸から離れていく。光路K3αを通る光は、集光ミラー13で光軸と交叉してFαに到達し光軸から離れていく。光路K4αを通る光は、光軸と交叉して集光ミラー13で反射し、集光ミラー13で反射してからは光軸と交叉せずにFαに到達し、その後光軸に近づくかあるいは遠ざかっていく。このように、αの像点Fαよりも集光ミラー13から離れた位置でαから放射される光が通過しない領域が存在する。同じようにα’についても、αの像点Fαよりも集光ミラー13から離れた位置でαから放射される光が通過しない領域が存在する。この、Fαよりも集光ミラー13から遠い部分の光路K4αと、Fα’よりも集光ミラー13から遠い部分の光路K4α’で挟まれた領域内に赤外受光素子3を設置することによってα、α’から放射される赤外線を受光しない受光部が得られる。αと集光ミラー13の間の光路K1αより光軸から遠い部分からの光は、αと同じ面内で光軸からの距離がαより大きい点からの光と置き換えられる。この点の集光ミラー13による像点はFαよりも光軸から遠くなることは幾何光学で周知の通りである。そのため、αからの光を受光しないようにすれば、αよりも光軸から遠い点からの光を受光せず、従ってプローブ1からの光を受光しない。同様に、α’と集光ミラー13の間の光路K1α’より光軸から遠い部分からの光は、α’と同じ面内で光軸からの距離がα’より大きい点からの光と置き換えられる。この点の集光ミラー13による像点はFα’よりも光軸から遠くなることは幾何光学で周知の通りである。そのため、α’からの光を受光しないようにすれば、α’よりも光軸から遠い点からの光を受光せず、従ってプローブ1からの光を受光しない。
【0161】
このように、Fαよりも集光ミラー13から遠い部分の光路K4αと、Fα’よりも集光ミラー13から遠い部分の光路K4α’で挟まれた領域に開口部15を設置することでα、α’から放射される赤外線が入射しないようにすれば、自動的にプローブ1から放射される赤外線も開口部15から筐体14に入射せず赤外受光素子3で受光しない構成となる。
【0162】
以下、αからの光を受光しないような開口部15の位置を求める。
【0163】
開口部15はFαよりも集光ミラー13から遠い。この時、(式14)が成り立ち、したがって(式15)が成り立つ。ここでLαFは集光ミラー13の中心からαの像点Fαまでの距離、fは集光ミラー13の中心から焦点Fまでの距離、L3は焦点Fから開口部15までの距離である。
【0164】
図9に示すように、受光面はFαよりも集光ミラー13から遠いので、αからFαまでの各光路のうち受光面で赤外受光素子3に最も近づくものはK4αである。したがって、αからの光を赤外受光素子3で受光しないためには、(式16)を満たす必要がある。ここで、rαS4は光路K4αと赤外受光素子3の受光面との交点FαS4から光軸までの距離、rSは開口部15の半径である。また集光ミラー13の半径をr3、光軸から像点Fαまでの距離をrαFとしたとき、幾何光学で周知の通りr3、rαF、LαF、rαS4、L3、fは幾何関係として(式17)を満たし、したがって(式18)を満たす。(式18)を(式16)へ代入することで(式19)が得られる。(式15)、(式19)から、αから放射される光が開口部15に入射しないための条件は(式20)となる。
【0165】
さらにαから光軸までの距離をrα、プローブ1の先端から集光ミラー13の中心までの距離をLαとしたときに、幾何光学で周知の通り、rα、Lα、rαF、LαFは幾何関係として(式8)を満たし、したがって(式9)を満たす。(式9)を(式20)へ代入することにより、αから放射される光が開口部15に入射しないための条件は(式21)となる。また、ガウスの公式から(式11)が成り立つので、(式12)が成り立つ。(式12)を(式21)に代入することにより、αから放射される光が開口部15に入射しないための条件は(式22)となる。
【0166】
以上のように、αから放射される光が開口部15に入射しないためには、(式20)、或いは(式21)、或いは(式22)の条件を満たすよう光学系を設計する必要がある。(式20)、(式21)、(式22)で与えられるL3だけ、開口部15を集光ミラー13の焦点からずらして設置することで、プローブ1から放射される赤外線は開口部15に入射せずに、鼓膜および/またはその近傍から発せられプローブ1の開口を通過した赤外線のみを開口部15に入射させることができる。
【0167】
(実施例7)
次に本発明の実施例7を図10を用いて説明する。図10は集光素子として集光ミラーを用いた例において、集光ミラーに入射する第1の光軸と反射して集光ミラーから出射する第2の光軸を屈曲させた例を示す。13は集光素子としての凹面鏡でその焦点はFにある。このうちの一部太線で示すA〜A’の部分のみを切り出して集光ミラーとして使うことにより、この中心を通る光軸は一点鎖線で示すように屈曲させて使うことができるようになる。ここで赤外受光素子3は開口部15を持った筐体14の内部に設けていて、集光ミラー13の焦点Fより後方に、詳細には前記した実施例で示す範囲に配置すればよい。
【0168】
放射体温計の使いやすさを考慮すると、図1に戻ってプローブ1と本体5を約115度屈曲させるのが好ましい。それは本体5を手で持って、プローブ1を外耳道に挿入する場合、自然な手の位置で体温測定できる角度が約115度だからである。したがって、図10において光軸を約115度屈曲させる構成をとると受光部は本体に収納しやすくなる。また自然な手の位置で体温測定することで、プローブを外耳道に挿入する方向は安定しやすくなり、体温の測定精度も向上させることができる。
【0169】
前記実施例5〜7において集光ミラー13の材料は、実施例1〜4で説明した屈折レンズと異なり、赤外線を透過させる必要がない。例えば、集光ミラー13の材料としてここでは、ポリプロピレン,ポリカーボネイトを用い、その表面に金属の蒸着またはメッキを施した構成とする。ポリプロピレンの物性値は、熱伝導率λが0.12J/msK、熱容量は1.76×106 J/kgK、である。またポリカーボネイトの物性値は、熱伝導率λが0.19J/msK、熱容量は1.51×106 J/kgK、であり、双方とも屈折レンズの例で説明したポリエチレンと同様に十分小さい。
【0170】
この構成により、プローブ1から放射される赤外線を開口部15から筐体14に入射させずに鼓膜および/またはその近傍からの放射光のみを入射させ、赤外受光素子3で受光させることができるので、集光素子13が被測定物から伝わる熱の影響を受け難く、光学系に高い熱伝導性を必要としない。そして、集光素子は、熱容量と熱伝導率が小さいので、屈折レンズの例と同様に、温度が変化した場合でも結露の影響がない正確な温度検出が可能な構成とすることができる。
【0171】
ただし、集光ミラーに用いる材質としてはポリプロピレン,ポリカーボネイト,ポリエチレンに限られるものではない。
【0172】
以上、受光部の集光素子として集光ミラーを用いた例を説明したが、これは屈折レンズを使う場合に比べ、透過損失がなく受光量を増大させる効果がある。また、反射型回折レンズを用いても同様に開口部15を配置することにより鼓膜および/またはその近傍から発せられプローブ1の開口を通過した赤外線のみを開口部15から筐体14に入射させて赤外受光素子3で受光させることができる他、ミラーの成形が容易という効果がある。
【0173】
前記の各実施例において、集光素子13で透過または反射し、開口部15に入射しないプローブ1の内面からの赤外線は、遮光体16の内面に入射することになる。しかし、この遮光体16の内面は反射抑制手段であるため、入射した赤外線が反射して開口部15に入射するようなことはない。従って、測定誤差の要因となるプローブ1からの赤外線放射が開口部15から筐体14に入射し赤外受光素子3が受光するのを確実に阻止し、正確な温度検出ができる。
【0174】
遮光体16は、例えばPC、PPS、PBT、PP等のような合成樹脂を用いる。一般にこれら合成樹脂の放射率は0.9前後と高い値になることが知られている。また、物体に入射する赤外線は、反射成分と吸収成分と透過成分に分けられるが、透過のない場合を考えると、反射率と吸収率の和は1になる。ここでキルヒホッフの法則より、放射率と吸収率は等しいので、結果として放射率の高い合成樹脂は反射率が低いということが言える。従って、これらの合成樹脂を使用して遮光体16を構成することで、遮光体16自体が反射抑制手段となり、赤外受光素子3以外の位置へ進行した不要な赤外線が、遮光体16で反射して赤外受光素子3に入射してしまうことがない。従って、受光領域を制限しプローブ1からの不要な赤外線を赤外受光素子3に入射させない作用を完全なものとすることができる。
【0175】
また、遮光体16は赤外線の透過の小さい合成樹脂を用い、また赤外線が透過しないだけの充分な厚さを持たせて設計することは言うまでもない。また、遮光体16を合成樹脂とすることにより、集光素子と同様の原理により遮光体16にも結露が発生しにくい。もし遮光体16が金属ならば、遮光体16に発生した結露が移動することにより集光素子13に付着し、その結果、集光能力を低下させる可能性があり、また遮光体16に発生した結露により赤外光が散乱して開口部15から赤外受光素子3にプローブ1から放射された赤外光が入射する可能性もあるが、遮光体16が樹脂ならば結露が発生しないためそのようなことがない。
【0176】
また、以上説明した集光素子13と開口部15の配置で、プローブから放射される赤外線が開口部15に至らない範囲内でプローブの形状を変えることは可能であり、図3に示した長さ方向の寸法の違いだけでなく、径の違う複数のプローブを備えてもよい。特に長さ方向の寸法を短くすれば、同じ集光素子と赤外受光素子の配置で径を細くでき、幼児に対応しやすいプローブも備えることができる効果がある。
【0177】
以上の各実施例において赤外受光素子3はその出力が対象物との温度差に相関のあるサーモパイル型であればそのままの構成で使えば良く、赤外受光素子3の出力が測定対象の温度変化に対して相関のある焦電型であれば、入射する赤外線を強制的に変化させるチョッパを設ければよい。
【0178】
以上の各実施例において筐体14の開口部15を適切な位置に配置することで、赤外受光素子3の大きさには無関係に鼓膜および/またはその近傍から放射される赤外光のみを受光することができるようになるの。即ち、実施例において説明した範囲が非常に小さな領域しかなく、それに対して赤外受光素子3が大きい場合でも、開口部15の面積を小さくするだけで赤外受光素子3は鼓膜および/またはその近傍から放射された赤外光のみを受光することができる。ここで筐体14は反射率の高い金属にすることで簡易な構成にできる。ただし、材料を樹脂にしてその内面を金属で蒸着、またはメッキしても良い。また、内面の反射率を高くするのは開口部15から入射する赤外光が筐体内面で反射しながら赤外受光素子3に入射するようにして、赤外受光素子3においての受光量を増大させるためである。内面が黒体の場合には開口部15から入射した直接光のみが赤外受光素子3に入射するので、赤外受光素子3の感度が十分大きく実用上の問題がなければ筐体14の内面の反射率を高くしなくても良い。
【0179】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の放射体温計は以下の効果を有する。
【0180】
本発明の請求項1にかかる放射体温計によれば、受光部は鼓膜および/またはその近傍から放射されプローブを通過した赤外線のみを受光し、信号処理手段は受光部からの出力を温度に演算し、演算結果の温度を報知手段が報知する。そして受光部の筐体の開口部には集光素子で集光された赤外線が入射し、開口部に入射した赤外線は赤外受光素子に入射することで、鼓膜および/またはその近傍から放射されプローブを通過した放射光のみをスポット的に検出することが可能となり、正確な検温ができる。
【0181】
本発明の請求項2にかかる放射体温計によれば、本体に収納された受光部は鼓膜および/またはその近傍から発せられプローブを通過した赤外線のみを受光し、プローブは内部に導波管がなく空洞状態にして本体に着脱自在に連結しているので、導波管の温度変動による温度精度の悪化がなく、プローブ交換により衛生上の問題がなくかつプローブをはずせば突出部分がなく収納が容易になる。
【0182】
本発明の請求項3にかかる放射体温計によれば、プローブは先端が開口しているので、先端を覆うカバーの赤外線透過率のばらつきによる温度誤差要因が無くなり、測定温度精度を向上できる。
【0183】
本発明の請求項4にかかる放射体温計によれば、非計測時には収納部にプローブが収納されるので、本体は収納しやすい形状になり、かつはずしたプローブを紛失する可能性は少なくなる。
【0184】
本発明の請求項5にかかる放射体温計によれば、目視で判別可能な複数のプローブを備えているのでプローブごとに使用者を特定することは可能でプローブ交換による感染の問題がない。
【0185】
本発明の請求項6にかかる放射体温計によれば、鼓膜および/またはその近傍から直接放射される赤外線のみを受光する受光部からの出力に基づいて演算した温度を音声報知手段を有する報知手段で報知するので、耳に挿入している時間に拘わらず正確な体温を測定することができる。
【0186】
本発明の請求項7にかかる放射体温計によれば、集光素子外からの赤外線が筐体に入射するのを遮る遮光体を有し、遮光体の筐体側に反射抑制手段を設けたので、筐体の開口部以外の位置へ進行した赤外線が反射して筐体の内部に入射してしまうことがない。従って、受光領域を制限し、鼓膜および/またはその近傍以外からの赤外線を筐体の開口部以外の点へ導くので、プローブの温度変化の影響を受けず正確な体温測定ができる。
【0187】
本発明の請求項8にかかる放射体温計によれば、一般に合成樹脂の放射率は0.9前後と高い値になることが知られていて、これを遮光体として用いることで赤外線の反射が抑制される。また、合成樹脂は熱伝導率が低く、かつ熱容量が小さいので、遮光体表面に結露が発生しにくい。したがって、結露による赤外線の反射や散乱がなく正確な体温測定ができる。
【0188】
本発明の請求項9にかかる放射体温計によれば、プローブからの赤外線を遮る導波管は不要であり、集光素子を含む光学系に高い熱伝導率を必要としない。そして、集光素子は熱伝導率が低く、かつ熱容量が小さい材質より構成したので、集光素子表面に結露が発生しにくく正確な体温測定ができる。
本発明の請求項10にかかる放射体温計によれば、一般に合成樹脂は熱伝導率が低く熱容量が小さいことが知られており、合成樹脂により集光素子表面の結露を抑制することができる。
【0189】
本発明の請求項11にかかる放射体温計によれば、筐体には集光素子で集光された赤外線が入射し、また筐体の開口部はは仮想先端点と同じ側の集光素子の縁を通過して集光素子による仮想先端点の像点へ到達する光路と光軸との交点よりも集光素子から遠く且つ集光素子による仮想先端点の像点よりも集光素子に近い領域に設置することで、プローブ内壁から集光素子に入射する赤外線を筐体の開口部以外の位置へ進行させることができ、受光領域を制限することができる。そして筐体の開口部から入射した赤外線が赤外受光素子に入射するので、赤外受光素子の大きさにかかわらず鼓膜および/またはその近傍から放射されプローブを通過した放射光のみをスポット的に検出することが可能となる。
【0190】
本発明の請求項12にかかる放射体温計によれば、筐体には集光素子で集光された赤外線が入射し、また筐体の開口部は仮想先端点と同じ側の集光素子の縁を通過して集光素子による仮想先端点の像点へ到達する光路と光軸との交点と、集光素子による仮想先端点の2つの像点とで形成される、集光素子の子午面内の三角形内に設置することで、プローブ内壁から集光素子に入射する赤外線を筐体の開口部以外の位置へ進行させることができ、受光領域を制限することができる。そして筐体の開口部から入射した赤外線が赤外受光素子に入射するので、赤外受光素子の大きさにかかわらず鼓膜および/またはその近傍から放射されプローブを通過した放射光のみをスポット的に検出することが可能となる。
【0191】
本発明の請求項13にかかる放射体温計によれば、筐体には集光素子で集光された赤外線が入射し、また筐体の開口部は集光素子の焦点距離fと、筐体の開口部の半径rSと、仮想先端点と光軸との距離rαと、仮想先端点と集光素子との距離Lαと、集光素子の半径r3を用いて、(式13)で与えられるL3だけ集光素子の焦点よりも集光素子から遠くに設置することで、プローブ内壁から集光素子に入射する赤外線を筐体の開口部以外の位置へ進行させることができ、受光領域を制限することができる。そして筐体の開口部に入射した赤外線が赤外受光素子に入射するので、赤外受光素子の大きさにかかわらず鼓膜および/またはその近傍から放射されプローブを通過した放射光のみをスポット的に検出することが可能となる。
【0192】
本発明の請求項14にかかる放射体温計によれば、筐体には集光素子で集光された赤外線が入射し、また筐体の開口部を、集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側のプローブの内壁に接するように引いた直線が前記プローブの先端の面と交叉する仮想先端点の集光素子による像点よりも前記集光素子から遠い領域に設置することで、プローブ内壁から集光素子に入射する赤外線を筐体の開口部以外の位置へ進行させることができ、受光領域を制限することができる。そして筐体の開口部に入射した赤外線が赤外受光素子に入射するので、赤外受光素子の大きさにかかわらず鼓膜および/またはその近傍から放射されプローブを通過した放射光のみをスポット的に検出することが可能となる。
【0193】
本発明の請求項15にかかる放射体温計によれば、筐体には集光素子で集光された赤外線が入射し、また筐体の開口部を、集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側のプローブの内壁に接するように引いた直線が前記プローブの先端の面と交叉する仮想先端点から光軸を挟んで前記仮想先端点と反対側の前記集光素子の縁を通過して前記集光素子による前記仮想先端点の像点へ到達する前記集光素子の子午面内の2つの光路で挟まれた領域に設置することで、プローブ内壁から集光素子に入射する赤外線を筐体の開口部以外の位置へ進行させることができ、受光領域を制限することができる。そして筐体の開口部に入射した赤外線が赤外受光素子に入射するので、赤外受光素子の大きさにかかわらず鼓膜および/またはその近傍から放射されプローブを通過した放射光のみをスポット的に検出することが可能となる。
【0194】
本発明の請求項16にかかる放射体温計によれば、筐体には集光素子で集光された赤外線が入射し、また筐体の開口部は集光素子の焦点距離fと、筐体の開口部の半径rSと、仮想先端点と光軸との距離rαと、仮想先端点と前記集光素子との距離Lαと、集光素子の半径r3を用いて、(式22)で表されるL3だけ前記集光素子の焦点よりも集光素子から遠くに設置することで、プローブ内壁から集光素子に入射する赤外線を筐体の開口部以外の位置へ進行させることができ、受光領域を制限することができる。そして筐体の開口部に入射した赤外線が赤外受光素子に入射するので、赤外受光素子の大きさにかかわらず鼓膜および/またはその近傍から放射されプローブを通過した放射光のみをスポット的に検出することが可能となる。
【0195】
本発明の請求項17にかかる放射体温計によれば、屈折レンズにより筐体の開口部には集光された赤外線が入射する。
【0196】
本発明の請求項18にかかる放射体温計によれば、集光ミラーにより、筐体の開口部には集光された赤外線が入射する。
【0197】
本発明の請求項19にかかる放射体温計によれば、外耳道に挿入して測定する放射体温計としての使い勝手を考慮しプローブと本体を屈曲させたとき、この角度に併せて光学系も屈曲させることができる。従って、使い勝手がよく、耳孔に挿入しやすくなることで挿入方向が安定しやすく精度よく体温測定ができる。
【0198】
本発明の請求項20にかかる放射体温計によれば、筐体の内面を反射率の高い材料とすることで、赤外受光素子には筐体の開口部から入射する赤外線を反射させながら有効に入射させることができる。
本発明の請求項21にかかる放射体温計によれば、金属は一般に反射率が高いので、筐体を簡易に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の放射体温計の構成図
【図2】(a)〜(d)同実施例の異なる記号を印刷した複数のプローブの側面図
【図3】(a)〜(d)同実施例の寸法の異なる複数のプローブの側面図
【図4】同実施例の受光部およびプローブの構成図
【図5】本発明の実施例2の受光部およびプローブを示す構成図
【図6】本発明の実施例3の受光部およびプローブを示す構成図
【図7】本発明の実施例4の受光部およびプローブを示す構成図
【図8】本発明の実施例5の受光部およびプローブを示す構成図
【図9】本発明の実施例6の受光部およびプローブを示す構成図
【図10】本発明の実施例7の集光素子の構成図
【図11】従来例の放射体温計の構成ブロック図
【符号の説明】
1 プローブ
3 赤外受光素子
4 信号処理手段
5 本体
7 収納部
9 受光部
10 報知手段
12 音声報知手段
13 集光素子
14 筐体
15 開口部
16 遮光体(反射抑制手段)

Claims (21)

  1. 外耳道に挿入され鼓膜および/またはその近傍から放射された赤外線を通過させるプローブと、前記プローブを通過した赤外線を受光する受光部と、前記受光部の出力を温度に演算する信号処理手段と、前記信号処理手段の出力を報知する報知手段とからなり、前記受光部は赤外受光素子と、前記赤外受光素子を内部に設け赤外線の入射する開口部を有する筐体と、少なくともプローブを通過した赤外線を集光する集光素子を有し、前記筐体の開口部は前記集光素子の焦点位置から後方に離して設置することにより、受光領域を制限したことを特徴とする放射体温計。
  2. 受光部を収納する本体を有し、プローブは内部を空洞状態にして前記本体に連結し着脱自在とした請求項1記載の放射体温計。
  3. プローブは先端が開口していることを特徴とする請求項2記載の放射体温計。
  4. 本体には非計測時にプローブを収納する収納部を有する請求項2記載の放射体温計。
  5. プローブは複数でそれぞれを目視で判別可能な差異を有する構成としたことを特徴とする請求項2記載の放射体温計。
  6. 報知手段は信号処理手段の演算結果の温度を音声で報知する音声報知手段を有する請求項1記載の放射体温計。
  7. 受光部は集光素子外からの赤外線が筐体の開口部に入射するのを遮る遮光体を有し、前記遮光体の前記筐体の開口部側に反射抑制手段を設けた請求項1記載の放射体温計。
  8. 遮光体の材質として合成樹脂を用いる請求項7記載の放射体温計。
  9. 集光素子は熱伝導率が低く、かつ熱容量が小さい材質よりなる請求項1記載の放射体温計。
  10. 集光素子の材質として合成樹脂を用いる請求項9記載の放射体温計。
  11. 筐体の開口部を、集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側のプローブの内壁に接するように引いた直線が前記プローブの先端の面と交叉する仮想先端点から光軸に対して前記仮想先端点と同じ側の集光素子の縁を通過して前記集光素子による前記仮想先端点の像点へ到達する光路と光軸との交点よりも前記集光素子から遠く且つ前記集光素子による前記仮想先端点の像点よりも前記集光素子に近い領域に設置することを特徴とする請求項1〜10記載の放射体温計。
  12. 筐体の開口部を、集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側のプローブの内壁に接するように引いた直線が前記プローブの先端の面と交叉する仮想先端点から光軸に対して前記仮想先端点と同じ側の集光素子の縁を通過して前記集光素子による前記仮想先端点の像点へ到達する光路と光軸との交点と、前記集光素子による前記仮想先端点の2つの像点とで形成される、前記集光素子の子午面内の三角形内に設置することを特徴とする請求項11記載の放射体温計。
  13. 筐体の開口部を、集光素子の焦点距離fと、前記筐体の開口部の半径rSと、前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側のプローブの内壁に接するように引いた直線が前記プローブ先端の面と交叉する仮想先端点と光軸との距離rαと、前記仮想先端点と前記集光素子との距離Lαと、前記集光素子の半径r3を用いて、
    Figure 0004126792
    で与えられるL3だけ前記集光素子の焦点よりも集光素子から遠くに設置したことを特徴とする請求項12記載の放射体温計。
  14. 筐体の開口部を、集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側のプローブの内壁に接するように引いた直線が前記プローブの先端の面と交叉する仮想先端点の集光素子による像点よりも前記集光素子から遠い領域に設置することを特徴とする請求項1〜10記載の放射体温計。
  15. 筐体の開口部を、集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側のプローブの内壁に接するように引いた直線が前記プローブの先端の面と交叉する仮想先端点から光軸を挟んで前記仮想先端点と反対側の前記集光素子の縁を通過して前記集光素子による前記仮想先端点の像点へ到達する前記集光素子の子午面内の2つの光路で挟まれた領域に設置することを特徴とする請求項14記載の放射体温計。
  16. 筐体の開口部を、集光素子の焦点距離fと、前記筐体の開口部の半径rSと、前記集光素子の縁から光軸に対して前記集光素子の縁と同じ側の前記プローブの内壁に接するように引いた直線が前記プローブの先端の面と交叉する仮想先端点と光軸との距離rαと、前記仮想先端点と前記集光素子との距離Lαと、前記集光素子の半径r3を用いて、
    Figure 0004126792
    で表されるL3だけ前記集光素子の焦点よりも集光素子から遠くに設置したことを特徴とする請求項15記載の放射体温計。
  17. 集光素子が屈折レンズであることを特徴とする請求項1〜16記載の放射体温計。
  18. 集光素子が集光ミラーであることを特徴とする請求項1〜16記載の放射体温計。
  19. 集光ミラーは、前記集光ミラーに入射する第1の光軸と、前記集光ミラーから射出し筐体の開口部に入射する第2の光軸とを屈曲させる構成とした請求項18記載の放射体温計。
  20. 筐体は少なくとも内面を反射率の高い材料で構成した請求項1ないし19のいずれか1項記載の放射体温計。
  21. 筐体は金属で構成した請求項20記載の放射体温計。
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