JP4130966B2 - 養魚用餌料生物の自動培養・給餌システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、養魚用餌料生物であるワムシを培養・給餌するシステムであって、該養魚用餌料生物であるワムシの培養・給餌を一連的に自動実行するように構成した養魚用餌料生物の自動培養・給餌システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、水産業の種苗生産における魚類及び甲殻類等の初期餌料として、ワムシや浮遊珪藻類等の養魚用餌料生物が一般的に用いられている。このような種苗生産を行うためには養魚用餌料生物を安定的に入手することが不可欠であり、これらの養魚用餌料生物を安定的に得るため大量に培養する技術が考案されている。例えば、特公平4−75735号公報に示されている如くである。そして、養魚用餌料生物の培養システムは、培養生物用餌料の培養水槽への給餌、培養生物の培養、培養水槽からの培養生物の収穫、培養生物の移送・濃縮、培養水槽の洗浄、培養水槽への給水、及び、培養生物の養魚水槽への給餌等の多くの作業工程から構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、養魚用餌料生物の培養・給餌システムは多くの作業工程により構成されているが、殆どの作業が手作業により行われていたため、培養作業には多大な労力や人員が必要となり、種苗生産コストが増大する原因となっていた。そして、培養作業を手作業で行っているために、作業内容に個人差が生じたり、誤操作が発生したりして、培養状態がばらついて安定しなかった。また、培養作業の一部の工程では単独的に自動化されているものもあるが、一定条件での制御しかできなかったり、半自動的に制御されているのみであったので、省力化に対する効果は少なかった。
【0004】
特に、培養水槽は汚れがひどいため、洗浄作業を手作業にて行うと、重労働で過大な作業時間を要することとなる。また、高圧洗浄機を用いて洗浄した場合においても多くの洗浄時間を必要とし、洗浄力が不十分で、高圧で洗浄水を噴出させるため機材を破損する恐れがあった。また、培養水槽の加温・冷却装置や、給水・排水弁等の作動は、作業者が目視により確認した培養水槽の水位に応じて手動で行っていたので、作動操作に多くの時間を要したり、誤操作が発生したりしていた。また、培養生物の収穫は、培養水槽の底面に収穫口を設けて行っていたので、培養水槽を床から高い位置に設置する必要があり、該培養水槽の設置が中2階構造となって建築コストが上昇するとともに、作業者が培養水槽で作業を行う際の、床と培養水槽との間の移動が大変であった。
【0005】
また、濃縮工程においては、培養生物は通過せず、水分は通過可能な濃縮ネット内に、培養生物を含んだ培養液を連続的に供給して、濃縮ネット内の培養生物の密度を高めて濃縮していたが、培養生物が高密度化すると、濃縮ネット内は酸素不足となり、培養液を連続的に供給するだけでは培養生物に付着する汚れが充分に洗浄されずに、次の水槽へ移送され、次工程が汚染される恐れがある。さらに、培養生物は濃縮ネットごと、次工程へ移送する場合が多く、この場合は、濃縮ネットを人手で持ち運ぶことができる程度まで、濃縮ネット内の水分を抜くため、培養生物の密度が非常に高くなって培養液の粘性が高くなる。これにより、培養液中の酸素濃度が低下したり、培養生物に物理的ダメージが加わって、該培養生物の生存に支障をきたす。また、濃縮ネット内の培養生物をポンプ等で直接吸引して収穫すると、濃縮ネット内の水位の低下とともに培養生物が濃縮ネットの内壁に付着して該培養生物の生存に支障をきたすこととなる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
請求項1においては、少なくとも養魚用餌料生物であるワムシを培養する培養工程、培養した養魚用餌料生物であるワムシを濃縮する濃縮工程、各工程を構成する各水槽を洗浄する洗浄工程、及び、養魚水槽へ養魚用餌料生物であるワムシを給餌する給餌工程を、一連に自動実行すべく構成した養魚用餌料生物の自動培養・給餌システムにおいて、前記培養工程の培養水槽内のワムシ量の算出データに基づいて、該培養水槽内のワムシを後工程 である濃縮工程の濃縮洗浄水槽へ移送する際の培養液の移送量を決定する制御システムであって、該培養水槽に、圧力計により底面部分における水圧を検出する水位検出手段と、顕微鏡等の計測装置により計測された培養液の密度を計測する密度計測装置を配設し、該水位検出手段により検出した培養水槽の水位と、密度計測装置に形設した養魚用餌料生物の密度とにより、該培養水槽内に貯留されている養魚用餌料生物であるワムシの固体数である制御条件を検知し、該検知した制御条件に応じて、移送すべき培養液の量を算出すると共に、移送後の培養水槽の水位を算出し、ポンプを稼働して移送を開始し、該培養水槽の水位が算出された移送後の水位に達するとポンプの稼働を停止して移送作業を終了すべく、システムを自動制御するものである。
【0008】
請求項2においては、請求項1記載の養魚用餌料生物の自動培養・給餌システムにおいて、前記洗浄工程で、自動培養・給餌システムの各工程を構成する各水槽を洗浄する洗浄装置を設け、該洗浄装置は、少なくとも噴出される洗浄水の水圧により自己回転する洗浄ノズルと、該洗浄ノズルの回転軸に付設され、前記洗浄ノズルとともに回転する洗浄ブラシとを具備しており、該洗浄ブラシを、停止中は各水槽の壁面と接触せず、回転開始に伴い各水槽の壁面に接触し、回転中は各水槽の壁面との接触状態を保持するように構成したものである。
【0009】
請求項3においては、請求項1記載の養魚用餌料生物の自動培養・給餌システムにおいて、前記培養工程を構成する培養水槽から、濃縮工程を構成する濃縮水槽へ、養魚用餌料生物を移送するための移送手段を可逆ポンプにより構成し、該可逆ポンプにより、養魚用餌料生物を培養水槽から濃縮水槽へ移送する方向、及び、養魚用餌料生物を濃縮水槽から自動培養・給餌システムの各工程を構成する他の水槽へ移送する方向の両方向に移送可能としたものである。
【0010】
請求項4においては、請求項1記載の養魚用餌料生物の自動培養・給餌システムにおいて、前記濃縮工程において、養魚用餌料生物は通過せず汚物及び水は通過可能に構成した濃縮ネット内に、培養した養魚用餌料生物及び生物洗浄用水を連続的に供給するとともに、該濃縮ネット内へ培養した養魚用餌料生物及び生物洗浄用水が供給されると、該濃縮ネットの上端部に取り付けられた揺動アームが上下移動を開始し、これに伴って濃縮ネットが支持軸を中心にして揺動されることで、該養魚用餌料生物の濃縮と、養魚用餌料生物の洗浄と、養魚用餌料生物への酸素供給とを同時に行うものである。
【0011】
請求項5においては、請求項1記載の養魚用餌料生物の自動培養・給餌システムにおいて、前記自動培養・給餌システムに発生したトラブルを処理して、正常な自動制御状態へ復旧するための対応手段を複数組み込み、トラブルが発生した場合には、正常な自動制御状態に復旧するまで、複数の対応手段を順次実施するように構成したものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の養魚用餌料生物の自動培養・給餌システムのシステムフローを示す図、図2は同じく養魚用餌料生物の自動培養・給餌システムを示す全体平面図、図3は同じく養魚用餌料生物の自動培養・給餌システムの工程フローを示す図、図4は培養水槽を示す側面図、図5はワムシ栄養強化槽を示す側面図、図6は洗浄装置を示す側面図、図7は洗浄装置の端部洗浄ノズルを示す拡大図、図8は洗浄用水の端部洗浄ノズルからの噴出方向を示す平面図、図9は培養水槽及び培養作業を行うための各種配管を示す側面図、図10は濃縮洗浄槽を示す側面図、図11はワムシ移送ポンプによるワムシの移送状況を示す図、図12はトラブル発生時の対応手段によるシステムの復旧フローを示す図である。
【0013】
まず、養魚用餌料生物として、例えば、ワムシを培養して給餌するように構成した、本発明の養魚用餌料生物の、自動培養・給餌システムの概略構成ついて説明する。図1乃至図3において、ワムシの餌料となるクロレラが、濃縮クロレラ槽1内に濃縮して保管されている。複数設置された培養水槽2・2・・・内ではワムシが培養されており、前記濃縮クロレラ槽1内のクロレラがクロレラ給餌ポンプ1a・1a・・・によって各培養水槽2・2・・・内へ給餌されている。培養水槽2で高密度に培養されたワムシは、ワムシ移送ポンプ3a・3aにより、ワムシの濃縮作業を行う濃縮水槽と、ワムシの洗浄作業を行う洗浄水槽との両方の機能を有する濃縮洗浄水槽3・3へ移送され、該濃縮洗浄水槽3内で濃縮及び洗浄がなされる。濃縮洗浄水槽3にて濃縮・洗浄作業が終了したワムシは、ワムシ移送ポンプ3a・3aによりワムシ栄養強化水槽4・4へ移送され、該ワムシ栄養強化水槽4で濃縮クロレラや栄養を与えられて、栄養強化されながらさらに培養される。また、濃縮洗浄水槽3で濃縮・洗浄が行われたワムシの一部は、ワムシ移送ポンプ3aにより培養水槽2へ植え継がれ、該培養水槽2で再度培養される。ワムシ栄養強化水槽4にて栄養強化されたワムシは、ワムシ移送ポンプ3a・3aにより再び濃縮洗浄水槽3・3へ移送されて、濃縮・洗浄される。そして、濃縮・洗浄を終えたワムシは、ワムシ移送ポンプ3a・3aによりワムシ給餌用水槽5へ移送され、その後に該ワムシ給餌用水槽5から給餌用移送ポンプ5a・5aにより、各養魚水槽6・6・・・へ給餌される。
【0014】
また、ワムシが培養される前記培養水槽2の培養液中には、ワムシの死骸や排泄物等のゴミや汚れで構成されたフロックが浮遊するため、該培養水槽2内に綿等の繊維質の素材で弾性体に構成したフロック除去マット11を浸漬して、フロックを該フロック除去マット11に吸着させて除去するように構成している。そして、培養水槽2内のフロックを吸着して汚れたフロック除去マット11は、フロック除去マット洗浄機7で洗浄するようにしている。また、培養水槽2及びワムシ栄養強化水槽4には洗浄装置12を付設して、ワムシの培養終了後に該培養水槽2、及びワムシ栄養強化水槽4を洗浄するようにしている。そして、これらの作業工程、特に、ワムシの培養工程、濃縮工程、及び、培養水槽の洗浄工程は一連に自動実行するように制御盤10によって自動制御されており、制御条件の入力等の操作は該制御盤10で行う。尚、本自動培養・給餌システムにおいては、ワムシだけでなく、浮遊珪藻類等の他の養魚用餌料生物も同様に自動培養及び給餌することができる。
【0015】
ワムシを培養する前記培養水槽2には、図4に示すように、海水供給管23により加温海水を、上水供給管24により加温上水を供給可能とし、洗浄用水供給管25により洗浄装置12へ洗浄用水を供給しており、前記クロレラ給餌ポンプ1aによってクロレラ給餌管20を通じてクロレラが給餌される。また、酸素供給管21により濃縮酸素を供給するとともに、圧縮空気供給管22により圧縮空気を供給して、培養するワムシが高密度化しても酸素不足とならないようにしている。さらに、培養水槽2内には温度センサ14及びヒータ13を設けて、該培養水水槽2内の培養液の温度を、培養に適した温度で一定に保持するように構成している。
【0016】
また、ワムシの栄養強化を行う前記ワムシ栄養強化水槽4には、図5に示すように、海水供給管23により加温海水を、上水供給管24により加温上水を供給可能とし、洗浄用水供給管25により洗浄装置12へ洗浄用水を供給しており、クロレラ給餌管20を通じてクロレラを給餌し、栄養強化管28により栄養物を供給するようにしている。また、酸素供給管21により濃縮酸素を供給するとともに、圧縮空気供給管22により圧縮空気を供給して、栄養強化を行いながら培養するワムシが高密度化しても酸素不足とならないようにしている。さらに、培養水槽2内には温度センサ14、及び、内部に温水が循環する熱交換パイプ26を設けて、該培養水槽2内の培養液の温度を、培養に適した温度で一定に保持するように構成している。
【0017】
次に、培養水槽2及びワムシ栄養強化水槽4等の各水槽を洗浄するための洗浄装置12について説明する。図6、図7には、例えば培養水槽2に付設した洗浄装置12を示している。培養水槽2の上方に、洗浄水を供給するための洗浄水用管25が固設されており、該洗浄水用管25の下端には、回転ノズル台32が回転自在に支持されている。該回転ノズル台32の下面からは、複数の底面洗浄用ノズル39が略下方に向かって突出し、該底面洗浄用ノズル39から培養水槽2の底面2bに向けて洗浄用水を噴出するようにしている。また、回転ノズル台32から外側方向には、水平配管31・31が延出し、該水平配管31の外側端には、端部ノズル台33が固設されており、該端部ノズル台33からは外側下方に向かって端部洗浄ノズル34が突出して、該端部洗浄ノズル34から培養水槽2の側壁2aに向けて洗浄用水を噴出するようにしている。そして、洗浄水用管25、ノズル台32、水平配管31・31、端部ノズル台33、及び、後述のブラシ受台35は一体的に回転可能に構成されている。また、図8に示すように、該端部洗浄ノズル34から噴出される洗浄用水は、平面視において、端部ノズル台33が回転した場合に描く円状の回転軌跡30の一方向側へ噴出され、噴出される洗浄用水の反力により端部ノズル台33が回転するように構成している。
【0018】
また、前記回転ノズル台32からは水平配管31・31に沿って両外側方向へブラシ受台35を延出し、該ブラシ受台35の両端部には、フック38・38がそれぞれ固設されている。該フック38・38にはブラシ軸36の上端部が回動自在に係合され、該ブラシ軸36の下端部には、洗浄ブラシ37が回動自在に枢支されている。該洗浄ブラシ37は、洗浄水用管25の回転に伴って一体的に回転し、ブラシ軸36上端部を中心として、前記回転軌跡30の半径方向に回動自在に構成されている。また、洗浄ブラシ37は、回転していない状態においては培養水槽2の壁面2aと接しておらず、該洗浄ブラシ37が回転を開始すると、遠心力により半径方向外側へ回動して、壁面2aに接するように構成している。このように構成した洗浄装置12によって、培養中に培養水槽2へ付着した汚れを洗浄するのである。
【0019】
次に、以上のように構成した洗浄装置12により培養水槽2を洗浄する洗浄工程について説明する。培養水槽2の洗浄工程は自動実行されるように構成しており、自動培養・給餌システムが培養水槽2の洗浄モードになると、洗浄水が洗浄水用管25内を流れ出し、底面洗浄用ノズル39及び端部洗浄ノズル34から噴出する。底面洗浄用ノズル39からの洗浄水は培養水槽2の底面2bへ向かって噴出され、端部洗浄ノズル34からの洗浄水は培養水槽2の壁面2aへ向かって噴出されて、それぞれ培養水槽2の底面2b及び壁面2aの洗浄を行う。端部洗浄ノズル34からの洗浄水の噴出方向は、該端部洗浄ノズル34の反回転方向へ傾いているため、端部洗浄ノズル34から噴出する洗浄水の反作用により、該端部洗浄ノズル34、底面洗浄用ノズル39、及び、洗浄ブラシ37等が一体的に回転を開始する。回転開始前には洗浄ブラシ37は培養水槽2の壁面2aに接していないため、回転開始時には洗浄ブラシ37に壁面2aからの抵抗がかからず、スムーズに回転を開始する。
【0020】
端部洗浄ノズル34及び洗浄ブラシ37等が回転を開始すると、回転に伴い発生する遠心力によって該洗浄ブラシ37が外側へ移動して培養水槽2の壁面2aに接触する。そして、噴出された洗浄水により壁面2aに付着している汚れが軟化され、軟化された汚れを洗浄ブラシ37によって掻き落とすことで洗浄を行っている。この場合、特に汚れのひどい壁面2aは、端部洗浄ノズル34から噴出される洗浄水のみでは充分に洗浄することができず、洗浄ブラシ37による掻き落とし作用を加えることで、作業者が手作業で洗浄した場合と同等の洗浄効果を奏することが可能である。また、端部洗浄ノズル34及び洗浄ブラシ37等の回転速度は、端部洗浄ノズル34の傾斜角度を変化させることで調節でき、例えば、回転数が一分当たり20回転〜30回転となるように調節すると、洗浄効果が充分得られて、安定して回転させることができる。そして、洗浄が終了すると、底面洗浄用ノズル39及び端部洗浄ノズル34からの洗浄水の噴出が停止するとともに、端部洗浄ノズル34及び洗浄ブラシ37等が回転を停止し、該洗浄ブラシ37が培養水槽2の壁面2aから離れる。
【0021】
以上の如く構成した洗浄工程は自動的に実行されるように制御されており、作業者の手間を大きく減少することができる。例えば、作業者が人手により培養水槽2の洗浄をおこなった場合には、1水槽当たり1時間程度の作業時間を要する所が、本自動培養・給餌システムにより自動実行した場合には、15分程度の作業時間で洗浄作業を行うことが可能となる。また、前記洗浄装置12は、洗浄水が噴出される際の反力を利用して、端部洗浄ノズル34及び洗浄ブラシ37等を回転させているので、回転動力源が不要で、少量の洗浄水で洗浄することが可能となり、洗浄コストを低減できるとともに、洗浄装置12を簡単な構造に構成することができる。また、洗浄ブラシ37は、回転前には培養水槽2の壁面2aに接していないため初期起動力は小さくて済み、回転終了後も洗浄ブラシ37は壁面2aから離れるため、洗浄後には該洗浄ブラシ37の乾燥が適切に行われる。尚、この培養水槽2の洗浄工程は、ワムシ栄養強化水槽4の洗浄を行う場合の洗浄工程においても同様であり、前記ワムシ給餌用水槽5等の水槽の洗浄に適用することも可能である。
【0022】
次に、培養作業を行う培養水槽2、栄養強化作業を行うワムシ栄養強化水槽4、及び濃縮・洗浄作業を行う濃縮洗浄水槽3等の各水槽における作業の自動制御について説明する。まず、培養水槽2内における培養液の水位を検知するための構成について説明する。図9に示すように、培養水槽2内では、培養液を貯留してワムシを培養している。該培養水槽2内の底面2b部分には、圧力計取付配管41が側壁2aの外部から貫入し、該圧力計取付配管41の外側端部には、圧力計42を取り付けて、該圧力計42により培養水槽2の底面2b部分における培養液の水圧を検出するように構成している。また、培養水槽2には培養餌料生物の密度を計測する密度計測装置が配設されている。本自動培養・給餌システムの制御を行う前記制御盤10には演算装置が具備されており、該演算装置によって、圧力計42にて検出した水圧から容積を算定し、前記密度計測装置、又は、顕微鏡で計測した培養液の密度で乗することにより、培養水槽2内に貯留されている培養餌料生物の固体数を算出するように構成している。
【0023】
この場合、圧力計42が取り付けられている圧力計取付配管41は水平に配置して、圧力計42の感圧部に空気が溜まって水圧を正常に検出できなくなったり、圧力計取付配管41の圧力計42取付部側に培養液が溜まったままとなって充分な洗浄を行うことができなくなったりすることを防止している。また、培養液は海水である場合を考慮し、圧力計42は海水に対して耐蝕性を有する部材で構成している。また、培養水槽2下端部に連結した、移送用配管43内に圧力計42を取り付けることも可能であるが、該移送用配管43は、他の培養水槽2の移送用配管43等と連通しているため、他の移送用配管43内に培養液等の流れが生じると、検出される水圧が不安定となる場合があるため、本例においては、培養水槽2の底面2b部分に圧力計42を配置している。
【0024】
また、前記制御盤10へ、現在培養している培養生物であるワムシの密度を入力すると、顕微鏡等の計測装置により計測された培養液の密度と、前述の如く算出される培養液の水量とを合わせて、演算装置により演算がなされて、培養液中のワムシ量が算出されるように構成している。そして、算出されたワムシ量のデータに基づいて、ワムシの餌料となるクロレラの培養水槽2内への供給量を決定したり、培養水槽2内のワムシを濃縮洗浄水槽3へ移送する際の培養液の移送量を決定したりして、これらの作業を自動実行するように構成している。
【0025】
例えば、ワムシを培養後に濃縮洗浄水槽3へ移送する際には、前記圧力計42により検出した水圧により水位が算出される。そして、ワムシの密度、ワムシの移送量、及び、移送開始時間を制御盤10に入力すると、この入力データに基づいて移送するべく培養液の量が算出されるとともに、移送後の培養水槽2の水位が算出される。その後、ワムシ移送ポンプ3aが稼働して、培養液を移送用配管43を通じて培養水槽2から濃縮洗浄水槽3へ移送し、培養水槽2の水位が前述の如く算出された移送後の水位に達すると、該ワムシ移送ポンプ3aが停止して移送作業が終了する。また、培養水槽2へ濃縮クロレラ槽1から給餌する際には、前記圧力計42により検出した水圧により水位が算出される。そして、ワムシの密度、ワムシの移送量、及び移送開始時間を制御盤10に入力すると、この入力データに基づいて培養水槽2内のワムシの総数が算出されるとともに、このワムシ量に対して必要となるクロレラ量が算出され、クロレラ給餌ポンプ1aの稼働時間を決定する。その後、クロレラ給餌ポンプ1aが稼働してクロレラをクロレラ給餌管20から培養水槽2内へ給餌し、前述の如く決定して稼働時間が経過すると、クロレラ給餌ポンプ1aが停止して給餌作業が終了する。これら一連の移送作業や給餌作業は、制御盤10により制御されて自動的に実行される。
【0026】
このように、培養水槽2の培養液の水位を検出することで、ワムシの培養状況や培養水槽2へのクロレラの給餌条件を算出して検知することができるように構成しているが、これらの培養状況や給餌条件等に応じて、培養水槽2内へ圧縮空気を供給する圧縮空気供給管22の供給バルブ22a、培養液の液温を調整するヒータ13、培養水槽2へ加温海水を供給する海水供給管23の供給バルブ23a、培養水槽2へ加温上水を供給する上水供給管24の供給バルブ24a、洗浄装置12へ洗浄用水を供給する洗浄用水供給管25の供給バルブ25a、及び、培養水槽2内に貯留された水等を排水する排水バルブ43aが、適宜作動するよう制御盤10により自動制御している。即ち、培養水槽2における作業の制御条件は検出した培養液の水位に基づいて検知され、検知した制御条件に応じて作業が自動制御されているのである。尚、この培養水槽2における培養工程の自動制御は、ワムシ栄養強化水槽4や、ワムシ給餌用水槽5等の各水槽においても同様に適用することができる。
【0027】
ここで、従来の培養工程においては、作業者自らが、培養水槽の水位を目視にて確認して培養液の容積を算出し、培養液密度の計測結果に基づいて培養水槽内のワムシ量を試算していたため、これらの算出や試算に長時間を要し、算出データに誤差が発生することも多かった。従って、クロレラの培養水槽内への供給量やワムシの濃縮洗浄水槽への移送量を適切に決定することが困難であった。また、このように算出・決定した培養状況等に基づいて、培養液の水温調節や培養水槽2への給水や培養水槽2の洗浄等の作業を作業者自身が行っていたので、これらの周辺機器を誤操作する恐れがあった。
【0028】
しかし、本自動培養・給餌システムにおいては、前述の如く構成しているので、クロレラの培養水槽内への供給量や、ワムシの濃縮洗浄水槽への移送量を、適切に決定することができ、また、培養水槽内のワムシ量の算出や、クロレラの供給量及びワムシの移送量の決定を行う際に生じる、作業の待ち時間を大幅に短縮することが可能となる。また、培養状況等に基づいて行う、培養液の水温調節や培養水槽2への給水や培養水槽2の洗浄等の作業は制御盤10により自動制御されているので、人手がかからず、且つ、ばらつきが少なくて誤操作なく正確に実行することができる。例えば、従来の作業者自らが算出・決定を行うとともに、周辺機器の操作を行っていた場合に要していた待ち時間や作業時間は、計数作業を除いて五時間程度であったのが、本例のように自動化した場合には待ち時間及び作業時間を殆どゼロとすることが可能となる。
【0029】
次に、濃縮洗浄水槽3における、培養液の水位を検知するための構成、及び、濃縮洗浄水槽3における、濃縮・洗浄作業工程について説明する。図10に示すように、濃縮洗浄水槽3の内部には、養魚用餌料生物であるワムシは通過せず培養液や汚物等は通過可能に構成した濃縮ネット45を配設して二重構造としており、該濃縮ネット45内へ、培養水槽2で培養されたワムシが培養液とともにワムシ供給管47を通じて供給されると、同時に濃縮ネット45内のワムシを洗浄するための、精密濾過を行った加温海水が海水供給管23から供給される。濃縮ネット45内へワムシ及び加温海水が供給されると、該濃縮ネット45の上端部に取り付けられた揺動アーム46が上下移動を開始し、これに伴って濃縮ネット45が支持軸45aを中心にして揺動される。濃縮ネット45内に供給された培養液及び加温海水は、濃縮ネット45を通過して、濃縮洗浄水槽3のオーバーフロー管44から外部へ流出する。一方、ワムシは濃縮ネット45を通過しないので、該濃縮ネット45内にとどまり貯留されていき、濃縮ネット45内での密度が上昇して濃縮される。そして、濃縮ネット45内に供給された加温海水が外部へ流出していく過程で濃縮ネット45に貯留されているワムシが洗浄される。また、濃縮ネット45が揺動されることによりワムシの洗浄効果が向上されている。さらに、濃縮・洗浄作業中に、濃縮ネット45内へ加温海水を供給することにより、該海水中に溶存している酸素や大気中の空気が培養液中に供給されることとなるので、濃縮ネット45内のワムシが濃縮されて高密度になっても培養液が酸素不足に陥ることはない。
【0030】
このように、濃縮洗浄水槽3においてはワムシの濃縮・洗浄作業を行っているが、濃縮ネット45内のワムシが、該濃縮ネット45の目に詰まって培養液や加温海水が濃縮ネット45を通過しなくなる場合がある。この場合には、連続的に供給されている培養液及び加温海水は、濃縮ネット45内のワムシとともに該濃縮ネット45の上端から溢れでることとなるので、濃縮ネット45に目詰まりが発生した場合には培養液及び加温海水の供給を一時的に停止する必要がある。そこで、濃縮ネット45の上方に水位計48を配置して該濃縮ネット45内の水位を検出し、該水位が上昇してきた場合には、濃縮ネット45に目詰まりが発生したと判断して培養液及び加温海水の供給を停止するように構成している。そして、その後水位が低下すると、ワムシ供給管47からのワムシの供給及び海水供給管23からの加温海水の供給が再開され、濃縮・洗浄作業を継続するのである。この場合、前記水位計48は、超音波を水面へ発して水面までの距離を計測することで水位を検出する超音波式水位計に構成しているため、水面とは非接触であり、また、濃縮ネット45の上方に設置しているので、水面に泡が発生した場合でも感度を調節することで正確な水位を検出することが可能となっている。これにより、フロート式の水位計や棒状の水位計を用いて水位を検出した場合のように、該水位計に泡が付着して水位を誤検出したり、濃縮洗浄水槽3を洗浄する際に邪魔になったりすることを防止することができる。
【0031】
そして、濃縮洗浄水槽3での濃縮・洗浄作業が終了すると、濃縮ネット45内に海水供給管23から加温海水を供給し、濃縮ネット45内の高密度のワムシを希釈して流動性を高めながらワムシ移送ポンプ3aを稼働させて、餌料収穫管49により濃縮ネット45内のワムシを吸引して、ワムシ栄養強化水槽4や培養水槽2等の別の水槽へ移送し、次工程の作業を行うように構成している。
【0032】
以上の如く、濃縮洗浄水槽3で濃縮作業を行う際に、精密濾過を行った海水を濃縮洗浄水槽3内へ供給することにより、濃縮作業と同時にワムシを充分に洗浄することができ、次工程であるワムシ栄養強化水槽4での汚染や栄養強化不足を解消することができる。また、海水を連続的に供給することで、濃縮中の培養液には常に新鮮な酸素が供給されることとなり、濃縮されて高密度化したワムシが酸素不足に陥ることを防止することが可能となる。さらに、濃縮洗浄したワムシの次工程への移送も、海水を供給して濃度を希釈しながら行うため、移送中のワムシの酸素不足を解消するととももに、移送時にワムシが受ける物理的ダメージを減少させることができる。これにより、移送中に死亡するワムシの数が大幅に減少するため、収穫効率の向上を図ることができる。
【0033】
次に、前記ワムシ移送ポンプ3aについて説明する。ワムシ移送ポンプ3aは例えば、ホースポンプ等の容積形ポンプにより構成されており、移送方向を正・逆両方向に可能としている。図11に示すように、該ワムシ移送ポンプ3aは、培養水槽2と濃縮洗浄水槽3との間に介装され、ワムシ移送ポンプ3aと培養水槽2とは移送用配管43により連結され、ワムシ移送ポンプ3aに連結された餌料収穫管49が濃縮洗浄水槽3の濃縮ネット45内に挿入されている。ワムシ移送ポンプ3aと培養水槽2とを連結する移送用配管43の途中部からは移送用配管50が分岐して、他の水槽、例えば、ワムシ栄養強化水槽4まで延設されている。また、移送用配管43の培養水槽2との接続部と、移送用配管50への分岐部との間には、該移送用配管43を開閉する電動弁43bが介装され、移送用配管50の移送用配管43からの分岐部と、ワムシ栄養強化水槽4側の先端部との間には該移送用配管50を開閉する電動弁50aが介装されている。
【0034】
そして、培養水槽2から濃縮洗浄水槽3へワムシを移送する際には、移送用配管50の電動弁50aを閉じるとともに、移送用配管43の電動弁43bを開き、ワムシ移送ポンプ3aを、濃縮洗浄水槽3方向へ吐出を行うように駆動する。培養水槽2内のワムシを全て移送した後に、培養水槽2の上水供給管24から加温上水を該培養水槽2へ供給して、培養水槽2の壁面2aや底面2b、移送用配管43の内壁、及び、ワムシ移送ポンプ3a内部に付着したワムシを排出する。
【0035】
また、濃縮洗浄水槽3からワムシ栄養強化水槽4へワムシを移送する際には、移送用配管43の電動弁43bを閉じるとともに、移送用配管50の電動弁50aを開き、ワムシ移送ポンプ3aを前述の場合とは逆方向、即ち、ワムシ栄養強化水槽4方向へ吐出を行うように駆動する。餌料収穫管49及び移送用配管50を通じて、濃縮洗浄水槽3内のワムシを全て移送した後に、濃縮洗浄水槽3の上水供給管24から、加温上水を該濃縮洗浄水槽3へ供給して、濃縮洗浄水槽3内、該餌料収穫管49内、移送用配管50内、及び、ワムシ移送ポンプ3a内部に付着したワムシを洗い流して、その後ワムシ移送ポンプ3aを停止する。これにより、培養水槽2内のワムシを無駄なくワムシ栄養強化水槽4へ移送することを可能としている。そして、これらの移送作業やワムシ移送ポンプ3aの駆動方向の切り換え作業は、全て制御盤10により自動制御されている。
【0036】
このように、培養水槽2から濃縮洗浄水槽3へのワムシの移送工程と、濃縮洗浄水槽3から本自動培養・給餌システムを構成する他の水槽である、ワムシ栄養強化水槽4へのワムシの移送工程とで、ワムシ移送ポンプ3aの駆動方向を逆転して移送を行うように構成している。これにより、両移送工程において使用するワムシ移送ポンプ3aと、配管の一部である餌料収穫管49とを、共通で使用することが可能となり、本自動培養・給餌システムにおける設備投資額の低減、設置スペースの縮小・有効利用、及び、設備のメンテナンス性向上を図ることが可能となる。また、ワムシ移送ポンプ3aは、容積形ポンプにより構成されているので、移送途中にワムシに物理的・生物的なダメージを与えることが少なく、ワムシを効率良く移送することができる。尚、濃縮洗浄水槽3からの移送先の水槽は、ワムシ栄養強化水槽4だけでなく、ワムシ給餌用水槽5や培養水槽2であってもよい。
【0037】
以上の如く、本自動培養・給餌システムにおいては、培養水槽2における培養工程から、培養したワムシを養魚水槽6へ給餌する給餌工程までの各種作業工程、特に、培養水槽2における培養工程、培養水槽2を洗浄する洗浄工程、及び、濃縮洗浄水槽3における濃縮・洗浄工程を、一連的に自動実行するように制御しているので、作業者が行う手作業に要する作業時間を大幅に削減することができる。例えば、従来であれば、14時間の作業時間を手作業に要していたのが、2.5時間に短縮することが可能となる。また、手作業を自動化することにより、各作業のばらつきを低減して均一化することが可能となり、ワムシを安定して培養・給餌することが可能となる。
【0038】
しかし、ワムシ等の養魚用餌料生物の培養・給餌システムを自動制御している最中に該システムに万が一トラブルが発生した場合、トラブルが長く続くと培養生物の生存にかかわるため、迅速且つ確実にトラブルを処理してシステムを正常な自動制御状態に復旧させる必要がある。そこで、本自動培養・給餌システムにおいては、発生したトラブルを処理して正常な自動制御運転状態へ復旧するための対応手段を複数組み込み、トラブルが発生した場合には、正常な自動制御状態に復旧するまで複数の対応手段を順次実施して、トラブルを迅速且つ確実に処理するようにしている。該対応手段は、トラブル発生工程の自動制御運転状態を保持しながら自動培養・給餌システムが自ら復旧する手段、トラブル発生工程を手動作業に切り換えて自動培養・給餌システムが自ら復旧した後自動制御運転を再開する手段、トラブル発生工程を手動作業に切り換えて外部からの強制復旧指令により復旧した後自動制御運転を再開する手段、及びトラブル発生工程が存在するライン全体の自動制御運転を中止し、別ラインにより継続して培養を行う手段にて構成している。
【0039】
図12により、これらの対応手段を順次実施する場合のフローを説明する。まず、システムにハード的なトラブルが発生(S11)すると、制御盤10に通報され警報が発せられ(S12)、該制御盤10にトラブルが発生した場所及び対処方法の指示が表示される(S13)。その後、トラブル発生工程の自動制御状態を保持しながらシステムが自らトラブルを処理して復旧する(S14)。これでトラブルが解消されるとシステムは正常な自動制御運転に戻るが、トラブルが解消しない場合は、トラブルが発生している工程を自動制御運転状態から手作業状態に切り換えて(S21)、システムが自らトラブルを処理して復旧する(S22)。これでトラブルが解消されるとシステムは正常な自動制御運転に戻るが、トラブルが解消しない場合は、トラブル発生工程を手動作業に切り換えた状態を維持しながら、電話回線等の通信手段によりシステムを外部と接続し、外部からのメンテナンスがなされるように依頼する(S31)。その後、外部から遠隔操作でメンテナンスを行い、強制復旧指令を出してトラブルを処理し、復旧した後自動実行を再開する(S32)。これでトラブルが解消されるとシステムは正常な自動制御運転に戻るが、トラブルが解消しない場合は、さらに、トラブル発生工程が存在するライン全体の自動制御運転を中止し(S41)、別ラインの設備を使用して手動で培養を継続する(S42)。そして、培養が終了(S43)した後に、システムを復旧を行う(S44)。これでトラブルが解消されるとシステムは正常な自動制御運転に戻るが、トラブルが解消しない場合は、トラブル発生工程が存在するラインは休止させて、他のラインで生産を行い(S51)、その間にシステムの復旧を行う(S44)。以降、システムが復旧して正常な自動制御運転に戻るまで、他のラインで生産を行いながらシステムの復旧を継続する。
【0040】
このように、発生したトラブルを処理して正常な自動制御運転状態へ復旧するための対応手段を複数用意して、正常な自動制御運転状態に復旧するまでこれらの対応手段を順次実施することで、対応手段の実施を進めていくに従って復旧する確率が高まっていくので、早期にトラブルを解消して正常運転状態に復旧することができる。従って、システムにハード的なトラブルが生じた場合でも、ワムシ等の培養生物の被害を最少限にとどめることが可能となる。また、トラブル場所や対処方法の指示等の表示は、制御盤10にタッチパネル式で表示されるので、その後の操作が対話型操作となり、操作が簡単で理解し易くなっている。
【0041】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
請求項1記載の如く、少なくとも養魚用餌料生物であるワムシを培養する培養工程、培養した養魚用餌料生物であるワムシを濃縮する濃縮工程、各工程を構成する各水槽を洗浄する洗浄工程、及び、養魚水槽へ養魚用餌料生物であるワムシを給餌する給餌工程を、一連に自動実行すべく構成した養魚用餌料生物の自動培養・給餌システムにおいて、前記培養工程の培養水槽内のワムシ量の算出データに基づいて、該培養水槽内のワムシを後工程である濃縮工程の濃縮洗浄水槽へ移送する際の培養液の移送量を決定する制御システムであって、該培養水槽に、圧力計により底面部分における水圧を検出する水位検出手段と、 顕微鏡等の計測装置により計測された培養液の密度を計測する密度計測装置を配設し、該水位検出手段により検出した培養水槽の水位と、密度計測装置に形設した養魚用餌料生物の密度とにより、該培養水槽内に貯留されている養魚用餌料生物であるワムシの固体数である制御条件を検知し、該検知した制御条件に応じて、移送すべき培養液の量を算出すると共に、移送後の培養水槽の水位を算出し、ポンプを稼働して移送を開始し、該培養水槽の水位が算出された移送後の水位に達するとポンプの稼働を停止して移送作業を終了すべく、システムを自動制御するので、少なくとも養魚用餌料生物を培養する培養工程、培養した養魚用餌料生物を濃縮する濃縮工程、各工程を構成する各水槽を洗浄する洗浄工程、及び、養魚水槽へ養魚用餌料生物を給餌する給餌工程を、一連に自動実行することにより、作業者が行う手作業に要する作業時間を大幅に削減することができた。例えば、従来であれば、14時間の作業時間を手作業に要していたのが、2.5時間に短縮することが可能となる。
また、手作業を自動化することにより、各作業のばらつきを低減して均一化することが可能となり、ワムシを安定して培養・給餌することができた。
【0043】
さらに、該自動培養・給餌システムの各工程を構成する各水槽に水位検出手段と、養魚用餌料生物の密度を計測する密度計測装置を配設し、該水位検出手段により検出した各水槽の水位と、密度計測装置に形設した養魚用餌料生物の密度とにより、該各水槽内に貯留されている養魚用餌料生物の固体数である制御条件を検知し、検知した制御条件に応じてシステムを自動制御するので、培養生物用餌料の培養水槽内への供給量や、培養生物の濃縮洗浄水槽への移送量等を適切に決定することができ、また、各水槽内の培養生物量の算出や、培養生物用餌料の供給量及び培養生物の移送量の決定を行う際に生じる、作業の待ち時間を大幅に短縮することが可能となる。
また、水温調節や水槽への給水や水槽の洗浄等の水槽における各種作業に人手がかからず、且つ、誤操作なく正確に実行することができる。
例えば、従来の作業者自らが算出・決定を行うとともに、周辺機器の操作を行っていた場合に要していた待ち時間や作業時間は、計数作業を除いて5時間程度であったのが、自動制御した場合には待ち時間及び作業時間を殆どゼロとすることが可能となった。
【0042】
請求項2記載の如く、前記洗浄工程において、自動培養・給餌システムの各工程を構成する各水槽を洗浄する洗浄装置は、少なくとも噴出される洗浄水の水圧により自己回転する洗浄ノズルと、該洗浄ノズルの回転軸に付設され、前記洗浄ノズルとともに回転する洗浄ブラシとを具備しており、該洗浄ブラシを、停止中は各水槽の壁面と接触せず、回転開始に伴い各水槽の壁面に接触し、回転中は各水槽の壁面との接触状態を保持するように構成したことにより、水槽の洗浄工程を自動化できて、作業者の手間を大幅に減少することができた。例えば、作業者が人手により培養水槽の洗浄をおこなった場合には、1水槽当たり1時間程度の作業時間を要する所が、自動化した場合には、15分程度の作業時間で洗浄作業を行うことが可能となる。
また、洗浄装置は、洗浄水が噴出される際の反力を利用して洗浄ノズル及びブラシ等を回転させているので、回転動力源が不要で、少量の洗浄水で洗浄することが可能となり、洗浄コストを低減できるとともに、洗浄装置を簡単な構造に構成することができた。
また、洗浄ブラシは、回転前には培養水槽の壁面に接していないため初期起動力は小さくて済み、回転終了後も洗浄ブラシは壁面から離れるため、洗浄後には該洗浄ブラシの乾燥が適切に行われることとなる。
【0044】
請求項3記載の如く、前記養魚用餌料生物の自動培養・給餌システムにおいて、培養工程を構成する培養水槽から濃縮工程を構成する濃縮水槽へ、養魚用餌料生物を移送するための移送手段を可逆ポンプにより構成し、該可逆ポンプにより、養魚用餌料生物を培養水槽から濃縮水槽へ移送する方向、及び、養魚用餌料生物を濃縮水槽から自動培養・給餌システムの各工程を構成する他の水槽へ移送する方向の両方向に移送可能としたことにより、移送方向の切り換えの制御をして、複数方向へ養魚用餌料生物を移送する際に、可逆ポンプや配管の一部を共通で使用することが可能となる。
これにより、設備投資額の低減、設置スペースの縮小・有効利用、及び、設備のメンテナンス性向上を図ることが可能となった。
【0045】
請求項4記載の如く、前記濃縮工程において、養魚用餌料生物は通過せず汚物及び水は通過可能に構成した濃縮ネット内に、培養した養魚用餌料生物及び生物洗浄用水を連続的に供給するとともに、該濃縮ネット内へ培養した養魚用餌料生物及び生物洗浄用水が供給されると、該濃縮ネットの上端部に取り付けられた揺動アームが上下移動を開始し、これに伴って濃縮ネットが支持軸を中心にして揺動されることで、該養魚用餌料生物の濃縮と、養魚用餌料生物の洗浄と、養魚用餌料生物への酸素供給とを同時に行うので、濃縮作業と同時にワムシを充分に洗浄することができ、次工程である栄養強化水槽での汚染や栄養強化不足を解消することができる。
また、海水を連続的に供給することで、濃縮中の培養液には常に新鮮な酸素が供給されることとなり、濃縮されて高密度化したワムシが酸素不足に陥ることを防止することが可能となる。
さらに、移送中のワムシの酸素不足を解消するととももに、移送時にワムシが受ける物理的ダメージを減少させることができ、移送中に死亡するワムシの数が大幅に減少するため、収穫効率の向上を図ることができる。
【0046】
請求項5記載の如く、養魚用餌料生物の自動培養・給餌システムに、該自動培養・給餌システムに発生したトラブルを処理して正常な自動制御状態へ復旧するための対応手段を複数組み込み、トラブルが発生した場合には、正常な自動制御状態に復旧するまで複数の対応手段を順次実施するように構成したことにより、対応手段の実施を順次進めていくに従って復旧する確率が高まっていき、早期にトラブルを解消して正常運転状態に復旧することができる。
従って、システムにハード的なトラブルが生じた場合でも、ワムシ等の培養生物の被害を最少限にとどめることが可能となる。
また、トラブル発生時の操作が理解し易くなり、簡単な操作でトラブルに対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の養魚用餌料生物の自動培養・給餌システムのシステムフローを示す図である。
【図2】 同じく養魚用餌料生物の自動培養・給餌システムを示す全体平面図である。
【図3】 同じく養魚用餌料生物の自動培養・給餌システムの工程フローを示す図である。
【図4】 培養水槽を示す側面図である。
【図5】 ワムシ栄養強化槽を示す側面図である。
【図6】 洗浄装置を示す側面図である。
【図7】 洗浄装置の端部洗浄ノズルを示す拡大図である。
【図8】 洗浄用水の端部洗浄ノズルからの噴出方向を示す平面図である。
【図9】 培養水槽及び培養作業を行うための各種配管を示す側面図である。
【図10】 濃縮洗浄槽を示す側面図である。
【図11】 ワムシ移送ポンプによるワムシの移送状況を示す図である。
【図12】 トラブル発生時の対応手段によるシステムの復旧フローを示す図である。
【符号の説明】
1 濃縮クロレラ槽
1a クロレラ給餌ポンプ
2 培養水槽
2a 壁面
2b 底面
3 濃縮洗浄水槽
3a ワムシ移送ポンプ(可逆ポンプ)
4 ワムシ栄養強化水槽
5 給餌用水槽
6 養魚水槽
10 制御盤
11 フロック除去マット
12 洗浄装置
23 海水供給管
25 洗浄用水供給管
34 端部洗浄ノズル
37 洗浄ブラシ
42 圧力計(水位検出手段)
45 濃縮ネット
48 水位計(水位検出手段)
49 餌料収穫管
Claims (5)
- 少なくとも養魚用餌料生物であるワムシを培養する培養工程、培養した養魚用餌料生物であるワムシを濃縮する濃縮工程、各工程を構成する各水槽を洗浄する洗浄工程、及び、養魚水槽へ養魚用餌料生物であるワムシを給餌する給餌工程を、一連に自動実行すべく構成した養魚用餌料生物の自動培養・給餌システムにおいて、前記培養工程の培養水槽内のワムシ量の算出データに基づいて、該培養水槽内のワムシを後工程である濃縮工程の濃縮洗浄水槽へ移送する際の培養液の移送量を決定する制御システムであって、該培養水槽に、圧力計により底面部分における水圧を検出する水位検出手段と、顕微鏡等の計測装置により計測された培養液の密度を計測する密度計測装置を配設し、該水位検出手段により検出した培養水槽の水位と、密度計測装置に形設した養魚用餌料生物の密度とにより、該培養水槽内に貯留されている養魚用餌料生物であるワムシの固体数である制御条件を検知し、該検知した制御条件に応じて、移送すべき培養液の量を算出すると共に、移送後の培養水槽の水位を算出し、ポンプを稼働して移送を開始し、該培養水槽の水位が算出された移送後の水位に達するとポンプの稼働を停止して移送作業を終了すべく、システムを自動制御することを特徴とする養魚用餌料生物の自動培養・給餌システム。
- 請求項1記載の養魚用餌料生物の自動培養・給餌システムにおいて、前記洗浄工程で、自動培養・給餌システムの各工程を構成する各水槽を洗浄する洗浄装置を設け、該洗浄装置は少なくとも噴出される洗浄水の水圧により自己回転する洗浄ノズルと、該洗浄ノズルの回転軸に付設され、前記洗浄ノズルとともに回転する洗浄ブラシとを具備しており、該洗浄ブラシを、停止中は各水槽の壁面と接触せず、回転開始に伴い各水槽の壁面に接触し、回転中は各水槽の壁面との接触状態を保持するように構成したことを特徴とする養魚用餌料生物の自動培養・給餌システム。
- 請求項1記載の養魚用餌料生物の自動培養・給餌システムにおいて、前記培養工程を構成する培養水槽から、濃縮工程を構成する濃縮水槽へ、養魚用餌料生物を移送するための移送手段を可逆ポンプにより構成し、該可逆ポンプにより、養魚用餌料生物を培養水槽から濃縮水槽へ移送する方向、及び、養魚用餌料生物を濃縮水槽から自動培養・給餌システムの各工程を構成する他の水槽へ移送する方向の両方向に移送可能としたことを特徴とする養魚用餌料生物の自動培養・給餌システム。
- 請求項1記載の養魚用餌料生物の自動培養・給餌システムにおいて、前記濃縮工程において、養魚用餌料生物は通過せず汚物及び水は通過可能に構成した濃縮ネット内に、培養した養魚用餌料生物及び生物洗浄用水を連続的に供給するとともに、該濃縮ネット内へ培養した養魚用餌料生物及び生物洗浄用水が供給されると、該濃縮ネットの上端部に取り付けられた揺動アームが上下移動を開始し、これに伴って濃縮ネットが支持軸を中心にして揺動されることで、該養魚用餌料生物の濃縮と、養魚用餌料生物の洗浄と、養魚用餌料生物への酸素供給とを同時に行うことを特徴とする養魚用餌料生物の自動培養・給餌システム。
- 請求項1記載の養魚用餌料生物の自動培養・給餌システムにおいて、前記自動培養・給餌システムに発生したトラブルを処理して、正常な自動制御状態へ復旧するための対応手段を複数組み込み、トラブルが発生した場合には、正常な自動制御状態に復旧するまで、複数の対応手段を順次実施するように構成したことを特徴とする養魚用餌料生物の自動培養・給餌システム。
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