JP4134413B2 - ディーゼルエンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの気筒内燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射弁を備えたいわゆる直噴式ディーゼルエンジンに関し、特にそのエンジンの低温始動性を向上させるための燃料噴射制御に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、内燃機関の始動性は外気温度が低下すると悪化することが知られている。これは、例えば自動車用ディーゼルエンジンの場合、1)外気温度が低いとバッテリ電圧が低下するので、スタータモータの出力が十分でなくなり、2)エンジンオイルの粘度も高くなるので、クランキングに対する抵抗も大きくなり、そのため、エンジン回転数をなかなか高めることができないという理由や、3)低温状態では燃料の気化霧化状態が悪くなり、しかも、燃焼室や吸気そのものの温度が低いことから気筒の圧縮温度があまり高くならないので、燃料が自己着火し難くなるという理由によるものである。
【0003】
このような低温時の始動性悪化に対して、従来より、例えば特開平6−117316号公報に開示されるもののように、低温始動時に通常の燃料噴射(メイン噴射)に加えて、追加の燃料噴射(プレ噴射)を行うようにすることが知られている。このものでは、メイン噴射に加えてプレ噴射を行うことで燃料の総量を増加させ、燃料の気化霧化状態が悪い低温時でも着火のために十分な量の混合気が得られるようにしている。また、前記プレ噴射をメイン噴射よりも早期に行うことで、そのプレ噴射により混合気の活性度が高まり、火種が早期に生成されるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、外気温度が極めて低い極寒状態においては、クランキング開始直後の気筒の圧縮温度が燃料の自己着火温度(例えば600°Cくらい)に達しないことがあり、このような場合には、前記従来例のように燃料噴射量を増量してもその燃料が自己着火しないので、始動性は向上しない。この増量された燃料は、クランキングによって燃焼室の温度状態が高くなるまでの間は何らエンジン始動に寄与せず、未燃状態で大気中に排出されることになり、無駄になる燃料が多いだけでなく、環境保護の観点からも好ましくない。
【0005】
しかも、そのように無駄になる燃料噴射のために燃料供給ポンプを駆動しているので、その余計な負荷がスタータモータの駆動力を消費する結果、エンジン回転数がなかなか高くならず、そのことによってエンジンの低温始動性がさらに悪化するという不具合もある。
【0006】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ディーゼルエンジンの始動時の燃料噴射手順に工夫を凝らすことで、エンジンの低温始動性を向上させ、併せて、低温始動時における未燃燃料の排出をも抑制することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の解決手段では、エンジン始動時のクランキング中に、燃料が自己着火できる状態になったことを判別し、その上で初めて、始動のための燃料噴射を行うようにした。
【0008】
具体的に、請求項1記載の発明は、図1に例示するように、エンジン1の気筒内燃焼室4に燃料を噴射する燃料噴射弁5と、エンジン1により機械的に駆動されて、前記燃料噴射弁5に対し高圧の燃料を供給する燃料供給ポンプ8と、エンジン始動時のクランキング中に、前記燃料噴射弁5により燃料を噴射させる始動噴射制御手段40bとを備えたディーゼルエンジンの制御装置Aを前提とする。そして、前記燃料噴射弁5により噴射された燃料が自己着火する着火可能状態であることを判別する着火判別手段40aを設け、前記始動噴射制御手段40bは、前記着火判別手段40aにより着火可能状態であると判別されるまでは、その判別のために始動噴射量よりも少量の着火判別用燃料を気筒の圧縮行程で噴射させ、着火可能状態であると判別されたとき、エンジン1の始動に必要な始動噴射量の燃料を噴射させる構成とする。また、前記着火判別手段40aは、クランキング中にエンジン回転数が予め設定した基準回転数を超えたとき、前記着火判別用燃料が自己着火したことを検出して着火可能状態であると判別するように構成し、その基準回転数は、エンジンの温度状態が低いほど低回転になるように設定する。
【0009】
前記の構成により、エンジン1の始動時には、着火判別手段40aにより着火可能状態であることが判別されたときに初めて、エンジン1の始動に必要な始動噴射量の燃料が燃料噴射弁5により噴射されて、その燃料が自己着火することにより、エンジン1が運転状態になる。すなわち、例えばエンジン1の低温始動時において、前記着火判別手段40aにより着火可能状態であると判別されるまで、燃料噴射量を前記始動噴射量よりも減らすようにすれば、そのことによって燃料供給ポンプ8の駆動負荷が減少するので、従来例の如く最初から始動噴射量の燃料を噴射させるようにしたものに比べて、クランキング時のエンジン回転数を早く高めることができ、このことで、エンジン1の低温始動性を向上できる。また、未燃状態で大気中に排出される燃料も減少する。
【0010】
しかも、噴射された着火判別用燃料が実際に自己着火したことに基づいて、着火可能状態を確実に判定できるし、噴射された着火判別用燃料によりピストンと気筒内壁との間のシール性が高められるので、気筒の圧縮温度が高まり、そのことによってもエンジンの始動性を向上できる。
【0011】
特に前記の構成では、着火判別用燃料が自己着火し、その燃焼によりクランク軸に回転力が作用して、クランキング中のエンジンの回転数が高まり、予め設定した基準回転数を超えたときに、燃料が自己着火したことを検出するようにしており、その基準回転数を、 エンジンの温度状態が低いほど低回転になるように設定している。
【0012】
すなわち、一般に、クランキング中のエンジン回転数は、エンジンの温度状態によって変化するので、その変化に対応するように、自己着火の検出のための基準回転数をエンジンの温度状態が低いほど低回転に設定することで、検出の精度を高めることができる。
【0013】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明における着火判別用燃料の噴射量は、燃料噴射弁の実質的な最小開弁時間に対応するものとする。ここで、燃料噴射弁の実質的な最小開弁時間とは、燃料噴霧の微粒化が著しく損なわれることのない範囲での最小の開弁時間のことであり、こうすることで、燃料噴霧の微粒化を著しく損なうことなく、着火判別のための燃料噴射量を可及的に少なくできる。よって、燃料供給ポンプの駆動負荷や未燃状態の燃料の排出を最小に抑えることができる。
【0014】
請求項3記載の発明では、請求項1記載の発明における着火判別用燃料の噴射量は、始動噴射量の1/10以下とする。このことで、着火判別用燃料の噴射量が具体化される。
【0015】
請求項4記載の発明では、請求項1記載の発明における着火判別用燃料の噴射量は、エンジンが実用運転領域にあるときの最小の燃料噴射量と同じとする。すなわち、着火判別用燃料の噴射量が少な過ぎる場合には、実際には着火可能状態であるにも拘わらずその燃料が自己着火しないこともあり得るが、前記のようにエンジンが実用運転領域にあるときの最小の燃料噴射量と同じ量の燃料を噴射するようにすれば、着火可能状態であることの判別を確実に行うことができる。つまり、着火判別の信頼性を安定確保しながら、燃料供給ポンプの駆動負荷や未燃燃料の排出を減らすことができる。
【0016】
請求項5記載の発明では、請求項4記載の発明の実用運転領域における最小の燃料噴射量とは、アイドル状態を除く低負荷低回転運転領域における最小の燃料噴射量とする。このことで、着火判別用燃料の噴射量が具体化される。
【0017】
請求項6記載の発明では、請求項1記載の発明において、クランキングの開始から設定期間が経過するまでの間、燃料噴射弁による燃料の噴射を禁止する噴射禁止手段を設け、始動噴射制御手段は、前記設定期間の経過後に着火判別用燃料の噴射を開始する構成とする。前記設定期間は、例えばスタータモータが運転開始してからエンジンのクランク軸が所定数回転するまでの期間とすればよく、或いは、スタータモータが運転開始してから所定時間が経過するまでとしてもよい。
【0018】
そのように、クランキング開始直後のクランキング抵抗が特に大きい期間だけ燃料の噴射を禁止して、燃料供給ポンプの駆動負荷をできるだけ少なくすることで、エンジンの低温始動性をさらに向上できる。
【0019】
請求項7記載の発明では、請求項1記載の発明における始動噴射制御手段は、着火判別手段により着火可能状態であることが判別されたとき、直ちに着火判別のための燃料噴射を終了させる構成とする。このことで、燃料が自己着火する状態になれば、直ちに着火判別用燃料の噴射を終了させて、燃料噴射弁により始動噴射量の燃量を噴射させることで、エンジンの始動を速やかに完了できる。
【0020】
請求項8記載の発明では、請求項1記載の発明における着火判別用燃料の噴射の時期をエンジン始動のための燃料噴射よりも早期に設定し、始動噴射制御手段は、着火判別手段により着火可能状態であると判別されたとき、前記着火判別用燃料の噴射とエンジン始動のための燃料噴射との両方を少なくとも1回、行う構成とする。
【0021】
このことで、燃料が自己着火しない状態から着火可能状態へと移行した直後は、燃料噴射弁による始動噴射量の燃料噴射よりも早期に少なくとも1回、少量の着火判別用燃料を噴射し、その燃料を十分に気化霧化させて火種の形成を促すことで、万一の失火を回避することができる。
【0022】
請求項9記載の発明では、請求項1記載の発明におけるエンジンは複数の気筒を有し、着火判別手段は、前記各気筒毎に着火可能状態であることを判別する構成とし、始動噴射制御手段は、前記着火判別手段による判別結果に応じて各気筒毎に燃料噴射弁の制御を行う構成とする。
【0023】
すなわち、一般に、複数の気筒を有するエンジンでは、各気筒毎に温度状態や吸入空気量が微妙に異なるので、各気筒毎に着火可能状態であることを判別して、その判別結果に応じて各気筒毎に燃料噴射弁の制御を行うことにより、請求項1記載の発明による作用効果を十分に得ることができる。
【0024】
請求項10記載の発明では、請求項1記載の発明におけるエンジンは複数の気筒を有し、着火判別手段は、前記各気筒毎に着火可能状態であることを判別する構成とし、始動噴射制御手段は、前記着火判別手段によりいずれか1つの気筒について、着火可能状態であると判別されたとき、該気筒の次に燃料噴射を行う気筒からエンジン始動のための燃料噴射を開始させる構成とする。
【0025】
このことで、複数の気筒を有するエンジンでは各気筒毎に温度状態や吸入空気量が微妙に異なるものの、そのうちのいずれか1つの気筒で着火可能状態になれば、それ以外の気筒でも着火可能状態になっている可能性が高いので、いずれか1つの気筒について着火可能状態であると判別されたときには、該気筒の次に燃料噴射を行う気筒から始動噴射量の燃料を噴射させることで、エンジンの始動を最短時間で完了することができる。
【0026】
請求項11記載の発明では、請求項10記載の発明における着火判別用燃料の噴射時期をエンジン始動のための燃料噴射よりも早期に設定し、始動噴射制御手段は、着火判別手段により着火可能状態であると判別されたとき、前記着火判別用燃料の噴射とエンジン始動のための燃料噴射との両方を少なくとも1回、行う構成とする。
【0027】
このことで、エンジンの複数の気筒のうち、いずれか1つの気筒で着火可能状態になり、該気筒の次に燃料噴射を行う気筒から始動噴射量の燃料を噴射させるときには、前記の着火可能状態になった気筒以外では失火の可能性がやや高いとも考えられるので、始動噴射量の燃料噴射よりも早期に少なくとも1回、少量の着火判別用燃料を噴射して失火を回避できることは、特に有効な作用を奏する。
【0028】
請求項12記載の発明では、請求項1記載の発明において、エンジンの吸気系に排気の一部を還流させる排気還流手段と、着火判別手段により着火可能状態であると判別されるまで、排気の還流量が零になるように前記排気還流手段を制御する排気還流制御手段とを設ける構成とする。
【0029】
このことで、エンジンの低温始動時には、通常、燃焼が開始されるまで、排気温度が吸気温度よりも低くなるので、着火可能状態と判別されるまでは排気の還流量を零にして、冷たい排気による吸気温度の低下を防止できる。
【0030】
請求項13記載の発明では、請求項1記載の発明において、燃料を噴射圧以上の高圧状態で蓄える蓄圧室が燃料供給ポンプと燃料噴射弁との間に介設されたコモンレール式燃料噴射系を備えているものとする。このものでは、大容積の蓄圧室に燃料を高圧状態で蓄える必要があるので、エンジン始動時の燃料供給ポンプの駆動負荷は特に大きい。従って、請求項1記載の発明の如くクランキング中に燃料供給ポンプの駆動負荷を減らしてエンジンの低温始動性を向上できることが、特に有効な作用効果を奏する。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0032】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係るディーゼルエンジンの制御装置Aの全体構成を示し、1は車両に搭載される直列4気筒ディーゼルエンジンである。このエンジン1は4つの気筒2,2,2,2を有し、その各気筒2内には軸線方向に往復動可能にピストン(図示せず)嵌装されていて、このピストンにより各気筒2内に燃焼室4が区画されている。また、その各燃焼室4の上面略中央部には、図には誇張して示すが、気筒2の軸線に沿って延びるようにインジェクタ(燃料噴射弁)5が配設されている。これらのインジェクタ5,5,…は、燃料を噴射圧以上の高圧状態で蓄える共通のコモンレール(蓄圧室)6に接続されており、各気筒毎に所定の噴射タイミングになると開閉作動されて、それぞれ先端部に設けられている複数の噴孔から高圧の燃料を燃焼室4に直接、噴射供給するようになっている。
【0033】
前記コモンレール6には、内部の燃圧(コモンレール圧)を検出する燃料圧力センサ6aが付設されている。また、コモンレール6は高圧燃料通路7を介して燃料供給ポンプ8に接続され、その燃料供給ポンプ8は燃料通路9を介して燃料タンク10に接続されている。この燃料供給ポンプ8は、入力軸8aがエンジン1のクランク軸に駆動連結されていて、そのクランク軸からの回転入力を受け入れて作動し、燃料タンク10内の燃料を燃料通路9を介して、燃料フィルタ11により濾過しながら吸い上げ、その燃料をジャーク式圧送系によりコモンレール6に圧送するようになっている。
【0034】
また、前記燃料供給ポンプ8には、図示しないが、その圧送系により送り出される燃料の一部をリターン通路12に逃がして、ポンプの吐出量を調節する電磁弁が設けられている。この電磁弁の開度は、前記燃料圧力センサ6aによる検出値に応じて、後述のECU40からの制御信号により変更されるようになっており、これにより、コモンレール圧を所定値にフィードバック制御できる。また、同図において13は、コモンレール圧が所定値以上になったときに、燃料をコモンレール6から排出させるプレッシャリミッタであり、このプレッシャリミッタから排出された燃料はリターン通路14を流通して、燃料タンク10に戻される。さらに、15は余剰の燃料をインジェクタ5から燃料タンク10に戻すためのリターン通路である。
【0035】
このエンジン1には、詳細は図示しないが、クランク軸の回転角度を検出するクランク角センサ16と、吸排気系カム軸の回転角度を検出するカム角センサ17と、冷却水温度(エンジン水温)を検出するエンジン水温センサ18とが設けられている。前記クランク角センサ16は、クランク軸の端部に設けた被検出用プレートと、その外周に相対向するように配置した電磁ピックアップとからなり、前記被検出用プレートの外周部全周に亘って等間隔に形成された突起部の通過に対応して、パルス信号を出力するものである。また、前記カム角センサ17は、同様にカム軸周面の所定箇所に設けた複数の突起部と、その各突起部が通過するときにパルス信号を出力する電磁ピックアップとからなる。尚、19はカム軸により駆動されるバキュームポンプである。
【0036】
また、20はエンジン1の燃焼室4に対し図外のエアクリーナで濾過した吸気(空気)を供給する吸気通路であり、この吸気通路20の下流端部はサージタンク21を介して気筒毎に分岐していて、それぞれ吸気ポートにより各気筒2の燃焼室4に接続されている。また、前記サージタンク21には、後述のターボ過給機31により過給された吸気の圧力を検出する過給圧センサ22が設けられている。前記吸気通路20には、上流側から下流側に向かって順に、エンジン1に吸入される吸気流量を検出するホットフィルム式エアフローセンサ23と、後述のタービン29により駆動されて吸気を圧縮するブロワ24と、このブロワ24により圧縮した吸気を冷却するインタークーラ25と、吸気通路20の断面を絞る吸気絞り弁26とが設けられている。この吸気絞り弁26は、全閉状態でも吸気が流通可能なように切り欠きが設けられたバタフライバルブからなり、図示しないアクチュエータにより開閉されるようになっている。
【0037】
さらに、28は各気筒2の燃焼室4から燃焼ガスを排出する排気通路で、この排気通路28の上流端部は分岐してそれぞれ排気ポートにより各気筒2の燃焼室4に接続されている。この排気通路28には排気により回転されるタービン29が配設され、その下流側に排気浄化用の触媒コンバータ30が配設されている。この触媒コンバータ30は、詳細は図示しないが、排ガスの流れる方向に沿って互いに平行に延びる多数の貫通孔を有するハニカム構造のコージェライト製担体を備え、その担体の各貫通孔壁面に複数の触媒層を形成したものであり、前記各貫通孔内を流通する排気中のHC、CO及びNOx並びにパティキュレートを低減させる機能を有している。
【0038】
また、前記タービン29及びブロワ24からなるターボ過給機31は、タービン29を収容するタービン室の入口に該入口の断面積を変化させるフラップが回動可能に設けられているバリアブルノズルターボであり、そのフラップを回動させてノズル断面積を小さくさせることで、排気流量の少ないエンジン1の低回転域でも過給効率を高めることができるものである。
【0039】
さらに、前記排気通路28は、タービン29よりも排気上流側の部位で、排気の一部を吸気側に還流させる排気還流通路(以下EGR通路という)33の上流端に分岐接続されている。このEGR通路33の下流端は吸気絞り弁26よりも吸気下流側の吸気通路20に接続されており、そのEGR通路33の途中の下流端寄りには、開度調節可能な負圧作動式の排気還流量調節弁(以下EGR弁という)34が配置されている。このEGR弁34は、バキュームポンプ19からの負圧により駆動される負圧駆動式のアクチュエータ35により開閉作動されるように構成され、EGR通路33の通路断面積をリニアに変化させて、吸気通路20に還流される排気の流量を調節するようになっている。
【0040】
前記各インジェクタ5、燃料供給ポンプ8、吸気絞り弁26,EGR弁34等はコントロールユニット(Electronic Contorol Unit:以下ECUという)40からの制御信号によって作動するように構成されている。一方、このECU40には、前記燃料圧力センサ6aからの出力信号と、クランク角センサ16及びカム角センサ17からの出力信号と、エンジン水温センサ18からの出力信号と、エアフローセンサ23からの出力信号と、車両の運転者による図示しないアクセルペダルの操作量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ36からの出力信号とが少なくとも入力されている。
【0041】
そして、インジェクタ5の作動により燃料噴射量及び噴射時期がエンジン1の運転状態に応じて制御されるとともに、高圧供給ポンプ8の作動によりコモンレール圧、即ち燃量噴射圧が制御される。また、吸気絞り弁26の作動により吸入空気量が制御され、EGR弁34の作動により排気還流量が制御され、さらに、ターボ過給機31のフラップの回転角度が制御されるようになっている。
【0042】
本発明の特徴部分は、エンジン1の低温始動時における燃料噴射制御にある。すなわち、外気温度が低い低温状態(例えば零下20°C以下)でエンジン1を始動するときには、まず、インジェクタ5により噴射した燃料が燃焼室4で自己着火する着火可能状態であることを着火判別手段40aにより判別し、着火可能状態であると判別されたときに初めて、始動噴射制御手段40bにより、エンジン1の始動に必要な始動噴射量の燃料を噴射させるようにしている。また、前記着火判別手段40aにより着火可能状態であると判別されるまでは、排気還流制御手段40cによりEGR弁34を全閉状態に保持させて、排気の還流量を零にさせるようにしている。尚、前記着火判別手段40a、始動噴射制御手段40b、及び排気還流制御手段40cの機能は、いずれもECU40によりメモリ上の制御プログラムが実行されることによって実現される。
【0043】
(エンジン始動時の制御)
以下、前記ECU40によるエンジン1の低温始動時の制御手順について、具体的に図2〜図4に示すフローチャート図に沿って説明する。
【0044】
まず、図2に示すコモンレール圧の制御では、同図のステップSA1において、燃料圧力センサ6aからの出力信号、クランク角センサ16からのクランク角信号、イグニッションスイッチからのスタータ信号等の各種信号を入力し、続いて、ステップSA2において、エンジン始動時であるかどうか判定する。すなわち、前記クランク角信号に基づいて演算されたエンジン回転数Neが予め設定されている始動判定回転数(例えば500rpm)よりも低く、かつスタータ信号が入力されているときには、エンジン始動時であるYESと判定してステップSA3に進む一方、そうでないときにはエンジン始動時でないNOと判定して、詳細は省略するが、エンジン始動時以外の制御ルーチンへ進む。
【0045】
ステップSA3では、ECU40のメモリに記録されている始動時の目標コモンレール圧を読み出して、この読み出した値を始動時コモンレール圧としてセットする。続いて、ステップSA4では、燃料供給ポンプ8の電磁弁へ制御信号を出力して、コモンレール6への圧送量を調節し、続くステップSA5において、燃料圧力センサ6aにより検出されたコモンレール圧が、前記ステップSA3でセットした値(セット値)以上になったかどうか判定する。この判定がYESであればリターンする一方、この判値がNOで、コモンレール圧がセット値に達していなければ、前記ステップSA4に戻って、燃料供給ポンプ8からコモンレール6への燃料圧送を継続する。つまり、コモンレール圧がエンジン始動時の目標値になるまで燃料圧送を継続して、コモンレール圧を昇圧させる。
【0046】
次に、図3に示す燃料噴射制御では、同図のステップSB1において、クランク角信号、エンジン水温センサ18からの出力信号、エアフローセンサ23からの出力信号、アクセル開度センサ36からの出力信号、スタータ信号等の各種信号を入力し、続くステップSB2において、前記図2のステップSA2と同様にエンジン始動時であるかどうか判定する。この判定がNOのときにはエンジン始動時以外の制御ルーチンへ進む一方、エンジン始動時であるYESと判定されたときには、ステップSB3に進んで、低温始動時であるかどうか判定する。
【0047】
すなわち、ステップSB3では、エンジン水温センサ18からの出力信号に基づいて、エンジン水温が設定値(例えば−20°C)よりも低いかどうか判定し、この判定がNOであれば、低温始動時ではないのでステップSB7に進み、各インジェクタ5により各気筒2の圧縮上死点近傍で、エンジン1の始動に必要な始動噴射量の燃料を噴射させる始動時メイン噴射を実行する。一方、エンジン水温が設定値よりも低くYESと判定すれば、テップSB4へ進む。尚、エンジン1の低温始動時であるかどうかの判定は、エンジン水温だけでなく外気温度等も加味して行うようにしてもよい。
【0048】
そして、ステップSB4では、各気筒2の圧縮行程で前記始動時メイン噴射よりも早期に微小量の燃料(着火判別用燃料)を噴射させる微小噴射を実行し、続くステップSB5において、前記微小噴射による燃料が自己着火したか否か、即ち着火可能状態であるか否かを判別する。尚、前記微小噴射の時期は、噴射した燃料が過度に広がることなくかつ十分に気化霧化できるように、エンジン水温が低いほど進角側に補正するようにしてもよい。
【0049】
前記の自己着火の有無は、例えば図4に示すフローのステップSC1において、クランキング中のエンジン回転数Neが予め設定されている基準回転数Ne*を越えたかどうかにより判別し、Ne>Ne*でYESであれば燃料は自己着火したと判定してステップSC2に進み、着火判別フラグFをF=1として、図3のフローのステップSB6にリターンする。一方、Ne≦Ne*でNOであれば、燃料は自己着火していないと判定してステップSC3に進み、着火判別フラグFをF=0として、図3のフローのステップSB6にリターンする。
【0050】
すなわち、クランキング中に燃料が自己着火すれば、その燃焼によりエンジン回転数Neが一段、高くなることから、図5に例示するように、スタータモータにより強制回転されるクランキング中のエンジン回転数Neが、通常のクランキング回転数(例えば、約120rpm)よりも高い基準回転数Ne*を越えたときに、燃料が自己着火したことを検出するようにしている。
【0051】
尚、前記基準回転数Ne*はエンジン水温に応じて変更するようにしており、そうすることで、検出の精度を高めることができる。すなわち、一般に、クランキング中のエンジン回転数Neはエンジン1の温度状態が低いほど低回転になるので、例えばエンジン水温が低いほど、前記基準回転数Ne*が低回転になるように実験的に設定したテーブルを作成し、このテーブルをECU40のメモリに電子的に記録しておけばよい。
【0052】
そして、前記自己着火判別の後、図3のステップSB6では、前記着火判別フラグFの値がF=1か否か判別し、F=1でないNOであれば前記ステップSB4に戻る一方、F=1でYESであれば、ステップSB7に進んで、各気筒2毎に始動時メイン噴射を実行する。つまり、エンジン1の各気筒2毎に、圧縮行程で噴射した微小量の燃料が実際に自己着火したときにその気筒2が着火可能状態になったと判別して、そうなったときに初めて、燃料をエンジン1の始動に必要な量だけ噴射させるようにしている。
【0053】
前記図4のフローに示すSC1〜SC3の制御手順は、圧縮行程で噴射した微小量の燃料が実際に自己着火するか否かによって、着火可能状態であるか否かを判別する着火判別手段40aに対応している。また、前記図3のフローに示すSB4〜SB7の制御手順は、エンジン始動時のクランキング中に前記着火判別手段40aにより着火可能状態と判別されるまで、その判別のために微少噴射を行う一方、前記着火判別手段40aにより着火可能状態であると判別されたときには、始動時メイン噴射を行う始動噴射制御手段40bに対応している。
【0054】
そして、この実施形態では、前記の着火判別のための微小噴射量は、エンジン1が実用運転領域にあるときの最小の燃料噴射量と同じにしている。これは、エンジン1がアイドル状態を除く低負荷低回転運転領域にあるとき、例えばエンジン回転数Ne=1500rpmであって燃料カットを行わない場合の最小の燃料噴射量と同じであり、エンジンの仕様によっても異なるが、具体例を挙げれば、1〜3mm3である。このくらいの燃料を噴射すれば、その燃料は着火可能状態であるときには必ず自己着火して燃焼し、かつその燃焼によって必ずエンジン回転数Neが基準回転数Ne*よりも高くなるので、着火可能状態であることを確実に判別できる。尚、着火判別のための燃料噴射量は必ずしも前記のような微小量としなくてもよいが、始動時メイン噴射のときの1/10以下とすることが好ましい。
【0055】
したがって、この実施形態に係るディーゼルエンジンの制御装置Aによれば、エンジン1の低温始動時にクランキングが開始されたとき、まず、図6(a)に示すように、始動噴射制御手段40bにより、各気筒2毎に圧縮行程で(図例では、圧縮上死点前20°CA)インジェクタ5から微小量の燃料が噴射されて、この燃料によりピストンと気筒内壁との間のシール性が高められる。そして、クランキングによってエンジン1の温度状態が徐々に高くなり、エンジンオイルの粘性低下によりクランキング抵抗が減少するのに従って、エンジン回転数Neが上昇し(図5参照)、気筒2の圧縮温度が燃料の自己着火温度に到達するようになる。
【0056】
そうなると、前記の微小量の燃料が実際に自己着火して燃焼するので、その燃焼によりエンジン回転数が一段、高くなって基準回転数Ne*を越え、そのことによって、着火判別手段40aにより着火可能状態であることが判別される。そして、この着火可能状態との判別がなされた気筒2について、始動噴射制御手段40bにより、図6(b)に示すように圧縮上死点近傍で始動時メイン噴射が行われ、そのメイン噴射により噴射された燃料が自己着火して燃焼することにより、エンジン回転数Neが速やかに上昇して、エンジン始動が速やかに完了する。
【0057】
このような低温始動時の始動噴射制御によれば、エンジン1の各気筒2において、着火可能状態になるまで、インジェクタ5からの燃料噴射量を微小量としているので、コモンレール6を介して各インジェクタ5へ燃料を圧送する燃料供給ポンプ8の駆動負荷を極めて小さくすることができる。このことで、低温状態でのクランキングであってもエンジン回転数Neを速やかに上昇させて、各気筒2の圧縮温度を燃料の自己着火温度に到達させることができ、よって、エンジン1の低温始動性を向上させることができる。また、未燃状態で大気中に排出される燃料も減らすことができる。
【0058】
特に、この実施形態では、着火可能状態であるか否かを、実際に噴射した燃料の自己着火の有無に基づいて判別するようにしているので、着火可能状態の判別を確実に行える。しかも、その着火判別のための燃料噴射量は、着火判別のために必要な範囲でできるだけ少ない微小量としているので、燃料供給ポンプ8の駆動負荷と未燃燃料の排出とを最小限に抑えることができる。
【0059】
また、この実施形態では、着火可能状態になるまで、排気還流制御手段40cによりEGR弁24を全閉状態に保持させて、吸気通路20へ排気を還流させないようにしている。すなわち、一般に、エンジン1の低温始動時に燃焼室4に吸い込まれた吸気は、圧縮行程で高温状態になって気筒壁面に熱を奪われるので、燃焼が開始されるまでは排気温度が吸気温度よりも低くなる。そこで、クランキング開始から着火可能状態と判別されるまでは、EGR弁24を全閉状態として排気を還流させないようにしており、このことで、冷たい排気による吸気温度の低下を防止して、エンジン1の低温始動性をさらに向上させることができる。
【0060】
尚、この実施形態では、上述の如く着火可能状態であると判別されたときに、直ちに微小噴射を終了して始動時メイン噴射を実行するようにしているが、これに限らず、着火可能状態と判別されたとき、図6(c)に示すように、前記微小噴射及びメイン噴射の両方を少なくとも1回、行うようにしてもよい。そのようにすれば、微小噴射により早期に噴射された燃料が十分に気化霧化して、火種ができやすくなるので、着火可能状態になった直後であっても、万一の失火を回避できる。
(他の実施形態)
尚、本発明は前記実施形態1に限定されるものではなく、その他の種々の実施形態を包含するものである。すなわち、前記実施形態1において、着火判別手段40aはエンジン1の各気筒毎に着火可能状態であるか否かを判別するものとし、かつその各気筒毎の着火判別結果に基づいて、始動噴射制御手段40bにより各気筒毎に燃料噴射制御を行うようにしているが、これに限るものではない。
【0061】
すなわち、着火判別手段40aによりエンジン1のいずれか1つの気筒について着火可能状態であると判別されたとき、始動噴射制御手段40bにより、その次に燃料噴射を行う気筒から順に始動時メイン噴射を開始させるようにしてもよい。例えば図7に示すように、エンジン1の4つの気筒のうち、最初に第1気筒が着火可能状態と判別されたときには、その次の第3気筒から、第4気筒、第2気筒、第1気筒、…と順に始動時メイン噴射を行って、エンジン1の始動を完了させるようにすればよく、そのようにすれば、エンジン始動を最短時間で完了できる。
【0062】
その際、同図に示すように、着火判別された第1気筒以外の3つの気筒では、微小噴射及び始動時メイン噴射の両方を行うようにしてもよい。そのようにすれば、仮に前記3つの気筒のいずれかが燃料の自己着火し難い状態だったとしても、メイン噴射よりも早期に微小噴射された燃料が十分に気化霧化して、火種ができやすくなることで、失火を回避することができる。
【0063】
前記各実施形態では、本発明をコモンレール式燃料噴射系が装備されているディーゼルエンジン1に適用しているが、これに限らず、コモンレール式燃料噴射系の代わりに各気筒毎にユニットインジェクタが設けられているディーゼルエンジンにも適用できることはもちろん、それ以外にも電子制御化された燃料噴射ポンプを備えている種々のディーゼルエンジンに適用可能である。
【0064】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1記載の発明におけるディーゼルエンジンの制御装置によると、エンジン低温始動時に着火判別手段により着火可能状態であることを判別して、着火可能状態でなったときに初めてエンジンの始動に必要な始動噴射量の燃料を噴射させるようにしたので、前記着火可能状態になるまでは燃料噴射量を始動噴射量よりも少なくして、燃料供給ポンプの駆動負荷を減らすことで、エンジンの低温始動性を向上させることができる。また、エンジンの低温始動時における未燃燃料の排出も抑制できる。
【0065】
しかも、着火判別用燃料の噴射により燃焼室のシール性を高めることができ、また、その燃料が実際に自己着火したことで着火可能状態を確実に判別できる。
【0066】
さらに、クランキング中のエンジンの回転数が予め設定した基準回転数を超えたことで、着火判別用燃料の自己着火を検出でき、そのための基準回転数をエンジンの温度状態に応じて変更することで、検出の精度を高めることができる。
【0067】
請求項2記載の発明によると、着火判別用燃料の噴射量を燃料噴射弁の実質的な最小開弁時間に対応するものとすることで、燃料供給ポンプの駆動負荷や未燃状態の燃料排出を最小に抑えることができる。
【0068】
請求項4記載の発明によると、着火判別用燃料の噴射量をエンジンが実用運転領域にあるときの最小の燃料噴射量と同じにすることで、着火判別の信頼性を安定確保しながら、燃料供給ポンプの駆動負荷や未燃燃料の排出を減らすことができる。
【0069】
請求項6記載の発明によると、クランキング開始直後の設定期間、噴射禁止手段により燃料の噴射を禁止することで、クランキング抵抗が特に大きいときに燃料供給ポンプの駆動負荷を最小として、エンジンの低温始動性をさらに向上できる。
【0070】
請求項7記載の発明によると、着火可能状態になったと判別されたとき、直ちに着火判別用燃料の噴射を終了させて始動噴射量の燃量を噴射させることで、エンジンの始動を速やかに完了できる。
【0071】
請求項8記載の発明によると、着火可能状態になったと判別されたとき、着火判別用燃料の噴射及びエンジン始動のための燃料噴射の両方を少なくとも1回、行うことで、万一の失火を回避できる。
【0072】
請求項9記載の発明によると、着火判別及び燃料噴射制御を各気筒毎に行うことで、請求項1記載の発明による効果を十分に得ることができる。
【0073】
請求項10記載の発明によると、エンジンの複数の気筒のうちのいずれか1つが着火可能状態であると判別されたとき、該気筒の次に燃料噴射を行う気筒からエンジン始動のための燃料噴射を開始させることで、エンジンの始動を最短時間で完了できる。
【0074】
請求項11記載の発明によると、着火判別用燃料の噴射及びエンジン始動のための燃料噴射の両方を行うことにより失火を回避できることが、特に有効になる。
【0075】
請求項12記載の発明によると、着火可能状態であると判別されるまで排気を還流させないようにして、エンジン低温始動時に冷たい排気による吸気温度の低下を防ぎ、エンジンの低温始動性をさらに向上できる。
【0076】
請求項13記載の発明では、燃料供給ポンプの駆動負荷が特に大きいコモンレール式燃料噴射系を装備したエンジンにおいて、クランキング中に燃料供給ポンプの駆動負荷を減らすことが、低温始動性を向上させる上で特に有効になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1に係るディーゼルエンジンの制御装置の全体構成図である。
【図2】 エンジン始動時のコモンレール圧制御の処理手順を示すフローチャート図である。
【図3】 始動時燃料噴射制御の処理手順を示すフローチャート図である。
【図4】 自己着火判別の処理手順を示すフローチャート図である。
【図5】 クランキング中のエンジン回転数の変化を示すタイムチャート図である。
【図6】 微小噴射及び始動時メイン噴射の噴射時期を例示する説明図である。
【図7】 エンジンのいずれか1つの気筒について着火可能判別がなされたとき、次に燃料噴射する別の気筒から順に始動時メイン噴射を開始させるようにした他の実施形態における各気筒の燃料噴射形態を示す説明図である。
【符号の説明】
A ディーゼルエンジンの制御装置
1 ディーゼルエンジン
2 気筒
4 燃焼室
5 インジェクタ(燃料噴射弁)
6 コモンレール(蓄圧室)
8 燃料供給ポンプ
33 EGR通路(排気還流手段)
40 コントロールユニット
40a 着火判別手段
40b 始動噴射制御手段
40c 排気還流制御手段
40d 着火不能期間推定手段
Claims (13)
- エンジンの気筒内燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射弁と、
エンジンにより機械的に駆動されて、前記燃料噴射弁に対し高圧の燃料を供給する燃料供給ポンプと、
エンジン始動時のクランキング中に、前記燃料噴射弁により燃料を噴射させる始動噴射制御手段とを備えたディーゼルエンジンの制御装置において、
前記燃料噴射弁により噴射された燃料が自己着火する着火可能状態であることを判別する着火判別手段が設けられ、
前記始動噴射制御手段は、前記着火判別手段により着火可能状態であると判別されるまでは、その判別のために始動噴射量よりも少量の着火判別用燃料を気筒の圧縮行程で噴射させ、着火可能状態であると判別されたとき、エンジンの始動に必要な始動噴射量の燃料を噴射させるように構成され、
前記着火判別手段は、クランキング中にエンジン回転数が予め設定した基準回転数を超えたとき、前記着火判別用燃料が自己着火したことを検出して着火可能状態であると判別するように構成され、
前記基準回転数は、エンジンの温度状態が低いほど低回転になるように設定されている
ことを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - 請求項1において、
着火判別用燃料の噴射量は、燃料噴射弁の実質的な最小開弁時間に対応するものである ことを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - 請求項1において、
着火判別用燃料の噴射量は、始動噴射量の1 / 10以下であることを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - 請求項1において、
着火判別用燃料の噴射量は、エンジンが実用運転領域にあるときの最小の燃料噴射量と同じであることを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - 請求項4において、
実用運転領域における最小の燃料噴射量とは、アイドル状態を除く低負荷低回転運転領域における最小の燃料噴射量であることを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - 請求項1において、
クランキングの開始から設定期間が経過するまでの間、燃料噴射弁による燃料の噴射を禁止する噴射禁止手段が設けられ、
始動噴射制御手段は、前記設定期間の経過後に着火判別用燃料の噴射を開始するように構成されていることを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - 請求項1において、
始動噴射制御手段は、着火判別手段により着火可能状態であると判別されたとき、直ちに着火判別用燃料の噴射を終了させるように構成されていることを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - 請求項1において、
着火判別用燃料の噴射の時期は、エンジン始動のための燃料噴射よりも早期に設定され、
始動噴射制御手段は、着火判別手段により着火可能状態であると判別されたとき、前記着火判別用燃料の噴射とエンジン始動のための燃料噴射との両方を少なくとも1回、行うように構成されていることを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - 請求項1において、
エンジンは複数の気筒を有し、
着火判別手段は、前記各気筒毎に着火可能状態であることを判別するように構成され、
始動噴射制御手段は、前記着火判別手段による判別結果に応じて各気筒毎に燃料噴射弁 の制御を行うように構成されていることを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - 請求項1において、
エンジンは複数の気筒を有し、
着火判別手段は、前記各気筒毎に着火可能状態であることを判別するように構成され、
始動噴射制御手段は、前記着火判別手段によりいずれか1つの気筒が着火可能状態であると判別されたとき、該気筒の次に燃料噴射を行う気筒からエンジン始動のための燃料噴射を開始させるように構成されていることを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - 請求項10において、
着火判別のための燃料噴射時期は、エンジン始動のための燃料噴射よりも早期に設定され、
始動噴射制御手段は、着火判別手段により着火可能状態であると判別されたとき、前記着火判別用燃料の噴射とエンジン始動のための燃料噴射との両方を少なくとも1回、行うように構成されていることを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - 請求項1において、
エンジンの吸気系に排気の一部を還流させる排気還流手段と、
着火判別手段により着火可能状態であると判別されるまで、排気の還流量が零になるように前記排気還流手段を制御する排気還流制御手段とが設けられていることを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。 - 請求項1において、
燃料を噴射圧以上の高圧状態で蓄える蓄圧室が燃料供給ポンプと燃料噴射弁との間に介設されたコモンレール式燃料噴射系を備えていることを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。
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