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JP4137982B2 - 米飯改質剤、それを用いた米飯食品およびその製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、米飯改質剤それを用いた米飯食品およびその製造方法に関する。

日本人の嗜好に適した米飯は、適度なつやと粘りを含むジャポニカ種に代表される米である。このつや、粘りは、主に米中のアミロペクチン含量に起因しており、比較的アミロペクチン含量の多いコシヒカリや、ササニシキなどは、日本人の嗜好に適している。このような米飯は、炊飯直後は確かに適度なつやと粘りで好ましい食味であるが、炊飯後の時間経過により、食味が劣化してきてしまう。これは、米に含まれるでん粉の老化に起因するもので、米飯の室温、チルドでの流通に伴う経時的な食味の劣化は、避けがたい現象である。しかしながら、近年における外食、中食産業の発展に伴い、炊飯後、室温またはチルド域において長時間米飯の食味を維持する必要性が高まり、米飯の食味を長期間維持する技術が求められている。
更に近年の食への健康志向、天然志向より玄米、麦、ひえ、あわ、きびなどの雑穀への関心が高まっている。このような雑穀を一部置き換えたご飯は、白米に比べ冷えるとぱさつきがちになり、食味が落ちてしまうことが問題であった。また、玄米や古米特有のぬか臭、古米臭により、風味の低下も課題となる。
一方、ワキシーコーンスターチに代表されるもち種でん粉とは、アミロペクチンが100% の特殊なでん粉である。通常のでん粉にくらべ、耐老化性に優れ、粘りが強く、透明感のある糊を作るのが特徴である。また、アセチル化、エーテル化などに代表される加工でん粉は、でん粉特有の老化現象を抑えたでん粉で、常温はもとより、チルド保存における食品の劣化を抑えるために、麺やパンなど広く利用されている。
このような、もち種でん粉や加工でん粉、でん粉分解物を米飯の品質改良を目的として使用する方法は、数多く報告されている。
特開2004−201617号公報(特許文献1)には、でん粉分解物とオリゴ糖を併用した米飯改質剤が報告されている。しかし、同文献記載の技術では、粘りについては改善されているものの、米飯のつやの維持についてはさらに改良が必要であった。
また、特開平7−264998号公報(特許文献2)には、米でん粉、糯米でん粉、米粉、糯米粉および白玉粉よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の穀粉類をエーテル/エステル化させることによって得られる混合米飯添加剤が記載されている。
また、特開2002−65184号公報(特許文献3)には、エーテル化反応および/または、酸化処理された加工でん粉を炊飯時に添加し、米飯の釜離れ、ほぐれなどの機械特性を改善する方法が記載されている。
さらに、特開2004−121082号公報(特許文献4)には、架橋でん粉を添加し、炊飯することによりおにぎりの成形性を改善する方法などが開示されている。
上記特許文献2〜4記載の技術は、いずれもでん粉を粉のまま炊飯直前に添加することを想定したものである。ところが、このような添加方法では、業務用の炊飯ラインにおいては、米を浸漬している間にでん粉が沈降し、炊飯時に沈降したでん粉が先に糊化し、炊飯水が増粘する結果、米飯内での均一な熱伝達が妨げられることとなる。このため、炊飯釜内の上部に位置する米は芯のある米飯となる一方、炊飯釜内の下部に位置する米は、米粒が潰れかけたべたつきのある米飯となる。また、炊飯釜底部にいわゆる"オブラート層"が多く発生し、炊飯歩留まりの低下、清掃の手間などが発生する。このため、でん粉を粉のまま炊飯直後に添加する上記技術は、未だ実用にいたってないのが現状である。
また、特開昭51−44660号公報(特許文献5)には、粉末水あめとでん粉、胚芽、加水分解酵素などを混合し、加圧成型してなる米飯改質剤が記載されている。この米飯改質剤においては、改質剤の有効成分として水あめが用いられている。水あめは、澱粉を酸や酵素で分解して得られるものであり、この水あめを加圧成型するバインダーとして少量のでん粉が併用されている。
しかしながら、同文献記載の改質剤は、粉末水あめを主成分とするため、米飯の改質効果が充分でなく、色つや、粘り、食味の点で改善の余地を有していた。
以上のように、でん粉やでん粉分解物を用いて米飯の品質を改良する従来技術は、未だ実用にいたってないのが現状である。
特開2004−201617号公報 特開平7−264998号公報 特開2002−65184号公報 特開2004−121082号公報 特開昭51−44660号公報
上記事情に鑑み、本発明は、米飯が有する本来のつや、粘りを維持、向上させ、食味、食感、風味の改善効果を有する米飯改質剤を提供するものである。
本発明によれば、でん粉の含有量が40重量%以上である原料を、加熱溶解度が20%以上でかつ大きさが目開き0.5mm(32メッシュ)篩上5重量%以上100重量%以下の粒状物になるように造粒して得られる米飯改質剤であって、アミロース含量20%以下のでん粉を20重量%以上80重量%以下含むことを特徴とする米飯改質剤及びその製造方法が提供される。
また、本発明によれば、上記米飯改質剤を米に対して0.1重量%以上10重量%以下添加して炊飯することを特徴とする米飯食品の製造方法及びその製造方法により炊飯された米飯食品が提供される。
本発明に係る米飯改質剤は、目開き0.5mm(32メッシュ)篩上成分の含有率、加熱溶解度およびでん粉含有量が、それぞれ特定の範囲内にあるため、炊飯米中に均一に分布して炊飯時に徐々に溶解する。このため、炊飯米に対し、均一につや、粘りが付与され、食味、食感、風味が顕著に改善される。
本発明による米飯改質剤を用いると、炊飯に際して米飯改質成分が均一に分散し、その米飯の保存中の品質低下を生じることがない米飯食品を提供できる。
本発明における米飯改質剤は、目開き0.5mm(32メッシュ)篩上成分の含有率、加熱溶解度およびでん粉含有量のそれぞれを特定の範囲内とする構成を採用することにより、顕著な米飯改質効果を実現するものである。以下、上記構成の技術的意義について説明する。
本発明に係る米飯改質剤は、でん粉を含む原料を粒状に加工してなるものである。この米飯改質剤のJIS規格における目開き0.5mm(32メッシュ)篩上の粒状物の含有量は、5重量%以上100重量%以下であり、好ましくは10重量%以上100重量%以下、より好ましくは30重量%以上100重量%以下である。目開き0.5mm(32メッシュ)篩上成分を上記範囲内とすることで、炊飯米への分散性が良好となる。目開き0.5mm(32メッシュ)篩上成分が少なすぎると、改質剤であるでん粉が沈降し、炊飯時に沈降したでん粉が先に糊化して炊飯水が増粘するため、均一な炊飯が妨げられる。
本発明の米飯改質剤は、炊飯時に改質成分であるでん粉質が加熱、溶解し、米飯中に均一に分散することにより、米飯のつや、粘りを向上させる。そのためには炊飯中に迅速に加熱溶解する性質が重要である。この特性を表す指標として、本発明においては、「加熱溶解度」を用いる。加熱溶解度の測定方法は以下のとおりである。
1.直径18mm、長さ180mmのガラス試験管に、試料を乾燥重量で500mgはかりとる。このときに、はかりとった試料の正確な重量(加熱前重量)を記録する。
2.上記1に10mLの蒸留水を加えて攪拌し、よく分散させる。
3.アルミキャップをかぶせ、沸騰浴で20分加熱する。このとき、試料がだまにならないよう、ときどき、よく分散させる。
4.加熱が終わったら、流水中で冷却する。
5.試験管内容物を50mLのふたつき遠沈管に移し替える。このとき、空の遠沈管の重量(ふたなし)を測定しておく。試験管壁に付着した内容物は、蒸留水を加え、よく洗浄し、その洗液も、遠沈管にいれて、全体量を30mLにする。
6.遠心(3000rpm、10min)し、上澄み液を注意深く除去する。
7.100℃の恒温層に一昼夜乾燥させ、乾燥後の重量(空の遠沈管重量+遠沈管に残った米飯改質剤重量)を測定する。
8.加熱溶解度は、以下の数式によって算出する。
加熱溶解度(%)=100−{(乾燥後の重量−空の遠沈管重量)/(加熱前重量)}*100
9.1試料につき3点加熱溶解度を測定し、その平均値を加熱溶解度とする。
本発明における米飯改質剤の加熱溶解度は、20%以上、好ましくは50%以上である。このようにすれば、炊飯中に改質剤が充分に分散し、顕著な米飯改質効果が得られる。加熱溶解度の上限については、特に制限がないが、たとえば加熱溶解度が90%もあれば、充分な改質効果が得られる。
本発明における米飯改質剤の原料中のでん粉含有量は、40重量%以上100重量%以下、好ましくは50重量%以上100重量%以下とする。このようなでん粉含有量とすることで、良好な色つや、粘り、食味を実現することができる。
つづいて、本発明に係る米飯改質剤を構成する成分について、詳細に説明する。
本発明に用いられるでん粉として、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、馬鈴薯でん粉、ワキシー馬鈴薯でん粉、小麦でん粉、米でん粉、モチ米でん粉、甘藷でん粉、タピオカでん粉、緑豆でん粉、サゴでん粉またはエンドウ豆でん粉などが挙げられる。
ここで、本発明者の検討によれば、上記でん粉は、(A)食味、風味を向上させる機能を有するでん粉、および、(B)加熱溶解性を向上させるでん粉に大別されることが明らかになった。本発明に係る米飯改質剤は、上記(A)および(B)の両方を含むことが好ましい。こうすることにより、炊飯米中の米飯改質剤の分散性を良好にするとともに、食味等の改善効果が顕著となる。
上記(A)に属するでん粉としては、アミロース含量が20%以下のでん粉が挙げられる。アミロース含量が20%以下であれば、食味改善効果が顕著に得られる。
アミロース含量20%以下のでん粉として、ワキシーコーンスターチ、モチ米でん粉などのモチ種でん粉や、馬鈴薯でん粉、タピオカでん粉などが例示される。こうしたでん粉を原料として耐老化性を付与するような加工を施したでん粉、すなわちエステル化処理(例えば、酢酸でん粉、オクテニルコハク酸エステル化でん粉など。)、エーテル化処理(例えば、ヒドロキシプロピルでん粉など。)を用いることもできる。またこれらの耐老化性でん粉に、架橋処理(例えば、リン酸架橋でん粉など。)を組み合わせて用いてもよい。これらのでん粉は単独でまたは二以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、アミロース含量20%以下のでん粉の含有量は、好ましくは25重量%以上、より好ましくは40重量%以上とする。このようにすれば、顕著な食味および風味改善効果が得られる。なお、含有量の上限は、上記(B)の量を充分に確保して加熱溶解度を安定的に向上させる観点からは、80重量%以下とする。
上記(B)に属するでん粉としては、加熱によって溶解するとともに、溶液の粘度の上昇が小さいものが好ましく用いられる。このようなでん粉を含有させることにより、炊飯中に炊飯水の粘度を上昇させることなく改質剤が均一に分散し、優れた米飯改質効果が得られる。このようなでん粉として、酸処理でん粉、酸化でん粉、デキストリン等が挙げられる。このうち、食味への影響、炊飯後経時的なご飯の黄変防止を図る観点からは、酸処理でん粉および酸化でん粉が好ましく用いられる。
本発明に係る米飯改質剤は、酸処理でん粉または酸化でん粉を含有することが好ましく、その含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上とする。このようにすれば、良好な加熱溶解性が実現される。なお、含有量の上限は特にないが、上記(A)の量を充分に確保して食味等を安定的に向上させる観点からは、好ましくは75重量%以下、より好ましくは60重量%以下とする。
本発明に係る米飯改質剤は、でん粉以外の種々の添加剤を含んでいてもよい。
たとえば、本発明に係る米飯改質剤は糖類を含んでいてもよい。こうすることにより、改質剤であるでん粉の老化を抑え適度なつやと粘りを維持することができる。本発明に用いられる糖類としては食品に供するのであれば特に限定されず、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、ラクトース、トレハロース、またキシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール等の糖アルコール類、糖類の転化糖、さらには以上を構成成分とする還元糖を有する物質や混合物である水あめ、粉末水あめなども同様に使用できる。これら糖類は1種、または2種以上を組み合わせて使用できるが、好ましくはトレハロース、またはトレハロースと上記の糖類の組み合わせである。これら糖類の米飯改質剤への添加量は、米飯改質剤100重量部に対して好ましくは0.1〜60重量部、より好ましくは10〜50重量部とする。
本発明に係る米飯改質剤は、油脂を含んでいてもよい。改質剤内部に油脂を配合することにより炊飯米の釜離れを向上させ、作業性が改善する。本発明に用いられる油脂としては通常食品に供するのであれば特に限定されず、あまに油、桐油、サフラワー油、かや油、くるみ油、けし油、ひまわり油、綿実油、なたね油、大豆油、からし油、カポック油、米糠油、ごま油、とうもろこし油、落花生油、オリーブ油、つばき油、茶油、ひまし油、やし油、パーム油などの植物性油脂や、牛脂、魚油、鯨油、豚脂、羊油などの動物性油脂などがあげられる。また、これらの原料をエステル交換したものや、硬化油、分別油の他、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド等のように化学的あるいは酵素的に処理して得られる油脂などを用いることも可能である。また炊飯中に分散しやすいように乳化剤などを配合した油脂であるいわゆる炊飯専用油を用いることも可能である。これら油脂の米飯改質剤への添加量は米飯改質剤100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
本発明において、必要に応じて、一般に賦形剤として用いられているショ糖脂肪酸エステルや脂肪酸エステルなどの乳化剤、結晶セルロース、酵素分解デキストリン、難消化性デキストリン、クラスターデキストリン、シクロデキストリン、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖などを用いることができる。
更に本発明の米飯改質剤の分散性を利用して、カルシウム、鉄分などのミネラル類、ビタミン類、食物繊維などの栄養機能成分を一緒に練りこんでおくことにより手軽に栄養補強機能のある炊飯米を調整することができる。
本発明の米飯改質剤の形状は、米飯に添加しやすく、炊飯時に速やかに溶解する形状であれば特に問わない。造粒装置の吐出口(ダイ)の形状を変えることにより、球状、円柱状、米粒状などさまざまな形状にすることが可能である。
本発明の米飯改質剤の効果を高めるためには、改質剤のかさ比重を0.5以上にすることが好ましい。こうすることにより、炊飯中での米飯改質剤の分散性が一層良好となる。例えば、業務用の炊飯ラインで炊飯を行う場合、プロセス効率の観点から、炊飯前に米飯と米飯改質剤とを攪拌・混合することなく、良好な分散性が得られることが望まれる。かさ比重を好ましくは0.5以上、より好ましくは0.55以上とすれば、上記のような良好な分散性を安定的に実現することができる。
また、本発明の米飯改質剤は、アミロース含量20%以下のでん粉を25重量%以上含むとともに、改質剤のかさ比重が0.5以上であってもよい。こうすれば、改質剤の分散安定性と食味とのバランスをより一層向上させることができる。
ここで、かさ比重の測定方法は、以下のように行う。
1.試料(目開き0.5mm(32メッシュ)の篩で篩った篩上を使う)を100g前後試験スコップにはかりとる。
2.100mLの試験升の空重量を測定する。
3.バットの中に、試験升をおき、はかりとった試料を静かに充填する。
4.試験升の上面を静かにすりきり、試験升と試料の合計重量を測定し、以下の式によりかさ比重を算出する。
かさ比重=(試験升と試料の合計重量−試験升空重量)/100
本発明の米飯改質剤の製造方法は、たとえば、でん粉を40重量%以上含有する原料を、加熱溶解度が20%以上でかつ大きさが目開き0.5mm(32メッシュ)篩上5重量%以上100重量%以下の粒状物になるように造粒する工程を含む。本発明の米飯改質剤の製造に用いられる装置は特に限定されず、パン型造粒機などに代表される振動、転動、攪拌混合、流動、解砕型造粒機、圧縮成型、湿式、乾式押出造粒機など一般的に用いられる造粒、整粒装置を使用することができる。その中でも製造効率や粒の結着性などから二軸エクストルーダーなどによる押出造粒機を用いる方法が好ましい。エクストルーダー処理する場合は通常、でん粉及び糖類もしくは油脂を含む原料に加水して、水分含量を10〜50重量%に調整した後、温度20〜200℃で、スクリュー回転100〜1000rpm、熱処理時間5〜60秒の条件で押出造粒することによって、米飯改質剤が得られる。
本発明の米飯改質剤は、あらかじめ米や無洗米などに混合して用いることも、炊飯時に添加することも可能である。炊飯時に添加する場合は、米を浸漬する前に添加しても、浸漬した米に添加してもよいが、いずれの場合も、米飯改質剤の改質成分をより均一に分散させるためには、改質剤を添加後、軽く米を攪拌するとよい。米飯改質剤の添加量は、米飯全体に対して、好ましくは0.1重量%以上10重量%以下、より好ましくは1重量%以上10重量%以下である。添加量が少なすぎると充分な米飯改質効果が得られないことがある。また、添加量が多すぎると、米飯の粘りが強すぎて炊飯釜やその後のラインへの付着が多くなり、作業性が低下することがある。
本発明に係る米飯食品は、米飯改質剤を米に対して0.1重量%以上10重量%以下添加して炊飯されたものである。これにより、炊飯後の常温保存、流通時に劣化するご飯のつやや粘りを維持、向上させることが可能である。そのため、コンビニエンスストアやスーパーストアに陳列するようなお弁当用のご飯、おにぎり、炊き込みご飯、炒飯、パエリア、リゾットなど幅広い米飯食品に利用することができる。また、寿司やおにぎりなどチルド流通が必要な米飯食品にも利用が期待される。一方、炊飯後ぱさつきがちになる五穀米などの雑穀を用いた米飯食品に用いると粘りが長時間維持することができる。更に、本発明の米飯改質剤を古米、低級米に用いると、古米臭、ぬか臭を抑え、新米、上級米のような食味、食感、風味を有する米飯食品となる。
以上、説明したように、本発明における米飯改質剤は、炊飯米中に均一に分布して炊飯時に徐々に溶解し、これにより、炊飯米に対し、均一につや、粘りを付与するものである。でん粉を粒状に加工し、炊飯時に添加する同様の素材として、低タンパク食向け、または、戦後食糧不足に際し、米代替品として盛んに技術開発が進んだでん粉米がある。でん粉米も本発明と同様に、コーンスターチなどのでん粉を粒状に加工し、炊飯することにより、米と同等の食味、食感を再現しようと開発された食品である。こうしたでん粉米と、本発明に係る米飯改質剤の異なるところとしては、米飯改質剤がその機能を最大限発揮するためには、炊飯中に改質成分であるでん粉が溶解し、炊飯米中に均一に分散して、改質剤が粒状で炊飯米の中に点在することがないよう設計することが望まれる。これに対し、でん粉米は、炊飯時に水を吸収し、α化し、炊飯終了後、米と同様の適度な食感と形を維持していなければその効果を発揮できない。炊飯終了時にその機能を発揮する結果として、改質剤は、溶解していなければいけないし、でん粉米は、形を維持していなければいけない。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明の主旨はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において、ワキシーコーンスターチとして「AP−Y」、エーテル化ワキシーコーンスターチとして「A−09」、エステル化タピオカでん粉として「A−800」、酸処理でん粉として「R−100」、デキストリンとして「FZ−100」、馬鈴薯でん粉として「BP−200」いずれも(株)J−オイルミルズ製を使用した。粉末水飴は三和澱粉工業(株)「サンデック」、トレハロースは(株)林原製、食用油脂は理研ビタミン(株)「アクターM−107FR」、小麦胚芽は日本製粉(株)製、酵素はパパイン、ジアスターゼ(いずれも生化学工業(株)製)を1:1で混合したものを用いた。
また、加熱溶解度については、前述の方法により測定し、1試料につき3点の加熱溶解度の平均値をとった。
1.炊飯時の分散性の評価
表1の配合1〜3のとおりに原材料を混合し、2軸エクストルーダー(幸和工業製KEI−45)を用いてバレル温度100℃、出口温度60℃、加水33%、スクリュー回転200rpmの条件でエクストルーダー処理した。
配合1については、同一配合でかさ比重の異なる試料をあわせて作製した。すなわち、配合1の改質剤にバレル温度130℃、出口温度120℃、加水15%、スクリュー回転200rpmの条件でエクストルーダー処理を行ったものも用意した。
エクストルーダー処理した造粒物は水分10%まで乾燥し、その後、目開き10mmの篩を通過し、かつ、目開き0.5mm(32メッシュ)篩で篩上に残ったものを米飯改質剤として使用した。
ここで、配合1〜3において、アミロース含量20%以下のでん粉としてワキシーコーンスターチを用いた。ワキシーコーンスターチは、アミロースを実質的に含んでおらず、アミロペクチンをほぼ100%含有するものである。
米飯改質剤をはじめに炊飯釜に10g投入し、つづいて190gの米を投入して、これらを混合することなく水を260mL注ぎ1時間浸漬した後、炊飯した。得られた米飯を攪拌することなく、炊飯器からバットに移し、改質成分の分散性を目視で評価した。改質剤が均一に分散しており、対照例と比較して、炊飯米に全く違和感がない場合は◎、殆ど違和感がない場合は○、改質剤が一部炊飯米中に溶解せずに残っており、若干の違和感を覚える場合は△、改質剤が局在化しており、違和感を覚える場合は×とし、その結果を表2に示した。
表2において、実施例1、2は表1の配合1、2の改質剤について、実施例3は配合1の組成でかさ比重を軽くしたもの、比較例1は配合3の改質剤について、比較例2は配合1をエクストルーダーにより造粒することなく、粉末のまま炊飯米に添加したもの、対照例として改質剤を添加せず、米200gと水260mLで炊飯したものの結果を示した。
Figure 0004137982
Figure 0004137982
比較例1のように加熱溶解度が低い改質剤は炊飯後も米飯中に溶け残っており、分散性に著しく劣っていた。また、エクストルーダーで造粒せず、粉のまま添加した比較例2については、炊飯釜の底のほうにでん粉の糊の層が付着しており、また炊飯した米飯も硬く、均一な炊飯が行われていない様子であった。また、かさ比重が軽い実施例3については、炊飯前に一部の米飯改質剤が浮いてしまったため、炊飯後、米飯の表面に一部糊層が見受けられた。一方、加熱溶解度が高い実施例1は完全に溶解しており、底に糊層が付着することもなく、均一に分散している様子であった。
2.でん粉種類および含量の影響の評価
表3の配合について、実施例1と同様に米飯改質剤を調整した。アミロース含量20%以下のでん粉として、配合4、5においては、それぞれエーテル化ワキシーコーンスターチおよびエステル化タピオカでん粉を用い、配合6〜8、10においては、ワキシーコーンスターチを用いた。配合9については、特許文献5に記載された製品名Dに相当するものである。表1の配合の米飯改質剤と同様、炊飯釜で炊飯し、炊飯米の分散性を目視で評価した。得られた米飯を真空冷却機で冷却し、冷却直後と24時間後の食味値をサタケ炊飯食味計STA 1Aを用いて評価した。更に得られた米飯の24時間後の官能評価を10人のパネラーにより行なった。評価項目として色つや、食味、粘り、風味(ぬか臭)を、改質剤を添加していない対照例と比較して、相対評価を行った。
◎:対照例と比較して明らかに好ましい。
○:対照例と比較して好ましい。
△:対照例と同等である。
×:対照例より劣っている。
結果を表4−1および4−2に示す。
Figure 0004137982
Figure 0004137982
Figure 0004137982
表4−1、実施例6および7に示されるように、でん粉種をワキシーコーンスターチからエーテル化ワキシーコーンスターチおよびエステル化タピオカでん粉に置き換えても改質効果は維持されていた。実施例8および10に示すように配合に油脂をいれることにより炊飯釜への米飯の付着が減り、利用しやすいものとなった。実施例5のように加熱溶解度がやや低かったり、実施例9のようにアミロース含量が20%以下のでん粉の配合量が少なくなるとやや改質効果が劣るものの、対照例と比較すると有意に改質効果が確認された。比較例3のようにアミロース含量20%以下のでん粉の配合量が極端に少ない場合や比較例4のように、でん粉含量が少ない場合も特に24時間後の改質効果が見られなかった。
3.粒度の影響の評価
配合1の改質剤を実施例1の方法で造粒した改質剤を、粉砕機を用いて目開き0.5mm(32メッシュ)以下に粉砕したものを別途用意し、粉砕前の改質剤(目開き0.5mm(32メッシュ)オン)と粉砕後の改質剤(目開き0.5mm(32メッシュ)パス)を表5の配合で混合し、米飯改質剤を調製した。これらの米飯改質剤を実施例1と同様に米飯に5%添加し、炊飯した。得られた米飯を攪拌することなく、炊飯器からバットに移し、改質成分の分散性を目視で評価した。その後、得られた米飯を真空冷却機で冷却し、冷却直後と24時間後をサタケ炊飯食味計STA 1Aを用いて評価し、その結果を表5に示す。
Figure 0004137982
表5に示したように、目開き0.5mm(32メッシュ)オンの画分が多い炊飯改質剤は炊飯時の改質成分の分散性が良く、結果として炊飯直後、24時間後の米飯評価が好ましいものとなった。
以上述べたように、実施例に記載の配合によれば、炊飯に際して米飯改質成分が均一に分散し、その米飯の保存中の品質低下を生じることがない。なお、このような米飯改質剤を古米、低級米に用いると、古米臭、ぬか臭を抑え、新米、上級米のような食味、食感、風味を有する米飯食品となる。

Claims (6)

  1. でん粉の含有量が40重量%以上である原料を、加熱溶解度が20%以上でかつ大きさが目開き0.5mm(32メッシュ)篩上5重量%以上100重量%以下の粒状物になるように造粒して得られる米飯改質剤であって、
    アミロース含量20%以下のでん粉を20重量%以上80重量%以下含むことを特徴とする米飯改質剤。
  2. 請求項1に記載の米飯改質剤において、酸処理でん粉または酸化でん粉を5重量%以上75重量%以下含む米飯改質剤。
  3. 請求項2に記載の米飯改質剤において、
    前記加熱溶解度が50%以上である米飯改質剤。
  4. 請求項3に記載の米飯改質剤において、
    かさ比重が0.5以上である米飯改質剤。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の米飯改質剤を米に対して0.1重量%以上10重量%以下添加して炊飯することを特徴とする米飯食品の製造方法。
  6. 請求項に記載の製造方法により炊飯された米飯食品。
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