JP4138214B2 - 液体噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電振動子の振動等によりノズル開口から液体を吐出させる液体噴射装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圧電振動子を用いた液体噴射装置(以下の説明では、インクジェット式記録ヘッドに適用した例を示し、「記録ヘッド」という)は、一般に、図9に示すように、上面に圧電振動子6が貼着され、上記圧電振動子6に対応する圧力発生室2が形成されたアクチュエータユニット1と、ノズル開口3およびインク貯留室4が形成され上記アクチュエータユニット1の下面に貼着された流路ユニット5とを備え、上記圧電振動子6の振動により圧力発生室2に圧力を発生させ、ノズル開口3からインク滴を吐出させるようになっている。
【0003】
上記アクチュエータユニット1は、圧力発生室2を形成する空間が形成された圧力発生室形成板10と、この圧力発生室形成板10の上面に位置して上記空間の上面開口を塞ぐ振動板11と、上記圧力発生室形成板10の下面に位置する連通穴形成板14とを備えている。この連通穴形成板14には、インク貯留室4と圧力発生室2を連通させる連通穴12と、圧力発生室2とノズル開口3を連通させるノズル連通路8とが形成されている。
【0004】
上記アクチュエータユニット1には、その振動板11の上面に、共通の下部電極19が形成されている。そして、上記下部電極19の上面に、平板状の圧電振動子6が形成され、上記圧電振動子6の上面には、個別の上部電極20が形成されている。そして、上記下部電極19および上部電極20を介して圧電振動子6に駆動信号を入力するようになっている。
【0005】
一方、上記流路ユニット5は、インク貯留室4を形成する空間が形成されたインク貯留室形成板16と、ノズル開口3が穿設され、上記インク貯留室形成板16の下面に位置するノズルプレート17と、上記インク貯留室形成板16の上面に位置する供給口形成板18とから構成されている。上記インク貯留室形成板16には、圧力発生室2とノズル開口3を連通させるノズル連通路8が形成されている。また、上記供給口形成板18には、インク貯留室4から連通穴12を介して圧力発生室2にインクを供給するインク供給口9が穿設されるとともに、圧力発生室2とノズル開口3を連通させるノズル連通路8が形成されている。
【0006】
また、上記供給口形成板18には、そのインク貯留室4に対応する部分に、インク貯留室4内の圧力変動を逃がすダンパ室7となる空間が形成されている。そして、上記供給口形成板18とインク貯留室形成板16との間には、上記ダンパ室7の開口を塞ぐダンパ板13が挟まれている。
【0007】
上記アクチュエータユニット1は、セラミックスから形成された振動板11,圧力発生室形成板10,連通穴形成板14が積層され、一体的に焼成されて形成されている。一方、上記流路ユニット5は、ステンレス鋼から形成された供給口形成板18,ダンパ板13,インク貯留室形成板16,ノズルプレート17が、接着剤層15を介して積層されている。そして、アクチュエータユニット1と流路ユニット5とは、接着剤層15を介して接合されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記記録ヘッドでは、圧力発生室2はアクチュエータユニット1に設けられ、圧力発生室2にインクを供給するインク貯留室4と、圧力発生室2のインクを吐出するノズル開口3が流路ユニット5に設けられている。しかも、アクチュエータユニット1はセラミックス製で流路ユニット5はステンレス鋼製である。このため、圧力発生室2とインク貯留室4ならびにノズル開口3を連通させるために複数のパーツを接着剤で貼り合わせて積層する必要があり、構造や製造工程が複雑化してコストアップの要因になっている。また、貼り合わせ部の熱収縮率や線膨張係数の相違により歪や剥離が発生するおそれがある。さらに、インクがステンレス鋼や接着剤と直接接触するため、例えば、ステンレス鋼に対してエッチング作用のあるインクや、接着剤を溶出させるようなインクを用いることができず、使用するインクの特性や、適用分野にどうしても制限があるのが実情である。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、噴射する液体の特性や、適用分野に制限を受けない液体噴射装置の提供を第1の目的とし、流路以外の独立空間が存在するセラミック製の液体噴射装置において、上記独立空間の周辺に歪等が生じにくい液体噴射装置の提供を第2の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の液体噴射装置は、ノズル開口が穿設されたセラミックス製のノズルプレートと、上記ノズル開口に連通する圧力発生室ならびに上記圧力発生室に供給する液体を貯留する液体貯留室が形成されて上記ノズルプレートに積層されたセラミックス製の流路形成部と、上記流路形成部に積層されて圧力発生室の開口を封止するセラミックス製の封止板と、上記圧力発生室に圧力を発生させる圧力発生素子とを備え、上記流路形成部に存在する流路以外の独立空間を外部に連通させる外部連通孔が形成されていることを要旨とする。
【0011】
すなわち、本発明の液体噴射装置は、流路形成部に存在する流路以外の独立空間を外部に連通させる外部連通孔が形成されている。このため、液体と接触する流路がすべてセラミックスから形成されるため、流路の耐液体性が向上する。したがって、使用する液体の種類に制限を受けず、例えば、ステンレス鋼に対してエッチング作用のある液体や、接着剤を溶出させるような特性の液体でも使用が可能になる。また、例えば、ダンパ室のような液体の流路ではない独立空間が存在したとしても、上記独立空間は、外部連通孔を介して大気開放されるため、グリーンシートを積層する段階で独立空間内の空気が十分逃げる。そして、積層体を焼成する段階で独立空間内に閉じ込められた空気が膨張しても外部連通孔から排出される。したがって、独立空間周辺のプレートの接合部に歪が生じたり、プレート同士の接合が不十分になるようなことがほとんどなくなる。
【0012】
本発明の液体噴射装置において、上記外部連通孔がノズルプレートと反対側に開口している場合には、外部連通孔からダンパ室内等に液体が進入してダンパ効果に支障をきたす等の不具合が生じない。
【0013】
本発明の液体噴射装置において、上記流路形成部,封止板,ノズルプレートの積層体が、接着層を介さずに一体的に形成されている場合には、貼り合わせの作業が不要になるうえ、熱収縮率や線膨張係数の相違による歪の発生や剥離のおそれがない。
【0014】
本発明の液体噴射装置において、上記流路形成部,封止板,ノズルプレートの積層体が、セラミックス材料のグリーンシートが積層され焼成されて形成されている場合には、グリーンシートの積層体を焼成するセラミックス製品の製造に適している。
【0015】
本発明の液体噴射装置において、流路形成部に存在する流路以外の独立空間が、ノズル開口および液体貯留室と連通しない圧力発生室である場合には、例えば、圧力発生素子に駆動信号を入力する電極を引き回すために外部と連通しない圧力発生室が形成されたとき、上記圧力発生室が外部連通孔を介して大気開放されるため、圧力発生室周辺のプレートの接合部に歪が生じたり、プレート同士の接合が不十分になることがほとんどなくなる。
【0016】
本発明の液体噴射装置において、上記ノズル開口および液体貯留室と連通しない圧力発生室が、列設された圧力発生室の列の両端部に位置する圧力発生室である場合には、液体が噴射される圧力発生室が必ず両側を他の圧力発生室で挟まれることとなり、液体を噴射する圧力発生室が製造上安定して得られ、噴射特性も安定する。
【0017】
本発明の液体噴射装置において、流路形成部が、圧力発生室が形成された圧力発生室形成板と、上記圧力発生室とノズル開口を連通させるノズル連通路ならびに液体貯留室が形成された液体貯留室形成板と、上記液体貯留室から圧力発生室に液体を供給する供給口ならびにノズル開口と圧力発生室を連通させるノズル連通路が形成された供給口形成板を含む場合には、外部と連通しない圧力発生室が外部連通孔を介して大気開放されるため、圧力発生室周辺の振動板や供給口形成板等のプレートの接合部に歪が生じたり、プレート同士の接合が不十分になることがほとんどなくなる。
【0018】
本発明の液体噴射装置において、流路形成部に存在する流路以外の独立空間が、液体貯留室内の圧力変動を吸収するダンパ室である場合には、上記ダンパ室が外部連通孔を介して大気開放されるため、ダンパ室周辺のプレートの接合部に歪が生じたり、プレート同士の接合が不十分になることがほとんどなくなる。
【0019】
本発明の液体噴射装置において、流路形成部が、ダンパ室が形成されたダンパ室形成板と、上記ダンパ室と液体貯留室との間に挟まれるダンパ板とを含む場合には、ダンパ室周辺のダンパ板等のプレートの接合部に歪が生じたり、プレート同士の接合が不十分になることがほとんどなくなる。
【0020】
本発明の液体噴射装置において、上記圧力発生素子が圧電振動子である場合には、圧力発生素子として圧電振動子を用いた液体噴射装置において、独立空間の周辺に歪や接合不良等が生じにくい液体噴射装置となる。
【0021】
本発明の液体噴射装置において、上記圧電振動子が撓み振動モードの圧電振動子である場合には、圧力発生素子として撓み振動モードの圧電振動子を用いた液体噴射装置において、独立空間の周辺に歪や接合不良等が生じにくい液体噴射装置となる。
【0022】
本発明の液体噴射装置において、上記圧力発生素子が流路内の液体を加熱する加熱素子である場合には、圧力発生素子として加熱素子を用いた液体噴射装置において、独立空間の周辺に歪や接合不良等が生じにくい液体噴射装置となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0024】
図1および図2は、本発明の液体噴射装置の基本構造を示す図である。この実施の形態では、本発明の液体噴射装置をインクジェット式記録ヘッドに適用した例を示している。この記録ヘッドは、ノズル開口3が穿設されたノズルプレート17と、上記ノズル開口3から吐出されるインクの流路が形成されて上記ノズルプレート17の上に積層された流路形成部30と、上記流路形成部30の上に積層された振動板(封止板)11とを備えている。ここで、図3および図4に、上記ノズルプレート17,振動板11ならびに流路形成部30を構成する各プレートの平面図を示している。
【0025】
上記流路形成部30は、上記ノズル開口3に連通する圧力発生室2が形成された圧力発生室形成板10と、上記圧力発生室2に供給するインクが貯留されるインク貯留室4が形成されたインク貯留室形成板16と、上記インク貯留室4内の圧力変動を吸収するダンパ室7が形成されたダンパ室形成板21とを備えている。
【0026】
また、上記流路形成部30は、圧力発生室2の下部開口を塞ぐとともに、インク貯留室4に貯留されたインクを圧力発生室2に供給するインク供給口9が穿設された供給口形成板18を備えている。
【0027】
さらに、上記流路形成部30は、上記ダンパ室形成板21とインク貯留室形成板16との間に積層され、ダンパ室7とインク貯留室4との間に挟まれてダンパ室7の上部開口を塞ぎ、インク貯留室4内の圧力変動によって弾性変形することにより上記圧力変動をダンパ室7に逃がすダンパ板13を備えている。
【0028】
そして、上記流路形成部30は、ノズルプレート17側から、ダンパ室形成板21,ダンパ板13,インク貯留室形成板16,供給口形成板18,圧力発生室形成板10の順に積層されて構成されている。ここで、上記ダンパ室形成板21,ダンパ板13,インク貯留室形成板16,供給口形成板18には、それぞれ、ノズル開口3と圧力発生室2とを連通させるノズル連通路8が穿設されている。
【0029】
一方、上記振動板11の上面には、櫛歯状の下部電極19が形成されている。この下部電極19の各櫛歯部19Aは、それぞれ圧力発生室2の上部を覆う部分に形成されている。また、上記下部電極19の各櫛歯部19A上面に、それぞれ平板状の圧電振動子6が形成され、上記圧電振動子6の上面には、個別の上部電極20が形成されている。上記上部電極20および下部電極19を介して各圧電振動子6に駆動信号を印加するようになっている。
【0030】
そして、ノズルプレート17上に流路形成部30が積層され、この流路形成部30上に、圧電振動子6および上部電極20,下部電極19が形成された振動板11が積層されている。
【0031】
図において、26はインクカートリッジ(図示せず)等からインク貯留室4にインクを補給するインク補給口である。また、22は、ノズルプレート17,ダンパ室形成板21,ダンパ板13,インク貯留室形成板16,供給口形成板18を積層する際に各プレートの位置決めを行なう第1位置決め穴である。また、23は、インク貯留室形成板16,供給口形成板18,圧力発生室形成板10,振動板11を積層する際に各プレートの位置決めを行なう第2位置決め穴である。
【0032】
上記記録ヘッドにおいて、圧電振動子6に駆動信号が印加されると、圧電振動子6が横方向に収縮する。このとき、圧電振動子6の振動板11に固定された下面側は収縮せず、上面側だけが収縮するため、圧電振動子6および振動板11が下方にたわみ、圧力発生室2を圧縮する。そして、圧力発生室2内の圧力上昇により、圧力発生室2内のインクがノズル開口3からインク滴として吐出され、記録紙等にドットが形成されて印刷が行われる。ついで、圧電振動子6が放電されて元の状態に戻ると、圧力発生室2内が減圧され、インク貯留室4からインク供給口9を通して圧力発生室2へ新しいインクが供給される。
【0033】
この記録ヘッドでは、圧力発生室2が2列の列をなすように列設されている。そして、図5に示すように、下部電極19の各櫛歯部19A先端は、端子嵩上げ部材27の上に配置されるとともに、圧力発生室2の列の両端部を除く各櫛歯部19A先端は、絶縁部29によって絶縁され、上部電極20と接続されてセグメント電極端子となる。そして、圧力発生室2の列の両端部に位置する櫛歯部19A先端は、下部電極19に駆動信号を入力する際の共通端子28として用いられる。したがって、各共通端子28に対応する列両端部の圧力発生室2Aは駆動されることがなく、インク滴を吐出しないようになっている。
【0034】
そして、ダンパ室形成板21,ダンパ板13,インク貯留室形成板16,供給口形成板18それぞれの、列両端部の圧力発生室2Aに対応する部分には、それぞれノズル連通路8が形成されていない。また、供給口形成板18の、列両端部の圧力発生室2Aに対応する部分にはインク供給口9が形成されておらず、ノズルプレート17の、列両端部の圧力発生室2Aに対応する部分にはノズル開口3が形成されていない。
【0035】
これにより、列両端部の圧力発生室2Aは、図6に示すように、ノズル開口3およびインク貯留室4と連通せず、インク流路以外の独立空間となっている。一方、ダンパ室7も、インク流路と連通しない流路以外の独立空間となっている。
【0036】
ここで、上記記録ヘッドでは、ノズルプレート17、流路形成部30(インク貯留室形成板16,ダンパ板13,ダンパ室形成板21,供給口形成板18,連通穴形成板14,圧力発生室形成板10)、振動板11がすべてセラミックスから形成されている。
【0037】
上記のような記録ヘッドは、例えば、つぎのようにしてつくられる。すなわち、まず、セラミックスのグリーンシートを準備し、上記グリーンシートを打ち抜いて、ノズルプレート17,インク貯留室形成板16,ダンパ板13,ダンパ室形成板21,供給口形成板18,圧力発生室形成板10,振動板11にそれぞれ対応するプレートを形成する。このとき、インク貯留室4,ダンパ室7,インク供給口9,圧力発生室2,ノズル連通路8にそれぞれ対応する空間を打ち抜き等で形成しておく。
【0038】
そして、上記ノズルプレート17,インク貯留室形成板16,ダンパ板13,ダンパ室形成板21,供給口形成板18,圧力発生室形成板10,振動板11に対応するグリーンシートを所定の順序で積層したのち焼成することにより、接着剤を介することなくセラミックスで一体的に形成された記録ヘッドを得ることができる。
【0039】
このとき、上記記録ヘッドでは、列両端部の圧力発生室2Aおよびダンパ室7が、インク流路と連通しない流路以外の独立空間となっているため、これらの独立空間を閉塞状態で存在させると、グリーンシートを積層する工程で上記独立空間内の空気が十分逃げない。そして、積層体を焼成する工程では、上記独立空間内に閉じ込められた空気が膨張し、独立空間周辺のプレートの接合部に歪が生じ、プレート同士が十分接合されなかったり接合部が剥離しやすい。
【0040】
そこで、上記記録ヘッドでは、図7に示すように、振動板11の列両端部の圧力発生室2Aに対応する部分に、独立空間である圧力発生室2Aを外部と連通させる第1外部連通孔24が穿設され、上記圧力発生室2Aがノズルプレート17と反対側に大気開放されるようになっている。また、ダンパ室7の端部がインク貯留室4と重ならない部分まで延設されるとともに、図8に示すように、ダンパ板13,インク貯留室形成板16,供給口形成板18の、上記ダンパ室7の延設部分に対応する箇所に、独立空間であるダンパ室7を外部と連通させる第2外部連通孔25が穿設され、上記ダンパ室7をノズルプレート17と反対側に大気開放させるようになっている。
【0041】
このようにすることにより、列両端部の圧力発生室2Aやダンパ室7のようなインク流路ではない独立空間が存在したとしても、上記独立空間は、第1および第2外部連通孔24,25を介して大気開放されるため、グリーンシートを積層する段階で独立空間内の空気が十分逃げ、積層体を焼成する段階で独立空間内に閉じ込められた空気が膨張しても上記第1および第2外部連通孔24,25から空気が排出される。したがって、独立空間周辺のプレートの接合部に歪が生じたり、プレート同士の接合が不十分になるようなことがほとんどなくなる。
【0042】
また、上記第1および第2外部連通孔24,25をノズルプレート17と反対側に開口させているため、第1および第2外部連通孔24,25からダンパ室7等にインクが進入してダンパ効果に支障をきたす等の不具合が生じない。しかも、列設された圧力発生室2の列の両端部に位置する圧力発生室2Aをノズル開口3と連通させず、インク滴を吐出しないようにしたことにより、インク滴が吐出される圧力発生室2が必ず両側を他の圧力発生室2,2Aで挟まれることとなり、インク滴を吐出する圧力発生室2が製造上安定して得られ、吐出特性も安定する。
【0043】
ここで、図8に示した場合のように、上記外部連通孔25が複数のプレートに渡って設けられている場合には、いずれかのプレート(例えばダンパ板13)の外部連通孔25を他のプレートの外部連通孔25より大径に設定することにより、プレート同士の位置がずれた場合でも確実に独立空間であるダンパ室7を外部と連通させることができる。また、いずれかのプレート、好ましくは最も外側のプレート(この例では供給口形成板18)の外部連通孔25の径を小さく設定することにより、異物の進入を極力防ぐことができるようになる。
【0044】
なお、上記記録ヘッドを構成するセラミックス材料としては、特に限定するものではなく、各種の材料を用いることができる。例えば、炭化珪素,炭化チタン,炭化クロム,炭化ニオブ,炭化バナジウム,炭化ジルコニウム,炭化モリブデン,炭化ボロン等の各種炭化物、酸化ジルコニウム(ジルコニア),酸化アルミニウム,酸化マグネシウム,酸化珪素,酸化チタン,酸化ベリリウム等の各種酸化物、窒化アルミニウム,,窒化珪素,窒化ベリリウム,窒化ボロン等の各種窒化物,ほう化ジルコニウム,ほう化クロム,ほう化チタン等の各種ほう化物、サイアロン等のような複合化合物等をあげることができる。これらは、単独でもしくは併せて用いられる。これらのなかでも、ジルコニアは、機械的強度や靭性に優れるうえ耐食性にも優れ、液体噴射装置を構成する材料として好適である。
【0045】
上記記録ヘッドでは、流路形成部30,振動板11,ノズルプレート17がそれぞれセラミックスから形成されているため、インクと接触する流路がすべてセラミックスから形成されることとなり、流路の耐インク性が飛躍的に向上する。したがって、使用するインクの種類に制限を受けず、例えば、ステンレス鋼に対してエッチング作用のあるインクや、接着剤を溶出させるようなインクも使用でき、使用するインクの特性に制限がほとんどなくなる。また、流路の化学的安定性が向上して有機物の溶出等がなくなるため、例えば、食品分野や医療分野等にも使用できるようになり、適用分野の制限もほとんどなくなる。
【0046】
さらに、上記記録ヘッドでは、上記流路形成部30,振動板11,ノズルプレート17の積層体が、接着層を介さずに一体的に形成されているため、貼り合わせの作業が不要になるうえ、熱収縮率や線膨張係数の相違による歪の発生や剥離のおそれがない。さらに、積層構造であるため、セラミックスのグリーンシートからの製造に適している。
【0047】
なお、上記各実施の形態では、本発明を撓み振動モードの圧電振動子が用いられた液体噴射装置に適用した例を示したが、これに限定するものではなく、縦振動モードの圧電振動子が用いられた液体噴射装置に適用することもできるし、圧力発生素子として流路内のインクを加熱する加熱素子が用いられた記録ヘッドに適用することも可能である。
【0048】
また、上記各実施の形態では、本発明の液体噴射装置を、インクジェット式記録ヘッドに適用した例を示したが、これに限定するものではなく、例えば、吐出する液体をガソリン等の燃料とし、内燃機関の燃料噴射装置として用いることもできる。さらに、透明基板上にマトリックス状に形成された透明電極の上に有機発光層を形成する表示体の、有機発光層の形成等にも応用することができる。このように、本発明の液体噴射装置では、噴射する液体として各種の液体を適用することができ、各種の産業分野に応用することが可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明の液体噴射装置によれば、液体と接触する流路がすべてセラミックスから形成されるため、流路の耐液体性が向上する。したがって、使用する液体の種類に制限を受けず、例えば、ステンレス鋼に対してエッチング作用のある液体や、接着剤を溶出させるような特性の液体でも使用が可能になる。また、例えば、ダンパ室のような液体の流路ではない独立空間が存在したとしても、上記独立空間は、外部連通孔を介して大気開放されるため、グリーンシートを積層する段階で独立空間内の空気が十分逃げる。そして、積層体を焼成する段階で独立空間内に閉じ込められた空気が膨張しても外部連通孔から排出される。したがって、独立空間周辺のプレートの接合部に歪が生じたり、プレート同士の接合が不十分になるようなことがほとんどなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体噴射装置の基本構造を示す分解斜視図である。
【図2】上記液体噴射装置のA−A断面図である。
【図3】上記液体噴射装置を構成するプレートを示す平面図であり、(a)はノズルプレート、(b)はダンパ室形成板、(c)はダンパ板である。
【図4】上記液体噴射装置を構成するプレートを示す平面図であり、(a)はインク貯留室形成板、(b)は供給口形成板、(c)は圧力発生室形成板、(d)は振動板である。
【図5】上記液体噴射装置の下部電極と圧力発生室の位置関係を示す説明図である。
【図6】上記液体噴射装置の圧力発生室,ダンパ室と第1,第2外部連通孔の位置関係を示す説明図である。
【図7】上記液体噴射装置のB−B断面図である。
【図8】上記液体噴射装置のC−C断面図である。
【図9】従来例の液体噴射装置を示す断面図である。
【符号の説明】
2,2A 圧力発生室
3 ノズル開口
4 インク貯留室
7 ダンパ室
11 振動板
17 ノズルプレート
24 第1外部連通孔
25 第2外部連通孔
30 流路形成部
Claims (1)
- ノズル開口が穿設されたセラミックス製のノズルプレートと、上記ノズル開口に連通する圧力発生室ならびに上記圧力発生室に供給する液体を貯留する液体貯留室が形成されて上記ノズルプレートに積層されたセラミックス製の流路形成部と、上記流路形成部に積層されて圧力発生室の開口を封止するセラミックス製の封止板と、上記圧力発生室に圧力を発生させる圧力発生素子とを備え、上記流路形成部は前記ノズルプレートと前記液体貯留室の間に存在する流路以外の独立空間を外部に連通させる外部連通孔がノズルプレートと反対側に開口するように複数の板に渡って形成されており、そのうちの最も外側の板は、前記独立空間と前記液体貯留室の間の板よりも径が小さくなっていることを特徴とする液体噴射装置。
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