JP4138638B2 - シリカ分散親水性ポリウレタン系樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
このポリウレタン系樹脂とはポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリウレタン−ポリウレア樹脂を総称するものである。
これらのポリウレタン系樹脂は基本的には高分子量ポリオール成分、有機ポリイソシアネート成分、更に必要に応じて鎖延長剤成分を反応させて得られるものであり、これら各成分の種類、組み合わせ等によって種々の物性のポリウレタン系樹脂が提供される。
ポリウレタン系樹脂のうち、高分子量親水性ポリオール成分としてエチレンオキサイドの開還重合から得られるポリエチレングリコールを使用した場合には、高強度で高弾性、且つ親水性に優れたポリウレタン系樹脂が得られるものの、耐水性が悪く、水分により膨潤、白化、強度低下が起こり、各種塗料、印刷インキのバインダー、成型体、フィルム、シート等には適さないという問題があった。
しかし、上記公知のような例においては、微粒子充填剤は全ポリウレタン系樹脂中に高々5質量%程度しか分散できず、多量の微粒子充填剤をポリウレタン系樹脂に分散させることは困難である。
これは粉末状の微粒子は増粘剤やチキソトロピック化剤等として広く知られているように、多量の微粒子充填剤を分散させたポリウレタン系樹脂や高分子量ポリオールの粘度は極めて高くなるからである。
又、微粒子充填剤は、一般には、つや消し剤(マット剤)として使用されるように、一般には透明性を低下させ、たとえ5質量%以下の少ない分散量であってもその透明性は著しく低下する。
本発明者らは、上記目的を達成すべく検討を重ねた結果、親水性セグメントとポリシロキサンセグメントとを有する親水性ポリウレタン系樹脂を製造する際に、原料成分中の高分子量親水性ポリオール及び/又はポリアミンとして、予めシリカゾルを分散させた高分子量親水性ポリオール及び/又はポリアミンを用いることにより、得られた上記の親水性ポリウレタン系樹脂に微粒子シリカが分散した組成物は、その溶液においては微粒子シリカは、その量が多くても分離・沈降せずに安定に分散した分散液を形成し、又、そのフィルムは透明であり、上記目的が達成されることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、有機ポリイソシアネートと、下記のいずれかの、重量平均分子量が400〜8,000の高分子量親水性ポリオール及び/又はポリアミンと、分子内に少なくとも1個の活性水素含有基を有するポリシロキサン化合物とを反応させて得られる親水性セグメントとポリシロキサンセグメントとを有する親水性ポリウレタン系樹脂と平均粒径が1μm以下の微粒子シリカとからなるシリカ分散親水性ポリウレタン系樹脂組成物を製造する方法において、上記親水性ポリウレタン系樹脂を、上記原料成分中の高分子量親水性ポリオール及び/又はポリアミンの少なくとも一部として、シリカゾルと上記ポリオール及び/又はポリアミンとの混合物であって、上記ポリオール及び/又はポリアミンとシリカゾルとの混合物からシリカゾルの分散溶剤を除去したものを使用して製造することを特徴とするシリカ分散親水性ポリウレタン系樹脂組成物の製造方法である。
ポリエチレングリコール、
ポリエチレングリコール/ポリテトラメチレングリコール共重合ポリオール、
ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール共重合ポリオール、
ポリエチレングリコールアジペート、
ポリエチレングリコールサクシネート、
ポリエチレングリコール/ポリε−ラクトン共重合ポリオール、
ポリエチレングリコール/ポリバレロラクトン共重合ポリオール、
ポリエチレンオキサイドジアミン、
ポリエチレンオキサイドプロピレンオキサイドジアミン、
ポリエチレンオキサイドトリアミン、
ポリエチレンオキサイドプロピレンオキサイドトリアミン
ところが、ポリシロキサンセグメント含有量の少ない樹脂から形成される膜表面は、乾燥状態では完全にポリシロキサン成分で覆われるが、膜を水中に浸漬した場合にはポリシロキサン成分が樹脂中に埋没してしまう現象、つまり環境応答性があることが知られている。(高分子論文集、第48巻[第4号]、227頁(1991)等)。
従って、上述の例示の化合物のみならず、その他現在市販されており、市場から容易に入手し得る化合物は、いずれも本発明において使用することができる。
ポリエチレングリコール
ポリエチレングリコール/ポリテトラメチレングリコール共重合ポリオール
ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール共重合ポリオール
ポリエチレングリコールアジペート
ポリエチレングリコールサクシネート
ポリエチレングリコール/ポリε−ラクトン共重合ポリオール
ポリエチレングリコール/ポリバレロラクトン共重合ポリオールが、
末端がアミノ基で親水性を有するポリアミンとしては、具体的には、
ポリエチレンオキサイドジアミン
ポリエチレンオキサイドプロピレンオキサイドジアミン
ポリエチレンオキサイドトリアミン
ポリエチレンオキサイドプロピレンオキサイドトリアミンが挙げられる。
但し、他の性能を付与するため、親水性鎖を有しない他のポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸等を共重合することも可能である。
本発明のシリカ分散親水性ポリウレタン系樹脂において、親水性セグメント及びポリシロキサンセグメントを分子鎖中に有する親水性ポリウレタン系樹脂は、重量平均分子量(GPCで測定した標準ポリスチレン換算)が、3,000〜800,000の範囲が好ましく、更に好ましくは5,000〜500,000の範囲である。
微粒子シリカの含有量が5質量%未満では、本発明の目的である耐ブロッキング性、滑性といった表面特性の発現が不十分となり、一方95質量%を超えると皮膜の強度、基材に対する接着性等に劣るようになるので好ましくない。
さらに驚くべきことに、微粒子シリカの含有量が75〜95質量%では、本明のシリカ分散親水性ポリウレタン系樹脂組成物は、その溶液を基材にコーティングして皮膜形成後には、数mμm(nm)サイズの微多孔質を形成し、透明性にも優れた皮膜が得られる。
ポリシロキサンセグメントの含有量が0.1質量%未満では本発明の目的である耐水性、耐ブロッキング性、滑性といった表面特性の発現が不十分となり、一方、10質量%を超えるとポリシロキサンセグメントによる撥水性が強くなるとともに、本発明が利用する環境応答性に乏しくなり、吸水性、防曇性や透明性に劣るようになるので好ましくない。
ポリエチレングリコール(分子量1,000)700部とシリカ水ゾル(シリカ平均粒径10〜20nm、固形分20%)1,500部を混合し、攪拌しながら70℃で減圧脱水を行った。
理論量の水が留去された後、温度を120℃に上げ、133.3Pa以下の減圧下で水分を除去してシリカ含有量30%の白色固体状ポリオール(A)が得られた。このポリオールは、水酸基価76mgKOH/g、水分率0.15%、80℃では透明で、粘度は450dPa・sであった。
ポリエチレングリコール(分子量590)100部とシリカ水ゾル(シリカ平均粒径200〜230nm、固形分30%)333部を混合し、攪拌しながら70℃で減圧脱水を行った。
理論量の水が留去された後、温度を120℃に上げ、133.3Pa以下の減圧下で水分を除去してシリカ含有量50%の白色固体状ポリオール(B)が得られた。このポリオールは、水酸基価95mgKOH/g、水分率0.12%、110℃で軟化する。
ポリエチレンオキサイドジアミン(テキサコケミカル社製ジェファーミンED;分子量600)100部とシリカメタノールゾル(シリカ平均粒径20〜30nm、固形分40%)2,250部を混合し、攪拌しながら70℃で減圧脱水を行った。
理論量の水が留去された後、温度を120℃に上げ、133.3Pa以下の減圧下でメタノールを除去してシリカ含有量90%の白色固体状ポリアミン(C)が得られた。このポリアミンは、アミン当量30g/mol、水分率0.20%、130℃で軟化する。
(シリカ分散親水性ポリウレタン樹脂組成物の製造)
上記構造のポリジメチルシロキサンポリオール(分子量3,200)5部と、参考例1のポリオール(A)150部、エチレングリコール5部を、200部のメチルエチルケトンと200部のジメチルホルムアミドとの混合溶媒中に溶解し、60℃でよく攪拌しながら、48部の水素添加MDIを100部のメチルエチルケトンに溶解したものを徐々に滴下し、滴下終了後80℃で8時間反応させた後、ジメチルホルムアミド330部を加えて本発明のシリカ分散親水性ポリウレタン樹脂組成物の溶液を得た。
この溶液は固形分20%で、30dPa・s(25℃)の粘度を有し、ポリウレタン樹脂のGPCで測定し、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(以下の例においても同様)は42,000であり、ポリシロキサンセグメントの含有量は2.1%、親水性セグメントの含有量は50.5%、微粒子シリカの含有量は21.6%であった。
この溶液から形成したフィルムは透明で、破断強度は35.5Mpa、破断伸度は30%、且つ軟化点は175℃であった。
(シリカ分散親水性ポリウレタン−ポリウレア樹脂組成物の製造)
上記構造のポリジメチルシロキサンジアミン(分子量3,880)5部、参考例2のポリオール(B)120部及びポリエチレンオキサイドジアミン(分子量2,000)25部を100部のメチルエチルケトン及び200部のジメチルホルムアミド混合溶剤中に溶解し、60℃でよく攪拌しながら、30部の水素添加MDIを100部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を徐々に滴下し、滴下終了後80℃で8時間反応させた後、ジメチルホルムアミド320部を加えて本発明のシリカ分散親水性ポリウレタン−ポリウレア樹脂組成物の溶液を得た。
この樹脂溶液は、固形分20%で、80dPa・s(25℃)の粘度を有していた。
ポリウレタン−ポリウレア樹脂の重量平均分子量は51,000であり、ポリシロキサンセグメントの含有量は2.5%、親水性セグメントの含有量は47.2%、シリカの含有量は33.3%であった。
この溶液から形成したフィルムは、透明で、破断強度は28.5Mpa、破断伸度は20%、且つ軟化点は183℃であった。
(シリカ分散ポリウレア樹脂組成物の製造)
実施例2のポリジメチルシロキサンジアミン(分子量3,880)5部、参考例3のポリアミン(C)145部をジメチルホルムアミド250部中に溶解し、内温を0〜−5℃に保ってよく攪拌しながら、6部の水素添加MDIを100部のジメチルホルムアミドに溶解した溶液を徐々に滴下して反応させた。
滴下終了後、次第に内温を上昇させ、50℃に達した所でさらに5時間反応後、ジメチルホルムアミド275部を加えて本発明のシリカ分散ポリウレア樹脂組成物の溶液を得た。
この樹脂溶液は固形分20%で、170dPa・s(25℃)の粘度を有しており、ポリウレア樹脂の重量平均分子量は41,000であり、ポリシロキサンセグメントの含有量は2.8%、親水性セグメントの含有量は9.3%、シリカの含有量は83.6%であった。
樹脂溶液から形成したフィルムはやや半透明で多孔質である。又、破断強度は8.2Mpa、破断伸度は5%、且つ軟化点は220℃であった。
ポリジメチルシロキサンポリオールを使用せず、又参考例1のポリオール(A)のシリカを除いたポリオールを使用する他は実施例1と同じ材料と処方によりポリウレタン樹脂の溶液を得た。
この樹脂溶液は、固形分20%で、50dPa・s(25℃)の粘度を有し、ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は68,000であった。
この溶液から形成したフィルムの破断強度は35.0Mpa、破断伸度450%、軟化点は103℃であった。
ポリジメチルシロキサンジアミンを使用せず、又参考例2のポリオール(B)のシリカを除いたポリオールを使用する他は実施例2と同じ材料と処方によりポリウレタン−ポリウレア樹脂の溶液を得た。
この樹脂溶液は、固形分20%で、40dPa・s(25℃)の粘度を有し、ポリウレタン−ポリウレア樹脂の重量平均分子量は55,000であった。
この樹脂溶液から形成したフィルムの破断強度は25.3Mpa、破断伸度400%、軟化点は95℃であった。
ポリジメチルシロキサンジアミンを使用せず、又参考例3のポリアミン(C)のシリカを除いたポリアミンを使用する他は実施例3と同じ材料と処方によりポリウレア樹脂の溶液を得た。
この樹脂溶液は、固形分20%で、25dPa・s(25℃)の粘度を有し、ポリウレア樹脂の重量平均分子量は32,000であった。
この樹脂溶液から形成したフィルムの破断強度は22.7Mpa、破断伸度350%、軟化点は115℃であった。
参考例1〜3のそれぞれのシリカ水ゾル又はシリカメタノールゾルを、比較例1〜3のそれぞれの樹脂溶液中に攪拌しながら添加したが、粒子が析出し、溶液は不透明となった。
鹸化度98.5%のポリビニルアルコール(重合度550)の5%水溶液を調整した。
〔1〕インクジェット用受像層への応用
実施例1〜3、比較例1〜7で得られた樹脂の溶液のそれぞれを100μm厚のPETフィルムに乾燥後の厚みが25μmとなるように塗工して透明シートを作製し、カラーインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製PM−800C)で印字記録を行い、以下の項目の評価を行った。
樹脂コーティング面に未処理PETフィルムを重ね、荷重0.29Mpa、温度40℃で一日放置後のブロッキング性の評価を行った。
結果の表示は以下の通りである。
○:ブロッキング性なし
△:ややブロッキング性あり
×:ブロッキング性あり
樹脂コーティング面の曇りを目視にて判定した。
○:完全に透明
△:僅かに曇りがある
×:完全に不透明
インクジェットプリンターでカラー印字後、得られたカラー画像の発色鮮明性を目視により観察した。
○:滲みがなく鮮明
△:滲みはないがやや不鮮明
×:滲みがある
インクジェットプリンターでカラー印字後、50g/m2の荷重で5秒間濾紙を押し付けインキが濾紙に転写しなくなるまでの時間を測定した。
インクジェットプリンターでカラー印字後、記録シートを水中に漬け(20℃、1時間)、その後室温で乾燥した際の、記録画像の滲み、発色の変化を目視により観察した。
○:変化なし
△:インキ及び皮膜に変化が認められる
×:インキがかなりとれるか、皮膜ごと取れる
以上の評価結果を表1に示す。
比較例1で得られた樹脂に、非イオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル:日本油脂製)を固形分質量比が95:5となるように混合した。
ポリビニルブチラール(重合度700:積水化学製)100部、トリオクチルフォスフェート50部及びポリオキシエチレンラウリルエーテル酸エステル(リン酸エステル系界面活性剤:第一工業製薬製)3部をエタノール400部に混合溶解した。
実施例1〜3、比較例1、8、9で得られた樹脂溶液をそれぞれ透明なアクリル樹脂板に乾燥後の厚みが25μmとなるよう刷毛塗りして試料とし、表面硬さ、防曇性、帯電防止性の評価を行った。
鉛筆硬度試験(JIS K5400の8.4)表面傷で評価した。
80℃の温浴上、5cmのところに試料板をセットして水蒸気に10分間曝した時の塗膜の曇りを評価した。
○:曇りなし
△:部分的に曇り
×:曇り
80℃の温浴上、5cmのところに試料板をセットして水蒸気に10分間曝した時の塗膜状態を評価した。
○:変化なし
△:やや塗膜に変化あり
×:塗膜の剥離や溶解
ダストチェンバーテストにより帯電カーボンの付着性を評価した。
○:カーボンの付着なし
△:一部カーボンの付着あり
×:カーボン付着
以上の評価結果を表2に示す。
Claims (4)
- 有機ポリイソシアネートと、下記のいずれかの、重量平均分子量が400〜8,000の高分子量親水性ポリオール及び/又はポリアミンと、分子内に少なくとも1個の活性水素含有基を有するポリシロキサン化合物とを反応させて得られる親水性セグメントとポリシロキサンセグメントとを有する親水性ポリウレタン系樹脂と平均粒径が1μm以下の微粒子シリカとからなるシリカ分散親水性ポリウレタン系樹脂組成物を製造する方法において、上記親水性ポリウレタン系樹脂を、上記原料成分中の高分子量親水性ポリオール及び/又はポリアミンの少なくとも一部として、シリカゾルと上記ポリオール及び/又はポリアミンとの混合物であって、上記ポリオール及び/又はポリアミンとシリカゾルとの混合物からシリカゾルの分散溶剤を除去したものを使用して製造することを特徴とするシリカ分散親水性ポリウレタン系樹脂組成物の製造方法。
ポリエチレングリコール、
ポリエチレングリコール/ポリテトラメチレングリコール共重合ポリオール、
ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール共重合ポリオール、
ポリエチレングリコールアジペート、
ポリエチレングリコールサクシネート、
ポリエチレングリコール/ポリε−ラクトン共重合ポリオール、
ポリエチレングリコール/ポリバレロラクトン共重合ポリオール、
ポリエチレンオキサイドジアミン、
ポリエチレンオキサイドプロピレンオキサイドジアミン、
ポリエチレンオキサイドトリアミン、
ポリエチレンオキサイドプロピレンオキサイドトリアミン - シリカゾル中のシリカの平均粒径が1〜300nmである請求項1に記載のシリカ分散親水性ポリウレタン系樹脂組成物の製造方法。
- 上記の分散溶剤を除去した混合物中のシリカの含有量が、上記生成組成物中のシリカ含有量が5〜95質量%となる量である請求項1に記載のシリカ分散親水性ポリウレタン系樹脂組成物の製造方法。
- 親水性ポリウレタン系樹脂中の親水性セグメントの含有量が30〜80質量%、ポリシロキサンセグメントの含有量が0.1〜10質量%である請求項1に記載のシリカ分散親水性ポリウレタン系樹脂組成物の製造方法。
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