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JP4141290B2 - 注射薬調剤支援システム - Google Patents
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JP4141290B2 - 注射薬調剤支援システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、病院において複数の患者に注射薬を調剤するのを支援するシステムに関し、注射薬マスターデータベースや患者データベースを備えた調剤支援コンピュータと、複数の注射薬を種類別に収納して取り出し返却可能にした注射薬収納装置とを有し、調剤支援コンピュータと注射薬収納装置の間で情報授受可能にしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多数の入院患者を複数の病棟に入院させており、複数のガン患者に物理化学療法を施すような総合病棟においては、医師の処方箋に基づいて、各病棟に必要な種類と量の薬品を取り揃えて供給したり、各患者別施用別に種々の薬品(散薬、錠剤、注射薬及び輸液、その他)を取り揃えて供給したりする必要がある。
【0003】
特許文献1に記載の注射剤混合支援装置は、医師が作成した処方箋に従って、複数種の注射薬を輸液に混合して患者に施用するような場合に、注射薬の混濁、沈殿の外観変化や、成分の分解、力価の低下などが発生する場合が少なくないこと、看護師等にとってもこれらの諸現象について十分な薬学的な知識を具備することが難しいこと、等に鑑みて提案されたものである。
【0004】
この注射剤混合支援装置では、ホストコンピュータに接続されたコンピュータに、患者属性データファイル、注射処方ファイル、混合支援データファイル、配合不可データファイル、注意情報データファイル、配合変化記録ファイル、各種マスタファイルなどを装備し、キーボード、ディスプレイ、プリンタも装備し、患者データとその患者用の処方注射剤データと配合関連のデータとをディスプレイに表示させる。
【0005】
また、配合関連のデータファイルに、各注射剤のpH値データを格納し、複数の注射剤のpH値に基づいてそれら注射剤の配合順序を決定してディスプレイに表示でき、配合関連のデータファイルに、2種類の注射剤が配合できない組み合わせであるか否かの配合不可データを格納しておき、複数の処方注射剤の複数の注射剤組み合わせが配合可能か否かを判断してディスプレイに表示させる。
【0006】
特許文献2に記載の薬袋印刷装置では、コンピュータに、薬品マスタファイル、配合不可ファイル、pH変動ファイル、配合注意ファイル、プリンタなどを装備し、複数の処方薬剤を配合(混合)する際にpH値が有効範囲に納まるか否か判定し、pH値の有効範囲が崩れる場合には配合しないように規制する。この装置では、処方された複数の薬剤を配合する場合の配合可否を判定すると共に、患者の処方情報に基づいて患者別施用別の薬剤を纏めて収容する為の患者別施用別薬袋に必要な情報を印刷可能である。
【0007】
特許文献3に記載の薬品収納装置は、本願出願人が実用化した商品名「リテラ」と称する薬品収納装置の一例である。この薬品収納装置の上半部には、複数のカセットを4段9列のマトリックス状に収納する小型カセット収納部と、ディスプレイや操作パネルのある操作部とが設けられ、薬品収納装置の下半部には、大型カセット収納部が設けられている。小型カセット収納部の各段の前下がりに傾斜させたカセットホルダーには9個の小型のカセットが載置され、各カセットには1種類の複数の注射薬(アンプルやバイアル)が収納される。
【0008】
カセットの前面には指示ランプが設けられ、各カセットの前端の注射薬を取り出したり、返却したり可能であり、各カセットに収納されている注射薬の数量を検出する為の複数の検出センサを1列状に設けたセンサ基板が、カセットホルダーを載置するホルダ載置面に設けられ、それら検出センサからの検出信号がコントローラに供給され、それら検出信号から各カセットに実際に収納されている注射薬の数量が検知可能になっている。
【0009】
大型カセット収納部には、9個の大型のカセットが立て向きに収納され、その各カセットには1種類の複数の輸液容器(輸液瓶、輸液バッグ、薬品類)が収納され、最下端の輸液容器を取り出したり、返却したり可能である。操作部には、液晶ディスプレイ、キーボード、FD装着部、ロール紙プリンタ、バーコードリーダー、磁気カードリーダー、コンピュータを含むコントローラが設けられ、その他に音声出力用のスピーカーも設けられている。
【0010】
この薬品収納装置は、主に看護師や薬剤師等が、各患者に対し医師より処方された複数種の注射薬のうち各施用毎に投与する1回投与分の注射薬(輸液を含む)を取り揃えたり、各手術などで必要とされる複数種の注射薬の1回手術分を取り揃えたりする為の装置であって、複数種の注射薬についの種々の管理データを作成する機能のある装置である。
【0011】
処方箋や指示箋に基づいて、取り揃え対象の複数の注射薬を指定する情報(薬品名又は薬品コードと数量)を、キーボードやバーコードリーダーから入力すると、それら複数種の注射薬のリストがディスプレイに表示され、且つ複数種の注射薬に対応するカセットの指示ランプが点灯する。そこで、指示ランプが点灯したカセットから必要数の注射薬を取り出すことで、複数種の注射薬を取り揃えることができる。コントローラでは、複数の検出センサからの検出信号により、注射薬の種類別に注射薬の取り出しや返却とその数量を検知し、薬品収納装置に収納している注射薬の在庫情報(注射薬の種類、数量、有効期限等)をリアルタイムで更新しつ記憶し、在庫品リスト、発注票等の帳票類をロール紙に印字出力可能である。
【0012】
特許文献3には、他の薬品収納装置として、薬品収納装置の下半部に、例えば6個の引出しを設け、各引出しに輸液の入っている複数の輸液容器などを収納し、各引出しとその収納物の総重量を検出する秤量手段を設け、重量の増減から輸液容器の取り出しや返却を検知可能にしたものも開示されている。
【0013】
【特許文献1】
特開2000−311205号公報
【特許文献2】
特開2000−113072号公報
【特許文献3】
特開2002−153540号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献3に記載の薬品収納装置においては、看護師や薬剤師が処方箋や指示箋を見ながら、取り揃えたい複数種の注射薬について、薬品名や薬品コードをキーボード入力する場合は、入力ミスが発生し易く、その入力に時間がかかり労力を要し、また、バーコードリーダーで入力するにも、薬品コードをバーコード表記したものが完備していない場合も多く、やはり薬品名や薬品コードの入力に時間がかかり労力を要する。
【0015】
この薬品収納装置を用いて注射薬を取り揃える前後に、薬品収納装置から取り揃えた注射薬を収容する薬袋と、輸液容器に貼るラベルと、患者の手首に付ける患者IDを記したリストバンドとが必要であるが、従来の薬品収納装置では、約8cm幅のロール紙に印字するプリンタが装備されているだけであるので、前記の薬袋、ラベル、リストバンドを簡単に作成することはできず、面倒であった。
しかも、薬袋収納装置で管理する種々の管理項目(薬品別在庫情報や発注情報、患者別薬品使用量等々)を印字した帳票類をロール紙に印字するため、印字速度が低く、作成した帳票類の整理の面でも不便であった。
さらに、この薬品収納装置では、取り出した薬品を返却したり、在庫量が少なくなった薬品を補充することも頻繁に行われる。薬品の取り出しや装填は検出センサセンサの検出信号から検出できるものの、薬品の返却と補充とを区別して検出することができず、薬品別に取り出し・返却・補充を区別して薬品別の数量等を管理することが不可能であった。また、薬品の在庫数量等を検出できるものの、各操作者と関連づけて各操作者の操作終了毎の在庫情報等を記録していないため、誰が不正取り出し等を行ったのかを究明することが困難であった。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1の注射薬調剤支援システムは、病院において複数の患者に注射薬を調剤するのを支援するシステムにおいて、複数の患者の患者ID情報と処方情報とを格納した患者データファイルとを有する調剤支援コンピュータと、この調剤支援コンピュータに接続され薬袋に印刷する薬袋プリンタおよび帳票類を印刷する帳票プリンタおよびラベル類を印刷するラベルプリンタと、前記調剤支援コンピュータに接続された注射薬収納装置とを備え、前記注射薬収納装置は、本体ケースと、複数種の注射薬を夫々種類別に取り出し・返却可能に収納する複数の収納部と、複数の収納部に夫々収納される複数の注射薬の有無を検出する複数の検出センサと、複数の収納部の前面を開閉可能な開閉体と、この開閉体に施錠可能な電動施錠手段と、タッチパネル付きの表示手段と、音声出力手段と、複数の収納部を個別に指示可能な複数の指示ランプと、上記の諸手段や機器を制御する制御ユニットとを備え、前記制御ユニットは、操作者ID情報の入力後に、収納部からの注射薬の取り出しを許可する取り出し許可モードに設定可能であり、この取り出し許可モードにおいて収納部への注射薬の返却を許可する返却許可モードに設定可能であり、前記取り出し許可モードでない時の注射薬の不正取り出しや返却許可モードでない時の注射薬の不正返却に対して表示手段又は音声出力手段により警告を発する警告制御手段と、前記不正取り出しを行った日時と操作者の操作者ID情報とを含む不正取り出し関連データと、前記不正返却を行った日時と操作者の操作者ID情報とを含む不正返却関連データとを所定のファイルに記憶する処理を行う手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0017】
注射薬収納装置において、複数の収納部に夫々予め設定された種類の複数の注射薬が収納され、この装置を使用する際には、電源投入後、制御ユニットにより電動施錠手段を開錠して開閉体を開き、制御ユニットは、複数の検出センサからの検出信号に基づいて、各収納部に収納されている注射薬の数量を求める。
【0018】
各患者に処方された注射薬を取り揃える際には、調剤支援コンピュータの患者データファイルから、何れかの患者の患者ID情報と処方情報とを制御ユニットに供給する。制御ユニットは、処方情報に基づいて各施用に必要な1又は複数種の注射薬を決定し、その注射薬を表示手段に表示させ、該当する指示ランプを点灯させて注射薬取り出しのガイドを行う。
【0019】
前記制御ユニットは、取り出した注射薬を収容する薬袋の作成の為に必要な薬袋印刷情報を調剤支援コンピュータに出力して薬袋プリンタに印刷させ、また、輸液が施用される場合には輸液容器に貼るラベルの作成の為に必要なラベル印刷情報を調剤支援コンピュータに出力してラベルプリンタに印刷させ、また、新規患者でリストバンドが必要な場合には、リストバンド作成の為に必要なリストバンド印刷情報を調剤支援コンピュータに出力してラベルプリンタに印刷させる。
【0020】
前記制御ユニットは、操作者ID情報の入力後に、収納部からの注射薬の取り出しを許可する取り出し許可モードに設定可能であるので、各操作者別に許可される取り出し許可モードのときだけ、その操作者は注射薬の取り出しを行うことが許可され、この取り出し許可モードでない時に注射薬の取り出しを行うと不正取り出しとなる。また、注射薬の取り出しの際に、取り出しミスが発生するため、取り出し許可モードにおいて返却許可モードが設定可能であり、各操作者別に許可される返却許可モードのときだけ、その操作者は注射薬の返却を許可され、この返却許可モードでない時に注射薬の返却を行うと不正返却となる。前記制御ユニットは、前記取り出し許可モードでない時の注射薬の不正取り出しや返却許可モードでない時の注射薬の不正返却に対して表示手段又は音声出力手段により警告を発する警告制御手段を備えたので、警告制御手段により上記のような警告を発するため、注射薬の取り出しミスや返却ミスの発生を操作者に知らせてそれらのミスを解消させることができる。前記制御ユニットは、前記不正取り出しを行った日時と操作者の操作者ID情報とを含む不正取り出し関連データと、前記不正返却を行った日時と操作者の操作者ID情報とを含む不正返却関連データとを所定のファイルに記憶する処理を行う手段を備えたので、複数の不正処理を表示させ、更に指定された不正処理の明細を表示させて、不正処理の原因究明と対策の立案に活用することができる。
【0021】
以上の構成に加えて、次のような構成を採用してもよい。
前記制御ユニットは、指定期間における複数の操作者による不正取り出しと不正返却を含む不正処理のみを夫々日時と操作者ID情報とを対応させて表示手段に時系列的に一覧表示させるように構成され、その一覧表示させる情報を作成する不正処理一覧表示情報作成手段を有する(請求項2)。指定期間における複数の不正処理を時系列的に一覧表示させて、その複数の不正処理から所望の不正処理を指定して、指定された不正処理の明細を表示させるように構成できる。
【0022】
前記制御ユニットは、取り出された注射薬の薬品名又は薬品コードと数量を検出するとともに、返却された注射薬の薬品名又は薬品コードと数量を検出する検出制御手段を有し、前記不正取り出し関連データは、不正取り出しされた注射薬の薬品名又は薬品コードとその数量を含み、前記不正返却関連データは、不正返却された注射薬の薬品名又は薬品コードとその数量を含む(請求項3)。複数の不正処理の各々について、不正区分、薬品名、数量を表示させることができる。
【0023】
前記制御ユニットは、指定期間における複数の操作者による不正取り出しと不正返却を含む不正処理を夫々日時と操作者ID情報とを対応させて表示手段に時系列的に一覧表示させた状態で、指定された不正処理について、その不正処理を行った日時と操作者ID情 報と共に、不正処理された注射薬の薬品名又は薬品コードと数量を表示手段に表示させるように構成される(請求項4)。指定された不正処理について、不正区分、発生日時、担当者(操作者)、薬品、数量を表示させることができる。
【0024】
前記制御ユニットは、複数種の注射薬のマスターデータを格納した注射薬マスターファイルと、複数の収納部に夫々収納する注射薬の種類と最大収納数量を予め設定する為の収納形態設定制御手段とを有する(請求項5)。前記の注射薬のマスターデータの情報に基づいて、注射薬の薬品名や薬品コードや規格量などの注射薬に関する種々の情報を適宜表示手段に表示させることができ、また、この収納形態設定制御手段を介して、注射薬収納装置の複数の収納部に注射薬をフルに装填した状態における、各収納部に収納する注射薬の種類と最大収納数量が設定されて記憶される。尚、注射薬収納装置に注射薬を一括補充する際には、各種類の注射薬が最大収納数量に装填される。
【0025】
前記制御ユニットは、前記取り出し許可モードにおいて、調剤支援コンピュータの患者データファイルから供給される患者ID情報と処方情報に基づいて施用別に取り出すべき注射薬の薬品名と数量のリストを表示手段に表示させ且つ対応する収納部の指示ランプを点灯させる一覧表示制御手段を有する(請求項6)。指示ランプで指示された収納部の注射薬を、表示手段に表示された数量だけ取り出すことで、各患者の各施用分の1又は複数種の注射薬を簡単に取り揃えることできる。
【0026】
前記制御ユニットは、操作者ID情報の入力後に、1又は複数の収納部に対する注射薬の補充を許可する補充許可モードに設定可能である(請求項7)。この場合の注射薬の補充は、注射薬収納装置の全部の収納部に対する一括補充とは異なり、1又は複数の収納部(一部の収納部)への注射薬の補充であり、何れかの1又は複数の種類の注射薬の在庫量が十分でなくなった場合に、補充することが必要となる。この補充許可モードに設定してから注射薬の補充を行なえば、収納部への注射薬の返却とを区別することができる。
【0027】
前記制御ユニットは、注射薬の取り出し・返却・補充の際には、前記複数の検出センサからの検出信号に基づいて注射薬の取り出し・返却・補充を検出する検出制御手段を有する(請求項8)。この検出制御手段は、取り出し許可モードのとき、何れかの収納部の注射薬の数量が減少すれば取り出しと判断し、返却許可モードのとき何れかの収納部の注射薬の数量が増加すれば返却と判断し、補充許可モードのとき何れかの収納部の注射薬の数量が増加すれば補充と判断する。
【0028】
前記制御ユニットは、少なくとも、注射薬の取り出し・返却・補充の何れかが実行された際に、その操作者の操作者IDと操作履歴の情報を時刻情報と共にリアルタイムで記録していく操作履歴記録制御手段を有する(請求項9)。この操作履歴記録制御手段により記録される情報から、注射薬の取り出し・返却・補充の全ての操作に関して、どの操作者が何時、どの注射薬を何個、取り出しや返却や補充を行ったかが分かる。
【0029】
前記制御ユニットは、操作者の操作者IDと、複数の検出センサからの検出信号を用いて、収納注射薬の在庫情報を操作者と関連つけて作成する在庫情報作成制御手段を有する(請求項10)。注射薬収納装置に収納している複数種の注射薬の各々についての在庫情報が操作者と関連つけて作成されるため、補充すべき注射薬の種類と数量を簡単に知ることができるうえ、操作者別の不正取り出し等も検出し易くなる。
【0030】
前記制御ユニットは、破損した注射薬について少なくとも薬品名と数量とを登録する為の破損登録制御手段を有する(請求項11)。操作者が注射薬を取り出す際や取り出し後に破損してしまうことがあるが、この場合、破損登録制御手段により少なくとも薬品名と数量とを登録することができる。
【0031】
前記制御ユニットは、前記調剤支援コンピュータに対して、患者IDと、1又は複数種の注射薬の薬品名又は薬品コードおよび数量の情報と、薬袋と輸液容器に貼るラベルと患者のリストバンドを印刷する印刷指令とを出力する印刷指令出力制御手段を有する(請求項12)。
【0032】
交通事故で重症を負った患者等に手術を施すような場合には、その患者の処方情報が調剤支援コンピュータには存在しない。この場合、患者IDを入力後、注射薬の取り出しが実行される。その取り出した注射薬を収容する薬袋と、患者の手首につける患者ID情報を印刷したリストバンドと、輸液を施用する場合には、輸液容器に貼るラベルも必要となる。そこで、印刷指令出力制御手段は、調剤支援コンピュータに対して、患者IDと、1又は複数種の注射薬の薬品名又は薬品コードおよび数量の情報と、薬袋と輸液容器に貼るラベルと患者のリストバンドを印刷する印刷指令とを出力し、調剤支援コンピュータに薬袋プリンタとラベルプリンタにより薬袋とラベルとリストバンドを作成させる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る注射薬調剤支援システムの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。この注射薬調剤支援システムは、複数の入院患者を複数の病棟に入院させており、複数のガン患者にも物理化学療法を施すような総合病院において、それら複数の入院患者や外来患者に注射薬を調剤するのを支援するシステムである。
【0034】
図1に示す注射薬調剤支援システム1は、ディスクトップ型又はノート型のパソコン2(調剤支援コンピュータ)と、このパソコン2に情報伝達可能に接続された注射薬収納装置3と、パソコン2に接続されパソコン2で制御される3台のプリンタ4〜6とを主体にして構成され、パソコン2はLANなどのネットワークを介して病院内のホストコンピュータにも接続されている。この注射薬調剤支援システム1は、例えば病院の調剤業務を行う部署(例えば、薬剤部)又は病棟(病棟にはナースステーションも含む)に設置されている。
【0035】
プリンタ4(薬袋プリンタ)は、表面側を半透明紙又は透明紙で袋状に構成した所定の薬袋素材に、患者の施用毎の複数の注射薬に関する種々の情報を印刷して薬袋を作成するものである。プリンタ5(帳票プリンタ)はパソコン2に格納している種々の情報や注射薬収納装置3に格納している種々の情報を帳票の形式に印刷するものである。プリンタ6(ラベルプリンタ)は輸液容器(輸液瓶や輸液バッグ等)に貼りつけるラベルや、患者の手首に付ける患者IDとしてのバーコードを記したリストバンドを印刷するものである。
【0036】
最初に、注射薬収納装置3のハードウェアの構成について説明する。
図1〜図6に示すように、注射薬収納装置3は、アンプルやバイアル等の形態の複数種の注射薬7、輸液瓶や輸液バッグの形態の複数種の輸液容器8を取り出し可能かつ返却可能に収納するものであり、注射薬7や輸液容器8の取り出しや返却の際に操作者を支援したり、注射薬7や輸液容器8の取り出し・返却・補充等に関する操作履歴をリアルタイムで作成・記憶したり、注射薬7や輸液容器8の種類と数量等を計数して種々の管理情報を作成・記憶したり、プリンタ43を制御して帳票類を作成したり、パソコン2に情報を送信して薬袋や帳票やラベルやリストバンドを印刷させたりするものである。
【0037】
注射薬収納装置3は、直方体状の本体ケース10を有し、本体ケース10の上半部にはカセット収納部11と操作部12とが設けられ、本体ケース10の下半部には輸液容器収納部13が設けられている。カセット収納部11には、例えば40個のカセット14が4段10列のマトリックス状に配置され、各段の10個のカセット14は共通のカセットホルダ15に載置され、これらカセット14を収納した各カセットホルダ15は載置棚16に前方下がり傾斜状に載置されている。前記4段の段数と、10列の列数は上記の値に限定されず、注射薬7のサイズに応じて適当な値に設定される。図1では、各段に同幅のカセット14を10個収容した例を図示したが、注射薬7のサイズに応じて幅の異なる複数のカセット14を組み合わせて採用する場合もある。
【0038】
図1、図4に示すように、カセット収納部11には4つのカセットホルダ15を夫々載置する4つの載置棚16が前方下がり傾斜状に設けられ、この載置棚16の前端にはカセットホルダ15を係止する係止壁16aが形成されている。
図2、図4に示すように、カセットホルダ15は淺いトレイ状に形成され、カセットホルダ15の4辺には上方へ立ち上がった壁部が形成され、前壁部15aと後壁部15bの内側にはカセット14を位置決めし且つ左右移動を規制する為の例えば15本の規制溝17が所定間隔おきに形成されている。最小幅のカセット14を最大15個だけ装着可能であり、より広幅のカセット14を装着する場合には、カセット幅に適合する規制溝17が使用される。
【0039】
図2〜図4に示すように、カセット14の構造に関して説明すると、図示のカセット14は、複数の注射薬7を前後に並ぶ1列に収納可能な左右幅の小さな上方開放の偏平な箱体に形成され、収納した複数の注射薬7の上部が開口14aから上方へ露出するようになっている。カセット14は合成樹脂製で、カセット14の内底面は低摩擦面に構成され、カセット14を前方下がりに傾けると、カセット14内の注射薬7は前方へ滑るようになっている。
【0040】
注射薬7が後方へ倒れるのを防ぐと共に1列状の注射薬7を前方へ付勢する為に、カセット14の内部には所定の重さのある付勢具18が前後移動可能に装備され、この付勢具18が最も奥側の注射薬7に接触可能に設けられている。
各カセット14に収納する注射薬7の種類と数量が予め設定されるが、その設定数量よりも多くの注射薬7をカセット14に収納するのを防ぐ為に、カセット14の底部には付勢具18の後方限界位置を規制するストッパ(図示略)が位置可変に設けられている。
【0041】
カセット14の前壁と後壁には、夫々立て向きの突条14bが一体形成され、これら前後の突条14bをカセットホルダ15の前後1対の規制溝17に係合させることで、カセット14をカセットホルダ15に所定姿勢に装着して位置規制できるようになっている。
【0042】
注射薬7をカセット14に収納する際には、カセット14をカセットホルダ15と共に外部へ取り出し、各カセット14に夫々予め設定された種類と数量の注射薬7を収納してから、複数(図示の例では10個)のカセット14を乗せたカセットホルダ15を載置棚16に載置する。注射薬収納装置3から注射薬7を取り出す際に、取り出し対象の注射薬7を指示する為に、各載置棚16の係止壁16aには、15本の規制溝17に対応する15個の指示ランプ19(発光ダイオードランプ)が装備されている。
【0043】
次に、カセット14に実際に収納されている注射薬7の取り出しや返却を検出する為の注射薬検出機構20について説明する。図3、図4に示すように、載置棚16の上面にはセンサ基板21が設けられ、このセンサ基板21には例えば450個の注射薬検出用の検出センサ22が15列×30行のマトリックス状に装備され、前記15列の列間ピッチは最小のカセット幅に等しく、30行の行間ピッチは例えば最も小径の注射薬7の直径に等しく設定されている。前記の450個の検出センサ22には、各センサを識別する為に制御上の一貫番号が付されている。
【0044】
センサ基板21の奥端部の右端部には、カセットホルダ15を識別する為の4個のカセットホルダ検出用の検出センサ23が設けられている。前記検出センサ22,23はホール素子からなる磁気センサであり、各センサ基板21の多数の検出センサ22,23は、図7に示すサブコントローラ70に接続され、4つの載置棚16に付設した60個の指示ランプ19は、図7に示すサブコントローラ71に接続されている。前記カセット14に装備している付勢具18は例えば合成樹脂製のもので、この付勢具18の底部には所定長さの磁石片24が設けられている。この磁石片24のカセット前後方向の長さは、例えば検出センサ22の行間ピッチの2.5倍又は3.5倍に設定されている。この磁石片24の磁気は検出センサ22で検出可能になっている。
【0045】
各カセット14について、カセット14に注射薬7を収納した状態ではカセット14に対応する列の30個の検出センサ22のうちの1又は複数の検出センサ22により磁石片24の磁気を検出し、磁気を検出した検出センサ22の位置から磁石片24の位置、つまり付勢具18の位置を演算し、その付勢具18の位置と、注射薬7の種類で決まる注射薬7の直径とから、カセット14内に収納されている注射薬7の数量が求められる。
【0046】
前記カセットホルダ15の底面部のうちの4つの検出センサ23に対応する部位には、各カセットホルダ15に特有のパターンで配置した1〜4個の小磁石片(図示略)が設けられ、4つの検出センサ23の検出信号からカセットホルダ15を識別可能になっている。
【0047】
本体ケース10の上端部には、カセット収納部11の前面を開閉するシャッター9(開閉体)が設けられ、このシャッター9を閉じた状態にして施錠可能な電動キー(電動施錠手段)が設けられている。この電動キーは電源投入後にバーコードリーダー44により、操作者IDを入力することで開錠可能となっている。尚、前記シャッター9に代えて開閉扉を設ける場合もある。
【0048】
次に、注射薬収納装置3の下半部の輸液容器収納部13について説明する。
図1、図5、図6に示すように、輸液容器収納部13には6個の収納引出し30が例えば2段3列のマトリックス状に配置されている。各収納引出し30は、底板31、この底板31の前端の前扉32、底板31の左右両端の1対の被ガイド部材33、淺いトレイ状の乗載台34、この乗載台34に乗載される収納箱35であって複数の輸液容器8などを収容する収納箱35、底板31と乗載台34の間に介装されたロードセル等からなる重量計測器36を有する。棚板37には1対の被ガイド部材33を前後動自在に案内する1対のガイド部材37aが設けられている。
【0049】
各列の収納引出し30の前面を開閉する回動扉38(図1参照)は、その右端側のヒンジを回動中心として開閉可能であり、各回動扉38の上端付近には取手39があり、各回動扉38を閉じた状態にして施錠可能な電動キー(電動施錠手段)(図示略)が設けられている。これら電動キーは、電源投入後に後述のバーコードリーダー44により操作者IDを入力することで開錠可能である。
回動扉38の電動キーを開錠してから回動扉38を開くと、回動扉38に対応する上下1対の収納引出し30が引出し可能となり、収納引出し30の前扉32の取手32aを引くことで収納引出し30を手前側へ引出し、その内部の輸液容器8を取り出すことができる。
【0050】
注射薬収納装置3の操作部12には、図7に示す制御ユニット60を収納した制御ユニット収納部40と、スピーカー41、タッチパネル付きの液晶ディスプレイ42、種々の帳票類をロール紙に印字するプリンタ43(帳票印刷手段)、フレキシブルディスク(FD)を駆動するFD駆動部65、バーコードリーダー44などが設けられている。これらの詳細は後述する。
【0051】
次に、この注射薬調剤支援システム1の制御系について説明する。
図7に示すように、注射薬調剤支援システム1のパソコン2のパソコン本体50は、CPU51、ROM52、RAM53、種々のプログラムやデータ類を書換え可能に記憶するハードディスク54(HD)とそのハードディスク駆動部(HDD)、CD(コンパクトディスク)を駆動するCD駆動部55(CDD)、入出力インタフェース56(I/O)、ネットワークを介して外部と通信する為の通信用インタフェース57などを有し、入出力インタフェース56(I/O)には、プリンタ4〜6、液晶ディスプレイ58(LCD)、キーボード59が接続されている。ハードディスク54(HD)には、例えば「WINDOWS 」のOSがインストールされ、このWINDOWS で作動する種々の制御プログラムや種々のデータファイル格納されている。
【0052】
図7のブロック図の下半部は、注射薬収納装置3の制御系を示し、注射薬収納装置3の制御ユニット60は、CPU61、ROM62、RAM63、種々のプログラムやデータ類を書換え可能に記憶するハードディスク64(HD)とそのハードディスク駆動部(HDD)、フレキシブルディスク(FD)を駆動するFD駆動部65(FDD)、入出力インタフェース66(I/O)、音声合成回路41a、通信用インタフェース67などを有し、この制御ユニット60は通信用インタフェース57,67を介してパソコン本体50にデータ授受可能に接続されている。
【0053】
入出力インタフェース66には、プリンタ43、液晶ディスプレイ42とそのタッチパネル42a、バーコードリーダー44、カセット収納部11のシャッター9に施錠する電動キーを駆動するSOLアクチュエータ68、輸液容器収納部13の3つの回動扉38の電動キーを駆動する3つのSOLアクチュエータ69、4つのサブコントローラ70、サブコントローラ71,72などが接続され、音声合成回路41aにはスピーカー41が接続されている。各サブコントローラ70は対応するセンサ基板21の多数の検出センサ22,23に接続され、サブコントローラ71は60個の指示ランプ19に接続され、サブコントローラ72は引出し30に設けた6つの重量計測器36に接続されている。
【0054】
図8は、パソコン2(調剤支援コンピュータ)における、主要なデータファイルと、主要な機能達成手段との関係を示す図である。上記のデータファイルとしては、注射薬マスターデータファイル80、配合禁忌データファイル81、患者データファイル82、患者別抗ガン剤処方履歴データファイル83などがハードディスク54に格納されている。上記の機能達成手段として、配合禁忌判定手段、pH変動判定手段、抗ガン剤適正判定手段、病棟別注射薬集計リスト作成手段、薬袋プリンタ4を含む患者別施用別薬袋作成手段、ラベルプリンタ6を含むラベル作成手段などが設けられ、図中の線と矢印は、機能達成手段で活用する情報の流れを示す。
【0055】
次に、上記のデータファイル80〜83について簡単に説明する。
図9に示すように、注射薬マスターデータファイル80は、多数の種類の注射薬の各々に関する、注射薬を特定する為の薬品特定情報と規格量情報とを予め設定すると共に、複数の抗ガン剤注射薬については更に抗ガン剤毎の施用間隔情報と抗ガン剤処方量算出用マスター係数も予め設定してある。
【0056】
図9は、上記のファイル80の例えば「ビソルボン4mg」のマスターデータをパソコン2のLCD58の画面に表示した1例である。薬品特定情報として、薬品コード、薬品名、略称、規格量、薬品区分(Aはアンプル、Vはバイアル)、保存区分(室温、冷所)などのデータを含み、成分量の情報として、水分量と、Na+ ,K+ ,Ca++,Mg++,Cl- などの複数種の主要なイオンのイオン量とカロリーと総窒素量のデータを含み、注射薬のpHに関する情報として、下限pH、試料pH(自己pH)、上限pH、酸性緩衝能、アルカリ緩衝能などのデータを含む。
【0057】
各抗ガン剤注射薬については、上記のデータの他に抗ガン剤区分、抗ガン剤処方量算出用マスター係数、ガンの病名別の施用間隔(日数)および各ガン患者に許容される生涯投与量などのデータを含む。上記の病名別の施用間隔と生涯投与量は、その抗ガン剤が処方される10数種類のガンについて設定可能である。
【0058】
図10に示すように、この配合禁忌データファイル81は、複数種の注射薬の各々に対して配合禁忌となる注射薬と、配合禁忌に関するコメントなどの情報を予め設定して記憶させたものである。このファイル81は、注射薬マスターベースファイル80に登録された多数の注射薬のうち、他の1又は複数種の注射薬と配合禁忌を起こす複数の注射薬の各々について、各注射薬と配合禁忌を起こす相手側の注射薬、配合禁忌現象などを示すコメントを予め設定して記憶させたものである。尚、配合禁忌は、配合禁止、配合許可であるが配合注意、の両方を含む概念である。
【0059】
図10は、配合禁忌データファイル81における「ビソルボン4mg」の配合禁忌データをLCD58の画面に表示させた一例である。配合禁忌データは、基準となる注射薬を特定する情報として、薬品コード、薬品名などのデータを含み、更に、この基準となる注射薬と配合禁忌を起こす1又は複数種の注射薬を特定する情報(薬品コード、薬品名)と、配合禁忌現象などを示すコメントに関するデータを予め設定して記憶させてある。
【0060】
図11に示すように、患者データファイル82は、複数の患者(入院患者、外来患者)の各々に対する患者特定情報と処方情報を記憶させ、ガン患者については患者毎の病名と身長と体重の情報も含む。このファイル82は、各患者別に、患者特定データ、注射薬処方データを含む。図11は、ある患者に関する患者データをLCD58に表示させた一例であり、この画面は処方箋に基づいて処方情報を入力する画面でもある。図11に示すように、患者特定情報は、患者ID、カナ氏名、漢字氏名、性別、生年月日、年齢、診療科、病棟、病室、担当の医師名などのデータを含み、ガン患者の場合には、その他に、身長、体重、病名コード、略称、病名などのデータを含む。
【0061】
図12は図11の画面内に表示可能な処方関連情報を示すウインド画面であり、この図に示すように、抗ガン剤以外の処方情報は、複数日分の、施用時間帯の「朝」、「昼」、「夕」に夫々施用する注射薬の処方データを含む。尚、施用時間帯の「朝」、「昼」、「夕」は一例に過ぎず、「夜9時」、「就寝前」などの施用時間帯もある。
【0062】
抗ガン剤は、通常の抗ガン剤以外の注射薬とは投与の形態が全く異なるため、複数のガン患者の各々に関する抗ガン剤の処方情報は、例えば、図13のようになる。図13は、画面表示された「ガン化学療法プロトコル表」の一例を示すものであり、図11と同様に処方入力画面である。患者、病棟、医師、診療科などを特定する情報については図11と同様である。
【0063】
抗ガン剤の処方情報は、アンプルやバイアルの画像、薬品コード、薬品名、1日投与量、投与法や投与経路の情報の他に、施用日を指定する日付情報、各施用日毎に投与する抗ガン剤を特定する情報と投与量情報などの情報を含む。この抗ガン剤の処方情報は、ハードディスクのファイルに書換え可能に格納され、修正可能であり、図13に表示された「ガン化学療法プロトコル表」は図13に表示した形態又は所定の形態にて印刷出力することもできる。
【0064】
このガン化学療法プロトコル表には、抗ガン剤の投与履歴の情報(例えば、2ケ月間の履歴)、抗ガン剤を施用する施用予定の情報(例えば、2ケ月先まで)も設定されて記憶される。尚、アンプルやバイアルの画像をカラー表示するため、注射薬の処方ミスや投与ミスを防止する上で有利であり、アンプルやバイアルの画像をカラー表示する為の表示データは、ハードディスクに予め格納してある抗ガン剤表示データベースから読みだされる。図11、図13に示す処方情報は、所定期間(例えば2ケ月)分のデータが患者データファイル82に格納され、所定期間以上経過した処方情報は、ハードディスク54の別のファイルに保存される。但し、抗ガン剤の処方情報のうち前記所定期間の最新の処方情報は、処方履歴データファイル83にも重複的に格納される。
【0065】
ガン患者の場合、抗ガン剤別に投与履歴データを保存しておき、抗ガン剤の処方毎に、累積投与量が、抗ガン剤に設定された生涯投与量を越えないように監視する為に、患者別抗ガン剤処方履歴データファイル83も設けられている。この処方履歴データファイル83は、この病院で診察し抗ガン剤を投与してきた多数のガン患者の各々について、抗ガン剤の種類別に、過去から現在までの抗ガン剤処方履歴の情報をハードディスク54のファイルに記憶させたものである。
【0066】
患者別抗ガン剤処方履歴データは、患者特定情報と抗ガン剤処方履歴情報とを含む。患者特定情報は患者IDと患者氏名などのデータを含み、抗ガン剤処方履歴情報として、ガンの病名別に、抗ガン剤(薬品コードで表記)別に、過去から現在までの投与量のデータが記憶されている。この処方履歴データは、患者データファイル82のデータから自動的に作成されて更新しつつ記憶されている。この処方履歴データを用いて、各ガン患者における各病気別に投与された1又は複数種の抗ガン剤の過去から現在までの累積投与量が算出され、抗ガン剤の処方毎に、累積投与量が生涯投与量を越えないように監視するようになっている。
【0067】
次に、図8に示す機能達成手段について簡単に説明する。
配合禁忌判定手段はパソコン本体50を主体にして構成され、この配合禁忌判定手段は、図示の情報を用いて、各患者に施用する施用毎の複数種の注射薬について配合禁忌が発生するか否か判定する。pH変動判定手段は、図示の情報を用いて、各患者に施用する施用毎の複数種の注射薬を共通の輸液に配合した場合に好ましくないpH変動(実質的なpH変動)が生じるか否か判定する。このpH変動について厳密に演算すると共に、複数種の処方注射薬の酸性緩衝能能とアルカリ緩衝能とに基づいて大凡の判定を行うことができる。
【0068】
抗ガン剤適正判定手段はパソコン本体50を主体にして構成され、この抗ガン剤適正判定手段は、図示の情報を用いて、各ガン患者毎に、各施用毎の抗ガン剤の処方量と、その施用間隔が適正か否か判定する。この抗ガン剤適正判定手段は、上記の情報に加えて、抗ガン剤処方履歴データファイル83の情報を用いて、各ガン患者について抗ガン剤別に累積投与量が生涯投与量を越えないか否かについても判定する。
【0069】
病棟別注射薬集計リスト作成手段は、パソコン本体50と帳票プリンタ5を主体として構成され、この病棟別注射薬集計リスト作成手段は、患者データファイル82の情報を用いて、複数の病棟の各々において各施用時間帯に施用される複数種の注射薬を種類別に集計しそのリストを作成する。患者別施用別薬袋作成手段は、パソコン本体50と薬袋印刷用のプリンタ4を主体にして構成され、各患者に施用する各施用毎の1又は複数種の注射薬7を収容する患者別施用別薬袋75を薬袋素材に必要な種々の情報を印刷することにより作成するものである。
【0070】
この患者別施用別薬袋作成手段は、患者データファイル82の情報を用いて、或いは、制御ユニット60から送信される情報(患者ID、処方情報、施用を指定する情報、1又は複数の注射薬に関する情報など)を用いて、各患者に施用する各施用毎の1又は複数種の注射薬に関する情報と施用時間帯情報と患者特定情報と配合禁忌判定手段により発生すると判定された配合禁忌現象に関する情報を作成し、それらの情報を所定の薬袋素材に印刷して薬袋75(図19参照)を作成する。更に、患者別施用別薬袋作成手段は、その薬袋75に収容される複数種の注射薬7に含まれる、合計水分量、複数種のイオンの合計イオン量、合計カロリー、合計総窒素量の情報も薬袋75に印刷する。
【0071】
ラベル作成手段は、パソコン本体50とラベル印刷用のプリンタ6を主体にして構成され、このラベル作成手段は、患者データファイル82の情報を用いて、或いは、制御ユニット60から送信される情報(患者ID、処方情報、施用を指定する情報、1又は複数の注射薬に関する情報など)を用いて、各患者に施用する輸液に混合される1又は複数の注射薬に関する情報と施用時間帯情報と患者特定情報とを作成し、それらの情報を所定の剥離式ラベル用紙に印刷して輸液用ラベル76(図21参照)を作成する。また、ラベル作成手段は、患者データファイル82の情報を用いて、或いは、制御ユニット60から送信される情報(患者ID、処方情報、施用を指定する情報、1又は複数の注射薬に関する情報など)を用いて、患者の手首に付けるためのバーコード付きリストバンド77(図22参照)をリストバンド素材に印刷して作成する。
【0072】
次に、前記の機能達成手段について詳細に説明する。
配合禁忌判定手段による処理が開始されると、LCD58に初期画面が表示され、患者IDを入力すると、患者データファイル82から患者特定データと注射薬処方データとが読み込まれて画面に表示される。次に、判定対象の処方のうちの判定対象の施用を指定すると、指定された施用に含まれる複数の注射薬について、各処方注射薬と他の処方注射薬との配合禁忌について、配合禁忌データファイル81を検索する。
【0073】
配合禁忌となる注射薬の対を検出した場合は、その注射薬対と配合禁忌に関するコメントを画面に表示し、そのコメントのうち配合禁忌現象に関する情報をハードディスク54の所定のファイルに記憶する。例えば、処方注射薬の中に、ビソルボン4mgとメチコバール500 μmとが含まれていたような場合には、それらの注射薬対が判定禁忌を起こすことが検出されて、図14に示すように画面に表示される。上記の配合禁忌に関して、「淡橙赤変(直後)」などの情報が表示される。こうして検出された配合禁忌に関する情報は、後述のように、患者別施用別薬袋を作成する際に薬袋75に印刷される。
【0074】
次に、pH変動判定手段の制御が開始されると、LCD58に初期画面が表示され、患者IDを入力すると、患者データファイル82から患者特定データと注射薬処方データとが読み込まれて画面に表示される。そこで、オペレータが判定対象の処方のうちの判定対象の施用を指定する。すると、注射薬マスターデータファイル80から該当する1又は複数の注射薬のマスターデータを読み出し、pH変動表を表示する表示データが作成されて、例えば図15のような画面として表示される。
【0075】
この図において、各注射薬別に、三角印で示す試料pH値(自己pH値)、下限pH値、上限pH値、酸性緩衝能(強、弱)、アルカリ性緩衝能(強、弱)などが図示されている。尚、酸性緩衝能が強とは、自分より強い酸の影響を受けにくいことを示し、弱はその反対である。アルカリ性緩衝能が強とは自分よりも強いアルカリの影響を受けにくいことを示し、弱はその反対である。
【0076】
複数の注射薬を配合する際に発生する可能性のあるpH変動を判定する為の演算処理として2通りの演算が実行される。演算処理(I)では、複数の注射薬のpH値、用量とを用いて、全部の注射薬を配合後のpH値を所定の演算式で算出する演算が実行される。その配合後の輸液のpH値が、各注射薬の下限pH値と上限pH値との間にある場合には、pH変動なしと判定し、そうでない場合には、その該当する注射薬に関してはpH変動発生と判定する。
【0077】
演算処理(II) では、2種類の注射薬のうち一方の注射薬1の試料pH値が他方の注射薬2の下限pH値と上限pH値との間から外れている場合には、酸性緩衝能とアルカリ性緩衝能に基づいて判定する。例えば、図15において、「ラシックス20mg」の試料pH値が「アキネトン5mg」の下限pH値と上限pH値との間からアルカリ側に外れているけれども、「アキネトン5mg」のアルカリ性緩衝能が「弱」で、「ラシックス20mg」の酸性緩衝能が「弱」であるため、実質的なpH変動は生じない。仮に、1対の注射薬について、一方の酸性緩衝能が「強」(又は「弱」)で、他方のアルカリ性緩衝能が「弱」(または「強」)の場合は、実質的なpH変動が生じるものと判定される。
【0078】
施用に供する全部の注射薬における全ての対の注射薬について上記のような実質的なpH変動が生じるか否か判定する。上記の演算処理(I)、(II)の結果、実質的なpH変動が生じる可能性のある注射薬は、輸液に配合しないようにするため、その旨のコメントが自動的に又は画面入力にて作成されて表示され、記憶される。そのコメントの一例は、「同一シリンジ内pH注意:3ー2」である。但し、「3−2」は施用における注射薬を識別する番号であり、注射薬2,3を配合すると、pH変動が生じるので、注射薬2に注射薬3を配合すべきでない旨を意味する。但し、図15に図示の例では、実質的なpH変動が生じないため、そのコメントは作成されず、コメント表示欄(コメント入力欄)に表示されない。尚、このコメントは薬袋75を印刷する際に薬袋75に印刷される(図19参照)。
【0079】
次に、抗ガン剤適正判定手段による抗ガン剤適正判定処理について説明する。図16、図17に示すように、最初にLCD58に初期画面が表示され、患者IDが入力される(S20)。次に患者データファイル82からS21に記載のような各種データが読み込まれて画面に表示される(S21)。
【0080】
次に、オペレータが判定対象の処方を指定し(S22)、注射薬データファイル80から該当する抗ガン剤のデータが読み込まれてRAM8のメモリに一時記憶され(S23)、次に処方情報に基づいて抗ガン剤別に施用間隔が演算され(S24)、その施用間隔が適正か否か判定される(S25)。
【0081】
このとき、各抗ガン剤別に、処方において設定された施用間隔と、注射薬データファイル80から読みだした抗ガン剤の施用間隔とを比較することで上記の判定が実行され、その判定結果がNoの場合は、S26において、警告コメント(例えば、「警告:抗ガン剤・・・の施用間隔が適正でありません!」など)が表示され、RAM8のメモリに記憶される。この警告が表示された場合には、担当の医師の指示に基づいて、施用間隔を広げたり、抗ガン剤の種類を変更するなどで処方内容が一部変更され、患者データファイル82のデータが一部変更されるため、S21へリターンし、S21以降が再実行される。
【0082】
S25の判定がYes の場合はS27において、患者の体表面積Aが、患者の身長H、体重Wのデータを用いて図示の演算式にて演算される。尚、S27の演算式において、Wの乗数(上添字)は 0.444であり、Hの乗数(上添字)は0.663 である。S28では、処方された各抗ガン剤別に抗ガン剤処方量算出用の基準値Kが、K=マスター係数×体表面積A、の式で演算される。次に、S29において、各抗ガン剤別に、抗ガン剤処方量が、0.70K〜1.30Kの範囲に入っているか否か判定し、その判定がNoの場合は、警告コメント(例えば、「警告:抗ガン剤・・・の処方量が適正でありません!」など)が表示され、RAM のメモリに記憶される(S30)。S29の判定がYes のとき、その抗ガン剤の処方量が適正である旨を表示させるようにしてもよい。
【0083】
上記のように、抗ガン剤処方量が、0.70K〜1.30Kの範囲内か否か判定するのは、上記のマスター係数と体表面積Aとで決める処方量は一応の目安となる処方量に過ぎず、患者の年齢、体力、容体などを考慮して担当医師が、処方量を増減調整できる幅を持たせる為である。上記の警告が表示された場合には、担当の医師の指示に基づいて抗ガン剤処方量を変更するなど処方内容が一部変更され、患者データベースDB3のデータが一部変更されるため、S21へリターンし、S21以降が実行される。
【0084】
次に、S29の判定がYes の場合はS31へ移行し、S31において、抗ガン剤処方履歴データファイル83から、その患者に関する各抗ガン剤処方履歴データが読み込まれ、次にそれらの処方履歴データを用いて、各抗ガン剤別に抗ガン剤累積投与量が演算されて表示される(S32)。次にS33では、S23において注射薬データファイル80から読み出した抗ガン剤の特性データに基づいて、各抗ガン剤別に生涯投与量が演算され、S34において各抗ガン剤別に累積投与量が生涯投与量以下か否か判定することにより、各抗ガン剤別に累積投与量が適正か否か判定する。
【0085】
次に、S34の判定がNoの場合は、S35において、警告コメント(例えば、「抗ガン剤・・・は生涯投与量をオーバーします!」など)が表示されて記憶される。尚、上記の警告コメントが表示された場合には、担当の医師の指示に基づいて、抗ガン剤の種類を変更する等して処方内容が変更されるためS21へリターンし、S21以降が再実行される。尚、S34の判定がYes のときは、その旨を表示させるようにしてもよい。
【0086】
S34の判定がYes の場合はS36へ移行し、S36において、今回処方された各抗ガン剤について、各抗ガン剤別に抗ガン剤処方履歴データファイル83のデータが更新され、その後確認キーが入力されない場合は、S22へリターンしてS22以降が再実行される。そのため、判定対象の処方として別の処方を指定し、上記の同様の抗ガン剤適正判定を行うことができる。最後に確認キーを入力すると、このルーチンが終了する。
【0087】
以上のように、抗ガン剤適正判定の自動的なデータ処理により、処方した医師とは別に、ガン患者に処方された抗ガン剤の施用間隔と処方量が適正か否か判定することできるため、抗ガン剤に関する処方ミスを確実に検出し、抗ガン剤の投薬ミスを防止することができる。しかも、抗ガン剤別に、累積投与量が生涯投与量を越えることのないように監視することができるので、抗ガン剤の過剰投与を確実に防止することができる。
【0088】
次に、患者別施用別薬袋作成手段による患者別施用別薬袋作成処理について説明する。図18に示すように、このルーチンの開始後初期画面が表示され、その画面に患者IDが入力される(S50)。次に、上記の画面で薬袋作成対象の処方が指定される(S51)。次に、患者データファイル82から、患者特定データと、指定された処方注射薬データなどが読み込まれ(S52)、RAM53のメモリに記憶される。次に前記のように、同一の対象(処方)について実行した配合禁忌判定処理で得られハードディスク54に記憶していた配合禁忌に関するコメントを検索する(S53)。次に、前記のように、同一の対象(処方)について実行したpH変動判定処理で得られ記憶していたpH変動に関するコメントを検索する(S54)。
【0089】
次に、患者別施用別薬袋へ印刷する印刷データが作成され、ハードディスク54の所定のファイルに記憶される(S55)。このとき、印刷対象の薬袋に収容される複数種の注射薬について、合計水分量、複数のイオンの合計イオン量、合計カロリー、合計総窒素量を演算して上記の所定のファイルに記憶する。その後、プリンタ4により薬袋素材に印刷処理され(S56)、指定分全ての印刷が終了してからこの処理が終了する。
【0090】
図19は、こうして印刷した薬袋75の一例を示し、この薬袋75の表面側の膜材はインクジェットプリンタでカラー印刷可能な半透明又は透明の特殊膜材で構成されている。この薬袋75の上段部には、患者特定情報、病室や医師に関連する情報、患者の処方注射薬の内容を識別するバーコード、日付・曜日、施用時間帯(例えば、「朝」)などが印刷され、中段部には処方注射薬に関する情報が印刷される。pH変動判定処理の欄で説明したように、例えば、図19に例示の場合、「5−FU 250mg」と「ビソルボン4mg」を同一シリンジ内に混合させると、pH変動が生じる可能性があるため、「ビソルボン4mg」を点線で区切って最後の行に記載してある。
【0091】
薬袋75の下段部には、pH変動判定処理で作成したコメントである「●同一シリンジ内pH注意:3−2」の情報、配合禁忌に関する注意を喚起する注意書きである「下記の薬剤は配合変化を起こす可能性があるため注意して下さい。」という定型の文章、配合禁忌判定処理ルーチンで検出した配合禁忌を起こす注射薬の対を示す「ピソルボン4mg メチコバール 500μg 」の文字列、配合禁忌に関するコメントを示す「淡橙赤変(直後)」という文字列が印刷される。薬袋75の最下段部には、処方されてこの薬袋75に収容される複数種の注射薬について算出した合計の、水分量、複数のイオンのイオン量、カロリー、総窒素量などの情報が印刷される。
【0092】
この薬袋75は、一人の患者に施用する1又は複数の注射薬を収容するものであり、この薬袋75には図19に例示したような種々の情報が印刷されているため、患者、施用日付、施用時間帯、注射薬などの対応関係を間違えることがなくなり、投薬ミスの発生を確実に防止できる。薬袋75にpH変動の注意書き、配合禁忌に関するコメントが印刷されているため、pH変動により薬効や力価が低下したりするのを防止できるうえ、配合禁忌による注射薬の有色の濁りなどが発生したとしても廃棄処分することもなくなるため、注射薬費用を節減できる。
【0093】
次に、ラベル作成手段によるラベル作成処理について説明する。図20に示すように、最初に所定の初期画面が表示され、その画面で患者IDが入力される(S60)。次に、その画面でラベル作成対象の処方における何れかの施用が指定される(S61)。次に、患者データファイル82から、患者特定データと、指定された処方及び施用に該当する注射薬データなどが読み込まれ、RAM53のメモリに記憶される(S62)。
【0094】
次に、患者特定データ、日付データ、施用時間帯データ、処方注射薬の薬品名データなどを所定の書式となるように配置して、図21に示すようなラベル76を印刷する印刷項目のデータを作成し、画面に表示させメモリに一時記憶させる(S63)。次に、ラベル76に印刷したい注意書きやコメントなどの追加データを必要に応じて入力する(S64)。但し、追加データを入力する必要がない場合にはS64のステップは省略される。次に、上記表示された印刷項目データと追加データとを印刷する印刷データを作成し、メモリに一時記憶する(S65)。次にプリンタ6により所定のラベル素材にラベル印刷処理を実行し(S66)、指定分の全ての印刷が終了するとこのルーチンが終了する(S67)。
【0095】
図21は、上記のラベル作成処理により作成された2枚のラベル76の一例である。このラベル76は点滴瓶などの輸液収容体に貼り付ける為のラベルであり、剥離式で貼り付け可能なラベル用の特殊な剥離式ラベル素材が採用され、印刷したラベル76を剥離して輸液収容体に簡単に貼り付けることができ、間違って別の輸液収容体に貼りつけた場合には簡単に剥がすことができる。
ここで、ラベル作成手段により、前記のラベル作成処理と同様の処理で、患者の手首に付けるリストバンド77(図22参照)を印刷して作成することができる。このリストバンド77には、病棟名、患者IDを示すバーコード、患者氏名などが印刷される。このリストバンド素材としては、台紙に剥離可能に貼りつけられた合成樹脂製のリストバンド素材が用いられる。
【0096】
次に、注射薬収納装置3の種々の機能について説明する。
図23に示すように、注射薬収納装置3の制御ユニット60は、ハードディスク64に設定して格納された種々のマスターデータファイルやマスターファイル(M.F)と、種々の機能達成手段(94〜101)および図示外の機能達成手段を有し、これらの機能達成手段を実現する制御プログラムもハードディスク64に格納されている。
【0097】
注射薬マスターデータファイル90は、調剤支援コンピュータ2のパソコン本体50に設けた注射薬マスターデータファイル80と同様のものであるが、この注射薬マスターデータファイル90を省略して注射薬マスターデータファイル80のデータを利用してもよい。患者データファイル91は、パソコン本体50から供給される患者に関する情報(患者ID、処方・施用情報を含む)を格納したファイルであるが、このファイルを省略し、パソコン本体50の患者データファイル82を利用してもよい。
【0098】
さらに、この注射薬収納装置3でなされる種々の業務に関連する情報や、注射薬を管理する種々の管理情報を更新しつつ記録していくために、患者別に前回の施用の為に取り出した注射薬の情報を記憶する前回注射薬取り出しファイル、注射薬収納装置3に対して実行された種々の操作をリアルタイムで記憶していく操作履歴記録ファイル、検出センサ22,23と重量計測器36からの検出信号に基づいて検出した注射薬別の在庫数量等の情報を記憶する在庫情報ファイル、前回在庫数量と今回在庫数量との不一致を記憶する在庫不一致ファイル、注射薬を破損した場合に破損登録された注射薬の情報を記憶する破損登録ファイル、カセットホルダ15と共にカセット14を外部へ取り出して消費された注射薬を一括して補充する一括補充ではなく、カセット14を注射薬収納装置3に収容したまま、必要に応じて一部のカセット14に注射薬を補充する通常補充を実行した場合にその補充情報を記憶する通常補充ファイル、及びその他のファイルなど種々のファイルがハードディスク64に設けられている。
【0099】
前記の収納形態マスターファイル92は、注射薬収納装置3のカセット収納部11に収納する複数種の注射薬(アンプルやバイアルの形の注射薬)についての収納形態(何を、どこに、最大何個収納するかの形態)と、輸液容器収納部13に収納する複数種の輸液(これも注射薬に含まれる)の収納形態を収納形態設定制御手段94により初期設定(カタログ設定)した設定情報を格納したファイルである。
【0100】
図24(a)に示す第1設定ファイル92aはカセット収納部11に収納する複数種の注射薬についての収納形態をカタログ設定したもので、カセットホルダ15のカセットホルダNo.、そのカセットホルダ15が載置されるセンサ基板20のセンサ基板No.、そのカセットホルダ15に収容される複数のカセット14のカセットNo.、各カセット14に収納される注射薬の薬品名又は薬品コード、各カセット14に対応する30個の検出センサの検出センサNo,、各カセット14に収納される注射薬の最大収納数量などの情報を含む。
【0101】
図24(b)に示す第2設定ファイルは、注射薬収納装置3の輸液容器収納部13に収納する複数種の輸液(輸液瓶や輸液バッグ)についての収納形態をカタログ設定したもので、引出し30の引出しNo.、その引出し30に収納する輸液名又は薬品コード、その引出し30の重量を計測する重量計測器36のNo.、輸液の単重、引出し30に収納する輸液の最大収納数量などの情報を含む。収納形態マスターファイル92を作成する場合、収納形態設定制御手段94によりLCD42に所定の設定画面が表示され、その設定画面に前記のような種々のデータを設定することにより、注射薬の収納形態が予めカタログ設定される。
【0102】
病棟マスターファイルは、この病院における複数の病棟(ナースステーションを含む)を設定したものである。職員マスターファイルは、注射薬収納装置3を操作する職員(操作者)の氏名と職員IDとパスワードを予め設定したものである。音声マスターファイルは、スピーカー41から音声出力する薬品名や種々のメッセージや警告等の音声データを予め設定して格納したものである。破損理由マスターファイルは、注射薬収納装置3に注射薬を補充する際や取り出し後に注射薬を破損した場合に破損登録する際に、登録する複数の破損理由(カセット内破損、補充時破損、開封時破損など)を予め設定したものである。その他、操作履歴記録の為の操作名や操作内容等を予め設定したマスターファイルを含む種々のマスターファイルもあるがその説明は省略する。
【0103】
制御ユニット60は、少なくとも職員IDとパスワードの入力後に、LCD42のタッチパネル42aから取り出し許可モードへ移行するよう指令されると、カセット収納部11や輸液容器収納部13からの注射薬の取り出しを許可する取り出し許可モードが設定される。この取り出し許可モードにおいて、返却許可モードへ移行するよう指令されると、カセット収納部11や輸液容器収納部13への注射薬の返却を許可する返却許可モードが設定される。操作者ID情報の入力後に、タッチパネル42aから「補充」が選択されると、1又は複数のカセット14(収納部)に対する注射薬の通常補充を許可する補充許可モードに設定される。
【0104】
制御ユニット60は、取り出し許可モードにおいて、調剤支援コンピュータ2の患者データファイル82から供給され患者データファイル91に格納している患者情報(患者特定情報と処方情報)に基づいて施用別に取り出すべき注射薬の薬品名と数量のリストをLCD42(表示手段)に表示させ且つ対応するカセット14の前側の指示ランプ19を点灯させる一覧表示制御手段95を有する。制御ユニット60は、注射薬の取り出し・返却・補充の際には、複数の検出センサ22からの検出信号に基づいて注射薬の取り出し・返却・補充を検出する検出制御手段97を有する。
【0105】
この検出制御手段97は、制御ユニット60の作動中には常時全部の検出センサ22,23の検出信号と全部の重量計測器36の検出信号とを微小時間おきに読み込み、それらの検出信号と、収納形態設定制御手段94による設定情報とに基づいて、注射薬の取り出しの有無、取り出された注射薬(輸液も含む)の薬品名又は薬品コードと数量、返却の有無、返却された(見かけ上返却された)注射薬の薬品名又は薬品コードと数量、注射薬の補充の有無、補充された注射薬の 薬品名又は薬品コードと数量を検出して、必要な種々のデータがハードディスク64の所定のファイルに記憶される。
【0106】
尚、注射薬の返却とは、何れかのカセット14や引出し30から一旦取り出した注射薬を再び同じ場所に返却することであり、操作者が間違って別のカセット14や引出し30に返却した場合には、収納形態設定制御手段94により設定された設定情報に基づいて、操作者が設定した注射薬が収納されているカセット14に同一サイズの異なる注射薬を返却した場合、及び、設定された注射薬(輸液容器)が収納されている引出し30に同一重量の異なる注射薬を返却した場合を除いて誤返却を検出できる。制御ユニット60は、取り出し許可モードでない時の注射薬の取り出しや返却許可モードでない時の注射薬の返却に対してLCD42又はスピーカー41(音声出力手段)により警告を発する警告制御手段96を有する。
【0107】
次に、機能達成手段95〜97による制御について、フローチャートと画面表示例を参照して説明する。図25〜図27は、一覧表示制御手段95により、取り出し対象の注射薬をLCD42に一覧表示する一覧表示制御と、取り出し許可モードや返却許可モードのモードを設定するモード設定制御などを示すフローチャートである。図25において、職員が注射薬収納装置3の電源を投入すると、SOLアクチュエータ68によりシャッター9が開錠されるので、シャッター9を上方へ押し上げることで、カセット収納部11の前面が開放され、SOLアクチュエータ69により引出し30の前側の扉38も開錠される。
【0108】
この状態で図25の制御が開始され、タッチパネル42a付きのLCD42には図31の初期メニュー画面が表示される(S70)。この画面においてテンキーにより、少なくとも職員IDとパスワードを入力すると(S71:Yes )、この注射薬収納装置3が作動可能状態になる。この画面から移行できる業務メニューは、「薬品の取り出し」、「補充」、「集計業務」、「メンテナンス」の4つである。
【0109】
注射薬の取り出しを行う際には「薬品の取り出し」を操作し、注射薬の通常補充を行う際には「補充」を操作し、注射薬の在庫確認や発注等を行う際には「集計業務」を操作し、注射薬収納装置3に対する種々の設定業務や故障診断や保守点検を行う際には「メンテナンス」を操作する。因みに、収納形態設定制御手段94により前記のような注射薬を収納する形態をカタログ設定(初期設定)を行う場合、その他の種々のカタログ設定を行う場合は、「メンテナンス」に移行して行う。
【0110】
ここで、注射薬の取り出し方式には、調剤支援コンピュータ2から受ける各患者別の処方情報に基づいて注射薬を決定して取り出す「オーダ方式」と、前回の注射薬の取り出しと同種の注射薬を同数取り出す「患者方式」の2方式がある。 「薬品の取り出し」を操作すると(S72: Yes )、取り出し許可モードが設定されて取り出し許可モードフラグFtが「1」にセットされ(S73)、注射薬の取り出しが許可される状態になり、図32の画面が表示される(S74)。
【0111】
次に、その画面において患者IDをテンキーやバーコードリーダー44により入力すると(S75)、予め「オーダ方式」が設定されているか否か判定され(S76)、Yes の場合は患者データファイル91から処方情報が読み込まれ(S77)、その処方情報に基づいて次回に施用する注射薬が決定される(S78)。次に、図33のように、取り出し対象の1又は複数の注射薬の薬品名と、取り出し予定数量と、取り出し数量などが画面に一覧表示される(S79)。この画面において、必要に応じて、オーダNo.や患者氏名が入力されるが、オーダNo.や患者IDはバーコードリーダー44から入力可能である。しかも、注射薬の薬品ID(薬品コード)もバーコードリーダー44から入力可能である。
【0112】
次に、取り出し対象の注射薬に対応する指示ランプ19が点灯され(S80)、注射薬取り出しの音声案内がスピーカー41から出力される(S81)。次に、図26のフローチャートに示すように、職員が注射薬の取り出しを行うと、注射薬の取り出し検出処理と関連データの記憶が実行される(S82)。次に、操作者が画面の一覧表にない予定外の注射薬の取り出しを行うと、スピーカー41から警告音声が出力される(S83)。次に、注射薬の取り出しに応じて、取り出した注射薬の数量を増加するなど、図33の画面に追加表示され(S84)、次に注射薬の取り出しが終了するまで、S81〜S85を繰り返し、注射薬の取り出しが終了すると(S85:Yes )、画面の右側部に表示されている「実装品の返却」が操作されたか否か判定され(S86)、Yes の場合はS87の注射薬返却処理(図28参照)が実行される。
【0113】
「破損登録モード」を操作すると(S88:Yes )、S89の破損登録制御(図39参照)が実行される。この破損登録とは、注射薬の取り出し時や一部補充時や投薬時に注射薬を破損した場合に、その注射薬名と数量と破損理由とを登録する処理であるが、これについては後述する。ここで、別の職員IDやパスワードが入力されたり(S90:Yes )、それらの入力がなくとも、画面の終了キーが操作されると(S91:Yes )、取り出し許可モードが解消されてフラグFtが0にリセットされ(S92)、制御はS70へリターンする。
【0114】
S76の判定がNoの場合は、図27のS100へ移行し、カタログ設定は「患者方式」か否か、つまり予め「患者方式」が設定されているか否かが判定され、Yes の場合は、患者IDで指定した患者に対する前回の施用情報を前回注射薬取り出しファイルから読み出して、この前回施用したのと同じ1又は複数種類の注射薬が、夫々前回と同数だけ今回施用の注射薬として決定される(S101)。尚、この「患者方式」は、入院患者等に繰り返し同じ処方内容で施用する場合に非常に便利である。次に、S102において画面に図34のように、取り出し対象の注射薬の薬品名と、予定数量と、取り出し数量欄などが一覧表示される。その後、図26のS82〜92と同様の制御が実行される。
【0115】
図34の画面において、例えば、「大塚生食注(20ml) 」は、処方されていない注射薬であるが、故意に又は誤って取り出された注射薬であり、この注射薬の欄は表示色を異ならせて識別可能に表示される。実際の取り出し数量が予定数量をオーバーした注射薬(図示の「ガストロゼピン」)の欄も表示色を異ならせて識別可能に表示される。尚、「種」の欄に表示の「実」は注射薬収納装置3に実装されている注射薬を示し、「非」は注射薬収納装置3に実装されていない注射薬を示す。この非実装注射薬の欄も表示色を異ならせて識別可能に表示される。この注射薬収納装置3では、実装注射薬の他に、非実装の注射薬についても種々の管理情報を蓄積していく関係上、実装、非実装を区別している。この非実装注射薬は、取り出しても検出されないことから、非実装検索入力やバーコード入力することにより、取り出した注射薬の薬品名、数量、日時などを登録可能になっている。
【0116】
次に、前記S87の注射薬返却処理について図28,図35,図36に基づいて説明する。この処理が開始されると、返却許可モードが設定され、返却許可モードフラグFhが「1」にセットされる(S110)。次に図35に例示した画面が表示され(S111)、その画面の右下部の「カセットナビ」を操作すると(S112:Yes )、図36のナビ画面が表示される(S113)。例示したこのナビ画面は、「ガストロゼピン」を返却する場合、その薬品名と、トレイ番号(カセットホルダ番号)と、「ガストロゼピン」を収納しているカセット(3番目のカセット)を明示的に表示している。次に、注射薬の返却を検出する返却検出処理および関連するデータの記憶が実行される(S114)。
【0117】
返却が終了しない間はS113〜S115を繰り返し、返却が終了すると、図36のナビ画面を閉じる指令が入力されたか否か判定し(S116)、その判定がYes の場合は図35の画面が表示されるが、この場合返却数量については数量情報が追加表示される(S117)。その後、別の職員IDやパスワードが入力されたり(S118:Yes )、それらの入力がなくとも、画面の終了キーが操作されると(S119:Yes )、取り出し許可モードと返却許可モードが両方とも解消されてフラグFt,Fhが夫々0にリセットされ(S120)、制御はS70へリターンする。
【0118】
前記制御ユニット60の検出制御手段97により、注射薬の取り出し・返却・補充の際には、前記複数の検出センサからの検出信号に基づいて注射薬の取り出し・返却・補充を検出する制御は、図29,図30に示すとおりである。
制御ユニット60は、取り出し許可モードでない時の注射薬の取り出しや返却許可モードでない時の注射薬の返却に対して表示手段又は音声出力手段により警告を発する警告制御手段96を有するが、図29,図30の制御は、警告制御手段96による制御を含むものである。制御ユニット60は、前記複数の検出センサからの検出信号に基づいて注射薬収納装置に収納している注射薬の在庫情報を作成する在庫情報作成手段101を有するが、図29と図30の制御は、在庫情報作成手段101による制御を含むものである。
【0119】
この図29に示す制御はS82の注射薬取り出し検出処理と同様のものであり、S82の処理にこの処理を利用してもよい。この制御の開始後に、職員ID、全部の検出センサ22,23の検出信号と、全部の重量計測器36の検出信号とを順々に読み込み(S130)、次に注射薬別に今回の在庫数量を演算し、今回の在庫数量等に関連するデータを在庫情報ファイルに記憶する(S131)。尚、在庫情報ファイルには、図37に示すように、過去数日或いは1ケ月の間に注射薬収納装置3を使用した複数の職員による作業終了時の在庫情報と、現在注射薬収納装置3を使用中の職員による作業中の最新の在庫情報とが格納される。
【0120】
S131の演算では、収納形態設定制御手段94によりカタログ設定された収納形態の情報と、全部の検出センサ22,23と重量計測器36の検出信号に基づいて、注射薬別の在庫数量を演算し、そのデータ(職員ID、注射薬名又は薬品コード、在庫数量など)を更新しつつ記憶する。尚、図示してないが、患者別に取り出した注射薬の薬品名と数量のデータも職員IDと共に別のファイルに記憶されていくので、どの患者にどの注射薬を何個使用したかの情報も記録され保存される。次に、注射薬別に在庫数量が減少したかどうかを判定することで注射薬の取り出しが発生したか否か判定し(S132)、その判定がYes の場合は取り出した注射薬の薬品名又は薬品コードと数量を特定する処理と、関連データ(年月日時刻、職員ID、注射薬名又は薬品コード、数量など)が記憶される(S133)。
【0121】
次に、フラグFt=1か否か、つまり取り出し許可モードにおいて取り出したか否か判定し(S134)、その判定がYes の場合はS135において、図33,図34のように注射薬を一覧表示する一覧表示用数量データがS133で取得したデータに基づいて変更される。S134の判定がNoの場合は、不正取り出しを警告する警告音声がスピーカー41から出力され、不正取り出し関連データ(年月日時刻、職員ID、注射薬名又は薬品コード、数量)が所定のファイルに記憶される(S136)。尚、S136における不正取り出しを警告する警告音声の出力と同時に、画面に不正取り出しを警告する警告文字列も表示出力される。
【0122】
その後、S135から図30のS137へ移行する。尚、前記S114の注射薬返却検出制御は図30の制御と同様のものである。S137では、前記のS131にて求めた在庫数量の増加の有無から注射薬の返却が発生したか否か判定し、注射薬の返却又は補充を検出した場合は、返却許可フラグFh=1か否か判定し(S138)、その判定がYes の場合は返却注射薬の特定と関連データ(年月日時刻、職員ID、注射薬名又は薬品コード、数量)を記憶する処理が実行される(S139)。次に、注射薬の返却があった場合は、図35のように注射薬の返却数を一覧表示する一覧表示用数量データがS139で記憶したデータに基づいて変更される(S140)。
【0123】
一方、S138の判定がNoの場合は補充許可モードフラグFf=1か否か判定する(S141)。尚、この補充許可モードフラグFfは注射薬の補充を許可する補充許可モードのときだけFf=1であり、後述の注射薬補充制御において説明する。S141の判定がYes の場合は補充注射薬の特定と関連データ(年月日時刻、職員ID、注射薬名又は薬品コード、数量)を記憶する処理が実行され(S142)、次に通常補充の際に注射薬の補充数などを一覧表示する一覧表示用数量データが変更される(S143)。S141の判定がNoの場合は、不正返却を警告する警告音声がスピーカー41から出力され(S144)、不正返却に関連するデータ(年月日時刻、職員ID、注射薬名又は薬品コード、数量など)が記憶される(S149)。S140、S143、S145の次にはS130へリターンし、図29,図30の制御が微小時間おきに繰り返し実行される。
【0124】
次に、注射薬収納装置3のカセット収納部11に装着した状態の1又は複数のカセット14や引出し30に注射薬を補充する注射薬通常補充制御について図38のフローチャートに基づいて説明する。一部の1又は複数のカセット14の注射薬の消費量が多いような場合に、その種の注射薬を適宜補充できるようになっているが、制御ユニット60により各注射薬の在庫データなどの種々の管理データを完備していく為に、この注射薬通常補充制御を行う注射薬通常補充制御手段が設けられている。
【0125】
この制御は、例えば図31の画面の「補充」を選択すると開始され、最初に職員IDとパスワードが入力済みか否か判定し(S150)、その判定がNoのときは職員IDとパスワードを入力すべき旨のメッセージが表示される(S151)。S150の判定がYes のときは、補充許可モードフラグFfが「1」にセットされ(S152)、所定の注射薬通常補充画面(図示略)が表示され(S153)、この画面において、補充年月日、補充注射薬の薬品名又は薬品コード、数量を入力する(S154)。尚、制御ユニット60により前記の「補充年月日」のデータを作成してもよい。
【0126】
次に前記の注射薬取り出し・返却・補充検出制御により、注射薬の補充が検出されたか否か判定し(S155)、その判定がYes になると、補充注射薬の関連データ(年月日時刻、職員ID、薬品名又は薬品コード、数量など)が所定のファイルに記憶され(S156)、終了キーが操作されないうちはS153へ戻り、終了キーが操作されると、フラグFfが「0」にリセットされ(S158)、この制御が終了する。
【0127】
次に、注射薬収納装置3から注射薬を取り出す際に注射薬が破損したり、注射薬の取り出し後に注射薬が破損したりすることがあり、このような場合に、注射薬破損登録する注射薬破損登録制御について、図39のフローチャートに基づいて説明する。尚、制御ユニット60において、注射薬別の在庫数量を含む種々の管理データを完備していく為に、この注射薬破損登録制御を行う注射薬破損登録制御手段が設けられている。
【0128】
この制御は、例えば図32又は図33の画面の「破損登録モード」を操作することにより開始され、最初に職員IDとパスワードが入力済みか否か判定し(S160)、その判定がNoのときは職員IDとパスワードを入力すべき旨のメッセージが表示される(S161)。S160の判定がYes のときは、所定の破損登録画面(図示略)が表示され(S162)、この画面において、破損年月日時刻、破損注射薬の薬品名(又は薬品コード)、数量を入力する(S163)。
【0129】
次に、前記破損登録画面のウインド画面に、複数の破損理由を一覧表示させて破損理由を選択して登録させる(S164)。次に、破損登録データ(年月日時刻、職員ID、薬品名又は薬品コード、数量、破損理由など)が所定のファイルに記憶され(S165)、終了キーが操作されないうちはS162へ戻り、終了キーが操作されると、この制御が終了する。
尚、注射薬の取り出し後、注射薬の保管や搬送中や、施用時に注射薬を破損することもあるが、その場合は、前記の「破損登録モード」を使用できないため、別途、注射薬収納装置3にアクセスし、「注射薬取り出し後破損登録処理」により、破損登録することになるが、この処理も、以上の破損登録とほぼ同様であるので、これ以上の説明を省略する。
【0130】
次に、制御ユニット60は、少なくとも、注射薬の取り出し・返却・補充の何れかが実行された際に、その操作者の操作者IDと操作履歴の情報を時刻情報と共にリアルタイムで記録していく操作履歴記録制御手段98を有する。この前記操作履歴記録制御手段98により実行される、職員(操作者)が注射薬収納装置3に対して操作した操作履歴を記録する操作履歴記録制御について、図40のフローチャートにより簡単に説明する。この操作履歴記録制御は、注射薬収納装置3の制御ユニット60の作動中には常時実行される制御である。この制御が開始されると、職員IDとパスワードが入力されたか否か判定し(S170)、その判定がYes になると、職員ID、パスワード、年月日時刻のデータが、ハードディスク64の操作履歴記録ファイルに記録され(S171)、次にLCD42のタッチパネル42a又はバーコードリーダー44への操作がなされたか否か判定する(S172)。
【0131】
その操作がなされた場合はその操作の操作名と内容を検知する演算処理が実行される。この場合、多数の画面の内容についての多数の設定情報と現在表示中の画面についての情報とタッチパネル42aの多数のスイッチを走査するスイッチ走査信号に基づいて演算処理が実行される。次に年月日時刻、職員ID、操作名、内容が操作履歴記録ファイルに記憶され(S174)、次に別の職員IDとパスワードが入力されたか否か判定し(S175)、その判定がNoの場合はS172へ戻ってS172以降が繰り返され、S175の判定がYes になると、S170へリターンし、この制御が微小時間おきに繰り返し実行される。
【0132】
制御ユニット60は、調剤支援コンピュータ2に対して、患者IDと、1又は複数種の注射薬の薬品名又は薬品コードおよび数量の情報と、薬袋と輸液容器に貼るラベル及び患者のリストバンドを印刷する印刷指令とを出力する印刷指令出力制御手段101を有する。この印刷指令出力制御手段101の制御について、図41により説明する。
【0133】
図41(a)に示すように、薬袋等を印刷する場合には、図示外の画面から「薬袋等印刷」を指定すると、この制御が開始され、最初に職員IDと患者IDが読み込まれ(S180)、次に施用対象の注射薬情報(注射薬の薬品名又は薬品コード、数量など)が読み込まれ(S181)、次に調剤支援コンピュータ2に、患者ID、施用対象の注射薬情報、薬袋印刷指令、ラベル印刷指令、リストバンド印刷指令が出力され(S182)、この制御が終了する。
【0134】
次に、調剤支援コンピュータ2のコンピュータ本体50で実行する処理について図41(b)により説明する。前記のS182で出力された情報、指令が受信されるとこの制御が開始され、最初に配合禁忌判定手段による判定処理が実行され(S190)、次にpH変動判定手段による判定処理が実行され(S191)、次に薬袋印刷データ、ラベル印刷データ、リストバンド印刷データが作成される(S192)。
【0135】
このとき、軽微な配合禁忌が発生する場合は、その配合禁忌現象についてコメントも薬袋に印刷するような薬袋印刷データが作成され、また、pH変動に関連する注意事項(コメント)も薬袋に印刷するような薬袋印刷データが作成される。次に薬袋プリンタ4とラベルプリンタ6を駆動制御することで、図19に例示するような薬袋75、図21に例示するようなラベル76、図22に例示するようなリストバンド77が印刷される(S193)。
【0136】
次に、制御ユニット60のハードディスク64に組み込んだ制御プログラムを介して達成されるその他の機能と既述の機能について図42以降の図面を参照して説明する。
注射薬に関する種々の管理情報を画面で見たり印刷出力する為に、図31のLCD42の画面で「集計業務」を選択すると、図42の画面が表示される。
注射薬の在庫を確認し発注業務を行う為に、画面の「在庫の確認と発注業務」を操作すると、図43に例示する画面が表示される。この画面に表示される情報は、主に在庫情報作成手段により作成される。この画面には、注射薬収納装置3に収納している複数の注射薬について、薬品コード、薬品名、規格、定数(最大収納数量)、在庫数、発注数、単位(例えば、本)などが表示され、この画面の「発注票印字」を操作することにより、プリンタ44又は帳票プリンタ5により、図示のような情報を含む発注票を印刷することができ、この発注票に基づいて注射薬の発注を能率的に行うこともできる。尚、帳票プリンタ5では、A4版やB5版の普通紙に印刷するため、作成した帳票類を整理する上で有利である。
【0137】
注射薬取り出し等の作業実績を確認するために、図42の画面で「作業実績の確認業務」を操作すると、作業実績制御手段により作成され所定のファイルに記憶していた情報を用いて、図44に例示する画面が表示される。この画面において担当者(職員、操作者)を指定する職員IDをバーコードリーダー44から入力し、期間指定情報を入力すると、その担当者が指定期間に行った業務が図示のように時系列的に一覧表示される。この画面において担当者が行った個々の業務の内容を知る為に「内容確認」を操作すると、図45に例示する画面が表示される。この画面において「集計票印字」を操作することで、この集計票を前記プリンタ43又はプリンタ5に印字させることができ、個々の職員の作業内容をチェックすることができる。
【0138】
薬品の使用量等を知る為に、図42の画面で「薬品使用量と日計集計」を操作すると、図46に例示する画面が表示され、日付けを指定する情報を入力すると、薬品使用状況情報作成制御手段により、この指定した日付けにおける、注射薬の払出数、返却数、破損数、実使用数などの情報が作成されて、図示のように一覧表示される。この日計票から、指定した日における注射薬の使用状況を知ることができ、「日計票印字」を操作することで、前記プリンタ43又はプリンタ5に印字させることができる。
【0139】
注射薬の破損状況を知る為に、図42の画面において「薬袋の破損確認」を操作すると、注射薬破損確認制御手段によりLCD42に図47の画面が表示される。この画面に日付けを指定する情報を入力すると、破損した注射薬の薬品コード、薬品名、破損数量(取出数)、補充数、合計数、単位(例えば、本)が一覧表示される。ここに表示される情報は、例えば、破損登録した情報や通常補充した注射薬情報などに基づいて作成されるが、画面の「破損電票印字」を操作して、プリンタ43又はプリンタ5に印刷させることもできる。この画面の右部の「破損内訳」を選択すると破損の内訳が表示される。
【0140】
図42の画面において「薬品取出以外の破損登録」を操作すると、前記の注射薬破損確認制御手段によりLCD42に図48の画面が表示される。この画面には、薬品取り出し時以外の時に破損して破損登録した複数の注射薬における、薬品コード、薬品名、数量、単位、作業者(操作者または職員)などが一覧表示される。この破損関連情報は、破損登録により入力された情報に基づいて作成して記憶されているが、この画面に示す情報を「破損伝票印字」を操作することで、プリンタ43又はプリンタ5に印刷させることができる。
【0141】
注射薬収納装置3からの注射薬の不正な取り出し、返却、通常補充などを知る為に、図42の画面で「不正行為と在庫不一致確認業務」を操作すると、図49に例示する画面が表示され、期間を指定する情報を入力すると、その指定した期間における複数の担当者(職員)による不正処理が時系列的に一覧表示される。ここに表示される情報は、不正処理一覧表示情報作成手段により、前記検出制御手段97により検出され記憶されていた情報から作成される。この画面において、所望の不正処理を指定し、「明細確認」を操作すると、図50に例示する画面が表示される。この画面には、指定された不正処理についての、発生日時、不正処理の区分、発生場面、担当者(職員)、薬品名、数量、検出センサ番号等が表示されるため、不正処理の原因究明と対策の立案に活用することができる。
【0142】
一方、図49の画面で、「在庫不一致」を指定し且つ「明細確認」を操作すると、図51に例示する画面が表示される。この画面には、在庫不一致情報作成手段により、図49に指定した指定期間中に発生した在庫不一致に関する情報が作成され、その在庫不一致に関する情報が時系列的に一覧表示される。この在庫不一致に関する情報は、前記在庫情報作成手段99により作成された情報から作成される。在庫不一致とは、ある職員による注射薬収納装置3の使用終了時点の在庫(「前回」の在庫)と、ある職員の次の職員による注射薬収納装置3の使用終了時点における在庫(「今回」の在庫)との不一致を示すものである。注射薬の取り出し・返却・補充、破損登録に応じた在庫不一致が発生している限り問題はないが、それら取り出し・返却・補充、破損登録と矛盾する異常な在庫不一致が発生した場合には、どの職員からどの職員への切換かわり時に異常な在庫不一致が発生したかを追跡可能になる。
【0143】
図42の画面で、「操作履歴確認業務」を操作すると、図52の画面が表示され、期間を入力指定すると、その期間における操作履歴が時系列的に一覧表示される。この画面には、操作日時、担当者(職員)、マネージャ(操作名)、操作(操作内容)等が表示される。この操作履歴に関する情報は、前記の操作履歴記録制御手段98により作成されてファイルに記憶されていた情報の一部である。この操作履歴を調べることで、注射薬の不正な取り出し等を追跡することが可能となる。
【0144】
図42の画面で、「薬品補充履歴の確認」を操作すると、図53に例示する画面が表示され、期間を入力指定し、担当者ID(職員ID)をバーコードリーダー44から入力すると、その指定期間にその指定した担当者が注射薬を補充した補充履歴が一覧表示される。この画面から指定した担当者による注射薬の通常補充の状況を確認することができる。この画面で「検索」を操作すると、図54に例示する画面が表示される。この画面には、補充日時、作業者名(職員名)、各補充における、薬品コード、薬品名、検出センサーNo.定数(最大収納数量)、必要数、補充数などの補充作業の明細が表示される。そして、「補充結果印字」を操作することで、プリンタ43又はプリンタ5に印刷させることができる。
【0145】
図42の画面で「実装薬品の操作履歴検索」を操作すると、図55の画面が表示され、期間を入力指定し、検索対象の薬品名を入力すると、指定した注射薬についての操作履歴が時系列的に一覧表示される。「一覧印字」を操作することで、プリンタ43又は5に印刷させることができる。このように、注射薬に対する操作履歴を注射薬別に検索できるため、高価な抗ガン剤の注射薬などについての不正操作を追跡することが可能となる。
【0146】
以上の実施形態の注射薬調剤支援システム1の効果について説明する。
注射薬収納装置3に設けた複数のカセット14に夫々予め設定された種類の複数の注射薬を収納でき、この収納装置を使用しない状態ではシャッター9を閉じて施錠でき、複数の検出センサ22,23の検出信号に基づいて各カセット14に収納した注射薬の種類(注射薬名又は薬品コード)と数量を算出できる。
【0147】
制御ユニット60により、取り揃え対象の注射薬をLCD42に一覧表示させ、該当するカセット14に対応する指示ランプ19を点灯させて注射薬取り出しの案内を行うことができる。制御ユニット60と調剤支援コンピュータ2と薬袋プリンタ4及びラベルプリンタ6により、取り出した注射薬を収容する薬袋75や、輸液容器に貼るラベル76や、患者の手首に付けるリストバンド77などを印刷して簡単に作成できる。注射薬収納装置3に収納する注射薬についての種々の管理情報を調剤支援コンピュータ2に送信して、種々の帳票類を帳票プリンタ5でA4版やB5版の普通紙に印刷し作成できる。
【0148】
制御ユニット60に、複数種の注射薬のマスターデータを格納した注射薬マスターファイル90を設けたので、注射薬の薬品名や薬品コードや規格量など注射薬に関する種々の情報をLCD42に表示させたり、種々の情報作成する処理を効率よく進めることができる。
収納形態設定制御手段94を介して、注射薬収納装置3の複数のカセット14に注射薬をフルに装填した状態における、各カセット14に収納する注射薬の種類と最大収納数量を設定して記憶できる。注射薬別に、最大収納数量と実在庫数量との差から消費数量を算出して注射薬の消費数量や発注数量を推定することができる。
【0149】
各職員(操作者)別に許可される取り出し許可モードのときだけ、その職員に注射薬の取り出しを行うことを許可し、この取り出し許可モードでない時に行った注射薬の取り出しを不正取り出しとすることができる。注射薬の取り出しの際に、取り出しミスした場合に返却できるように、取り出し許可モードにおいて返却許可モードが設定可能であり、各操作者別に許可される返却許可モードのときだけ、その職員に注射薬の返却を許可し、この返却許可モードでない時の返却を不正返却とすることができる。しかも、これらのモードが各職員別に設定されるため、各職員別に作業を区分して取り出しや返却を監視することができる。
【0150】
制御ユニット60に、各患者に対する施用別に取り出すべき注射薬の薬品名と数量のリストをLCD42に表示させ且つ対応するカセット14の前側の指示ランプ19を点灯させる一覧表示制御手段95を設けたので、指示ランプ19で指示されたカセット14の注射薬を、LCD42に表示された数量だけ取り出すことで、各患者の各施用分の1又は複数種の注射薬を簡単に能率的に取り揃えることできる。
【0151】
制御ユニット60に、取り出し許可モードでない時の注射薬の取り出しや返却許可モードでない時の注射薬の返却に対してLCD42やスピーカー41から警告を発する警告制御手段96を設けたので、注射薬の取り出しミスや返却ミスの発生を職員(操作者)に知らせてミスを解消させることができる。
何れかの1又は複数の種類の注射薬の在庫量が十分でなくなった場合に補充する際に、この補充許可モードに設定してから注射薬の補充を行なえば、カセット14(収納部)への注射薬の返却とを区別することができる。注射薬の返却と補充とを混同せずに、注射薬の数量などを管理することが可能となる。
【0152】
制御ユニット60に、注射薬の取り出し・返却・補充の際には、複数の検出センサ22からの検出信号に基づいて注射薬の取り出し・返却・補充を検出する検出制御手段97を設けたので、注射薬の取り出し・返却・補充を確実に検出し、注射薬の種類と数量などを管理する管理情報の信頼性を高めることができる。
【0153】
制御ユニット60に設けた操作履歴記録制御手段98により、少なくとも、注射薬の取り出し・返却・補充の何れかが実行された際に、その職員の職員ID(操作者ID)と操作履歴の情報を時刻情報と共にリアルタイムで記録していくことができ、その記録情報から、注射薬の取り出し・返却・補充の全ての操作に関して、どの職員が何時、どの注射薬を何個、取り出しや返却や補充を行ったかが分かり、注射薬の管理の徹底を図ることができる。
【0154】
制御ユニット60に設けた在庫情報作成制御手段99により、注射薬収納装置3に収納している注射薬の在庫情報であって職員と関連つけられた在庫情報を作でき、ある職員が注射薬収納装置3を使用した際の在庫と次の職員が注射薬収納装置3を使用した際の在庫の在庫不一致の情報が得られるため、各職員による不正取り出し等も検出し易くなる上、発注すべき注射薬の種類と数量を簡単に知ることができ、注射薬の発注作業が簡単になる。
制御ユニット60に、破損した注射薬について少なくとも薬品名と数量とを登録する為の破損登録制御手段100を設けたので、注射薬の取り出し時や取り出し後に破損した際に、少なくとも薬品名と数量とを登録することができる。そのため、注射薬を管理する管理情報の信頼性が高まる。
【0155】
制御ユニット60に設けた印刷指令出力制御手段101により、調剤支援コンピュータ2に対して、薬袋75とラベル76とリストバンド77を印刷するのに必要な情報と印刷指令とを出力し、薬袋プリンタ4とラベルプリンタ6を介して、薬袋75とラベル76とリストバンド77を印刷させることができる。
【0156】
前記図43以降の図面に表示される情報は、在庫情報作成手段99や操作履歴記録制御手段98や検出制御手段97などで作成されて適宜ファイルに記憶されていた情報に基づいて作成される。ただし、画面に夫々のフォーマットで表示する為には、種々の表示データ作成プログラムを介して表示データが作成され画面に表示されることになる。
【0157】
図44のように、指定した職員についての指定期間の作業実績を表示させて確認できるので、職員の作業状況を把握し、職員の能力の把握や評価などの職員管理に利用することができる。図45のように、指定した職員別の指定期間における薬品の取り出し作業を表示させて確認できるため、薬品の取り出し作業が適切に実行されているか把握し、職員管理に利用することができる。
図46のように、薬品使用状況の日計表を表示できるため、各注射薬の消費動向を把握し、発注やストック数量管理などに有効利用することができる。
【0158】
図47のように、薬品の破損状況を表示させ、印刷出力することができるので、注射薬の破損に関する実情を把握し、破損防止の対策立案等に役立つ。
図48のように、薬品取出以外の破損登録の情報を表示させ、印刷出力することができるので、薬品取出以外の破損の実情を把握し、破損防止の対策立案等に役立つ。
図49のように、不正処理(不正取り出し、不正返却、不正補充等々)と在庫不一致に関する情報を表示させることができるため、不正処理の実態を把握し、対策立案が可能となる。また、図50のように、不正処理の詳細を表示させることができるので、不正処理の実態を把握し、対策立案が可能となる。
【0159】
図51のように、在庫不一致の明細を表示させることができるため、どの職員が注射薬の取り出しを行った時に、在庫不一致が発生したのが追跡可能となるから、注射薬の取り出しを検出しやすくなり、職員管理を改善可能である。
図52のように、操作履歴を表示させて見ることができるので、効果な注射薬の数量が適正でなくなったように場合など、必要に応じて、操作履歴を追跡することで原因究明を図ることができる。
図53のように、薬品補充履歴を表示できるため、薬品補充状況を把握することができる。図54のように薬品補充の明細を表示できるため、注射薬の補充の明細を把握できる。図55のような表示を介して、実装薬品の操作履歴検索を行うことができるので、注射薬の数量などに疑問が生じた場合に、その注射薬を指定し、その注射薬についての操作履歴を追跡することができる。
【0160】
ここで、前記実施形態を部分的に変更する例について説明する。
1)コンピュータ本体50と制御ユニット60はホストコンピュータに接続されているので、このホストコンピュータから、複数種の注射薬のマスターデータや複数の患者に関する情報(患者特定情報、処方情報など)を受けて何らかのファイルに記憶するように構成してもよい。
【0161】
2)前記注射薬収納装置3では、その輸液容器収納部13に複数の引出し30を設けた構造の注射薬収納装置を例にして説明したが、輸液容器収納部13を省略し、注射薬収納装置の全体にカセット収納部を設ける場合もある。
3)前記注射薬収納装置3では、注射薬の薬品コードや患者IDの入力の為のバーコードリーダー44を設けたが、バーコードリーダー44の代わりに、またはバーコードリーダー44と共に、磁気カードリーダーを設けてもよい。
4)前記注射薬収納装置3における、LCD42に付けたタッチパネル42aを省略し、タッチパネル42aの代わりにキーボードとマウスと画面上に表示されるポインタなどを設けてもよい。
【0162】
5)前記注射薬収納装置3に付近に、カセット収納部のみを装備した1又は複数の増設用注射薬収納装置を配置し、その増設用注射薬収納装置をも、制御ユニット60で制御するように構成する場合もある。
【0163】
6)本発明は以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態に種々の変更を付加して実施することができ、本発明はそれらの変更形態をも包含するものである。
【0164】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、注射薬収納装置に、複数の収納部に夫々予め設定された種類の複数の注射薬を収納でき、この収納装置を使用しない状態では開閉体を閉じて施錠することができ、複数の検出センサからの検出信号に基づいて各収納部に収納されている注射薬の数量を求めることができる。
【0165】
制御ユニットにより、取り揃え対象の注射薬を表示手段に表示させ、該当する収納部の指示ランプを点灯させて注射薬取り出しのガイドを行うことができる。制御ユニットと調剤支援コンピュータと薬袋プリンタ及びラベルプリンタにより、取り出した注射薬を収容する薬袋や、輸液容器に貼るラベルや、患者の手首に付けるリストバンドなどを印刷して簡単に作成できる。また、注射薬収納装置に収納する注射薬についての種々の管理情報を調剤支援コンピュータに送信して、種々の帳票類を帳票プリンタで印刷し作成できる。各操作者別に許可される取り出し許可モードのときだけ、その操作者は注射薬の取り出しを行うことを許可し、この取り出し許可モードでない時に行った注射薬の取り出しを不正取り出しとすることができる。そして、注射薬の取り出しの際に、取り出しミスした場合に返却できるように、取り出し許可モードにおいて返却許可モードが設定可能であり、各操作者別に許可される返却許可モードのときだけ、その操作者に注射薬の返却を許可し、この返却許可モードでない時の返却を不正返却とすることができる。制御ユニットに、取り出し許可モードでない時の注射薬の取り出しや返却許可モードでない時の注射薬の返却に対して表示手段又は音声出力手段により警告を発する警告制御手段を設けたので、注射薬の取り出しミスや返却ミスの発生を操作者に知らせてミスを解消させることができる。制御ユニットに、不正取り出しを行った日時と操作者の操作者ID情報とを含む不正取り出し関連データと、不正返却を行った日時と操作者の操作者ID情報とを含む不正返却関連データとを所定のファイルに記憶する処理を行う手段を設けたので、複数の不正処理を表示させ、更に指定された不正処理の明細を表示させて、不正処理の原因究明と対策の立案に活用することができる。
【0166】
請求項2の発明によれば、制御ユニットに、指定期間における複数の操作者による不正取り出しと不正返却を含む不正処理のみを夫々日時と操作者ID情報とを対応させて表示手段に時系列的に一覧表示させるように構成し、その一覧表示させる情報を作成する不正処理一覧表示情報作成手段を有するので、指定期間における複数の不正処理を時系列的に一覧表示させて、その複数の不正処理から所望の不正処理を指定して、指定された不正処理の明細を表示させるように構成できる。請求項3の発明によれば、制御ユニットに、取り出された注射薬の薬品名又は薬品コードと数量を検出するとともに、返却された注射薬の薬品名又は薬品コードと数量を検出する検出制御手段を有し、不正取り出し関連データは、不正取り出しされた注射薬の薬品名又は薬品コードとその数量を含み、不正返却関連データは、不正返却された注射薬の薬品名又は薬品コードとその数量を含むので、複数の 不正処理の各々について、不正区分、薬品名、数量を表示させることができる。
【0167】
請求項4の発明によれば、制御ユニットに、指定期間における複数の操作者による不正取り出しと不正返却を含む不正処理を夫々日時と操作者ID情報とを対応させて表示手段に時系列的に一覧表示させた状態で、指定された不正処理について、その不正処理を行った日時と操作者ID情報と共に、不正処理された注射薬の薬品名又は薬品コードと数量を表示手段に表示させるように構成したので、指定された不正処理について、不正区分、発生日時、担当者(操作者)、薬品、数量を表示させることができる。
【0168】
請求項5の発明によれば、制御ユニットに、複数種の注射薬のマスターデータを格納した注射薬マスターファイルと、複数の収納部に夫々収納する注射薬の種類と最大収納数量を予め設定する為の収納形態設定制御手段とを設けたので、注射薬の薬品名や薬品コードや規格量など注射薬に関する種々の情報を表示手段に表示させることができ、収納形態設定制御手段を介して、注射薬収納装置の複数の収納部に注射薬をフルに装填した状態における、各収納部に収納する注射薬の種類と最大収納数量を設定して記憶することができ、調剤支援別に、最大収納数量と実在庫数量との差から消費数量を算出して必要発注数量を推定することができる。
【0169】
請求項6の発明によれば、制御ユニットに、各患者に対する施用別に取り出すべき注射薬の薬品名と数量のリストを表示手段に表示させ且つ対応する収納部の指示ランプを点灯させる一覧表示制御手段を設けたので、指示ランプで指示された収納部の注射薬を、表示手段に表示された数量だけ取り出すことで、各患者の各施用分の1又は複数種の注射薬を簡単に能率的に取り揃えることできる。
【0170】
請求項7の発明によれば、何れかの1又は複数の種類の注射薬の在庫量が十分でなくなった場合に補充する際に、この補充許可モードに設定してから注射薬の補充を行なえば、収納部への注射薬の返却とを区別することができる。注射薬の返却と補充とを混同せずに、注射薬の数量などを管理することが可能となる。
【0171】
請求項8の発明よれば、制御ユニットに、注射薬の取り出し・返却・補充の際には、前記複数の検出センサからの検出信号に基づいて注射薬の取り出し・返却・補充を検出する検出制御手段を設けたので、注射薬の取り出し・返却・補充を確実に検出し、注射薬の種類と数量などを管理する管理情報の信頼性を高めることができる。
【0172】
請求項9の発明によれば、制御ユニットに設けた操作履歴記録制御手段により、少なくとも、注射薬の取り出し・返却・補充の何れかが実行された際に、その操作者の操作者IDと操作履歴の情報を時刻情報と共にリアルタイムで記録していくことができ、その記録情報から、注射薬の取り出し・返却・補充の全ての操作に関して、どの操作者が何時、どの注射薬を何個、取り出しや返却や補充を行ったかが分かり、注射薬の管理の徹底を図ることができる。
【0173】
請求項10の発明によれば、制御ユニットに設けた在庫情報作成制御手段により、注射薬収納装置に収納している注射薬の在庫情報であって操作者と関連つけられた在庫情報作成することができる。発注すべき注射薬の種類と数量を簡単に知ることができ、注射薬の発注作業が簡単になるうえ、操作者別の不正取り出し等も検出し易くなる。
請求項11の発明によれば、制御ユニットに、破損した注射薬について少なくとも薬品名と数量とを登録する為の破損登録制御手段を設けたので、注射薬の取り出し時や取り出し後に破損した際に、少なくとも薬品名と数量とを登録することができる。そのため、注射薬を管理する管理情報の信頼性が高まる。
【0174】
請求項12の発明によれば、制御ユニットに設けた印刷指令出力制御手段により、調剤支援コンピュータに対して、前記のような情報と印刷指令とを出力し、薬袋プリンタとラベルプリンタを介して、必要な薬袋とラベルとリストバンドを印刷させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る注射薬調剤支援システムの構成図である。
【図2】注射薬収納装置のカセットホルダとカセットの斜視図である。
【図3】センサ基板の斜視図である。
【図4】棚板とセンサ基板とカセットホルダとカセットの断面図である。
【図5】引出しの正面図である。
【図6】引出しとその収納物の側面図である。
【図7】注射薬調剤支援システムのブロック図である。
【図8】複数のデータファイルと複数の機能達成手段の関係説明図である。
【図9】注射薬マスターデータファイルの概要説明図である。
【図10】配合禁忌データファイルの概要説明図である。
【図11】患者データファイルの概要説明図である。
【図12】処方情報のうちの施用内容の説明図である。
【図13】患者別抗ガン剤処方例の説明図である。
【図14】配合禁忌判定結果例の説明図である。
【図15】pH変動表の表示例を示す説明図である。
【図16】抗ガン剤適正判定処理のフローチャートの一部である。
【図17】抗ガン剤適正判定処理のフローチャートの残部である。
【図18】患者別施用別薬袋作成処理のフローチャートである。
【図19】印刷された患者別施用別薬袋の平面図である。
【図20】ラベル作成処理のフローチャートである。
【図21】特殊印刷用紙に印刷されたラベルの平面図である。
【図22】印刷したリストバンドの平面図である。
【図23】制御ユニットの構成を示す説明図である。
【図24】(a)カセット収納部に収納する収納形態を設定した第1テーブルを説明する説明図、(b)輸液容器収納部に収納する収納形態を設定した第2テーブルを説明する説明図である。
【図25】一覧表示制御とモード設定制御のフローチャートの一部である。
【図26】一覧表示制御とモード設定制御のフローチャートの一部である。
【図27】一覧表示制御とモード設定制御のフローチャートの残部である。
【図28】注射薬返却制御とモード設定・解消制御のフローチャートである。
【図29】注射薬取り出し返却補充検出制御のフローチャートの一部である。
【図30】注射薬取り出し返却補充検出制御のフローチャートの残部である。
【図31】職員ID入力画面の表示例を示す図である。
【図32】患者ID入力画面の表示例を示す図である。
【図33】薬品取り出し作業画面の表示例を示す図である。
【図34】薬品取り出し作業画面の表示例を示す図である。
【図35】実装薬品の返却画面の表示例を示す図である。
【図36】薬品位置ナビゲート画面の表示例を示す図である。
【図37】在庫情報作成手段により作成される在庫情報例の説明図である。
【図38】注射薬補充制御の概略フローチャートである。
【図39】破損登録制御の概略フローチャートである。
【図40】操作履歴記録制御の概略フローチャートである。
【図41】(a)印刷指令出力制御の概略フローチャートであり、(b)は薬袋等作成処理の概略フローチャートである。
【図42】集計業務メニュー画面の表示例を示す図である。
【図43】実装薬品在庫の確認と発注業務画面の表示例を示す図である。
【図44】作業実績の確認の表示例を示す図である。
【図45】薬品取り出し作業内容の確認画面の表示例を示す図である。
【図46】薬品使用状況の確認等の画面表示例を示す図である。
【図47】薬品破損状況の確認等の画面表示例を示す図である。
【図48】薬品取出以外の破損登録の画面表示例を示す図である。
【図49】不正処理等の画面表示例を示す図である。
【図50】不正処理詳細確認の画面表示例を示す図である。
【図51】在庫不一致明細確認の画面表示例を示す図である。
【図52】操作履歴の確認の画面表示例を示す図である。
【図53】薬品補充履歴の確認の画面表示例を示す図である。
【図54】薬品補充明細の確認の画面表示例を示す図である。
【図55】実装薬品の操作履歴検索の画面表示例を示す図である。
【符号の説明】
1 注射薬調剤支援システム
2 調剤支援コンピュータ
3 注射薬収納装置
4 薬袋プリンタ
5 帳票プリンタ
6 ラベルプリンタ
9 シャッター(開閉体)
10 本体ケース
11 カセット収納部
19 指示ランプ
22 検出センサ
42 LCD
42a タッチパネル
60 制御ユニット
94 収納形態設定制御手段
95 一覧表示制御手段
96 警告制御手段
97 検出制御手段
98 操作履歴記録制御手段
99 在庫情報作成制御手段
100 破損登録制御手段
101 印刷指令出力制御手段

Claims (12)

  1. 病院において複数の患者に注射薬を調剤するのを支援するシステムにおいて、
    複数の患者の患者ID情報と処方情報とを格納した患者データファイルとを有する調剤支援コンピュータと、この調剤支援コンピュータに接続され薬袋に印刷する薬袋プリンタおよび帳票類を印刷する帳票プリンタおよびラベル類を印刷するラベルプリンタと、前記調剤支援コンピュータに接続された注射薬収納装置とを備え、
    前記注射薬収納装置は、本体ケースと、複数種の注射薬を夫々種類別に取り出し・返却可能に収納する複数の収納部と、複数の収納部に夫々収納される複数の注射薬の有無を検出する複数の検出センサと、複数の収納部の前面を開閉可能な開閉体と、この開閉体に施錠可能な電動施錠手段と、タッチパネル付きの表示手段と、音声出力手段と、複数の収納部を個別に指示可能な複数の指示ランプと、上記の諸手段や機器を制御する制御ユニットとを備え
    前記制御ユニットは、
    操作者ID情報の入力後に、収納部からの注射薬の取り出しを許可する取り出し許可モードに設定可能であり、この取り出し許可モードにおいて収納部への注射薬の返却を許可する返却許可モードに設定可能であり、
    前記取り出し許可モードでない時の注射薬の不正取り出しや返却許可モードでない時の注射薬の不正返却に対して表示手段又は音声出力手段により警告を発する警告制御手段と、
    前記不正取り出しを行った日時と操作者の操作者ID情報とを含む不正取り出し関連データと、前記不正返却を行った日時と操作者の操作者ID情報とを含む不正返却関連データとを所定のファイルに記憶する処理を行う手段と、
    を備えたことを特徴とする注射薬調剤支援システム。
  2. 前記制御ユニットは、指定期間における複数の操作者による不正取り出しと不正返却を含む不正処理のみを夫々日時と操作者ID情報とを対応させて表示手段に時系列的に一覧表示させるように構成され、その一覧表示させる情報を作成する不正処理一覧表示情報作成手段を有することを特徴とする請求項1に記載の注射薬調剤支援システム。
  3. 前記制御ユニットは、取り出された注射薬の薬品名又は薬品コードと数量を検出するとともに、返却された注射薬の薬品名又は薬品コードと数量を検出する検出制御手段を有し、
    前記不正取り出し関連データは、不正取り出しされた注射薬の薬品名又は薬品コードとその数量を含み、前記不正返却関連データは、不正返却された注射薬の薬品名又は薬品コードとその数量を含むことを特徴とする請求項2に記載の注射薬調剤支援システム。
  4. 前記制御ユニットは、指定期間における複数の操作者による不正取り出しと不正返却を含む不正処理を夫々日時と操作者ID情報とを対応させて表示手段に時系列的に一覧表示させた状態で、指定された不正処理について、その不正処理を行った日時と操作者ID情報と共に、不正処理された注射薬の薬品名又は薬品コードと数量を表示手段に表示させるように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の注射薬調剤支援システム。
  5. 前記制御ユニットは、複数種の注射薬のマスターデータを格納した注射薬マスターファイルと、複数の収納部に夫々収納する注射薬の種類と最大収納数量を予め設定する為の収納形態設定制御手段とを有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の注射薬調剤支援システム。
  6. 前記制御ユニットは、前記取り出し許可モードにおいて、調剤支援コンピュータの患者データファイルから供給される患者ID情報と処方情報に基づいて施用別に取り出すべき注射薬の薬品名と数量のリストを表示手段に表示させ且つ対応する収納部の指示ランプを点灯させる一覧表示制御手段を有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の注射薬調剤支援システム。
  7. 前記制御ユニットは、操作者ID情報の入力後に、1又は複数の収納部に対する注射薬の補充を許可する補充許可モードに設定可能であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の注射薬調剤支援システム。
  8. 前記制御ユニットは、注射薬の取り出し・返却・補充の際には、前記複数の検出センサからの検出信号に基づいて注射薬の取り出し・返却・補充を検出する検出制御手段を有することを特徴とする請求項7に記載の注射薬調剤支援システム。
  9. 前記制御ユニットは、少なくとも、注射薬の取り出し・返却・補充の何れかが実行された際に、その操作者の操作者IDと操作履歴の情報を時刻情報と共にリアルタイムで記録していく操作履歴記録制御手段を有することを特徴とする請求項8に記載の注射薬調剤支援システム。
  10. 前記制御ユニットは、操作者の操作者IDと、複数の検出センサからの検出信号を用いて、収納注射薬の在庫情報を操作者と関連つけて作成する在庫情報作成制御手段を有することを特徴とする請求項8に記載の注射薬調剤支援システム。
  11. 前記制御ユニットは、破損した注射薬について少なくとも薬品名と数量とを登録する為の破損登録制御手段を有することを特徴とする請求項10に記載の注射薬調剤支援システム。
  12. 前記制御ユニットは、前記調剤支援コンピュータに対して、患者IDと、1又は複数種の注射薬の薬品名又は薬品コードおよび数量の情報と、薬袋と輸液容器に貼るラベル及び患者のリストバンドを印刷する印刷指令とを出力する印刷指令出力制御手段を有することを特徴とする請求項〜11に記載の注射薬調剤支援システム。
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