JP4143156B2 - 半導体露光方法及び装置とそれに用いるレチクル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レチクル面上に形成されているIC、LSI、VLSI等の微細な電子回路パターンをウエハ上に転写する光リソグラフィによる半導体露光方法及び装置とそれに用いるレチクルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から半導体製造用の投影露光装置においては、集積回路の高密度化に伴い、レチクル面上の回路パターンをウエハ上に高い解像力で投影露光できることが要求される。回路パターンの投影解像力を向上させる方式としては、例えば露光光の波長を固定にして投影光学系のレンズの開口数を大きくする方式や、露光光を例えばg線よりもi線、i線よりもエキシマレーザー発振波長のように短波長化する方式が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来例の半導体露光装置において、より高い解像力で撮影露光するためには、レチクルのパターンをウエハ上に投影する際の投影光学系の収差の量をより少なくすることが必要となる。非対称性収差である所謂コマ収差が大きい場合には、コマ収差の非対称性と投影光学系の非対称性が強め合って急激に像性能が劣化するので、投影光学系には高い均一性が要求され、また投影光学系のレンズの開口数を大きくするために、設計値や製造誤差の面からも残存収差をより少なくする必要がある。
【0004】
このために、投影光学系はレンズ枚数が多くなって複雑化かつ大型化し、また製造誤差を少なくするために製造に長時間を要し、高コスト化するという問題が発生する。
【0005】
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、コマ収差が存在する投影光学系を使用した場合でも、十分な高解像力が得られる半導体露光方法を提出することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、コマ収差が存在する投影光学系を使用した場合でも、十分な高解像力が得られる半導体露光装置を提出することにある。
【0007】
本発明の更に他の目的は、半導体露光方法又は装置に好適に用いられる半導体露光用レチクルを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る半導体露光方法は、中心波長λの光によりレチクルパターンを投影光学系を介してウエハ上に転写する光リソグラフィによる半導体露光方法において、使用するレチクルのクロムパターンの高さをN・λ(Nは正の整数)の近傍とすることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る半導体露光装置は、中心波長λの光によりレチクルパターンを投影光学系を介してウエハ上に転写する光リソグラフィによる半導体露光装置において、使用するレチクルのクロムパターンの高さはN・λ(Nは正の整数)の近傍としたことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る半導体露光用レチクルは、中心波長λの光でのパターン転写に使用されるレチクルであって、クロムパターンの高さをN・λ(Nは正の整数)の近傍としたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は露光装置の側面図を示し、ステージ基台1上にウエハWが載置され、その上方に投影光学系2が配置され、投影光学系2の上方にレチクル3が設けられている。図2は第1の実施例のレチクルの側面図を示し、レチクル3は石英ガラス基盤4の所定位置に所定高さHのクロム層5が形成されてある。
【0015】
ここで、所定高さHは露光のための中心波長λに対して、次の条件を満たす近傍の値である。
【0016】
H=N・λ(Nは正の整数)
【0017】
クロム層5の高さHは中心露光波長により異なり、中心露光波長がi線ステッパ(365nm)、KrFステッパ(248nm)、ArFステッパ(193nm)のときのN=1と2におけるクロム層5の高さHを次の表1に示す。
【0018】
【0019】
図2において、SL1 はクロム層5の左側下部での散乱光、SL2 はクロム層5の左側上部での左方向への散乱光、SL3 はクロム層5の左側上部での右方向への散乱光、SL4 はクロム層5の右側上部での左方向への散乱光、SL5 はクロム層5の右側上部での右方向への散乱光、SL6 はクロム層5の右側下部での散乱光を示している。
【0020】
レチクル3上のパターンは投影光学系2によりウエハWの表面に露光される。投影光学系2によりクロム層5のエッジで散乱した散乱光SL1 、SL2 、SL3 、SL4 、SL5 、SL6 はウエハWの上に結像するので、そのときの光強度を求めてみる。ここで、散乱光SL1 を基準にして、クロム層5の上部での散乱光SL2 、SL3 、SL4 、SL5 は、クロム層5の高さH分だけ位相が遅れ、更に投影光学系2に残存するコマ収差を考慮して、右方向に向いた散乱光SL3 、SL5 、SL6 はコマ収差分だけ位相が遅れるものとすると、散乱光SL1 、SL2 、SL3 、SL4 、SL5 、SL6 の位相は次のように表現できる。
【0021】
SL1 の位相P1:EXP(jωt)
SL2 の位相P2:EXP(j( ωt+H))
SL3 の位相P3:EXP(j(ωt+H+C))
SL4 の位相P4:EXP(j(ωt+H))
SL5 の位相P5:EXP(j(ωt+H+C))
SL6 の位相P6:EXP(j(ωt+C))
【0022】
次に、投影光学系2のコマ収差の影響による結像性能を位相P1〜P6を使用して表現すると、先ず投影光学系2のコマ収差の影響を考える場合には、ウエハW上でのクロム層5での左側で散乱する散乱光SL1 、SL2 、SL3 の強度ILと、右側で散乱する散乱光SL4 、SL5 、SL6 の強度IRとの差Idefに着目する。
【0023】
強度IL、IRは各位相PL、PRの二乗を時間積分した次式で表すことができる。
【0024】
【式1】
【0025】
ただし、 PL=P1+P2+P3
PR=P4+P5+P6
【0026】
従って、強度差Idefは強度IL、IRの差分なのでIdef=IL−IRとなる。また、位相PL、PRの実部は次のようになる。
【0027】
Re(PL)=cos(ωt)+cos(ωt+H)+cos(ωt+H+C)
Re(PR)=cos(ωt+H)+cos(ωt+H+C)+cos(ωt+C)
【0028】
これらの式を使用して、強度差Idefの実部のみの数値積分を行い、強度差Idefとクロム層5の高さHとの関係を求めると、図3に示すようなグラフ図になる。このグラフ図は縦軸を強度差Idef、横軸をクロム層5の高さHとし、投影光学系2のコマ収差の量をλ/10として計算したグラフC1と、λ/20として計算したグラフC2である。これらのグラフC1、C2では、横軸のクロム層5の高さHを中心露光波長λで正規化して表現してあるので、中心露光波長λを限定する必要はない。
【0029】
従って、これら2つの曲線から、強度差Idefは振幅がコマ収差に比例し周期がλのサイン関数的に変化することが分かる。また、強度差Idefが0となるクロム層5の高さHはコマ収差によらず、次の関係を満足するλ/2、λ、3λ/2、・・であることが分かる。
【0030】
H=m・λ/2(mは正の整数)
【0031】
ここまで述べてきた条件つまり波長の半分の整数倍は、照明σが大きい場合についてであり、照明σが小さくなった場合には更に限定が必要となる。
【0032】
図4は照明σが大きい場合の光学像の光電変換したグラフ図を示し、図5は照明σが小さい場合の光学像の光電変換したグラフ図を示している。図4の左右の出力差は、前述のように実質的なクロム層5の高さHが、波長の半分の整数倍のときに対称性があるのは前述の通りである。また、図5の場合のa−bについても同様である。
【0033】
一方、照明σが小さくなると図5にはc、dで示すサブピークが発生し、その差分(c−d)は前述のa−bの挙動とは異なることが、実験やシミュレーションで判明している。図6はこの実質的なクロム層に対する像の対称性a−b、c−dの関係を示している。図6において、a−bは周期がλとなる正弦波であり、c−dは周期λではあるが、sin(λ/2)の二乗の関数であることが分かる。参考までに、内側のサブピークの対称性e−fは、c−dと正負が反対で周期λではあるが、sin(λ/2)の二乗の関数である。
【0034】
このように、a−bの像の対称性は波長の半分の整数倍で良好となるが、c−dの像の対称性は波長の整数倍でしか良好とならない。そこで、a−bもc−dも良好な対称性とするには、波長の整数倍とする必要があることが分かる。
【0035】
次に、本発明を使用して現行での問題点を解消する具体的な場合について述べて、本発明の効果を証明する。例えば、現行で照明σを小さくして使用する条件には、ハーフトーンレチクルを使用してコンタクトホールを形成するために露光することがある。このとき、ハーフトーンの材質の屈折率をN、厚さをTとすると、ハーフトーンレチクルの働きをすべき位相を180度ずらす条件は、
(N−1)T=nλ/2 (nは奇数の整数)
である。現在、ハーフトーンレチクルに使用されている多くの材質の屈折率は、ほぼ2に近いものが殆どであり、上記式の整数nは1である。この条件を入れると、上記式から、
(2−1)T=1・λ/2より、
T=λ/2
となる。これは波長の半分の整数倍なので、a−bの像の対称性は良好な条件となる。一方、c−dの像の対称性にとっては最悪な条件となる。換言すれば、現行のハーフトーンレチクルの条件は、照明σを小さくしたときの最悪な像の対称性を発生する条件であるとも云える。
【0036】
そこで、本発明を考慮すると、次のハーフトーンレチクルの条件、
(N−1)T=nλ/2 (nは奇数の整数)
T=mλ (mは整数)
からa−bとc−dの像の対称性の両方にとって、良好な条件となるようにすればよい。
【0037】
これを満足する条件の1つには、
n=5、m=2より、
N=2.25
であることが、上記の2つの式から求めることができる。
【0038】
実際の光リソグラフィでは、強度差Idefの許容値は0とならずに有限の値となるので、クロム層5の高さHも上述の式を満足する近傍の高さでよいことになる。なお、ここではIL、IRの実部で計算を行ったが、虚部の場合は上述の2つの式の cosを sinとすればよいので、数値積分した結果は全く同様となる。
【0039】
また、クロム層5の上部と下部での散乱光の強度が等しいとして計算したが、強度が異なる場合には、上部の散乱光の強度が下部の散乱光の強度の半分として計算すると、左右での位相PL2 、PR2 は、P1〜P6を使用して次の式のようになる。
【0040】
PL2 =P1 +P2/2 +P3/2
PR2 =P4/2 +P5/2 +P6
【0041】
従って、このときの強度差Idefの数値積分の結果は、図7に示すように振幅が図3の半分の同じ特性を有するグラフC3、C4となる。
【0042】
また、複数の異なる露光波長λ1 、λ2 、・・・を同一露光装置又はそれぞれ異なる露光装置に使用し、これら異なる波長λ1 、λ2 、・・・によりレチクルパターンを投影光学系2を介してウェハW上に転写する際に、使用するレチクル3のクロム層5の高さHを、それぞれ異なる波長λ1 、λ2 、・・・の値の整数倍の近傍とすることにより、更に高解像力を達成する露光方式が可能となる。
【0043】
図8は第2の実施例の2層クロムレチクルの側面図を示し、石英ガラス基盤4にクロム層5と酸化クロム層10が積層されており、クロム層5の厚みが本実施例のクロム層5の高さHとなる。この高さHの中心露光波長に対する量は表1と同じである。
【0044】
図9は第3の実施例の3層クロムレチクルの側面図を示し、石英ガラス基盤4は酸化クロム層11、クロム層5、酸化クロム層10が積層されており、屈折率差が大きい2つの境界面において反射光及び散乱光が発生するので、クロム層5の厚みが本実施例のクロム層5の高さHとなる。この高さHの中心露光波長に対する量は表1と同じである。
【0045】
図10は第4の実施例のハーフトーンレチクルの側面図を示し、例えば光量を8%透過し、位相を180°ずらす部材から成る遮光帯12が使用され、その高さが高さHとなる。この高さHの中心露光波長に対する量は先の表1と同じである。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る半導体露光方法及び装置は、中心波長λによるレチクルパターンを使用してクロムパターンの高さをN・λの近傍とすることにより、投影光学系のコマ収差の残存量に影響されずに、コマ収差が無い場合と同様の良好な解像性能を得ることが可能となり、投影光学系のコマ収差の要求性能を軽減することができるので、軽量、小型、簡素化及びコストダウンが可能である。
【0047】
また、本発明に係る半導体露光方法及び装置は、複数の異なる露光波長λ1 、λ2 、・・・に対応するレチクルパターンを使用し、各レチクルパターンのクロムパターンの高さをレチクルパターンに対応する露光波長λ1 、λ2 、・・・の整数倍(N1・λ、N2・λ、・・・)の近傍とすることにより、投影光学系のコマ収差の残存量に影響されずに、コマ収差が無い場合と同様の良好な解像性能を得ることが可能となり、投影光学系のコマ収差の要求性能を軽減することができるので、軽量、小型、簡素化及びコストダウンが可能である。
【0048】
本発明に係る半導体露光用レチクルは、クロムパターンの高さをN・λ(Nは正の整数)の近傍とし、半導体露光方法や装置に好適に用いることができる。
【0049】
本発明に係る半導体露光用レチクルは、クロムパターンの高さを異なる波長λ1 、λ2 、・・・の整数倍(N1・λ1 、N2・λ2 、・・・)(N1、N2、・・・は正の整数)の近傍とし、半導体露光方法や装置に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体露光装置の側面図である。
【図2】第1の実施例のレチクルの側面図である。
【図3】強度差とクロム層高さの関係のグラフ図である。
【図4】照明σが大きい場合の像のグラフ図である。
【図5】照明σが小さい場合の像のグラフ図である。
【図6】図5の像の対称性とクロム層の高さTとの関係のグラフ図である。
【図7】強度差とクロム層高さの関係のグラフ図である。
【図8】第2の実施例の2層クロムレチクルの側面図である。
【図9】第3の実施例の3層クロムレチクルの側面図である。
【図10】第4の実施例のハーフトーンレチクルの側面図である。
【符号の説明】
2 撮影光学系
3 レチクル
4 石英ガラス基盤
5 クロム層
10、11 酸化クロム層
12 遮光帯
Claims (3)
- 中心波長λの光によりレチクルパターンを投影光学系を介してウエハ上に転写する光リソグラフィによる半導体露光方法において、使用するレチクルのクロムパターンの高さをN・λ(Nは正の整数)の近傍とすることを特徴とする半導体露光方法。
- 中心波長λの光によりレチクルパターンを投影光学系を介してウエハ上に転写する光リソグラフィによる半導体露光装置において、使用するレチクルのクロムパターンの高さはN・λ(Nは正の整数)の近傍としたことを特徴とする半導体露光装置。
- 中心波長λの光でのパターン転写に使用されるレチクルであって、クロムパターンの高さをN・λ(Nは正の整数)の近傍としたことを特徴とする半導体露光用レチクル。
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