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JP4144368B2 - 伝送装置 - Google Patents
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JP4144368B2 - 伝送装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、等周波数間隔の複数の搬送波を用いてディジタル情報を金属線路上で伝送すると共に、伝送開始時には、伝送相手の伝送装置から伝送された各搬送波の特性を測定する、VDSL(Very high speed Digital Subscriber Line)伝送方式、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)伝送方式等の伝送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インターネット等のコンピュータネットワークに使用されるADSL伝送方式は、1.1MHz以下の周波数帯域を用いているが、VDSL伝送方式は、使用帯域をADSL伝送方式の約十倍程度にまで拡大し、最大伝送速度を大幅に引き上げたものである。但し、VDSL伝送方式は、高周波数帯域を用いている分、伝送路の減衰が顕著となる為、1km以下程度の短距離でしか使用できない。
【0003】
近時、光ファイバを各家庭まで引くFTTH(Fiber To The Home)が推進されているが、全家庭にこれが実現するのはまだ先のことである。しかし、近くの電柱迄、又は集合住宅及びオフィスビルの入口迄は光ファイバ化されているケースは多い。このような場合、電柱又はビルの入口で光ファイバがONU(Optical Network Unit)で終端された場所から、各家庭及びオフィス迄の短距離の間に電話線を用いたVDSL伝送方式を適用することが注目されている。
【0004】
電話線を用いてDMT(Discrete Multi Tone)変調方式でディジタル信号の伝送を行うVDSL伝送方式のモデム(伝送装置)では、最大12MHz迄の周波数帯域が上り/下りの各専用帯域に区分され、区分された上り帯域及び下り帯域にそれぞれ含まれる多数のトーン(搬送波)を使用して伝送を行う。各トーンの間隔は4.3125kHzが一般的である。
【0005】
VDSL伝送方式では、複数のモデムを一体化した親モデムが、上述したONU及び電話線間に接続され、電話線の他端は各家庭内及びオフィス内で子モデムに接続され、子モデムの先にはパーソナルコンピュータが接続されるのが一般的である。
親モデム及び子モデム間では、通信接続時に、使用可能なトーンを送受信して各トーンのSN比(特性)を測定し、測定したSN比に応じて、各トーンで伝送する情報量を割り当て、伝送路の特性に適した伝送を実現する。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−168515号公報
【特許文献2】
特開2000−101536号公報
【非特許文献1】
インターネット技術特別調査委員会(IETF)「VDSLにおける管理対象の定義」(Definitions of Managed Objects for Very High Speed Digital Subscriber Lines(VDSL) draft-ietf-adslmib-bdsl-05.txt)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
VDSL伝送方式のモデムは、上述したように、主に一方を家庭に設置してインターネット接続等に利用されるが、家庭内に複数の電話接続口が設置されている場合が多く、この配線形態によっては、電話線に数mから数十mの分岐配線(ブリッジタップ)が存在する。この分岐配線は、端部でモデムが使用している周波数の信号を反射し、この反射波との干渉によって、分岐の長さによって定まる周波数帯で、伝送路内の信号に大きな減衰及び位相の変移を生じ、モデムの性能を低下させることがある。
【0008】
VDSL伝送方式においては、使用する周波数が、家庭内に存在し得る分岐の長さで影響を受ける周波数帯にあり、実用上影響が大きい。
従来、伝送路の特性を示す情報を提示するモデムとしては、各トーンに割り当てられた情報伝送量、及びその伝送量におけるノイズ余裕度(SNRマージン)を管理情報として提示する機能を有するモデムが有る。
管理情報の標準化を行なうIETF(Internet Engineering Task Force)においては、使用周波数全体における総パワーで見たSN比及び線路減衰量が項目として挙げられているが、それらの周波数特性を示す項目は挙げられていない。
【0009】
上述したような従来の技術で得ることが出来る情報では、各搬送波(トーン)の伝送状態は判るが、伝送状態が悪い場合に、それが雑音の混入によるものか、それとも伝送路の伝搬特性によるものかを明確に区別することは出来なかった。
その為、伝送状態を改善する為には、別途測定器を用いて原因の解析及び探索的な対策を実施する必要があった。
【0010】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、伝送路の伝搬特性を簡単に知ることが出来ると共に、伝送路の分岐配線による性能低下の可能性を知ることが出来る伝送装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る伝送装置は、等周波数間隔の複数の搬送波を用いてディジタル情報を金属線路上で伝送し、伝送開始時には、伝送相手の伝送装置から伝送された各搬送波の減衰量を測定し、測定した各減衰量を記憶手段に記憶する伝送装置において、前記記憶手段が記憶した各減衰量を前記伝送相手の伝送装置へ伝送する伝送手段と、前記伝送装置が測定した各減衰量を受信する受信手段とを備え、前記記憶手段は、該受信手段が受信した各減衰量を記憶すべくなしてあり、外部からの指示信号を受信したときは、前記記憶手段が記憶した各減衰量を出力する出力手段と、前記記憶手段が記憶した各減衰量に基づき、該各減衰量の周波数特性の近似式を求める手段と、該手段が求めた近似式が示す各近似値と前記各減衰量との各乖離量を演算する手段と、該手段が演算した各乖離量の平均値を演算する手段と、該手段が演算した平均値が所定の閾値より大きいか否かを判定する手段と、該手段が大きいと判定したときに、警報を出力する手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
この伝送装置では、等周波数間隔の複数の搬送波を用いてディジタル情報を金属線路上で伝送し、伝送開始時には、伝送相手の伝送装置から伝送された各搬送波の減衰量を測定し、測定した各減衰量を記憶手段に記憶する。伝送手段が、記憶手段が記憶した各減衰量を伝送相手の伝送装置へ伝送し、受信手段が、伝送相手の伝送装置が測定した各減衰量を受信し、記憶手段は、受信手段が受信した各減衰量も記憶する。外部からの指示信号を受信したときは、出力手段が、記憶手段が記憶した各減衰量を出力する。近似式を求める手段が、記憶手段が記憶した各減衰量に基づき、各減衰量の周波数特性の近似式を求め、各乖離量を演算する手段が、その求めた近似式が示す各近似値と各減衰量との各乖離量を演算する。平均値を演算する手段が、その演算した各乖離量の平均値を演算し、判定する手段が、その演算した平均値が所定の閾値より大きいか否かを判定する。警報を出力する手段は、判定する手段が大きいと判定したときに、警報を出力する。
これにより、出力した各減衰量をパーソナルコンピュータ及び管理センタの管理装置に表示することが出来るので、伝送路の減衰特性を簡単に知ることが出来ると共に、伝送路の分岐配線による性能低下の可能性を知ることが出来る伝送装置を実現することが出来る。
【0015】
発明に係る伝送装置は、前記閾値は3dB以下であることを特徴とする。
【0016】
この伝送装置では、所定の閾値は3dB以下であるので、伝送路の分岐配線による性能低下の可能性を知ることが出来る伝送装置を実現することが出来る。
【0017】
発明に係る伝送装置は、伝送開始時に、前記伝送相手の伝送装置から伝送された各搬送波の相対位相変移量を測定する手段を更に備え、前記記憶手段は、該手段が測定した各相対位相変移量を記憶し、前記伝送手段は、前記記憶手段が記憶した各相対位相変移量を前記伝送相手の伝送装置へ伝送し、前記受信手段は、前記伝送装置が測定した各相対位相変移量を受信し、前記記憶手段は、前記受信手段が受信した各相対位相変移量を記憶し、前記出力手段は、前記記憶手段が記憶した各相対位相変移量を出力すべくなしてあることを特徴とする。
【0018】
この伝送装置では、伝送開始時に、測定する手段が、伝送相手の伝送装置から伝送された各搬送波の相対位相変移量を測定し、記憶手段は、その測定した各相対位相変移量を記憶する。伝送手段は、その記憶した各相対位相変移量を伝送相手の伝送装置へ伝送し、受信手段は、伝送相手の伝送装置が測定した各相対位相変移量を受信する。記憶手段は、受信手段が受信した各相対位相変移量を記憶し、出力手段は、その記憶した各相対位相変移量を出力する。
これにより、出力した各減衰量及び各相対位相変移量をパーソナルコンピュータ及び管理センタの管理装置に表示することが出来るので、伝送路の減衰特性及び位相変移特性を簡単に知ることが出来る伝送装置を実現することが出来る。
【0019】
発明に係る伝送装置は、等周波数間隔の複数の搬送波を用いてディジタル情報を金属線路上で伝送し、伝送開始時には、伝送相手の伝送装置から伝送された各搬送波の相対位相変移量を測定し、測定した各相対位相変移量を記憶手段が記憶する伝送装置において、前記記憶手段が記憶した各相対位相変移量を前記伝送相手の伝送装置へ伝送する手段と、前記伝送装置が測定した各相対位相変移量を受信する手段とを備え、前記記憶手段は、該手段が受信した各相対位相変移量を記憶すべくなしてあり、外部からの指示信号を受信したときは、前記記憶手段が記憶した各相対位相変移量を出力する出力手段と、前記記憶手段が記憶した各相対位相変移量に基づき、各相対群遅延を求める手段と、該手段が求めた各相対群遅延に基づき、該各相対群遅延の周波数特性の近似式を求める手段と、該手段が求めた近似式が示す各近似値と前記各相対群遅延との各乖離量を演算する手段と、該手段が演算した各乖離量の平均値を演算する手段と、該手段が演算した平均値が所定の閾値より大きいか否かを判定する手段と、該手段が大きいと判定したときに、警報を出力する手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
この伝送装置では、等周波数間隔の複数の搬送波を用いてディジタル情報を金属線路上で伝送し、伝送開始時には、伝送相手の伝送装置から伝送された各搬送波の相対位相変移量を測定し、測定した各相対位相変移量を記憶手段が記憶する伝送する手段が、記憶手段が記憶した各相対位相変移量を伝送相手の伝送装置へ伝送し、受信する手段が、伝送相手の伝送装置が測定した各相対位相変移量を受信する。記憶手段は、その受信した各相対位相変移量を記憶し、外部からの指示信号を受信したときは、出力手段が、記憶手段が記憶した各相対位相変移量を出力する。各相対群遅延を求める手段が、記憶手段が記憶した各相対位相変移量に基づき各相対群遅延を求め、近似式を求める手段が、その求めた各相対群遅延に基づき、各相対群遅延の周波数特性の近似式を求める。各乖離量を演算する手段が、その求めた近似式が示す各近似値と各相対群遅延との各乖離量を演算し、平均値を演算する手段が、その演算した各乖離量の平均値を演算する。判定する手段が、その演算した平均値が所定の閾値より大きいか否かを判定し、大きいと判定したときに、出力する手段が警報を出力する。
【0021】
これにより、出力した各相対位相変移量をパーソナルコンピュータ及び管理センタの管理装置に表示することが出来るので、伝送路の位相変移特性を簡単に知ることが出来ると共に、伝送路の分岐配線による性能低下の可能性を知ることが出来る伝送装置を実現することが出来る。
【0022】
発明に係る伝送装置は、前記記憶手段が記憶した各相対位相変移量に基づき、各相対群遅延を求める手段と、該手段が求めた各相対群遅延に基づき、該各相対群遅延の周波数特性の近似式を求める手段と、該手段が求めた近似式が示す各近似値と前記各相対群遅延との各乖離量を演算する手段と、該手段が演算した各乖離量の平均値を演算する手段と、該手段が演算した平均値が所定の閾値より大きいか否かを判定する手段と、該手段が大きいと判定したときに、警報を出力する手段とを更に備えることを特徴とする。
【0023】
この伝送装置では、各相対群遅延を求める手段が、記憶手段が記憶した各相対位相変移量に基づき各相対群遅延を求め、近似式を求める手段が、その求めた各相対群遅延に基づき、各相対群遅延の周波数特性の近似式を求める。各乖離量を演算する手段が、その求めた近似式が示す各近似値と各相対群遅延との各乖離量を演算し、平均値を演算する手段が、その演算した各乖離量の平均値を演算する。判定する手段が、その演算した平均値が所定の閾値より大きいか否かを判定し、大きいと判定したときに、出力する手段が警報を出力する。
これにより、出力した各相対位相変移量をパーソナルコンピュータ及び管理センタの管理装置に表示することが出来るので、伝送路の位相変移特性を簡単に知ることが出来ると共に、伝送路の分岐配線による性能低下の可能性を知ることが出来る伝送装置を実現することが出来る。
【0024】
発明に係る伝送装置は、前記閾値は、その適用可能な最長伝送路の遅延時間の20%以下、又は前記伝送相手である伝送装置との伝送路の、信号減衰量に基づき算出された遅延時間の20%以下であることを特徴とする。
【0025】
この伝送装置では、所定の閾値は、その適用可能な最長伝送路の遅延時間の20%以下、又は伝送相手である伝送装置との伝送路の、信号減衰量に基づき算出された遅延時間の20%以下であるので、伝送路の分岐配線による性能低下の可能性を知ることが出来る伝送装置を実現することが出来る。
【0026】
発明に係る伝送装置は、前記乖離量が前記平均値の2倍以上である周波数範囲を抽出する手段を更に備え、前記出力手段は、該手段が抽出した周波数範囲を他の周波数範囲と区別して出力すべくなしてあることを特徴とする。
【0027】
この伝送装置では、抽出する手段が、減衰量及び/又は相対群遅延について、各周波数での測定値と近似式が示す近似値との乖離量が、乖離量の平均値の2倍以上である周波数範囲を抽出し、出力手段は、その抽出した周波数範囲を他の周波数範囲と区別して出力する。
これにより、出力した各減衰量及び/又は各相対位相変移量に加えてその乱れの大きい周波数範囲がどこであるかをパーソナルコンピュータ及び管理センタの管理装置に表示することが出来るので、伝送路の減衰特性及び/又は位相変移特性を簡単に知ることが出来ると共に、伝送路の分岐配線による性能低下の可能性とその分岐線路の推定長をも知ることが出来る伝送装置を実現することが出来る。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、それを示す図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る伝送装置の実施の形態であるモデムの要部構成を示すブロック図である。このモデムは、フレーム組立部1が、パーソナルコンピュータ等から入力されたデータ信号をフレームに組み立て、符号化部2が、フレーム化されたデータ信号に誤り訂正符号を付加した後、データ信号の順序を入れ替える(インターリーブ)。
【0029】
コンステレーションエンコーダ3は、符号化部2が順序を入れ替えたデータ信号を、各トーン毎に予め定められたビット数で分解し、各トーンの複素振幅情報を出力する。逆離散フーリエ変換部4は、この複素振幅情報を逆離散フーリエ変換することにより、全トーンを一括して合成する。
並直列変換部5は、逆離散フーリエ変換で合成された並列データ信号を直列データ信号に変換し、D/A変換部6が、この変換された直列データ信号をアナログ化し、ドライバ7は、アナログ化されたデータ信号を増幅して出力する。
【0030】
ハイブリッド回路8が、ドライバ7により増幅されたにデータ信号を、電話回線18に送り出し、電話回線18から入力されたデータ信号を、電話回線18へ出力するデータ信号と分離して出力し、低雑音アンプ9が、ハイブリッド回路8が出力したデータ信号を増幅する。
A/D変換部10が、低雑音アンプ9で増幅されたデータ信号をディジタル化し、直並列変換部11が、ディジタル化されたデータ信号を並列データ信号に変換する。
【0031】
離散フーリエ変換部12が、直並列変換部11により変換された並列データ信号を離散フーリエ変換することにより、各トーンの複素振幅情報を抽出し、コンステレーションデコーダ13が、抽出された各トーンの複素振幅情報に基づきデータ信号を構成する。
測定部21が、伝送路特性測定時に、離散フーリエ変換部12が抽出した複素振幅情報から各トーンの減衰量及び相対位相変移量を測定し、マイクロプロセッサ16に与える。
【0032】
復号化部14が、コンステレーションデコーダ13からのデータ信号を元の順序に入れ替えた後、誤り訂正符合により誤り検出・訂正を実行して出力する。
フレーム解体部15が、復号化部14からのデータ信号を、そのフレームを解体して出力する。
マイクロプロセッサ16は、測定部21が測定した各トーンの減衰量及び相対位相変移量をメモリ19に記憶させる。また、メモリ19に記憶させた各トーンの減衰量及び相対位相変移量をフレーム組立部1に与える。
フレーム組立部1は、パーソナルコンピュータ等から入力されたデータ信号と、マイクロプロセッサ16から与えられた、モデム同士でモデムの動作の為の管理情報を交換する為のデータとを、区別しながら同じ通信線路を使って通信することが出来るように、フレームに組み立てる。管理情報を交換する為のデータには、各トーンの減衰量及び相対位相変移量が含まれる。
【0033】
以下に、このような構成のモデムの動作を、それを示す図2、3、6のフローチャートを参照しながら説明する。
モデムのマイクロプロセッサ16は、電源がオンされると、相手側のモデムとの伝送路における各トーンの減衰量及び相対位相変移量を測定する伝送路特性測定を行う(S2)。
マイクロプロセッサ16は、伝送路特性測定が終了すると、相手側のモデムと共に、その測定結果に基づき、トーン毎の伝送量を割り当て(ビット割付け)(S4)、その割り当てに従うトーン毎の伝送量により通信(伝送)を行なう(S6)。
【0034】
伝送路特性測定を行う際(S2)は、送信側は、予め定められた振幅及び位相で各トーンを送信し、受信側は、その予め定められた振幅及び位相に基づき、受信したトーンの減衰量及び相対位相変移量を測定する。
送信側は、一定期間毎に、予め定められた擬似乱数に従って、トーンの振幅及び位相を変化させる。受信側は、これと同期を取って、トーンの振幅及び位相を一定期間毎に測定し、この測定した時系列を、予め定められた擬似乱数に従った基準パターン系列と比較し、基準パターンに対する振幅の比率及び位相の回転量の系列を得る。この系列を充分長い時間平均化することにより、擬似乱数と相関がない雑音成分を除去して信号成分のみの振幅減衰量及び位相回転量を測定することが出来る。このとき、基準に定めたトーンの位相を基準点とすることにより、各トーンの相対的な位相変移量を求めることが出来る。
【0035】
モデムの測定部21は、伝送路特性測定に際して、受信した各トーンの減衰量及び相対位相変移量を測定し(図3S10)、その測定データをマイクロプロセッサ16に与える。マイクロプロセッサ16は、与えられた測定データをメモリ19に記憶させる(S12)。
マイクロプロセッサ16は、各トーンの減衰量及び相対位相変移量の測定(S10)が終了すると、メモリ19に記憶させた測定データを伝送相手のモデムへ送信し(S13)、また、そのモデムが記憶している測定データを受信して記憶する(S14)。これにより、親モデム及び子モデムの双方が、上り/下り両方の各トーンの測定データをメモリ19に記憶することが出来る。
【0036】
次に、マイクロプロセッサ16は、メモリ19に記憶してある各トーンの減衰量に基づき、(1)式で示すその周波数特性の近似式を算出する(S15)。
ここで、
トーンの数:N
トーン番号:i=n,n+1,‥‥,n+N−1
トーンiの周波数:fi (Hz)
トーンiの減衰量(測定値):ai (dB)
(ai <0で、絶対値が大きい程大きな減衰量を表す)
【0037】
【数1】
Figure 0004144368
【0038】
良好な電話線の減衰量の周波数特性は、ほぼ周波数の平方根に比例する。
近似式の定数kは、電話線の特性と長さで決まる定数。
kの値を測定値ai から最小自乗近似で求める。
【0039】
【数2】
Figure 0004144368
【0040】
次に、マイクロプロセッサ16は、算出した減衰量の(周波数特性の)近似式が示す近似値と測定値との乖離量を算出し、その平均乖離量σa を算出してメモリ19に記憶させる(S16)。次いで、その平均乖離量σa が予め定められた閾値σath より大きいか否かを判定し(S18)、大きいときは、近似値と測定値との乖離量が2σa 以上であるトーンの周波数区間を抽出して、異常周波数区間として、メモリ19に記憶させ(S20)、警報表示部20に警報を出力する(表示させる)(S22)。閾値σath より大きくなければ(S18)、メモリ19に記憶してある各トーンの相対位相変移量に基づき、相対群遅延(測定値)を算出する(S24)。
ここで、
【0041】
【数3】
Figure 0004144368
【0042】
平均乖離量は、計測された特性が良好な電話線の特性に対してどの程度暴れているかを表している。
予め定められた閾値:σath (σath <3dB)
であり、σa >σath であるときは、警報を出力する。
【0043】
各トーン(搬送波)が帯域1Hz当たり伝送できる情報量は、S/N比がおよそ3dB変わる毎に1ビット変わる。測定された伝送路減衰量の暴れが3dBを超えれば明らかにモデムの伝送特性に影響がある。σa はモデムが使用する全周波数帯域での平均であり、部分的にはこれを大きく超える帯域が存在することが推定される為、閾値σath は3dBより小さくしておくことが望ましい。
尚、σa >σath であり、また、p≦i≦qの全てのiについて、
【0044】
【数4】
Figure 0004144368
【0045】
であるとき、区間[fp,fq]を異常周波数区間とする。
図4(a)は、伝送路長350m、分岐なしの場合の減衰量の周波数特性の測定例及びその近似式を示すグラフであり、この場合、平均乖離量σa =0.4dBである。
図4(b)は、伝送路長350m、分岐長30mである場合の減衰量の周波数特性の測定例及びその近似式を示すグラフであり、この場合、平均乖離量σa =3.8dBである。
【0046】
次に、マイクロプロセッサ16は、メモリ19に記憶してある各トーンの相対位相変移量に基づき、相対群遅延(測定値)を算出し(S24)、(2)式で示すその周波数特性の近似式を算出する(S26)。
ここで、
トーンの数:N
トーン番号:i=n,n+1,‥‥,n+N+1
トーンiの周波数:fi (Hz)
【0047】
トーンiの相対位相変移量(測定値):Pi (rad)
(Pi <0で、絶対値が大きい程大きな遅れを表す)
トーンiの相対群遅延(測定値からの計算値):qi (sec)
【0048】
【数5】
Figure 0004144368
【0049】
但し、mはNの200分の1以下の自然数又は1とする。
【0050】
【数6】
Figure 0004144368
【0051】
良好な電話線の群遅延の周波数特性は、低い周波数では周波数の平方根に逆比例し、高い周波数では一定値に漸近する。
近似式の定数k1 ,k2 は、電話線の特性と長さで決まる定数。
1 ,k2 の値を測定値qi から最小自乗近似で求める。
【0052】
【数7】
Figure 0004144368
【0053】
次に、マイクロプロセッサ16は、算出した相対群遅延の(周波数特性の)近似式が示す近似値と測定値との乖離量を算出し、その平均乖離量σP を算出してメモリ19に記憶させる(S28)。次いで、その平均乖離量σP が予め定められた閾値σPth より大きいか否かを判定し(S30)、大きいときは、近似値と測定値との乖離量が2σP 以上であるトーンの周波数区間を抽出して、異常周波数区間として、メモリ19に記憶させ(S32)、警報表示部20に警報を出力し(表示させ)(S34)リターンする。閾値σPth より大きくなければ(S30)リターンする。
ここで、
【0054】
【数8】
Figure 0004144368
【0055】
平均乖離量は、測定された特性が良好な電話線の特性に対してどの程度暴れているかを表している。
閾値σPth は、モデムに適用可能な最長伝送路の遅延時間の20%以下、又は伝送相手であるモデムとの伝送路の、信号減衰量に基づき算出された遅延時間の20%以下とする。σP >σPth であるときは、警報を出力する。
尚、σP >σPth であり、また、g≦i≦hの全てのiについて
【0056】
【数9】
Figure 0004144368
【0057】
のとき、区間[fg ,fh ]を異常周波数区間とする。
【0058】
尚、位相基準トーンのトーン番号:r,n≦r≦n+N−1
周波数f(fi )における伝送路の遅延をD(Di )とする。(Dはfの関数)
送信側モデムが、時間t=0〜Tの間、位相yに変調して送出するとする。
送信端の信号 sin(2πft+y)
基準トーン sin(2πfr t+y)
受信端には各トーンの周波数に応じた遅延時間だけ遅れた信号が届く。
受信端の信号 sin(2πf(t−D)+y)
基準トーン sin(2πfr(t−Dr )+y)
【0059】
受信側モデムは、基準トーンの位相がyとなるように時間t=Dr 〜Dr +Tの信号を解析(フーリエ変換)して、各トーンの振幅・位相情報を抽出する。
周波数fのトーンで観測される位相はt=Dr より 2πf(Dr −D)+y
基準トーンとの相対位相変移は、P=2πf(Dr −D) (Pi =2πfi (Dr −Di))
周波数fにおける伝送路の群遅延Qは、定義より、
【0060】
【数10】
Figure 0004144368
【0061】
一方、相対位相変移から求められるのは、
【0062】
【数11】
Figure 0004144368
【0063】
すなわち、相対群遅延qi は、周波数fi の群遅延Qi から基準トーンの遅延Dr だけずれた値になる。
【0064】
図5(a)は、伝送路長350m、分岐なしの場合の相対群遅延の周波数特性の測定例及びその近似式を示すグラフであり、この場合、平均乖離量σP =0.013μsである。
図5(b)は、伝送路長350m、分岐長30mである場合の相対群遅延の周波数特性の測定例及びその近似式を示すグラフであり、この場合、平均乖離量σP =0.212μsである。
【0065】
モデムのマイクロプロセッサ16は、パーソナルコンピュータ又は管理センタの管理装置から、減衰特性の出力指示があれば、メモリ19に記憶している各トーンの減衰量を出力する(図6S40)。次いで、減衰量の近似式が示す近似値と測定値との乖離量の平均乖離量σa が、予め定められた閾値σath より大きいとき(S42)は、メモリ19に記憶させてある異常周波数区間(図3S20)を出力し(S44)リターンする。閾値σath より大きくないとき(S42)は、そのままリターンする。
これにより、パーソナルコンピュータ又は管理センタの管理装置は、親子のモデム間の伝送路の減衰特性を表示することが出来る。また、減衰量が他と大きく異なるトーン(周波数区間)があれば、それを表示することが出来る。
【0066】
モデムのマイクロプロセッサ16は、パーソナルコンピュータ又は管理センタの管理装置から、位相変移特性の出力指示があれば、メモリ19に記憶している各トーンの相対位相変移量を出力する(図6S46)。次いで、相対群遅延の近似式が示す近似値と測定値との乖離量の平均乖離量σP が、予め定められた閾値σPth より大きいとき(S48)は、メモリ19に記憶させてある異常周波数区間(図3S32)を出力し(S50)リターンする。閾値σPth より大きくないとき(S48)は、そのままリターンする。
これにより、パーソナルコンピュータ又は管理センタの管理装置は、親子のモデム間の伝送路の位相変移特性を表示することが出来る。また、相対位相変移量が他と大きく異なるトーン(周波数区間)があれば、それを表示することが出来る。
【0067】
【発明の効果】
第1発明に係る伝送装置によれば、出力した各減衰量をパーソナルコンピュータ及び管理センタの管理装置に表示することが出来るので、伝送路の減衰特性を簡単に知ることが出来ると共に、伝送路の分岐配線による性能低下の可能性を知ることが出来る伝送装置を実現することが出来る。また、伝送路の分岐配線等、伝送性能低下を引き起こす伝送路自体の問題を、伝送装置からの情報のみで判定することが出来、特別の知識を有しないユーザ及び管理者に何が異常であるのか知らせることが出来、対策の指針を与えることが出来る。
分岐配線による問題があることが判れば、分岐配線の端部を終端処理することにより、特性を改善することが出来る。
【0069】
2、6発明に係る伝送装置によれば、伝送路の分岐配線による性能低下の可能性を知ることが出来る伝送装置を実現することが出来る。また、特別の知識を有しないユーザ及び管理者に何が異常であるのか知らせることが出来、対策の指針を与えることが出来る。
【0070】
発明に係る伝送装置によれば、出力した各減衰量及び各相対位相変移量をパーソナルコンピュータ及び管理センタの管理装置に表示することが出来るので、伝送路の減衰特性及び位相変移特性を簡単に知ることが出来る伝送装置を実現することが出来る。また、伝送路の分岐配線等、伝送性能低下を引き起こす伝送路自体の問題を、伝送装置からの情報のみでより正確に判定することが出来る。
分岐配線による問題があることが判れば、分岐配線の端部を終端処理することにより、特性を改善することが出来る。
【0071】
発明に係る伝送装置によれば、出力した各相対位相変移量をパーソナルコンピュータ及び管理センタの管理装置に表示することが出来るので、伝送路の位相変移特性を簡単に知ることが出来ると共に、伝送路の分岐配線による性能低下の可能性を知ることが出来る伝送装置を実現することが出来る。また、伝送路の分岐配線等、伝送性能低下を引き起こす伝送路自体の問題を、伝送装置からの情報のみで判定することが出来、特別の知識を有しないユーザ及び管理者に何が異常であるのか知らせることが出来、対策の指針を与えることが出来る。
分岐配線による問題があることが判れば、分岐配線の端部を終端処理することにより、特性を改善することが出来る。
【0072】
発明に係る伝送装置によれば、出力した各相対位相変移量をパーソナルコンピュータ及び管理センタの管理装置に表示することが出来るので、伝送路の位相変移特性を簡単に知ることが出来ると共に、伝送路の分岐配線による性能低下の可能性を知ることが出来る伝送装置を実現することが出来る。また、特別の知識を有しないユーザ及び管理者に何が異常であるのか知らせることが出来、対策の指針を与えることが出来る。
【0073】
発明に係る伝送装置によれば、出力した各減衰量及び/又は各相対位相変移量に加えてその乱れの大きい周波数範囲がどこであるかをパーソナルコンピュータ及び管理センタの管理装置に表示することが出来るので、伝送路の減衰特性及び/又は位相変移特性を簡単に知ることが出来ると共に、伝送路の分岐配線による性能低下の可能性とその分岐線路の推定長をも知ることが出来る伝送装置を実現することが出来る。また、特別の知識を有しないユーザ及び管理者に何が異常であるのか知らせることが出来、対策の指針を与えることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る伝送装置の実施の形態であるモデムの要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る伝送装置の実施の形態であるモデムの動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る伝送装置の実施の形態であるモデムの動作を示すフローチャートである。
【図4】減衰量の周波数特性の測定例及びその近似式を示すグラフである。
【図5】相対群遅延の周波数特性の測定例及びその近似式を示すグラフである。
【図6】本発明に係る伝送装置の実施の形態であるモデムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 フレーム組立部
2 符号化部
3 コンステレーションエンコーダ
4 逆離散フーリエ変換部
5 並直列変換部
7 ドライバ
8 ハイブリッド回路
11 直並列変換部
12 離散フーリエ変換部
13 コンステレーションデコーダ
14 復号化部
15 フレーム解体部
16 マイクロプロセッサ
18 電話回線
19 メモリ(記憶手段)
20 警報表示部
21 測定部

Claims (7)

  1. 等周波数間隔の複数の搬送波を用いてディジタル情報を金属線路上で伝送し、伝送開始時には、伝送相手の伝送装置から伝送された各搬送波の減衰量を測定し、測定した各減衰量を記憶手段に記憶する伝送装置において、
    前記記憶手段が記憶した各減衰量を前記伝送相手の伝送装置へ伝送する伝送手段と、前記伝送装置が測定した各減衰量を受信する受信手段とを備え、前記記憶手段は、該受信手段が受信した各減衰量を記憶すべくなしてあり、外部からの指示信号を受信したときは、前記記憶手段が記憶した各減衰量を出力する出力手段と、前記記憶手段が記憶した各減衰量に基づき、該各減衰量の周波数特性の近似式を求める手段と、該手段が求めた近似式が示す各近似値と前記各減衰量との各乖離量を演算する手段と、該手段が演算した各乖離量の平均値を演算する手段と、該手段が演算した平均値が所定の閾値より大きいか否かを判定する手段と、該手段が大きいと判定したときに、警報を出力する手段とを備えることを特徴とする伝送装置。
  2. 前記閾値は3dB以下である請求項記載の伝送装置。
  3. 伝送開始時に、前記伝送相手の伝送装置から伝送された各搬送波の相対位相変移量を測定する手段を更に備え、前記記憶手段は、該手段が測定した各相対位相変移量を記憶し、前記伝送手段は、前記記憶手段が記憶した各相対位相変移量を前記伝送相手の伝送装置へ伝送し、前記受信手段は、前記伝送装置が測定した各相対位相変移量を受信し、前記記憶手段は、前記受信手段が受信した各相対位相変移量を記憶し、前記出力手段は、前記記憶手段が記憶した各相対位相変移量を出力すべくなしてある請求項1又は2記載の伝送装置。
  4. 等周波数間隔の複数の搬送波を用いてディジタル情報を金属線路上で伝送し、伝送開始時には、伝送相手の伝送装置から伝送された各搬送波の相対位相変移量を測定し、測定した各相対位相変移量を記憶手段が記憶する伝送装置において、
    前記記憶手段が記憶した各相対位相変移量を前記伝送相手の伝送装置へ伝送する手段と、前記伝送装置が測定した各相対位相変移量を受信する手段とを備え、前記記憶手段は、該手段が受信した各相対位相変移量を記憶すべくなしてあり、外部からの指示信号を受信したときは、前記記憶手段が記憶した各相対位相変移量を出力する出力手段と、前記記憶手段が記憶した各相対位相変移量に基づき、各相対群遅延を求める手段と、該手段が求めた各相対群遅延に基づき、該各相対群遅延の周波数特性の近似式を求める手段と、該手段が求めた近似式が示す各近似値と前記各相対群遅延との各乖離量を演算する手段と、該手段が演算した各乖離量の平均値を演算する手段と、該手段が演算した平均値が所定の閾値より大きいか否かを判定する手段と、該手段が大きいと判定したときに、警報を出力する手段とを備えることを特徴とする伝送装置。
  5. 前記記憶手段が記憶した各相対位相変移量に基づき、各相対群遅延を求める手段と、該手段が求めた各相対群遅延に基づき、該各相対群遅延の周波数特性の近似式を求める手段と、該手段が求めた近似式が示す各近似値と前記各相対群遅延との各乖離量を演算する手段と、該手段が演算した各乖離量の平均値を演算する手段と、該手段が演算した平均値が所定の閾値より大きいか否かを判定する手段と、該手段が大きいと判定したときに、警報を出力する手段とを更に備える請求項記載の伝送装置。
  6. 前記閾値は、その適用可能な最長伝送路の遅延時間の20%以下、又は前記伝送相手である伝送装置との伝送路の、信号減衰量に基づき算出された遅延時間の20%以下である請求項4又は5記載の伝送装置。
  7. 前記乖離量が前記平均値の2倍以上である周波数範囲を抽出する手段を更に備え、前記出力手段は、該手段が抽出した周波数範囲を他の周波数範囲と区別して出力すべくなしてある請求項1乃至6の何れか1項に記載の伝送装置。
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