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JP4144429B2 - 液晶表示装置、及び電子機器 - Google Patents
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JP4144429B2 - 液晶表示装置、及び電子機器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置、及び電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置として、上基板と下基板との間に液晶層が挟持されるとともに、例えばアルミニウム等の金属膜に光透過用の開口部を形成した反射膜を下基板の内面に備え、この反射膜を半透過反射板として機能させる半透過反射型の液晶表示装置が知られている。また、このような半透過反射型液晶表示装置において、明るさ及びコントラストを高める技術として、上記反射膜の形成領域と対応する反射表示領域と、前記開口部と対応する透過表序領域とで、液晶層の厚さを異ならせた、いわゆる「マルチギャップ構造」の液晶表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、従来の半透過反射型液晶装置には、透過表示での視角が狭いという課題があった。これは、視差が生じないよう液晶セルの内面に半透過反射板を設けている関係で、観察者側に備えた1枚の偏光板だけで反射表示を行わなければならないという制約があり、光学設計の自由度が小さいためである。そこで、この課題を解決するために、Jisakiらは、下記の特許文献2、非特許文献1において、垂直配向液晶を用いる新しい半透過反射型液晶表示装置を提案した。その特徴は、以下の3点である。
(1)誘電異方性が負の液晶を基板に垂直に配向させ、電圧印加によってこれを倒す「VA(Vertical Alignment)モード」を採用している点。
(2)透過表示領域と反射表示領域の液晶層厚(セルギャップ)が異なる「マルチギャップ構造」を採用している点(この点については、例えば特許文献1参照)。
(3)透過表示領域を正八角形とし、この領域内で液晶が8方向に倒れるように対向基板上の透過表示領域の中央に突起を設けている点。すなわち、「配向分割構造」を採用している点。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−242226号公報
【特許文献2】
特開2002−350853号公報
【非特許文献1】
"Development of transflective LCD for high contrast and wide viewing angle by using homeotropic alignment", M.Jisaki et al., Asia Display/IDW'01, p.133-136(2001)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、先の特許文献2ないし非特許文献1においては、透過表示領域での液晶が倒れる方向については突起を用いて制御しているが、反射表示領域の液晶が倒れる方向については、いかに制御したのか、全く触れていない。液晶が無秩序な方向に倒れると、異なる液晶配向領域の境界にディスクリネーションと呼ばれる不連続線が現れ、これが残像等の原因になる。また、液晶の各々の配向領域は異なる視角特性を有しているため、斜め方向から液晶装置を見たときに、ざらざらとしたしみ状のむらとして見える、という問題も生じる。
さらに、アクティブマトリクス型の液晶表示装置では、スイッチング素子の形成領域及びその周辺で、素子のスイッチング動作によって電界が生じ、この電界により液晶の配向が乱れてコントラストを低下させるおそれがあるが、上記各従来技術文献では、このスイッチング素子の形成領域にて生じる液晶の配向不良に関しての記載は無く、全く考慮されていない。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであって、画素をスイッチングするためのアクティブ素子が表示エリア内にあっても、均一、かつ広視野角の表示が得られる液晶表示装置、及びこれを備えた電子機器を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の液晶表示装置は、一対の基板間に液晶層が挟持され、画素電極と該画素電極の角部に設けられたスイッチング素子とを備えるドット領域を複数有する液晶表示装置であって、一の前記ドット領域の中央部と当該ドット領域に設けられたスイッチング素子との間に設けられた配向制御手段を備え、前記配向制御手段は、前記画素電極を一部開口して形成された開口部であり、該開口部の周囲は当該画素電極によって囲まれており、前記スイッチング素子が配置される側の当該画素電極の角部を切り欠くように配置されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、上記スイッチング素子の動作に際して素子周辺に生じる電界に起因して液晶分子の配向に乱れを生じたとしても、スイッチング素子近傍に設けられた上記配向制御手段により液晶分子の配向状態が適切に制御されるため、素子形成領域で生じた配向の乱れは、配向制御手段の形成位置にて遮断され、その結果、表示領域内の他の領域では液晶の配向が適切に制御され、良好な表示を得ることができる。特に、液晶層が垂直配向モードの液晶を含む場合には、上記配向の乱れは、パネル斜視時のざらざらとしたシミ状のむらの原因となり得るが、本構成によれば、上記配向制御手段により配向が乱れる領域を限定できるため、液晶のドメイン境界が移動せず、上記シミ状のむらは生じなくなる。従って、本発明の液晶表示装置によれば、明るくかつ高画質の表示を得ることができる。
【0009】
本発明に係る液晶表示装置では、前記配向制御手段が、前記スイッチング素子形成領域の外周端に沿うように延びる略線状とされた構成とすることもできる。この構成によれば、スイッチング素子形成領域における配向乱れを前記線状の配向制御手段から素子形成領域側に限定でき、明るく高画質の表示が得られる。
また、前記配向制御手段が、前記スイッチング素子形成領域を平面的に囲むように形成された構成とすることもできる。この構成によれば、スイッチング素子形成領域における配向乱れが、表示領域の液晶配向に影響するのをさらに効果的に抑制でき、表示の明るさのさらなる向上を図ることができる。
【0010】
本発明の液晶表示装置は、前記配向制御手段と、前記スイッチング素子との平面的な距離が、15μm以内であることが好ましい。このような範囲内に前記配向制御手段を配置することで、素子形成領域における液晶配向の乱れによる表示不良を効果的に抑えることができ、明るい表示を得ることが可能になる。上記距離が15μmを超える場合、前記素子形成領域における液晶配向の乱れを抑制する効果が小さくなる。尚、上記範囲が適切であることを本発明者は実験により検証しており、その詳細は後述する。
【0011】
本発明の液晶表示装置は、前記配向制御手段が、前記画素電極又は対向基板の電極を一部開口して形成された開口部、あるいは誘電体からなる突起である構成とすることができる。上記開口部、誘電体突起のいずれからなる構成とした場合にも、本発明に係る液晶表示装置は、スイッチング素子の電界により生じる液晶配向の乱れを効果的に抑制でき、明るく高画質の表示を得ることができる。
【0012】
本発明の液晶表示装置では、前記対向基板の反射表示領域に対応する領域に反射層が形成されており、前記反射層が、前記スイッチング素子と平面的に重なる位置まで延設されていることが好ましい。
この構成によれば、スイッチング素子周辺の配向乱れに起因する光学特性の変化を、観察者に視認され難くすることができるので、前記配向乱れによる表示不良を実質的に無くすことができ、表示品質を向上させることができる。これは、本構成の液晶表示装置では、上記スイッチング素子の形成位置にまで前記反射層が延設されているので、スイッチング素子周辺から出射される表示光が、前記液晶層を2回透過した光となるためである。すなわち、液晶層に入射した光が、液晶分子の配向乱れによって光学特性に変化を生じたとしても、反射層で反射された後に液晶層を透過する際、前記光学特性の変化が補償されるためである。
また、本構成の液晶表示装置では、上記の作用により前記配向乱れによる表示不良を実質的に無くすことができるため、前記スイッチング素子を覆うブラックマトリクスや遮光膜を設ける必要が無くなる。これにより液晶表示装置の開口率を向上させることができ、明るい表示を実現することができる。
【0013】
本発明の液晶表示装置では、前記液晶層が、誘電異方性が負の液晶を含む構成とすることができる。すなわち、本発明の液晶表示装置は、垂直配向モードの液晶表示装置とすることができる。この構成によれば、広視野角で、高コントラストの表示を得ることができるとともに、高い開口率により明るい表示を得ることができる。
さらに、本発明において、表示領域内に配向規制手段を設けるならば、垂直配向モードの液晶分子が電界印加時に倒れる方向を、適切に制御することができ、垂直配向モードの液晶表示装置で問題となる斜視時のシミ状のむらを効果的に防止し、もって高画質の表示を提供することができる。表示領域内に設ける配向制御手段の基本的な構成は、先のスイッチング素子近傍の配向制御手段と同様とすることができるが、その形成位置、幅、高さ(誘電体突起の場合)等は、表示領域の液晶を適切に制御するべく適宜調整するのが良い。
【0014】
本発明の液晶表示装置では、前記素子基板及び対向基板に対して円偏光を入射させる円偏光入射手段が設けられた構成とすることが好ましい。この構成によれば、反射表示、透過表示の表示品質をさらに高めることができる。円偏光を用いれば、液晶分子が電圧印加時に倒れる方向を特別に規定する必要がなく、液晶分子が電圧によって倒れさえすれば、明るい表示を得ることができる。
【0015】
本発明の液晶表示装置では、前記スイッチング素子が、二端子型非線形素子である構成とすることができる。本発明によれば、スイッチング動作に際して比較的高い電圧を要し、そのため素子周辺で強い電界を生じるTFD(薄膜ダイオード)素子をスイッチング素子として用いた場合にも、前記電界に起因する液晶分子の配向乱れによる表示不良を実質的に無くすことができ、高開口率で明るい表示が得られる液晶表示装置を提供することができる。TFD素子は他のTFT素子などと比べて、金属配線が1つでよいので、高開口率で明るい表示を実現できる。
【0016】
次に、本発明の電子機器は、先に記載の本発明の液晶表示装置を備えたことを特徴とする。この構成によれば、明るく、高品質の表示が得られる表示部を備えた電子機器を提供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態である液晶表示装置の表示領域を示す部分斜視図、図2は、同、1画素領域を示す平面構成図、図3は、図2のA−A’線に沿う断面構成図である。これらの図に示す液晶表示装置は、スイッチング素子としてTFD(Thin film diode)素子(二端子型非線形素子)を用いたアクティブマトリクス方式のカラー液晶表示装置である。また、本実施形態に係る液晶層は、図3に概念的に示すように、初期配向が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶から構成されている。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の液晶表示装置は、相互に対向する素子基板25と対向基板10とを主体として構成されており、前記両基板10,25の間には図示略の液晶層が挟持されている。素子基板25は、ガラスやプラスチック、石英等の透光性材料からなる基板本体25Aを備え、基板本体25Aの内面側(図示下面側)には、複数のデータ線11がストライプ状に設けられており、平面視略矩形状のITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電材料からなる複数の画素電極31がマトリクス状に配列形成されるとともに、各々に対応して設けられたTFD素子13を介して前記データ線11と接続されている。
【0019】
一方、対向基板10は、ガラスやプラスチック、石英等の透光性材料からなる基板本体10Aを備え、基板本体10Aの内面側(図示上面側)には、アルミニウムや銀等の金属薄膜からなる反射層20と、カラーフィルタ層22と、前記素子基板25のデータ線11と交差する向きに延在するITO等の透明導電材料からなる複数の略帯状の走査線9とが形成されている。カラーフィルタ層22は、図1に示すように、平面視略矩形状のカラーフィルタ22R,22G,22Bが周期的に配列された構成を備えている。走査線9は、その延在方向に配列された前記カラーフィルタ22R,22G,22B,…を覆うように形成されている。
【0020】
次に、図2(a)は、図1に示す液晶表示装置の1画素領域を示す平面構成図であり、同図は図1の素子基板25外面側からみた構成を示している。
図2に示すように、本実施形態の液晶表示装置では、R,G,Bの3ドット(カラーフィルタ22R,22G,22Bを備えた3ドット)で1画素が構成されており、各ドット領域毎に、開口領域20aを有する平面視矩形枠状の反射層20が設けられている。そして、上記各反射層20と平面的にほぼ重なるように前記各対向電極31が配置されている。前記対向電極31の図示左下の角部が一部切り欠かれて形成された領域に、TFD素子13が形成されており、このTFD素子13の形成領域と、前記反射層20の形成領域とが平面的に重なっている。
【0021】
そして、本実施形態の場合、TFD素子13が形成された領域近傍の画素電極31に、データ線11と交差する向きに延在する配向制御手段31aが設けられている。つまり、配向制御手段31aは、画素電極31のTFD素子13が配置される側の角部を切り欠くように、或いは画素電極31のTFD素子13が配置される側の角部においてTFD素子31と隔てるように配置形成されている。図2(b)及び図2(c)は、それぞれ配向制御手段31aを、開口部、誘電体突起で構成した場合の配向制御作用を説明するための部分断面構成図であり、両図には、液晶層50を挟んで対向する画素電極31及び電極9と、TFD素子13と、配向制御手段31aとを図示している。
配向制御手段31aは、詳細は後述するが、その周辺の液晶分子の配向状態、及び電圧印加時の配向方向を規制する機能を有するものであり、図2(b)に示すように、画素電極31の一部を開口して形成された開口部31bとした形態や、図2(c)に示すように、画素電極31表面に樹脂材料等を液晶層側へ突設してなる誘電体突起31cとした形態が適用できる。
【0022】
次に、図3に示す断面構造をみると、対向基板10と、素子基板25との間に、液晶層50が挟持されており、液晶分子51により概念的に示すように、液晶層50を構成する液晶は、初期配向が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶である。
対向基板10の基板本体10Aには、反射層20が部分的に形成されており、この反射層20の形成領域が、本実施形態に係る反射表示領域Rとなり、反射層20の非形成領域が透過表示領域Tとなる。反射層20上、及び透過表示領域T内に位置する基板本体10A上に、カラーフィルタ層22が設けられている。カラーフィルタ層22は、隣接するドット領域毎に赤(R)、緑(G)、青(B)の異なる色を呈するカラーフィルタ22R,22G,22Bが配置されている。また、反射表示と透過表示とで表示色の彩度が異なるのを補償すべく、反射表示領域と透過表示領域とで色純度を変えた色材層を別個に設けてもよい。
【0023】
カラーフィルタ層22上の、ほぼ反射表示領域Rに対応する平面位置に絶縁膜21が形成されている。絶縁膜21は例えば膜厚が2μm±1μm程度のアクリル樹脂等の有機膜により形成でき、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの境界付近において、自身の層厚が連続的に変化するべく傾斜面を備えた傾斜領域Nを有している。絶縁膜21が存在しない部分の液晶層50の厚みが2〜6μm程度であるから、反射表示領域Rにおける液晶層50の厚みは透過表示領域Tにおける液晶層50の厚みの約半分となる。つまり、絶縁膜21は、自身の膜厚によって反射表示領域Rと透過表示領域Tとにおける液晶層50の層厚を異ならせる液晶層厚調整層として機能し、これによりマルチギャップ構造を実現し、明るく高コントラストの表示が得られるようになっている。
また、本実施の形態の場合、絶縁膜21の下部の端縁と反射膜20(反射表示領域)の縁とが平面視で略一致しており、傾斜領域Nは反射表示領域Rにほぼ含まれている。これにより、前記傾斜領域Nにおける液晶層厚の不均一に起因する液晶配向の乱れた領域を、透過表示領域Tの外側に配置し、良好な透過表示が得られるように構成されている。
【0024】
絶縁膜21の表面を含む対向基板10の表面には、ITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電膜からなる電極9が形成されている。この電極9上に、ポリイミド等からなる配向膜23が形成されている。図2に示す透過表示領域Tの中央部に上下に延びて形成された開口スリット9aは、図3に示すように対向基板10の電極9に形成されている。
【0025】
素子基板25側は、基板本体25A上に、ITO等の透明導電材料からなる画素電極31、ポリイミド等からなる配向膜33が順次形成されている。対向基板10、素子基板25の双方の配向膜23,33には、ともに垂直配向処理は施されているが、ラビングなどのプレチルトを付与する手段は施されていない。
図3に示すように、画素電極31は、ドット領域内でその一部が開口されており、この開口部18は図2に示す平面図においては、平面視矩形枠状の反射層20の開口領域20aの図示上下方向に延びる辺とほぼ重なる位置に形成されている。この開口部18と、先の開口スリット9aとは、本実施形態の液晶表示装置において、垂直配向を呈する液晶からなる液晶層50の電圧変化時の傾倒方向を規制する配向規制手段として作用する。
【0026】
また、対向基板10の外面側に、基板本体側から位相差板26、偏光板27がこの順に設けられ、素子基板25の外面側には、基板本体側から位相差板36、偏光板37がこの順に設けられている。位相差板26,36は可視光の波長に対して略1/4波長の位相差を持つものであり、この位相差板と偏光板との組み合わせにより対向基板10側および素子基板25側の双方から液晶層に円偏光が入射され、直線偏光が出射されるようになっている。また、対向基板10の外面側にあたる液晶セルの外側には、光源、リフレクタ、導光板などを有するバックライト(照明手段)60が設置されている。
【0027】
以上の構成の本実施形態の液晶表示装置は、図2に示すように、略直線状の配向制御手段31aが、TFD素子13の画素電極31側に延在されていることで、TFD素子13の電界によって素子周辺部に液晶の配向乱れが生じたとしても、表示領域の液晶配向に、前記素子周辺部の配向乱れが影響しないようにすることができる。
以下、図2(b)及び図2(c)を参照して配向制御手段の作用を説明する。
図2(b)に示すように開口部31bからなる配向制御手段を備えた場合、画素電極31に対して電圧を印加した際に、この開口部31b周辺で生じる電界の歪みにより液晶分子51の傾倒方向並びに配向状態が規制されるため、TFD素子13の周辺では同図に示すように液晶分子51に配向の乱れが生じるものの、その乱れが生じた領域は開口部31bの形成位置からTFD素子13側に限定され、開口部31bよりドット中央側の領域においては、液晶分子51は適切にその配向状態を制御される。
仮に前記配向の乱れを抑制する手段を講じないとした場合、TFD素子13に印加される電圧はドットの階調により異なるため、素子周辺の液晶の配向状態は連続的に変化することとなり、配向の乱れによるコントラストの低下が生じ、特に垂直配向モードの液晶表示装置では、斜視時におけるざらざらとしたシミ状のむらが生じて画質を低下させるおそれがある。これに対して、本実施形態では、上記配向制御手段31aの作用により、これらの表示品質の低下が生じないようにすることができ、従って広視野角で高コントラストの表示を得ることができる。
【0028】
また、図2(c)に示すように誘電体突起31cからなる配向制御手段を備えた場合にも、画素電極31の表面に設けられた誘電体突起31cの表面に対して液晶分子51が垂直に配向されるので、液晶層50に電圧が印加された際の傾倒方向が規制される。従って、TFD素子13の周辺では同図に示すように液晶分子51に配向の乱れが生じるものの、その乱れが生じた領域は誘電体突起31cの形成位置からTFD素子13側に限定され、誘電体突起31cよりドット中央側の領域においては、液晶分子51は適切にその配向状態を制御される。
【0029】
尚、本実施形態では、上記開口部31b及び誘電体突起31cを、画素電極31に設けた構成としたが、これらの配向制御手段は、電極9に設けてもよく、その場合にも、上記素子周辺部の配向乱れを抑制し、表示品質を向上させる効果を得ることができるのは勿論である。
【0030】
さらに、本実施形態の液晶表示装置では、図2に示すように、素子基板25に設けられたTFD素子13と、対向基板10に設けられた反射層20とが平面的に重なるように形成されている。このような構成とされていることで、スイッチング動作に際して比較的高い電圧を要するTFD素子13の素子周辺部に、電界による液晶分子51の配向が乱れが生じたとしても、この配向乱れに起因する表示不良が観察者に視覚され難くなり、もって良好な表示が得られるようになっている。その理由は以下のような作用による。
すなわち、反射表示領域において観察者に到達する表示光は、素子基板25側から液晶層50に入射し、反射層20で反射されて素子基板25の外面側へ出射された光であるため、液晶層50を2回透過した光になる。そのため、液晶層50を構成する液晶分子51の配向乱れによりその光学特性が変化したとしても、反射層20で反射されて液晶層50を再度透過する際に、前記光学特性の変化が補償されるからである。
【0031】
また、上記のTFD素子13周辺に生じる強電界に起因する液晶の配向乱れは、配向膜等の配向規制手段により制御することは困難であるため、従来、TFD素子(あるいはTFT素子)を備えた透過型の液晶表示装置では、素子が形成された平面領域をブラックマトリクスや遮光膜により覆っていた。これに対して、本実施形態の液晶表示装置では、上記の理由により、TFD素子13周辺における表示不良を実質的に無くすことができるため、TFD素子13を覆うブラックマトリクスや遮光膜は不要になる。従って、TFD素子13の周辺部までも表示に寄与させることが可能になり、液晶表示装置の開口率の向上により明るい表示が得られるようになっている。
【0032】
本実施形態の液晶表示装置では、図3に示したように、走査線9に形成された開口スリット9aと、画素電極31に形成された開口部18,18により、垂直配向された液晶分子51の電圧印加時の傾倒方向が適切に制御されるようになっている。
図4(a)は、上記開口スリット9aと、開口部18,18とによる配向規制作用を説明する概略断面図である。図4(a)に示すように、本実施形態の液晶表示装置では、電圧変化時に液晶分子51は、紙面にほぼ垂直に延在する開口部18,18、及び開口スリット9aの幅方向両側に向かって倒れるようになっている。これにより、液晶のドメイン境界が固定され、垂直配向の液晶層を備えた液晶表示装置において表示品質上の問題とされている斜視時のシミ状のむらを効果的に防止することができ、広い視角範囲で良好な表示が得られるようになっている。
【0033】
また、上記配向規制手段としては、図4(b)に示すように、紙面にほぼ垂直に延在形成された凸条28も適用することができ、このような凸条28,28を設けることによっても、良好に液晶分子51の傾倒方向を制御でき、広い視角範囲で良好な表示が得られるようにすることができる。上記凸条28は、先の誘電体突起31cと同様、樹脂材料等の誘電体材料により形成される。
さらに本実施形態では、開口部18,18と、傾斜領域Nとが平面的に重なる位置に形成されており、このような構成とすることで、前記境界領域Nにおける液晶層厚の不均一性に起因する表示不良部と、前記開口部18の延在領域に生じる液晶のドメイン境界とを平面的に重ねることができ、もって液晶表示装置の開口率を高め、明るい表示が得られるようになっている。
【0034】
このように、上記実施形態の液晶表示装置によれば、マルチギャップ構造を採用したことによる表示コントラストの向上効果、及び垂直配向の液晶を制御するための開口スリット9a、開口部18,18を備えたことによる広視野角化効果に加え、TFD素子13周辺における液晶分子51の配向乱れに起因する表示不良を、配向制御手段31aにより狭い領域内に抑制することによる表示明るさの向上を実現でき、さらには、TFD素子13の形成領域にまで反射層20を延設することによって素子周辺部の配向不良が視覚され難くなる作用により、開口率の向上を実現でき、明るく、高コントラストであり、かつ広視野角の表示を得ることができるようになっている。
【0035】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図5を参照して説明する。図5は、本実施形態の液晶表示装置の1画素領域を示す平面構成図である。本実施形態の液晶表示装置は、先の第1実施形態の液晶表示装置と同様の基本構成を備えており、図2に示す反射層20と異なる平面形状を有する反射層120が設けられている点で異なっている。すなわち、先の第1実施形態では、反射層20の開口領域20aがドット領域のほぼ中央部に形成されていたが、本実施形態に係る反射層120では、透過表示領域を成す開口領域120aが、素子基板25側の画素電極31とほぼ同一の幅を有して形成されている。
【0036】
上記構成を備えた本実施形態の液晶表示装置においても、TFD素子13の画素電極31側に、TFD素子13と画素電極31とを離間するように配向制御手段31aが延在していることで、TFD素子13の電界によって素子周辺部に液晶の配向乱れが生じたとしても、表示領域の液晶配向に、前記素子周辺部の配向乱れが影響しないようにすることができ、明るく、かつ高画質の表示を得ることができるようになっている。
尚、本実施形態に係る配向制御手段31aとしても、先の実施形態と同様に、図2(b)、図2(c)にそれぞれ示した開口部31b、誘電体突起13cが適用できるのは勿論である。
【0037】
また本実施形態の液晶表示装置においても、TFD素子13と、反射層120とが平面的に重なるように配置されていることで、TFD素子13のスイッチング動作に際して形成される電界に起因する配向乱れによる表示不良を実質的に無くすことができ、もって液晶表示装置の開口率を向上させ、明るい表示を得ることができるようになっている。
【0038】
(第3の実施の形態)
次に、図6及び図7を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態の液晶表示装置は、先の第1の実施形態の変形例であり、配向制御手段31aの延在方向ないし平面形状が異なっている以外は、図1〜図3に示した第1実施形態の液晶表示装置と同様の構成とされている。
図6に示す形態の液晶表示装置では、TFD素子13に隣接して図示左右方向に延在する配向制御手段31aが設けられており、図7に示す形態の液晶表示装置では、TFD素子13に隣接して図示左右方向に延在し、データ線11側が相対的に太く形成された平面視三角形状(くさび形状)の配向制御手段31aが設けられている。
【0039】
図6及び図7に示す構成においても、TFD素子13の画素電極31側に、配向制御手段31aが延在していることで、TFD素子13の電界によって素子周辺部に液晶の配向乱れが生じたとしても、表示領域の液晶配向に、前記素子周辺部の配向乱れが影響しないようにすることができ、明るく、かつ高画質の表示を得ることができるようになっている。また、図7に示すように、TFD素子13との距離が小さくなるほど配向制御手段31aの平面的な幅を大きくするようにすることで、TFD素子13に近い側にあっては素子の電界による配向乱れを効果的に抑えることが可能になり、また素子の電界が比較的弱くなる反対側では、配向制御手段31自体による開口率の低下を抑えることができる。
また、本実施形態に係る配向制御手段31aとしても、先の各実施形態と同様に、図2(b)、図2(c)にそれぞれ示した開口部31b、誘電体突起13cが適用できるのは勿論である。
【0040】
(実験例)
本発明に係る液晶表示装置では、先に説明したように、配向制御手段31aを設けたことで、TFD素子13の電界に起因する液晶の配向乱れによる表示品質の低下を効果的に防止できるようになっているが、この配向乱れが生じる領域はTFD素子13とその周辺領域であり、配向制御手段31aの配設位置によって得られる効果が異なることが予想される。そこで、本発明者は実験により上記配向制御手段31aの適切な配設位置についての検証を行った。以下にその検証結果を報告する。
【0041】
本例では、図6に示した構成を備えた液晶表示装置において、配向制御手段31aとTFD素子13(素子部13a)との距離Lを種々に変更したものを作製した。配向制御手段31aとしては、図2(c)に示したような誘電体突起を樹脂材料により形成した。前記距離Lは、下記の表1に示すように、ほぼ0μmから30μmの範囲で変化させ、また、比較サンプルとして、配向制御手段31aを設けない以外は、同様の構成を備えた液晶表示装置を作製した。
次に、作製した7種類の液晶表示装置について、反射表示の明るさ(反射率%)を測定した。その結果も表1に併記している。
【0042】
【表1】
Figure 0004144429
【0043】
表1に示すように、配向制御手段31aを設けないもの(表1右端)に比して、配向制御手段31aを距離Lが15μm以下の範囲で設けたものは、著しく反射表示の明るさが向上しており、TFD素子13周辺に生じる電界による配向乱れを効果的に抑制できていることが分かる。また、配向制御手段31aの配設位置をTFD素子13に近くするほど、明るい反射表示を得ることができる。
そして、距離Lが大きくなるほど反射表示は暗くなっており、距離Lが20μm以上では、配向制御手段31aを設けない場合とほぼ同等か、逆に暗くなっている。これは、距離Lを大きくすると、配向制御手段31aが、TFD素子13の電界により配向が乱れた領域の外周端、あるいは外側に配置されるようになるため、TFD素子13周辺での配向乱れを抑制する効果が得られないばかりか、配向制御手段31a自体により開口率が低下するためであると考えられる。
【0044】
上記各実施の形態においては、スイッチング素子としてTFD素子を備えた液晶表示装置を例に挙げて説明したが、本発明は、スイッチング素子としてTFT(薄膜トランジスタ)素子を備えた液晶表示装置にも問題なく適用することができ、上記と同様の作用効果を得ることができる。
また、液晶層50が垂直配向の液晶からなる構成として説明したが、上記液晶層50は、平行配向やツイスト配向の液晶により構成することもでき、この場合にも、スイッチング素子の電界により生じる配向の乱れを効果的に抑えて、均一で明るい表示を得ることができる。
また上記各実施の形態では、配向制御手段31aの平面形状を、面方向に延在する略線状とした場合について各々説明したが、配向制御手段31aの平面形状は上記形状に限定されるものではなく、例えば点状等の形状としても良いのは勿論である。
【0045】
(電子機器)
図8は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。この図に示す携帯電話1300は、本発明の表示装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。
上記各実施の形態の表示装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれの電子機器においても、明るく、高コントラストであり、かつ広視野角の表示が可能になっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、第1実施形態の液晶表示装置の部分斜視図。
【図2】 図2(a)は、同、1画素領域の平面構成図、図2(b)、(c)は、(a)図に示す配向制御手段を説明するための部分断面構成図。
【図3】 図3は、図2(a)のA−A’線に沿う断面構成図。
【図4】 図4(a)、図4(b)は、実施形態に係る配向規制手段の作用を示す説明図。
【図5】 図5は、第2実施形態に係る1画素領域の平面構成図。
【図6】 図6は、第3実施形態に係る1画素領域の平面構成図。
【図7】 図7は、第3実施形態に係る1画素領域の平面構成図。
【図8】 図8は、電子機器の一例を示す斜視構成図。
【符号の説明】
10…対向基板、25…素子基板、13…TFD素子(スイッチング素子)、20…反射層、20a…開口領域、R…反射表示領域、T…透過表示領域、9a…開口スリット、18…開口部、21…絶縁膜(液晶層厚調整層)、31a…配向制御手段、31b…開口部(配向制御手段)、31c…誘電体突起(配向制御手段)

Claims (5)

  1. 一対の基板間に液晶層が挟持され、画素電極と画素電極の角部に設けられたスイッチング素子とを備えドット領域を複数有する液晶表示装置であって、
    一の前記ドット領域の中央部と当該ドット領域に設けられたスイッチング素子との間に設けられた配向制御手段を備え、
    前記配向制御手段は、前記画素電極を一部開口して形成された開口部であり、該開口部の周囲は当該画素電極によって囲まれており、前記スイッチング素子が配置される側の当該画素電極の角部を切り欠くように配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記配向制御手段と、前記スイッチング素子との平面的な距離が、15μm以内であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記ドット領域は反射表示領域と透過表示領域とを備え、
    前記対向基板の前記反射表示領域に対応する領域に反射層が形成されており、
    前記反射層が、前記スイッチング素子と平面的に重なる位置まで延設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記液晶層が、誘電異方性が負の液晶を含むことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の液晶表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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