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JP4152706B2 - 合金型温度ヒューズ及び合金型温度ヒューズ内蔵物品並びにこれらの製造方法 - Google Patents
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JP4152706B2 - 合金型温度ヒューズ及び合金型温度ヒューズ内蔵物品並びにこれらの製造方法 - Google Patents

合金型温度ヒューズ及び合金型温度ヒューズ内蔵物品並びにこれらの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は合金型温度ヒューズ及び合金型温度ヒューズ内蔵物品並びにこれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電気器具例えば差し込みプラグにおいて、異常発熱ひいては火災の発生を未然に防止するために、サーモプロテクタを直列に挿入し、これをプラグの樹脂外装体内に埋設することが公知である。
従来、サーモプロテクタとしては、サーモスタットやサーミスタ等の復帰型と合金型温度ヒューズ等の非復帰型とが知られている。
前記サーモプロテクタ内蔵プラグでは、樹脂外装体を射出成形により成形しているために、そのサーモプロテクタには、復帰型を使用している。その理由は、サーモプロテクタ内蔵プラグでは、樹脂外装体の溶融軟化温度よりも低い温度で作動するサーモプロテクタを使用して樹脂外装体が溶融軟化する以前にプラグの通電を遮断してプラグのそれ以上の昇温を阻止する必要があり、そのような作動温度の合金型温度ヒューズでは、前記樹脂外装体の射出成形温度で不可避的に非復帰で作動してしまい、復帰型サーモプロテクタを使用せざるを得ないからである。
【0003】
従来の合金型温度ヒューズでは、作動温度を律する融点の可溶合金片の表面にフラックスを付加し、このフラックス付加可溶合金片を常温硬化型樹脂のモールド、または絶縁体ケースと接着剤とで気密に封止している。
この合金型温度ヒューズの作動メカニズムは、外部温度の上昇により可溶合金片が溶融され、この溶融合金が既溶融のフラックスとの共存下、界面エルルギーのためにリード導体または電極に引っ張れれて分断され(いわゆる球状化により分断され)、その球状化の進行により分断距離が増大されて通電遮断が完結されることにある。
而して、合金型温度ヒューズは、実質上可溶合金片が可溶合金の融点に達したときに作動する。
【0004】
而るに、フラックスの付加を排除すると、可溶合金片の温度がその合金の融点に達しても作動せず、分断温度はその合金融点よりも相当に高い温度となる。その理由は、可溶合金が易酸化性であり、可溶合金の表面に酸化皮膜が不可避的に生成され、この酸化皮膜が高融点・高硬度であって皮膜内側の可溶合金が溶融してもその酸化皮膜が鞘となって合金片の分断が阻止され、更なる加熱により皮膜の鞘強度が低下して内側の溶融合金を保持できなくなるまで非分断状態が持続されるからである。
本発明は、この合金型温度ヒューズの特有の事実を利用して合金型温度ヒューズを差し込みプラグのような電気器具の射出成形樹脂外装体中に埋め込むことを可能にしている。
【0005】
本発明の目的は、合金型温度ヒューズ乃至は合金型温度ヒューズ内蔵物品の製造工程中に、ヒューズエレメントである可溶合金の合金融点よりも高い温度の工程が含まれていても、その合金型温度ヒューズ乃至合金型温度ヒューズ内蔵物品を良好な歩留で安全に製造することにある。
【0006】
本発明のより具体的な目的は、合金型温度ヒューズ乃至は合金型温度ヒューズ内蔵物品の製造工程中に、ヒューズエレメントである可溶合金の合金融点よりも高い成形温度の樹脂射出成形工程が含まれていても、その合金型温度ヒューズ乃至合金型温度ヒューズ内蔵物品を良好な歩留で安全に製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項に係る合金型温度ヒューズの製造方法は、易酸化性の可溶合金片の外面にフラックスが付加され、該フラックス付加可溶合金片が絶縁体により被覆された合金型温度ヒューズ乃至は合金型温度ヒューズ内蔵物品を製造する方法であり、可溶合金片にフラックスを付加しない状態で絶縁材による加熱下での被覆により絶縁体を形成しこの形成時に絶縁体にフラックス注入用口を形成し、これよりも後でその注入口からフラックスを注入して可溶合金片にフラックスを付加することを特徴とする。
【0008】
本願の請求項2に係る合金型温度ヒューズの製造方法は、易酸化性の可溶合金片の外面にフラックスが付加され、該フラックス付加可溶合金片が絶縁体により被覆された合金型温度ヒューズ乃至は合金型温度ヒューズ内蔵物品を製造する方法であり、可溶合金片にフラックスを付加しない状態で絶縁材による加熱下での被覆により絶縁体を形成し、絶縁体を形成した後に絶縁体にフラックス注入用口を形成し、これよりも後でその注入口からフラ ックスを注入して可溶合金片にフラックスを付加することを特徴とする。
【009】
請求項では、絶縁材による加熱下での被覆を熱可塑性樹脂の射出成形により行い、金型内面の突子によりフラックス注入用口を形成している。
【0010】
請求項では、フラックス注入後のフラックス注入用口の閉塞を樹脂リベットの装着、接着剤の充填、圧潰封着の何れかにより行っている。
【0011】
請求項では、可溶合金片に内カバーを被せた状態で絶縁材による加熱下での被覆を施している。
【0012】
請求項9は、本発明に係る製造方法により製造した合金型温度ヒューズである。
【0013】
請求項10は、本発明に係る製造方法により製造した合金型温度ヒューズ内蔵物品、例えば、差し込みプラグであり、プラグの一方の刃側にフラックス付加可溶合金片が直列に接続されてプラグの熱可塑性樹脂外装体中に埋設されている。
請求項11に係る合金型温度ヒューズの製造方法は、リード導体間に接続した可溶合金片及びその両端近傍のリード導体部分を熱可塑性樹脂フィルムで上下から挾み、それらフィルム間の周囲を一部を除いて融着し、後の工程でその未融着部分をフラックス注入用口としてフラックスを注入し、而るのち、上記未融着部分を超音波融着や誘電加熱融着等の圧潰封着で閉塞させることを特徴とする
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1の(イ)は本発明により製造される合金型温度ヒューズの一例を示す縦断面図、図1の(ロ)は図1の(イ)におけるロ−ロ断面図である。
図1において、1,1はリード導体、2はリード導体1,1間に溶接等により接続した可溶合金片、3は可溶合金片2の外面に付加したフラックス、4はフラックス付加可溶合金片とその両端近傍のリード線部分に被覆した絶縁材である。
【0015】
この合金型温度ヒューズを製造するには、リード導体間に可溶合金片を溶接等により接続する工程、フラックスを付加する工程、絶縁材を被覆する工程等を経る必要がある。
本発明に係る合金型温度ヒューズの製造方法においては、上記の全工程中、その一工程の全期間または一時的に可溶合金片がその融点よりも高い温度に曝される特定工程ではフラックスを付加しない状態で行い、この工程の後でフラックスを付加している。
【0016】
請求項1または2によれば、加熱下で行う絶縁材被覆工程を上記の特定工程としており、フラックスを付加していない状態で可溶合金片とその両端近傍のリード導体部分とに加熱下で絶縁材を被覆して絶縁体を形成し、これよりも後の工程でフラックスを付加している。この場合、フラックスを付加しない状態で絶縁材を被覆する際に、または被覆直後に、例えば、フラックスを付加しない状態で熱可塑性樹脂を射出成形する際に、または射出成形直後に、可溶合金片外面に接するフラックス充填用空間とその空間へ通じる開口とを絶縁体内に形成し、後の工程でその開口からフラックス充填用空間にフラックスを注入し、その注入後に開口を閉塞している。
【0017】
上記可溶合金片には、要求される温度ヒューズ作動温度に応じた融点の合金を用いるが、易酸化性元素を含有しているから、可溶合金片表面での酸化皮膜の生成が避けられない。
而るに、可溶合金片外面にフラックス(可溶合金融点>フラックス融点)が付加された状態では、可溶合金片が可溶合金の融点に加熱されると、活性力を増した既溶融フラックスにより可溶合金片表面の酸化皮膜が溶解され、酸化皮膜が溶融合金に対し鞘として作用することがなく、可溶合金片がその合金の融点で実質的に分断されるが、フラックスが付加されていない状態では、可溶合金片が溶融されても、酸化皮膜が元の鞘状で存続して溶融合金を保持するから、その溶融合金の分断が阻止される。
従って、請求項1または2によれば、絶縁材被覆温度が高くその被覆時に可溶合金片が溶融されても、可溶合金片の形状を保持でき、絶縁材被覆温度が可溶合金片の合金融点より高くても、絶縁材の被覆を安全に行うことができる。
【0018】
上記の絶縁材の被覆は、熱可塑性樹脂の射出成形、熱硬化性樹脂の注型、熱可塑性樹脂フィルムの挾み融着等により行うことができる。
すなわち、(1)熱可塑性樹脂の射出成形により絶縁被覆を施す場合は、リード導体間に接続した可溶合金片を金型にセットし、前記したフラックス充填用空間を有する熱可塑性樹脂被覆体を射出成形し、この射出成形時に、または射出成形直後に被覆体にフラックス注入用口を形成し、後の工程でフラックス注入用口からフラックス充填用空間にフラックスを注入し、而るのち、フラックス注入用口を樹脂リベットの挿着、接着剤の充填、超音波融着や誘電加熱融着等の圧潰封着による局部的加圧・加熱等で閉塞することにより実施できる。この場合、上記フラックス充填用空間の形成には、後述するように、可溶合金片に内カバー(通常、熱可塑性樹脂製)を装着する方法、金型にフラックス充填空間形成用中子を設ける方法等を用いることができる。
(2)硬化性樹脂の注型により絶縁被覆を施す場合は、リード導体間に接続した可溶合金片にフラックス充填空間保持用内カバー(通常、熱可塑性樹脂製)を装着し、この内カバー装着可溶合金片を金型にセットし、硬化性樹脂(エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等)を金型に注入し、金型を加熱して樹脂を硬化させ、この注型成形時に、または注型硬化直後に絶縁体にフラックス注入用口を形成し、後の工程でフラックス注入用口からフラックス充填用空間にフラックスを注入し、而るのち、フラックス注入用口を樹脂リベットの挿着、接着剤の充填等で閉塞することにより実施できる。この場合、上記フラックス充填用空間の形成には、上記内カバーを装着する方法に代え、金型にフラックス充填空間形成用中子を設ける方法を用いることもできる。
(3)絶縁被覆を熱可塑性樹脂フィルムにより施す場合は、リード導体間に接続した可溶合金片及びその両端近傍のリード導体部分を熱可塑性樹脂フィルムで上下から挾み、それらフィルム間の周囲を一部を除いて融着し、後の工程でその未融着部分をフラックス注入用口としてフラックスを注入し、而るのち、上記未融着部分を超音波融着や誘電加熱融着等の圧潰封着で閉塞させることにより実施でき、その未融着部分が小さいために、融着に必要な熱量が僅かであり、可溶合金片に実質的に熱的ダメージを及ぼすことはない。この実施例では、上下フィルムが可溶合金片との接触箇所で曲げられ、可溶合金片外面に接する空間が必然的に形成され、この空間をフラックス充填用空間として使用できる。従って、フラックス充填用空間を形成するための特別の手段を必要としない。
【0019】
本発明において、可溶合金片には、線引き乃至は圧延法による線材の外、回転ドラム式紡糸法による線材を使用することができる。前者の場合、ビレットを製作し、これを押出機で粗線に成形し、この粗線をダイスにより線引きする方法により製造でき、外径は200μmφ〜600μmφ、好ましくは250μmφ〜350μmφとされ、最終的にカレンダーロールに通し、扁平線として使用することもできる。後者の場合、冷却液を入れたシリンダーを回転させて回転遠心力により冷却液を層状に保持し、ノズルから噴射した母材溶融ジェツトを前記の冷却液層に入射させ冷却凝固させて外径200μmφ〜600μmφの線材とすることができ、表面酸化皮膜の厚みが前者に較べて厚いので、前記高温絶縁被覆時の可溶合金片の分断防止にそれだけ有利である。
【0020】
図2の(イ)〜(ヘ)は、本発明に係る合金型温度ヒューズの製造方法の一実施例を示し、絶縁材の被覆に射出成形を使用している。
図2の(イ)〜(ヘ)において、1はリード導体であり、図示の例では扁平導体を用いている。2は可溶合金片、4は絶縁体である。
この実施例により合金型温度ヒューズを製造するには、図2の(イ)に示すようにリード導体1,1間に接続した可溶合金片2とその両端近傍のリード導体部分10,10に、図2の(ロ)に示すように熱可塑性樹脂製の断面コ字形内カバー5を装着し、このカバー装着可溶合金片等を金型6にセットする。この内カバーの両端には、図3の(イ)に示すように内側フランジ51を設け、内カバーと可溶合金片との間にフラックス充填用空間を確保させてある。このカバーは、安定な装着のもとでその内面と可溶合金片外面との間に空間を確保できるものであれば、特に限定されず、例えば、両端でリード導体を挾持可能な、図3の(ロ)に示すような舟形とすることもできる。
前記の金型内面には、図2の(ハ)に示すようにフラックス注入口成形用突子61を設けることができる。而して、熱可塑性樹脂を射出成形して絶縁体4を成形すれば、図2の(ニ)に示すように絶縁体4にフラックス注入用口41を形成できる。また、絶縁体の容積が小さいために、金型への低圧チャージ・金型内保圧のもとでも気泡の発生をよく防止でき、従って、チャージ圧・保圧を充分に低圧にできる結果、前記内カバー内のフラックス充填用空間を安定に保持できる。
このようにして絶縁体を射出成形したのちは、図2の(ホ)に示すように、フラックス注入用口にノズル7を挿入し、フラックス充填用空間にフラックスを注入し、而るのち、図2の(ヘ)に示すように、フラックス注入用口を接着剤の充填または超音波融着や誘電加熱融着(塩化ビニル樹脂のように電気的極性が強い樹脂の場合に使用)により閉塞し、これにて合金型温度ヒューズの製造を終了する。
【0021】
上記の実施例では、絶縁体の射出成形時にフラックス注入用口を形成しているが、射出成形した絶縁体にホルソー等でフラックス注入用口を穿孔することもできる。
【0022】
上記において、内カバーには絶縁体と同質の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
【0023】
上記の実施例では、内カバー5の装着によってフラックス充填用空間を確保しているが、図2の(ハ)に示すように、フラックス注入口成形用突子61の前端に、可溶合金片収納溝付き中子部62を設けて上記内カバー5を省略することもできる。
【0024】
周知の通り、射出成形においては、シリンダー内からの一回ごとの吐出溶融樹脂がスプルー、ランナ更にゲートを経て金型内キャビティに所定の圧力でチャージされ、このチャージ樹脂が金型で冷却キュアリングされる間、所定の圧力に保持され、キュアリング後に離型される。而して、上記実施例では、内カバー内への樹脂の圧入を防止するために、チャージ圧及び保圧を可及的に低くすることが好ましい。
【0025】
図4の(イ)〜(ハ)は、射出成形(プランジャ式)におけるダイプレート動作とノズル動作とプランジャ動作との動作関係の一例を示し、この動作関係から射出成形の基本的構造を説明すれば、次ぎの通りである。
すなわち、射出成形装置はプランジャ式射出機と金型とを備えており、ダイプレート動作により金型が図4の(イ)に示すように、時点a〜bのt時間閉じられたとすると、射出機先端のノズルと金型入口のスプルーとが図4の(ロ)に示すように、ノズル動作により時点cで接触し始め、時点dで接触連合を完結し、t時間の間、完全接触連合が持続される。そして、図4の(ハ)に示すように、完全接触連合の完結点dでプランジャが前進起動され、射出機から金型内に溶融樹脂がt時間インジェクションされ、時点eでプランジャが後退始動される。しかし、この時点では、まだ金型が閉じられており、時間(t−t)の間、キュアリングが行われる。金型の型締め時間をΔt、閉じ時間をt、型開き時間をΔt、製品取り出し時間をΔtとすると、サイクルタイムtは(Δt+t+Δt+Δt)で与えられる。
而るに、本発明では、リード導体間に接続した可溶合金片を金型にセツトする必要があり、このセット時間をΔtとすると、サイクルタイムが(t+Δt)となるが、リード導体間に接続した可溶合金片に予め内カバーを装着しておけば、この内カバーによる補強機能のためにセットを迅速に行ってセット時間Δtを充分に短くできること、射出成形容積が小さいたるめにインジェクション時間及びキュアリング時間を短くでき金型閉じ時間tを充分に短くできること等により、サイクルタイムを短くして作業能率を高めることができる。
【0026】
本発明において、可溶合金片の酸化性が強いほど、表面酸化皮膜の厚みを厚くできその鞘強度を強くできるから、絶縁被覆時での可溶合金片の形状安定性を高め得、それだけ歩留の向上に有利である。しかし、可溶合金片の酸化皮膜が厚くなるほど、合金型温度ヒューズの作動性(作動遅れ)がそれだけ低下すので、フラックスに活性剤を添加することが好ましい。
【0027】
上記可溶合金には、所定融点の可溶合金が使用され、融点は作動温度に応じて選定される。その合金元素は、通常、Pb、Sn、Bi、In、Sb等から選択され、必要に応じ、特性調整のためにCu、Ag、Au、Alのうちの1種または2種以上が合計0.1〜5%の範囲で添加される。
【0028】
上記フラックスには、通常、融点が前記可溶合金の融点よりも低いものが使用され、例えば、ロジン90〜60重量部、ステアリン酸10〜40重量部、活性剤0〜3重量部を使用できる。この場合、ロジンには、天然ロジン、変性ロジン(例えば、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン)またはこれらの精製ロジンを使用でき、活性剤には、ジエチルアミンの塩酸塩や臭化水素酸塩、アジピン酸等の有機酸を使用できる。
【0029】
合金型温度ヒューズにおいては、外部温度が所定の温度Txに達すると、可溶合金片の温度がほぼ融点Tmになって作動し、通電が遮断される。従って、外部温度がTx以上になるのを防止している。而るに、合金型温度ヒューズの外面温度、すなわち上記外部温度Txと可溶合金片温度との間には、その間の熱抵抗のために差があり、その差をΔTとすると、可溶合金片には融点Tmが(Tx−ΔT)である合金が用いられる。この合金型温度ヒューズにおいては、フラックス付加可溶合金片に絶縁材を被覆してあり、この絶縁体がヒューズ作動時、前記の外部温度Txに加熱されるから、絶縁材には温度Tx以上の耐熱性を付与する必要があり、その絶縁材融点Tnを温度Tx以上とすることが必要である。而るに、この絶縁材の被覆を射出成形や熱可塑性樹脂フィルムの熱融着等により施すには、当該絶縁材を溶融させる必要があり、可溶合金片にフラックスを付加した状態で溶融被覆材(温度は融点Tn以上)を接触させると、可溶合金片がその被覆材温度に加熱される蓋然性が高く、前述した通り、絶縁材の融点Tnと可溶合金片の融点Tmと前記所定温度Txとの間に、Tn>Tx、Tm=Tx−ΔTの関係がある以上、可溶合金片が溶断される蓋然性が高く、安全に歩留よく絶縁材を被覆できない。しかしながら、本発明では可溶合金片にフラックスを付加しない状態で被覆材を被覆し、後の工程でフラックスを付加しているから、可溶合金片の溶断を防止して安全に良好な歩留で絶縁材を被覆できる。
【0030】
合金型温度ヒューズは機器の保護に使用される。而して、合金型温度ヒューズの可溶合金の合金融点Tmは、機器の許容温度Txにほぼ等しく設定され(Tm=Tx−ΔT)、絶縁被覆材の融点が温度Tx以上に設定されるから、例えば、機器の許容温度を150℃とすると、可溶合金片には融点148℃の合金を、絶縁被覆材には塩化ビニル樹脂をそれぞれ使用することができ、この場合、塩化ビニル樹脂の射出温度がほぼ170℃であり、射出成形時、フラックスが付加されていない状態の可溶合金片がこの170℃のもとで数秒間加熱されることになるが、可溶合金片が溶断されるようなことはない。
【0031】
本発明に係る合金型温度ヒューズの製造方法は、樹脂外装体中に合金型温度ヒューズを埋設した合金型温度ヒューズ内蔵物品、例えば合金型温度ヒューズ内蔵電源差し込みプラグやテーブルタップ等の製造に好適に適用できる。ここで合金型温度ヒューズ内蔵物品とは、射出成形により設けた樹脂外装体中にフラックス付加可溶合金片が埋設され、該可溶合金片が当該物品の内部回路部材に直列に接続され、過電流により発熱しても、樹脂外装体の軟化変形以前に通電発熱が遮断されるものをいう。
【0032】
図5の(イ)〜(ヘ)は本発明に係る合金型温度ヒューズ内蔵物品の製造方法の実施例を示している。
この実施例により合金型温度ヒューズ内蔵電源差し込みプラグを製造するには、まず、図5の(イ)に示すように二芯平型電線端部を分岐し、一方の芯線導体71に一方の刃82を圧縮端子91によって結着し、他方の芯線導体71’に圧縮接続金具91’により補助導体72’を接続し、この補助導体72’と他方の刃82’との間に可溶合金片2を接続する。更に、図5の(ロ)に示すように可溶合金片2に内カバー5を装着し、更に、図5の(ハ)に示すように、平型外装体40を熱可塑性樹脂の射出成形により形成すると共に内カバー5内のフラックス充填用空間に連通したフラックス注入用口41を形成し、更に、図5の(ニ)に示すようにフラックス注入用口41にノズル7を挿入して内カバー5内のフラックス充填用空間にフラックスを注入し、而るのち、図5の(ホ)に示すようにフラックス注入用口41に熱可塑性樹脂リベット43を装着し、この樹脂リベットと外装体との間を超音波融着等により図5の(ヘ)に示すように融着一体化し、これにて合金型温度ヒューズ内蔵電源差し込みプラグの製造を終了する。
合金型温度ヒューズ内蔵物品、例えば合金型温度ヒューズ内蔵電源差し込みプラグにおいては、その樹脂外装体の耐熱性に応じて合金型温度ヒューズの作動温度を設定する必要がある。而して、外装体の融点をTi、温度ヒューズの作動温度をTxとすると、Tx<Tiとして過電流により発熱しても、樹脂外装体が熱的に軟化変形する以前に温度ヒューズを作動させ通電発熱を停止させる必要がある。而るに、そのような樹脂外装体を射出成形により被覆するには、その樹脂を溶融する必要があり、その溶融樹脂温度がTiを越え、可溶合金片にフラックスを付加した状態で溶融樹脂(温度は融点Ti以上)を接触させると、可溶合金片がその溶融樹脂温度に加熱される蓋然性が高く、前述した通り、温度ヒューズ作動温度Txと樹脂融点Tiとの間に、Ti>Txの関係がある以上、可溶合金片が溶断される蓋然性が高く、安全に歩留よく樹脂外装体を射出成形できない。 しかしながら、本発明では可溶合金片にフラックスを付加しない状態で樹脂外装体を射出成形し、後の工程でフラックスを付加しているから、可溶合金片の溶断を防止して安全に良好な歩留で樹脂外装体を射出成形できる。例えば、樹脂外装体が塩化ビニル樹脂である場合、可溶合金片の合金融点を150℃に設定でき、この場合、塩化ビニル樹脂の射出温度がほぼ170℃であり、射出成形時、フラックスが付加されていない状態の可溶合金片がこの170℃のもとで数秒間加熱されることになるが、可溶合金片が溶断されるようなことはない。
【0033】
上記何れの実施例においても、絶縁材が被覆されるリード導体表面に予め、絶縁材と同様の材料(例えば樹脂層)を被覆しておくことにより、絶縁材製との馴染み性を良好にし、リード導体周囲の気密性を増すことが可能である。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、合金型温度ヒューズ乃至は合金型温度ヒューズ内蔵物品の製造において、絶縁材被覆や外装体被覆を可溶合金を溶断させることなく、融点が可溶合金よりも高い絶縁材の射出成形や樹脂フィルムの融着により良好な歩留で安全に施すことができる。
特に、射出成形による絶縁材被覆が可能になるため、製造時間の短縮化、寸法精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明により製造される合金型温度ヒューズの一例を示す図面である。
【図2】 本発明に係る合金型温度ヒューズの製造方法の一実施例を示す図面である。
【図3】 本発明において使用される内カバーの異なる例を示す図面である。
【図4】 本発明に係る合金型温度ヒューズの製造方法に使用する射出成形の動作を示す図面である。
【図5】 本発明に係る合金型温度ヒューズ内蔵物品の製造方法の一実施例を示す図面である。
【符号の説明】
1 リード導体
2 可溶合金片
3 フラックス
4 絶縁体
40 樹脂外装体
41 フラックス注入用口
43 熱可塑性樹脂製リベット
5 内カバー
6 金型
61 フラックス注入口成形用突子
62 フラックス充填空間保持用中子
7 フラックス注入用ノズル
82 刃
82’ 刃

Claims (11)

  1. 易酸化性の可溶合金片の外面にフラックスが付加され、該フラックス付加可溶合金片が絶縁体により被覆された合金型温度ヒューズ乃至は合金型温度ヒューズ内蔵物品を製造する方法であり、可溶合金片にフラックスを付加しない状態で絶縁材による加熱下での被覆により絶縁体を形成し、この形成時に絶縁体にフラックス注入用口を形成し、これよりも後でその注入口からフラックスを注入して可溶合金片にフラックスを付加することを特徴とする合金型温度ヒューズの製造方法。
  2. 易酸化性の可溶合金片の外面にフラックスが付加され、該フラックス付加可溶合金片が絶縁体により被覆された合金型温度ヒューズ乃至は合金型温度ヒューズ内蔵物品を製造する方法であり、可溶合金片にフラックスを付加しない状態で絶縁材による加熱下での被覆により絶縁体を形成し、絶縁体を形成した後に絶縁体にフラックス注入用口を形成し、これよりも後でその注入口からフラックスを注入して可溶合金片にフラックスを付加することを特徴とする合金型温度ヒューズの製造方法。
  3. 絶縁材による加熱下での被覆を熱可塑性樹脂の被覆成形により行うことを特徴とする請求項1または2記載の合金型温度ヒューズの製造方法。
  4. 絶縁材による加熱下での被覆を熱可塑性樹脂の射出成形により行うことを特徴とする請求項1または2記載の合金型温度ヒューズの製造方法。
  5. 絶縁材による加熱下での被覆を上下の熱可塑性樹脂フィルムの融着により行うことを特徴とする請求項1または2記載の合金型温度ヒューズの製造方法。
  6. 絶縁材による加熱下での被覆を熱可塑性樹脂の射出成形により行い、金型内面の突子によりフラックス注入用口を形成することを特徴とする請求項1記載の合金型温度ヒューズの製造方法。
  7. フラックス注入後のフラックス注入用口の閉塞を樹脂リベットの装着、接着剤の充填、圧潰封着の何れかにより行うことを特徴とする請求項1〜6何れか記載の合金型温度ヒューズの製造方法。
  8. 可溶合金片に内カバーを被せた状態で絶縁材による加熱下での被覆を施すことを特徴とする請求項1〜7何れか記載の合金型温度ヒューズの製造方法。
  9. 請求項1〜8何れかの製造方法により製造した合金型温度ヒューズ。
  10. 請求項1〜8何れかの製造方法により製造した合金型温度ヒューズ内蔵物品。
  11. リード導体間に接続した可溶合金片及びその両端近傍のリード導体部分を熱可塑性樹脂フィルムで上下から挾み、それらフィルム間の周囲を一部を除いて融着し、後の工程でその未融着部分をフラックス注入用口としてフラックスを注入し、而るのち、上記未融着部分を超音波融着や誘電加熱融着等の圧潰封着で閉塞させることを特徴とする合金型温度ヒューズの製造方法
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