JP4153371B2 - 空気入りタイヤとリムとの組立体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行中のロードノイズを、低減しうる空気入りタイヤとリムとの組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤ騒音の一つに、路面を走行した際に、50〜400Hzの周波数範囲で「ゴー」という音が生じるいわゆるロードノイズがあり、その主原因として、タイヤ内腔内で起こす空気の共鳴振動(空洞共鳴)が知られている。
【0003】
そこで近年、タイヤ内腔内に、スポンジ材を用いた制音体を配し、タイヤ内腔内で生じた共鳴音エネルギーを緩和、吸収することにより、空洞共鳴を抑制しロードノイズを低減することが提案されている(例えば特許文献1、2参照)。このとき、スポンジ材として、例えばゴムや合成樹脂を発泡させた発泡性多孔質材、および動物繊維、植物繊維又は合成繊維等を絡み合わせた繊維多孔質材が採用しうることが記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−67608号公報
【特許文献2】
特開2002−144809号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記スポンジ材をタイヤ内腔内に装着した組立体では、ロードノイズ低減効果を長期に亘って発揮することが難しく、又タイヤの高速耐久性を低下させるという問題があった。
【0006】
その原因として、制音体が走行時の遠心力や横力によってタイヤ内腔面と衝突し、制音体自体が破壊を起こすことが考えられ、これによって、空洞共鳴の抑制効果を経時的に低下させるとともに、タイヤ内腔面をなすインナーライナゴム等に損傷を与えタイヤの高速耐久性を減じさせると推測される。しかし、制音体をタイヤ或いはリムに固定しタイヤ内腔面との衝突を防止した場合にも、前記問題点が十分に解決されないことが判明した。
【0007】
そこで本発明者がさらに研究した結果、制音体の熱劣化による変形および破壊も大きく関与していることを究明し得た。即ち、タイヤ内腔内は、走行に伴う発熱により、高速走行時には160〜180℃にまで温度上昇する。しかし、前記スポンジ材として提案された発泡性多孔質材および繊維多孔質材は何れも有機物であるため、熱劣化し、形状変化や体積変化(空隙率の変化)を起こして空洞共鳴の抑制効果を損ねるとともに、変質により強度低下を起こして破壊しタイヤに損傷を与えるのである。
【0008】
そこで本発明は、制音体として、無機繊維を絡み合わせた無機繊維多孔質材を用いることを基本として、高速走行による熱劣化を防止し、変質による強度低下および変形を抑えることにより、タイヤの高速耐久性を低下させることなくロードノイズ低減効果を長期に亘って発揮しうる空気入りタイヤとリムとの組立体を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、リムと、このリムに装着される空気入りタイヤとがなすタイヤ内腔内に、制音体を配するとともに、
前記制音体は、無機繊維を絡み合わせた無機繊維多孔質材からなりかつリム側内腔面を周方向に連続してのびる帯状体をなす。
【0010】
又請求項1に係る発明は、該制音体が、接着剤を用いて、前記リム側内腔面に固定されることを特徴とする。
【0011】
さらに請求項1に係る発明では、前記制音体は、前記リム側内腔面を周方向に連続してのびる帯状体であって、かつその巾W1がリムのウェル部の底巾W2より大であり、この底巾W2を越えた制音体の両側部分は、リムと非接着としたことを特徴としている。
【0012】
又請求項2に係る発明では、前記制音体は、前記内腔面を1周巻きする長さであることを特徴としている。
【0013】
又請求項3に係る発明では、前記無機繊維多孔質材は、ロックウールであり、かつその比重を0.01〜0.2としたことを特徴とする。
【0014】
又請求項4に係る発明では、前記無機繊維多孔質材は、グラスウールであり、かつその比重を0.005〜0.1としたことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の空気入りタイヤとリムとの組立体(以下、単に「組立体」ということがある。)の子午断面図、図2は組立体のタイヤ赤道面に沿った周方向略断面図を示している。
【0016】
図1において、組立体1は、空気入りタイヤ2(単に「タイヤ2」ということがある。)とリム3とからなり、前記タイヤ2をリム3に装着することにより、該タイヤ2とリム3とが囲むタイヤ内腔4を形成している。
【0017】
前記リム3は、前記タイヤ2を装着する環状のリム本体3aと、このリム本体3aを支持しかつ車軸に固定されるディスク3bとを具える周知構造をなし、本例では、正規リムを採用した場合を例示している。なお「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めているリムであり、JATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim"を意味する。
【0018】
また前記タイヤ2は、ビード部2aを前記リム本体3aのフランジに密着させてリム組みされる例えば乗用車用ラジアルタイヤであって、タイヤ内腔4を囲む内腔面4Sのうち、タイヤ側内腔面4S1を、低空気透過性ゴムからなる所謂インナーライナゴムで形成したチューブレス構造を具える。これにより、タイヤ2は、前記リム本体3aとで気密なタイヤ内腔4を形成する。
【0019】
そして前記組立体1には、前記タイヤ内腔4内に、タイヤ周方向に延在する制音体5が配される。この制音体5は、無機繊維を絡み合わせた無機繊維多孔質材からなり、タイヤ周方向に連続してのびる長尺な帯状体として形成される場合を例示している。
【0020】
前記無機繊維として、例えばガラス繊維、岩石繊維、鉱滓繊維、シリカ繊維、石英繊維、セラミック繊維、炭素繊維、金属繊維等を挙げることができ、このような無機繊維を絡み合わせて(要求によりバインダも使用して)結合するにより、例えば綿状の無機繊維多孔質材が形成される。
【0021】
このような無機繊維多孔質材は、繊維間に空気室を十分に保持しているため、発泡性多孔質材(スポンジ)と同様、優れた防振性や吸音性を発揮する。従って、タイヤ内腔4内で生じた共鳴音エネルギーを効果的に緩和吸収でき、空洞共鳴を抑制しロードノイズを低減しうる。しかも、熱的に安定な無機繊維で形成されているため、少なくとも350℃までは熱による変質や変形を招くことがなく、制音体5の強度や形状を維持できる。従って、高速走行時に高温に温度上昇した場合にも、形状変化や体積変化(空隙率の変化)を防止でき、空洞共鳴の抑制効果、即ちロードノイズの低減効果を長期に亘って発揮できる。又変質による強度低下によって制音体自体が破壊するのを防止できるなど、その破片によるタイヤ損傷を抑えることができ、タイヤの高速耐久性を向上できる。
【0022】
ここで、前記無機繊維多孔質材として、前記ガラス繊維を綿状に絡み合わせたグラスウール、並びに岩石繊維及び鉱滓繊維を綿状に絡み合わせたロックウールが周知であり、これらは、前記作用効果に優れることに加え、安価でありかつ市場で入手し易い等の観点から好適に採用しうる。
【0023】
なお前記グラスウールは、ガラス繊維からなり、溶けたガラスを、例えば高圧気体で吹き飛ばして(吹き付け法)、或いは遠心力で吹き飛ばして(ハーガー法)繊維化することにより綿状に形成される。このグラスウールは、特に弾性力が高くかつ復元力にも優れるため取り扱いやすく、しかも曲げや引っ張りにも強いため、より好適に採用しうる。グラスウールの場合、その比重が0.005〜0.1のものを使用するのが好ましく、0.005未満では、空洞共鳴の抑制効果を不十分とするとともに、制音体5自体の強度が減じるなど耐久性を損ねる傾向となる。逆に、比重が0.1を越えると、重量が不必要に増加するなど、タイヤ走行性能に悪影響を及ぼす傾向となる。従って、より好ましくは、比重を0.01〜0.08の範囲とするのが良い。
【0024】
又前記ロックウールは、厳密には、玄武岩等を高温溶解した融体を、前記吹き付け法、或いはハーガー法によって綿状に繊維化させた岩石繊維からなるものを意味するが、本明細書では、例えば鉄鋼生産により生じる残滓(スラグ)の融体を綿状に繊維化させた鉱滓繊維からなるもの(スラグウール)を含んで定義している。このロックウールは、前記グラスウールに比して、空洞共鳴の抑制効果にやや劣るものの、より安価で入手し易い点で好適である。ロックウールの場合、その比重が0.01〜0.2のものを使用するのが好ましく、0.01未満では、空洞共鳴の抑制効果を不十分とするとともに、制音体5自体の強度が減じるなど耐久性を損ねる傾向となる。逆に、比重が0.2を越えると、重量が不必要に増加するなど、タイヤ走行性能に悪影響を及ぼす傾向となる。従って、より好ましくは、比重を0.02〜0.15の範囲とするのが良い。
【0025】
又このような無機繊維多孔質材からなる制音体5の体積V2は、前記特許文献1に記載の場合と同様、タイヤ内腔4の全体積V1の0.4〜20%の範囲に設定することが好ましく、比V2/V1が0.4%未満では、空洞共鳴の抑制効果が十分に発揮されなくなる。又比V2/V1が20%を越えると、空洞共鳴の抑制効果が頭打ちとなるばかりか重量やコストの不必要な増加を招く。
【0026】
このような観点から、制音体5は、その体積V2が前記範囲を満たしていれば、図2、3の如く、その厚さT1、巾W1、及び長さL1は特に限定されなが、形状安定性のために、W1>T1とした断面横長矩形状のものが好ましく使用できる。又重量バランスの観点から、図2の如く、制音体5は周方向に一周巻きされる。
【0027】
なお前記「制音体5の体積V2」とは、制音体5の見かけの全体積であって、多孔質材の空孔部も含めた制音体5の外形から定まる体積をいう。また前記「タイヤ内腔4の全体積V1」は、組立体1の正規状態において下記式(1)で近似的に求めるものとする。
V1=A×{(Di−Dr)/2+Dr}×π …(1)
式中、”A”は前記正規状態のタイヤ内腔4をCTスキャニングして得られるタイヤ内腔4の横断面積、”Di”は図1に示す正規状態でのタイヤ内腔4の最大外径、”Dr”はリム径、”π”は円周率である。また前記「正規状態」とは、組立体に正規内圧を充填しかつ無負荷とした状態を指す。また「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とするが、タイヤが乗用車用の場合には、現実の使用頻度などを考慮し200kPaとする。
【0028】
次に、前記制音体5は、リム側内腔面4S2に固定される。固定する理由は、高速走行時、制音体5に大きな遠心力や横力が作用するからであり、固定されていないと、制音体5が動いて内腔面4Sと接触するなど制音体5自体の破壊を招く。その結果、無機繊維多孔質材によって制音体5を形成した場合にも、空洞共鳴の抑制効果を長期に亘って発揮できず、また高速耐久性の向上効果が得られなくなる。
【0029】
そこで、前記制音体5を固定することで、前述の無機繊維多孔質材の採用と相俟って、空洞共鳴の抑制効果を長期に亘って発揮でき、かつ高速耐久性を高めうるのである。本例では、前記制音体5が、断面横長矩形の長尺帯状をなし、その底面5Sが前記リム3のウェル部3a1に、接着剤によって固定される。
【0030】
制音体5は、図3に略示するように、その巾W1が前記ウェル部3a1の底巾W2より大であり、この底巾W2を越えた制音体5の両側部分5eは、リム3と非接着としている。これによって、リム組み性を確保することができる。なお接着方法としては、制音体5の全長に亘って接着剤をベタ状に、或いはスポット状に分散させて塗布し接着するのが好ましい。
【0031】
接着剤としては、合成ゴムを有機溶剤に溶解した溶液型、及び水に分散させたラテックス型などの合成ゴム系の液状の接着剤が好適に採用できる。特に合成ゴムとしてクロロプレンゴムを用いたクロロプレン系溶液型接着剤は、優れた接着力を有し、かつ柔軟で曲げや衝撃等にも強いためより好ましく用いうる。このときクロロプレンゴムの含有量は、合成ゴム系の接着剤の全体を100重量部としたとき、25〜35重量部が好ましく、25重量部未満では接着強度が損なわれる傾向となり、35重量部を越えると、高粘度となって塗布しにくくなる。
【0032】
次に、前記制音体5は、図4は、一本の帯状体で形成する以外に、周方向に分割された複数の分割片5Aによって形成する場合を単に例示している。このとき、各分割片5Aは、周方向に等間隔を隔てて固定される。なお分割片5Aの数は、特に規制されないが、接着の作業性の観点から、10個以下、さらには6個以下とするのが好ましいが、ユニフォミティーの観点からは3個以上とするのが良い。
【0033】
又図5は、前記制音体5をタイヤ側内腔面4S1に接着する場合を単に示している。このときには剛性が大なトレッド領域Jに接着するのが、制音体5によるタイヤ走行性能への影響を抑える点で好ましい。なお前記「トレッド領域J」とは、ベルト層7の両外端を通る半径方向線の間の領域を意味する。
【0034】
なお制音体5のタイヤ2又はリム3への固定は、前記接着剤を使用する。
【0035】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0036】
【実施例】
表1の仕様に基づき、タイヤ(195/60R15)のトレッド裏面、又はリム(15×6JJ)のウェル部底面に、長尺帯状の制音体を一周に亘って接着した組立体を試作し、ロードノイズ性能及びタイヤ高速耐久性をテストした。
【0037】
なお制音体は、それぞれ無機繊維多孔質材であるグラスウール、ロックウール、及び発泡性多孔質材である軟質ウレタンスポンジを用いて形成した。グラスウールは、比重0.024の株式会社マグ製のマグロールRR2425を使用し、ロックウールは、比重0.025のニチアス株式会社製のMGベルト1号を使用し、又軟質ウレタンスポンジ(連続気泡)は、比重0.02の株式会社イノアック製のカームフレックスF−50を使用した。
【0038】
又接着は、クロロプレン系溶液型接着剤(ノーテープ工業株式会社製の型番9383)を使用し、制音体の底面に一様に薄く塗った後、タイヤ又はリムに押し付けて接着するとともに、接着後1日おいてから各テストを行った。
【0039】
(1)ロードノイズ性能:
内圧200kPaでリム組みして車両(国産2000ccのFR車)の全輪に装着し、1名乗車にてロードノイズ計測路(アスファルト粗面路)を速度60km/hで走行した。そのときの前席車内音を測定し、226Hz、240Hz、253Hzの3チャンネルのパーシャルオーバオールを算出し、従来例(制音具なし)を基準とする増減値(dB(A))にて評価した。−(マイナス)表示は、ロードノイズの減少を意味している。
【0040】
(2)高速耐久性:
内圧(280kPa)の下で、ECE30により規定された荷重にて、200km/hから10km/h−20分のステップスピード方式にてドラム上を走行させ、タイヤに破損が生じたときの速度と時間を測定した。
【0041】
【表1】
【0042】
テストの結果、実施例品及び比較例品は、何れもロードノイズ低減効果に優れていることが確認できた。又実施例品は、比較例品に比して高速耐久性を大巾に向上させうることが確認できた。
【0043】
【発明の効果】
叙上の如く本発明は、制音体として無機繊維を絡み合わせた無機繊維多孔質材を用いているため、高速走行による熱劣化を防止しでき、変質による強度低下および変形を抑え、タイヤの高速耐久性を低下させることなくロードノイズ低減効果を長期に亘って発揮しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の空気入りタイヤとリムとの組立体の一実施例を示す子午断面図である。
【図2】 そのタイヤ赤道に沿った周方向断面図である。
【図3】 制音体を拡大して示す断面図である。
【図4】 複数の分割片から制音体が形成される場合を単に示す組立体の周方向断面図である。
【図5】 制音体はタイヤに固定される場合を単に例示する組立体の子午断面図である。
【符号の説明】
2 空気入りタイヤ
3 リム
3a1 ウェル部
4 タイヤ内腔
5 制音体
5S 底面
Claims (4)
- リムと、このリムに装着される空気入りタイヤとがなすタイヤ内腔内に、制音体を配するとともに、
前記制音体は、無機繊維を絡み合わせた無機繊維多孔質材からなり
かつリム側内腔面を周方向に連続してのびる帯状体であって、
該制音体は、接着剤を用いて、前記リム側内腔面に固定され、
しかも前記制音体は、巾W1がリムのウェル部の底巾W2より大であり、この底巾W2を越えた制音体の両側部分は、リムと非接着としたことを特徴とするタイヤとリムの組立体。 - 前記制音体は、前記内腔面を1周巻きする長さであることを特徴とする請求項1記載のタイヤとリムの組立体。
- 前記無機繊維多孔質材は、ロックウールであり、かつその比重を0.01〜0.2としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤとリムとの組立体。
- 前記無機繊維多孔質材は、グラスウールであり、かつその比重を0.005〜0.1としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤとリムとの組立体。
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