JP4154199B2 - 合成樹脂の履歴造粒方法、履歴造粒装置及び履歴造粒システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、延伸加工された極薄の熱可塑性合成樹脂フィルムあるいは極細の熱可塑性合成樹脂繊維を粉砕した粉砕フレークをリサイクルのために球状に造粒させる合成樹脂の履歴造粒方法、履歴造粒装置、履歴造粒システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
合成樹脂製品をリサイクルするためには、これを粉砕、造粒して、嵩高でなく取扱為やすい、また、成形材料として好適な形状とする必要がある。
【0003】
このリサイクルための造粒装置としては、例えば、特許文献1に記載されたものが提案されており、その装置を図8に示す。
【0004】
この造粒装置120は、合成樹脂製品を処理するための処理槽101、この処理槽101の底部を貫通して設けられた回転軸102、この回転軸102をVベルトを介して回転駆動する電動機103、この回転軸102に設置された羽根体104、この回転する羽根体104に設けられた回転刃体105、回転刃体105に対して所定の隙間を保って処理槽101に対向設置された固定刃体106を備えている。
【0005】
処理槽101の上部には、この処理槽101の内部に液体または粉体を供給する供給口107が設けられ、この供給口107には、電磁弁113を介して供給源114が接続されている。電磁弁113は、処理槽101中位に設けられた温度感知器108からの信号により開閉される。
【0006】
回転軸102の基部と羽根体104との間には、カラー109が介挿され、このカラー109の厚さを種々調整することで、回転刃体105と固定刃体106との間の隙間を調整することができる。
【0007】
処理槽101には、更に、造粒された粒体の取出口110、開閉自在なフタ体111、外周には冷却用のジャケット112が設けられている。
【0008】
このような構成で、この造粒装置120によれば、合成樹脂フィルムや成形品などのスクラップ材料を、回転刃体105と固定刃体106とによって破砕しながら羽根体104によって上方へ跳ね上げ、破砕片同士の摩擦熱によりその表面が半ゲル化して丸められた状態となると、この状態の温度を温度感知器108で感知して、供給口から液体または粉体を供給して、半ゲル化した破砕片の表面を急冷却しまた破砕片同士の融着を防止して、破砕片を造粒することができた。
【0009】
しかしながら、この造粒装置では、非常に薄い厚み1μ〜100μの熱可塑性合成樹脂フィルムや、非常に細い繊維径1μ〜100μの熱可塑性合成樹脂繊維は、好適に造粒することができなかった。また、同一出願人によって、この造粒装置の改良に関する特許文献2、3も提案されているが、いずれも、この問題を解決することができなかった。
【0010】
つまり、このような非常に薄い熱可塑性合成樹脂フィルムや、非常に細い熱可塑性合成樹脂繊維は、非常に嵩高でありその見掛け密度が小さい為に、その取扱が非常に困難であり、上記の造粒装置などによりペットボトルなど見掛け密度の大きい合成樹脂製品の造粒化・リサイクルが進んでいるのに比べ、これまでは、そのリサイクルはあまり進歩していなかった。
【0011】
一方、極薄フィルムは、合成樹脂製品のかなりの部分を占め、また、合成樹脂繊維のほとんどは、この範疇に入るものであり、これらのリサイクルが達成されると合成樹脂製品全体のリサイクル率が大幅に向上することが期待される。
【0012】
このような問題意識から、本出願人は、非常に薄い熱可塑性合成樹脂フィルムや、非常に細い熱可塑性合成樹脂繊維(以下、これらを「薄物製品」という。)を造粒する方法、装置を種々試行してきた。
【0013】
A)ひとつの方法は、薄物製品を粉砕機で裁断処理する方法である。この方法は、薄物製品を、例えば、直径3mmの多孔板を通過させることによって粉砕するもので、これにより、処理前の薄物製品の見掛け密度ρF=0.012g/ml〜0.020g/mlを、見掛け密度ρF=0.05g/ml程度とすることができ、見掛け密度が4〜2.5倍向上した。
【0014】
しかしながら、こうして生成された粉砕フレークは、ホッパーなどでの流動排出性が悪く、フレーク同士が繋がりあって通路を塞いでしまう閉塞現象が発生することが多くなり、また、成形機の材料としては、スクリューへの食い込みが悪く、適していなかった。
【0015】
B)他の方法は、こうして生成された粉砕フレークを、合成樹脂ペレット(例えば、見掛け密度ρF=0.56g/mlのもの。)と混合する方法である。これによると、ペレットの混合比を8割とすると全体の見掛け密度ρF=0.184g/mlとすることができ、ホッパーでの流動性も向上した。
【0016】
しかしながら、このような混合物は長期運転すると、粉砕フレークと合成樹脂ペレットの見掛け密度の差が大きいため、相分離が発生しやすく、不安定になるという問題があり、この問題は成形機の材料としても解決すべきものであった。
【0017】
C)更に他の方法は、こうして生成された粉砕フレークを外部加熱することで熱収縮させて造粒する方法で、より具体的には、厚さ10μ〜20μのポリエチレンフィルムをA)と同じ粉砕機で粉砕して粉砕フレークとし、次いで、外部加熱により粉砕フレークを所定温度に加熱して熱収縮造粒するものである。
【0018】
外部加熱手段として、赤外線ランプを用いた場合、熱収縮により見掛け密度は3.6倍に増大したが、粒形は球状にならず鋭角な縁形状をしており、粒同士が連珠状に連結する傾向が見られ、粒子間の流動性が良くなかった。これは、熱伝達が均一に行われなかったためと考察された。
【0019】
加熱をより均一に行う方法として、外部加熱手段として脈動流動層乾燥機を用い、脈動する熱風で粉砕フレークを加熱した。この場合、見掛け密度は2倍に増大したが、上記と同様に、粒形は球状にならず鋭角な縁形状をしており、粒同士が連珠状に連結する傾向が見られ、粒子間の流動性が良くなかった。
【0020】
一方、この加熱方法では、脈動する熱風の影響で粒子間の付着は少なかったが、風量を少なくしないと粒子の収縮を促進することが出来ず、背反する条件となり、粒子を均一に独立して収縮造粒させることができず、ホッパー排出口付近での閉塞現象を発生させないようにすることができなかった。
【0021】
しかしながら、この加熱方法による熱収縮の結果は、粉砕フレークを、元の薄物製品が生成された延伸加工温度に加熱すると、その履歴により熱収縮するという仮説を実証するものであった。
【0022】
【特許文献1】
特開昭48−64552号公報(図1、図2)
【特許文献2】
特開昭48−97150号公報(図1、図2)
【特許文献3】
特開昭48−97151号公報(図1、図2)
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の状況に鑑みて提案されるもので、本発明者の試行により実効性が確認された履歴による熱収縮を更に効果的に活用して、これまで不可能であった薄物製品の造粒を可能として、リサイクルを図ることができる合成樹脂の履歴造粒方法、履歴造粒装置、履歴造粒システムを提供することを目的としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の合成樹脂の履歴造粒方法は、延伸加工された、厚み1μ〜100μの熱可塑性合成樹脂フィルムあるいは繊維径1μ〜100μの熱可塑性合成樹脂繊維を有効径あるいは有効長1.2mm以上、3mm以下の寸法に粉砕した粉砕フレークを縦長円筒状の履歴熱収縮タンクに供給し、履歴熱収縮タンク内において上下に同心多段配置された攪拌羽根の回転数を制御することで、供給された粉砕フレークを攪拌して延伸加工温度まで昇温させ、これによる履歴熱収縮により、該粉砕フレークを略球状に造粒させることを特徴とする。
【0024】
この造粒方法は、まず、造粒対象を延伸加工された極薄の熱可塑性合成樹脂フィルムあるいは極細の熱可塑性合成樹脂繊維(薄物製品)とすることを特徴とする。これまでの造粒方法では、見掛け密度の大きいものは造粒できたが、ここで対象とする薄物製品は嵩高で、見掛け密度が低く、取扱が困難で、閉塞性を有し流動性が悪く造粒化も困難であったが、これらの問題を、その粉砕形状、造粒方法を改善することによって解決し、造粒化を可能としたものである。
【0025】
その解決手段の特徴の一つは、この薄物製品を有効径あるいは有効長3mm以下に粉砕した粉砕フレークとすることである。これによって、後述する履歴熱収縮と相まって、この粉砕フレークが丁度適度な球状度になることを見いだし、上記の薄物製品の取扱、見掛け密度、流動性、閉塞性、成形機材料としての適性の問題を解決したのである。
【0026】
他の特徴は、粉砕フレークを延伸加工温度に加熱する点である。この延伸加工温度というのは、そもそもの熱可塑性合成樹脂フィルム、熱可塑性合成樹脂繊維を生成する際に、延伸加工する際の加工温度として用いられたものであり、こうして延伸加工されたものを、その延伸加工温度に復帰させると、材料の履歴現象によって延伸前の元の状態に戻ろうとする熱収縮が起こるのである。この現象を履歴熱収縮という。
【0027】
この延伸加工温度は、薄物製品の材料の溶融温度に比べると低い温度であるので、加熱された粉砕フレーク同士の溶融による熔着の問題も発生せず、ただ粉砕フレークがそれぞれ単独で熱収縮するだけなのである。
【0028】
更に、この粉砕フレークの加熱に、外部加熱などではなく、攪拌羽根による攪拌によって生じる攪拌羽根と粉砕フレークの間の摩擦熱、粉砕フレーク同士の摩擦熱を利用した点も特徴である。これにより、粉砕フレークが均一に加熱され、外部加熱の際に発生した熱の片寄による局部的な高温、それによるフレークの溶融、相互熔着もなく、全体が均一に熱収縮し造粒される。また、この方法によれば、温度の制御性も良い。
【0029】
また、この攪拌羽根を縦長の履歴熱収縮タンクの形状に併せて、多段に構成した点も均一な加熱に寄与しているものと思われる。なぜなら、嵩高の粉砕フレークは重力の加速度の影響を受けにくく、重力に対して長い方向に形成された履歴熱収縮タンク内でより多く攪拌羽根との接触の機会がある方が良いからである。
【0030】
請求項2に記載の合成樹脂の履歴造粒装置は、延伸加工された、厚み1μ〜100μの熱可塑性合成樹脂フィルムあるいは繊維径1μ〜100μの熱可塑性合成樹脂繊維を有効径あるいは有効長1.2mm以上、3mm以下の寸法に粉砕した粉砕フレークを球状に造粒する合成樹脂の履歴造粒装置であって、粉砕フレークの供給を受け、これを捕集して中間捕集タンクに供給する微粉捕集タンクと、閉塞防止装置を備え、この微粉捕集タンクから供給された粉砕フレークを閉塞させることなく履歴熱収縮タンクに供給する該中間捕集タンクと、縦長円筒状であって、その内部で同心多段配置された攪拌羽根が回転する該履歴熱収縮タンクと、履歴熱収縮タンク内の粉砕フレークの温度を計測する温度計と、履歴熱収縮タンクから排出された所定温度の造粒化された粉砕フレークを冷却して排出する冷却混合機とを備え、履歴熱収縮タンクでは、上下に同心多段配置された攪拌羽根の回転数を制御することで、中間捕集タンクから供給された粉砕フレークを攪拌して、該粉砕フレークを前記温度計で温度計測しながら、延伸加工温度まで昇温させ、これによる履歴熱収縮により、該粉砕フレークを略球状に造粒させることを特徴とする。
【0031】
この造粒装置は、請求項1の造粒方法を実現する装置であって、粉砕フレークを取り扱う微粉捕集タンク、閉塞防止装置を備えた中間捕集タンク、履歴熱収縮を行う履歴熱収縮タンク、冷却混合機とを備えて、供給された粉砕フレークを造粒して安定した状態で排出することができる。
【0032】
請求項3に記載の合成樹脂の履歴造粒システムは、延伸加工された、厚み1μ〜100μの熱可塑性合成樹脂フィルムあるいは繊維径1μ〜100μの熱可塑性合成樹脂繊維を有効径あるいは有効長1.2mm以上、3mm以下の寸法に粉砕して粉砕フレークとする粉砕装置と、こうして生成された粉砕フレークを定量排出する定量排出装置と、定量排出装置から定量排出された粉砕フレークを履歴造粒する請求項2に記載の履歴造粒装置とより構成されることを特徴とする。
【0033】
この造粒システムは、請求項2の造粒装置に加え、更に、所定の粉砕フレークを生成する粉砕装置、粉砕フレークを造粒装置に定量排出する定量排出装置を備えて、全体として、その入口に、リサイクルすべき薄物製品を投入すれば、システムからは、適正な熱可塑性合成樹脂の粒状物がほぼ自動的に排出される。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0035】
図1は、本発明に係る合成樹脂の履歴造粒装置の一例を示す構成図である。
【0036】
この履歴造粒装置50は、本発明の合成樹脂の履歴造粒方法を実現する中心的装置となるもので、主な部分としては微粉捕集タンク6、閉塞防止装置8を備えた中間捕集タンク9、攪拌羽根13を備えた履歴熱収縮タンク11を上から下へ多段に重ねた構成であり、履歴熱収縮タンク11の横には冷却混合機16が設けられている。
【0037】
微粉捕集タンク6は、その上部にブロア2から切替弁3の作動により加圧空気+Pあるいは吸引空気−Pの供給を受ける空気口1、内部にフィルタ4、このフィルタ4取付部より下部側方に材料導入口5、最下部に排出シャッタ7を備えている。
【0038】
中間捕集タンク9は、微粉捕集タンク6の下部に直結され、排出シャッタ7から落下した粉砕フレークFを直接受け入れ収容する。また、このタンク9には、レベラ10が設置され、このタンク9内の粉砕フレークFの貯留量を計測する。
履歴熱収縮タンク11の攪拌羽根13は、この履歴熱収縮タンク11に近接して立設された電動機12によってベルト駆動され、タンク11内で高速回転するようになっている。
【0039】
履歴熱収縮タンク11の多段構成の攪拌羽根13の下部となる周壁の一部には、温度計14と、これに対向する位置に粉砕フレークFが熱収縮して生成された粒状物Sを排出する排出口15が設けられている。
【0040】
冷却混合機16は、この排出口15から排出された粒状物Sを受け入れるようになっており、この粒状物Sを攪拌しながら冷却する回転羽根17、この回転羽根17を回転駆動する電動機18、冷却された粒状物Sを排出する冷却排出口19を備えている。
【0041】
また、図1に示した粉砕フレークFの符号bFは、このフレークFの有効径を、符号tFは厚さを示している。粒状物Sの符号bSは、履歴造粒された粒状物Sの有効径を、符号tSは厚さを示している。
【0042】
このような構成の履歴造粒装置50における造粒過程は以下の通りである。
【0043】
1)粉砕フレークFの受け入れ
先ず、原料である粉砕フレークFを受け入れる。この粉砕フレークFは、厚み1μ〜100μの熱可塑性合成樹脂フィルムあるいは繊維径1μ〜100μの熱可塑性合成樹脂繊維を有効径あるいは有効長3mm以下に粉砕したもので、ここではすでに用意されているものとする。
【0044】
ブロア2の切替弁3の切替によって、空気口1に吸引空気−Pが供給され、この吸引力により、用意された粉砕フレークFが材料導入口5に吸引供給され、その内空気だけがフィルタ4でブロア2へ分離排出され、粉砕フレークFは微粉捕集タンク6に捕集貯留される。このとき、排出シャッタ7は閉じている。
【0045】
2)粉砕フレークFの投入
レベラ10が、中間捕集タンク9内で粉砕フレークFが所定量より少なくなったことを検知すると、切替弁3が切替えられ、空気口1に加圧空気+Pが供給され、これに対応して排出シャッタ7が開いて、微粉捕集タンク6に貯留された粉砕フレークFは中間捕集タンク9に排出される。なお、この材料導入口5の内側に設けられた逆止フタ5aは、加圧空気+Pにより押されて、材料導入口5の内側を閉止し、ここから粉砕フレークFが逆流するのを防止する。
【0046】
ここで、粉砕フレークFは、特に、中間捕集タンク9が、その機能的要請から下蕾み形状となっている場合には閉塞しやすいが、閉塞防止装置8の作用により閉塞することなく履歴熱収縮タンク11に投入される。
【0047】
3)履歴熱収縮による造粒
投入された粉砕フレークFは、当初室温であるが、タンク11内での攪拌羽根13による高速攪拌によって、この羽根13とフレークFとの間の摩擦熱、フレークF同士の摩擦熱により均一に加熱され昇温する。この温度は、温度計14によって常時計測管理されている。
【0048】
この発熱状況は、粉砕フレークFの形状、大きさによって、大きく変化するが、上記の寸法形状の粉砕フレークFであって材料がポリエチレン(PE)の場合には、攪拌羽根13の周速を20m/secにした時、約15分から5分サイクルの作業サイクルで履歴熱収縮が発生する温度にする昇温管理をすることができた。
【0049】
この際の目標温度は、材料の延伸加工温度であり、この温度に達すると延伸配向に伴って発生する材料の履歴による熱収縮が最大限に発生する。また、この収縮造粒は、延伸加工温度に達した際には、瞬時に行われるものである。
【0050】
この温度管理は、攪拌羽根13の回転数を制御することによって、安定かつ確実に行うことができ、また、非常に均一に熱発生が行われるので、偏ったあるいは局所的な過度の昇温といったことがない。
【0051】
更に、この延伸加工温度は、材料の溶融温度に比べると低い温度であるので、加熱された粉砕フレーク同士の溶融による熔着の問題も発生しない。
【0052】
また、この履歴熱収縮は、延伸加工時の延伸率に対応して収縮するので、その収縮率は延伸率に等しく、粉砕フレークFの有効径あるいは有効長3mm以下という寸法は、この収縮率を考慮して、収縮後、球状度が良くなるように設定したものである。
【0053】
4)冷却、取出し
収縮造粒された粒状物Sは、排出口15を開口すると、攪拌羽根13の回転によって排出され、冷却混合機16に投入される。ここで、まだ温度の高い粒状物Zは、冷却羽根17の回転により均一に冷却され、その熱収縮変型が停止固定される。こうして、流動性のよい粒状物Sが生成され、冷却排出口19を開口すると、この粒状物Sを取り出すことができる。
【0054】
なお、上述した微粉捕集タンク6については、本出願人によって提案された粉粒体捕集器(特開2000−344348号公報)によれば、捕集後の粉砕フレークFを良好に全量排出することができ、定量受け入れ、定量排出の自動運転を可能にすることができる。
【0055】
また、閉塞防止装置8については、本出願人によって提案された粉体貯留槽(特開平10−310252、11−165791、165792、268792号公報)にそれぞれ記載されたものによれば、良好に閉塞を起こすことなく、中間捕集タンク9に捕集された粉砕フレークFの全量を履歴熱収縮タンク11へ投入することができる。
【0056】
図2は、本発明の合成樹脂の履歴造粒方法による造粒試験成績表を示す図である。
【0057】
この成績表は、製品厚さ17μ、材料密度0.92g/mlのポリエチレン(PE)フィルムを、機械粗切り(有効径82mm)した粉砕フレークF(T−1)、粉砕メッシュ6mmφの多孔板で粉砕した粉砕フレークF(T−2)、粉砕メッシュ3mmφの多孔板で粉砕した粉砕フレークF(T−3)の3種類について、それぞれの条件で履歴熱収縮造粒した場合の試験結果を示したものである。
【0058】
なお、この粉砕メッシュの孔径が、生成される粉砕フレークFの有効径に対応しており、この有効径をbFと表記する。この有効径bFはまた円板相当径とも称される。
【0059】
また、この表において、相当造粒球径dとは、対象とする一枚の粉砕フレークFが収縮して完全な球に変形したと想定した場合の球径のことであり、球状度RSは、粒状物Sの表面積SSを相当球表面積Sdで割ったものであり、この相当球表面積Sdは、Sd=π*d*d(記号「π」は円周率、「*」は乗算を示す。)で示されるものである。
【0060】
これによると、粉砕メッシュ3mmφの多孔板で粉砕した粉砕フレークF(T−3)、つまり、有効径bF=3mmの場合、生成された粒状物Sの球状度RSが1.2となっており、ほぼ球とみなすことができる満足の行く結果となっている。
【0061】
なお、本発明の履歴造粒方法による造粒対象とする熱可塑性合成樹脂フィルムあるいは熱可塑性合成樹脂繊維としては、以下のものが好適である。なお、以下は例示であり、これ以外にも、上記の形状、厚さ、繊維径を満たす熱可塑性合成樹脂フィルム、繊維であれば、造粒可能である。
【0062】
LDPF(ポリエチレンインフレーション)フィルム:材料密度0.92g/ml、見掛け密度0.012g/ml、平均厚さ17μ
PP(ポリプロピレン)延伸複合フィルム:材料密度0.90g/ml、見掛け密度0.025〜0.050g/ml、平均厚さ116μ
PP(ポリプロピレン)繊維:材料密度0.92g/ml、見掛け密度0.01〜0.03g/ml(繊維束状)、繊維径0.563〜26.60μ(20.6〜460デニール)、延伸温度130℃〜135℃
ナイロン6繊維:材料密度1.145g/ml、見掛け密度0.015〜0.025g/ml(繊維束状)、繊維径1.9〜3.4μ(288〜950デニール)
PET(ペット)繊維:材料密度1.3717g/ml、見掛け密度0.025〜0.048g/ml(繊維束状)、繊維径2.25〜3.66μ(495〜1300デニール)
図3は、本発明の合成樹脂の履歴造粒方法による造粒試験の結果を示すグラフであり、図2の試験結果に加え、粉砕メッシュの孔径、つまり、粉砕フレークFの有効径bFをより細かく変化させた場合の履歴造粒された粒状物Sの相当造粒球径dの変化を○印を結んだ実線(bF/d)、また、この粒状物Sの相当造粒球径dの値に対応させた粒状物Sの球状度RSの変化を×印を結んだ点線(RS)で示している。
【0063】
このグラフの縦軸の左側は粉砕フレークFの有効径bFで単位はcm、右側は粒状物Sの球状度RS、横軸は粒状物Sの相当造粒球径dで単位はcmとなっている。また、このグラフで、球状度RS=1.1から1.3の間を斜線で塗りつぶしているが、これは、球状度RSがこの範囲であれば、生成された粒状物が取扱、見掛け密度、流動性、閉塞性、成形機材料としての適性の点から満足できるものであることを示している。
【0064】
このグラフからも、粉砕フレークFの有効径bFを3mm以下とすると、良好な造粒が可能で、好適な粒状物が得られることが解る。また、粉砕フレークFの有効径bFの下限としては、物理的な制約もあるが、このグラフから、1.2mm程度であることが解る。
【0065】
図4は、図1の履歴造粒装置で用いる攪拌羽根を示すもので、(a)はその平面図、(b)はその要部破断の側面図である。
【0066】
これらの図が示すように、この攪拌羽根13は、中心から反対方向に伸びだした二枚の翼部13aを備えた羽根車13bを上下に多段に、この場合は、4段に重ねたもので、これは、攪拌羽根13がその内部で高速回転する容器である履歴熱収縮タンク11の円筒軸長さに合わせたものである。
【0067】
このように、攪拌羽根13を縦長の履歴熱収縮タンクの形状に併せて、多段に構成した点も均一な加熱に寄与しているものと思われる。なぜなら、嵩高の粉砕フレークFは重力の加速度の影響を受けにくく、重力に対して長い方向に形成された履歴熱収縮タンク11内でより多く攪拌羽根13との接触の機会がある方が良いからである。したがって、その段数も、この実例の4段に限られるものでもなく、履歴熱収縮タンク11の長さに対応して適宜調整されるものである。
【0068】
また、翼部13aの形状も、図4(b)の最上段のものの外観図から解るように、飛行機の翼のように、回転方向に対して上向きのなだらかな曲線から構成されており、これにより、粉砕フレークFに鋭角な衝撃を与えず、また、常に下方に押さえつけるような流れを生じさせて、良好に粉砕フレークFを攪拌することができるようにしている。
【0069】
図5は、本発明に係る合成樹脂の履歴造粒システムの一例を示す構成図、図6は、図5の粉砕装置をより詳しく示す構成図、図7は、図5の定量排出装置をより詳しく示す構成図である。
【0070】
この履歴造粒システム80は、図1で説明した履歴造粒装置50に、更に、この装置50での造粒に適した粉砕フレークFを製造する粉砕装置60、装置50に粉砕フレークFを供給する定量排出装置70とを備え、リサイクルすべき薄物製品を投入するだけで、半自動的に、好適な粒状物が得られるものである。
【0071】
粉砕装置60は、装置本体20、この装置本体20内で水平軸を中心として高速回転する粉砕回転カッター21、このカッター21の回転外周にほぼ接するように設置され、粉砕後生成されるべき粉砕フレークFの有効径に対応した孔径の孔を多数形成した多孔板22を備えている。
【0072】
この装置60の装置本体20に薄物製品を投入すると、粉砕回転カッター21の回転により投入物は引き込まれ、多孔板22の孔を通過することによって、所定の有効径、例えば、3mmφの粉砕フレークFが生成される。こうして生成された粉砕フレークFは、サイクロン分離器23によって貯留タンク24に貯留される。
【0073】
定量排出装置70は、段付シュート25、第1アイリスシャッタ26、光電式レベラ27、第2チョークバルブシャッタ28、フレークシュート29、エアレーションバルブ30を備え、嵩高で見掛け密度が小さい粉砕フレークFを自動的に定量排出することができる。
【0074】
つまり、貯留タンク24から粉砕フレークFの投入を受けると、段付シュート25は、その段付き構造により良好に投入された粉砕フレークFを受け入れ、第1アイリスシャッタ26の開閉時間を調節することで、このフレークFの定量排出を可能とし、また、その排出状況は光電式レベラ27によって確認される。
【0075】
こうして、定量となった後に、第2チョークバルブシャッタ28を開口することにより、フレークFはフレークシュート29に投入され、ここに設けられた多段構成のエアレーションバルブ30から噴出する噴出空気によって、シュート29の内面に沿った渦巻噴流が発生し、これにより管路壁面から受ける摩擦抵抗を極力現象させて、粉砕フレークFが良好に履歴造粒装置50の材料導入口5に輸送されるようにしている。
【0076】
このような定量排出装置70の構成は、種々のものがあるが、特に、本出願人によって提案された粉粒体輸送装置(特開2000−344346号公報)によれば、嵩高で見掛け密度が小さい粉砕フレークFを良好に定量輸送することができる。
【0077】
なお、このシステムの例では、粉砕装置60と定量排出装置70との間の粉砕フレークFの輸送手段として、バッチ式の貯留タンク24を用いたが、これに限らず、両者を一時貯留タンクを設けた管路で接続して、粉砕フレークFを輸送するようにしてもよい。
【0078】
【発明の効果】
請求項1に記載の合成樹脂の履歴造粒方法によれば、種々の手段構成により、従来良好な造粒が困難とされていた薄物製品の造粒を可能とした。
【0079】
その解決手段の特徴の一つは、この薄物製品を有効径あるいは有効長1.2mm以上、3mm以下に粉砕した粉砕フレークとすることで、後述する履歴熱収縮と相まって、この粉砕フレークが丁度適度な球状度になることを見いだし、上記の薄物製品の取扱、見掛け密度、流動性、閉塞性、成形機材料としての適性の問題を解決した。
【0080】
他の特徴は、粉砕フレークを延伸加工温度に加熱する点で、この延伸加工温度は、薄物製品の材料の溶融温度に比べると低い温度であるので、加熱された粉砕フレーク同士の溶融による熔着の問題も発生せず、ただ粉砕フレークがそれぞれ単独で熱収縮するだけである。
【0081】
更に、この粉砕フレークの加熱に、外部加熱などではなく、攪拌羽根による攪拌によって生じる攪拌羽根と粉砕フレークの間の摩擦熱、粉砕フレーク同士の摩擦熱を利用したので、粉砕フレークが均一に加熱され、外部加熱の際に発生した熱の片寄による局部的な高温、それによるフレークの溶融、相互熔着もなく、全体が均一に熱収縮し造粒される。また、この方法によれば、温度の制御性も良い。
【0082】
また、この攪拌羽根を縦長の履歴熱収縮タンクの形状に併せて、多段に構成することでも、均一な加熱に寄与できる。
【0083】
請求項2に記載の合成樹脂の履歴造粒装置によれば、請求項1の造粒方法を実現する装置であって、上記と同様の効果を装置として発揮する。
【0084】
請求項3に記載の合成樹脂の履歴造粒システムによれば、請求項2の効果に加え、更に、所定の粉砕フレークを生成する粉砕装置、粉砕フレークを造粒装置に定量排出する定量排出装置を備えて、全体として、その入口に、リサイクルすべき薄物製品を投入すれば、システムからは、適正な熱可塑性合成樹脂の粒状物がほぼ自動的に排出される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る合成樹脂の履歴造粒装置の一例を示す構成図
【図2】本発明の合成樹脂の履歴造粒方法による造粒試験成績表を示す図
【図3】本発明の合成樹脂の履歴造粒方法による造粒試験の結果を示すグラフ
【図4】図1の履歴造粒装置で用いる攪拌羽根を示すもので、(a)はその平面図、(b)はその要部破断の側面図
【図5】本発明に係る合成樹脂の履歴造粒システムの一例を示す構成図
【図6】図5の粉砕装置をより詳しく示す構成図
【図7】図5の定量排出装置をより詳しく示す構成図
【図8】従来の造粒装置を示す図
【符号の説明】
6 微粉捕集タンク
8 閉塞防止装置
9 中間捕集タンク
11 履歴熱収縮タンク
13 攪拌羽根
16 冷却混合機
50 合成樹脂の履歴造粒装置
60 粉砕装置
70 定量排出装置
80 合成樹脂の履歴造粒システム
F 粉砕フレーク
S 粒状物
Claims (3)
- 延伸加工された、厚み1μ〜100μの熱可塑性合成樹脂フィルムあるいは繊維径1μ〜100μの熱可塑性合成樹脂繊維を有効径あるいは有効長1.2mm以上、3mm以下の寸法に粉砕した粉砕フレークを縦長円筒状の履歴熱収縮タンクに供給し、前記履歴熱収縮タンク内において上下に同心多段配置された攪拌羽根の回転数を制御することで、前記供給された粉砕フレークを攪拌して延伸加工温度まで昇温させ、これによる履歴熱収縮により、該粉砕フレークを略球状に造粒させることを特徴とする合成樹脂の履歴造粒方法。
- 延伸加工された、厚み1μ〜100μの熱可塑性合成樹脂フィルムあるいは繊維径1μ〜100μの熱可塑性合成樹脂繊維を有効径あるいは有効長1.2mm以上、3mm以下の寸法に粉砕した粉砕フレークを球状に造粒する合成樹脂の履歴造粒装置であって、
粉砕フレークの供給を受け、これを捕集して中間捕集タンクに供給する微粉捕集タンクと、
閉塞防止装置を備え、この微粉捕集タンクから供給された粉砕フレークを閉塞させることなく履歴熱収縮タンクに供給する該中間捕集タンクと、
縦長円筒状であって、その内部で同心多段配置された攪拌羽根が回転する該履歴熱収縮タンクと、
前記履歴熱収縮タンク内の粉砕フレークの温度を計測する温度計と、
前記履歴熱収縮タンクから排出された所定温度の造粒化された粉砕フレークを冷却して排出する冷却混合機とを備え、
前記履歴熱収縮タンクでは、上下に同心多段配置された攪拌羽根の回転数を制御することで、前記中間捕集タンクから供給された粉砕フレークを攪拌して、該粉砕フレークを前記温度計で温度計測しながら、延伸加工温度まで昇温させ、これによる履歴熱収縮により、該粉砕フレークを略球状に造粒させることを特徴とする合成樹脂の履歴造粒装置。 - 延伸加工された、厚み1μ〜100μの熱可塑性合成樹脂フィルムあるいは繊維径1μ〜100μの熱可塑性合成樹脂繊維を有効径あるいは有効長1.2mm以上、3mm以下の寸法に粉砕して粉砕フレークとする粉砕装置と、
こうして生成された粉砕フレークを定量排出する定量排出装置と、
前記定量排出装置から定量排出された粉砕フレークを履歴造粒する請求項2に記載の履歴造粒装置とより構成されることを特徴とする合成樹脂の履歴造粒システム。
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