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JP4154779B2 - 印刷打ち抜き用多層抄板紙 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は紙器などに使用される板紙に関する。特に、巻き取り状態で印刷され、引き続いて所定の大きさに打ち抜きされる板紙において、高速印刷打ち抜き適性に優れた板紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
板紙は通常、印刷、製函等の加工がされて使用されるため、板紙としての基礎特性のほか印刷適性、製函適性などの加工適性が要求される。中でも印刷、製函時に必要な特性として剛性(コシの強さ)は、打ち抜き後のスタック時等にフィードトラブルをおこさないために重要である。
また、箱にした場合内容物を充填して積み上げたときの箱のつぶれに対する強度や、粉体などを詰めたときの箱の胴ぶくれに対する強度にかかわりがある重要な特性の一つでもある。従って、板紙の剛性は、他の特性に悪い影響を及ぼさない限り、できるだけ剛性がある方が望ましい。
【0003】
板紙の印刷は巻き取り状態で印刷機に供給し、印刷後に打ち抜きする「印刷打ち抜き機」によって行う場合と、枚葉状態にスタックした板紙を供給し、枚葉印刷する場合がある。
本発明は、「印刷打ち抜き機」におけるフィード適性に優れた板紙を得ようとするものであるが、この場合にも、紙詰まりを防止する意味で、前記した剛性は重要な用件となる。
【0004】
近年、印刷打ち抜き機は高速化しており、この場合、特に問題となることは以下の2点である。
第一の問題は、打ち抜き後の紙の排出部で紙詰まりを防止することである。この問題に関しては、剛性を高くすることによって概ね解決する。
第二の問題は、打ち抜きの見当制御のし易さである。見当制御とは、以下のとおりである。
印刷打ち抜き機においては、板紙は巻き取り状で供給され、アンリールしながら連続印刷を行う。引き続き、印刷された連続紙を走行させながら、所定の間隔で打ち抜きを行うが、長時間運転していると、印刷模様と打ち抜きがズレを生じる。このズレが一定以上になると、機械は自動的に検知し、見当制御駆動ロールを瞬間的に増速または減速することにより見当制御を行う。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した見当制御時において、瞬間的に紙にかかるテンションが変化するため、必ずしも予定した位置で打ち抜くように戻らないで、ロスが大きく生じる場合があり、高速化の弊害となっている。
本発明は、印刷打ち抜き機において見当制御がし易く、即座に打ち抜き位置が直り、紙詰まりが発生せず、特に、紙の走行速度が150m/分以上の高速でも操業できるような板紙を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。即ち本発明は、「表層/表下層/中層/裏層の層構成からなる多層抄板紙において、
表層の坪量30〜80g/m 、密度0.8〜1.0g/cm 、中層の坪量130g/m 以上、密度0.6〜0.7g/cm 、裏層の坪量30〜80g/m 、密度0.7〜0.8g/cm 、表下層は、表層と表下層の合計坪量80〜110g/m の範囲にすることにより、
巻き取りの走行方向で測定したJIS P 8125によるテーバーこわさMsから下記(1)式で計算される曲げ弾性率Ebを、巻き取りの走行方向で測定した下記(3)で定義される引張り弾性率Esで除したEb/Esの値が、1.2以上かつ1.5以下で、該曲げ弾性率Ebが330〜460kg/mm、該引張り弾性率Esが270〜380kg/mmであることを特徴とする印刷打ち用多層抄板紙」である。
(1)式:Eb=(Ms×L)/(300×I×δ)
但し、Ebの単位はkg/mmであり、Iは下記(2)式で示される断面2次モーメントであり、δは12.9mm(L:荷重長50mm、角度15度における撓み)であり、テーバーこわさMsの単位はg・cmである。
(2)式:I=Bt/12
但し、Bは試料巾38.1mm、tはmmで示される試料厚さである。
(3)引張り弾性率:JIS P 8113に規定される引張り強さ試験を紙巾15mmの試料について規定どうりに行い、該測定時に荷重−伸び曲線を記録し、荷重0.75kgおよび1.5kgの時に求められる各引張り弾性率を平均した値をEsとするEsの単位はkg/mmである。
また、上記(1)、(3)で測定する全ての試料は、JIS P 8111に従って、20℃、相対湿度65%の環境下で調湿され、同じ環境下で測定する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で言う板紙とは、少なくとも表層、中層、裏層の3層以上からなる米坪100g/m2以上の板紙である。好ましくは、表層、表下層、中層、裏層の構成で中層は複数の層からなり、トータルで4層以上、米坪が200g/m2以上である。
表層には、バージンパルプまたは白色度と強度か高いDIP(脱墨古紙パルプ)を使用し、表層のみの坪量は30g/m2〜80g/m2程度か望ましい。
表層の上には、必要に応じて顔料塗工がされる場合もある。
中層には古紙パルプを多量に配合し、可能であれば古紙パルプ100%が望ましい。
裏層は、古紙を主体とし、表面の強度やサイズが必要な場合にはサイズプレス塗工などを行う。また、両面の白色度が要望される場合には、裏層は表層と同等の構成とされる。
表下層は、中層の黒さを隠蔽するための層で、表層より白色度がやや低いパルプを使用する。
一般的には、上記各層自身を積層構成とし、トータルで5〜11層の多層抄きとする場合も多い。
【0009】
本発明で言う曲げ弾性率EbはテーバーこわさMsから計算されるが、Msの値は、前記したようにJIS P8125により測定されるが、本発明では、10枚の試料について、巻き取りの走行方向(縦方向)について測定した値の平均値を採用する。
【0010】
本発明で言う引張り弾性率は、前記したように、荷重0.75kgおよび1.5kgの時に計算される各引張り弾性率を平均した値をEsとするが、荷重0.75kgの時に計算される引張り弾性率は、荷重−伸び曲線の荷重0.75kgにおける点と原点を結んだ直線の勾配として計算される弾性率であり、荷重1.5kgの時に計算される引張り弾性率は、荷重−伸び曲線の荷重1.5kgにおける点と原点を結んだ直線の勾配として計算される引張り弾性率である。
各試料につき、0.75kgの時の値と1.5kgの時の値を平均し、更に同じ測定を10枚の試料について平均した値が本発明のEsである。
【0011】
本発明の目的を達成するためには、Eb/Esが1.2以上であり、かつ、1.5以下の範囲に調整する必要がある。
Esが高すぎると、「印刷打ち抜き機」の運転における前記した見当制御が悪くなる。また、Ebが低すぎると、打ち抜き後の紙の排出部で紙詰まりを発生する
見当制御が悪くなるというのは、具体的には見当制御駆動ロールを増速または減速する際に、テンションの変化が急激におこり過ぎ、反動により位置が予測したように制御できなくなるためである。
従って、Esは低く、Ebを高くする必要があるが、Esを低くすると一般的にはEbも低くなる。またEsを低くし過ぎると、紙自体の環境変化に対する寸法安定性が悪くなる。
更に、Ebを高くすると一般的にはEsも高くなってしまうし、Ebが高すぎると、カールの強制が困難になるという別の問題もある。
両方のバランスを取りつつ、一般的な板紙よりEsを低く、Ebを高くする方向で、かつ、他の物性を損なわないようにする必要があり、結果として、Eb/Esが1.2〜1.5という極めて狭い範囲に入る板紙は、高速の「印刷打ち抜き機」の運転効率が格段に良くなるという予想外の効果が得られた。
Eb/Esを前記範囲に制御する際には、Ebが330〜460kg/mm2、Esは270〜380kg/mm2であることが、他の性質とのバランス上も望ましい。
【0012】
本発明の板紙を製造する具体的な方法としては、表層にNBKP(針葉樹晒しクラフトパルプ)を多く配合したり、紙力増強剤を多く配合する、裏層の古紙パルプは単に古紙を離解したものでなく、十分に洗浄して微細繊維と填料をとり除き更に叩解処理したパルプを使用するなどの方法がある。
また、中層の密度を下げることも一つの手段となり、例えば、中層に嵩高剤を配合したり、合成繊維を配合するなどの手段が可能である。
更には、抄紙の時に、中層は走行方向(いわゆるマシン方向)の繊維配向を弱くし、外層(表層、裏層)は走行方向の繊維配向を高くすることも一つの手段である。
【0013】
層構成を表層/表下層/中層/裏層と分類した場合に、Eb/Esを本発明の範囲内にするために、具体的に推奨される各層の物性値としては、以下の範囲が望ましい。
表層については、坪量30〜80g/m2、より望ましくは40〜70g/m2、密度0.8〜1.0g/cm3、引張り弾性率660〜900kg/mm2、中層については、坪量130g/m2以上、より好ましくは230〜300g/m2、密度0.6〜0.7g/cm3、引張り弾性率160〜350kg/mm2、裏層については、坪量30〜80g/m2、密度0.7〜0.8g/cm3、引張り弾性率390〜500kg/mm2、の範囲が最適である。
表下層は、表層と中層の中間の値で、表層と表下層の合計坪量が80〜110g/m2に設定することが望ましい。
【0014】
【実施例】
<実施例1>
表層にLBKP50重量%、新聞古紙DIP50重量%の配合とし、カナダ標準フリーネス(以下CSF)350ccに調整されたパルプを使用し、ポリアクリルアミド系紙力増強剤を対パルプ1重量%配合し、表層の密度は0.83、坪量は50g/m2とした。表下層はDIP100%で密度0.75、坪量40g/m2とした。
中層はCSF200ccの雑古紙パルプを使用し、坪量235g/m2とし、中層の密度は0.67とした。
裏層は中層と同じパルプを洗浄・分級し、CSF400ccにした後、叩解してCSF300ccとして使用した。裏層の坪量は60g/m2とした。
上記したトータル米坪385g/m2、密度0.71の板紙について、前記した方法でテーバーこわさMsと引張り弾性率を測定し、前記した計算方法に従ってEb/Esを計算した結果1.25であった。その他の測定とともに表1に結果を記載した。
また、巾1000mm、長さ5000mの巻き取りを印刷打ち抜き機にかけ、操業状況を観測し、見当制御不良および紙排出部における紙詰まり評価を表1に記載した。これらの評価は、見当不良および紙詰まりが発生しない打ち抜き機の最高速度によって評価した。紙詰まりや見当不良を発生しないで操業できる最高速度(紙の走行速度:m/分)が150m未満では、高速印刷打ち抜き機の能力を十分に発揮できない。
【0015】
<実施例2>
実施例1において、表層のパルプのうちLBKPをNBKPに変更し、表層の密度を0.86、坪量を60g/m2に変更した。また、表下層の密度を0.75とし坪量を30g/m2とした。更に中層の密度を0.64に変更した他は実施例1と同様に板紙を製造した。各種測定値は、表1に記載した。
【0016】
<比較例1>
実施例1において、表層の配合をNBKP/DIPの割合を60/40に変更し、表層の坪量を40g/m2と変更した。また、表下層は坪量50g/m2と変更した。更に、中層の雑誌古紙パルプのうち30%を段ボール古紙に変更し、坪量を247g/m2とし、密度を0.69に上げた。
以上により、実施例1に比較して、全体的に強度の強い板紙を製造した。しかし、この板紙は、Eb/Esの値が1.1であり、見当制御不良が発生し、紙詰まりの状況も良好ではなく、高速打ち抜き機の適性としては優れていなかった。
【0017】
<比較例2>
表層は実施例2と同様とし、表下層は、密度を0.71に下げた他は実施例2と同様とした。中層は実施例1と同様雑誌古紙パルプを使用し、坪量235g/m2とした。但し、中層に界面活性剤を対パルプで0.3%配合し、抄紙条件も変更して、密度を0.58と大幅に下げた。裏層は実施例1と同様とした。この板紙は、密度が0.65と低く、剛度がかなり高いのに対して、引張り弾性率が低いことが特徴であるが、Eb/Esが1.6と大きくなりすぎ、見当制御不良が発生し、紙づまりの状況も良好ではなく、高速打ち抜き機の適性としては優れていなかった。
【0018】
【表1】
Figure 0004154779
【0019】
【発明の効果】
本発明により、近年高速化している印刷・打ち抜き後の紙の排出部で紙詰まりを防止でき、更に、打ち抜きの見当制御ががし易く、即座に打ち抜き位置が直るような板紙が得られる。

Claims (1)

  1. 表層/表下層/中層/裏層の層構成からなる多層抄板紙において、
    表層の坪量30〜80g/m 、密度0.8〜1.0g/cm 、中層の坪量130g/m 以上、密度0.6〜0.7g/cm 、裏層の坪量30〜80g/m 、密度0.7〜0.8g/cm 、表下層は、表層と表下層の合計坪量80〜110g/m の範囲にすることにより、
    巻き取りの走行方向で測定したJIS P 8125によるテーバーこわさMsから下記(1)式で計算される曲げ弾性率Ebを、巻き取りの走行方向で測定した下記(3)で定義される引張り弾性率Esで除したEb/Esの値が、1.2以上かつ1.5以下で、該曲げ弾性率Ebが330〜460kg/mm、該引張り弾性率Esが270〜380kg/mmであることを特徴とする印刷打ち抜き用多層抄板紙。
    (1)式:Eb=(Ms×L)/(300×I×δ)
    但し、Ebの単位はkg/mmであり、Iは下記(2)式で示される断面2次モーメントであり、δは12.9mm(L:荷重長50mm、角度15度における撓み)であり、テーバーこわさMsの単位はg・cmである。
    (2)式:I=Bt/12
    但し、Bは試料巾38.1mm、tはmmで示される試料厚さである。
    (3)引張り弾性率:JIS P 8113に規定される引張り強さ試験を紙巾15mmの試料について規定どうりに行い、該測定時に荷重−伸び曲線を記録し、荷重0.75kgおよび1.5kgの時に求められる各引張り弾性率を平均した値をEsとするEsの単位はkg/mmである。
    また、上記(1)、(3)で測定する全ての試料は、JIS P 8111に従って、20℃、相対湿度65%の環境下で調湿され、同じ環境下で測定する。
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