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JP4154886B2 - 永久磁石同期電動機の残留電圧検出装置 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、PWMインバータ装置を用いて、制動巻線付き永久磁石同期電動機を駆動する場合の残留電圧絶対値の検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電圧形PWMインバータ装置を用いて制動巻線付き永久磁石同期電動機(以下PMモータという)を駆動するとき、回転子位置検出器を用いずにV/f一定制御を行う場合がある。
【0003】
図9はV/f一定制御を行うシステム構成図の例を示したものである。1はインバータ回路で、このインバータ回路には順変換回路COVと逆変換回路INVを備え、交流電源5よりの交流を順変換回路CONで全波整流した後に、逆変換回路INVで所望周波数に変換し、PMモータ3に出力する。2は制御部でマイクロコンピュータやロジックICを用いたディジタル回路で構成され、例えば、電圧の制御は三角波正弦波比較方式が用いられる。すなわち、周波数設定信号はV/f設定器21と位相積分器22に印加され、位相積分器22よりの位相設定信号は、三相正弦波発生部23において位相信号に見合った正弦波にされ、正弦波信号はV/f設定器21よりの電圧設定に対応された後にコンパレータ24に出力される。このコンパレータ24には、三角波発生部25よりの三角波が入力されており、この三角波と正弦波とがコンパレータ24において比較され、その誤差信号に基づいてデットタイム作成部26を介してPWM信号を作成し、この信号を逆変換回路の各スイッチング素子のゲートGu,Gx,Gv,Gy,Gw,Gzに印加してインバータ回路の出力電圧を制御する。なお、Tu,Tv,Tw,Tx,Ty,Tzは逆変換回路INVを構成するスイッチング素子である。
【0004】
以上のようにシステム構成されたインバータ装置を用いてPMモータ3を駆動中に停電が発生すると、PMモータ3はフリーラン状態となる。このフリーラン中に復電されるとPMモータ3は再起動されるが、この再起動方法としては次のことが考えられている。
(1)インバータ回路1の出力電流容量を、PMモータの直入れ起動電流に対して十分に余裕あるものと仮定して、制動巻線による同期引き込みを期待して再起動する。
(2)何らかの方法でフリーラン中のPMモータの残留電圧(振幅,周波数,磁極位置)を検出し、インバータ回路の出力電圧を一致させて電流0の状態より再起動させる。
【0005】
1台のインバータ装置で複数の小容量モータを駆動するようなシステムにおいては(1)の方法でも問題ないが、インバータ装置とPMモータとが1対1(〜3)程度のシステムとなると、(2)の方法を採用しないと不経済となるばかりか再起動時の残留電圧とインバータ回路の出力電圧のずれによって、インバータ回路の過電流耐量を超えて故障停止となり、正常に再起動できないのが一般的である。そのため、回転子位置検出器を用いないでPMモータを駆動する装置では、フリーラン中の残留電圧(ここでは線間電圧)の絶対値検出回路と0点通過検出回路を備える場合があり、その際、従来における残留電圧の検出には、絶縁の容易さから変圧器を使用する場合と、図9で示すように残留電圧検出回路4を設け、インバータ回路の負極(N極)と三相各出力端子(U,V,W)間を抵抗で分圧し、半波整流した後に制御部に取り込むことが知られている。
なお、残留電圧検出回路4におけるR41〜R46は分圧抵抗、D41〜D43は半波整流回路を構成するダイオード、AMPは絶縁アンプである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前者の変圧器を使用した場合には、絶縁の容易さはあるが、低周波数時の飽和を考慮しているために小型化が困難という問題を有している。
また、後者の半波整流する方法では、安価で小型化を可能としているが、同一の直流リンクに複数のインバータ回路が接続されたり、PMモータへの接続ケーブルが接近して配線されたりしている場合には、動作中のインバータ回路のスイッチングによる中性点電位変動と、回路各部の浮遊容量の影響を受けて実際の残留電圧値より大きな検出値となることが検討の結果判明した。
【0007】
図10は、中性点電位変動を確認するために実施したシミュレーション回路を示したもので、シミュレーション条件としては、400V系インバータ装置で、PMモータは線間電圧200V/50Hz相当でフリーランしているものとし、そのときのインバータ回路のN極と対地間には1000pFの浮遊容量が存在しているものとした。また、中性点電位は方形波状に3kHzで変動していることを想定したものである。
【0008】
図11は中性点電位変動なしの場合を示したもので、残留電圧検出回路4における半波整流回路の出力をアンプAMP−1で増幅した点を測定点Vdet0とし、更にその信号をアンプAMP−2でフィルタ処理した信号を測定点Vdet1としたものである。
【0009】
図12は中性点電圧を200V変動させた場合である。
図11と図12とを比較すると明かなように、中性点電位が変動することにより残留電圧の検出値が異なり、その変化率は152%(=4.23V/2.78V)となっている。
【0010】
本発明の目的とするところは、動作中のインバータ回路のスイッチングによる中性点電位変動と回路各部の浮遊容量による影響の生じない残留電圧検出装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、三相インバータ回路の出力側に永久磁石同期電動機を接続し、この同期電動機のフリーラン中における残留電圧を検出するものにおいて、
前記三相インバータ回路出力側の各相と負極間にそれぞれ抵抗よりなる分圧回路を介して全波整流回路を接続すると共に、分圧回路と全波整流回路との間に抵抗とコンデンサよりなるスパイク電圧防止回路を接続し、前記インバータ回路の各相出力側と負極間との信号を差動増幅することによって残留電圧としたことを特徴としたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態を示すもので、図9で示す従来のものとは残留電圧検出回路10が異なるのみで他は同じである。よって、同一部分の重複説明は省略する。
残留電圧検出回路10は、インバータ回路1の各相電圧を分圧するために設けられた抵抗R11〜R16よりなる分圧回路11と、ダイオードD11〜D16よりなって分圧された各電圧を全波整流するための全波整流回路12と、全波整流された信号を差動増幅するための差動増幅器13より構成されている。なお、RとCはフィルタ用の抵抗とコンデンサである。
すなわち、本発明では、抵抗分圧値の最大値と最小値の差を抽出するために整流回路を全波整流回路とし、そのP側(正側)出力とN側(負側)出力を差動増幅したものである。
【0014】
図2は、図1のように構成した場合のシミュレーション回路を示したもので、3’はフリーラン中のPMモータ回路、11’は分圧回路の抵抗、12’は全波整流回路、13’は差動増幅器部分を示したものである。
【0015】
図3は、図2のシミュレーション回路を用い、中性点電位の変動がない場合を示したものであり、図4は中性点電位を200V変動させた場合のシミュレーション結果を示したものである。なお、図4における差動増幅器13’の出力Vdet0の黒い部分は、差動増幅方式によってもキャンセルしきれない中性点電位変動成分で、アンプAMP−2でフィルタ処理することによって信号Vdet1のように除去されている。
【0016】
図3と図4とのシミュレーション結果によると、200Vの中性点電圧変動が生じたとしても、フィルタ処理された検出器への影響を小さく抑えることを確認することができ、その検出信号の変化は103%(=3.36V/3.25V)となっている。
【0017】
図5は全波整流回路12と差動増幅器13との間に小さな浮遊容量Co(図2で示す浮遊容量Co)があると仮定して、中性点電位を200V変動させた場合のシミュレーション結果である。
検出回路中のわずかな浮遊容量Coの影響で差動増幅方式によってもキャンセルしきれない中性点電位変動分がスパイク状の電圧(検出値Vdet0に重畳された黒い部分)が発生し、検出値が大きくなっている。浮遊容量Coが存在した場合の中性点電位変動と浮遊容量Coによる検出信号の変化は121%(=3.92V/3.25V)となっている。
このスパイク状電圧を抑制するために挿入したのが図1の点線で示したスパイク電圧防止回路14である。スパイク電圧防止回路14は全波整流回路12に接続されるが、具体的には分圧回路11と全波整流回路12との間に挿入される。
【0018】
図6はそのシミュレーション回路で、スパイク電圧防止回路は、三相各相とN側にそれぞれ挿入された抵抗R21〜R23と、コンデンサC12,14,16と、各相とP側に挿入それぞれ挿入されたコンデンサC11,13,15より構成される。
【0019】
図7は、図6を用いた中性点電位変動がない場合のシミュレーション結果、 図8は中性点電位を200V変動させた場合のシミュレーション結果である。これらより明らかなように、全波整流回路にスパイク防止回路を接続することによって、差動増幅器の入力部に存在する浮遊容量に流れる電流を低減することで、差動増幅器の出力部に現れるスパイク状の電圧を低減することが可能となり、中性点電位変動による検出信号の変化は103%(1.64V/1.59V)となっている。
【0020】
【発明の効果】
以上のとおり、残留電圧検出装置として全波整流回路を用いて構成した本発明によれば、変圧器を用いずにフリーラン中のPMモータの残留電圧絶対値を検出することが可能となるため、PMモータ駆動用インバータ装置の小型化が可能となる。
また、同一の直流リンクに複数のインバータ装置が接続されたり、PMモータへの接続ケーブルが接近して配線されている場合でも、動作中のインバータ回路のスイッチングによる中性点電位変動の影響を受けることなく、残留電圧絶対値の安定な検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す構成図。
【図2】本発明に基づくシミュレーション回路。
【図3】シミュレーションの出力波形図で、中性点電位変動なしの場合。
【図4】シミュレーションの出力波形図で、中性点電位変動ありの場合。
【図5】浮遊容量存在時におけるシミュレーションの出力波形図で、中性点電位変動の場合。
【図6】本発明に基づくシミュレーション回路。
【図7】シミュレーションの出力波形図で、中性点電位変動なしの場合。
【図8】シミュレーションの出力波形図で、中性点電位変動ありの場合。
【図9】従来のインバータ装置の構成図。
【図10】従来の残留電圧検出装置のシミュレーション回路
【図11】従来のシミュレーションの出力波形図で、中性点電位変動なしの場合。
【図12】従来のシミュレーションの出力波形図で、中性点電位変動ありの場合。
【符号の説明】
1…インバータ回路
2…制御部
3…永久磁石同期電動機
4,10…残留電圧検出装置
5…交流電源
11…分圧回路
12…全波整流回路
13…差動増幅器
14…スパイク電圧防止回路

Claims (1)

  1. 三相インバータ回路の出力側に永久磁石同期電動機を接続し、この同期電動機のフリーラン中における残留電圧を検出するものにおいて、
    前記三相インバータ回路出力側の各相と負極間にそれぞれ抵抗よりなる分圧回路を介して全波整流回路を接続すると共に、分圧回路と全波整流回路との間に抵抗とコンデンサよりなるスパイク電圧防止回路を接続し、前記インバータ回路の各相出力側と負極間との信号を差動増幅することによって残留電圧としたことを特徴とした永久磁石同期電動機の残留電圧検出装置。
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