JP4158891B2 - 円筒型保持炉および円筒型保持炉における溶解湯供給の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
銅及び銅合金を連続的に、溶解鋳造する行程において、鋳造の溶解湯を最後に貯める器(以下ポットという)の重量を一定に保つようにした円筒型保持炉および溶解湯供給の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
銅及び銅合金を連続的に溶解鋳造する行程において、ポット重量を一定に保つため、従来、保持炉の傾動駆動機構に傾動の制御信号を出力する制御手段を用い、該制御手段により、ポット重量の目標値に対する偏差を基に、保持炉を傾動させて溶解湯の供給量を増減させ、ポット重量を一定に保つように操作していた。
【0003】
一方、銅及び銅合金を連続的に、溶解鋳造する行程において、製銅炉へ供給される溶解湯の流量を正確に把握して、安定した製銅炉の操業を可能にする技術として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
特許文献1に記載のものは、溶解湯供給中の保持炉本体の重量減少速度から、実際に供給される溶解湯の実供給量を算出し、溶解湯実供給量と、保持炉本体の傾き角度の変化量から算出される理論供給量と比較し、その結果に応じて、溶解湯実供給量が一定になるように制御するものである。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−63962公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
銅及び銅合金を連続的に溶解鋳造する行程において、保持炉の重量が増える傾向にあるときと、滅る傾向にあるときとでは、保持炉内での溶解湯の流動に時間遅れのために、同じ時間保持炉を傾動させても、実際の溶解湯のポットヘの供給量は異なっており、ポット重量の目標値に対する偏差を基に、保持炉の傾動駆動機構と傾動の制御信号を出力する制御手段だけでは、ポット重量を一定に保つことは困難であった。
また、前記特許文献1に記載のものは、溶解湯供給中の保持炉本体の重量減少速度から、実際に供給される溶解湯の実供給量を算出し、溶解湯実供給量と保持炉本体の傾き角度の変化量から算出される理論供給量と比較し、溶解湯実供給量が一定になるように制御するものであるが、溶解湯の実供給量を算出したり、理論供給量を算出する必要があり、制御系の構成も複雑であった。
本発明は上記従来の問題点を解決するためになされたものであって、本発明は、溶解湯の流動の時間遅れによる影響が小さくなるように制御信号を補正することにより、ポット重量を一定に保ち、鋳造の品質、生産性の向上を図ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
溶解炉の炉況変化などのために、溶解炉から保持炉への溶解湯量変動を無くすことは不可能である。
また、溶解炉の炉況変化などのために、保持炉への溶解湯の供給量が変化した際、重量が増える傾向にあるときと、減る傾向にあるときとでは、保持炉内での溶解湯の流動時間遅れが違い、同じ時間保持炉を傾動させても、実際の溶解湯のポットヘの供給量は異なる。
そこで本発明は、保持炉を傾動させて、ポットの重量を目標値に保つ際に、保持炉重量の変化量の傾きから、駆動機構に出力する制御信号を補正することにより、ポットの重量を安定させる。
すなわち、本発明は以下のようにして前記課題を解決する。
(1)銅及び銅合金を溶解し、連続的に溶解湯を供給する溶解炉と、溶解炉から連続的に供給される溶解湯を一時的に貯めるための中空円筒上の容器を横置きにした形状の保持炉本体と、その保持炉の溶解湯の出入口を中心として円周方向に傾動させる駆動機構と、保持炉全体の全重量を検出する手段(例えばロードセル) と、保持炉から連続的に供給される溶解湯を最後に貯める器と一定量の溶解湯を出すノズルを有するポットと、その容器の全体の全重量を検出する手段(ロードセル)と、保持炉重量とポットの重量を演算処理して保持炉の駆動機構に傾動の制御信号を出力する制御手段を備えた円筒型保持炉において、
上記制御手段は、上記保持炉重量とポットの重量との偏差に応じた制御信号により上記保持炉の傾きを変化させてポツトの信号を目標値に保つ際、保持炉重量の変化量の傾きに基づき上記駆動機構に出力する制御信号を補正する。
(2)上記(1)の円筒型保持炉において、上記保持炉重量とポットの重量との偏差に応じた制御信号により上記保持炉の傾きを変化させて溶解湯の供給を制御し、ポット重量を一定に保つ際、ポット重量を目標値にするために増やす際には、保持炉重量が増える傾向にあるとき(重量の変化の傾きが正のとき) は、駆動機構に出力する制御信号の時間を傾きに応じて短く、保持炉重量が減る傾向にあるとき(変化の傾きが負のとき)は、駆動機構に出力する制御信号の時間を傾きに応じて長くする。
また、ポット重量を目標値にするために減らす際には、保持炉重量が増える傾向にあるとき(重量の変化の傾きが正のとき) は、駆動機構に出力する制御信号の時間を傾きに応じて長く、保持炉重量が減る傾向にあるとき(変化の傾きが負のとき)は、駆動機構に出力する制御信号の時間を傾きに応じて短くする。
上記のように制御することにより、保持炉を傾動させた際、溶解湯の供給量を正確に制御できるようになり、ポットの重量を比較的容易に安定させることができるようになる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施例の銅の鋳造圧延装置およびその制御系の構成を示す図である。
図1において、11は溶解炉、12は円筒型保持炉、13はポットであり、各々は14,15の樋によって連結されている。
溶解炉11は、ガスバーナーにより銅を溶解させるための炉である。溶解された銅は、溶解湯となり、14の樋を通って円筒型保持炉12に供給される。
次に、円筒型保持炉12(以下、保持炉12という)の構造を説明する。保持炉12は、中空円筒状の容器を横置きにしたものであり、溶解炉から供給される溶解湯の入口と、溶解湯を供給する出口が設けられている。そして、保持炉12は、全体を円周方向に傾動させるための駆動機構31を有しており、この駆動機構31を用いて、保持炉12を傾けて保持炉内に貯まった溶解湯をポット13に供給する。
【0008】
この駆動機構31は、例えば油圧シリンダーを有し、油圧シリンダーを駆動することによって、保持炉12を円周方向に回転できるように構成されている。図示の例では、ポット方向からみて時計方向に回転させると溶解湯の供給量は減少し、逆に反時計方向に回転させると溶解湯の供給量は増加する。保持炉から注出した溶解湯は、樋15を通ってポット13に供給される。
ポット13に供給された溶解湯は鋳造輪40の溝に落ち込み成形され、さらにミル42によって圧延され、荒引線42が製造される。この鋳造輪は溝付きの車輪状になっており、溶解湯が落込むところは鉄製のベルトが鋳造輪に押し付けてあり、鋳造輪40の溝とこのベルトによって溶解湯が成形される。
【0009】
保持炉12の重量Hとポット13の重量Pを量る手段として、ロードセル33,34が取付けてある。測定された重量は、制御装置(例えばPLCから構成される)32に入力される。
ロードセル33,34から検出値の入力を受ける制御装置32では、入力された各検出値を以下に説明するように演算処理した結果に基づき、上述した駆動装置32に傾動の制御信号を出力する。
ポットの重量の目標値をP0 、現在の測定値をPR とすると偏差εは、以下の(1)式となる。
ε=P0 −PR …(1)
【0010】
この偏差εをある一定間隔t1 ごとに制御装置32が確認し、駆動装置31に傾動の制御信号を出力する。
εの値が正ならば、ポット13の重量が目標値以下であるため、制御装置32が保持炉12を反時計方向に傾動させる信号をTD 時間(s)出力して、円筒型保持炉12を反時計方向に傾動させ、保持炉12からのポット13ヘの供給量を増やし、ポット13の重量を目標値に近づける。
逆にεの値が負ならば、ポット13の重量が目標値以上であるため、制御装置32が保持炉12を時計方向に傾動させる信号をTU 時間(s)出力して、保持炉12を時計方向に傾動させ、保持炉12からのポット13ヘの供給量を減らし、ポット13の重量を目標値に近づける。
【0011】
保持炉12を反時計方向(ポットの重量を増やす方向) に、ある一定の速度で、連続的に傾動させたときの、ポット13の重量の時間変化を測定した結果を、図2に示す。ただし、t=0で、ポット13から鋳造輪40への供給量Thは一定で、溶解炉11からの供給量Tsと等しいものとする。
溶解炉11から保持炉12への溶解湯の供給量が一定のときの変化をbとする。溶解炉11から保持炉12への溶解湯の供給量が増加傾向にあるときの変化は、aのようになり、bに比べて短時間でポットの重量が、増加していることが分かる。これは、保持炉12からポット13ヘの単位時間あたりの供給量が増加していると推察できる。
また、溶解炉11から保持炉12への溶解湯の供給量が減少傾向にあるときの変化は、cのようになり、bに比べて時間がかかって、ポット13の重量が増加していることが分かる。これは保持炉12からポット13ヘの単位時間あたりの供給量が、減少していると推察できる。
【0012】
また、保持炉12を時計方向(ポット13の重量を減らす方向) に、ある一定の速度で、連続的に傾動させたときの、ポットの重量の時間変化を測定した結果を、図3に示す。ただし、t=0で、ポット13から鋳造輪40への供給量Thは一定で、溶解炉11からの供給量Tsと等しいものとする。
溶解炉11から保持炉12への溶解湯の供給量が一定のときの変化をeとする。溶解炉11から保持炉12への溶解湯の供給量が増加傾向にあるときの変化は、dのようになり、eに比べて時間がかかってポットの重量が、減少していることが分かる。これは、保持炉12からポット13ヘの単位時間あたりの供給量が、dに比べて増加していると推察できる。
また、溶解炉11から保持炉12への溶解湯の供給量が減少傾向にあるときの変化は、fのようになり、eに比べて短時間でポットの重量が減少していることが分かる。これは、保持炉12からポット13ヘの単位時間あたりの供給量が、eに比べて減少していると推察できる。
【0013】
すなわち、溶解炉11から保持炉12への溶解湯の供給量が増加傾向にある(保持炉12の重量Hが増加傾向にある)とき、保持炉12からポット13ヘの単位時間あたりの供給量が増加し、また、溶解炉11から保持炉12への溶解湯の供給量が減少傾向にある(保持炉12の重量Hが減少傾向にある)とき、保持炉12からポット13ヘの単位時間あたりの供給量が減少するものと推察される。
ここで、保持炉重量Hの変化の傾きDは以下の(2)式で求まる。
dH/dt=D …(2)
したがって、上記Dの値に応じて前記TD ,TU を補正し、表1のように制御すれば、前記した溶解湯の流動の時間遅れによる溶解湯の供給量の違いを補正することができる。
【0014】
【表1】
【0015】
すなわち、以下のように制御すればよい。
(i) Dの値が正の場合
・ポットの重量を増やす方向に制御するとき、前記TD を短くする。これにより、補正前のTD で制御する場合よりポット13への供給量は減少する。
・ポットの重量を減らす方向に制御するとき、前記TU を長くする。これにより、補正前のTU で制御する場合よりポット13への供給量は減少する。
(ii)Dの値が負の場合
・ポットの重量を増やす方向に制御するとき、前記TD を長くする。これにより、補正前のTD で制御する場合よりポット13への供給量は増大する。
・ポットの重量を減らす方向に制御するとき、前記TU を短くする。これにより、補正前のTU で制御する場合よりポット13への供給量は増大する。
【0016】
これらをまとめると、上記保持炉重量Hの変化の傾きDを補正項として、傾動時間TD 、TU は以下の(3)式、(4)式で求めることができる。
TD =(1−D×k)×TDS …(3)
TU =(1+D×k)×TUS …(4)
ここでkは係数、TDSは保持炉を反時計方向に傾動させる信号の設定時間、TUSは保持炉を時計方向に傾動させる信号の設定時間である。
例えば、ポット重量を目標値にするために、保持炉を反時計方向に傾動させる(ポットの重量を増やす方向) 場合は、保持炉重量Hの変化の傾きDが正の値ならば、保持炉の重量Hは、増加傾向にあるので、(3)式より実際の傾動時間TD は、Dの値に応じて設定時間TDSより短くなる。逆にDが負の値ならば、保持炉の重量Hは、滅少傾向にあるので、傾動時間TD は、Dの値に応じて設定時間TDSより長くなる。
【0017】
同様に保持炉を時計方向に傾動させる(ポットの重量を滅らす方向) 場合は、保持炉重量Hの変化の傾きDが正の値ならば、保持炉の重量Hは、増加傾向にあるので、(4)式より実際の傾動時間TU は、Dの値に応じて設定時間TUS より長くなる。逆にDが負の値ならば、保持炉の重量Hは、減少傾向にあるので、傾動時間TU は、Dの値に応じて設定時間TUSより短くなる。
このような方法で、保持炉からの供給量を制御することによって、ポットの重量を安定させることができる。
【0018】
制御装置32は、比較手段301で前記偏差εを算出する。そして、この偏差εに基づき駆動装置31に傾動の操作信号を出力する際、ロードセル33により検出された保持炉重量Hから第2の演算手段303で保持炉重量の傾きDを計算する。
第1の演算手段302は、上記偏差εが正のとき(ポットの重量の目標値P0 >現在の測定値をPR )、上記保持炉重量の傾きDと予め設定された設定時間TDSから前記(3)式により傾動時間TD を求め、また、偏差εの負のとき(ポットの重量の目標値P0 <現在の測定値をPR )、上記保持炉重量の傾きDと予め設定された設定時間TUSから前記(4)式により傾動時間TU を算出する。この傾動時間TD ,TU により、駆動機構31は、保持炉12を反時計方向あるいは時計方向に傾動させる。
これにより、溶解湯の流動の時間遅れによる溶解湯の供給量の違いを補正することができ、ポット重量を一定に保つことが可能となる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、保持炉重量の変化量の傾きから、駆動機構に出力する上記制御信号を補正しているので、ポットの重量を一定に保つことができ、鋳造の品質や生産性の大幅な向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の構成を示す図である。
【図2】保持炉重量変化によるポット重量増加時の時間変化を表す図である。
【図3】保持炉重量変化によるポット重量減少時の時間変化を表す図である。
【符号の説明】
11 溶解炉
12 保持炉
13 ポット
14 樋
15 樋
31 駆動装置
32 演算装置
33 ロードセル
34 ロードセル
40 鋳造輪
41 圧延ミル
42 荒引線
Claims (2)
- 銅及び銅合金を溶解し、連続的に溶解湯を供給する溶解炉と、溶解炉から連続的に供給される溶解湯を一時的に貯めるための中空円筒状の容器を横置きにした形状の保持炉本体と、
その保持炉の溶解湯の出入口を中心として円周方向に傾動させる駆動機構と、保持炉全体の全重量を検出する検出手段と、
保持炉から連続的に供給される溶解湯を最後に貯める器と一定量の溶解湯を出すノズルを有するポットと、ポットの重量を検出する検出手段と、
上記検出手段により検出された保持炉重量と、ポットの重量を演算処理して、保持炉の駆動機構に傾動の制御信号を出力する制御手段とを備えた円筒型保持炉であって、
上記制御手段は、保持炉を傾動させて、ポットの重量を目標値に保つ際、保持炉重量の変化量の傾きから、駆動機構に出力する上記制御信号を補正する
ことを特徴とする円筒型保持炉。 - 銅及び銅合金を溶解し、連続的に溶解湯を供給する溶解炉と、溶解炉から連続的に供給される溶解湯を一時的に貯めるための中空円筒状の容器を横置きにした形状の保持炉本体と、
その保持炉の溶解湯の出入口を中心として円周方向に傾動させる駆動機構と、保持炉全体の全重量を検出する手段とポットの重量を検出する検出手段と、を備えた円筒型保持炉の溶解湯供給の制御方法であって、
上記検出手段により検出された保持炉重量と、ポットの重量を演算処理して、保持炉を傾動させて、ポットの重量を目標値に保つ制御信号を上記保持炉の駆動機構に出力し、
保持炉を傾動させて、ポットの重量を目標値に保つ際、
ポット重量を目標値にするために増やすときは、保持炉重量の変化の傾きが正のとき、駆動機構に出力する制御信号の時間を傾きに応じて短く、保持炉重量の変化の傾きが負のとき、駆動機構に出力する制御信号の時間を傾きに応じて長くし、
また、ポット重量を目標値にするために減らすときは、俣持炉重量の変化の傾きが正のときは、駆動機構に出力する制御信号の時間を傾きに応じて長く、保持炉重量の変化の傾きが負のときは、駆動機構に出力する制御信号の時間を傾きに応じて短くする
ことを特徴とする円筒型保持炉における溶解湯供給の制御方法。
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