Deprecated: The each() function is deprecated. This message will be suppressed on further calls in /home/zhenxiangba/zhenxiangba.com/public_html/phproxy-improved-master/index.php on line 456
JP4159073B2 - 清酒の製造方法 - Google Patents
[go: Go Back, main page]

JP4159073B2 - 清酒の製造方法 - Google Patents

清酒の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4159073B2
JP4159073B2 JP2000306054A JP2000306054A JP4159073B2 JP 4159073 B2 JP4159073 B2 JP 4159073B2 JP 2000306054 A JP2000306054 A JP 2000306054A JP 2000306054 A JP2000306054 A JP 2000306054A JP 4159073 B2 JP4159073 B2 JP 4159073B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yeast
sake
added
addition
ratio
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2000306054A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002112758A (ja
Inventor
研一 光永
正人 岡部
義孝 金子
裕樹 竹田
昌生 谷口
規佳 碓井
義博 仲
敏信 的場
Original Assignee
宝ホールディングス株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 宝ホールディングス株式会社 filed Critical 宝ホールディングス株式会社
Priority to JP2000306054A priority Critical patent/JP4159073B2/ja
Publication of JP2002112758A publication Critical patent/JP2002112758A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4159073B2 publication Critical patent/JP4159073B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Alcoholic Beverages (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルコール発酵能が高くて醪のきれが良く、かつ芳香成分が多く、香味に優れた清酒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来清酒製造によく用いられている酵母として、(財)日本醸造協会販売の協会701号(以下、K701と称する)が知られている。この酵母はアルコール発酵能が高く発酵醪のきれが良くなるという性質を持つが、カプロン酸エチル、酢酸イソアミルなどの芳香成分は、あまり多く生産しないという性質も持っている。一方、カプロン酸エチルを多く生産する酵母としては(財)日本醸造協会販売の協会No.86(以下、No.86と称する)が知られているが、この酵母はアルコール発酵能がK701より低く、醪のきれが悪いという性質も持っている。清酒製造に用いる酒母、固形酵母などにおいては、これらの酵母を純粋培養し、他種類の微生物の混入を完全に防止して、有用酵母のみを育成する方法が基本になっている。また醪においても、育成した有用酵母を常に優位に増殖させ、純粋培養の型を保って発酵を行っている。
【0003】
一方、性質の異なる2種類以上の酵母を混ぜて発酵させること(以下、混醸という)による、各酵母の特徴を併せ持った清酒の製造方法の開発が試みられてきた。例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に属するK701と、該酵母とは異種酵母であるサッカロミセス・ロゼイ(Saccharomyces rosei)、トルロプシス・コリキュローザ(Torulopsis colliculosa)などの酵母との混醸による清酒の製造例(日本醸造協会誌、第76巻、第1号、第45〜49頁、1981年)が知られている。しかし、これらの酵母を用いた混醸による清酒製造では、仕込開始時に設定した2種の酵母の混醸比率が発酵と共に変化し、醪中でどちらかの酵母が優勢になることが示されている。したがって、優勢になった酵母の特徴が強く現れることは明らかであり、混醸した酵母の特徴を併せ持った清酒を得ることは難しい。更に、清酒酵母である協会901号(以下、K901という)と該酵母を変異処理して得た芳香性の高い酵母を混醸して清酒を製造した例〔群馬県工業試験場研究報告(1997)、第26〜28頁〕があるが、酒母、醪中でK901が優位になったためか、両酵母の特徴を併せ持つ清酒は得られなかったと報告されている。また、特公平8−13263号公報には清酒酵母とワイン酵母の混醸によるワインの製造法が開示されているが、酵母の比率が発酵時にどのように変化するかについては触れられていない。更にそれらの酵母の混醸により製造した酒類は、清酒酵母単独で製造した酒類、又は清酒酵母、ワイン酵母をそれぞれ単独で発酵させた酒類を混合して得られた酒類より、香味が優れていることについては明確に記載されていない。
【0004】
また、発酵能が高くて醪のきれが良く、かつ芳香成分を高生産する酵母について今までに報告されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、発酵能が高くて醪のきれが良く、かつ芳香に富み香味の優れた清酒を製造する方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明を概説すれば、少なくとも2種類の清酒酵母を混合して仕込む酵母仕込法による清酒の製造方法において、仕込開始時に芳香成分を高生産する酵母を添加し(1次添加)、次いでその4〜12時間後にアルコール発酵能の高い酵母を添加する(2次添加)ことを特徴とする清酒の製造方法に関する。
【0007】
本発明者らは前記従来技術の問題点を解決するため鋭意研究を行った結果、清酒の製造において、芳香成分はあまり生産しないがアルコール発酵能が高い酵母及び醪のきれは劣るが芳香成分を高生産する酵母を用い、少なくとも該2種類の酵母の添加時期を変えて混合して発酵させることにより、醪のきれが良くかつ芳香に富んだ香味の優れた清酒が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明でいう清酒酵母とは、サッカロミセス・セレビシエに属する酵母であって、一般的な酵母と比較してアルコール耐性や発酵力が強く、低温でよく増殖し、酸生成能が低く、芳香成分を生産するなどの特徴を持っている。該酵母の中でも、よりアルコール発酵能が高くて醪のきれが良い清酒酵母としては、例えば(財)日本醸造協会販売のK701、協会7号(以下、K7と称する)、協会11号、協会14号(以下、K14と称する)及び協会1401号(以下、K1401と称する)などがある。特にK701、K1401は、立ち上がりが速くて醪のきれが良いという特徴を持ち、本発明の2次添加(後述)に用いる酵母としてより好ましい。ここでいう立ち上がりが速いとは、酵母の増殖パターンで示されるラグタイム(誘導期)が短いということである。一方、発酵の立ち上がりが若干遅くて醪のきれは劣るが、芳香成分特にカプロン酸エチルをより高生成する清酒酵母としてNo.86などがあり、また酢酸イソアミルをより高生成する清酒酵母として国際公開WO96/20272に開示されているサッカロミセス・セレビシエ10−41−3(FERM BP−5332、以下、10−41−3と称する)、特開平7−184638号公報に開示されているサッカロミセス・セレビシエMIC17(FERM P−14024)、サッカロミセス・セレビシエECO11(FERM P−14015)などがある。これらの酵母は、本発明の1次添加(後述)に好適に用いられる。
【0009】
次に清酒の製造方法を説明するが、通常の方法であれば特に限定はされず、中でも酒母仕込法ではなく酵母仕込法を用いることが好ましい。酵母仕込法は、予め培養した酵母を適量の乳酸と共に初添の水麹時に添加して醪を作る方法である。例えば、ボーメを5.5に調整した麹抽出液を液体培地として酵母を培養し、遠心分離にて濃縮した酵母(以下、固形酵母と称する)を調製した後、水麹に添加する方法などがある。本発明では、上述の少なくとも2種類の酵母の固形酵母を調製し、仕込開始の水麹で、まず芳香成分を高生産する固形酵母を混醸比率(混醸する酵母の数の比率)に従って添加し(1次添加)、次にアルコール発酵能が高く醪のきれが良い固形酵母を同じく混醸比率に従って添加する(2次添加)。好ましくは、1次添加後4〜12時間後に2次添加を行う。この1次2次添加する方法を用いることにより、仕込開始時の混醸比率を醪末期まで安定的に保つことができる。固形酵母を添加後、初添、仲添、留添の3段仕込を行い、発酵、上槽、精製工程を経て清酒を製造する。
【0010】
清酒の酒質についていえば、例えば、No.86とK701を1:1の混醸比率で、K701の2次添加を8時間後に行った清酒は、1:1の混醸比率で同時に添加して醸造した(同時混醸)清酒、及びそれぞれの酵母を単独で仕込み、上槽後の清酒を1:1にブレンドした清酒のどちらよりも香味において優れている。具体的には、1次2次添加で製造した清酒は、吟醸香の一つであるカプロン酸エチル濃度が高く良好な酒質となる。更に、別の組合せであるK1401と10−41−3を1:1の混醸比率で、K1401の2次添加を8時間後に行った清酒の酒質は、1:1の混醸比率で同時混醸した清酒、及びそれぞれの酵母を単独で仕込み、上槽後の清酒を1:1にブレンドした清酒のどちらよりも香味において優れている。具体的には、吟醸香の一つである酢酸イソアミル濃度が高い酒質となる。なお仕込時に添加する酵母の数量は、通常の酵母仕込法で使用する数量と同等であればよく、具体的には、1次添加酵母と2次添加酵母の合計の数量が、初添の汲水1ml当り107個以上にすることが好ましい。
【0011】
酵母の混醸比率については特に限定はされないが、1次添加酵母:2次添加酵母=1:0.3〜1:3の間であれば、醪末期まで仕込開始時の比率とほぼ同等の比率を保つ。1次添加酵母の割合が1:0.3を越えて高くなれば、得られた清酒の芳香成分は多いが、醪のきれが悪くなる。また、2次添加酵母の割合が1:3を越えて高くなれば、醪のきれは良いが、芳香成分は少なくなる。
【0012】
次に醪発酵期間中の酵母の比率を測定する方法を説明する。例えば芳香成分を高生産する酵母がNo.86であれば、該酵母が持つセルレニン耐性の形質を利用する。すなわち、醪の希釈液をセルレニン1ppm含有の最少培地(SD培地)プレートと不含の最少培地プレートに塗布した後、30℃で培養し、生育したコロニー数をカウントし比率を計算する。
【0013】
また、別の組合せで、醪のきれが良いK1401酵母と、醪のきれは劣るが酢酸イソアミルを高生産する10−41−3酵母を用いる場合、醪期間中の酵母の比率を分析するには、β−アラニン培地での培養温度による酵母の増殖の有無、すなわちK1401は35℃でよく増殖し、10−41−3は20℃でのみ増殖する性質の差を利用する。具体的には、醪の希釈液をβ−アラニン培地のプレートに塗布した後、まず35℃で培養し、生育したコロニー数をカウントし、続いてプレートを20℃に移して培養し、生育したコロニー数をカウントして比率を計算する。
【0014】
(検討例1)酵母の添加時期(No.86とK701)
No.86とK701の2種類の酵母について、その添加時期の差が酵母の分布状況に与える影響を検討した。まず麹汁培地を用いて、使用する酵母を30℃で培養し、遠心分離により固形酵母として集菌した。その固形酵母のグラム当りの酵母数を測定した。添加酵母の混醸比率はNo.86:K701=1:1とし、それぞれの酵母約5×108個を含む固形酵母を各試験区分における決められた時期に添加した。まず第1の試験区分は、仕込開始時である水麹時の1次添加にNo.86を用い、4時間後にK701を2次添加する区分で、第2区分は同じく8時間後にK701を2次添加する区分で、第3区分は同じく12時間後にK701を2次添加する区分で、第4区分は同じく16時間後にK701を2次添加する区分である。更に第5区分は、K701とNo.86を同時混醸する区分である。仕込試験は、総米200gの蒸米3段仕込で行い、発酵温度は15℃一定にした。
【0015】
酵母添加後、踊時、留4日後、12日後、16日後の醪中の2種類の酵母の数を測定し、No.86酵母の全酵母数に対する占有率で表した結果を表1に示す。酵母数、占有率の求め方は、No.86のセルレニン耐性の形質を利用して、具体的に次のようにして行った。各混醸比率の試験区分の醪サンプルを希釈し、セルレニン1ppm含有の最少培地(SD培地)プレートとセルレニン不含の最少培地プレートに塗布した後、30℃で培養し、生育したコロニー数をカウントした。セルレニン1ppm含有の最少培地プレートに生育したコロニーはNo.86のみであり、カウントしたコロニー数をNo.86の酵母数▲1▼とする。不含の最少培地プレートに生育したコロニーはK701とNo.86の両方であり、カウントしたコロニー数を全酵母数▲2▼とする。▲1▼を▲2▼で割り算し、100を掛けた値が醪中の全酵母数に対するNo.86の占有率(%)となる。
【0016】
【表1】
Figure 0004159073
【0017】
表1から、1次添加にNo.86酵母を用い、8時間後にK701酵母を2次添加する区分2が、仕込開始時の酵母の比率1:1すなわちNo.86の占有率50%をほぼ醪末期まで保っている。また、4時間後にK701酵母を2次添加する区分1では、No.86の占有率が45%前後を醪末期まで保ち、更に12時間後にK701酵母を2次添加する区分3でも、No.86の占有率が55%前後をほぼ醪末期まで保っており、仕込開始時のNo.86の占有率50%に近い。しかし、16時間後にK701を2次添加する区分4では、踊の段階でNo.86が優勢となり、末期までNo.86が優勢の状態は変らなかった。また、同時に添加した区分5では、発酵開始後早い時期にK701が優勢となった。すなわち、K701を2次添加する時期が、1次添加後4時間未満であれば、K701が優勢になり、また1次添加後12時間を越えれば、No.86が優勢になる。どちらかの酵母が優勢になった区分では、優勢な酵母の特徴が強く現れてくることは明らかである。したがって、K701酵母の2次添加の時期は、1次添加後4〜12時間の範囲が好ましい。
【0018】
(検討例2)添加時期の検討(10−41−3とK1401)
次に10−41−3とK1401の2種類の酵母について、その添加時期の差が酵母の分布状況に与える影響を検討した。使用する酵母は、検討例1と同様に培養した固形酵母を用いた。添加酵母の混醸比率は10−41−3:K1401=1:1とし、それぞれの酵母約5×108個を含む固形酵母を各試験区分における決められた時期に添加した。まず第1の試験区分は、仕込開始時である水麹時の1次添加に10−41−3を用い、4時間後にK1401を2次添加する区分で、第2区分は同じく8時間後にK1401を2次添加する区分で、第3区分は同じく12時間後にK1401を2次添加する区分で、第4区分は同じく16時間後にK1401を2次添加する区分である。更に、第5区分は、10−41−3とK1401を同時混醸する区分である。仕込試験は、総米200gの蒸米3段仕込で行い、発酵温度は15℃一定にした。
【0019】
酵母添加後、踊時、留4日後、12日後、16日後の醪中の2種類の酵母の数を測定し、10−41−3酵母の全酵母数に対する占有率で表した結果を表2に示す。各混醸比率の試験区で、醪中における10−41−3酵母数の全酵母数に対する占有率は、β−アラニン培地での培養温度による酵母の増殖の有無、すなわち、K1401は35℃でよく増殖し、10−41−3は20℃でのみ増殖するという性質の差を利用して求めた。具体的にいえば、醪サンプルを希釈し、β−アラニン培地のプレートに塗布した後、まず35℃で培養し、生育したK1401のコロニー数をカウントし、カウントしたコロニー数を▲1▼とする。続いてプレートを20℃に移して培養した後、新たに生育したコロニー数をカウントし、そのコロニー数を▲2▼とする。▲2▼を、▲1▼と▲2▼を足した数で割り算し、100を掛けた値が醪中の10−41−3の占有率(%)となる。
【0020】
【表2】
Figure 0004159073
【0021】
表2から、1次添加に10−41−3酵母を用い、4、8、12時間後にK1401酵母を2次添加する区分1、2及び3は、仕込開始時の酵母の比率1:1すなわち10−41−3の占有率50%前後を醪末期まで保っている。しかし、16時間後にK1401を2次添加する区分4では、踊の段階で10−41−3が優勢となり、末期まで10−41−3が優勢の状態は変らなかった。また、同時に添加した区分5では、K1401が優勢となった。すなわち、K1401を2次添加する時期が1次添加後4時間未満であれば、K1401が優勢になり、また1次添加後12時間を越えれば、10−41−3が優勢になる。どちらかの酵母が優勢になった区分では、優勢な酵母の特徴が強く現れてくることは明らかである。したがって、K1401酵母の2次添加の時期は、1次添加後4〜12時間の範囲が好ましい。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0023】
実施例1 清酒
酵母は、No.86とK701を用い、本発明1、2及び3では、仕込開始時である水麹の1次添加にNo.86を、8時間後の2次添加にK701を用いた。1次添加酵母:2次添加酵母の混醸比率は、本発明1が1:1、本発明2が1:0.33、本発明3が1:3である。対照としてK701単独の対照1及びNo.86単独の対照2を醸造した。また、混醸比率が1:1で、水麹時に同時混醸した比較例1を醸造した。更に、K701単独で仕込んだ対照1の上槽酒とNo.86単独で仕込んだ対照2の上槽酒を1:1にブレンドした比較例2も調製した。
【0024】
まず麹汁培地を用いて、それぞれの酵母を30℃で培養し、遠心分離により固形酵母として集菌した後、決められた時期にそれらの固形酵母を添加した。固形酵母の添加量は、それぞれの固形酵母のグラム当りの酵母数を測定した後、酵母の合計数が2.5×109個になるようにした。例えば、本発明1の区分では、1次添加酵母、2次添加酵母はそれぞれ1.25×109個であり、本発明2の区分では、1次添加酵母が1.875×109個で2次添加酵母が0.625×109個であり、更に本発明6の区分では、1次添加酵母が0.625×109個で2次添加酵母が1.875×109個である。次に75%精白米の掛米及び麹米を用いて、総米500gの配合で発酵温度が15℃一定の蒸米3段仕込を実施した。仕込配合を表3に示す。
【0025】
【表3】
Figure 0004159073
【0026】
本発明1、2、3及び比較例1の醪中のNo.86の占有率を検討例1と同様の方法で測定した。表4に各試験区のNo.86の占有率の経過を示した。
【0027】
【表4】
Figure 0004159073
【0028】
No.86酵母とK701酵母の混醸比率が1:1である本発明1は、仕込開始時のNo.86の占有率約50%を醪末期まで保っている。また、本発明2は、仕込開始時のNo.86の占有率約75%を醪末期まで保ち、本発明3も仕込開始時のNo.86の占有率約25%を醪末期まで保っており、醪中の酵母のバランスは安定していた。しかし、同時混醸した比較例1は、発酵開始後早い時期にNo.86の占有率が20%程度まで低下し、その後醪末期までずっとK701が優勢であった。留後19日目に上槽した各区分の清酒の一般分析値を表5に示した。分析は、第四回改正国税庁所定分析法注解に記載の方法で行い、総酸、アミノ酸度は、検体10ml当りのN/10水酸化ナトリウム滴定ml数で表した。
【0029】
【表5】
Figure 0004159073
【0030】
表5の結果より、K701単独の対照1はアルコール分が19.7%、日本酒度が+3.0と醪はきれたが、No.86単独の対照2ではアルコール分が19.0%、日本酒度−5.0と醪のきれは悪かった。しかしながら、本発明1はアルコール分が19.5%、日本酒度が+1.0となり、また本発明2はアルコール分が19.2%、日本酒度が+0.5となり、更に本発明3もアルコール分が19.6%、日本酒度が+2.0となって、共に醪はきれた。次に留後19日目に上槽した各区分の清酒の低沸点香気成分をヘッドスペースガスクロマトグラフィーで分析し、その分析値を表6に示した。
【0031】
【表6】
Figure 0004159073
【0032】
表6から、吟醸香の一つであるカプロン酸エチル濃度をみると、対照1が0.7ppm、対照2が3.5ppmであり、それらのブレンドである比較例2が2.0ppm、同時混醸である比較例1も2.1ppmと対照1、対照2のほぼ中間の値となった。しかし、本発明1は3.0ppm、本発明2は3.3と比較例1及び2より高くなり、良好な香が得られた。次に官能検査を行い、その結果を表7に示した。官能検査はパネラー15名で3点法(1:良好、2:普通、3:不良)にて評価した。
【0033】
【表7】
Figure 0004159073
【0034】
表7から、味、香、総合の評点において、本発明1、2、3の評価が対照1、2より高く、更に比較例1、2よりも評価が高かった。コメントにおいても、比較例1、2は、香うく、味のバランスが悪い、味が薄いと低い評価が多かったが、本発明1、2、3は、香味のバランスが良い、香が良好、味すっきりといった良好な評価であった。
【0035】
実施例2 清酒
酵母は、10−41−3とK1401を用い、仕込開始時である水麹時の1次添加に10−41−3を、8時間後の2次添加にK1401を用いた。各試験区において、1次添加酵母と2次添加酵母の混醸比率は、本発明4が1:1、本発明5が1:3、本発明6が1:0.33である。対照としてK1401単独の対照3及び10−41−3単独の対照4を仕込んだ。また、混醸比率が1:1で、水麹時に同時混醸した比較例3を醸造した。更に、K1401単独で仕込んだ対照3の上槽酒と10−41−3単独で仕込んだ対照4の上槽酒それぞれを1:1にブレンドした比較例4も調製した。まず、それぞれの酵母を麹汁培地を用いて30℃で培養し、遠心分離により固形酵母として集菌した後、決められた時期にそれらの固形酵母を添加した。固形酵母の添加量は、それぞれの固形酵母のグラム当りの酵母数を測定した後、添加する酵母の合計数が2.5×109個になるようにした。例えば、本発明4の区分では、1次添加酵母、2次添加酵母それぞれ1.25×109個であり、本発明5の区分では、1次添加酵母が0.625×109個で2次添加酵母が1.875×109個であり、更に本発明6の区分では、1次添加酵母が1.875×109個で2次添加酵母が0.625×109個である。次に75%精白米の掛米及び麹米を用いて、実施例1と同様に、総米500gの配合で、発酵温度が15℃一定の蒸米3段仕込を実施した。
【0036】
各混醸比率の試験区で、醪中における10−41−3酵母数の全酵母数に対する占有率を検討例2の方法と同じ方法で求めた。それらの10−41−3の占有率の経過を表8に示した。
【0037】
【表8】
Figure 0004159073
【0038】
表8から、10−41−3酵母とK1401酵母が1:1の混醸区分である本発明4は、仕込開始時の10−41−3の占有率約50%を醪末期まで保っている。また本発明5は、仕込開始時の占有率約25%を醪末期まで保ち、本発明6は、仕込開始時の占有率約75%を醪末期まで保っており、どれも醪中の酵母のバランスは安定していた。しかし、同時混醸した比較例3は、発酵開始後早い時期に10−41−3の占有率が20%近くまで低下し、その後醪末期までずっとK1401が優勢であった。次に留後19日目に上槽した清酒の一般分析を実施例1と同様に行い、その結果を表9に示した。
【0039】
【表9】
Figure 0004159073
【0040】
表9より、対照3は日本酒度が+4.0と醪はきれたが、対照4は日本酒度が−4.0と醪のきれは悪かった。しかしながら、本発明4は+1.5、本発明5は+3.0、本発明6は+0.5となり、共に醪はきれた。それぞれの清酒の低沸点香気成分について実施例1と同様に分析し、その結果を表10に示した。
【0041】
【表10】
Figure 0004159073
【0042】
表10より、吟醸香の一つである酢酸イソアミル濃度をみると、対照3は7.1ppm、対照4は13.0ppmであり、それらの1:1ブレンドである比較例4は10.1ppm、また同時混醸区分である比較例3は10.4ppmであった。しかしながら、本発明4は12.0ppm、本発明5は11.2ppm、本発明6は12.9ppmとなり、、比較例3、4より高い値を示し良好であった。上槽酒の官能検査を実施例1と同様に行い、その結果を表11に示した。
【0043】
【表11】
Figure 0004159073
【0044】
味、香、総合の評点で、混醸区分である本発明4、本発明5及び本発明6の評価が対照3、4より高く、更に比較例3、4よりも評価が高かった。コメントにおいても、比較例3、4は共に、味がざらつく、香味のバランスが悪いといった低い評価が多かったが、本発明4、5、6は、香が高く、香味のバランスが良い、味が丸いといった良好な評価であった。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、少なくとも2種類の清酒酵母を混合して仕込む酵母仕込法の清酒の製造方法において、アルコール発酵能が高く醪のきれが良い酵母と醪のきれは劣るが芳香成分を高生産する酵母を、双方の酵母の添加時期を限定して仕込むことにより、仕込開始時の酵母の混醸比率を保ったまま発酵させることができた。得られた清酒は、アルコール発酵能が高く、醪が良くきれ、かつ芳香成分が多く香味に優れていた。すなわち、それらの酵母の特徴を併せ持った清酒の製造方法を提供することができる。

Claims (3)

  1. 少なくとも2種類の清酒酵母を混合して仕込む酵母仕込法による清酒の製造方法において、仕込開始時に芳香成分を高生産する酵母を添加し(1次添加)、次いでその4〜12時間後にアルコール発酵能の高い酵母を添加する(2次添加)ことを特徴とする清酒の製造方法。
  2. 芳香成分を高生産する酵母が協会No.86及び/又はFERM BP−5332酵母であり、アルコール発酵能が高い酵母が協会7号、協会701号、協会14号、及び/又は協会1401号である請求項1記載の清酒の製造方法。
  3. 芳香成分を高生産する酵母とアルコール発酵能が高い酵母の酵母数の比率が、2次添加時において、1:0.3〜1:3の範囲となるように仕込むことを特徴とする請求項1記載の清酒の製造方法。
JP2000306054A 2000-10-05 2000-10-05 清酒の製造方法 Expired - Lifetime JP4159073B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000306054A JP4159073B2 (ja) 2000-10-05 2000-10-05 清酒の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000306054A JP4159073B2 (ja) 2000-10-05 2000-10-05 清酒の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002112758A JP2002112758A (ja) 2002-04-16
JP4159073B2 true JP4159073B2 (ja) 2008-10-01

Family

ID=18786807

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000306054A Expired - Lifetime JP4159073B2 (ja) 2000-10-05 2000-10-05 清酒の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4159073B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002112758A (ja) 2002-04-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN113717870A (zh) 酿酒酵母、发酵剂及它们在酿造葡萄酒中的应用
JP4204174B2 (ja) 液体麹及びそれを用いた酒類の製造方法
CN117736890A (zh) 酵母菌和菌剂和葡萄酒及其制备方法
CN114763517B (zh) 一株耐高温酿酒酵母及其在发酵食品中的高温发酵工艺开发
CN111925951A (zh) 酿酒酵母和菌剂及其应用、白酒和黄酒以及它们的酿造方法
JP3898652B2 (ja) チロソール高生産性酵母変異株及び該酵母を用いた発酵アルコール飲料の製造法
JP4159073B2 (ja) 清酒の製造方法
JPS63309175A (ja) 変異酵母の培養法
JP5970196B2 (ja) 高酸型酵母の育種方法、及び該高酸型酵母を用いたアルコール飲料の製造方法
JP3714767B2 (ja) 酒類の製造方法
JP6582275B2 (ja) カプロン酸低生成酵母
JP4491563B2 (ja) 新規酵母及びそれを用いた清酒の製造方法
JP6839165B2 (ja) インドール生産酵母を用いる蒸留酒の製造方法およびインドール高生産酵母とその育種方法
KR102918082B1 (ko) 사카로마이세스 세레비지애 gy99 및 이를 이용한 장미향 성분이 증가된 와인의 제조방법
JP7457987B2 (ja) 吟醸香を高生産する新規ビール酵母
KR102780659B1 (ko) 에일 타입의 맥주 제조용 사카로마이세스 세레비지애 nibrfgc000502000 균주 및 이를 이용한 에일 타입의 맥주 제조 방법
JPH0884583A (ja) 新規サッカロミセス・セレビシエおよびその用途
JP7072116B1 (ja) 酢酸イソアミル高含有清酒
JP2001314182A (ja) 乳酸菌を使用する清酒の製造方法
JP4326898B2 (ja) イグサ仕込みアルコール飲料の製造方法およびアルコール飲料
CN119662359A (zh) 一种茶酒专用酒曲及其制备方法
JPH0622741A (ja) 食酢の製造方法
JP3865324B2 (ja) 新規酵母及びその用途
JPH06339365A (ja) 食酢製造用原料組成物および食酢の製造方法
CN118638654A (zh) 一种基于多菌共酵技术改善发酵产品品质的方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071003

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080327

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080331

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080714

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080714

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4159073

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110725

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110725

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140725

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250