JP4159893B2 - 放射線治療診断装置及び放射線絞り体位置校正方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は放射線治療診断装置に係り、特に放射線絞り器を有した放射線治療診断装置及び放射線絞り体位置校正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、最小侵襲治療と呼ばれる治療法が注目を集めており、悪性腫瘍治療の分野においても最小侵襲治療への積極的な試みがなされている。特に悪性腫瘍の場合、その治療の多くを外科的手術に頼っているが、従来の外科的手術による治療、即ち広範囲の組織切除を行なう場合には、その臓器がもつ本来の機能や外見上の形態を大きく損なう場合が多く、生命を存えたとしても患者に対して多大な負担を与えることになる。このような従来の外科的治療に対してQOL(quality-of-life)を考慮した最小侵襲治療法が強く望まれており、その1つの方法として、腫瘍組織に対し放射線を照射して治療を行う、所謂、放射線治療が行われている。
【0003】
特に、近年では予めX線CT装置などで腫瘍の位置や形状を正確に診断し、照射位置、照射領域の大きさ、照射方向、更には照射量などを治療計画の中で設定した後に放射線治療装置にて治療を行うため、正常の組織に対する損傷や副作用が著しく低減されるようになってきた。
【0004】
従来より用いられてきた放射線治療装置では、放射線照射領域を治療対象領域に限定するための放射線絞り器が放射線発生器と治療対象部位の間に設けられている。図13(a)は放射線絞り器を説明するための図であり、図13(b)は、この放射線絞り器に備えられた絞り体及び多分割絞り体を示す図である。放射線絞り器150は、図13(a)の紙面に対して垂直な方向(Y方向)に対して、放射線照射ビームの照射範囲を設定する1対の絞り体151a及び151bと、これと直交するX方向において照射範囲を設定する1対の多分割絞り体152a及び152bが設けられている。上述した絞り体151a及び151bは多分割絞り体152a及び152bと放射線発生器157の間で多分割絞り体152a及び152bに接近して配置されている。
【0005】
そして、これらの絞り体151a及び151bと多分割絞り体152a及び152bは放射線発生器157を中心とした円弧状の移動が可能になるように取り付けられ、絞り体151a及び151bは図示しない移動機構によって、また多分割絞り体152a及び152bはX方向移動機構154によって放射線照射ビームの中心軸158に対して接近あるいは離反が可能となっている。
【0006】
図13(b)は、放射線照射ビーム方向(Z軸方向)から見た絞り体151a及び151bと多分割絞り体152a及び152bを示しており、Y方向に並べて設けられた絞り体151aと151bの間隔によってY方向の放射線照射幅が決定される。一方、X方向に並べて設けられた多分割絞り体152a及び152bの夫々は、微小幅hを有したN枚の絞りブロック155a−1乃至155a−Nと155b−1乃至155b−Nから構成され、これらの絞りブロック155a−1乃至155a−Nと155b−1乃至155b−Nの夫々に接続して設けられた移動機構54によってY方向に対する放射線照射幅が決定される。
【0007】
上述の放射線絞り器150によって、その開口形状を任意に設定することが可能となり、従って放射線絞り器150を用いることによって、例え腫瘍156が不規則な形状を有している場合であっても、最適な照射領域を設定することが可能となる(例えば、特許文献1参照。)。但し、腫瘍156の不規則な形状に対してより正確な開口形状を設定するためには前記絞りブロック155a−1乃至155a−N、及び155b−1乃至155b−Nの幅hを細くし、絞りブロック数Nを増大させる必要がある。また、隣接する絞りブロック間の隙間からの放射線漏洩を許容値以下に抑えるためには、この隙間を0 .1mm以下に設定する必要がある。
【0008】
このような多分割絞り体152a及び152bを有した放射線治療装置においては、腫瘍156の形状等の情報に基づいて放射線絞り器150の開口形状を設定する前に、絞りブロック155a及び155bの初期位置(以下では絞り原点位置と呼ぶ)が正確に設定されていることが必要となる。このため、例えば放射線治療装置の据付け時、あるいは定期的に上記絞り原点位置に関する校正が必要であった。
【0009】
従来、絞り原点位置の校正は光学的な方法によって行われ、この方法では、放射線絞り器150の内部に光源とミラーを設け、この光源から照射される光の光軸を放射線照射ビームの中心軸158と一致させて設定することにより、光の投影によって方眼紙上に形成される光学像から、絞りブロック155a及び155bの絞り原点位置の校正を行ってきた。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−210026号公報(第2−3頁、第9−13図)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来行われてきた放射線絞り器150の校正では、絞りブロック155a−1乃至155a−N、及び155b−1乃至155b−Nの夫々についての光学像から、その絞り原点位置が所定の位置にあるか否かを観測し、位置誤差(ズレ)がある場合にはX方向移動機構154をマニュアル操作して校正していたため、多くの手間と時間を要した。
【0012】
また、この絞り原点位置の校正において用いられる光学的な照射域と、実際の放射線による照射域とは、光と放射線の波長の違いや照射軸のズレ等の原因により誤差が発生し易かった。更に、上記の校正作業は煩雑であるゆえ校正者の技量と経験が要求され、このような校正を専門的に行うサービスエンジニアの支援が必須であった。このため、何らかの理由により絞りブロック155a及び155bの絞り原点位置に突然の誤差が発生した場合には、一連の医療行為を中断させなくてはならなかった。
【0013】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、多分割絞り体により得られた放射線透過画像データを用いて、絞りブロックの位置誤差の校正を行うことにより、短時間で正確な絞りブロックの校正を可能とした放射線治療診断装置及び放射線絞り体位置校正方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明の放射線治療診断装置では、放射線を発生する放射線発生手段と、この放射線発生手段によって発生する放射線の照射領域を設定する放射線絞り手段と、この放射線絞り手段を介して前記放射線発生手段から照射される放射線を検出する放射線検出手段と、この放射線検出手段によって検出される前記放射線絞り手段の絞り体の放射線画像データを生成する画像データ生成手段と、この画像データ生成手段によって生成された前記絞り体の放射線画像データを表示する表示手段と、前記放射線絞り手段における絞り体を移動する絞り移動手段とを備え、前記絞り移動手段は、前記画像データ生成手段によって生成された前記絞り体の放射線画像データに基づいて前記絞り体を予め定められた位置に移動することを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に係る本発明の放射線治療診断装置では、放射線を発生する放射線発生手段と、この放射線発生手段によって発生する放射線の照射領域を設定する放射線絞り手段と、この放射線絞り手段を介して前記放射線発生手段から照射される放射線を検出する放射線検出手段と、この放射線検出手段によって検出される前記放射線絞り手段の絞り体における放射線透過量に基づいて、前記絞り体の放射線画像データを生成する画像データ生成手段と、この画像データ生成手段によって生成された前記絞り体の放射線画像データを表示する表示手段と、前記放射線絞り手段における絞り体を所定の位置に移動する絞り移動手段と、前記絞り体の基準位置を設定する基準位置設定手段と、前記画像データ生成手段によって生成された前記絞り体の放射線画像データを用いて、前記絞り体の基準位置に対する位置誤差を検出する絞り体位置検出手段とを備え、前記絞り移動手段は、前記絞り体位置検出手段によって検出された前記絞り体の位置誤差に基づいて前記絞り体を移動して前記基準位置に設定することを特徴とする。
【0016】
一方、請求項13に係る本発明の放射線絞り体位置校正方法は、絞り体に対して得られた放射線画像データより予め設定された基準位置に対する前記絞り体の位置誤差を検出し、この検出結果に基づいて前記絞り体位置の校正を行う放射線治療診断装置の放射線絞り体位置校正方法であって、前記絞り体の基準位置を設定するステップと、この基準位置に対して前記絞り体を移動させるステップと、この絞り体に対して放射線を照射して放射線画像データの生成を行うステップと、この放射線画像データより、前記基準位置に対する前記絞り体の位置誤差を検出するステップと、検出された位置誤差に基づいて前記絞り体を移動機構によって移動させて位置誤差の校正を行うステップとを有することを特徴とする。
【0017】
また、請求項14に係る本発明の放射線絞り体位置校正方法は、絞り体に対して得られた放射線画像データにおいて予め設定された基準位置に対する前記絞り体の位置誤差を検出し、この検出結果に基づいて位置の校正を行う放射線治療診断装置の放射線絞り体位置校正方法であって、前記絞り体の基準位置を設定するステップと、移動位置記憶手段に保存された機構原点位置データに基づき、前記基準位置に対して前記絞り体を移動させるステップと、この絞り体に対して放射線を照射して放射線画像データの生成を行うステップと、この放射線画像データにおいて、前記基準位置に対する前記絞り体の位置誤差を検出するステップと、検出された位置誤差に基づいて前記絞り体を移動機構を用いて移動し、位置誤差の校正を行うステップと、校正後の前記移動機構の移動位置を検出するステップと、この移動位置の検出結果を新たな機構原点位置データとして前記移動位置記憶手段に保存するステップとを有することを特徴とする。
【0018】
したがって本発明によれば、多分割絞り体に対して得られた放射線透過画像データを用いて絞りブロックの位置誤差の校正を行うことにより、短時間で正確な絞りブロックの校正が可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の特徴は、多分割絞り体における絞りブロックの原点位置の校正を行う際に、この絞りブロックに放射線を照射して得られる放射線透過画像データから、前記絞りブロックの位置と予め設定された基準位置との差異を自動的に検出し、この検出結果に基づいて移動機構を制御して絞りブロックの位置が基準位置に一致するように調整を行うことにある。
【0020】
以下,本発明の実施の形態における放射線治療診断装置の構成について図1乃至図5を用いて説明する。尚、図1は放射線治療診断装置全体の概略構成を示す図であり、図2は放射線治療診断装置の構成を示すブロック図である。また、図3はこの放射線治療診断装置の放射線絞り器の説明図である。
【0021】
図1において、放射線治療診断装置100は、床面に固定されて据付けられた固定架台1と、固定架台1の側面で連結され、この連結部において回転自在に保持されている回転架台2と、回転架台2のL字型アーム2aの先端部に設けられ、患者の治療部位(腫瘍部位)に対して放射線を照射する放射線発生器3と、前記放射線発生器3の放射線照射部近傍に設けられ、患者の治療部位に対する放射線照射領域を設定する放射線絞り器4と、この放射線絞り器4の移動とその制御行う絞り移動機構部7を備えている。
【0022】
更に放射線治療診断装置100は、放射線発生器3から照射された放射線を検出する放射線検出部5と、患者90を載せ、その治療部位が放射線照射領域に一致するように前記患者90を移動させて所定位置に設定する天板6が備えられている。その他に、この放射線治療診断装置100には、図2に示す画像演算記憶部8、操作部9、表示部10及びシステム制御部11などが設けられている。
【0023】
このような概略構成をした本実施の形態の放射線治療診断装置100について図2のブロック図を用いて更に詳しく説明する。図2の放射線治療診断装置100の放射線発生部12は、患者90の治療部位に対し放射線を発生する放射線発生器3と、この放射線発生器3から放射される放射線の強度などの照射条件を設定するための放射線発生制御回路17と、前記放射線発生器3から放射された放射線を患者90の治療対象部位のみに照射するための放射線絞り器4を備えている。前記放射線発生器3から放射された放射線を治療部位に照射することによって癌細胞あるいは腫瘍細胞などを死滅させて治療が行われる。
【0024】
放射線絞り器4は、図3に示すように第1の方向(図3(a)のY方向)に対する照射範囲を設定する1対の絞り体41a及び41bと、これと直交する第2の方向(図3(b)のX方向)において照射範囲を設定する1対の多分割絞り体42a及び42bが設けられ、前記多分割絞り体42a及び42bは夫々N個の絞りブロックから構成されている。そして、この絞りブロックの各々を絞り移動機構部7の移動機構14を用いて所定の位置に移動することによって任意の形状の放射線照射領域91を設定することが可能となる。
【0025】
即ち、前記絞り体41a及び41bにはY方向移動機構43が、また前記多分割絞り体42a及び42bの各々N個の絞りブロックにはX方向移動機構44が接続されている。図4は多分割絞り体42aに設けられた絞りブロック45a−1乃至45a−Nと、これらの絞りブロック45aを移動するX方向移動機構44a−1乃至44a−N、及び多分割絞り体42bに設けられた絞りブロック45b−1乃至45b−Nと、これらの絞りブロック45bを移動するX方向移動機構44b−1乃至44b−Nを示しており、絞りブロック45a及び45bはY方向移動機構44a及び44bによって独立に移動可能となっている。
【0026】
図2の天板6は、放射線絞り器4と放射線検出部5の間に設置され、患者90を載せて、例えば体軸方向(図面に垂直な方向)等へ移動させることによって、放射線照射ビームに対する治療対象部位の最適な位置決めを行う。
【0027】
次に放射線検出部5は、放射線絞り器4や患者90を透過した放射線を電荷に変換して蓄積する平面検出器21と、この平面検出器21に蓄積された電荷を放射線透過データとして読み出すためのゲートドライバ22と、前記平面検出器21から読み出された電荷を透過画像データに変換する画像データ生成部20とを備えている。
【0028】
平面検出器21は、図5に示すように放射線を検出する微小な検出素子51を列方向及びライン方向に2次元的に配列して構成されており、各々の検出素子51は放射線を感知し、入射放射線量に応じて電荷を生成する光電膜52と、この光電膜52に発生した電荷を蓄積する電荷蓄積コンデンサ53と、この電荷蓄積コンデンサ53に蓄積された電荷を所定のタイミングで読み出すTFT(薄膜トランジスタ)54を備えている。以下では説明を簡単にするために、例えば、検出素子51が列方向(図5の上下方向)、及びライン方向(図5の左右方向)に2素子づつ配列されている場合の平面検出器21の構成について説明する。
【0029】
光電膜52−11、52−12、52−21、52−22の第1の端子と、電荷蓄積コンデンサ53−11、53−12、53−21、53−22の第1の端子は接続され、更に、その接続点はTFT54−11、54−12、54−21、54−22のソース端子へ接続される。一方、光電膜52−11、52−12、52−21、52−22の第2の端子は、図示しないバイアス電源に接続され、電荷蓄積コンデンサ53−11、53−12、53−21、53−22の第2の端子は接地される。更に、ライン方向のTFT54−11及びTFT54−21のゲートはゲートドライバ22の出力端子22−1に接続され、また、TFT54−12、及びTFT54−22のゲートはゲートドライバ22の出力端子22−2に接続される。
【0030】
一方、列方向のTFT54−11及び54−12のドレイン端子は信号出力線59−1に共通接続され、また、TFT54−21及び54−22のドレイン端子は信号出力線59−2にそれぞれ共通接続される。そして、信号出力線59−1、59−2は画像データ生成部20に接続されている。このような構成の平面検出器21では通常1mm以下の最大検出分解能が得られ、従って多分割絞り体42a及び42bの絞りブロック45a及び45bの位置検出に要求される精度1mmを満たす分解能を有している。
【0031】
尚、放射線検出部5には、上記のように放射線を直接電荷に変換するものと、光に変換した後電荷に変換するものとがあり、本実施の形態では前者を例に説明するが後者であっても構わない。
【0032】
次に図2に戻り、ゲートドライバ22は、放射線照射によって検出素子51の光電膜52で発生し電荷蓄積コンデンサ53にて蓄積される信号電荷を読み出すために、TFT54のゲート端子に読み出し用の駆動パルスを供給する。
【0033】
一方画像データ生成部20は、平面検出器21から読み出された電荷を電圧に変換する電荷・電圧変換器23と、この電荷・電圧変換器23の出力をデジタル信号に変換するA/D変換器24と、平面検出器21からライン単位でパラレルに読み出される画像信号をシリアルな信号に変換するパラレル・シリアル変換器25とを備えている。
【0034】
絞り移動機構部7は、放射線発生部12の放射線絞り器4における絞り体41a及び41bや、多分割絞り体42a及び42bを放射線発生器3を中心に円弧状に移動する移動機構14と、この移動機構14を制御する絞り移動制御回路13と、移動機構14の移動位置を検出する位置検出器15と、この位置検出器15によって検出された位置情報を保存する位置記憶回路16を備えている。
【0035】
移動機構14は、更に絞り体41a及び41bを放射線照射軸に対してY方向に接近あるいは離反させるY方向移動機構43a及び43bと、既に図4において示したように、多分割絞り体42aの絞りブロック45a−1乃至45a−N、及び多分割絞り体42bの絞りブロック45b−1乃至45b−Nの各々を放射線照射軸に対してX方向に接近あるいは離反させるX方向移動機構44a−1乃至44a−N、及び44b−1乃至44b−Nを備えている。これらの移動機構の各々にはモータとエンコーダが設けられ、モータの回転位置(回転角度)を示す信号がエンコーダによって出力される。この移動機構の具体的な構成については、既に示した特許文献1などで述べられているため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0036】
絞り移動制御回路13は、絞り原点位置の校正においては基準位置の設定を行うと共に、この基準位置に対して多分割絞り体42a及び42bの絞りブロック45a及び45bを移動させるための駆動信号を移動機構14のX方向移動機構44に供給する。また放射線照射領域91の設定の際には、X線CT装置などによる画像診断の結果決定された治療計画に基づいて放射線照射領域91の位置や形状などを設定し、この放射線照射領域91に対応した絞り開口を形成するための駆動信号を移動機構14のY方向移動機構43a及び43bやX方向移動機構44a−1乃至44a−N及び44b−1乃至44b−Nに供給する。
【0037】
位置検出器15は、移動機構14のX方向移動機構44a−1乃至44a−N及び44b−1乃至44b−Nのモータに設けられているエンコーダからの信号を受信し前記モータの回転位置の検出を行う。特に絞りブロック45a及び45bの校正の結果、絞りブロック45a及び45bの前記基準位置への移動に要したモータの回転位置の検出を行い、検出結果を位置記憶回路16に保存する。
【0038】
位置記憶回路16には、前記位置検出器15から供給されるモータの回転位置情報が保存される。基準位置に対するモータの回転位置情報はX方向移動機構44a−1乃至44a−N及び44b−1乃至44b−Nにおける機構原点位置データとして、絞り原点位置に関する次回の校正によって更新されるまで位置記憶回路16において保存される。そして放射線治療における絞り開口の設定の際には、X方向移動機構44a及び44bによる絞りブロック45a及び45bの移動は、前記機構原点位置データを基準に行われる。尚、放射線治療診断装置100には、上記絞り移動機構部7の他に、天板6を移動させる機構部や回転架台2を回転させるための機構部などが設けられているが、図2のブロック図では記載を省略している。
【0039】
次に、画像演算記憶部8は、前記放射線検出部5においてライン単位で順次出力される放射線透過画像データを保存する画像データ記憶回路19と、この画像データから絞りブロック45a及び45bの位置の検出を行う画像演算回路18を備えている。画像演算回路18は、放射線検出部5の画像データ生成部20にて生成される透過画像データにおける絞りブロック45a及び45bの投影データに基づいて、前記絞りブロック45a及び45bの基準位置に対する位置誤差を検出する。
【0040】
操作部9は、表示パネル、キーボード、各種スイッチ、マウス等を備えたインターラクティブなインターフェースである。この操作部9より患者IDを入力することにより、患者情報、治療部位の位置や形状、更には治療部位に対する最適な放射線照射条件などの情報が、ネットワークを介して放射線治療装置100と接続されている図示しない治療計画装置の記憶回路から読み出され、操作部9の表示パネルに表示される。また、操作部9より絞りブロック45a及び45bの校正に関する指示信号、あるいは治療に関する各種の指示信号の入力が行われ、これらの指示信号はシステム制御部11を介して各ユニットに送られる。
【0041】
表示部10は、画像演算記憶部8の画像データ記憶回路19に保存されている透過画像データの表示を行う。即ち、絞りブロック45a及び45bの校正が行われる場合には、この絞りブロック45a及び45bの初期位置や校正における移動の状態がほぼリアルタイムで表示される。一方、患者90の治療部位に対して放射線を照射する際には、この治療部位における放射線透過画像データの表示が行われる。この表示部10は、上記画像データと、これらの画像データの付帯情報である数字や各種文字などを合成して一旦保存する表示用画像記憶回路31と、この画像データや付帯情報をアナログ映像信号に変換するD/A変換器32と、前記映像信号を表示する液晶、あるいはCRTのモニタ33を備えている。
【0042】
システム制御部11は、CPUと記憶回路を備え、操作部9から送られてくる操作者の各種指示信号を一旦記憶した後、これらの指示に基づいて透過画像データの収集や表示の制御、あるいは絞りブロック45a及び45bの校正のための絞り移動機構部7の制御などシステム全体の制御を行なう。また、前記記憶回路には放射線発生部12の放射線発生器3、多分割絞り体42、アイソセンタ及び放射線検出部5の平面検出器21の位置情報、更には平面検出器21における検出素子51の配列仕様など、絞りブロック45a及び45bの位置検出に必要な情報が予め保存されている。尚、前記アイソセンタとは、図1における回転架台2の固定架台1に対する回転軸と放射線絞り器4の中心軸(即ち放射線照射ビームの中心軸)との交点70である。
【0043】
尚、放射線治療診断装置100は、上記の基本構成の他に図示しないインターフェイスを備え、このインターフェイスはネットワークを介して治療計画装置に接続されている。そして、この治療計画装置には、患者90の治療部位に対してX線CT装置などを用いて行われた画像診断の結果に基づいて設定された放射線治療計画が保存されている。
【0044】
次に、図1乃至図12を用いて本実施の形態における放射線絞り器4の多分割絞り体42a、及び42bを構成する絞りブロック45a、及び45bの絞り原点位置の校正手順について説明する。尚、図6は絞り原点位置の校正手順のフローチャートを示す。
【0045】
まず、操作者は操作部9において絞りブロック45a及び45bの絞り原点位置校正コマンドを入力する(図6のステップS1)と、システム制御部11は、このコマンド信号を受け、システム制御部11の記憶回路に予め保存されている放射線発生部12の放射線発生器3、多分割絞り体42a及び42b、アイソセンタ、放射線検出部5の平面検出器21等の位置や距離情報(特に放射線照射方向における距離関係)、更には前記平面検出器21における検出素子51の配列仕様など、透過画像データにおける絞りブロック45a及び45bの位置の検出に必要な情報を画像演算記憶部8の画像演算回路18に供給して保存する(図6のステップS2)。
【0046】
次いで操作者は操作部9において、絞りブロック45a及び45bの絞り原点位置の校正を行うための基準位置を設定し、絞りブロック45a及び45bをこの基準位置に移動させる。即ち、図7に示すように、放射線照射ビームの中心軸61と絞りブロック45a及び45bの移動方向(X方向)に直交する多分割絞り体42の中心軸62に対して、絞りブロック45a及び45bの移動方向に距離−Dだけ平行移動した軸を基準位置63a、また距離Dだけ平行移動した軸を基準位置63bに設定する。
【0047】
そして、操作部9において絞りブロック45a及び45bの基準位置63a及び63bへの移動コマンド信号を入力することによって、絞り移動機構部7の移動機構14に設けられているX方向移動機構44は絞りブロック45a−1乃至45a−Nを基準位置63aに、また絞りブロック45b−1乃至45b−Nを基準位置63bに移動する(図6のステップS3)。このとき、絞りブロック45a及び45bあるいはX方向移動機構44の初期位置に誤差がある場合、移動後の絞りブロック45a及び45bには図7に示すように基準位置63a及び63bに対して位置誤差d1乃至d4が発生する。
【0048】
以下では、このような絞りブロック45a及び45bに対して放射線透過画像データを収集し、得られた透過画像データから絞りブロック45a及び45bの位置誤差の検出を行う。次いで、この検出結果に基づいて前記位置誤差を校正して、更に機構原点位置の再設定を行う手順について述べる。
【0049】
操作者は操作部9において、放射線絞り器4の絞りブロック45a及び45bの透過画像データ収集における種々の撮影条件を入力した後、透過画像データ収集コマンドを入力する。このコマンド信号が操作部9よりシステム制御部11に供給されると、システム制御部11は放射線発生部12の放射線発生制御回路17に制御信号を送り、放射線発生制御回路17は、この制御信号に従って駆動信号を放射線発生器3に供給して放射線を放射線絞り器4に照射する(図6のステップS4)。そして、放射線絞り器4を透過した放射線は、放射線検出部5の平面検出器21によって検出される。
【0050】
次に、放射線検出部5の構成を示した図8と、平面検出器21における信号読み出しのタイムチャートを示した図9を用いて、絞りブロック45a及び45bの透過画像データの生成手順を説明する。
【0051】
図8において、平面検出器21はライン方向にM個、列方向にN個、2次元配列された検出素子51から構成されている。この平面検出器21において、ライン方向に配列されたM個の検出素子51のそれぞれの駆動端子(即ち、図2に示すTFT54のゲート端子)は共通接続され、ゲートドライバ22の出力端子に接続される。例えば、ゲートドライバ22の出力端子22−1は検出素子51−11、51−21、51−31、・・・51−M1の各駆動端子に接続され、ゲートドライバ22の出力端子22−Nは検出素子51−1N、51−2N、51−3N、・・・51−MNの各駆動端子に接続される。
【0052】
一方、列方向に配列されたN個の検出素子51のそれぞれの出力端子(即ち、図5に示すTFT54のドレイン端子)は信号出力線59によって共通接続され、この信号出力線59は画像データ生成部20の電荷・電圧変換器23の入力端子に接続される。例えば、検出素子51−11、51−12、51−13、・・・51−1Nの出力端子は信号出力線59−1によって共通接続され、この信号出力線59−1は電荷・電圧変換器23−1に接続される。同様にして、検出素子51−M1、51−M2、51−M3、・・・51−MNの出力端子は信号出力線59−Mによって共通接続され、この信号出力線59−Mは電荷・電圧変換器23−Mに接続される。
【0053】
図9は、放射線の照射タイミング、ゲートドライバ22の出力信号及び検出素子51の出力信号を示したものであり、システム制御部11からの制御信号に基づいて、放射線発生部12は図9(a)の時間t0a乃至t0bの期間に被検体45に対して放射線を照射し、検出素子51は被検体45を透過した放射線を受信して、その放射線照射強度に比例した信号電荷を電荷蓄積コンデンサ53に蓄積する。この放射線照射が終了すると、システム制御部11はゲートドライバ22にクロックパルスを供給し、ゲートドライバ22はその出力端子22−1乃至22−Nから図9(b)乃至図9(d)に示すような駆動パルスを順次出力する。
【0054】
ゲートドライバ22は駆動回路で、検出素子51にて蓄積された電荷をTFT54を介して信号出力線59に読み出すために、TFT54のゲート端子に読み出し用の駆動パルス(ON電圧)を供給する。この駆動パルスをゲート端子に供給することによってTFT54を導通(ON)状態にし、電荷蓄積コンデンサ53に蓄えられた信号電荷を信号出力線59に出力する。
【0055】
図9(a)の時間t0a乃至t0bの期間において放射線の照射が行われた後、ゲートドライバ22の出力端子22−1は時間t1a乃至t1bの期間においてON電圧になり(図9(b))、第1ラインの検出素子51−11、51−21,・・・,51−M1を駆動する。そして、これらの検出素子51に蓄積された信号電荷を信号出力線59−1乃至59―Mに出力する。信号出力線59−1乃至59−Mに出力された信号電荷は、電荷・電圧変換器23−1乃至23−Mにおいて電荷から電圧に変換され、更に、A/D変換器24−1乃至24−Mにおいてデジタル信号に変換される。システム制御部11は、A/D変換器24−1乃至24−Mの出力をパラレル・シリアル変換器25のメモリ25−1乃至25−Mにパラレル入力して一旦保存した後、シリアルに読み出して第1ラインの画像データとして画像演算記憶部8の画像データ記憶回路19に保存する。
【0056】
次に、時間t2a乃至t2bの期間においてゲートドライバ22は、その出力端子22−2のみをON電圧にして(図9(c))、第2ラインの検出素子51−12、51−22、51−32,・・・,51−M2に蓄積された信号電荷を信号出力線59−1乃至59−Mに出力し、出力された信号電荷は、電荷・電圧変換器23−1乃至23−MやA/D変換器24−1乃至24−Mに送られる。次いで、システム制御部11は、A/D変換器24−1乃至24−Mの出力をパラレル・シリアル変換器25のメモリ25−1乃至25−Mに保存した後、第2ラインの画像データとして画像データ記憶回路19に保存する。
【0057】
以下同様にして、ゲートドライバ22の出力端子22−3乃至22−Nが順次ON電圧になると、第3ライン乃至第Nラインに配置された検出素子51は内部に蓄積していた信号電荷を順次信号出力線59−1乃至59−Mに出力し、この信号電荷は電荷・電圧変換器23−1やA/D変換器24−1を介してパラレル・シリアル変換器25に一旦記憶され、更に、画像演算記憶部8の画像データ記憶回路19において第3ライン乃至第Nラインの画像データとして保存される(図6のステップS5)。
【0058】
画像データ記憶回路19において絞りブロック45a及び45bの放射線透過画像データが生成されたならば、システム制御部11は、画像データ記憶回路19に保存された透過画像データを表示部10の表示用画像メモリ31に一旦保存し、更に、D/A変換器32によってD/A変換を行った後モニタ33にて表示する。このとき、前記モニタ33には、図7に示した基準位置63aあるいは63bに対して誤差d1乃至d4を有した絞りブロック45a及び45bを透過し、平面検出器21の変換素子51において素子サイズΔPxで量子化されて検出された透過画像データが表示される。
【0059】
図10は、上記手順によって絞りブロック45a及び45bの透過画像データを収集する際に、画像演算記億部8の画像データ記憶回路19に保存された絞りブロック45a及び45bの透過画像データを模式的に示したものである。以下では説明を容易にするために、画像データ記憶回路19の記憶素子の配列と放射線検出部5の平面検出器21における変換素子51の配列は対応している場合を例に説明するが、この配列方法については限定されない。即ち、図10の水平方向(ライン方向)は平面検出器21のライン方向と絞りブロック45a及び45bの移動方向(X方向)に対応し、垂直方向(列方向)は平面検出器21の列方向と絞りブロック45a及び45bのY方向に対応している。
【0060】
また、図10は図7の破線にて囲われた領域Aが平面検出器21に投影されて得られた透過画像データを示しており、絞りブロック45及び平面検出器21と放射線発生器3との距離を各々r1及びr2とすれば、絞りブロック45の実際の大きさと平面検出器21における透過画像の比(画像倍率)α1はα1=r2/r1となる。従って、図6に示した絞りブロック45a及び45bの基準位置63aに対する誤差d1及びd2の平面検出器21での誤差d1’及びd2’は、夫々d1’=α1d1及びd2’=α1d2となる。但し図10に示した平面検出器21における絞りブロック45a及び45bの誤差d1’及びd2’は、平面検出器21の検出素子51の素子サイズΔPxによって量子化され、d’1=4ΔPx及びd’2=6ΔPxとなっている。
【0061】
ところで、本実施の形態の放射線治療診断装置100では、平面検出器21と、多分割絞り体42a及び42bを構成する絞りブロック45a及び45bの相対位置関係は一義的に決定され、従って前記絞りブロック45a及び45bの位置と、この絞りブロック45a及び45bの透過像が投影される平面検出器21の検出素子51の位置も一義的に対応づけられている。例えば、絞りブロック45a−1の透過画像データは第1ライン乃至第3ラインから得られ、絞りブロック45a−2及び45a−3の透過画像データは第4ライン乃至第6ライン、及び第7ライン乃至第9ラインから得られる。
【0062】
上記のようにして、画像演算記憶部8の画像データ記憶回路19に保存された絞りブロック45a、及び45bの透過画像データに対して、画像演算回路18は、例えば最初の絞りブロック45a−1の位置を検出するために、平面検出器21の第2ラインの検出素子51によって得られた透過画像データを読み出す。
【0063】
図11は画像演算記憶部8の画像データ記憶回路19に保存された第2ラインの透過画像データを模式的に示したものであり、この第2ラインのデータを構成する画素のうち、画素Px−mは既に操作部9において設定された基準位置63aに対応している。そして、絞りブロック45a−1の投影領域(〜Px−(m+4))に比して絞り開口部の投影領域(Px−(m+5))において大きな放射線照射量が検出される。画像演算回路18は、この第2ラインの透過画像データの各画素における輝度(放射線照射量)を左端から順次比較し、顕著な増加が発生する直前の画素番号(Px−(m+4))を絞りブロック45a−1の端部に対応した画素として認識する。
【0064】
次いで、画像演算回路18は、画素Px−(m+4)から基準位置63aに対応した画素Px−mまでの画素数(4画素)を求め、平面検出器21における位置誤差d1’をd1’=4ΔPxによって算出する。更に、この位置誤差d1’から実際の絞りブロック45a−1における位置誤差d1をd1=d1’/α1によって算出することができる。但し上記α1は、既に述べたように絞りブロック45a−1の実際の大きさと平面検出器21における絞りブロック45a−1の透過画像の比(画像倍率)である。以下同様の手順によって絞りブロック45a−2乃至45a−Nにおける位置誤差(d2、d3・・・)についても算出することが可能となる(図6のステップS6)。
【0065】
尚、絞りブロック45b−1乃至45b−Nの位置誤差については絞りブロック45a−1乃至45a−Nと同様に算出することが可能である。但し、この場合は放射線照射量が大きな値から小さな値に変化する直後の画素を絞りブロック45b−1乃至45b−Nの端部に対応した画素として認識する。
【0066】
次に、上記の位置誤差の検出手順について具体的な数値を用いて説明する。但し、絞りブロック45a及び45bの位置や形状は、一般にアイソセンタへの投影像上にて定義される場合が多いため、ここではアイソセンタへの投影像における位置誤差について説明する。例えば、放射線発生器3とアイソセンタとの距離が1000mm、アイソセンタと平面検出器21との距離が390mm、平面検出器21の画素サイズが0.5mm、アイソセンタにおける多分割絞り体42の中心軸(図7の62)の投影位置と基準位置63a及び63bの投影位置との距離(基準位置の絞り開度)を100mmとした場合、平面検出器21における多分割絞り体42の中心軸62と基準位置63a及び63bとの距離は278画素に相当し、この平面検出器21において例えば6画素分の位置誤差が発生した場合、アイソセンタ上での位置誤差は2mmとなる。
【0067】
以上述べた手順により、画像演算回路18は絞りブロック45a−1乃至45a−N、及び45b−1乃至45b−Nの位置誤差を検出したならば、この検出結果をシステム制御部11に供給し、システム制御部11はこの値を絞り移動制御回路13に送る。そして絞り移動制御回路13は、移動機構14のX方向移動機構44に対して前記検出結果に基づいて駆動信号を供給し、絞りブロック45a−1乃至45a−N及び45b−1乃至45b−Nを移動して、夫々の位置誤差に対して校正を行う(図6のステップS7)。
【0068】
全ての位置誤差に対して校正作業が終了したならば、校正後の絞りブロック45a−1乃至45a−N及び45b−1乃至45b−Nに対して再び放射線を照射し、更に上述の手順により位置誤差の検出を行う。そして、位置誤差が消失していることを確認したならば(図6のステップS8)、このときのX方向移動機構44におけるモータ回転位置を位置検出器15によって検出し(図6のステップS9)、その検出結果を機構原点位置として位置記憶回路16に保存する(図6のステップS10)。一方、上記の再照射により位置誤差の検出を行った結果、位置誤差が残存している場合には、これらの位置誤差が無くなるまで上述と同様の手順により校正を繰り返す(図6のステップS8)。図12は絞り原点位置の校正が完了した時点の絞りブロック45a及び45bの透過画像を示したものであり、絞りブロック45a−1乃至45a−Nの端部は基準位置63aに、また絞りブロック45b−1乃至45b−Nの端部は基準位置63bに一致している。
【0069】
上記の手順によって多分割絞り体42a及び42bにおける絞りブロック45a及び45bの絞り原点位置の校正と、移動機構14のX方向移動機構44の機構原点位置の更新が終了したならば、システム制御部11は校正終了の信号を操作部9の表示パネル、あるいは表示部10のモニタ33に表示する(図6のステップS11)。
【0070】
上記絞りブロック45a及び45bの校正が終了したならば、操作者は、操作部9より放射線治療準備のコマンド信号をシステム制御部11に供給し、システム制御部11は、ネットワークを介して同じ医療施設内に設置されている治療計画装置に接続する。次いで、操作者によって患者IDが操作部9に入力されることによって、システム制御部11は、前記治療計画装置に既に保存されている前記患者IDに対応した患者情報やこの患者90の治療に対応した各種撮影条件を読み出し、システム制御部11の記憶回路に保存すると共に操作部9の表示パネルに表示する。
【0071】
次いで、システム制御部11は、前記撮影条件の中から、患者90の治療部位の位置や大きさなどに基づいて設定された放射線絞り器4の絞り開口に関する情報を絞り移動機構部7の絞り移動制御回路13に供給する。一方絞り移動制御回路13は、位置記憶回路16に保存されているX方向移動機構44の機構原点位置を読み出し、この機構原点位置情報とシステム制御部11から送られてくる絞り開口情報に基づいて、絞りブロック45a及び45bを所定位置に移動するための駆動信号を移動機構14に与える。
【0072】
そして、操作者は、放射線絞り器4の開口形状が予め治療計画において設定された開口形状と一致していることを確認したならば、患者90を天板6に載せた後放射線治療開始のコマンド信号をシステム制御部11に供給し、システム制御部11は治療計画装置から供給された治療計画に基づいて各ユニットを制御して治療を行う。
【0073】
なお、治療中においては、患者90の治療部位と放射線絞り器4における絞り開口形状を、表示部10のモニタ33に表示される放射線透過画像においてほぼリアルタイムでの観察することが可能であるため、操作者は治療部位が常に最適な位置あるいは範囲で治療されていることを確認することが可能である。
【0074】
以上述べた本実施の形態によれば、多分割絞り体42a及び42bの絞りブロック45a及び45bに対して得られた放射線透過画像データにおいて、前記絞りブロック45a及び45bの位置誤差を自動検出することができる。そして、この検出結果を前記絞りブロック45a及び45bのX方向移動機構44にフィードバックして絞り原点位置の校正を行うため、正確な校正を短時間かつ簡便に行うことが可能となる。即ち、本実施の形態の放射線治療装置100では、装置による絞り原点位置の自動校正が可能となるため、何らかの理由で突然絞り原点位置に誤差が発生するようなことがあっても、従来のようなサービスエンジニアの専門技能に依存する必要がなく、このため、治療行為が長時間中断されることが無くなり、治療効率が向上する。
【0075】
(変形例)
次に、本実施の形態の変形例について述べる。この変形例では操作部9において、絞り移動機構部7の移動機構14に対してマニュアル駆動が可能な図示しない移動機構操作部を備え、この移動機構操作部において移動させる絞りブロック45a及び45bの選択と、選択された絞りブロック45a及び45bの移動方向の指定を行う。更に移動機構操作部には、移動開始及び停止の指示と移動速度の設定を行う移動レバーが設けられている。例えば、移動機構操作部における絞りブロック45a及び45bの選択は、マウスを用いて表示部10のモニタ33に表示される絞りブロック45a及び45bの透過画像に対して行うことが可能となっている。
【0076】
このような機能を有した移動機構操作部を操作部9に設けた放射線治療診断装置100において、操作者はこのマニュアル校正のコマンド信号を入力することによって、システム制御部11は放射線発生制御回路17に制御信号を送り、放射線発生制御回路17の駆動信号によって、放射線発生器3は絞りブロック45a及び45bに対してほぼ連続的に放射線を照射しながら透過画像データの収集と表示を行う。このとき操作者は、表示部10のモニタ33に表示される絞りブロック45a及び45bの端部位置と前記透過画像データの付帯情報である基準位置63a及び63bを比較し、位置誤差が発生している絞りブロック45a及び45bを操作部9において選択する。更に、選択された絞りブロック45a及び45bの移動方向を指定した後、操作部9の移動レバーを用いて絞りブロック45a及び45bの所定方向への移動を指示する。
【0077】
一方、操作部9にて行われる上記絞りブロック45a及び45bの選択と移動方向の指定、移動開始及び停止の指示、更には移動速度の設定等に関する情報はシステム制御部11を介して絞り移動機構部7の絞り移動制御回路13に送られ、絞り移動制御回路13はこれらの情報に基づいて移動機構14を駆動する。
【0078】
そして、操作者は、表示部10のモニタ33において、絞りブロック45a及び45bの移動を観察し、その端部位置と前記透過画像上の基準位置63a及び63bが一致したならば絞りブロック45a及び45bの移動を停止する。このような校正を絞りブロック45a及び45bの全てに対して行った後、校正後の移動機構の機構原点位置を位置検出器15にて検出し、検出結果を位置記憶回路16に保存する。尚、この変形例の説明では、上記の実施の形態と異なる部分のみの説明に止め、共通部分についての説明は省略する。
【0079】
以上述べた上記の変形例によれば、透過画像データにおいて絞りブロック45a及び45bの端部の自動認識が困難な場合であっても、絞り原点位置の校正が可能となる。このマニュアル校正法は単独で用いることが可能であるが、上記実施の形態に示した自動校正法を用いた場合に位置誤差が残存するような場合には、この変形例によるマニュアル校正法と組み合わせて使用することが好適である。
【0080】
尚、本実施の形態及びその変形例で述べた絞り原点位置の校正は、位置誤差が発見された場合のみならず、医療施設における放射線治療診断装置100の据え付け時、あるいは前回の校正から予め定められた期間が経過した場合や予め定められた使用回数を超えた場合などにおいて行われることが望ましい。この場合、放射線治療診断装置100には、前回の校正からの経過時間あるいは使用回数が自動計測される機能が設けられる。
【0081】
以上、本発明の実施の形態について述べてきたが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものでは無く、変形して実施することが可能である。例えば、本実施の形態では、多分割絞り体42a及び42bの絞りブロック45a及び45bにおける位置誤差の校正方法について述べたが、これに限定されるものではなく、絞り体41a及び41bのように分割されていない絞り体においても応用が可能であり、従って、本実施の形態は放射線治療診断装置のみならず、絞り体を備えた一般の放射線診断装置においても適用することができる。
【0082】
一方、上記実施の形態では、放射線検出部5に平面検出器21を用いた場合について述べたが、従来のI.I.(イメージ・インテンシファイア)とTVカメラを用いた方法であってもよい。但しI.I.を用いた場合には、感度むらやバックグランドノイズ、更には幾何学的歪等が発生し易いため、これらに対する画像補正処理が必要となる。
【0083】
また、上記の実施の形態においては、1対の基準位置63a及び63bに対して絞りブロック45a及び45bの位置誤差の検出を行ったが、複数対の基準位置に対して同様の検出を行うことによって検出の精度あるいは信頼性を向上することができる。尚、これらの基準位置は操作者によって任意に設定可能である。
【0084】
更に、図10及び図11において述べた絞りブロック45a及び45bの透過画像データの読み出しを、絞りブロック45aから絞りブロック45bの方向に行ったが、絞りブロック45bから絞りブロック45aの方向に読み出してもよいし、絞り開口中央部から絞りブロック45a及び絞りブロック45bの方向、あるいはその逆の方向に読み出してもよい。また、図10における絞りブロック45a−1乃至45a−3の透過画像データの読み出しに示すように、本実施の形態における画像データの読み出しラインは、絞りブロック45a−1乃至45a−3の透過画像データの中央部を選択したが、これに限定されるものではなく、各々の絞りブロック45の幅の範囲であればいずれのラインであっても構わないし、1つの絞りブロック45につき、この範囲内の複数のラインで各々位置誤差の検出を行い、これらの平均値をとることによって検出精度の向上をはかってもよい。
【0085】
一方、上記の本実施の形態では、全ての絞りブロック45a及び45bに対して1枚の透過画像データを収集し、この透過画像データに基づいて前記絞りブロック45a及び45bの各々の位置誤差を順次検出した後、纏めて校正を行う方法について述べたが、この方法に限定されるものではなく、例えば、個々の絞りブロック45に対して透過画像データの収集と位置誤差の検出及び校正を順次行ってもよい。
【0086】
更に、本実施の形態では、絞りブロック45a−1乃至45a−3の位置誤差の検出は、透過画像データの輝度に基づいて画像演算回路18が行う場合について述べたが、この方法に限定されない。例えば表示部10のモニタ33に表示された絞りブロック45a−1乃至45a−3の端部の位置を操作部9に設けられたマウスによって指定し、画像演算回路18は、システム制御部11を介して送られてくるマウスの指定位置情報と透過画像データの付帯情報の基準位置情報から、絞りブロック45a−1乃至45a−3の位置誤差を検出してもよい。
【0087】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば多分割絞り体に対して得られた放射線透過画像データを用いて絞りブロックの位置誤差の校正を行うことにより、短時間で正確な絞りブロックの校正を可能とした放射線治療診断装置及び放射線絞り体位置校正方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態における放射線治療診断装置の概略構成を示す図。
【図2】 同実施の形態における放射線治療診断装置のブロック図。
【図3】 同実施の形態における放射線絞り器の説明図。
【図4】 同実施の形態における絞りブロックとその移動機構を示す図。
【図5】 同実施の形態における平面検出器の基本構成を示す図。
【図6】 同実施の形態における絞り原点位置の校正手順を示すフローチャート。
【図7】 同実施の形態における絞り原点位置の誤差を示す図。
【図8】 同実施の形態における平面検出器とその周辺回路を示す図。
【図9】 同実施の形態におけるゲートドライバのタイムチャートを示す図。
【図10】 同実施の形態における絞りブロックの透過画像データの模式図。
【図11】 同実施の形態の絞りブロックに対する1ライン分の透過画像データの模式図。
【図12】 同実施の形態における校正完了後の絞り原点位置を示す図。
【図13】 従来の放射線治療装置における放射線絞り器の説明図。
【符号の説明】
3…放射線発生器
4…放射線絞り器
5…放射線検出部
6…天板
7…絞り移動機構部
8…画像演算記憶部
9…操作部
10…表示部
11…システム制御部
12…放射線発生部
13…絞り移動制御回路
14…移動機構
15…位置検出器
16…位置記憶回路
17…放射線発生制御回路
18…画像演算回路
19…画像データ記憶回路
20…画像データ生成部
21…平面検出器
22…ゲートドライバ
23…電荷・電圧変換器
24…A/D変換器
25…パラレル・シリアル変換器
31…表示用画像記憶回路
32…D/A変換器
33…モニタ
90…患者
100…放射線治療診断装置
Claims (14)
- 放射線を発生する放射線発生手段と、
この放射線発生手段によって発生する放射線の照射領域を設定する放射線絞り手段と、
この放射線絞り手段を介して前記放射線発生手段から照射される放射線を検出する放射線検出手段と、
この放射線検出手段によって検出される前記放射線絞り手段の絞り体の放射線画像データを生成する画像データ生成手段と、
この画像データ生成手段によって生成された前記絞り体の放射線画像データを表示する表示手段と、
前記放射線絞り手段における絞り体を移動する絞り移動手段とを備え、
前記絞り移動手段は、前記画像データ生成手段によって生成された前記絞り体の放射線画像データに基づいて前記絞り体を予め定められた位置に移動することを特徴とする放射線治療診断装置。 - 前記絞り移動手段は、基準位置設定手段が設定する絞り体の基準位置に対して前記絞り体を移動することを特徴とする請求項1記載の放射線治療診断装置。
- 前記絞り移動手段における移動量あるいは移動方向の少なくともいずれか一方は、操作部に設けられた移動指示入力手段から入力される指示信号に基づいて制御されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線治療診断装置。
- 放射線を発生する放射線発生手段と、
この放射線発生手段によって発生する放射線の照射領域を設定する放射線絞り手段と、
この放射線絞り手段を介して前記放射線発生手段から照射される放射線を検出する放射線検出手段と、
この放射線検出手段によって検出される前記放射線絞り手段の絞り体における放射線透過量に基づいて、前記絞り体の放射線画像データを生成する画像データ生成手段と、
この画像データ生成手段によって生成された前記絞り体の放射線画像データを表示する表示手段と、
前記放射線絞り手段における絞り体を所定の位置に移動する絞り移動手段と、
前記絞り体の基準位置を設定する基準位置設定手段と、
前記画像データ生成手段によって生成された前記絞り体の放射線画像データを用いて、前記絞り体の基準位置に対する位置誤差を検出する絞り体位置検出手段とを備え、
前記絞り移動手段は、前記絞り体位置検出手段によって検出された前記絞り体の位置誤差に基づいて前記絞り体を移動して前記基準位置に設定することを特徴とする放射線治療診断装置。 - 前記表示手段は、前記放射線画像データに対して前記絞り体の基準位置を付帯情報として追加して表示することを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の放射線治療診断装置。
- 前記放射線絞り手段の絞り体は、複数の絞りブロックを備えた多分割絞り体であることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の放射線治療診断装置。
- 前記絞り移動手段によって所定の位置に移動する前記絞り体の絞りブロックは、操作部に設けられた絞りブロック選択手段が前記表示手段に表示された絞りブロックの画像データに対して指示することによって選択されることを特徴とする請求項6記載の放射線治療診断装置。
- 前記放射線検出手段は、平面検出器を用いて前記絞り体に対する2次元的な放射線透過量の検出を行うことを特徴とする請求項1または請求項4に記載の放射線治療診断装置。
- 前記絞り移動手段は、前記絞り体を基準位置に設定する際に要した移動機構の移動位置を検出する移動位置検出手段と、この移動位置の検出結果を記憶する移動位置記憶手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項4に記載の放射線治療診断装置。
- 前記絞り移動手段は、前記絞り体の放射線画像データの収集に際して、前記移動位置記憶手段において保存されている移動機構の移動位置データに基づいて前記絞り体の位置設定を行うことを特徴とする請求項9記載の放射線治療診断装置。
- 前記絞り体位置検出手段は、放射線画像データの各画素における信号強度の変化量に基づいて前記絞り体の端部位置の検出を行うことを特徴とする請求項1または請求項4に記載の放射線治療診断装置。
- 前記絞り体位置検出手段は、前記画像データ生成手段によって生成された絞り体の画像データにおける画素数から絞り体の位置を検出することを特徴とする請求項1または請求項4に記載の放射線治療診断装置。
- 絞り体に対して得られた放射線画像データより予め設定された基準位置に対する前記絞り体の位置誤差を検出し、この検出結果に基づいて前記絞り体位置の校正を行う放射線治療診断装置の放射線絞り体位置校正方法であって、
前記絞り体の基準位置を設定するステップと、
この基準位置に対して前記絞り体を移動させるステップと、
この絞り体に対して放射線を照射して放射線画像データの生成を行うステップと、
この放射線画像データより、前記基準位置に対する前記絞り体の位置誤差を検出するステップと、
検出された位置誤差に基づいて前記絞り体を移動機構によって移動させて位置誤差の校正を行うステップとを
有することを特徴とする放射線絞り体位置校正方法。 - 絞り体に対して得られた放射線画像データにおいて予め設定された基準位置に対する前記絞り体の位置誤差を検出し、この検出結果に基づいて位置の校正を行う放射線治療診断装置の放射線絞り体位置校正方法であって、
前記絞り体の基準位置を設定するステップと、
移動位置記憶手段に保存された機構原点位置データに基づき、前記基準位置に対して前記絞り体を移動させるステップと、
この絞り体に対して放射線を照射して放射線画像データの生成を行うステップと、
この放射線画像データにおいて、前記基準位置に対する前記絞り体の位置誤差を検出するステップと、
検出された位置誤差に基づいて前記絞り体を移動機構を用いて移動し、位置誤差の校正を行うステップと、
校正後の前記移動機構の移動位置を検出するステップと、
この移動位置の検出結果を新たな機構原点位置データとして前記移動位置記憶手段に保存するステップとを
有することを特徴とする放射線絞り体位置校正方法。
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