JP4160633B2 - 共通のブドウ球菌抗原と広範に反応するオプソニン作用性抗体 - Google Patents
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Description
本出願は1993年3月18日に出願された米国特許出願第08/033,476号の一部継続出願であり、さらにその出願は1992年3月19日に出願された米国特許出願第07/854,027号の一部継続出願であり、さらにその出願は1991年11月29日に出願された米国特許出願第07/804,317号の一部継続出願であり、さらにその出願は1990年10月22日に出願された米国特許出願第07/601,089号の一部継続出願であり、これらの開示は参照として組み入れられる。
政府の利権
本明細書に記載された発明は、発明者に何ら実施料を支払うことなく、政府の目的によってまたは政府の目的のために製造、認可、及び使用することができる。
技術分野
本発明は、ブドウ球菌感染の予防、診断、及び治療に有用な、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を含む免疫グロブリン、ならびに単離された抗原について開示する。本発明はまた、これに限定するわけではないが、ブドウ球菌感染などの、感染性の病原体に対抗する薬学的組成物の効力を測定するのに有用な致死動物モデルについても開示する。
背景技術
ここ20年以上にわたってブドウ球菌による感染は、ヒト、特に入院患者において罹患率及び死亡率を増大させる重大な原因となっている。ブドウ球菌は皮膚及び粘膜の内層に行きわたるため、局所性感染及び全身性感染の両方を起こすのに理想的な状態におかれる。衰弱している患者または免疫抑制されている患者は、全身性の感染を起こす極めて高い危険性を有している。
ヒトにおいて病原性となる頻度が最も高いブドウ球菌の種は、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)及びスタフィロコッカス・エピダーミジス(Staphylococcus epidermidis)である。それぞれの種には多くの血清型が含まれる。両群とも、最近選択されている抗生物質に対する耐性を獲得してきている。
S.エピダーミジスは近年、例えば脳脊髄液シャント、心臓バルブ、血管カテーテル、及び連結用人工器官などの体内への埋込み物を配設することを含む治療を行った患者において、院内感染の最大原因となっている。S.エピダーミジスはまた、手術後の外傷性感染を起こしたり、連続的に移動性の腹膜透析を行っている患者において腹膜炎を起こしたりする共通の原因でもある。腎不全を治療する一つの方法として、頻度の高い再発性のある感染を起こす危険性をもたらす治療法である、大量の腹膜透析液の腹膜腔への導入が含まれる。
免疫不全の患者、及び中心静脈カテーテルにより非経口的な栄養接種を受けている患者は、S.エピダーミジス敗血症を起こす危険性が高い(C. C. Patrick, J. Pediatr., 116: 497(1990)参照)。特に、S.エピダーミジスは、新生児の院内感染敗血症の一般的な原因となっており、現在では新生児集中治療室設備において菌血症を引き起こす原因の最も一般的なものである。感染は、直接的または間接的な汚染源となりうる非経口栄養接種を受けている未熟な幼児でしばしば起こる。このような感染は、様々な理由から治療が困難である。例えば、抗生物質に耐性が一般的である。ある研究によると、敗血症を起こしている幼児の血液培養物から単離されたブドウ球菌の大部分が、抗生物質に対する多剤耐性を有していた(Fleerら、Pediatr. Infect. Dis., 2: 426(1983)参照)。このような幼児では、抗体、補体、及び好中球の機能の不全により免疫力が低いため、免疫系を刺激してもほとんど症状を軽減することができない。そのうえ、現在非経口栄養接種治療の標準成分である脂質により、既に乏しくなっている幼児の細菌感染に対する免疫応答がさらに損なわれる(Fischerら、Lancet, 2: 819(1980)参照)。こうした患者におけるS.エピダーミジスによる感染のために罹患率及び死亡率が増加し、医療費が著しくかかる集中治療の日数が長くなる。
免疫グロブリンの補足治療は、ある種の莢膜を有する細菌、例えばヘモフィラス・インフルエンザ(Hemophilus influenzae)及びストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus Pneumoniae)のような細菌に対してある程度の保護作用をもたらすことが示されている。抗体が不足している幼児はこれらの細菌に感染しやすく、したがって感染から引き起こされる菌血症及び敗血症が起こりやすい。抗ブドウ球菌抗体及び抗ヘモフィルス抗体が存在する場合、それらの抗体は血液からそれぞれの細菌の浄化を促進することによって保護作用をもたらす。ブドウ球菌に特異的な抗体の場合では、感染を予防したり治療するための補足的な免疫グロブリンの潜在的な使用により浄化が減少した。
ブドウ球菌感染の初期の研究では、連続的に移動性の腹膜透析を受けている患者において、オプソニン作用のような腹膜の防御を押し上げるための補足的な免疫グロブリンを使用する可能性について着目していた。標準的な静脈内免疫グロブリン(IVIG)は、S.エピダーミジスに対するオプソニン作用がロットにより異なっていることが示された(L. A. Clark及びC. S. F. Easmon, J. Clin. Pathol., 39: 856(1986)参照)。この研究では、試験したIVIGロットの3分の1が補体によるオプソニン作用が乏しく、14個の内2つだけが補体なしでオプソニン作用を示した。このようにIVIGロットは、血漿供与者の大量なプールから作製されているという事実にもかかわらず、S.エピダーミジスに対して特異的である良好なオプソニン作用性抗体は均等に存在していなかった。したがって、このような免疫グロブリンを用いる治療法はブドウ球菌の感染に対抗する防御作用をもたらさないのであろう。この研究では、IVIGがS.エピダーミジス感染または細菌性の敗血症を予防したり治療したりするために用いることができるかどうかについては調査されていない。
最近の研究は、脂質乳濁剤を点滴されている新生児において菌血症を引き起こす最も一般的な種である、S.エピダーミジスのようなコアグラーゼ陰性ブドウ球菌に関与している(Freemanら、N. Engl. J. Med., 323: 301(1990)参照)。新生児は、血清中にS.エピダーミジスのペプチドグリカンに対する明らかに検出可能なレベルのIgG抗体を有するという事実にもかかわらず、S.エピダーミジスに対するオプソニン作用性抗体のレベルは低い(Fleerら、J. Infect. Dis., 2: 426(1985)参照)。抗ペプチドグリカン抗体は、原理的にはオプソニン作用性抗体であると推定されていたため、このことは驚くべきことであった。したがって、S.エピダーミジスに対する新生児の感受性はオプソニン作用が損なわれていることに関与しているらしいと推測される一方、これらの研究からまた、S.エピダーミジスに対して誘導される多くの抗体がオプソニン作用性ではなく、新生児に受動的に与えられた場合保護作用を示すことができないということも示唆される。さらに、オプソニン作用性抗体を誘導する抗原は同定されなかった。
最近では抗原結合性検定を、併発症を伴わない菌血症の患者において、ならびに菌血症及び心内膜炎の患者において、S.エピダーミジスに対するIgG抗体を分析するために用いた(Espersenら、Arch. Intern Med., 147: 689(1987)参照)。この検定は、S.エピダーミジス特異的IgGを同定するために、S.エピダーミジスの超音波抽出法を用いた。併発症を伴わない菌血症の患者では、S.エピダーミジスに特異的なIgG抗体を有する者はいなかった。これらのデータから、IgGによって血液からS.エピダーミジスが有効に根絶されないことが示唆される。さらに心内膜症を伴う菌血症の患者のうち89%に、S.エピダーミジスに対して高レベルのIgGが現れた。これらの患者では、高レベルのIgG抗体が重症の菌血症及び心内膜症に関連しているため、IgGは防御作用を持たない。これらの研究に基づくと、S.エピダーミジス敗血症及び心内膜症におけるIgGの防御的な役割は疑問であり、未成熟であったり、衰弱していたり、内部脂質注入を行っていたり、または免疫抑制されていたりする場合にはとりわけ疑わしい。
S.エピダーミジスに対する免疫における抗体の役割は、動物モデルでも研究されている(「Kojimaら、J. Infect. Dis., 162: 435〜441(1990)」、及び「Yoshidaら、J. Appl. Bacteriol., 47: 299〜301(1979)」参照)。ブドウ球菌感染に対する免疫グロブリンの防御作用を示す動物実験により、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)によって菌株特異性が示された。これらの研究では防御作用の研究に成熟した免疫系を有する正常な成体マウスを用いたため、ヒトで観察されたような疾患を模擬していない。正常の免疫をもつ成熟動物を用いた研究は一般的に、動物に、異常に毒性の強い菌株または大過剰量の細菌を投与することを含む。ヒト患者は一般的に免疫学的に未成熟であるか、衰弱しているため、これはヒトにおける感染を模擬するものではない。ヒト患者はまた、例えばS.エピダーミジスのような毒性の低い病原体で幾分無痛の感染にかかることもあるが、通常は細菌の感染よりもむしろ二次的な合併症に帰因する死を伴う可能性がある。異常な菌株を用いるモデルまたは大過剰量を用いるモデルは通常、急速に発症して死に至る。
抗体は、一般的には宿主細胞の免疫系(好中球、単核細胞、マクロファージ、及び固定された網内皮系)と関連して働くために、これらの因子は重要である。したがって、抗体治療の有効性は宿主の機能的な免疫学的能力に依存しているのであろう。予測するためには動物モデルが、感染が起こり治療のための設備を捕らえる臨床条件を厳密に模擬していなくてはならない。
依然の動物実験から矛盾した結果が得られている。ある動物モデルでは、S.エピダーミジスの異常な毒性の菌株を用いた。感染した成熟マウスは、24時間から48時間以内に90〜100%の死亡率を呈した(Yoshidaら、Japan. J. Microbiol., 20: 209(1976)参照)。S.エピダーミジス表面多糖類に対する抗体はこれらのマウスでは防御作用性であったが、それはIgM画分については防御作用を生じていたものの、IgG画分に対しては生じていなかった(K. Yoshida及びY. Ichiman、J. Med. Microbiol., 11: 371(1977)参照)。
このモデルは、感染した患者で典型的な病状とは非常に異なる病状を呈した。腹膜内に攻撃を受けたマウスは、注入を受けてから数分以内に敗血症の症状を現し、24〜48時間で死に至った。このような病状はブドウ球菌感染したヒトでは観察されない。S.エピダーミジスのうち極めて毒性の菌株は、典型的でない型の感染を現すであろう。さらに、感染したヒトより得られるS.エピダーミジスの単離株では、このモデルでマウスは死に至らなかった。
1987年に、選択した毒性の菌株であるS.エピダーミジスに対するヒト血清中の抗体の評価を行う動物実験がさらに行われた(Ichimanら、J. Appl. Bacteriol., 63: 165(1987)参照)。先行のデータと比較すると、防御抗体はIgA、IgM、及びIgG免疫グロブリン画分において見出された。免疫グロブリン(IgG、IgM、IgA)の各クラスについての明確な役割はいずれも、明確にすることができなかった。
この動物モデルにおいて、死亡率を正常な成体マウスについて測定した。死は、菌血性敗血症ではなく、特殊な細菌性毒素の影響に関連していると考えられた(Yoshidaら、Japan. J. Microbiol., 20: 209(1976)参照)。ほとんどの臨床的な単離物は致死性感染を引き起こさず、定量的な血液培養がなされなかった。この研究から、抗体が未熟な患者または免疫抑制された患者においてS.エピダーミジス敗血症を充分に抑制することができるかまたは治療することができるかどうかについて洞察することはほとんどできない。
その後の動物実験において、S.エピダーミジスの莢膜多糖類に対して誘導される血清型特異的抗体を試験した。その結果から、血清型特異的抗体が防御作用を有していること、ただし各抗体はELISAによって測定されるような一つの特定の血清型に対して誘導されることが示された(Ichimanら、J. Appl. Bacteriol., 63: 165(1987)参照)。防御作用は同程度に血清型特異的であった。異型の菌株に対する防御作用は起こらなかった。また、防御作用はIgM抗体によって与えられると結論付けた。
要約すると、特に患者が未成熟であるか、免疫抑制されている場合、または多数のS.エピダーミジスの血清型が関与している場合には、IgGのみを含むIVIGがS.エピダーミジス感染または敗血症を治療し予防するのに有効であるということを強く裏付ける証拠はなかった。したがって例えば、S.エピダーミジス感染の病因論、診断法、及び治療法についての最近の広範囲にわたる再検討には、潜在的な予防薬または治療薬として免疫グロブリンは含まれていない(C. C. Patrick, J. Pediatr., 116: 497(1990)参照)。
ヒトのS.エピダーミジス感染を模擬する動物モデル、特に未成熟な、または免疫抑制されたヒトについての動物モデルは開発されていない。こうした患者では好中球及びマクロファージの機能が損なわれているだけでなく補体のレベルが低いために、このことは重要である。従って免疫グロブリンのオプソニン作用がインビトロでの至適条件下で充分に現れたとしても、防御作用は新生の乳児または癌患者のような患者では生じないであろう。さらに前述のモデルは、典型的なハイリスクなヒト患者と同じくらいの危険因子を持たない動物を用いている点で不十分である。
コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)は院内病原体として重要であるが、CNS感染を抑制する有効な方法は開発されていない。ヒトにおけるブドウ球菌感染を抑制し、治療するために選択される現時点での好ましい治療法は、抗体治療である。新しい抗体は常に開発されているが、抗体治療法だけでは不十分であることがますます明らかになってきている。免疫グロブリンを用いる受動的なワクチン注射に関するデータは、よく解釈しても不明瞭である。この治療法を試みた動物モデルはヒトの感染にほとんど関連しておらず、今のところ決定的な溶液も生産されていない。要約すると、ブドウ球菌感染に対して有効な治療法が、本技術分野において必要とされている。
発明の開示
本発明は、現在の治療法が関与している問題点及び欠点を解決し、ブドウ球菌の感染を治療及び抑制するための新規な治療法を提供する。本発明は、ヒト及び動物の両方においてブドウ球菌感染を治療及び抑制するための、ワクチン、薬学的組成物、及び診断補助剤を作製することのできる、共通のブドウ球菌抗原と反応する広範な反応性を有するオプソニン作用性免疫グロブリンについて開示する。
特に本発明は、異なる血清型を有する数種のS.エピダーミジス菌株に存在する共通の表面蛋白質を開示する。この表面蛋白質は、一つのS.エピダーミジス菌株に由来するが、広反応性を有する、オプソニン作用性抗体を誘導する。したがってこの蛋白質は、S.エピダーミジスの三つのすべての血清型にわたって広範囲に反応するオプソニン作用性免疫グロブリンを作製すべく血漿をスクリーニングするために、またS.エピダーミジスに対して有効な免疫を誘導するワクチンとして有用である。
本発明はまた、血清型II S.エピダーミジスの莢膜多糖類によって誘導される、広範な反応性を有するオプソニン作用性免疫グロブリンも開示する。この免疫グロブリンは、S.アウレウスと同様に、S.エピダーミジス及びその他のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌を含むすべてのブドウ球菌に対して広い反応性を有する。このことから、広い防御作用性免疫が莢膜多糖類に対して誘導され、顕在化している抗原がブドウ球菌の種にまたがる重要なヒトの毒力因子を提供することが示唆される。
本発明の両方の観点の好ましい態様において、免疫グロブリンはS.エピダーミジス(Hay、A.T.C.C. 55133)の調製物を用いる検定において反応性のものである。したがってこの一つの菌株は、免疫グロブリン産生についての一段階スクリーニングを提供する。また、この一つの菌株での免疫、即ち一個の菌株から精製された抗原での免疫により、S.エピダーミジスの血清型及びブドウ球菌の種全体にわたって広く反応するオプソニン作用性抗体が誘導される。このようにこの微生物は、ワクチン抗原の同定及び精製に有用である。
本発明には、血清、血漿、全血、または組織からなるプールまたは個々の試料に見出される免疫グロブリン、ポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよい単離された免疫グロブリン、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を作製するための方法、単離された抗原、単離された抗原を作製するための方法、単離された免疫グロブリンまたは単離された抗原を含む薬学的組成物、ならびに薬学的組成物による予防または治療のための患者の処置を行う方法が含まれる。
本発明の他の目的及び利点は、次の説明で列挙されている。本開示の一部を構成する添付されている図面及び表は、この説明とともに本発明の原理を説明している。
【図面の簡単な説明】
図1: S.エピダーミジス血清型I、II、III、及びHayに対する結合性について試験したヒト血漿の抗体力価。
図2: S.エピダーミジス血清型I、II、III、及びHayに対する結合性について試験したS.エピダーミジスHay(ATCC 55133)のTCA抽出した抗原を用いて免疫したウサギから得た血清の免疫前及び免疫後のELISAの力価。
図3: S.エピダーミジス血清型I、II、III、及びHayに対する結合性について試験したS.エピダーミジスHay(ATCC 55133)の全細胞調製物を用いて免疫したウサギから得た血清の免疫前及び免疫後のELISAの力価。
図4: オプソニン作用におけるS.エピダーミジスを用いた免疫グロブリンの吸収の効果。好中球は、S.エピダーミジスの調製物に結合する能力について選択した免疫グロブリンを用いてS.エピダーミジス、S.アウレウス、及びスタフィロコッカス・アガラクティエ微生物のオプソニン作用検定を仲介し、S.エピダーミジスの調製物を用いて予め吸収させた免疫グロブリンを選択した。陰性対照は、補体のみを添加した好中球である。
図5: S.エピダーミジス血清型I、II、III、及びHayに対するオプソニン作用性抗体の反応性(オプソニン活性)を、S.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133)のTCA抽出された抗原の調製物を用いて免疫を行う前及び免疫後のウサギ血清に対する殺菌作用を百分率で測定した。
図6: S.エピダーミジス血清型I、II、III、及びHayに対するオプソニン作用性抗体の反応性(オプソニン活性)を、S.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133)の全細胞調製物を用いて免疫を行う前及び免疫後のウサギ血清に対する殺菌作用の応答を百分率で測定した。
図7: S.アウレウス5型に対するS.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133)のTCA抽出した抗原または全細胞の調製物を用いた免疫前及び免疫後のオプソニン活性。オプソニン活性は、固体の寒天上で二次培養する前の反応混合物の二つの希釈液を用いて算出した。
図8: S.エピダーミジス敗血症にかかっている動物の血液からS.エピダーミジスが浄化される作用について、S.エピダーミジスに対する低力価のIVIGに対する高力価のIVIGの効果。S.エピダーミジスの菌血症のレベルを、S.エピダーミジスの調製物に結合する能力について選択された高力価の免疫グロブリンまたは選択されなかった低力価の免疫グロブリンのいずれかを用いて処理した乳児のラットから採取した血液試料中で測定した。
図9: 内部脂質にS.エピダーミジスを添加したものを用いて処理した乳児のラットでの生存性に対する、誘導された(選択された高力価の)免疫グロブリン及び生理食塩水の注入の効果。
図10:内部脂質にS.エピダーミジスを添加したものを用いて処理した乳児のラットの生存性に対する、誘導された(選択された高力価の)免疫グロブリン、S.エピダーミジスの調製物を用いて予め吸収させた誘導免疫グロブリン、及び生理食塩水の注入の効果。
図11:内部脂質にS.エピダーミジスを添加したものを用いて処理した乳児のラットの血液における菌血症のレベルに対する、導かれた(選択された高力価の)免疫グロブリン、S.エピダーミジスの調製物を用いて予め吸収させた誘導免疫グロブリン、及び生理食塩水の注入の効果。
図12:インビトロで測定したオプソニン活性と、誘導(選択された高力価の)免疫グロブリン、選択されなかった低力価の免疫グロブリン、S.エピダーミジスの調製物を用いて予め吸収させた誘導免疫グロブリン、及び生理食塩水を用いた乳児ラットの致死モデルにおける生存率との関係。
図13:S.エピダーミジスの試料を、二次元ゲル電気泳動によって分析した。等電点が約4.5のpHである45〜50,000ダルトンの蛋白質を、全てのS.エピダーミジス血清型で同定した。
本発明を実施する最良の形態
本発明は、ブドウ球菌感染を予防したり、診断したり、または治療したりするのに有用な免疫グロブリン及び抗原の同定、調製、及び単離を開示する。特に本発明は、ヒトに病原性のブドウ球菌に対して広い反応性を有するオプソニン作用性抗体を同定するための、適当な抗原を有するブドウ球菌微生物を用いる単回クリーニング法を提供する。
一つの局面において本発明は、三つすべての血清型にまたがって保護作用を有するS.エピダーミジスの広範囲のオプソニン作用性抗体を提供する。このような抗体は表面蛋白質によって誘導される。この蛋白質に対抗する抗体は、宿主から得られる細菌の食菌作用を高め、根絶させるのに有用なオプソニンである。この蛋白質はまた、S.エピダーミジス感染を予防したり治療したりする受動的な免疫治療を行うのに有用な血漿または免疫グロブリン(ポリクローナルまたはモノクローナル)をスクリーニングする道具としても用いることができる。さらにこの蛋白質は、ワクチン接種によってS.エピダーミジスに対する防御作用を誘導すべく活性な免疫を行うためにも有用である。特に有用な表面蛋白質は、約45〜50Kdの分子量を有する。
第二の局面において本発明は、ヒトの病原性ブドウ球菌と反応する、S.エピダーミジスの血清型IIの莢膜多糖類によって誘導される免疫グロブリンに関する。この多糖類は、重要なヒト毒力マーカーを提供する。
本発明の免疫グロブリンの同定方法
これらの広範囲のオプソニン作用性及び反応性の抗体を同定するために、本発明は、広範な反応性を有するオプソニン作用性免疫グロブリンを同定するための広範な反応性を有する成分抗原を有するブドウ球菌微生物の調製物と反応する免疫グロブリン(血漿、血清、全血、または胎盤などの組織からなるプールまたは個々の試料)を同定する検定法を含む方法を提供する。
調製物
ブドウ球菌微生物の調製物は、例えば完全な細胞、化学的方法または物理的方法によって分画された細胞、細胞抽出物、または精製された抗原のようないかなる型の調製物であってもよい。好ましくはこの調製物は、全細胞かまたは細胞表面抽出物である。また、調製物は、S.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133)由来であるか、または広範な反応性を有する抗体を誘導する抗原を含有する他の微生物由来であることが好ましい。ブドウ球菌微生物の調製物には、多糖類、蛋白質、脂質、及び他の細菌細胞成分が含まれる。好ましくは多糖類及び蛋白質を含む調製物、すなわち多糖類、蛋白質、及び糖蛋白質の混合物または組合せを主に含む調製物である。
好ましい調製物は、S.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133)の細菌細胞の培養物を単離し、単離された細胞をトリクロロ酢酸(TCA)の溶液を含む混合液に懸濁し、約4℃でその混合物を攪拌し、その混合物を遠心分離し、得られた上清を保存することにより調製することができる。これに続いて、その上清をアルコール、好ましくは無水エタノールと配合し、調製物を沈澱させるために、アルコールと上清との配合物を約4℃でインキュベートし、そして最後に沈澱した調製物を単離する工程が行われる。
検定法
結合性検定法
好ましい検定法としては、結合性検定法またはオプソニン作用検定法のようなオプソニン作用性抗体を同定するインビトロ解析が用いられる。好ましい結合性検定法においては、免疫グロブリンをブドウ球菌の微生物の調製物と反応させる。この結合性検定法は好ましくは、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)またはラジオイムノ検定法(RIA)であるが、凝集検定法、凝固検定法、比色定量分析、蛍光色素結合性検定法、または他の好適な結合性検定法であってもよい。この検定法は、競合的または非競合的な方法で行うことができ、その結果は直接的または間接に測定される。
ブドウ球菌の調製物は、好適な固体支持体、例えばガラス製またはプラスチック製のプレート、ウェル、ビーズ、微小ビーズ、パドル、プロペラ、またはスティックのような支持体に固定してもよい。固体支持体は、好ましくは滴定用プレートである。固定された調製物を、単離されているかまたは生物体液中に存在する免疫グロブリンとともにインキュベートし、結合量を測定した。被験試料について観察された結合量が陰性対照の結合量よりも大きい場合に陽性反応が生じている。陰性対照とは、抗原特異的免疫グロブリンを含まないことが知られている試料である。陽性結合は、単に陽性反応/陰性反応より、または一連の反応の計算より測定することができる。この一連の反応には、未知の試料に含まれる抗原特異的免疫グロブリンの量を決定することのできる標準曲線を示す、固定化した抗原に特異的に結合する免疫グロブリンを測定量含む試料が含まれていればよい。また抗体は、固体支持体に固定されていてもよく、この固定化した抗体に結合した細菌の調製物を結合する能力によって免疫グロブリンは同定される。
オプソニン作用検定法
オプソニン作用検定法としては、比色定量分析、化学発光検定法、蛍光色素もしくは放射性標識取り込み検定法、細胞仲介型殺菌性検定法、または物質のオプソニン作用の可能性を測定し、広範な反応性を有する免疫グロブリンを同定する他の適当な検定法を用いることができる。オプソニン作用検定法では、感染性の病原体、真核細胞、及び試験されるオプソニン作用性物質、またはオプソニン作用性物質にオプソニン作用を増強する物質を加えたものと共にインキュベートするである。好ましくはこのオプソニン作用検定法は、細胞仲介型殺菌性検定法である。このインビトロでの検定法においては、感染性の病原体、典型的には細菌、食細胞、及び免疫グロブリンのようなオプソニン作用性物質と共にインキュベートする。食作用または結合作用の能力を有する真核細胞を細胞仲介型殺菌性検定法において用いることができるが、マクロファージ、単核細胞、好中球、またはこれらの細胞の組み合わせであることが好ましい。従来の経路及びこれに代わる経路の両方によってオプソニン作用を観察するために、補体蛋白質が含まれていてもよい。
免疫グロブリンのオプソニン作用の能力は、インキュベートを行った後に残存している感染性病原体の量、即ち数より決定される。細胞仲介型殺菌性検定法では、一方のみがオプソニン作用があることが既知の免疫グロブリンを含む、二つの同様の検定法を行って、その二つの検定法の間で生き残っている細菌の数を比較することによってオプソニン作用の能力決定が行われる。また、オプソニン作用の能力は、インキュベートを行う前と後で生存している微生物の数を測定することによって決定する。免疫グロブリンの存在下でのインキュベーションの後で細菌の数が減少することにより、オプソニン作用の能力が陽性であることが示される。細胞仲介型殺菌性検定法では陽性オプソニン作用は、適当な細菌生育条件の下で培養混合物を培養することによって検出される。インキュベートの前と後の試料を比較して、または免疫グロブリンを含む試料と含まない試料との間で、生存している細菌の数が有意に減少する場合が陽性反応である。
浄化作用/防御作用の検定法
ブドウ球菌感染を治療または予防するための物質を同定するもう一つの好ましい方法は、浄化作用及び防御作用を測定するブドウ球菌敗血症の致死モデルを用いることである。このような物質は免疫グロブリンであってもよいし、または他の抗菌物質であってもよい。このモデルは抗ブドウ球菌薬をスクリーニングするためにも用いられる。
特に有用な動物モデルには、抗体、免疫抑制剤、及びブドウ球菌微生物を未成熟の動物に投与し、続いてその抗体がその動物の死亡率を減少させるかまたはその動物からのブドウ球菌微生物の浄化作用が高められるかどうかを評価することが含まれる。この検定法は、ウサギ、モルモット、マウス、ラット、またはこの他の好適な実験動物などの何らかの未成熟動物を用いることができる。免疫抑制剤の投与によってさらに免疫抑制されている未成熟な動物を含む乳児ラットの致死動物モデルが最も好ましい。
免疫抑制剤は、それが投与される動物の免疫系を不全にする物質であり、ステロイド、抗炎症薬、プロスタグランジン、細胞性免疫抑制剤、鉄、シリカ、粒子、ビーズ、脂質乳濁剤、及び他の有効な免疫抑制剤からなる群より選択される。好ましくは免疫抑制剤は、シクロスポリン、デキサメタゾン、トリアムシノロン、コルチゾン、プレドニゾロン、イブプロフェン、または他の関連する化合物または該化合物の組合せである。さらに好ましくは免疫抑制剤は脂質の乳濁剤であり、選択される脂質の乳濁剤は内部脂質(intralipid)である。薬学的組成物が免疫グロブリンである場合、この検定法で投与された免疫グロブリンの浄化能力が測定される。
浄化作用は、薬学的組成物によって動物からの感染性病原体浄化作用が高められるかどうかを測定することによって評価する。これは一般的には、例えば血液、腹膜内体液、または脳脊髄液のような生物体液の試料から測定される。感染性の病原体は、生存している感染性病原体の生育または同定にふさわしい方式で生物体液から得て培養する。治療後ある時間経過したところで採取した液体試料から、当業者は感染性の病原体を浄化する動物の能力に関する薬学的組成物の影響を測定することができる。もう一つのデータは、薬学的組成物が投与される動物の生存率を、ある時間、好ましくはある日数が経過したところで測定することによって得ることができる。通常は両方のデータのセットが用いられる。結果は、薬学的組成物が浄化作用を上昇させるか、または死亡率を減少させる場合に陽性であると考えられる。微生物の浄化が高められているが被験動物が死に至るような状況でも、陽性結果が示される。
免疫グロブリンの単離方法
本発明のさらにもう一つの態様は、単離された免疫グロブリンである。この検定法は、例えば前記に列挙したような結合性検定法、オプソニン作用検定法、または浄化作用検定法のような免疫学的検定法のうちのいずれの型であってもよい。ブドウ球菌微生物は好ましくは、S.エピダーミジス、S.ホミナス(hominus)、S.シミュランス(simulans)、S.ヘモリティカス(haemolyticus)、異なるコアグラーゼ陰性ブドウ球菌の種、またはS.アウレウスである。さらに好ましくは、ブドウ球菌微生物はS.エピダーミジス血清型IIである。ブドウ球菌微生物は、最も好ましくは血清型II S.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133)である。好ましいブドウ球菌微生物の調製物は前述した。
単離された免疫グロブリンは、血液、血漿、血清、または胎盤のような組織のプールまたは個々の試料から得ることができるし、また、静脈内免疫グロブリン(IVIG)のようなそれらから誘導された免疫グロブリン調製物から得ることもできる。免疫グロブリンの単離を行うための方法は、当業者にとっては周知である。代表的な方法は、本明細書に参照として組み入れられる、「蛋白質の精製:原理及び操作法(Protein Purification: Principles and Practice)(R. K. Scopes、スプリンガー・バーラグ(Springer-Verlag)、ニューヨーク、1987))に記載されている。
単離された免疫グロブリンは、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、またはそれらの混合物などであり、IgG、IgM、IgD、IgA、またはIgEなどを含むアイソタイプの一つまたはそれ以上の抗体であることができるが、好ましくはIgGである。抗体の特定の画分またはアイソタイプを同定し、かつ単離する方法は、当業者には周知である。代表的な方法は、免疫学の最新プロトコル(Current Protocols in Immunology)(Coliganら編、ジョンウィリーアンドサンズ(John Wiley & Sons)、ニューヨーク、1991)に開示されており、この文献は参照として組み入れられる。本発明にはまた、これらの抗体を作製する方法も含まれる。
ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を作製する方法は当技術分野では既知である。例を挙げると、ある種の方法は、本明細書に参照として組み入れられる「抗体:実験マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual)(E. Harlow及びD. Lane、コールドスプリングハーバー研究所(Cold Spring Harbor Lab.)、1988)に記載されている。
本発明はまた、単離されたモノクローナル抗体をコードする遺伝子のDNA配列も包含している。このDNA配列は同定、単離、クローニングが行われ、そして当業者に周知の方法によって発現するように原核細胞または真核細胞に移される。例えばこの方法は、本明細書に参照として組み入れられる「分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)(Ausubelら編、ジョンウィリーアンドサンズ、1989)に一般的に記載されている。
モノクローナルIgG抗体が好ましい。IgGアイソタイプ抗体は、IgG産生ハイブリドーマ細胞を単離することによって、または遺伝子操作によって作製することができる。また好ましいのは、純粋にまたは部分的にヒトモノクローナル抗体を産生する方法である。非ヒト抗体または部分的なヒト抗体は、キメラ化または遺伝子操作によってより充分なヒト抗体を作製することができる。
本発明は、抗体分子の構造部分に結合する抗原結合部位、または広範な反応性を有する表面抗原を有するブドウ球菌微生物の調製物を用いた検定法で反応する別の蛋白質に結合する抗原結合部位を含む。
単離された抗原
本発明のもう一つの態様は単離された抗原であり、それは一つの抗原、異なる抗原の混合物、または本発明の免疫グロブリンのいずれかを誘導する微生物から分離された抗原の組合せである。単離された抗原は蛋白質、多糖類、脂質、糖蛋白質、または他の適当な抗原性物質を含んでいてもよいが、好ましくは蛋白質、多糖類、及び糖蛋白質を含む。最も好ましくは単離された抗原は、蛋白質及び糖蛋白質を含む。単離された抗原は、一つの精製抗原であってもよいし、または例えば蛋白質、多糖、糖蛋白質、または合成分子のような少数の精製抗原であってもよい。
好ましい態様において、この単離された抗原は、S.エピダーミジスの45〜50Kdの表面蛋白質である。本発明の広範な反応性を有する抗体を誘導する抗原を有する微生物はすべて単離された抗原の供給源となりうるが、好ましい供給源は血清型II S.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133)である。他の好ましい態様において、単離された抗原は、血清型II S.エピダーミジスの莢膜多糖類から得られるが、血清型II S.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133)の毒力をマークする抗体を誘導する抗原を有する微生物がやはり好ましい。
巨大分子の精製方法には、濾過、分画、沈澱、クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、HPLC、FPLC、電気泳動、及びこの他の好ましい分離方法が含まれる。蛋白質の精製方法は、当技術分野では周知である。
抗原は、精製されるか、実質的に精製されるか、または部分的に精製される。代表的な蛋白質の精製方法は、本明細書に参照として組み入れられる、「蛋白質:構造及び分子的性質(Proteins: Structures and Molecular Properties)(T. E. Creighton, W. H. Freeman and Co.、ニューヨーク、1984)、及び炭水化物分析:実験法(Carbohydrate Analysis: A Practical Approach)、第2版、(D.Rickwood編、IRL出版(IRL Press)、オックスフォードイングランド、1984)に記載されている。合成抗原の同定、生成、及び使用についての代表的な方法は、生化学及び分子生物学の実験法:抗原としての合成ポリペプチド(Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology: Synthetic Polypeptides as Antigens)(R. H. Burden及びP.H. Knippenberg編、エルスビア(Elsevier)ニューヨーク、1988)に記載されており、この文献は本明細書に、参照として組み入れられる。
本発明はまた、組換え抗原も包含する。単離された抗原をコードする遺伝子のDNA配列は同定、単離、クローニングが行われ、そして当業者に周知の方法によって発現するように原核細胞または真核細胞に移される。例えばこの方法は、本明細書に参照として組み入れられる分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)(Ausubelら編、ジョンウィリーアンドサンズ(John Wiley & Sons)、1989)に一般的に記載されている。
宿主に導入すると、単離された抗原は、ブドウ球菌微生物調製物を用いた解析において、広範な反応性を有し、オプソニン作用性のポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を生成する。好ましくはこのブドウ球菌微生物は、血清型II S.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133)である。
薬学的組成物
本発明はまた、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を含む単離された免疫グロブリンと、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物も開示する。本発明の薬学的組成物はまた、単離された抗原と薬学的に許容される担体とを含んでいてもよい。
薬学的に許容される担体は無菌の液体であって、例えば水、ならびに石油、動物油、植物油、ピーナツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油、及び類似の油などの油である。静脈内投与を行う際、水が好ましい担体である。生理食塩水、水性デキストロース、及びグリセロール溶液も液体担体として、特に注射溶液として用いることができる。適切な薬学的担体は、レミントンの薬剤学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、第18版(A. Gennaro編、マック出版(Mack Pub.)、ペンシルバニア州イーストン、1990)に記載されており、この文献は本明細書に参照として組み入れられる。
免疫グロブリンを用いる治療方法
また本発明は、ブドウ球菌微生物で感染された、またはブドウ球菌微生物で感染したと疑われる患者を治療する方法について開示する。この方法には、免疫グロブリン(ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれか)及び薬学的に許容される担体を含む治療上有効量の薬学的組成物を投与する工程が含まれる。患者はヒトであってもよいし、他の動物、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ブタ、またはヤギなどであってもよい。患者は好ましくはヒトである。
治療上許容される量の免疫グロブリンとは、ブドウ球菌感染の治療または予防を行う際に、ある程度の軽減または助力をもたらすと合理的に考えられる量である。このような治療法は、主たる治療法であってもよいし、またブドウ球菌感染、異なる病原体によって引き起こされた感染、または無関係の疾患に対する抗生物質治療のような別の治療法に補足的な治療法であってもよい。
本発明のさらに別の態様はブドウ球菌感染を予防する方法であって、それは予防上有効量の薬学的組成物、即ち免疫グロブリン、ポリクローナル抗体、またはモノクローナル抗体及び薬学的に許容される担体を含む受動的なワクチンを投与する工程を含む。治療法は、静脈内、腹腔内、体内注入、関節内、空洞内、包膜内、筋肉内、皮下、鼻腔内、鞘内、経口により、または有効量を予防的に投与する有効な他の方法によって薬学的組成物を投与する工程を含む。組成物はまた、例えば感染した特定の領域に、例えば筋肉内注射または皮下注射のいずれかにより、局所的に投与することもできる。投与方法は、予防上有効量の免疫グロブリンを、綿棒で塗布したり、浸漬したり、洗浄したり、または拭き取ったりすることによって直接的に患者に投与する工程を含む。この治療法はまた、例えば停留型カテーテル、心臓バルブ、脳脊髄液シャント、連結用人工器官、体内への他の埋込み物のような患者の体内に配設されるべきものに対しても適用することができるし、また、他のもの、即ち装置であって、ブドウ球菌により感染する危険性、または患者にブドウ球菌感染を引き起こす危険性のある器具に対しても適用することができる。
単離された抗原を用いる治療方法
本発明の別の好ましい態様は、単離された抗原及び薬学的に許容される担体を含むワクチンである。宿主に導入されるとこのワクチンは、ブドウ球菌感染に対して広範囲の防御作用を持ち、オプソニン作用性抗体を生成する。単離された抗原はいずれかの一個の抗原、異なる抗原の混合物、または抗原の組合せであってもよい。
ワクチン接種は、ブドウ球菌感染の危険下にあることがわかっている個体、またはその危険下にあることが疑わしい個体に対して特に利点がある。この個体には、バルブのような埋込み物を体内に埋め込んだ患者、内在性カテーテルを有する患者、皮膚または粘膜組織の破壊または損傷を起こす外科的手術を行う準備中の患者、ある種の医療従事者、及び化学療法または放射療法などのある形態の治療法により損傷を受けた免疫系を生じることが予測される患者などが含まれる。
効力の評価方法
本発明のさらに別の態様は、感染性病原体を治療するのに有用な薬学的組成物の効力を評価する方法であり、それは薬学的組成物、免疫抑制剤、及び感染性病原体を、未成熟な動物に、好ましくは免疫抑制された乳児のラットに投与する工程を含む。この後に、その薬学的組成物がその動物の死亡率を減少させるか、またはその動物からの感染性病原体の浄化作用を高めるかどうかについての評価がなされる。この方法は、感染性病原体が細菌である場合、好ましくはグラム陽性の細菌、寄生体、真菌、またはウイルスである場合に用いることができる。
免疫抑制剤については前述している。薬学的組成物は、感染性病原体に対する抵抗性を高める薬学的組成物の効力を評価するために防御的に投与されるか、または、感染性の病原体を直接殺すかもしくは多様に免疫の危険にさらされ致死的に感染した動物の免疫応答を高めてその感染を撃退する際の、広い反応性を有するオプソニン作用性免疫グロブリンまたは抗生物質を含む薬学的組成物の効力を評価するために治療的に投与される。
診断用キット
本発明のさらに別の態様は、ブドウ球菌感染を検出するための診断用キット及び補助剤である。この診断用の補助剤は、広い反応性を有する免疫グロブリン(例えばポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体)もしくは単離された広反応性を有する抗原、及び抗原もしくはブドウ球菌に対する抗体を含むかまたは含むことが疑われる生物体液試料などである。
動物におけるブドウ球菌感染を検出するための方法には、ブドウ球菌に特異的な抗体を含んでいるかまたは含むことが疑われる生物試料を単離された抗原に加える工程、続いてその抗体とその抗原との間の結合量を測定する工程が含まれる。またこの方法には、ブドウ球菌微生物の調製物に特異的な免疫グロブリンにブドウ球菌抗原を含むかまたは含むと疑われる生物試料を添加する工程、続いて、その試料に存在する抗原とその免疫グロブリンとの間の結合量を測定する工程が含まれる。この免疫グロブリンはポリクローナル抗体であってもまたはモノクローナル抗体であってもよいが、好ましくはモノクローナル抗体である。
代表的な方法は、免疫学:合成(Immunology: A Synthesis)(E. S. Golub, Sinauer Assocs., Inc.、マサチューセッツ州サンダーランド、1987)に記載されており、この文献は本明細書に参照として組み入れられる。
一つの例として、この診断用補助剤は、研究用単離物中のヒト病原性ブドウ球菌を同定するために用いることができる。ブドウ球菌は、コアグラーゼ試験に基づいて二つの群、即ち、S.エピダーミジスが最も一般的な病原体であるコアグラーゼ陰性、及びS.アウレウスが最も一般的な病原体であるコアグラーゼ陽性に分類することができる。全てではないとしてもほとんどのヒト病原性S.エピダーミジスは、血清型IIコアグラーゼ陰性である。予備的なデータから、ヒトの病原性ブドウ球菌がS.エピダーミジスの血清型II莢膜多糖類に対する抗血清と反応することを示している。したがって血清型II莢膜抗原が、ヒトの毒性のマーカーとなることが明らかである。
研究用分離物は、例えば、ヒト起源、動物起源、または他の起源から微生物学的な方法で単離された微生物である。研究用分離物はまた、ある種の非病原性の混入物を含んでいてもよい。
診断用補助剤は、単離物に含まれているブドウ球菌、特にコアグラーゼ陰性の血清型IIブドウ球菌がヒトに対して病原性であるかどうかを検出するために有用である。行う検定法に関する前述の方法は、この態様においても応用できる。
診断用補助剤のもう一つの利用方法は、動物の体液に含まれるブドウ球菌及びその抗原を同定するための方法である。例えばコアグラーゼ陰性病原性ブドウ球菌と反応する診断用補助剤は、体液に病原性ブドウ球菌またはその抗原が存在するのを同定するために用いることができる。試験される体液には、脳脊髄液、血液、腹腔内液、及び尿が含まれるが、これらに限られるわけではない。診断用補助剤は前述した方法にしたがって用いられる。この診断用補助剤を用いる検出は、ブドウ球菌による事実上の感染、疑わしい感染、急性の感染、または慢性の感染の場合に行うことができる。同様に病原性ブドウ球菌微生物由来の抗原は、血液及び体液に存在する病原性微生物に対する抗体を検出するために用いることができる。
薬学的組成物の検出方法
本発明の他の目的は、生物試料中の薬学的組成物を検出するための方法である。薬学的組成物が免疫グロブリンを含む場合、この方法には単離された抗原にその薬学的組成物を含む生物試料を添加する工程、続いてその薬学的組成物と単離された抗原との間の結合量を測定する工程が含まれる。また薬学的組成物が単離された抗原を含む場合、この方法にはその薬学的組成物を含む生物試料をその薬学的組成物に対して特異的な抗体に添加する工程、続いてその薬学的組成物とその抗体との間の結合量を検出する工程が含まれる。
これらの方法は、特に、広い反応性を持ち、オプソニン作用性を有する免疫グロブリンを含む薬学的組成物の薬物動態を決定するために用いることができる。この情報を用いると、薬学的組成物を用いる治療法の最良の用量管理及び経路を決定することによってよりよい処置を行うことができる。
以下の実施例は、本発明の種々の局面を列挙したものである。
実施例1
本実施例の目的は、大きな免疫グロブリンのプールにおいてS.エピダーミジスに対する高力価の抗体の存在を確認できないことを示すことにある。
標準の静脈内免疫グロブリン(IVIG)のIgG画分を、大きな免疫グロブリンのプールを示す実験で用いた。いくつかの会社から得たIgGの種々のプールからなる調製物を、比較分析した(Gamimmune, Cutter Labs., Inc., Berkeley, California: Sandoglobuin, Sandoz, East Hanover, N. J.; Gammagard, Hyland Los Angeles, California; Polygam, American Red Cross, Washington, D.C.)。
これらのプールのそれぞれから得た試料、及び個々の患者(SAM)から得た一つの試料を、S.エピダーミジスの調製物に対する酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)で結合性について試験した。いずれのS.エピダーミジス菌株も用いることができるが、この実験ではS.エピダーミジス敗血症にかかっている子供の血液から単離された臨床上の菌株であるHayを用いた。この菌株は受託番号55133でAmerican Type Culture Collection(A.T.C.C.)に寄託されている。
つまり、S.エピダーミジス(Hay、A.T.C.C. 55133)の培養物を、トリプシン作用の大豆スープからなる1600mlの等分試料中において37℃で対数相(18〜36時間)まで増殖させた。この培養物を5000rpmで10分間遠心分離し、細胞のほんの少しずつ少量(10〜25ml)の2%TCA中にpH2.0で再懸濁した。複数のTCA懸濁液を合わせて4℃で一晩攪拌し、翌日その合わせた懸濁液を5000rpmで10分間遠心分離してからその上清を吸引して保存し、細胞は除去した。上清を4倍量の無水エタノールと混合し、4℃で一晩保存した。この溶液を2500rpmで10分間遠心分離してからその上清を吸引して除去し、抗原の沈澱物を生理食塩水に再懸濁した後、確実に滅菌して培養した。生理食塩水の懸濁液を凍結乾燥し、4℃で保存した。
ELISA試験を行うためにTCA抽出した抗原を、40mlのコーティング緩衝液(coating buffer)に1.0mgの凍結乾燥した抽出物を溶解することによって、それぞれの血清型から生成した。コーティング緩衝液は、1.59gのNa2CO3、2.93gのNaHCO3、及び0.2gのNaN3を混合して最終容量が1000mlになるよう蒸留水を添加することによって調製した。この溶液をpH9.6に調節した。100マイクロリットルの抗原含有溶液の等分試料を、各血清型の個々のプレートを用いて96ウェル微量滴定プレートの各ウェルに添加した。プレートを4℃で一晩インキュベートし、その後でウェルを空にしてPBSトウィーン(Tween)を用いて4回洗浄した。PBSトウィーンを、8.0gのNaCl、0.2gのKH2PO4、2.9gのNa2HPO4、0.2gのKCl、0.2gのNaN3、及び0.5mlのトウィーン−20を合わせ、最終容量が1000mlになるよう蒸留水を加えることによって調製した。この溶液をpH7.4に調節した。免疫グロブリンの各プールから得た100μlの試料をウェルに添加した。抗血清を含むプレートを4℃で2時間インキュベートし、そのあとでそのプレートを再び空にしてからPBSトウィーンを用いて4回洗浄した。標準のアルカリホスファターゼ複合化ヤギ抗ウサギIgG(Shigma Chem. Co.,ミズーリ州セントルイス)の1/400希釈液を、PBSトウィーン中で調製した。40μlの等分試料を、微量滴定プレートの各ウェルに添加し、そのプレートを4℃で2時間インキュベートした。このプレートを再び空にし、PBSトウィーンを用いて4回洗浄した。p−ニトロフェニルホスフェート(シグマケミカル社(Shigma Chem. Co.)、ミズーリ州セントルイス)の1mg/ml溶液をジエタノールアミン緩衝液中で調製し、この溶液の100μlの等分試料を微量滴定プレートの各ウェルに添加した。ジエタノールアミン緩衝液を、97mlのジエタノールアミン及び0.2gのNaN3を合わせ、最終容量が1000mlになるよう蒸留水を添加することによって調製した。この溶液をpH9.8に調節した。このプレートを37℃で2時間インキュベートした。吸光度をマルチスキャン(Multiskan/登録商標)MCC/340装置(フロー・ラブズ(Flow Labs.)、スイス、ルガノ(Lugano))を用いて405nmで測定した。
表Iに示されているように、試験した各プールの結合活性に顕著な違いがあった。ほとんどの試料には、S.エピダーミジスに対する低レベルの抗体が含まれていた。興味深いことに、最低の活性の一つを有する試料(2801)及び最高の活性の一つを有する試料(40R09)は、同じ起源のCutter製剤生産所から得られたものである。高結合性のプールのうちの069及び40R09は、別々の会社から得られたものであった。
このデータは、試験したプールのそれぞれに非常に多くのヒト血清の採集物が存在しているという事実にもかかわらず、S.エピダーミジスに対する高力価の抗体の存在を確認できる免疫グロブリン、即ちスクリーニングしていない血漿またはIgGプールを調製する方法が一つではないことが示される。反応性抗体の含有量の違いは、同じ会社により調製された調製物において、また同じ調製物のロットにおいて生じており、このことから全ての免疫グロブリンのプールが異なっていること、また特異的同定が可能な抗体の含有量の違いが著しいことが示される。
実施例2
免疫グロブリン結合性についての第二の研究では、約100人のヒト患者より得た血漿の任意試料をELISAでスクリーニングした。S.エピダーミジスの4つの異なる菌株に対する抗体力価を測定した。一つの菌株は、American Type Culture Collection, Rockville, Maryland(ATCC 31423: 血清型1)より得た。他の二つである血清型2及び3は、「Y. Ichiman, J. Appl. Bacteriol., 56: 311(1984)」に記載されており日本の聖マリアンナ医科大学のY.イチマン(Y. Ichiman)先生に提供頂いた。
それぞれの菌株の調製物は、以前と同じようにして調製した。ELISAは、それぞれの試料を40μl用いたこと以外は前に記載したとおりに行った。図1に示したように、有意な数の試料中に、臨床上の菌株であるHay(ATCC 55133)などのS.エピダーミジスのそれぞれの菌株に対する抗体が含まれていた。
このデータから、結合性の違いがかなり存在するが、交差反応性抗体が一つの試料に存在しうることが示される。
実施例3
プールされた免疫グロブリンには一つの広反応性抗体を模擬する、種々のS.エピダーミジス菌株に対する抗体を含んでいた。したがって研究は、一つのS.エピダーミジス菌株を用いて動物を免疫し、この一つの菌株に暴露することにより広反応性抗体が誘導されるかどうかを検出することによって行った。
ウサギを、熱殺菌した全細胞またはS.エピダーミジスのTCA抽出抗原のいずれかを用いて免疫した。S.エピダーミジスのTCA抽出抗原は記載したとおりに調製した。この調製物の1ミリグラムを1.0mlの通常の生理食塩水に溶解し、ニュージーランド・ホワイトラビットの筋肉内に投与した。1週間放置したのち、2回目に1.0mlの用量を投与した。1週間後に最終的な用量を投与して、一連の一次免疫を完了した。同一の3番目(P3)、4番目(P4)、または5番目(P5)の免疫過程を行ってもよく、特異的な抗体レベルをさらに高めるために一連の追加抗原刺激を用いることができる。それ以上の追加抗原刺激の免疫は、さらに間隔をおいて行った。
全細菌性細胞ワクチンは次のように調製した。トリプシンの大豆スープをS.エピダーミジス(Hay、ATCC 55133)を用いて接種し、37℃で3時間インキュベートした。この調製物の20mlの等分試料を3000rpmで10分間遠心分離し、上清を除去してその細胞ペレットを標準の生理食塩水に再懸濁した。生理食塩水を用いる2回目の洗浄は、遠心分離を繰り返したあとで行った。この最終的な上清を総容量が10mlになるよう生理食塩水中で調製した。細菌を56℃で60分間加熱することによって加熱殺菌した全細胞ワクチンを製造し、それを完全に滅菌して培養した。
1ミリリットルのこの全細胞調製物を、ニュージーランドホワイトウサギに5日間、毎日静脈内注射した。1週間そのままにした後、そのウサギを再び5日間、毎日免疫した。同一の3番目(P3)、4番目(P4)、または5番目(P5)の免疫過程を行ってもよく、特異的な抗体レベルをさらに高めるために一連の追加抗原刺激を用いることができる。それ以上の追加抗原刺激の免疫は、さらに間隔をおいて行った。
全細胞調製物を用いて免疫した後で得られる血清において、S.エピダーミジスに対する抗体が顕著に増加していたが、これに対して免疫応答の全体的な大きさは、TCA抽出した抗原で免疫したあとで得られる血清中では減少していた(図2及び3参照)。TCA抽出した抗原または全細胞ワクチンを用いて免疫した動物によって誘導される血清により、ELISAによって検出されたように、S.エピダーミジスの血清型I、II、IIIにワクチンの菌株であるS.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133)を加えた菌株に対して広く反応する抗体が産生された。さらにこれらの免疫後の抗血清は、広いオプソニン作用を有していた。(図6及び7参照)。
動物が一つの菌株にのみ曝された場合、及び免疫前に結合性の基底レベルと同等のレベルであった場合、S.エピダーミジスの両調製物は多数のS.エピダーミジス血清型と反応する抗体を産生することが明らかである。
致死的な、新生児のS.エピダーミジス敗血症モデルから、オプソニン作用性抗体によって血液からの細菌の浄化作用が高められ、生存性が増すことが示される。このようにK. Yoshida及びY. Ichimannの発見と一致して、血清型IIS.エピダーミジス莢膜に対する抗体は血清型II多糖類を有する細菌に対して防御作用を有する。致死的敗血症モデルにおける結果から、防御作用が血液からの細菌浄化作用を高めるオプソニン作用性抗体を介して仲介されることが示される。
実施例4
全ての抗体が、ある特定の微生物に対して誘導される抗体であってさえ、免疫性を高めたり、感染から護る高い防御作用を与えるとは限らない。異なる状態では、抗原を結合する抗体は感染した動物からの微生物のオプソニン作用または浄化作用を必ずしも高めない可能性があり、生存性が高まる。したがって殺菌作用検定を仲介する好中球がはS.エピダーミジスに対する抗体の機能的な活性を測定する際に用いられた。
好中球は、デキストラン沈降法及びフィコール−ハイパック(Ficoll-Hypaque/登録商標)密度勾配遠心分離法によって成人の静脈血から単離された。全体量が0.1ml/ウェルを必要とするマイクロタイタープレート検定法を用いると、洗浄された好中球(約106個の細胞)を、約3×104個の中間−対数フェーズにある細菌(S.エピダーミジスHay、A.T.C.C. 55133)とともに丸底のマイクロタイターウェルに添加した。S.エピダーミジスに対する抗体が存在しないことが確かである点でスクリーニングされた新生児のウサギの血清(10μl)を、活性な補体の起源として供給した。5%の標準のIVIG(または血清)からなる40マイクロタイターを、種々の希釈液に添加し、そのマイクロプレートを37℃で一定に、激しく揺り動かしながらインキュベートした。10μlの試料を0時点、及びインキュベートの2時間後にそれぞれのウェルから採取し、希釈し、細菌を分散させるように激しくかき回し、そして生存している細菌のコロニーの数を定量するために37℃で一晩、血液寒天プレート上で培養した。対照は、好中球に補体のみを加えたものからなり、好中球を補体に添加した。細菌の撲滅のパーセントとして検出されるオプソニン作用は、数式([細菌数(0時点−2時間)]/[0時点での殺菌数])×100を用いて算出される。
オプソニン作用は、0%から23%に、また90%から97%に変化した。結合性検定法で観察されたように、用いた調製方法と観察された機能的な作用との間には目を引くような相関関係はない。しかしながら表Iにおいて高い程度の結合性(O.D.>1.0)を有するている免疫グロブリンのうちのいくつかは、表IIaに示された高いレベルのオプソニン作用も有している(例えば、40P07、40R09及びSAM)。
≧90%のオプソニン食細胞性殺菌作用(2時間で細菌が≧1対数的な減少をする)を、高いオプソニン作用を示すように任意で選択した。
これらの結果は、S.エピダーミジスのTCA抽出した抗原に結合する免疫グロブリンのうちのいくつかのみが、S.エピダーミジスの食細胞作用と殺菌作用を促進することを示している。したがって、インビトロでのスクリーニング検定法を用いて最初の時点で、S.エピダーミジスに対する高いレベルの抗体を有するていて、かつS.エピダーミジス感染を予防し、治療することのできる信頼性のあるレベルの抗体を有するている免疫グロブリンを選択することが可能である。
実施例5
S.エピダーミジスに対するオプソニン作用性抗体が、血清型特異的S.エピダーミジス抗原に対して特異的に向けられるかどうか、またはそのオプソニン作用性抗体が一般のブドウ球菌抗原に対して向けられるかどうかを検出することは重要であった。これらのどちらであるかを研究するために、選択した高力価の免疫グロブリンを、S.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133)の調製物を用いてあらかじめ吸収させ、三つの異なるグラム陽性球菌に対するオプソニン活性を試験した。
吸収させた細菌を血液寒天プレートの上で一晩生育させ、そのプレートからこすりとって標準の生理食塩水に再懸濁し、0.5mlの微量遠心チューブの5分の1用量にペレット化した。それぞれに0.4mlの免疫グロブリンを添加した後、そのチューブをエンド−オーバー−エンド型タンブラー(Fisher Scientific Co., Pittsburgh, Pa)上で4℃で一晩、ゆっくりとしたスピードで渦を巻かせて回転させた。その明くる日に細菌を微量遠心チューブ内で沈降させ、その上清を取り除いて0.2μmのメンブレンフィルターで濾過した。検出できないほどのS.エピダーミジス結合性抗体しか含んでいない無菌の免疫グロブリンを、直接、または70℃で保存した後で用いた。
選択された高力価免疫グロブリン(導き出された免疫グロブリン)は、二種のブドウ球菌、即ちS.エピダーミジス及びS.アウレウスと、試験した一つの連鎖球菌、即ちS.アガラクティアについてオプソニン作用を示した(図4参照)。S.エピダーミジスの調製物を用いて予め吸収させた選択した免疫グロブリンを用いた場合、S.エピダーミジスに対するオプソニン作用は完全に除去された(殺菌作用が95%から0%になった)。しかしながらStreptococcuS.アガラクティア、即ち異なる属に対するオプソニン作用は、減少しなかった(93%から94%になった)。驚くべきことにオプソニン作用の減少は、S.アウレウス(ワルター リード アーミー医科センターのMendiola先生より後親切に提供を受けた。)について観察され、S.エピダーミジスに対する抗体活性のレベルの約半分で選択された免疫グロブリンに存在している。
この結果はまた、S.エピダーミジス及びS.アウレウスによって分けもたれるような抗原に対する抗体が存在することを示唆している。したがってこの選択された免疫グロブリンの調製物は、S.エピダーミジスを用いて吸収させることによって確認することのできる共通の抗ブドウ球菌抗体によるオプソニン作用を促進した。
抗体のない場合では、どれかの細菌(好中球に補体のみを加えた)に対して示される殺菌作用がなかった。これらの結果は、抗ブドウ球菌抗体が、S.エピダーミジスに対する特異的防御作用と他のブドウ球菌の血清型や種に対する広い防御作用との両方を提供するカギとなるブドウ球菌抗原に対して導かれることを示している。
実施例6
オプソニン作用を、S.エピダーミジスのTCA抽出された抗原を用いて、またはS.エピダーミジスの全細胞調製物を用いて免疫されたウサギから得られる血清について測定した。
ウサギは、S.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133)のTCA抽出した抗原または全細胞の調製物のいずれかを用いて免疫した。血清を以前のように採集し、好中球仲介型殺菌検定法でS.エピダーミジスの血清型I、II、及びIII菌株と、S.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133)とに対してオプソニン作用について試験した。図5及び6に示されているように、TCA抽出した抗原及び全細胞調製物は両方とも、三つ全ての血清型に対して非常に高いオプソニン作用性抗体応答を引き起こした。TCA抽出された抗原を用いて予めワクチン接種した血清は血清型Iに対して幾分の活性を示したが(図5参照)、オプソニン作用が接種した後でほとんど二倍になることは、ブドウ球菌に共通の抗体が実際に反応できることを示している。
これらのデータはS.エピダーミジス莢膜抗原に対する抗体が免疫原性にとっては重要であり、一個またはそれ以上の抗原が、異なる血清型のなかで抗原性が類似であるらしいことを示している。
実施例7
ワクチン接種したウサギの血清のオプソニン作用を、試験の細菌としてS.アウレウス血清型5を用いて再び測定した(図7参照)。S.アウレウスに対する全体のオプソニン活性は、S.エピダーミジスの菌株に対して見られた活性と同じくらいの大きさはなかったが、免疫した動物から得られた血清試料は、ワクチン接種しなかった試料に比べて有意の活性があった。
このデータは、S.エピダーミジスに対するオプソニン作用性抗体もS.アウレウスに対する保護作用を備えていることを示しており、またこれらの抗体が一つまたはそれ以上のブドウ球菌共通抗原に対して向けられるらしいということを示唆している。
実施例8
S.エピダーミジスなどの多くの細菌は、正常人においては病原性とならない。しかしながら未熟な免疫系を有する幼児や損なわれている免疫系を有するヒトにおいては、S.エピダーミジスは敗血症や死さえも引き起こす可能性がある。したがって敗血症の動物モデルではこれらの因子を含むことが重要である。未成熟の免疫系を有する動物を用い、その動物を免疫抑制剤の支配下におくことによって、患者のヒトの敗血症を研究することができる。
S.エピダーミジスに対するオプソニン作用性抗体を有するIVIGが、致命的なS.エピダーミジス敗血症から防御できることを証明するために、乳児のラットの致死モデルを生育した。5×107個のS.エピダーミジスを用いて感染させた乳児のラットを二時間以内に菌血症を皮下に発生させ、72時間以上かかって浄化した(表III参照)。
実施例9
乳児のラットでのS.エピダーミジス死亡率に対する内部脂質の効果を検定した。ヴィスターラットを、生後直ちに内部脂質を用いて免疫抑制剤を注入した。動物に生後2日で内部脂質の投与を開始した。内部脂質の最終用量とともに、動物にはまた選択した免疫グロブリンまたは生理食塩水も与えた。この最終用量を与えた後で、その動物をS.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133)のプレパレートを皮下に注射することによって感染させた。血液試料をプレートに載せて二次培養することにより、菌血症がブドウ球菌によって引き起こされることを確認することができ、その後治療によって浄化された。全ての動物は、続く5日間で生存率の検出を行った。
S.エピダーミジスのみを受けた動物は感染を撃退し、生き残ることに成功した。感染の前に内部脂質で処理した動物だけは、S.エピダーミジスに抵抗する能力が顕著に落ちていることがわかった。
脂質乳濁剤の投与法は、細菌の浄化作用が損なわれることが前に示された新生児に対して一般的に行われた脂質投与法を模擬する(Fischerら、Lancet. 2: 819(1980)参照)。実施例8の結果に対照すると、そこでは全ての子供が治療で、即ちS.エピダーミジスの攻撃の前に≧8gm/kgの用量で行った治療で生存していて、投与した脂質の量に直接比例して生存性は減少した。
脂質乳濁剤を投与した感染していない対照の動物は、明かな影響を受けなかった。このモデルは新生児に非常に関連しているかもしれないが、それは脂質乳濁剤治療法が前に記載したように新生児におけるS.エピダーミジス菌血症と関与していたためである(Freemanら、Eng. J. Med., 323: 301-308(1990)参照)。IVIG治療法の研究では、全ての動物にS.エピダーミジスの攻撃を受ける前に16mg/kgの脂質乳濁剤を投与した。S.エピダーミジスに対する≧90%のオプソニン活性を含むIVIGを用いて治療した全ての子供ラットが生存していた(図10参照)。吸収させたIVIGを用いて治療したものは、生理食塩水のプラセボを用いて治療したものと同等の死亡率であった(それぞれ生存率11/11[100%]、9/22[41%]、及び8/15[53%]、フィッシャーの確率試験より、吸収させたIVIGに対するIVIG p<.001)。
実施例10
S.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133)の致命的な感染に対する防御作用を提供する場合に選択された高−力価(導かれた)免疫グロブリンの効力を、乳児のラットの致死動物モデルで測定した。
生後二日目のヴィスターラットに、20%の内部脂質の腹膜内注射を0.2mlずつ2回行った。翌日動物に、20%の内部脂質に免疫グロブリンまたはワクチン接種した動物から得た血清を加えたものを再び同じシリーズで注射した。最後に注射した後、S.エピダーミジスHay(ATCC 55133)からなる約5×107個の細胞を尾の基部に皮下注射した。死亡率を5日間測定した。
S.エピダーミジスの調製物(ロット番号40R09)を結合性またはオプソニン作用の能力について選択した免疫グロブリンは、免疫が損なわれている致死動物モデルで起こる致命的な感染から完全に防御する作用をもたらした。これらの結果は、非感染の動物から得られた結果と同一である。選択されなかった低力価の免疫グロブリン(標準の免疫グロブリンともいわれる)は、20%の死亡率を示し、他の対照は予測したとおりであった。無治療で非感染の動物は50%以上の死亡率であった。
第二の類似の実験では、導かれた高力価のヒト免疫グロブリンとワクチンが誘導する高力価のウサギ血清は両方とも強い防御作用を有していて、ほとんど同一の結果をもたらした。対照的に、生理食塩水の対照は、40%以上の死亡率であった。
全体として、これらのデータは、S.エピダーミジスに対する抗体には乳児のラットの致死動物モデルで保護作用があることを示唆している。
実施例11
さまざまな提供者から得られた数個のIVIGロットをさらに分析することによって、S.エピダーミジス−特異性オプソニン作用性抗体についてIVIGをスクリーニングしたものが防御作用を確実に高めることのできるIVIGと同定できるかどうかを検出した(表Vb参照)。S.エピダーミジスに対して>90%の殺菌性オプソニン作用を有するIVIGを、S.エピダーミジスに対して<50%のオプソニン作用を有するIVIGロット、または生理食塩水を有するIVIGロットと比較した。生存率は、≧90%のオプソニン作用を有するIVIGを注入した動物では、≦50%のオプソニン作用のIVIGまたは生理食塩水を注入した動物と比較した場合、有意に増加した。
有意の関係(P=0.0034)は、S.エピダーミジスを用いる感染の後での生存率と投与された調製物のS.エピダーミジスオプソニン作用との間にある直線的な回帰分析によって示された。さらなる研究を、IVIGが多数のS.エピダーミジス血清型に対する防御作用があるかどうかを決定するために行った。S.エピダーミジスに対して≧90%のオプソニン活性を有するIVIGロットは、新生児の未熟なラットモデルにおいて、全ての血清型の菌株と臨床上の単離物であるHayについての生存性の向上をもたらした(図9参照)。
実施例12
ELISA検定法においてS.エピダーミジスの調製物に結合した免疫グロブリン、及び細胞仲介型殺菌検定法においてS.エピダーミジス微生物にオプソニン作用させた免疫グロブリン(導かれた免疫グロブリン)について、乳児のラットモデルでS.エピダーミジスの浄化作用を促進する能力を試験した。
血液試料を規則的な間隔で、感染した動物から採取した(図8参照)。ELISAまたはオプソニン検定法で前に同定した導かれた免疫グロブリンだけが、治療のコースを終えて細菌のレベルを減少させた。これらの動物は表Vaにおいて、生存率が増加することが示された。オプソニン作用させなかったりまたはS.エピダーミジスの調製物に結合しなかった免疫グロブリンは、感染した動物の血液からの細菌の浄化作用を促進しなかった。
実施例13
S.エピダーミジスに対する抗体を乳児のラットの致死モデルにおいて、国際的で地理的に別種の群のS.エピダーミジス菌株に対して、浄化作用を高める能力及び防御作用を提供する能力について分析した(図9参照)。
生存性を高めた導かれた免疫グロブリンを、S.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133、血清型II)、始原型の実験室菌株(A.T.C.C. 31423、血清型I)、及び日本の二つの異なる菌株(血清型II及びIII)に対して試験した。S.エピダーミジスの調製物に対して予め吸収させた導かれた免疫グロブリンは、生存性を減少させないことを示した(図10参照)。この研究の間に採取した血液試料から得られる細菌数はまた、導かれた免疫グロブリンが急速にブドウ球菌菌血症をなくすことを示している。生理食塩水または予め吸収させた免疫グロブリンを用いて処理したラットは、菌血症を持続し、死亡率を増加させる(図11参照)。
生存性が抗体の機能的な抗ブドウ球菌活性に関連しているかどうかを検出するために、S.エピダーミジスに対する種々のレベルのオプソニン食細胞性殺菌作用を有する免疫グロブリン調製物(導かれた免疫グロブリン)を、生理食塩水及び予め吸収させた免疫グロブリン(これはS.エピダーミジスに対する殺菌作用を有するていない)と比較した。
抗体のオプソニン食細胞性殺菌作用とブドウ球菌敗血症での生存性との間には、有意の関連が観察された(図12参照)。生理食塩水、標準の免疫グロブリン、及び予め吸収させて導かれた免疫グロブリンは同じくらいわずかな防御作用しかもたらさなかった(それぞれはほとんどまたは全くオプソニン食細胞性殺菌作用の抗体を有するていない)が、これに対して吸収させないで導かれた免疫グロブリンは一様に良好な生存性をもたらした。これらの結果は、オプソニン作用の抗ブドウ球菌抗体が生存性に関わっていることを示している。
実施例14
前の報告は多数のS.エピダーミジス血清型があることを示唆している。またS.エピダーミジス以外にたくさんの他のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌がある。意図した効果を有する広い反応性の抗体では、理想的にはヒト病原性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌全体に効果がなくてはならない。しかしながら多くのコアグラーゼ陰性ブドウ球菌は、ヒトでは感染を引き起こすことは滅多にない。したがって広い反応性のある抗体が、全てのヒト病原体コアグラーゼ陰性細菌と結合する能力があるかどうかを調べることは重要である。
ウサギを、3種のS.エピダーミジス菌株(A.T.C.C. 31432、S.エピダーミジス360、及びS.エピダーミジス10)のうちの一つのブドウ球菌を用いて免疫した。S.エピダーミジス(A.T.C.C. 31432)は血清型I、S.エピダーミジス360及びS.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133)は血清型II、及びS.エピダーミジス10は血清型IIIである。抗血清は次のように同定された。即ち、抗Iは菌株A.T.C.C.に対して生じ、抗IIは菌株S.エピダーミジス360に対して生じ、そして抗IIIは菌株S.エピダーミジス10に対して生じた。
患者から単離されたコアグラーゼ陰性ブドウ球菌は、対象の患者の正常に滅菌した部位から>2の正の培養物(異なる時間に得られた培養物または異なる部位から得られた培養物)が得られた場合、病原体として新しく分化していて特徴を有していた。これらの培養物は続いて、ELISA検定法でウサギの抗血清(抗-I、抗-II、及び抗-III)と反応した。
ELISA検定法:
ELISAプレートの調製: S.エピダーミジスが抽出された抗原の100λの等分した試料を、96ウェル 微量解析プレート(Nunclon(登録商標)、Nunc、Denmark)のウェルに添加し、4℃で一晩貯蔵した。ウェルは使用する前にトウィーン(0.5mlのトウィーン20/1脱イオン化したH2O)を用いて優しく洗浄する。
抗血清の調製: ウサギ抗血清である抗-I、抗-II、及び抗-IIIを、Fischerら、J. Exper. Med., 148: 776-786(1978)に記載された方法によって製造した。続いて抗血清の調製物を、使用する前にPBSトウィーンで100倍に希釈した。さらに一連の希釈も、PBSトウィーンで行った。ウサギの抗血清(抗-I、抗-II、及び抗-III)を、二つの異型の菌株を用いて吸収させることによってさらに調製し、菌株の一つに特異的でない共通のブドウ球菌の抗体を除去することができる。
抗体反応性の分析: 微量解析プレートを数種の希釈度(1/100〜1/12800)で40λの抗血清を用いて調製した。抗血清を微量解析プレートの適当なウェルに加えた。対照として用いた標準の生理食塩水を同様に希釈した。プレートを4℃で2時間インキュベートした。アルカリホスファターゼ−複合化ヤギ抗ウサギのIgG(SIgMa, St. Louis, MO)を、1/400の希釈度でPBSトウィーンを用いて希釈して調製し、この調製物の40λを続いて適当なカラムでそれぞれのウェルに添加した。ウェルの一つのカラムに、PBSトウィーンのみを添加した。プレートを再び4℃で2時間インキュベートした。
4−ニトロフェニルホスフェートを酵素反応の基質として用い、10%のジエタノールアミン緩衝液(下記参照)の5ml中に、5mgの基質タブレットを溶解することによって調製した。続いてこの基質の調製物の100λを37℃でインキュベートした後、適切にそれぞれのウェルに添加し、それから吸光度をTitertek(登録商標)MultiskanmCC/340装置(Flow Laboratories, Lugano, Switzerland)を用いて120分で405nmにて測定した。
試薬の調製: Vollerら、Bull. W. H. O., 53: 55-64(1976)の方法から緩衝液を調製する。
これらの実験の結果を表VIIに示す。S.エピダーミジスに加えて、三つのコアグラーゼ陰性ブドウ球菌を、ヒト病原体として同定した。それぞれの病原性のブドウ球菌は、一つのS.エピダーミジス菌株である、血清型II S.エピダーミジス360を用いて免疫した後で得られたウサギ抗血清と反応した。他の二つのS.エピダーミジス菌株(他の抗血清を製造するためには用いられるが、この抗血清を製造するためには用いられない。)を用いてS.エピダーミジス360から得た抗血清を吸収させても、S.エピダーミジス360によって誘導されたブドウ球菌−反応性抗体は除去されなかった。
しかしながら他の菌株に対して生じさせた抗血清は、血清型II S.エピダーミジス360を用いて吸収させた後、病原性の菌株のどれにも反応しなかった。また血清型II S.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133)は広い反応性のある抗血清と反応するが、このことはこの微生物から得られる抗原が広い反応性を有する抗血清に存在する抗体と結合することも示している。
S.エピダーミジスは3つの血清型(Y. Ichiman及びK. Yoshida、J. Appl. Bacteriol., 51: 229(1981)参照)に分けられるが、病原性がどれかの特殊な菌株かまたはマウスの毒性試験を用いる菌株(Y. Ichiman, J. Appl. Bacteriol., 56: 311(1984)参照)に関連していることは示されていない。この実施例で現れた結果は、すべての病原性のヒト コアグラーゼ陰性ブドウ球菌が、一つの血清型II S.エピダーミジス菌株を用いて免疫することによって導き出される抗体と反応したことを証明している。
免疫した血清型II S.エピダーミジス360菌株及び血清型II S.エピダーミジスHay(ATCC 55133)は両方とも、すべてのヒト病原体が反応した抗血清と反応する。この結果は、ヒトの病原体、即ち免疫したS.エピダーミジス360及びS.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133)の表面に存在する抗原が類似であること、及び抗原がS.エピダーミジス、S.ヘモリティカス、S.ホミニス、及びS.シミュランスなどの多くのコアグラーゼ陰性ブドウ球菌についての重要な毒性のマーカーであることを示している。
適当な成分(例えばS.エピダーミジスHay(ATCC 55133))を有する一つのS.エピダーミジス菌株に対する抗体は、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌に対する広い防御作用を授けることができる。これらの抗原決定基に対して生じた抗体は、研究室の単離物に含まれる病原性ブドウ球菌と非病原性ブドウ球菌とを区別するために有用である。このような抗体は、例えば脳脊髄液、血液、腹腔内液、及び尿のような哺乳動物の体内液体中に含まれる病原性のブドウ球菌及びその抗原を、または病原性のブドウ球菌及びその抗原に対して導かれた抗体を検出するためにも有用である。
またこれらの抗体を導き出す抗原は、広いオプソニン作用と保護作用を有する抗体について免疫グロブリンをスクリーニングする際にも用いられる。この子右舷はまた、ブドウ球菌ワクチンを製造するためにも役立つ。
実施例15
この実施例は、種々の血清型のS.エピダーミジスからなる全蛋白質組成物を調べ、オプソニン作用のウサギ抗血清と反応する蛋白質を同定する。
莢膜の多糖類に対するマウス抗体は、相同性のS.エピダーミジス血清型に対しては防御作用を有するているが、異型の血清型に対しては防御作用がないことが示された(Yoshidaら、J. Appl. Bacteriol., 51: 229(1981)参照)。ヒト血清を用いる防御作用も、相同性のものには関与していたが、異型の抗莢膜多糖類抗体には関与していなかった(Ichimanら、J. Appl. Bacteriol., 63: 165(1987)参照)。相同性の防御作用のメカニズムは明らかでないが、防御作用はIgM抗毒素によって仲介されていると考えられた。
S.エピダーミジスの3つの血清型は血清型I、II、及びIIIと言われており、それらはS.エピダーミジスの多糖類莢膜に基づいている。ウサギの免疫の研究は、S.エピダーミジスに対する広い保護作用を有する抗体が、多数の莢膜多糖類血清型の抗原に対して、または複数の血清型にわたる広い保護作用を誘導する抗原に対して導かれるかどうかを調べるために進行させた。S.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133)の不活性化した全細胞ワクチン(図3及び6参照)、または表面蛋白質及び多糖類(図2及び図5参照)からなるTCA抽出した抗原を用いて免疫した後、全ての血清型からTCA抽出した抗原に対する抗体がELISAで生じることが観察された(図2及び3参照)。またオプソニン作用性抗体はまた、この一つのS.エピダーミジス菌株を用いて免疫することによっても誘導された(図5及び6参照)。
このように本発明は驚くべきことに、S.エピダーミジスに対する抗体が広いオプソニン作用を持ち(図5及び6参照)、そして三つすべての血清型にわたる防御作用を有する(図9参照)ことを示している。これらのデータは、非−多糖類莢膜抗原に対する抗体もオプソニン作用を持ち、S.エピダーミジスによる感染に対する防御作用をもたらすことを示している。
これらの結果は、S.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133)の表面抗原が、三つ全てのS.エピダーミジス血清型にわたって広く反応するオプソニン作用性抗体を誘導することを示唆している。このような抗原は、IVIGの研究で示された広い防御作用について数えることができたものである。多糖類莢膜抗原が血清型特異的抗体を誘導するため、この実施例はS.エピダーミジスの表面蛋白質に向けられる。
S.エピダーミジスの種々の血清型の全蛋白質組成物を調べるために、またオプソニン作用のウサギ抗血清と反応する蛋白質を同定するために、それぞれの血清型の試料を2次元ゲル電気泳動によって分析した。1シリーズのゲルは、それぞれの血清型の成分蛋白質を可視化するために銀染色されていた。これらのゲルは、イメージの加工を行うことによって特殊な蛋白質の質的発現及び量的発現の両方を比較することができた(図13参照)。ほぼ400の蛋白質を分解することができた。
もう一つのシリーズのゲルを、抗原蛋白質を同定するためのオプソニン作用のウサギ抗血清を用いる免疫検出法によって分析できるように、ポリビニリデンジフトライド膜に電気ブロッティングによって移した。
二次元型電気泳動:
最近の2-D技術は有用な最高の分離分解度を提供し、高度に複合化した細胞から得られる二千種以上の異なる蛋白質を分解することができる。このレベルの分解度が同じような方法よりもほとんど二次ほど大きい分解度であるため、この技術は細胞の蛋白質成分の分析にすばらしく好適なものになる。この技術によって作られた「マップ」は染色して検出を行った場合、はっきりとした卵型または円形のスポットとして現れる蛋白質に結果的になる。
S.エピダーミジス蛋白質の分析は、アンダーソンアンドアンダーソン(Anderson and Anderson)のISO-DALTシステムを用いて二次元型ゲル電気泳動を行うことによる分離と特徴付けに基づいている。わずかに修飾を加えた2−Dシステムは、一次元でアクリルアミドゲルにて等電点法を行い、その後二次元でスラブゲル電気泳動を行うことからなる。
等電点法は、アミノ酸組成物によって(おもに、塩基性の化学基に対する酸性の化学基の比率に関与している)蛋白質を分離する。通常は蛋白質からなる小さい試料(100〜200μg)を1.5mmのガラス管内に形成されたゲルの上部に置き、700Vで20時間以上分離させた。低分子量の両性電解質をそのゲルに加えることによりゲルにpH勾配を生じさせた。等電点で焦点が合った蛋白質を含むゲルロッドをその管から取り外し、ドデシル硫酸ナトリウム、即ちそれぞれの蛋白質を開かせるアニオン性の洗浄剤を含むアクリルアミドスラブゲルの上端に沿って配設した。蛋白質は印加した電場の影響の下で移動し、蛋白質の分子量によって行動をふるいにかけることで分離された。pH3〜10の間に焦点を持ち、8,000〜250,000ダルトンの範囲の分子量の蛋白質を分解することができる。それぞれ特殊な蛋白質からなる二次元配列のスポットが形成される。続いてその蛋白質スポットを染色することによって検出する。蛋白質に放射活性の標識を組み入れた場合には、検出を行うために放射線撮影法を用いることもできる。
蛋白質の同定法及び精製法:
二次元ゲル電気泳動法によって分離される蛋白質は、免疫学的な染色法によって容易に同定する。その蛋白質を、Towbinによって導入されたウエスターンブロッティング法によってアクリルアミドスラブゲルから移しとる(一般的には染色を行う前に)。この方法は、アクリルアミドゲルにて分解した蛋白質を、ゲルマトリックスからニトロセルロースまたはポリビニリデンジフロライドのような膜状支持体の表面に電気泳動で写し取ったサンドウィッチ配列を用いている。次にこの支持体に結合した蛋白質を、特定の蛋白質成分に対する抗体を用いて免疫化学的可視化反応を行うことによって分析することができる。この後に可視化のためにパーオキシダーゼやホスファターゼのような酵素系に複合化する第二の抗体が行われる。
これらの方法を用いると、約45〜50,000ダルトンの分子量を有する一つの蛋白質が抗血清に強く反応することがわかった。この蛋白質は焦点が約4.5のpHを持ち、量的にはS.エピダーミジスで見つかった主要な蛋白質のうちの一つである。この蛋白質は、三つすべてのS.エピダーミジス血清型で、またこれらの微生物からTCA抽出することによって得られた抗原の調製物において確認されたものである。図13は二次元ゲル上でのこの蛋白質の分離を表しており、それは大きな図では「X」で示されていて、パネルでは「D」で示されている。
反応性の蛋白質をTCAによって全細胞の細菌から抽出することができたため、それは最も見込みのあるS.エピダーミジス表面蛋白質であり、食作用及び免疫作用にとって重要でである。すべての血清型のS.エピダーミジスに対して広い反応性を持ち、防御作用のある抗体を誘導したS.エピダーミジス蛋白質は、S.エピダーミジス感染を予防したり治療したりするための受動的な免疫治療にとって有効な血漿または免疫グロブリン(ポリクローナルまたはモノクローナル抗体)をスクリーニングするためのツールとしての価値がある。またこの蛋白質は、ワクチン接種によってS.エピダーミジスに対する防御作用を誘導するための活性な免疫を行う際に用いられる。S.エピダーミジスに対するオプソニン作用性抗体を含むポリクローナルの血清はこの蛋白質に結合するが、このことはこの蛋白質が、ブドウ球菌感染を予防しかつ治療する際に重要な役割を果たしていると思われるS.エピダーミジスの重要な表面蛋白質であることを示している。
したがってこの蛋白質に対する抗体はすべての血清型のS.エピダーミジスに対して広い防御作用を有していて、Y. Ichiman及びK. Yoshidaの研究によって示唆されたような血清型特異性ではなり。
実施例16
この実施例では、ブドウ球菌感染を治療したり予防したりするのに有効なブドウ球菌抗原を含むワクチンを提供する。
表VIIIは種々の型の抗原及び標的の微生物を用いる代表的なワクチンを示している。この表で気づくように、いくつかのワクチンは複合ワクチンである。複合化の方法は当業者に周知であり、Brunswickら、J. Immunol., 140: 3364(1988)、Wong, S. S., Chemistry of Protein Conjugates and Crosslinking, DRD Press, Boston(1991)、及びBrenkeleyら,”Brief Survey of Methods for Preparing Protein Conjugates With Dyes, Haptens and Cross-Linking Agents,”Bioconjugate Chemistry, 3, No. 1(Jan. 1992)に記載されたヘテロ連結反応が含まれる。なおこの文献は特別に、参照として組み入れられる。
他の複合ワクチンはグラム陰性細菌またはグラム陽性細菌から得られる抗原を、さまざまに組み合わせて含むことができる。例えばブドウ球菌多糖類は、グラム陰性またはグラム陽性細菌から得られた蛋白質に複合化させることができ、またグラム陰性またはグラム陽性細菌の多糖類は、ブドウ球菌の蛋白質と複合化させることができる。
この例は限定するためのものではなく、本発明の明細書及び実施を考察すれば他の型のワクチンが当業者に明らかとなるであろう。
細菌の表面にある蛋白質も多糖類も両方とも免疫性で重要な役割を果たしていることがわかっている。この発明によって提供されたようにS.エピダーミジスの一つの菌株にある45−50Kdの表面蛋白質は、三つ全ての血清型のS.エピダーミジスに対して反応する抗体を誘導する。本発明はまた、血清型II S.エピダーミジス莢膜多糖類が血清型II S.エピダーミジスに対して防御作用を有する(Ichimanら、J. Appl. Bacteriol., 63: 165-169(1987)参照)だけでなく、血清型II莢膜を運搬する全ての侵略的な菌株とともに、侵略的なコアグラーゼ陰性ブドウ球菌に対して共通の毒力のマーカーでもある(表VII参照)。したがってこのような抗原を運搬する微生物、例えば血清型II S.エピダーミジスHay(A.T.C.C. 55133)は、病原性のブドウ球菌の存在を示す場合だけでなく、オプソニン作用を持ち広い反応性のある免疫グロブリンを単離する場合にも用いることができる。
このような抗原はまた、単独で、または組み合わせて(即ち、45−50,000ダルトンのS.エピダーミジス表面蛋白質とII型莢膜多糖類の組合せ)、または他の重要な抗原と組み合わせて用いることもできる。このような他の抗原には、血清型5及び血清型8 S.アウレウス莢膜抗原のような他のブドウ球菌莢膜多糖類であって、ブドウ球菌に対するオプソニン作用性抗体を誘導するためにも重要な莢膜多糖類を含むことができる。血清型II多糖類単独を用いるワクチンは、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)に対して広い反応性を有するているが、血清型II S.エピダーミジスならびに血清型5及び8 S.アウレウス多糖類を組み合わせたワクチンは、ブドウ球菌(コアグラーゼ陰性及びコアグラーゼ陽性のもの)に対して広く反応するワクチンを提供することができる。このようなワクチンは小さな子供においてでさえ高い免疫原性があり、ブドウ球菌に対して広いオプソニン作用及び防御作用を有するている。
免疫原性を高めるためにこのような多糖類抗原を、蛋白質、例えば破傷風もしくはジフテリアの毒素、またはブドウ球菌蛋白質に、この技術でよく知られているように複合化させることができる。
本発明の他の態様及び使用法は、この発明の明細書及び実施を考慮すれば当業者に明かとなろう。この明細書及び実施例は例示的に考慮されると認められ、本発明の真の範囲及び精神は次の請求の範囲によって示される。
Claims (31)
- ブドウ球菌に対してオプソニン作用性であり且つ広範な反応性を有する抗体を誘導する、単離されたコアグラーゼ陰性ブドウ球菌の表面蛋白質。
- 抗体がスタフィロコッカス・エピダーミジス(Staphylococcus epidermidis)の三つの血清型すべてに対して広範な反応性を有する、請求項1に記載の蛋白質。
- スタフィロコッカス・エピダーミジス由来である、請求項1に記載の蛋白質。
- 約45,000〜50,000ダルトンの分子量を有し、約pH4.5の等電点を有する、請求項3に記載の蛋白質。
- スタフィロコッカス・エピダーミジスが受託番号55133でA.T.C.C.に寄託された菌株Hayである、請求項3又は4に記載の蛋白質。
- コアグラーゼ陰性ブドウ球菌の表面蛋白質に対する単離されたオプソニン作用性であり且つ広範な反応性を有する抗体であって、該蛋白質がブドウ球菌に対して広範な反応性を有する抗体を誘導するものである、抗体。
- モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体である、請求項6に記載の抗体。
- スタフィロコッカス・エピダーミジスの三つの血清型すべてに対して広範な反応性を有する、請求項6に記載の抗体。
- 蛋白質がスタフィロコッカス・エピダーミジス由来である、請求項6に記載の抗体。
- 蛋白質が約45,000〜50,000ダルトンの分子量を有し、約pH4.5の等電点を有するものである、請求項9に記載の抗体。
- スタフィロコッカス・エピダーミジスが受託番号55133でA.T.C.C.に寄託された菌株Hayである、請求項9又は10に記載の抗体。
- (a)免疫グロブリンの試料を準備する段階、
(b)ブドウ球菌に対してオプソニン作用性であり且つ広範な反応性を有する抗体を誘導するコアグラーゼ陰性ブドウ球菌の表面蛋白質に対する抗体の存在について該免疫グロブリンを検定する段階、及び
(c)該抗体の高い力価を有する免疫グロブリンを単離する段階、
を含む、ブドウ球菌感染の治療及び予防に有効である広範な反応性を有するオプソニン作用性免疫グロブリンを単離する方法であって、該蛋白質に対する抗体の存在がブドウ球菌感染の治療及び予防のための生物体液の有用性の指標となる、方法。 - 蛋白質がスタフィロコッカス・エピダーミジス由来である、請求項12に記載の方法。
- 蛋白質が約45,000〜50,000ダルトンの分子量であり、約pH4.5の等電点を有する、請求項13に記載の方法。
- 蛋白質が受託番号55133でA.T.C.C.に寄託されたスタフィロコッカス・エピダーミジス菌株Hay由来である、請求項13又は14に記載の方法。
- 免疫グロブリンがポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を含む、請求項12に記載の方法。
- 検定が結合性検定、オプソニン化検定、及びクリアランス検定からなる群より選択されるものである、請求項12に記載の方法。
- 該オプソニン化検定が細胞仲介型殺菌作用検定である請求項17に記載の方法。
- (a)ブドウ球菌に対して広範な反応性を有する、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌由来の表面蛋白質に対するオプソニン作用性抗体、及び
(b)薬学的に許容される担体、
を含む、ブドウ球菌感染の治療又は予防のための薬学的組成物。 - 蛋白質がスタフィロコッカス・エピダーミジス由来である、請求項19に記載の組成物。
- 蛋白質が約45,000〜50,000ダルトンの分子量を有し、約pH4.5の等電点を有する、請求項20に記載の組成物。
- 蛋白質が受託番号55133でA.T.C.C.に寄託されたスタフィロコッカス・エピダーミジス菌株Hay由来である、請求項20又は21に記載の組成物。
- 薬学的に許容される担体が水、油、生理食塩水溶液、水性デキストロース、及びグリセロール溶液からなる群より選択されるものである、請求項19に記載の組成物。
- (a)ブドウ球菌に対してオプソニン作用性であり且つ広範な反応性を有する抗体を誘導する、治療に有効な量のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌由来の表面蛋白質、及び
(b)薬学的に許容される担体、
を含む、ブドウ球菌感染の治療又は予防のためのワクチン。 - 蛋白質がスタフィロコッカス・エピダーミジス由来である、請求項24に記載のワクチン。
- 蛋白質が約45,000〜50,000ダルトンの分子量を有し、約pH4.5の等電点を有するものである、請求項25に記載のワクチン。
- 蛋白質が受託番号55133でA.T.C.C.に寄託されたスタフィロコッカス・エピダーミジス菌株Hay由来である、請求項25又は26に記載のワクチン。
- 薬学的に許容される担体が水、油、生理食塩水溶液、水性デキストロース、及びグリセロール溶液からなる群より選択されるものである、請求項24に記載のワクチン。
- 蛋白質が第二化合物に複合化されている、請求項24に記載のワクチン。
- 第二化合物がS.アウレウス(S. aureus)血清型5、S.アウレウス血清型8、又はS.エピダーミジスの莢膜多糖類である、請求項29に記載のワクチン。
- 第二化合物がグラム陰性微生物の莢膜多糖類である、請求項29に記載のワクチン。
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