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JP4164104B2 - アスベスト除去具 - Google Patents
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JP4164104B2 - アスベスト除去具 - Google Patents

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本発明は、アスベスト除去具に関するものであり、さらに詳しくは、アスベスト面の除去を行う除去手段と、アスベスト面に接する部分に密植された複数本の線材からなるシール手段を備え除去手段の作用部の全体を掩覆する透明材よりなる密閉手段と、除去手段の密閉手段に掩覆されていない部分に固着され一部が作業者が手に把持できるハンドルとして構成されている把持手段と、一端が密閉手段に穿設された吸引口に気密的に接続され、他端がコンプレッサに接続されている吸引用可撓管からなる吸引手段、から構成され、除去手段が、研磨用の回転円盤を作用部とするグラインダであり、シール手段である線材が、剛性と可撓性のある線材が複数本密植された第1シール手段と、該第1シール手段に隣接して密植された第1シール手段の線材よりやや細く第1シール手段の線材よりやや長い複数本の線材からなる第2シール手段からなり、把持手段あるいは密閉手段に、除去手段の作用部の研磨用の回転円盤の近傍を照明できる照明装置が装着されていることを特徴とするアスベスト除去具に関するものである。
近年、多くの建築物に用いられてきたアスベストによる被害が大きく報道されるに至り、建築物からアスベストを除去するための工事が盛んに行われるようになった。しかしながら、アスベストの除去は、危険性を伴う工事であり、作業者は、常にアスベストの粉塵を吸引する危険性にさらされている。このため、厳重に防護服で身を固め、工事中の部屋のシールドを厳密に行い、かつ、剥離され、床に堆積したアスベストは吸引装置で吸引するという方法が採られてきた。しかしながら、作業員が手に持つケレンと呼ばれる除去具(へらのような工具)でアスベストを剥離し、床に落ちたアスベスト片を清掃、吸引するという従来の方法では、どうしても室内にアスベスト粉末が飛散し、作業員が誤吸引する可能性も高くなる。また、室内に飛散したアスベスト粉末を完全に吸引する作業も手間がかかり、さらに防護服もアスベスト粉末で汚染されるので、そのクリーニングも大変な作業となる。このように、アスベスト剥離工事は多くの難題を抱えているが、この工事は、日本中のあらゆる建築物からアスベストが完全に撤去されるまで続けなければならないものであり、現在も、危険性と背中合わせでの作業が数多く続けられているのが現状である。
上記の如き事情に鑑み、アスベスト除去工事をさらに合理的にかつより安全に行えるように、様々の発明、考案がなされてきた。下記特許文献1〜3に掲げるものは、その一部である。これらのうち、下記特許文献2の「アスベスト床タイル除去装置」は床材としてのアスベスト専用の剥離装置であり、また下記特許文献3の「埋設石綿管の撤去方法およびそのための装置」は、埋設石綿管の撤去に限定された方法および装置である。したがって、ここでは、本発明と主旨目的を共有する度合いが最も高いと思われる下記特許文献1の「アスベスト除去装置、除去ヘッドおよび除去工具」に関して詳述する。
下記特許文献1の「アスベスト除去装置、除去ヘッドおよび除去工具」
は、移動台車、移動台車に旋回自在に設けられた多関節アーム、多関節アームの先端に設けられた除去ヘッド、アスベストを回収する回収部から構成された大掛かりな装置で、除去ヘッドに備えられたアスベスト除去工具によってアスベストを除去しつつ薬剤からなる泡を噴射してアスベストの粉末化を抑制し、さらにこれを吸引回収するという作用を有するものである。また、除去ヘッドの周囲は、ナイロンなどからなる細い繊維を束ねたブラシシールでシーリングされている。
特許文献1の除去装置あるいは除去工具は、アスベストを剥離する作用部分を多関節アームと除去ヘッドにより作業員の手から切り離すことにより、作業員がアスベスト粉末に直接的に晒されるのを回避しようとするものであるが、その構成を実現するためにかえって多くの難題を抱えることになった。まず、その一つは、大掛かりな移動台車を必要とする点である。実際のアスベストの剥離現場は、移動台車を円滑に移動できるような平坦面に恵まれているケースは極めて稀で、激しい凹凸があったり、物品や解体屑が散乱して、車輪付の大掛かりな移動台車を動かすようなスペースは全くないところが殆どである。また、仮に移動台車を設置できたとしても、多関節アームの伸縮によって除去ヘッドを希望する剥離対象面に押圧できるケースもむしろ少ないと考えられる。実際の現場においては、高い部分は足場を組んで作業員がその足場に乗って剥離作業をしているのが現状であるが、例えば体育館の天井のような高い部分に届く多関節アームを支える移動台車を考えると、非常に規模の大きなものとなり、現実的ではないことが理解される。
さらに、実際のアスベスト剥離現場においては、アスベストの付着状況は、たとえ同一の平面においても少しずつ異なるのが一般的である。アスベスト層の厚さや密着度も異なれば、一部あるいは殆どが剥離している箇所もあり、さらにアスベスト層と躯体の間に別の物質の層がある場合もあって、このような場合には、一律の機械的な剥離作用が殆ど有効性を持たない。また、剥離対象面も完全な平面である場合はむしろ少なく、微妙な凹凸やカーブがあったり、梁が出ていたりする。したがって、このような多様な様相を見せる剥離対象面に対し、多関節アームの先端に取り付けた除去ヘッドを遠隔操作してアスベストをきれいに剥離しようとするのは無理があり、実際の現場においては非常に使いずらく、たとえある程度使えたとしても、アスベストが様々な状態で相当程度残留することになるので、結局残留アスベストは作業員の手作業で剥離しなければならない結果となる。
また、特許文献1では、除去ヘッド全体が不透明のケースで被覆されているので、アスベストの除去程度が、除去ヘッドを移動させない限り、作業員の目で確認できない。上記のように、除去対象面は多様な様相となるので、通常、作業員が自分の目で除去状態を確認しながら除去作業を進めているのが現状であるが、除去ヘッド自体が不透明のケースで覆われた状態ではこの確認作業が除去作業と同時進行してできないので、除去作業を進める上において、大きな障害となる。
また、特許文献1では、アスベストの粉末化を避けるために、薬剤の泡を噴射する方法も開示されている。この方法は、現在の手作業にても用いられているが、特許文献1の除去装置あるいは除去工具においては、実際にはこの方法は新たな障害を生む原因となる可能性が高い。すなわち、特許文献1の除去装置あるいは除去工具においては、除去ヘッドの周囲をブラシシールでシーリングするものであるが、薬剤の泡を使用しない場合は、アスベストは粉末化されたとしても、除去ヘッドには回収手段の吸引作用が働いているのでブラシシールから外部の空気が流入する形となり、アスベストの粉末がブラシシールから外部へ漏れ出す可能性は低い。しかるに、薬剤の泡にて粉末を包囲してしまうと、薬剤の泡は除去対象面に付着して残り、除去ヘッドの移動によってブラシシールから外部へ漏れ出すこととなる。この薬剤の泡にはアスベストの粉末が含まれているので、この付着した薬剤の泡を完全に除去しない限り、薬剤の泡の乾燥により粉末化したアスベストが空気中に飛散することとなり、逆効果となってしまう。また、回収手段は、薬剤の泡にて包囲されたアスベストを吸引することになり、回収ホースや回収手段の内部機構は粘性の高い回収物で充満され、機能不全に陥ってしまうことは想像に難くない。したがって、薬剤の泡にてアスベストを包囲するという方法は、現在の手作業による剥離においてはある程度有効であるが、機械的にこれを吸引するということは、きわめて非現実的であるといわざるを得ない。
特開平11−193643 特開2001−40884 特開2006−83600
叙上より、本発明が解決しようとする課題を次のように設定した。
<課題1>
アスベスト除去作業の現場の状況や、除去対象面が均一でなく様々な様態に亘るという現況から見て、アスベスト除去作業を機械化あるいは自動化することは困難であり、たとえ機械化あるいは自動化できたとしても、除去対象面にはアスベストが必ず残留する結果となる。したがって、アスベスト除去作業を機械化あるいは自動化するという方向ではなく、現況の作業員によるきめ細かな、現場の状況に即応できる除去方法を基本とし、その上で、できるだけ作業員の蒙る危険度と負担を軽減する合理的で効率の良い除去ができる除去具を開発する。
<課題2>
作業員の誤吸引を防止するため、除去したアスベストは除去具のシールされた空間内にて完全に吸引できるような構成としたい。この際、吸引装置の作動の円滑化のために、アスベストを粉末化して吸引するということを考えた場合、薬剤の泡で被覆すると、叙上のように吸引装置の不具合を引き起こしたり、シールからかえって漏れてしまう可能性が高い。したがって、薬剤の泡で被覆するという方法は採らず、粉末のままのアスベストをできるだけ完全に吸引する構成を開発する。この際、除去されたアスベストの塊が大きいと、薬剤で粘性化していなくても円滑な吸引が阻害されたり、吸引装置の不具合を引き起こす可能性があるので、アスベストはできるだけ粉体化して吸引できるようにする。
<課題3>
アスベストが完全に除去されたかどうかの確認は、作業員が眼で見て判断するのが基本である。したがって、アスベストが除去される作用部そのものを、常に作業員が目で簡単に確認できるような構成でなければならない。また、これに加えて、照明装置の問題も重要である。アスベストの除去作業現場は、照明装置がある場合もあればない場合もある。また、照明装置があったとしても、除去対象面の場所によっては影になって、除去対象面が良く見えないことも多い場合が殆どであるので、常に除去対象面を照明するための照明装置があることが望ましい。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、下記に示す解決手段を提供するものである。
<解決手段1>
アスベスト面の除去を行う除去手段と、アスベスト面に接する部分に密植された複数本の線材からなるシール手段を備え除去手段の作用部の全体を掩覆する透明材よりなる密閉手段と、除去手段の密閉手段に掩覆されていない部分に固着され一部が作業者が手に把持できるハンドルとして構成されている把持手段と、一端が密閉手段に穿設された吸引口に気密的に接続され、他端がコンプレッサに接続されている吸引用可撓管からなる吸引手段、から構成され、除去手段が、研磨用の回転円盤を作用部とするグラインダであり、シール手段である線材が、剛性と可撓性のある線材が複数本密植された第1シール手段と、該第1シール手段に隣接して密植された第1シール手段の線材よりやや細く第1シール手段の線材よりやや長い複数本の線材からなる第2シール手段からなり、把持手段あるいは密閉手段に、除去手段の作用部の研磨用の回転円盤の近傍を照明できる照明装置が装着されていることを特徴とするアスベスト除去具。
<解決手段2>
除去手段の作用部の研磨用の回転円盤の回転軸の軸方向を上下方向とした場合に、透明材よりなる密閉手段の先端部分が平面視で90°以下の角度に構成されていることを特徴とする解決手段1に記載のアスベスト除去具。
本発明は、アスベストの除去作業において、従来作業員の手で行われてきた、きめ細かい除去作業の方法をそのまま保全しつつ、作業員が使いやすく、効率が良く、しかも作業員が蒙る危険性を可能な限り低レベルに抑えたアスベスト除去具を提供するものである。
まず、従来、作業員がケレンと呼ばれるへら状の工具を用いて行っていた作業は、ある程度電動器具に置き換えて、除去作業の効率化を図ることを考えた。この際に、最も重要となるのは、直接アスベスト面に触れてこれを剥離除去する除去手段である。すなわち、作業員の負担が最も少ない形で効率よくアスベストを剥離除去できること。しかも叙上のような課題から、アスベストが大きな塊ではなく、粉体として除去できることが重要である。このような機能を持つ除去手段を求めて様々な様態の工具で実験した結果、上記目的に最もかなうものとして、家庭用の小型のグラインダに辿りついた。
家庭用の小型のグラインダは、日曜道具用品として、近年ホームセンター(日曜大工道具等の量販店)でも良く見かけるものである。その構成は極めて単純で、モータを内蔵する柄部分の先端に、下向きに研磨用の回転円盤が装着されており、スイッチを入れると該円盤が高速回転する。研磨用の回転円盤は、砥石でできており、様々な荒さのものが用意されていて、簡単に交換可能となっている。また、コンクリート面の研磨専用の回転円盤も売られている。
この小型のグラインダの良いところは、アスベストを粉体化して剥離除去するという本発明の目的にまさにぴったりの作用効果を有しているという点である。小型のグラインダの研磨用の回転円盤をアスベスト面に当てるとアスベスト面は見事に粉体化して剥離される。厚いアスベスト面には回転円盤を深く入れ、薄いアスベスト面には回転円盤を浅く入れることにより、どのような厚さのアスベスト面にも対応可能である。また、アスベスト面の固さや、あるいはアスベスト面が何かに被覆されたり、又はアスベスト面の下に別の物質の面があるという様々な様態にも、回転円盤の砥石の荒さを変えるだけで略対応可能であることが判明した。回転円盤の砥石の種類は実に豊富であるが、除去手段の本体として小型のグラインダを用いることにより、この豊富な回転円盤の様々な種類をことごとく用いることができるのは、大きなメリットである。
また、家庭用の小型のグラインダのもう一つの特徴として、極めてコンパクトかつ軽量に設計してあるという点が挙げられる。アスベスト除去具は、作業員が除去作業中常に手に把持して作業を行うものであり、とくに天井面のアスベストの除去作業においては、除去具を上下反転させて手を上に上げたままで天井面に当てて除去作業を続けなければならない。したがって、除去具の基本的条件として、除去性能と同じくらい軽量かつコンパクトであることが要求される。しかるに、家庭用の小型のグラインダは、女性でも日曜大工に使えるように、極めてコンパクトかつ軽量に設計されているので、この目的にはぴったりのものといえる。また、家庭用の小型のグラインダは、当然のことながら通常どこの家庭にも引き込まれている100Vの交流電源で作動するように造られているが、この点も、アスベストの除去作業には大きな利点となる。すなわち、100Vの交流電源は、日本中略すべての建物に設備されているものであるから、アスベストの除去作業にあたっても、特別の電源装置を準備しなくて良い。これは、作業の機動性や経費面から見ても、非常に大きな利点となるものである。
したがって、本発明の構成は、除去手段として家庭用の小型のグラインダを基本として考え、該グラインダの研磨用の回転円盤、すなわち除去手段の作用部を、密閉手段にてシールドして、粉体化されたアスベストが飛散しないように構成した。具体的には、小型のグラインダの研磨用の回転円盤を合成樹脂の蔽体を密閉手段として用いて掩覆するのであるが、その際、除去作業の作用部となる回転円盤を常に視認できるように、蔽体として透明の合成樹脂を用いることとした。
また、密閉手段の蔽体がアスベスト面に接する部分をシールするシール手段として、複数本の線材をブラシ状に密植し、アスベストの粉体が密閉手段の外部に漏れないように構成した。シール手段を線材の束としたのは、後に述べるコンプレッサによる吸引によって密閉手段内部が減圧された場合、ブラシ状に密植された線材の間から、適度に空気が流入することを保証するためである。したがって、シール手段の部分では、常に外部からシール手段の内部に向けて気流が生じており、アスベストの粉体は、この気流により、シール手段の内部に押しもどされて外部に漏れ出すことがない。なお、線材の材質については、剛性と可撓性を共に有するものであれその種類を問わないが、具体的にはナイロン繊維やポリエステル繊維、アクリル繊維等の合成樹脂からなる線材、馬やいたち等の動物の毛、さらには真鍮やステンレス等の剛性と可撓性を有する金属線材を用いることが可能である。
また、シール手段を複数本の線材としたもう一つの理由は、除去対象面が必ずしも平滑ではなく、凹凸やカーブが存する状態が通常であるという点による。すなわち、シール手段が例えばパッキン状のものであったとしたら、凹凸やカーブが存する面に当てた場合、必ず隙間ができてしまう。しかるに、シール手段が複数本の線材であれば、夫々の線材の可撓性によりシール手段全体が良く凹凸面やカーブ面になじむので、隙間が生じることがない。また、作業者が除去具全体を除去対象面に押し付けた場合、複数本の線材のシール手段が撓んでクッションの役割を果たし、作業者の作業が極めて楽になるという点も大きな特徴である。
さらに、シール手段の複数本の線材の密植構成として、やや太く短めの複数本の線材からなる第1シール手段の周囲に、やや細く長めの複数本の線材からなる第2シール手段を植設することにより、単一の太さと長さの複数本の線材のみからなるシール手段にはない特徴を持たせることができる。すなわち、やや太く短めの複数本の線材からなる第1シール手段はある程度のシール性とシール手段全体の剛性の保持を主に担当することにより、作業者が除去具の一端のみに力を掛け過ぎたとしても、反発作用を有し、除去具全体の過度の傾きが防止される。また、作業者が過度に除去具全体を除去対象面に押し付けてしまった場合も、第1シール手段の剛性によって除去具全体が一定の位置で停止され、結果として、除去手段がアスベスト層を突き抜けて躯体面まで削ってしまうという誤作動が防止される。一方、やや細く長めの複数本の線材からなる第2シール手段は可撓性と高度なシール性の方を主に担当し、第1シール手段だけでは不足するシール性を高めると同時に、クッション作用によって作業者が手に感じる反作用を軽減してくれるので、作業感覚はきわめて良好なものとなる。この点は、本発明が、作業者が長時間手に把持して作業するものであるところから、極めて重要な点となる。なお、通常は、第1シール手段に比較して、第2シール手段の方が植設密度は高い。
次に、密閉手段の先端部を平面視で90°以下の角度に構成したが、この点も作業効率の上昇には極めて有効に働く。すなわち、密閉手段の先端部を平面視で90°以下の角度に構成したことにより、密閉手段全体が平面視で略直角三角形状とすることができ、除去対象面であるアスベスト面の隅部分に極めて適切に当接する。本発明の構成においては、アスベスト面の隅部分にては、除去手段であるグラインダの回転円盤を、できるだけ隅部分を構成する2辺に接近させることが重要となるが、密閉手段全体を平面視で略直角三角形状とすることにより、このことが可能となるのである。なお、密閉手段の先端部の角度が余りに小となりすぎると、グラインダの回転円盤がアスベスト面の隅部分から遠くなるので、密閉手段の先端部の角度の最小値は80°程度となると考えられる。すなわち、作業現場の隅部分がすべて完全に90°であれば、密閉手段の先端部を平面視で90°と限定できるが、現場の状況によっては隅部分が完全に90°となっていないことも多い。したがって、隅部分が90°よりやや狭くなっている場合にも対応できる構成として、密閉手段の先端部の角度を90°〜80°とすることが考えられるということである。なお、明らかに鋭角状の隅部分の多い現場に対しては、密閉手段の先端部の角度を80°以下とすることも充分に考えられる。この場合は、他の部分との構成の釣り合いを考えると、最小値は30°程度となるであろう。
また、本発明の1実施形態においては、作業者が手に把持する把持手段、すなわちハンドル部分の先端部分が透明樹脂製の密閉手段の内部に挿入されており、該先端部分に除去手段の研磨用の回転円盤の近傍を照明できる照明装置が装着されている。これにより、作業者は、研磨用の回転円盤がアスベスト面を切削している状況を常にモニタしながら作業を続けることができる。この点は、きわめて大切なことである。すなわち、先述のように、アスベスト面は厚さや固さや他の層との関連や剥離状況などにより無限の様態を持ち、しかも同一面にても場所によりその様態を異にする。したがって、常に回転円盤の切削状況をモニタしながらハンドルを操作して回転円盤の深さや進行方向を微調整しなければならない。作業現場では、作業場所により、前述のように照明が届きにくいところもあるが、照明装置により常に回転円盤の切削状況を明確に把握できる状態となっていれば、作業者は、無駄なく効率的に作業を進めることができる。
本発明のさらなる特徴は、アスベストを粉体化して、これを、一端が密閉手段に穿設された吸引口に気密的に接続され、他端がコンプレッサに接続されている吸引用可撓管によって吸引除去するという点にある。すなわち、粉体化されたアスベストは該吸引用可撓管によりすべて吸引されて、外気を汚染することがない。このために、本発明においては、通常行われるように薬剤の泡によってアスベストを包み込むという手段をとらなかった。すなわち、薬剤の泡によってアスベストを包み込むという方法は、粘性のある塊が吸引用可撓管の内部を通過することになるので吸引性能が著しく悪化し、場合によっては吸引作用自体に支障をきたすことも考えられる。さらに、前述のとおり、アスベストを内部に含んだ薬剤の泡がシール手段の線材から漏れ出し、結局除去対象面に残留してしまうという結果を招くこととなる。したがって、通常とは逆の発想になるが、アスベストを極力粉体化し、これを、吸引手段と密閉手段が十全に作用する状態のもとに完全に吸引するということを基本方針として考えた。本発明の全ての構成は、除去手段も、密閉手段も、密閉手段のシール手段も、すべてがこの基本方針に則って構成されているものである。
本発明の、解決手段1の発明によれば、アスベスト面の除去を行う除去手段と、アスベスト面に接する部分に密植された複数本の線材からなるシール手段を備え除去手段の作用部の全体を掩覆する透明材よりなる密閉手段と、除去手段の密閉手段に掩覆されていない部分に固着され一部が作業者が手に把持できるハンドルとして構成されている把持手段と、一端が密閉手段に穿設された吸引口に気密的に接続され、他端がコンプレッサに接続されている吸引用可撓管からなる吸引手段、から構成されているので、作業者の負担が最も少ない形で効率よくアスベスト面を剥離除去できる。しかも、解決手段にては、アスベストが大きな塊ではなく、粉体として除去されるので、吸引用可撓管やコンプレッサに過大な負担がかかることなく、常に最良の状態でアスベスト粉末の吸引が行える。
また、シール手段が複数本の線材からなるので、コンプレッサによる吸引によって密閉手段内部が減圧された場合に、密植された複数本の線材の間から適度に空気が流入することが保証される。これにより、常に外部からシール手段の内部に向けて気流が生じており、剥離破砕されたアスベストの粉体は、この気流によりシール手段の内部に押し戻されて外部に漏れ出すことがない。さらに、除去対象面(アスベスト面)に凹凸やカーブがあっても、夫々の線材の可撓性によりシール手段全体が良く凹凸やカーブ面になじむので、隙間が生じることはない。また、作業者が除去具全体を除去対象面に押し付けた場合、複数本の線材からなるシール手段が撓んでクッションの役割を果たし、作業が極めて楽になるという効果ももたらされる。
さらに、除去手段の作用部の全体を掩覆する密閉手段が透明材よりなっているので、作業者は、アスベスト面を剥離粉砕している作用部(解決手段にては研磨用の小型円盤)を常に視認しながら作業が行える。これにより、アスベスト面の厚さの変化や微妙な凹凸や他の素材からなる面が現われた場合等に即座に対応しつつ作業を行うことができるので、アスベスト面の剥離粉砕をほぼ完全な形で行うことが可能となった。作業者は、作用部を視認しつつ、アスベスト面の残留がある部分に対しては、残留アスベストがきれいに除去されるまで何度も剥離粉砕作業を繰り返すことも可能である。この点は、作業者が手で把持し、しかも密閉手段が透明材からなる本発明に特有の効果であって、例えば遠隔操作による除去具等にては決して奏することのできない効果である。
本発明の解決手段の発明によれば、除去手段が、研磨用の回転円盤を作用部とするグラインダであるので、アスベスト面は粉体化されて剥離除去される。これにより、吸引手段に対する負荷はきわめて小となり、吸引手段の能力を小型化することが可能となった。また、大きな剥離片が吸引手段の内部に詰まったり、薬剤を用いた場合のように粘体化した剥離片や粉末が吸引手段の吸引能力に支障を及ぼすこともなくなった。また、作用部が研磨用の回転円盤であるので、厚いアスベスト面には回転円盤を深く入れ、薄いアスベスト面には回転円盤を浅く入れることにより、どのような厚さのアスベスト面にも対応可能である。さらに、アスベスト面の固さが変化していたり、あるいはアスベスト面が何かに被覆されたり、又はアスベスト面の下に別の面があるという様々な様態にも、回転円盤の砥石の荒さを変えるだけで略対応が可能である。
さらに、除去手段のグラインダとして、家庭用の小型のグラインダを用いることにより、除去具全体を極めて軽量且つコンパクトに設計できる。したがって、作業者が長時間手に把持しても最小の疲労感で作業を進めることができる。また、天井のように作用部を上向きにして把持しなければならない現場においても、軽量且つコンパクトな構成は、作業のしやすさや疲労感の軽減に大きな効果をもたらす。また、どのような建物にも標準で設備されている100Vの交流電源を用いることができるので、作業にあたっても特別の電源設備を必要としない。さらに、家庭用の小型のグラインダに対しては、研磨用の回転円盤として、様々な種類の砥石が用意され、しかも簡単に交換可能であるので、アスベスト面の様々な様態にも即時対応可能である。
本発明の解決手段の発明によれば、シール手段である線材が、剛性と可撓性のある線材が複数本密植された第1シール手段と、該第1シール手段に隣接して密植された第1シール手段の線材よりやや細く第1シール手段の線材よりやや長い複数本の線材からなる第2シール手段からなっているので、単一の太さと長さの複数本の線材のみからなるシール手段にはない効果を奏することができる。すなわち、やや太く短めの複数本の線材からなる第1シール手段はある程度のシール性とシール手段全体の剛性の保持を主に担当することにより、作業者がアスベスト除去具の一端のみに力を掛け過ぎたとしても、反発作用を有し、アスベスト除去具全体の過度の傾きが防止される。また、作業者が過度にアスベスト除去具全体をアスベスト面に押し付けてしまった場合も、第1シール手段の剛性によってアスベスト除去具全体が一定の位置で停止され、結果として、除去手段がアスベスト層を突き抜けて躯体面まで削ってしまうという誤作動が防止される。一方、やや細く長めの複数本の線材からなる第2シール手段は可撓性と高度なシール性の方を主に担当し、第1シール手段だけでは不足するシール性を高めると同時に、クッション作用によって作業者が手に感じる反作用を軽減してくれるので、作業感覚はきわめて良好なものとなる。この点は、本発明が、作業者が長時間手に把持して作業するものであるところから、極めて重要である。
次に、本発明の解決手段の発明によれば、把持手段あるいは密閉手段に、除去手段の作用部の研磨用の回転円盤の近傍を照明できる照明装置が装着されているので、現場の照明状況如何に関係なく、作業者は、研磨用の回転円盤がアスベスト面を切削している状況を常に明視しながら作業を続けることができる。前述のように作業現場では、作業場所により、照明が届きにくいところもあるが、照明装置により常に回転円盤の切削状況を明確に把握できる状態となっていれば、作業者は、無駄なく効率的に作業を進めることができる。
次に、本発明の解決手段の発明によれば、除去手段の作用部の研磨用の回転円盤の回転軸の軸方向を上下方向とした場合に、透明材よりなる密閉手段の先端部分が平面視で90°以下の角度に構成されているので、密閉手段全体が平面視で略直角三角形状となり、除去対象面であるアスベスト面の隅部分に極めて適切に当接する。本発明の構成においては、除去対象面の隅部分にては、除去手段であるグラインダの回転円盤を、できるだけ隅部分を構成する2辺に接近させることが重要となるが、密閉手段全体を平面視で略直角三角形状とすることにより、このことが可能となる。なお、密閉手段の先端部分を平面視で90°〜80°の角度に構成することにより、アスベスト面の隅部分が90°をやや下回っている場合にも対応可能となる。また、アスベスト面の隅部分が鋭角状の現場には、密閉手段の先端部分の角度の最小値を30°程度とすれば対応可能となる。
本発明を実施するための最良の形態を、以下に、図面を参照しながら詳細に説明する。
<実施例1の構成>
実施例1のアスベスト除去具1は、図1〜図5に見るように、アスベスト面ASの剥離と粉砕を同時に行う除去手段2と、アスベスト面ASに接する部分に密植された複数本の線材からなるシール手段32を備え除去手段2の作用部21の全体を掩覆する透明材よりなる密閉手段3と、除去手段2の密閉手段3に掩覆されていない部分に固着され一部が作業者(図示せず)が手に把持できるハンドル41として構成されている把持手段4と、一端が密閉手段3に穿設された吸引口H1、H2に気密的に接続され、他端がコンプレッサ(図示せず)に接続されている吸引用可撓管51、52、53からなる吸引手段5、から構成されている
除去手段2は、作用部21と柄部22からなる小型のグラインダGで、柄部22にモータ(図示せず)が内蔵され、該モータの駆動力により作用部21に垂設された軸21bを回転させ、軸21bの下端に水平状態で螺着された研磨用の回転円盤21aを回転させる。グラインダGは、通常、小売店にて市販されている家庭用の小型のグラインダであって、その構成は公知技術であるので、詳細な説明は省略する。なお、回転円盤21aは、軸21bに簡単に着脱できる構成となっているので、作業者は、アスベスト面ASの状態に応じて、適切な他の回転円盤と容易に交換できる。なお、SWはグラインダGの電源スイッチであり、密閉手段3はこの電源スイッチSWを掩覆しないように構成されている。
密閉手段3は、除去手段2の作用部21全体を、少なくともアスベストの粉末の漏洩がない程度に気密的に密閉するもので、透明材からなる蔽体31と、蔽体31のアスベスト面ASに接する部分に密植された複数本の線材からなるシール手段32から構成されている。このうち、蔽体31は、図2、図7から明らかなように平面視で下に凸の三角形状で、先端部31aは90°として構成されている。実施例1にては先端部31aの角度を90°としたが、実際の現場では、アスベスト面ASの隅部分の角度が90°よりやや狭くなるケースも有り得ると考えられるので、80°〜90°位の間の角度とするのが適切であろう。先端部31aの角度を余り小にしすぎると、アスベスト面ASの隅部分から回転円盤21aが遠のく結果となるので、80°位が最小値であると考えられる。蔽体31の左側面31bと右側面31cは緩やかな曲面をなし、背面31dは平面状である。また、上面31eはドーム状であり、後述の把持手段4の先端部42の下部が上面31e内に嵌入固着されている。先端部31a、左側面31b、右側面31c、背面31d、上面31eは、先端部31aの直角部分を除き、全体が曲面によって連続されて一体として構成されている。また、蔽体31の下面は開放状態であるが、先端部31a、左側面31b、右側面31c、背面31dの下端部に、連続したフランジFが内側に向けて一体として形成されていて、フランジFの下面には、複数本の線材W1、W2(図14a参照)からなるシール手段32が植設されている。蔽体31の材質としては、透明の合成樹脂が用いられるが、フランジFについては不透明材を用いることも可能である。なお、フランジFは、先端部31a、左側面31b、右側面31c、背面31dの下端部に一体として固着されている。また、背面31dの下端部に固着されたフランジFは、図3、図10に見るように、中央部が後方に膨らんだ形となっているが、これは、除去手段2の作用部21の回転円盤21aがこの部分に衝突するのを回避するためである。
蔽体31の背面31dには、図9に示すように、円形の吸引口H1、H2、略正方形状の取付孔HGが穿設されている。吸引口H1、H2は同大で、吸引口H1は背面31dの左方に、吸引口H2は背面31dの右方に夫々穿設されているが、吸引口H1には後方に突出するフランジHF1が背面31dと一体に設けられ、吸引口H2には後方に突出するフランジHF2が背面31dと一体に設けられている。また、取付孔HGは除去手段2のグラインダGの柄部22を挿嵌するための構成であるのでグラインダGの柄部22の長手方向に直角の断面形状と同様の形状となるものであるが、実施例1のアスベスト除去具1においては、グラインダGの柄部22の長手方向に直角の断面形状は各辺が外側にやや膨らんだ略正方形状であるので、取付孔HGも同様の形状として構成されている。
取付孔HGの周縁部HGr(図10参照)には、グラインダGの柄部22を安定的に挿嵌するためのパッキンPが嵌着されている。パッキンPの構成は、図11に見るとおりのもので、外周部Paに凹部Pcが形成されており、図10に見るように、凹部Pcに背面31dの取付孔HGの周縁部HGrが嵌着されることにより、パッキンPは取付孔HGの周縁部HGrに固着されている。パッキンPの内周部Pbは、グラインダGの柄部22の長手方向に直角の断面形状と同一形状で、該断面形状よりやや小に構成されているので、パッキンPに柄部22を挿嵌すると、パッキンPの弾性力と反発力により柄部22はパッキンPを介して背面31dに固着される。すなわち、グラインダG全体が密閉手段3の蔽体31に固着される。
蔽体31のフランジFの下面には、複数本の線材からなるシール手段32がブラシ状に植設されていることは前述したが、その構成をさらに詳しく説明すれば、以下のとおりである。図14aはフランジFの一部を拡大して説明する説明図であり、図14bはフランジFの底面の一部を拡大して説明する説明図である。フランジFの中央部分には複数本の線材W1が4列に密植されて第1シール手段32aを構成し、フランジFの両端部には複数本の線材W2が夫々4列に密植されて第2シール手段32bを構成している。すなわち第1シール手段32aと第2シール手段32bは隣接して構成されている。また、第1シール手段32aを構成する線材W1と第2シール手段32bを構成する線材W2を比較すると、線材W2は線材W1に比較すると直径はやや細いが長さはやや長い。線材W2の直径は、線材W1の直径の50〜80%、線材W2の長さは、線材W1の長さの105〜125%程度が適切であると考えられる。また、第1シール手段32aと第2シール手段32bの植設密度を比較すると、第2シール手段32bの植設密度の方が高い。なお、図15a〜図15cには、第1シール手段32aと第2シール手段32bの異なった配列方法を示すものである。
次に、把持手段4の構成を説明する。把持手段4は、図1〜図9に示すように、中央部から後部にかけてのハンドル41、ハンドル41の前方に連接される先端部42、そして、ハンドル41の後端下部に連接されるホルダ部43よりなるが、ハンドル41、先端部42、ホルダ部43はすべて一体として構成され、特にハンドル41と先端部42は視覚的にも連続したひとつながりの部材として形成されている。
ハンドル41は硬質樹脂製の把手であり、内部は空洞で、外観は図1に見るように人の手になじむような形状に形成されている。ハンドル41とひとつながりでやはり内部が空洞の先端部42はその下部が密閉手段3の蔽体31の上面31e内部に嵌入固着されており、最先端部に、除去手段2の作用部21の研磨用の回転円盤21aの近傍を照明できるような角度で照明装置42aが装着されている。42bは照明装置42aのスイッチで先端部42の上面に装着されており、42cは先端部42の内部に取付けられたスイッチボックスである。照明装置42aとスイッチボックス42cを連結するコードC2はスイッチボックス42cに入り、さらにスイッチボックス42cの後端からは電源コードC3となって先端部42、ハンドル41の内部の空洞を通ってハンドル41の後端部から外部に導出されている。なお先端部42と蔽体31を固着する方法は、実施例1のアスベスト除去具1にては接着とされているが、他に螺着や溶着等、先端部42と蔽体31が強固に固着できる方法であればその方法は問わない。
ホルダ部43は、図1〜図9及び図13a、図13bに示すように、上部となるパイプホルダ部43aと下部となるグラインダホルダ部43bが一体として構成されている。パイプホルダ部43aはハンドル41の後端部の直下に該後端部と一体として構成された略立方体状の部材で、材質は硬質樹脂製であり、背面に円孔H5が、左側面に円孔H3が、右側面に円孔H4が、夫々穿設されている。円孔H3、H4、H5はパイプホルダ部43aの内部で連通していて、図12のパイプホルダ部43aの横断面図に見るように、全体として逆T字状の連通孔H6を構成している。また、円孔H3の周囲にはフランジHF3が後方に突設され、円孔H4の周囲にはフランジHF4が左方に突設され、円孔H5の周囲にはフランジHF5が右方に突設されている。
グラインダホルダ部43bは、図1〜図9に見るように、グラインダGの柄部22を固定するための部材であるので、図5、図9、図13a、図13bに見るように、パイプホルダ部43aの左側面下部から一体として延伸される左帯LBとパイプホルダ部43aの右側面下部から一体として延伸される右帯RBからなり、左帯LBの下端部と右帯RBの下端部が下部にて当接して締結部Uとなり、左帯LBと右帯RBから構成される空間S(図13a、図13b参照)はグラインダGの柄部22の長手方向に垂直な断面形状に等しい形状をなしている。また、左帯LBの内側面LB1と右帯RBの内側面RB1及びパイプホルダ部43aの下面43cにはゴム製の内張りGSが一体として貼設されているが、この内張りGSは、空間S内に挿嵌されるグラインダGの柄部22の表面に圧着されるので、グラインダGの柄部22はグラインダホルダ部43bに安定的に固着されることができる。なお、柄部22の固定は、最終的に締結部Uの4組のボルトナットBNを強く締結して左帯LBの下端部と右帯RBの下端部を一体として固着することによりなされるものである。
次に、密閉手段3の内部のアスベスト粉末を吸引する吸引手段5について詳細に説明する。吸引手段5は、図1〜図5に示すように膜状の合成樹脂からなる3本の吸引用可撓管51、52、53から構成されている。吸引用可撓管51は、図2、図3に見るように、一端が密閉手段3の蔽体31の背面に穿設された吸引口H1に気密的に接続され、他端がホルダ部43のパイプホルダ部43aの左側面に穿設された円孔H3に気密的に接続されている。すなわち、吸引用可撓管51の内周面は、吸引口H1のフランジHF1の外周面よりやや小のサイズとされているので、吸引用可撓管51の一端を拡大しながらフランジHF1に嵌め込むことにより気密的な接続がなされるが、さらなる気密性と安定的な固定を保証するために、接続部分が締結リングR1により締め付けられる。締結リングR1は一端がボルトナットBNにより締結される環状部材である。また、吸引用可撓管51の他端は、同様にしてパイプホルダ部43aの円孔H3のフランジHF3に気密的に接続され、さらに接続部分が締結リングR1と同様の構成の締結リングR3により締め付けられる。
吸引用可撓管52は、図2、図3に見るように、一端が密閉手段3の蔽体31の背面に穿設された吸引口H2に気密的に接続され、他端がホルダ部43のパイプホルダ部43aの右側面に穿設された円孔H4に気密的に接続されている。すなわち、吸引用可撓管52の内周面は、吸引口H2のフランジHF2の外周面よりやや小のサイズとされているので、吸引用可撓管52の一端を拡大しながらフランジHF2に嵌め込むことにより気密的な接続がなされるが、さらなる気密性と安定的な固定を保証するために、接続部分が締結リングR1と同様の構成の締結リングR2により締め付けられる。また、吸引用可撓管52の他端は、同様にしてパイプホルダ部43aの円孔H4のフランジHF4に気密的に接続され、さらに接続部分が締結リングR1と同様の構成の締結リングR4により締め付けられる。なお、実施例1のアスベスト除去具1においては、吸引用可撓管51、52は同一サイズで、略左右対称に配設される。さらに、吸引用可撓管53も同一サイズである。また、吸引用可撓管51、52、53の構成自体については、各種現場にて吸引用のホースとして用いられている可撓管(公知技術)と同様の構成であるので詳述は省略する。
吸引用可撓管53は、図2、図3に見るように、一端がホルダ部43のパイプホルダ部43aの背面に穿設された円孔H5に気密的に接続され、他端は図示しないコンプレッサに接続されている。すなわち、吸引用可撓管53の内周面は、吸引口H5のフランジHF5の外周面よりやや小のサイズとされているので、吸引用可撓管53の一端を拡大しながらフランジHF5に嵌め込むことにより気密的な接続がなされるが、さらなる気密性と安定的な固定を保証するために、接続部分が締結リングR5により締め付けられる。締結リングR5は締結リングR1と略同様の構成であるが、上部に電源コードC3を結束するための膨出部R5aを備えている点が異なる。なお、以上の構成から明らかなように、吸引用可撓管51、52、53は、パイプホルダ部43aの内部に穿設された連通孔H6を介して相互に連通させられた状態にある。
図1〜図5にて、C1はグラインダGの後端部から図示しない電源に延伸されている電源コードである。また、C3は把持手段4の先端部42内部のスイッチボックス42cから図示しない電源に延伸されている電源コードである。電源コードC1,C3は、吸引用可撓管53とともに締結リングR6によって締結されている。締結リングR6は締結リングR1と略同様の構成であるが、上部に電源コードC3を結束するための膨出部R6a、下部に電源コードC1を結束するための膨出部R6bを備えている点が異なる。電源コードC1、C3と吸引用可撓管53は、締結リングR6と同様の構成の複数の締結リング(図示せず)により結束されているものである。
<実施例1の作用>
実施例1のアスベスト除去具1の作用を以下に図面を参照しながら説明する。図1〜図5に示すアスベスト除去具1は、作業者(図示せず)が把持手段4のハンドル41を片手に把持して使用される。この際、天井面のアスベストを除去する場合にはアスベスト除去具1は、図1の状態を180°転倒させ、作用部21の回転円盤21aが上を向く形で使用される。また、壁面のアスベストを除去する場合には、図1の状態を90°転倒させ、回転円盤21aが壁面に平行になる状態にて使用される。また、床面のアスベストを除去する場合には、図1の状態で使用される。いずれの使用状態にても、吸引用可撓管53の図示しない端部は図示しないコンプレッサに接続され、電源コードC1、C3は図示しない電源に接続された状態で使用される。また、コンプレッサの吸引作用は常時オンの状態とする。
作用部の回転円盤21aが適切にアスベスト面ASに当接される状態になれば、作業者は、グラインダGの電源スイッチSWをオン状態とする。すると、作用部21の研磨用の回転円盤21aが回転を開始する。作業者がハンドル41に力を入れてアスベスト除去具1全体をアスベスト面ASに押圧することにより、回転円盤21aはアスベスト面ASを剥離粉砕するので、アスベスト面ASは細粉末化して密閉手段3の蔽体31の内部に飛散するが、蔽体31の内部は、吸引用可撓管51、52、53の吸引作用によって減圧状態にあるので、アスベスト粉末は蔽体31の背面31dに穿設された吸引口H1、H2からパイプホルダ部43aに吸引され、さらに連通孔H6を経由して吸引用可撓管53により図示しないコンプレッサに吸引される。この際、吸引用可撓管51、52は気密的に蔽体31とパイプホルダ部43aの連通孔H6に接続されており、また吸引用可撓管53も気密的にパイプホルダ部43aの連通孔H6に接続されているので、アスベスト粉末が大気中に漏洩することがない。
また、蔽体31の下面においては、シール手段32の作用により、やはりアスベスト粉末の大気中への漏洩が防止される。シール手段32はブラシ状に密植された複数本の線材W1、W2よりなるものであるが、蔽体31の内部には、吸引用可撓管51、52を通じて常に減圧作用が働いているので、外部の空気はシール手段32の複数本の線材W1、W2の隙間から流入せざるを得ない。したがって、シール手段32においては、常に外部から内部への気流が発生しており、この気流の作用により、蔽体31内部のアスベスト粉末はシール手段32の手前にて蔽体31の内部方向に押し戻されるので、シール手段32から外部に漏洩することが防止される。なお、作用部21の回転円盤21aがアスベストを略完全に細粉化するので、シール手段32における上記作用は略完全に行われる。また、実施例1のアスベスト除去具1においては、薬液等、アスベストを粘性化する手段は用いないので、アスベスト粉末は粉末状態のままで吸引用可撓管51、52に吸引されるから、薬液を用いた場合のように、粘性化したアスベストがシール手段32から漏洩するということも起こり得ない。
作業者(図示せず)は、アスベスト面ASの厚さや固さ、あるいは他の物質層の混入具合を、目視とハンドル41に感じる反作用によってモニタしながら、アスベスト面ASの状態に合わせて回転円盤21aのアスベスト面ASへの当接(押圧)具合を変化させ、最も適切にアスベスト面ASを粉末化できる状態を選んで作業を進めていく。この際、蔽体31が透明材よりなるので、作業者は、回転円盤21aがアスベスト面ASを剥離粉砕する状態を目視確認しながら作業ができる。また、これにより、アスベスト面ASは略完全に剥離除去できる。すなわち、目視によって残留アスベストが確認できれば、その部分に繰り返し回転円盤21aを作用させることによって、むらなくアスベスト面ASを剥離除去できるものである。さらに、常に作業室内が充分に明るく、回転円盤21a近傍が充分に目視できる場合は良いが、そうでない場合も多い。作業者は、回転円盤21a近傍が少しでも暗いと感ずれば、把持手段4の先端部42の上面のスイッチ42bをオンにすれば、照明装置42aが点灯され、回転円盤21a近傍が明るく照明されるので、的確な除去作業を継続することができる。除去作業を中止するときは、グラインダGの電源スイッチSWをオフにすれば、回転円盤21aが停止される。また、アスベスト面ASの状態如何により、回転円盤21aを他の回転円盤(図示せず)と交換することも可能である。この交換作業は、家庭用の小型のグラインダの回転円盤の交換作業と全く同要領で行えるので、説明は省略する。
さらに、作業者が、アスベスト除去具1をアスベスト面ASに対して様々な当接・押圧のさせ方をする際に、シール手段32が、剛性と可撓性のある線材W1が複数本密植された第1シール手段32aと、第1シール手段32aに隣接して密植された第1シール手段32aの線材W1よりやや細くやや長い複数本の線材W2からなる第2シール手段32bからなっているので(図14a〜図15c参照)、単一の太さと長さの複数本の線材のみからなるシール手段(図示せず)にはない効果を奏することができる。すなわち、やや太く短めの複数本の線材W2からなる第1シール手段32aはある程度のシール性とシール手段32全体の剛性の保持を主に担当することにより、作業者(図示せず)がアスベスト除去具1の一端のみに力を掛け過ぎたとしても、反発作用を有し、アスベスト除去具1全体の過度の傾きが防止される。また、作業者が過度にアスベスト除去具1全体をアスベスト面ASに押し付けてしまった場合も、第1シール手段32aの剛性によってアスベスト除去具1全体が一定の位置で停止され、結果として、作用部21の回転円盤21aがアスベスト面ASを突き抜けて躯体面(図示せず)まで削ってしまうという誤作動が防止される。一方、やや細く長めの複数本の線材W2からなる第2シール手段32bは可撓性と高度なシール性の方を主に担当し、第1シール手段32aだけでは不足するシール性を高めると同時に、クッション作用によって作業者が手に感じる反作用を軽減してくれるので、作業感覚はきわめて良好なものとなる。この点は、アスベスト除去具1が、作業者が長時間手に把持して作業するものであるところから、極めて重要である。
以上のような方法にて作業を行うことにより、建築物の天井面、壁面、床面に用いられているアスベスト面ASの殆どを略完全な状態にて剥離除去でき、しかもアスベスト粉末は大気中に飛散することなく適切に吸引処理される。アスベスト除去具1にて剥離除去後も、建築物の隅部分に僅かにアスベスト面が残留するが、密閉手段3の蔽体31の先端部分が直角に構成されているので、残留アスベストはごく少量となる。この僅かの残留アスベストは、作業員の手作業により剥離除去されるが、その労力は最小で済むものである。
本発明は、叙上のように、現場の実情に即応した、使いやすく効率的なアスベスト除去具を提供するものであって、アスベストの剥離除去作業における作業者の蒙る危険性や負担感の軽減に、著しい効果を齎すものである。また、本発明は、作用部の回転円盤を適切なものに交換するだけで、アスベストのみならず、他の様々な物質層の剥離除去にも対応可能である。例えば、モルタルやコンクリートの被覆面に対しては、夫々の面を剥離可能な材質の回転円盤を用いればよいし、さらに、各種塗料面の剥離等にも適切な材質の回転円盤を用いることにより応用可能である。いずれの場合にも、除去手段の作用部にて剥離粉砕された物質層は、吸引手段により略完全に吸引除去されるので、剥離粉末が大気中に飛散されることが防止され、作業者の安全の確保と環境保護に、大いに資するものである。
本発明の実施例1のアスベスト除去具の一部を省略し、一部を切欠した右側面図である。 本発明の実施例1のアスベスト除去具の一部を省略した平面図である。 本発明の実施例1のアスベスト除去具の一部を省略した底面図である。 本発明の実施例1のアスベスト除去具の正面図である。 本発明の実施例1のアスベスト除去具の一部を省略した背面図である。 本発明の実施例1のアスベスト除去具の密閉手段と把持手段の右側面図である。 本発明の実施例1のアスベスト除去具の密閉手段と把持手段の平面図である。 本発明の実施例1のアスベスト除去具の密閉手段と把持手段の正面図である。 本発明の実施例1のアスベスト除去具の密閉手段と把持手段の背面図である。 図6のA−A線断面図である。 本発明の実施例1のアスベスト除去具の除去手段と密閉手段を気密的に固定するためのパッキンの一部を切欠した外観斜視図である。 図6のB−B線断面図である。 (a)本発明の実施例1のアスベスト除去具の把持手段のホルダ部の構成を説明するための説明図である。(b)本発明の実施例1のアスベスト除去具の把持手段のホルダ部の構成を説明するための説明図である。 (a)本発明の実施例1のアスベスト除去具の密閉手段のシール手段の構成を説明するための説明図である。(b)本発明の実施例1のアスベスト除去具の密閉手段のシール手段の構成を説明するための説明図である。 (a)本発明の実施例1のアスベスト除去具の密閉手段のシール手段の他の構成を説明するための説明図である。(b)本発明の実施例1のアスベスト除去具の密閉手段のシール手段のさらに他の構成を説明するための説明図である。(c)本発明の実施例1のアスベスト除去具の密閉手段のシール手段のさらに他の構成を説明するための説明図である。
符号の説明
1 アスベスト除去具
2 除去手段
21 作用部
21a 回転円盤
21b 軸
22 柄部
3 密閉手段
31 蔽体
31a 先端部
31b 左側面
31c 右側面
31d 背面
31e 上面
32 シール手段
32a 第1シール手段
32b 第2シール手段
4 把持手段
41 ハンドル
42 先端部
42a 照明装置
42b スイッチ
42c スイッチボックス
43 ホルダ部
43a パイプホルダ部
43b グラインダホルダ部
43c 下面
5 吸引手段
51 吸引用可撓管
52 吸引用可撓管
53 吸引用可撓管
AS アスベスト面
BN ボルトナット
C1 電源コード
C2 コード
C3 電源コード
F フランジ
G グラインダ
GS 内張り
HF1 フランジ
HF2 フランジ
HF3 フランジ
HF4 フランジ
HF5 フランジ
HG 取付孔
HGr 周縁部
H1 吸引口
H2 吸引口
H3 円孔
H4 円孔
H5 円孔
H6 連通孔
LB 左帯
LB1 内側面
P パッキン
Pa 外周部
Pb 内周部
Pc 凹部
RB 右帯
RB1 内側面
R1 締結リング
R2 締結リング
R3 締結リング
R4 締結リング
R5 締結リング
R5a 膨出部
R6 締結リング
R6a 膨出部
R6b 膨出部
S 空間
SW スイッチ
U 締結部
W1 線材
W2 線材


Claims (2)

  1. アスベスト面の除去を行う除去手段と、アスベスト面に接する部分に密植された複数本の線材からなるシール手段を備え除去手段の作用部の全体を掩覆する透明材よりなる密閉手段と、除去手段の密閉手段に掩覆されていない部分に固着され一部が作業者が手に把持できるハンドルとして構成されている把持手段と、一端が密閉手段に穿設された吸引口に気密的に接続され、他端がコンプレッサに接続されている吸引用可撓管からなる吸引手段、から構成され、除去手段が、研磨用の回転円盤を作用部とするグラインダであり、シール手段である線材が、剛性と可撓性のある線材が複数本密植された第1シール手段と、該第1シール手段に隣接して密植された第1シール手段の線材よりやや細く第1シール手段の線材よりやや長い複数本の線材からなる第2シール手段からなり、把持手段あるいは密閉手段に、除去手段の作用部の研磨用の回転円盤の近傍を照明できる照明装置が装着されていることを特徴とするアスベスト除去具。
  2. 除去手段の作用部の研磨用の回転円盤の回転軸の軸方向を上下方向とした場合に、透明材よりなる密閉手段の先端部分が平面視で90°以下の角度に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のアスベスト除去具。
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