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JP4164239B2 - 樹脂プーリ付き軸受 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベルト伝動機構、特に自動車の補機駆動用ベルト等での使用に好適な樹脂製プーリ付き軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車の補機にエンジンの回転動力を伝達するための補機駆動用ベルト等で使用されるプーリには、その重量軽減ならびにコスト削減のため、転がり軸受の金属製の外輪の外周面に合成樹脂製のプーリを一体成形してなる樹脂プーリ付き軸受が用いられている。樹脂プーリとしては、例えば、使用温度域が高く、熱硬化性であるフェノール樹脂等が用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
樹脂プーリは、鉄製のプーリに比べて熱伝導性に劣るため放熱性が悪く、そのため、転がり軸受の回転によって発生する熱が転がり軸受内にこもってしまう。その結果、転がり軸受の内部に充填されているグリースの劣化が促進されてしまうという問題があった。
【0004】
この発明は、転がり軸受内部に熱がこもるのを防ぎ、グリースの劣化を抑制して軸受の寿命を向上させることができる樹脂プーリ付き軸受を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の樹脂プーリ付き軸受は、転がり軸受の外輪の外周面に樹脂製のプーリを射出成形によって一体成形した樹脂プーリ付き軸受であって、前記樹脂プーリに、貫通孔を形成し、前記貫通孔は、一端開口部前記転がり軸受の玉の軸方向幅範囲内で前記樹脂プーリの内周面に開口し、他端開口部がベルト案内面に開口し、前記樹脂プーリの内周面は前記外輪の前記一端開口部に対応する箇所を除く外周面全体に当接していることを特徴とするものである。
【0006】
なお、貫通孔のベルト案内面側の他端開口部を、樹脂プーリの回転方向前方に偏位させてもよい。また、樹脂プーリに複数個の貫通孔を設けてもよく、しかも、各貫通孔が転がり軸受の軸心に対し均等に配置されていてもよい。
【0007】
このように、樹脂プーリに貫通孔を形成したことで貫通孔内に空気が充填され、空気の熱伝導性は樹脂の熱伝導性に比べ優れているため、貫通孔を形成したことで樹脂プーリの放熱性が向上し、よって転がり軸受の熱が貫通孔内の空気を伝ってベルト案内面がら放出され、転がり軸受内部に熱がこもるのを防ぐことができる。
【0008】
また、貫通孔のベルト案内面側の他端開口部を、樹脂プーリの回転方向前方に偏位させることで、貫通孔内に空気が流入し易くなり、転がり軸受の放熱が確実に行える。
【0009】
さらに、樹脂プーリに複数個の貫通孔を転がり軸受の軸心に対し均等に配置することで、温度分布に係わりなく転がり軸受の放熱が効率良く行える。
【0010】
本発明の請求項5の樹脂プーリ付き軸受は、転がり軸受の外輪の外周面に樹脂製のプーリを射出成形によって一体成形した樹脂プーリ付き軸受であって、前記樹脂プーリに、吸気孔と排気孔とからなる通気孔を形成し、前記吸気孔は、一端開口部前記転がり軸受の玉の軸方向幅範囲内で前記樹脂プーリの内周面に開口し、他端開口部がベルト案内面に開口し、前記排気孔は、一端開口部が前記吸気孔一端開口と同じ位置に開口し、他端開口部がベルト案内面の前記吸気孔他端開口と異なる位置に開口し、前記樹脂プーリの内周面は前記外輪の前記吸気孔の一端開口部および前記排気孔の一端開口部に対応する箇所を除く外周面全体に当接していることを特徴とするものである。吸気孔排気孔とは、例えば、樹脂プーリの回転方向に並んで配設されていてもよく、あるいは転がり軸受の軸心方向に並んで配設されていてもよい。
【0011】
なお、吸気孔のベルト案内面側の開口部を、樹脂プーリの回転方向前方に偏位させてもよい。また、樹脂プーリに互いに独立した複数個の通気孔を設けてもよく、しかも、各通気孔が転がり軸受の軸心に対し均等に配置されていてもよい。
【0012】
このように、樹脂プーリに吸気孔排気孔とからなる通気孔を形成したことで通気孔内に空気が充填され、空気の熱伝導性は樹脂の熱伝導性に比べ優れているため、通気孔を形成したことで樹脂プーリの放熱性が向上し、よって転がり軸受の熱が通気孔内の空気を伝ってベルト案内面から放出され、転がり軸受内部に熱がこもるのを防ぐことができる。
【0013】
また、転がり軸受の回転に伴い、吸気孔から空気が流入し、外輪の外周面を通って排気孔から排気されるので、転がり軸受の熱が通気孔内を流れる空気によってベルト案内面から放出され、転がり軸受内部に熱がこもるのをより一層防ぐことができる。
【0014】
また、吸気孔のベルト案内面側の開口部を、樹脂プーリの回転方向前方に偏位させることで、通気孔内に空気が流入し易くなり、転がり軸受の放熱が確実に行える。
【0015】
さらに、樹脂プーリに複数個の通気孔を転がり軸受の軸心に対し均等に配置することで、温度分布に係わりなく転がり軸受の放熱が効率良く行える。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態について、図1ないし図4を用いて説明する。
【0017】
図1は、転がり軸受の外輪11の外周面12に合成樹脂製のプーリ13を一体成形してなる樹脂プーリ付き軸受10の部分断面図を示しており、樹脂プーリ13の外周面は補機駆動用ベルト(図示せず)を掛けるベルト案内面14となっており、かつ、樹脂プーリ13のウェブ15には貫通孔17が形成されている。なお、16は樹脂プーリ13の補強リブであり、ウェブ15の軸方向両側面に所定間隔置きに中心から放射状に形成されている。
【0018】
次に、図2および図3を用いて、貫通孔17について詳細に説明する。
【0019】
貫通孔17は、一端が外輪11の外周面12に開口し、他端が樹脂プーリ13のベルト案内面14に開口した直線状の孔である。また、貫通孔17は、樹脂プーリ13のウェブ15部分において、転がり軸受の軸心C-Cに対して均等に配置して4箇所に形成されている。
【0020】
さらに、各貫通孔17は、ベルト案内面14側の開口部が樹脂プーリ13の回転方向(矢印A方向)前方に傾斜角θだけ偏位している。傾斜角θは、樹脂プーリ13の回転時に、貫通孔17内に空気が流入し易い、例えば5°〜45°内の適宜な角度に設定する。
【0021】
次に、図4を用いて、転がり軸受の外輪11の外周面12に樹脂プーリ13を一体成形する作業について説明する。樹脂プーリ13は、例えば、射出成形によって形成される。すなわち、転がり軸受またはその外輪11を金型30内に芯出し固定し、かつ、貫通孔17を形成する位置に棒状金型34を所定の角度にて差し込み、先端を外輪11の外周面12に当接させる。次に、型内のキャビティ33にランナ31ならびに樹脂注入ゲート32を介して溶融樹脂を充填し、固化させた後、棒状金型34を抜き取り型開きを行って形成する。
【0022】
次に、転がり軸受の放熱作用について説明する。すなわち、樹脂プーリ13の回転に伴って、樹脂プーリ13の回転方向前方に傾斜角θだけ偏位した貫通孔17のベルト案内面14側の開口部から空気が貫通孔17内に流入する。貫通孔17は、外輪11の外周面12とベルト案内面14との間に連通しており、転がり軸受の回転によって発生する熱が貫通孔17内の空気を伝ってベルト案内面14から放出され、転がり軸受内に熱がこもるのを防ぐ。
【0023】
なお、貫通孔17の個数は特に限定されるものではなく、1個あるいは2個以上の複数個のいずれであってもよい。また、貫通孔17は樹脂プーリ13の回転方向前方に傾斜しておらず、軸心C-Cに対し放射状に形成されていてもよく、あるいは樹脂プーリ13の補強リブ16部分に形成されていてもよい。さらに、貫通孔17は直線状に限るものではなく、しかも圧力差によって吸気が円滑に行えるように途中で径が変化するようなものでもよく、また空気が流入し易いようにベルト案内面14側の開口部に空気を内部に案内する凹部等を形成したものであってもよい。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について、図5および図6を用いて説明する。
【0024】
この実施の形態は、樹脂プーリ13に、一端がベルト案内面14に開口し他端が外輪11の外周面12に開口した吸気孔41と、一端が吸気孔41の外輪外周面側の開口部に連通し他端がベルト案内面14に開口した排気孔42とからなる通気孔40を形成したものであり、吸気孔41と排気孔42は、樹脂プーリ13の回転方向に並んで配設されている。
【0025】
通気孔40は、樹脂プーリ13のウェブ15部分において、転がり軸受の軸心C-Cに対して均等に配置して4箇所に形成されている。また、各通気孔40の吸気孔41は、ベルト案内面14側の開口部が樹脂プーリ13の回転方向(矢印A方向)前方に、空気が流入し易い傾斜角θ、例えば5°〜45°だけ偏位している。なお、排気孔42の傾斜角は特に限定されるものではない。
【0026】
また、転がり軸受の外輪11の外周面12に樹脂プーリ13を一体成形する作業は、第1の実施の形態と同様、金型内に吸気孔41ならびに排気孔42を形成するための一対の棒状金型を差込み、溶融樹脂を充填/固化してなる射出成形によって行う。
【0027】
次に、転がり軸受の放熱作用について説明する。すなわち、樹脂プーリ13の回転に伴って、樹脂プーリ13の回転方向前方に傾斜角θだけ偏位した吸気孔41のベルト案内面14側の開口部から空気が通気孔40内に流入する。通気孔40は、外輪11の外周面12とベルト案内面14との間に連通しており、転がり軸受の回転によって発生する熱が通気孔40内の空気を伝ってベルト案内面14から放出され、転がり軸受内に熱がこもるのを防ぐ。
【0028】
また、転がり軸受の回転に伴って、吸気孔41内にベルト案内面14側の開口部から空気が流入し、外輪11の外周面12を通って排気孔42のベルト案内面14側の開口部から排気されるので、軸受の熱が通気孔40内を流れる空気によってベルト案内面14から放出され、転がり軸受内部に熱がこもるのをより一層防ぐことができる。
【0029】
なお、通気孔40の個数は特に限定されるものではなく、1個あるいは2個以上の複数個のいずれであってもよい。また、吸気孔41は傾斜しておらず、軸心C-Cに対し放射状に形成されていてもよい。また、吸気孔41ならびに排気孔42は直線状に限るものではなく、しかも圧力差によって吸排気が円滑に行えるように途中で径が変化するようなものでもよく、また空気が流入し易いように吸気孔41のベルト案内面14側の開口部に空気を内部に案内する凹部等を形成したものであってもよい。さらに、排気孔42を補強リブ16に形成してもよい。(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態について、図7および図8を用いて説明する。
【0030】
この実施の形態は、樹脂プーリ13に、一端がベルト案内面14に開口し他端が外輪11の外周面12に開口した吸気孔51と、一端が吸気孔51の外輪外周面側の開口部に連通し他端がベルト案内面14に開口した排気孔52とからなる通気孔50を形成したものであり、吸気孔51と排気孔52は、転がり軸受の軸心方向に並んで配設されている。
【0031】
通気孔50は、樹脂プーリ13の補強リブ16部分において、転がり軸受の軸心C-Cに対して均等に配置して4箇所に形成されている。また、吸気孔51のベルト案内面14側の開口部には、空気を内部に案内する凹部が形成されている。
【0032】
また、転がり軸受の外輪11の外周面12に樹脂プーリ13を一体成形する作業は、第1の実施の形態と同様、金型内に吸気孔51ならびに排気孔52を形成するための一対の棒状金型を差込み、溶融樹脂を充填/固化してなる射出成形によって行う。
【0033】
次に、転がり軸受の放熱作用について説明する。すなわち、樹脂プーリ13の回転に伴って、吸気孔51のベルト案内面14側の開口部から空気が通気孔50内に流入する。通気孔50は、外輪11の外周面12とベルト案内面14との間に連通しており、転がり軸受の回転によって発生する熱が通気孔50内の空気を伝ってベルト案内面14から放出され、転がり軸受内に熱がこもるのを防ぐ。
【0034】
また、転がり軸受の回転に伴って、吸気孔51内にベルト案内面14側の開口部から空気が流入し、外輪11の外周面12を通って排気孔52のベルト案内面14側の開口部から排気されるので、軸受の熱が通気孔50内を流れる空気によってベルト案内面14から放出され、転がり軸受内部に熱がこもるのをより一層防ぐことができる。
【0035】
なお、通気孔50の個数は特に限定されるものではなく、1個あるいは2個以上の複数個のいずれであってもよい。また、吸気孔51ならびに排気孔52は直線状に限るものではなく、しかも圧力差によって吸排気が円滑に行えるように途中で径が変化するようなものでもよい。
【0036】
また、吸気孔51と排気孔52を、補強リブ16の厚みの範囲内において、樹脂プーリ13の回転方向に並んで配設してもよい。すなわち、吸気孔51が樹脂プーリ13の回転方向前方に傾斜し、排気孔52が樹脂プーリ13の回転方向後方に傾斜して設けられていてもよい。
【0037】
さらに、樹脂プーリ13の形状は、ウェブ15の両面に補強リブ16を一体成形したものに限らず、例えば、厚肉のフラットな円盤状であって、貫通孔あるいは通気孔を任意の位置に、任意の角度にて形成したものであってもよい。
【0038】
【発明の効果】
本発明の樹脂プーリ付き軸受によれば、転がり軸受内部に熱がこもるのを防ぎ、長時間に渡り連続回転させても転がり軸受の温度上昇が抑制され、グリースの劣化を防止して軸受の寿命を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態における樹脂プーリ付き軸受の部分断面図である。
【図2】 本発明の第1の実施の形態における樹脂プーリ付き軸受の樹脂プーリの正面図である。
【図3】 本発明の第1の実施の形態における樹脂プーリ付き軸受の断面図である。
【図4】 本発明の第1の実施の形態における樹脂プーリ付き軸受の製造工程の断面図である。
【図5】 本発明の第2の実施の形態における樹脂プーリ付き軸受の樹脂プーリの正面図である。
【図6】 本発明の第2の実施の形態における樹脂プーリ付き軸受の断面図である。
【図7】 本発明の第3の実施の形態における樹脂プーリ付き軸受の樹脂プーリの正面図である。
【図8】 本発明の第3の実施の形態における樹脂プーリ付き軸受の断面図である。
【符号の説明】
10 樹脂プーリ付き軸受
11 外輪
12 外周面
13 樹脂プーリ
14 ベルト案内
15 ウェブ
16 補強リブ
17 貫通孔
40,50 通気孔
41,51 吸気孔
42,52 排気孔

Claims (10)

  1. 転がり軸受の外輪の外周面に樹脂製のプーリを射出成形によって一体成形した樹脂プーリ付き軸受であって、
    前記樹脂プーリに、貫通孔を形成し、
    前記貫通孔は、
    一端開口部前記転がり軸受の玉の軸方向幅範囲内で前記樹脂プーリの内周面に開口し、
    他端開口部がベルト案内面に開口し
    前記樹脂プーリの内周面は前記外輪の前記一端開口部に対応する箇所を除く外周面全体に当接していることを特徴とする樹脂プーリ付き軸受。
  2. 貫通孔のベルト案内面側の他端開口部が、樹脂プーリの回転方向前方に偏位していることを特徴とする請求項1記載の樹脂プーリ付き軸受。
  3. 樹脂プーリに複数個の貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の樹脂プーリ付き軸受。
  4. 各貫通孔が転がり軸受の軸心に対し均等に配置されていることを特徴とする請求項3記載の樹脂プーリ付き軸受。
  5. 転がり軸受の外輪の外周面に樹脂製のプーリを射出成形によって一体成形した樹脂プーリ付き軸受であって、
    前記樹脂プーリに、吸気孔と排気孔とからなる通気孔を形成し、
    前記吸気孔は、
    一端開口部前記転がり軸受の玉の軸方向幅範囲内で前記樹脂プーリの内周面に開口し、
    他端開口部がベルト案内面に開口し
    前記排気孔は、
    一端開口部が前記吸気孔一端開口と同じ位置に開口し、
    他端開口部がベルト案内面の前記吸気孔他端開口と異なる位置に開口し
    前記樹脂プーリの内周面は前記外輪の前記吸気孔の一端開口部および前記排気孔の一端開口部に対応する箇所を除く外周面全体に当接していることを特徴とする樹脂プーリ付き軸受。
  6. 吸気孔排気孔とが、樹脂プーリの回転方向に並んで配設されていることを特徴とする請求項5記載の樹脂プーリ付き軸受。
  7. 吸気孔排気孔とが、転がり軸受の軸心方向に並んで配設されていることを特徴とする請求項5記載の樹脂プーリ付き軸受。
  8. 吸気孔のベルト案内面側の他端開口部が、樹脂プーリの回転方向前方に偏位していることを特徴とする請求項5記載の樹脂プーリ付き軸受。
  9. 樹脂プーリに互いに独立した複数個の通気孔が設けられていることを特徴とする請求項5ないし請求項8記載の樹脂プーリ付き軸受。
  10. 各通気孔が転がり軸受の軸心に対し均等に配置されていることを特徴とする請求項9記載の樹脂プーリ付き軸受。
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